JP5459062B2 - 高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法 - Google Patents

高周波焼入れ用圧延鋼材およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高周波焼入れ用圧延鋼材、すなわち、高周波焼入れを行って用いられる圧延鋼材、およびその製造方法に関し、詳しくは、必ずしも高価な元素を含有させずとも、さらに、焼入れ−焼戻しのいわゆる「調質処理」を行わずとも、高い強度および母材靱性を確保でき、高周波焼入れで生成する硬化層の靱性にも優れる高周波焼入れ用圧延鋼材とその製造方法に関する。
自動車部品のうちで、ステアリング装置に用いられるラックバーは、自動車の進行方向を操舵するとともに左右両輪を繋ぐ骨組み的な役割を示す重要部品であり、これが破損した場合にはハンドル操作が不可能となってしまう。このため、ラックバーに用いられる鋼材には、高い信頼性が要求される。
なお、ラックバーは、従来、中炭素鋼材の圧延鋼材を用いて、焼入れ焼戻しの調質処理を行った後に、切削加工によって歯型部を形成し、その歯型部に高周波焼入れ、つまり、高周波電流による誘導加熱作用で急速短時間加熱(以下、「高周波加熱」という。)してその後直ちに、またはその加熱した温度で短時間の保持を行った後、焼入れをして製造されてきた。
そして、高周波焼入れを行って用いられるラックバーには、上述のとおり破損を防止する必要があるため、曲げ強度と衝撃特性に優れていることが要求される。すなわち、高周波焼入れ層にき裂が発生しにくいことも必要な条件であるものの、たとえ高周波焼入れ層にき裂が発生した場合であっても、き裂が母材を進展して破断に至らないことが要求される。
したがって、ラックバーの素材として用いられる鋼材には、
・高い強度、
・高い母材靱性、
・高周波焼入れで生成する硬化層の靱性、
の全てに優れることが要求される。
このようなラックバーに用いられる鋼材として、例えば次のような鋼材が提案されている。
すなわち、特許文献1に、質量%で、C:0.40〜0.60%、Si:0.05〜0.50%、Mn:0.05〜1.50%、およびS:0.004〜0.100%を含有し、さらに他の元素として、Cr:1.5%以下(0%を含まず)、Al:0.0005〜0.10%、およびN:0.002〜0.020%よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有し、さらに必要に応じて、B:0.0005〜0.0020%を、単独でまたはTi:0.005〜0.050%と共に含有し、残部はFeおよび不可避的不純物からなる棒鋼であって、焼入れおよび短時間焼戻しによって、棒鋼の表面から深さD/4(Dは棒鋼の直径を示す)の部分の焼入れ・焼戻し組織が、「焼戻しベイナイト組織と焼戻しマルテンサイト組織が合計で20〜100%(面積百分率)」および「再生パーライト組織が0〜50%(面積百分率)」に調整されている曲げ特性に優れたステアリングラック用鋼が提案されている。このステアリングラック用鋼は、上記化学組成を有する鋼材を圧延し、得られる棒鋼を温度820℃以上に加熱し、水冷にて室温まで制御冷却した後、温度680℃以上の雰囲気温度に加熱した炉に入れて20分以下の短時間焼戻し処理を行い室温まで空冷することによって得ることができるものである。
しかしながら、調質処理はコストアップの原因になる。このため、従来から調質処理を省略することにより、消費エネルギーと製造工数の削減を図ろうとする動きがあり、熱間圧延のままで調質処理した鋼材と同等の強度・靱性を備えた鋼材やその製造方法が種々提案されている。
例えば、特許文献2には、質量%で、C:0.30〜0.50%、Si:0.15〜0.50%、Mn:1.0〜1.65%、S:0.04〜0.1%、V:0.08〜0.2%、Al:0.015〜0.05%、残部が実質的に鉄及び不可避的不純物よりなる鋼材を850〜1000℃の温度に加熱し、800〜950℃の仕上げ温度にて熱間圧延を行った後、この圧延棒鋼を850〜1000℃の温度に再加熱し、800〜950℃の仕上げ温度にて熱間鍛造を行ない、次いで、A3変態点から550℃の間を0.3〜10℃/秒の冷却速度にて冷却することを特徴とする高強度非調質棒鋼の製造方法が提案されている。
特許文献3には、質量%で、C:0.35〜0.70%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.5〜2.0%、Cr:1.5%以下、V:0.2〜1.0%、Al:0.005〜0.05%を含み、さらに必要に応じて、Nb:0.002〜0.05%、Ni:0.2〜1.0%、Cu:0.2〜1.0%、Mo:0.1〜0.5%の1種以上を含有し、残部Fe及び不可避的不純物からなり、フェライト−パーライト組織を備え、10nm超の析出物個数をA、10nm以下の析出物個数をBとしたとき、A/Bが1/20以上である高強度・高靱性非調質鋼が提案されている。この高強度・高靱性非調質鋼は、特許文献3の段落〔0019〕に説明されているとおり、鋼片の加熱温度を800〜930℃、粗圧延後、仕上げ圧延開始温度を780〜930℃とし、圧延後、700〜400℃における平均冷却速度を0.3〜5.0℃/sとして冷却することによって得られるものである。
特許文献4には、セメンタイトを含めた炭化物の体積率が20%以下となる炭素(C)量と、質量%で、Si:0.80%以下、Mn:0.05〜3.0%、Al:0.10%以下を包含する鋼材であり、直径または短辺の長さが5mm以上で、T断面全体において、炭化物とともに平均粒径2μm以下のフェライト粒組織を有することを特徴とする高強度・高靱性棒材が提案されている。この棒材は、さらに、Cu、Ni、Ti、Nb、V、Cr、Mo、W、Ca、REM、Bのうち1種または2種以上を包含することができるものであり、400℃以上Ac3以下の温度域において、鋼材を多パス穴型圧延することによって得られるものである。
特許文献5には、成分組成が、質量%で、0.4<C<2.0%、0.1<Si<1.0%、0.1<Mn<2.0%、P≦0.1%、S≦0.5%、残部がFeおよび不純物元素からなる鋼材を、900℃〜1200℃の温度で30秒以上保持した後、500℃〜700℃に冷却し、この温度で30秒以上保持した後に温間加工を施すことを特徴とする非調質鋼材の製造方法が提案されている。この製造方法によると、フェライトの平均粒径が2.0μm以下、セメンタイトの平均粒径が0.5μm以下、降伏比が0.75以上、シャルピー衝撃値が150J/cm2以上であり、かつ、フェライト・セメンタイトを主とする組織からなる非調質鋼材を得ることができる。
特許文献6には、2%以下のCを含有する鋼をAc1点以上に加熱した後、変形を加える熱間加工において、圧延途中でAr1点以下Ar1−200℃以上の温度域まで冷却し、その後引き続いて圧延で15%以上の塑性変形を加え、それによって発生する変形熱によりAc1点以上Ac3点以下の温度域に到達させる制御圧延パターンを少なくとも2回以上繰り返し球状化組織を得ることを特徴とする棒鋼および線材の製造方法が開示されている。
特許文献7には、2%以下のCを含有する鋼をAc1点以上に加熱した後、変形を加える熱間加工において、圧延途中でAe1点以下であり且つAr1点を超える温度域まで冷却し、その後引き続いて仕上げ圧延により15%以上の塑性変形を加え、それによってパーライトないしはベイナイト変態を促進せしめることにより、これら組織を生成させると同時に、変形熱により再びAc1点以上、Ac3点あるいはAccm点以下の温度域に到達せしめる制御圧延パターンを少なくとも2回繰り返すことを特徴とする球状化組織を有する棒鋼と線材の製造方法が開示されている。
特許文献8には、質量%で、C:0.35〜0.50%、Si:0.1〜0.6%、Mn:0.5〜1.5%、Al:0.005〜0.02%、V:0.05〜0.50%を含み、さらに必要に応じて、Cr:0.60%以下、Mo:0.5%以下、Ni:1%以下、Cu:1%以下、Ti:0.2%以下、Nb:0.10%以下の1種以上を含有し、残部鉄及び不可避的不純物からなり、鋼組織における、フェライト分率が20〜40%、パーライトの平均ラメラー間隔が0.05〜0.20μm、結晶方位差が15°以上の大角粒界で囲まれたフェライトの平均粒径が2〜10μmであるフェライト−パーライト複相組織からなることを特徴とする高強度高靱性非調質棒鋼が提案されている。この非調質棒鋼は、上述の量のCからVまでを含む鋼を、750〜900℃の開始温度で仕上げ圧延し、仕上げ圧延終了後10秒以内に平均冷却速度が10℃/秒以上で急冷を開始して500〜700℃の温度まで冷却し、その後、200℃まで平均冷却速度が0.1〜5℃/秒で冷却することによって得られる。
特開2003−166036号公報 特開昭61−170513号公報 特開2005−281837号公報 特開2000−309850号公報 特開2006−225735号公報 特開昭59−136423号公報 特開昭60−149723号公報 特開2005−133155号公報
上記の特許文献1で提案された技術は、調質処理を施すものであり、前述のようにエネルギーおよび製造工数からコスト面で望ましいものではない。さらに、昨今の地球温暖化対策上の重要な課題である二酸化炭素削減の点からも、調質処理のような熱処理を行うことは望ましいものではない。
特許文献2の非調質棒鋼は0.08%以上のVを、また、特許文献3の非調質鋼は0.2%以上のVを、いずれも必須元素として含有させる必要があるため、昨今の原料価格高騰下の状況においては、高価な元素であるVを用いることからコスト面で望ましい鋼材ではない。さらに、特許文献2の非調質棒鋼および特許文献3の非調質鋼はいずれも、高周波加熱を行った場合には、硬化層の結晶粒の粗大化が生じやすく硬化層の靱性が十分といえるものではない。
特許文献4の実施例には、質量%で、C:0.42%、Si:0.18%、Mn:0.68%、P:0.013%、S:0.006%等のC、Si、Mn、P、Sからなる鋼材を640℃での加熱を繰り返しながら圧延したものが強度と靱性に優れていることが記載されている。しかしながら、このような化学成分の鋼材では、焼入れのために高周波加熱を行った場合であっても、鋼材中の炭化物はマトリックスに容易に固溶してしまうので、硬化層の結晶粒には粗大化が生じやすく、したがって、硬化層に十分な靱性が得られるといえるものではない。
また、特許文献5の実施例には、質量%で、C:0.40%、Si:0.25%、Mn:0.76%、P:0.02%、S:0.03%等のC、Si、Mn、P、Sからなる鋼材を900〜1200℃の温度に加熱し、組織をオーステナイト化した後、500〜700℃に冷却して「フェライトパーライト組織」にした後、温間加工を行ったものが高い降伏比と靱性を有することが記載されている。しかしながら、上記特許文献4におけると同様、このような化学成分の鋼材では、焼入れのために高周波加熱を行った場合であっても、鋼材中のセメンタイトはマトリックスに容易に固溶してしまう。このため、硬化層の結晶粒には粗大化が生じやすく、したがって、硬化層に十分な靱性が得られるといえるものではない。
特許文献6で提案された技術は、冷間鍛造用鋼材の変形抵抗を下げるために行っていた球状化焼鈍の処理時間を大幅に短縮すること、すなわち、軟質な棒鋼や線材の製造方法を提供することを目的としたものである。したがって、特許文献6の方法で製造された棒鋼と線材はいずれも、ラックバーのように熱間圧延鋼材の形状をほぼ保ちながら高周波焼入れして使用するものではないし、特許文献6の発明自体がそもそも、高い強度と母材靱性、さらには、高周波焼入れで生成される硬化層の靱性にも優れる圧延鋼材を得ることを目的とするものではない。
特許文献7で提案された技術も特許文献6の発明と同様に、冷間鍛造用鋼材の変形抵抗を下げるために行っていた球状化焼鈍の処理時間を大幅に短縮すること、すなわち、軟質な棒鋼や線材の製造方法を提供することを目的としたものである。したがって、特許文献7の方法で製造された棒鋼と線材に関しても、ラックバーのように熱間圧延鋼材の形状をほぼ保ちながら高周波焼入れして使用するものではないし、特許文献7の発明自体がそもそも、高い強度と母材靱性、さらには、高周波焼入れで生成される硬化層の靱性にも優れる圧延鋼材を得ることを目的とするものではない。
特許文献8で提案された技術は、パーライトのラメラー間隔を0.05〜0.20μmにすることで高い強度と高い靱性を有することが記載されている。しかし、0.05%以上のVを必須元素として含有させる必要があるため、昨今の原料価格高騰下の状況においては、高価な元素であるVを用いることからコスト面で望ましい鋼材ではない。さらに、このような化学成分の鋼材では、焼入れのために高周波加熱を行った場合、鋼材中の炭化物はマトリックスに容易に固溶してしまうので、硬化層の結晶粒には粗大化が生じやすく、したがって、硬化層に十分な靱性が得られるといえるものではない。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、ラックバーの素材のように高周波焼入れを行って用いられる圧延鋼材とその製造方法を提供すること、より詳しくは、特に高価な元素を必ずしも必要とせず、さらに、調質処理を行わずとも、高い強度および母材靱性が得られ、しかも、高周波焼入れで生成する硬化層の靱性にも優れる高周波焼入れ用圧延鋼材とその製造方法を提供することを目的とする。
なお、本発明の目的とする高い強度および母材靱性とは、それぞれ、圧延鋼材の状態で引張強度が760MPa以上、およびJIS Z 2242(2005)に規定の、ノッチ底半径1mm、ノッチ幅2mmのUノッチ試験片のうちでノッチ深さ2mm(つまり、ノッチ下高さ8mm)の試験片(以下、「2mmUノッチシャルピー衝撃試験片」という。)を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上であることを意味し、また、優れた硬化層の靱性とは後述する試験方法による硬化層のき裂発生強度が、3点曲げ試験で荷重20kN以上であることを意味する。
本発明者らは、前記した課題を解決するために、中炭素鋼材において調質処理を行うことなく高い強度と靱性を得るための手段について種々の実験室的な検討を行った結果、下記の知見を得た。
(A)一般に、強度と靱性とはトレードオフの関係を示し、強度を高く設定しすぎると、靱性の低下が顕著となり、所望の特性が得られない。
(B)フェライトとパーライトとの混合組織において、いわゆる「強度−靱性バランス」を良好にする手段としては、フェライトの微細化が有効であることが知られている。そして、微細フェライト組織を得る方法としては、オーステナイトとフェライトの2相温度領域で熱間圧延を行い、圧延による加工歪によりオーステナイトからの微細なフェライトの析出を促進するとともに、加工歪によりフェライトを動的再結晶させて、フェライトを微細化すればよい。しかし、単にオーステナイトとフェライトの2相温度領域で熱間圧延しただけでは、熱間圧延終了時点で残存したオーステナイトが、冷却中にパーライト変態し、靱性の低いラメラー間隔の大きな層状セメンタイトを形成してしまう。このため、目標とする靱性レベルが得られない。
(C)一方、層状セメンタイトであっても、そのラメラー間隔を十分に小さく、具体的には200nm以下とすれば、目標とする靱性レベルが得られる。そのためには、熱間圧延終了後5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とする、すなわちオーステナイトを過冷すれば、Cの拡散距離を小さくでき、ラメラー間隔を十分に小さくすることができる。
(D)さらに、パーライト中の一部のセメンタイトを球状に析出させることができれば、靱性を一層高めることができる。なお、オーステナイトとフェライトの2相温度域での熱間圧延でオーステナイト中に加工による歪を多数導入した後、過冷することによってそれらを球状セメンタイトの析出サイトとして働かせることで、球状セメンタイトを多数析出させることができる。
(E)ただし、過冷によってベイナイトおよび/またはマルテンサイトが生成すると、逆に靱性を低下させてしまうので、上記の過冷は、熱間圧延終了後5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように行う必要がある。
(F)鋼材の組織が、微細なフェライト、ラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトおよび球状セメンタイトを主体とする場合には、高い強度と優れた靱性を両立させることができる。
(G)Crは、球状セメンタイトを均一微細化させる作用を有するので、Cr含有量を調整した鋼材を、熱間圧延終了後5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却すると、Crを含有する球状セメンタイトが多数析出する。高周波加熱のような短時間の加熱の場合では、このCrを含有する球状セメンタイトはオーステナイト中に固溶しにくい。このため、上述の球状セメンタイトはTiNとともにピンニング粒子として、高周波加熱時のオーステナイト粒の粒成長を抑制する結果、高周波焼入れ層の靱性が高まり、高周波焼入れ層におけるき裂の発生をも抑制することができる。
(H)鋼材にBを含有することで、高周波焼入れ時の焼入れ性を向上させ、かつ高周波加熱時のオーステナイトの粒界にPおよびSが偏析することを抑制することができる。その結果として高周波焼入れ層の靱性が一層高まり、高周波焼入れ層におけるき裂の発生をさらに抑制することができる。
(I)上記のような組織を有する鋼材において、固溶強化と析出強化によって適度な強化を図ることにより、引張強度が760MPa以上で、2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上で、後述する試験方法による硬化層のき裂発生強度が、3点曲げ試験で荷重20kN以上という目標特性を達成することができる。
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記[1]〜[3]に示す高周波焼入れ用圧延鋼材および[4]に示す高周波焼入れ用圧延鋼材の製造方法にある。
[1]質量%で、C:0.38〜0.55%、Si:1.0%以下、Mn:0.20〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.10%以下、Cr:0.10〜2.0%、Al:0.10%以下、B:0.0005〜0.0030%、N:0.008%以下およびTi:0.047%以下(但し、3.4N≦Ti≦3.4N+0.02%)を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記の(1)式で表されるfn1の値が1.20以下である化学成分を有し、ミクロ組織がフェライト、ラメラーパーライトおよび球状セメンタイトからなり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であり、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20〜50%であり、かつ、球状セメンタイトの個数が4×10個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入れ用圧延鋼材。
fn1=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S・・・(1)
ただし、上記(1)式中の、C、Si、Mn、Cr、V、Sは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。また、上記球状セメンタイトとは、長径Lと短径Wの比(L/W)が2.0以下であるセメンタイトを指す。
[2]化学成分が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:3.0%以下およびMo:0.50%以下のうちの1種以上の元素を含有することを特徴とする上記[1]に記載の高周波焼入れ用圧延鋼材。
[3]化学成分が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.10%以下およびV:0.30%以下のうちの1種以上の元素を含有することを特徴とする上記[1]または[2]に記載の高周波焼入れ用圧延鋼材。
[4]上記[1]から[3]までのいずれかに記載の化学成分を有する被圧延材を、670〜850℃の温度域に加熱した後、2以上の圧延工程を備える全連続式熱間圧延方法により圧延し、さらに、最終圧延工程における圧延を終了した後、5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却して、
フェライト、ラメラーパーライトおよび球状セメンタイトからなり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であり、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20〜50%であり、かつ、球状セメンタイトの個数が4×10 個/mm 以上であるミクロ組織を有する高周波焼入れ用圧延鋼材製造する方法であって、
該全連続式熱間圧延方法が、下記の〔1〕および〔2〕を満足することを特徴とする高周波焼入れ用圧延鋼材の製造方法。
〔1〕各圧延工程中の被圧延材の表面温度が、650〜820℃の温度範囲内であること、
〔2〕総減面率が30%以上であること。
なお、「3.4N」は質量%でのN含有量の3.4倍を示す。
残部としての「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に、鉱石あるいはスクラップ等のような原料を始めとして、製造工程の種々の要因によって混入するものを指す。
「球状セメンタイト」とは、長径Lと短径Wの比(L/W)が2.0以下であるセメンタイトを指す。
「全連続式熱間圧延方法」とは、例えば、「粗圧延機列−仕上げ圧延機列」や「粗圧延機列−中間圧延機列−仕上げ圧延機列」のような、2以上の圧延機列からなるタンデムミルを用いた圧延ラインにおいて、圧延機列間で被圧延材を放置することができない方法を指す。なお、上記において各圧延機列は複数台の圧延機から構成される場合だけではなく、1台の圧延機で構成されているものをも含む。
「総減面率」とは、全連続式熱間圧延方法における被圧延材の圧延前の断面積をA0、最終の圧延機を出た後の面積をAfとした場合に、{(A0−Af)/A0}×100で求められる値(%)を指す。
なお、以下、ラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトを「微細ラメラーパーライト」、またラメラー間隔が200nmを超えるラメラーパーライトを「粗大ラメラーパーライト」という場合がある。
本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材は、必ずしも高価なVを含有させる必要がなく、しかも、調質処理を行わずとも、圧延鋼材の状態で引張強度が760MPa以上、および2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上という特性を有し、さらに、高周波焼入れの際に粒成長が起こりにくいため硬化層の靱性にも優れるので、高周波焼入れを行って用いられる曲げ強度および衝撃特性が要求されるラックバー等の部品の素材として用いるのに好適である。この高周波焼入れ用圧延鋼材は、本発明の方法によって製造することができる。
高周波焼入れで生成した硬化層の靱性調査のために実施例で行った3点曲げ試験について説明する図である。
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、以下の説明における各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
1.化学成分:
C:0.38〜0.55%
Cは、鋼の強度、高周波焼入れ性および高周波焼入れで形成された硬化層の強度を向上させる作用を有する。しかしながら、その含有量が0.38%未満では、所望の効果が得られない。一方、Cの含有量が0.55%を超えると、母材靱性が低下するとともに、高周波焼入れで形成された硬化層が脆化する。したがって、Cの含有量を0.38〜0.55%とした。なお、前記の効果を安定して得るために、Cの含有量は0.40%以上、0.50%以下とすることが好ましい。
Si:1.0%以下
Siは、脱酸元素であり、さらに、固溶強化によってフェライトの強度を向上させる元素である。一方、Siは、含有量の増加に伴ってA3変態点を上昇させ、高周波焼入れ性および高周波焼入れで形成された硬化層の強度を低下させる元素でもある。そして、含有量の増加に伴ってA3変態点が上昇するため、加熱あるいは熱間圧延後の冷却過程で脱炭が生じやすいオーステナイトとフェライトが主たる構成相となる温度領域が広がるため、Siの含有量が高い鋼材では脱炭が生じやすくなる。特に、Siの含有量が1.0%を超える場合には、脱酸効果および固溶強化は期待できるものの、熱間圧延後の脱炭が生じやすくなって、高周波焼入れで生成する硬化層の靱性が低下する。したがって、Siの含有量を1.0%以下とした。なお、Si含有量は0.8%以下とすることが好ましい。一方、前記したSiの固溶強化作用を利用して強度確保を確実に行うためには、Siの含有量は0.03%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすれば一層好ましい。
Mn:0.20〜2.0%
Mnは、高周波焼入れ性および高周波焼入れで形成された硬化層の靱性を向上させるのに有効な元素であるとともに、固溶強化によってフェライトの強度を向上させる元素である。しかしながら、Mnの含有量が0.20%未満の場合、所望の効果が得られない。一方、2.0%を超えてMnを含有させると、最終圧延後の冷却時にベイナイトを生成しやすくなり、靱性の劣化を招く。したがって、Mnの含有量を0.20〜2.0%とした。なお、合金コストを低く抑えたうえで前記の効果を安定して得るために、Mnの含有量は0.40%以上、1.50%以下とすることが好ましい。
P:0.020%以下
Pは、不純物として含有され、粒界偏析および中心偏析を起こし、母材靱性および高周波焼入れで生成する硬化層の靱性の低下を招き、特に、その含有量が0.020%を超えると、母材靱性および高周波焼入れで生成する硬化層の靱性低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を、0.020%以下とした。なお、Pの含有量は、0.010%以下にするのが好ましい。
S:0.10%以下
Sは、不純物として含有される。なお、Sを積極的に含有させるとMnと結合してMnSを形成し、被削性、なかでも切り屑処理性を高める作用を有するが、MnSを多く形成しすぎると、被削性は改善できても、母材靱性および高周波焼入れで生成する硬化層の靱性の低下を招き、特に、Sの含有量が0.10%を超えると、母材靱性および高周波焼入れで生成する硬化層の靱性低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を、0.10%以下とした。なお、Sの含有量は0.08%以下とすることが好ましい。一方、被削性を高める観点からは、Sは0.010%以上を含有させることが好ましく、0.015%以上含有させればより好ましい。
Cr:0.10〜2.0%
Crは、熱間圧延鋼材において球状セメンタイトを均一微細化させるために必要不可欠な元素である。さらに、Crは高周波焼入れ性を向上させる作用も有する。これらの効果はCrの含有量が0.10%以上で発揮される。しかしながら、Crの含有量が2.0%を超えると、前記した球状セメンタイトの均一微細化および高周波焼入れ性向上効果が飽和するうえに、母材靱性の低下が生じる。したがって、Crの含有量を0.10〜2.0%とした。なお、Crの含有量は0.20%以上、1.8%以下とすることが好ましい。
Al:0.10%以下
Alは、不純物として混入する元素である。また、Alは、脱酸のために添加する場合がある。しかしながら、Alは、A3変態点を上昇させ、高周波焼入れ性の低下を招く。特に、Alの含有量が0.10%を超える場合には、高周波焼入れ性の低下が著しくなり、さらに、母材靱性の劣化も招く。したがって、Alの含有量の上限を0.10%とした。なお、Alの含有量は0.08%以下とすることが好ましい。一方、AlNの脱酸効果を得るためにはAlの含有量は0.005%以上とすることが好ましい。
B:0.0005〜0.0030%
Bは、オーステナイトとフェライトが主たる構成相となる温度領域について、その上限値を高温側にシフトさせ、かつ、高周波焼入れ性を向上させる作用、さらには高周波焼入れ時のオーステナイト粒界におけるPおよびSの偏析を抑制する作用を有する。上記の効果はBの含有量が0.0005%以上で顕著である。しかしながら、0.0030%を超えてBを含有させても前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、Bの含有量を0.0005〜0.0030%とした。Bの含有量は0.0010%以上、0.0020%以下とすることが好ましい。
なお、上記した範囲の量のBを含有する場合であっても、Bが鋼中のNと結合してBNを形成し、いわゆる「固溶B」として存在しない場合には、上述した効果が期待できない。したがって、Bの高周波焼入れ性を向上する効果、ならびに高周波焼入れ時のオーステナイト粒界におけるPおよびSの偏析を抑制する効果を発揮させるためには、鋼中のN量を低減する必要がある。
N:0.008%以下
Nは、Bとの親和力が大きく、鋼中のBと結合してBNを形成した場合には、Bを含有させたことによる、オーステナイトとフェライトが主たる構成相となる温度領域の上限値を高温側にシフトさせる効果、高周波焼入れ性の向上効果、ならびに高周波焼入れ時のオーステナイト粒界におけるPおよびSの偏析を抑制する効果が期待できない。特に、Nの含有量が多くなって0.008%を超えると、上記効果が得られない。したがって、Nの含有量を、0.008%以下とした。なお、鋼中のNの含有量は可能な限り低減することが好ましい。
Ti:0.047%以下
Tiは、鋼中のNと優先的に結合することでBNの形成を抑制し、Bを固溶Bとして存在させて、Bのオーステナイトとフェライトが主たる構成相となる温度領域の上限値を高温側にシフトさせる効果、Bの高周波焼入れ性向上効果ならびに高周波焼入れ時のオーステナイト粒界におけるPおよびSの偏析抑制効果を確保するのに有効な元素である。しかしながら、Tiの含有量が多すぎる場合、Tiが鋼中のCと結合して炭化物を形成して鋼中の固溶C量が減少しフェライトの割合が多くなるので、却って高周波焼入れ性の低下を招き、さらに、高周波焼入れされた硬化層の靱性の低下をも招く。特に、Tiの含有量が多くなって、0.047%を超えると、高周波焼入れ性の低下および上記硬化層の靱性の著しい低下をきたす。したがって、Tiの含有量を、0.047%以下とした。
3.4N≦Ti≦3.4N+0.02%
NおよびTiの含有量がたとえ上述した範囲にあっても、Tiの含有量が〔3.4N〕未満の場合には、鋼中のNの固定が不十分となってNがBと結合してBNを形成するので、上記したBの効果を十分に発現することができない。一方、Tiの含有量が〔3.4N+0.02%〕を超えると、高周波焼入れ性の低下および高周波焼入れされた硬化層の靱性低下が避けられない。したがって、TiとNの含有量について、3.4N≦Ti≦3.4N+0.02%とした。
fn1の値:1.20以下
本発明においては、fn1の値、つまり、
fn1=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S・・・(1)
の式で表される値が大きくなりすぎると、過度に強化されるため、母材靱性の低下を招くことになる。本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材は、後述するように「微細なフェライト、ミクロ組織に占める面積割合が20〜50%の微細ラメラーパーライト(つまり、ラメラー間隔が200nm以下であるラメラーパーライト)を含むラメラーパーライトおよび球状セメンタイト」で構成されるミクロ組織にすることで優れた「強度−靱性バランス」を確保するが、たとえこのようなミクロ組織を得ることができた場合でも、fn1の値が1.20を超えると目標とする母材靱性(2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上)を得ることができない。したがって、上記(1)で表わされるfn1の値を1.20以下とした。
fn1の値は1.10以下とすることが好ましい。また、fn1の値は、強度を確保する点から、0.65以上とすることが好ましい。
本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材の一つは、上記元素のほか、残部がFeおよび不純物からなる化学成分を有するものである。なお、既に述べたように、「Feおよび不純物」における「不純物」とは、鉄鋼材料を工業的に製造する際に原料としての鉱石もしくはスクラップまたは環境等から混入するものを指す。
本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材の化学成分の別の一つは、Feの一部に代えて、下記第1群および第2群の中から選ばれた1種以上の元素、すなわち、下記第1群および第2群のグループのうちの元素の1種以上を任意元素として含有する化学成分であってもよい。
第1群:Cu:1.0%以下、Ni:3.0%以下およびMo:0.50%以下
第1群の元素であるCu、NiおよびMoは、高周波焼入れ性を向上させ、強度を高める作用を有するので、この効果を得るために、それぞれ、上記の範囲で含有させてもよい。以下、第1群の元素について詳しく説明する。
Cu:1.0%以下
Cuは、CおよびMnと同様に、高周波焼入れ性を向上させ、強度を高める作用を有するので、高強度化のためにCuを含有してもよい。しかしながら、Cuの含有量が1.0%を超えると熱間加工性を劣化させる。したがって、含有させる場合のCuの量を1.0%以下とした。なお、含有させる場合のCuの量は0.80%以下とすることが好ましい。
一方、前記したCuの強度向上効果を確実に得るためには、Cuの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすれば一層好ましい。
Ni:3.0%以下
Niは、CおよびMnと同様に、高周波焼入れ性を向上させ、強度を高める作用を有するので、高強度化のためにNiを含有してもよい。しかしながら、Niの含有量が3.0%を超えるとその効果が飽和するので、コストが嵩むばかりである。したがって、含有させる場合のNiの量を3.0%以下とした。なお、含有させる場合のNiの量は2.0%以下とすることが好ましい。
一方、前記したNiの強度向上効果を確実に得るためには、Niの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすれば一層好ましい。
Mo:0.50%以下
Moは、CおよびMnと同様に、高周波焼入れ性を向上させ、強度を高める作用を有するので、高強度化のためにMoを含有してもよい。しかしながら、Moの含有量が0.50%を超えた場合、前記の効果は飽和し、コストが嵩むばかりである。したがって、含有させる場合のMoの量を0.50%以下とした。なお、含有させる場合のMoの量は0.40%以下とすることが好ましい。
一方、前記したMoの強度向上効果を安定して得るためには、Moの含有量は0.05%以上とすることが好ましく、0.10%以上とすれば一層好ましい。
上記のCu、NiおよびMoは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種以上の複合で含有させることができる。なお、含有させる場合のこれらの元素の合計量は4.50%以下であってもよいが、3.20%以下とすることが好ましい。
第2群:Nb:0.10%以下およびV:0.30%以下
第2群の元素であるNbおよびVは、結晶粒微細化作用を有するので、この効果を得るために、それぞれ、上記の範囲で含有させてもよい。以下、第2群の元素について詳しく説明する。
Nb:0.10%以下
Nbは、鋼中に析出物を形成し、結晶粒を微細化する作用を有する。また、Nbには、鋼の強度を向上させる作用もある。しかしながら、Nbの含有量が0.10%を超えるとその効果が飽和し、コストが嵩むのみならず、靱性の低下を招く。このため、含有させる場合のNbの量を0.10%以下とした。なお、含有させる場合のNbの量は0.08%以下とすることが好ましい。
一方、Nbの結晶粒微細化効果を安定して得るためには、Nbの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.015%以上とすれば一層好ましい。
V:0.30%以下
Vは、鋼中に析出物を形成し、結晶粒を微細化する作用を有する。また、Vには、鋼の強度を向上させる作用もある。しかしながら、Vの含有量が0.30%を超えるとその効果が飽和し、コストが嵩むのみならず、靱性の低下を招く。このため、含有させる場合のVの量を0.30%以下とした。なお、含有させる場合のVの量は0.25%以下とすることが好ましい。
一方、Vの結晶粒微細化効果を安定して得るためには、Vの含有量は0.01%以上とすることが好ましく、0.02%以上とすれば一層好ましい。
上記のNbおよびVは、そのうちのいずれか1種のみ、または、2種の複合で含有させることができる。なお、含有させる場合のこれらの元素の合計量は0.40%以下であってもよいが、0.33%以下とすることが好ましい。
上記CuからVまでの任意元素を含有する化学成分の鋼材においても、前記の(1)式で表されるfn1の値が1.20以下である必要がある。
2.ミクロ組織:
前項で述べた化学成分を有する本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材のミクロ組織は、フェライト、ラメラーパーライトおよび球状セメンタイトからなり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライト(すなわち、微細ラメラーパーライト)のミクロ組織に占める面積割合が20〜50%および球状セメンタイトの個数が4×105個/mm2以上でなければならない。
これは、化学成分に加えて、鋼材のミクロ組織を上記のものとすることによって、調質処理を行わずとも、高い強度と母材靱性を有し、高周波焼入れで生成する硬化層の靱性をも向上することができるからである。
本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材においては、ラメラーパーライトのうちの微細ラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20%を下回る場合には、目標とする強度が得られない。一方、上記微細ラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が50%を超えた場合には、母材靱性の低下を招く。したがって、ラメラーパーライトのうちの微細ラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20〜50%と規定した。
なお、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nmを超えるラメラーパーライト、すなわち、粗大ラメラーパーライトは強度および母材靱性の劣化を招くおそれがある。このため、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nmを超えるラメラーパーライトがミクロ組織に占める面積割合は20%以下であることが望ましい。
また、ラメラー間隔を問わず、ラメラーパーライトがミクロ組織に占める面積割合は、50%以下であることが望ましい。なお、ラメラー間隔は小さいほどよいが、パーライト変態により得られる限界のラメラー間隔は50nm程度である。
さらに、フェライトの平均結晶粒径が10μmを超えた場合には、目標とする強度と母材靱性を得ることが困難である。したがって、フェライトの平均結晶粒径を10μm以下とした。なお、フェライトの平均結晶粒径は、極力小さい方が結晶粒微細化による強化を図るうえで好ましいが、サブミクロンオーダーの結晶粒を形成するには、特殊な加工条件あるいは設備が必要となり工業的に実現することが困難である。したがって、工業上実現しうるサイズとして、フェライトの平均結晶粒径は1μm程度である。
一方、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合およびフェライトの平均結晶粒径が上記の条件を満たす場合、単位面積あたりの球状セメンタイトが高周波焼入れ時の硬化層部の靱性に影響を及ぼす。
つまり、本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材はCrを含有しており、セメンタイト中には0.5%程度のCrが固溶しており、このようなCrを固溶するセメンタイトは高周波焼入れ時の短時間の加熱ではマトリックスに固溶しにくく、結晶粒成長のピンニング効果を有する。しかしながら、球状セメンタイトの個数が4×105個/mm2より少ない場合には、高周波焼入れ時の硬化層における結晶粒成長の抑制効果が十分発揮できず、目標とする硬化層の靱性が得られない。したがって、球状セメンタイトの個数を4×105個/mm2以上と規定した。なお、球状セメンタイトの個数は多いほど好ましいが、実質的には5×107個/mm2程度である。
既に述べたように、「球状セメンタイト」とは、長径Lと短径Wの比(L/W)が2.0以下であるセメンタイトを指し、単位面積あたりの球状セメンタイトの個数については、以下の方法によって算出することができる。
先ず、圧延鋼材の中心軸を通り、圧延方向に平行に切り出した断面(以下、「縦断面」という。)が被検面になるように樹脂に埋め込み、鏡面研磨した後、ピクリン酸アルコール(ピクラル液)で腐食して、倍率を5000倍として走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて10視野についてミクロ組織画像を撮影する。このとき、各視野の面積は25μm×20μmである。
そして次に、上記の撮影画像を用いて、画像処理ソフトによって各セメンタイトの長径Lと短径Wとを個々に測定し、L/Wが2.0を超えるものはラメラーを形成しているため、L/Wが2.0以下であるセメンタイト、つまり、球状セメンタイトの個数をカウントして、最終的に面積1mm2あたりの球状セメンタイトの個数(個/mm2)として算出する。
なお、セメンタイト中に固溶しているCr量は、電解抽出残渣から算出することができる。例えば、10%AA系電解液(10%アセチルアセトン、1%テトラアンモニウムクロライド−メタノール)を用いて電解し、0.2μmのフィルターで残渣を採取し、次に、採取された残渣の質量を測定するとともに、酸分解処理後、ICP−AES(高周波誘導結合プラズマ原子分光分析)を行って、残渣中のFe、Cr、Mnの質量を測定する。そして、残渣がすべてM3C型の炭化物、つまり、セメンタイトであると仮定してセメンタイト中の質量を算出すれば、最終的にセメンタイト中に固溶しているCr量を算出することができる。この方法で本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材のセメンタイト中には前述した0.5%程度のCrが固溶していることが判明した。
3.高周波焼入れ用圧延鋼材の製造方法:
前項で述べた本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材のミクロ組織は、例えば、既に述べた化学成分を有する被圧延材を、次に述べる圧延方法で熱間圧延し、冷却することによって容易に得ることができる。
なお、熱間圧延方法としては、2以上の圧延工程を備える全連続式熱間圧延方法が、本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材を工業的に製造するのに適している。このため、以下の説明は、上述した全連続式熱間圧延方法による圧延(以下、「全連続式熱間圧延」ということがある。)をベースにして行うこととする。
3.1.加熱条件:
既に述べた化学成分を有する被圧延材を、オーステナイトとフェライトが主たる構成相となる670〜850℃の温度域に加熱した後、全連続式熱間圧延を開始する。
上記の加熱により、被圧延材中、すなわち全連続式熱間圧延により所定の形状に加工する前の鋼材中に存在していたパーライトを構成するセメンタイト中のCr濃度を高めることができ、オーステナイトのマトリックス中に安定なセメンタイトを一部残存させることができる。さらに、このような初期組織にすることにより、圧延による加工歪によりオーステナイトからの微細なフェライトの析出を促進するとともに、加工歪によりフェライトを動的再結晶させて、フェライトを微細化させることができる。
上記のオーステナイト中に残存したセメンタイトは、全連続式熱間圧延過程で、加工誘起セメンタイトの析出サイトとなるため、球状セメンタイトの析出を促進させることができる。
なお、熱間圧延前に行う、上記の670〜850℃という温度域での加熱においては、被圧延材(素材)の温度を所定の領域まで上昇させるだけではなく、素材の断面内温度を均一にするために、長時間にわたる加熱処理が行われることがあり、この場合には、素材表面にフェライト脱炭が生じることがある。したがって、上記フェライト脱炭を抑止するために、上記温度域での加熱時間は3時間以下とすることが好ましい。
3.2.加熱後の全連続式熱間圧延条件:
高周波焼入れ用圧延鋼材のミクロ組織を所望のものとするためには、既に述べた化学成分を有する被圧延材を、前記「3.1.」項に記載した条件で加熱した後、2以上の圧延工程を備える全連続式熱間圧延方法により圧延を行うに際して、当該全連続式熱間圧延方法が、下記の条件〔1〕および〔2〕を満たすようにするのがよい。
〔1〕各圧延工程中の被圧延材の表面温度が、650〜820℃の温度範囲内であること、
〔2〕総減面率が30%以上であること。
これは、全連続式熱間圧延における温度を制御し、加えて、該圧延による総減面率を特定の値以上にして、オーステナイトからのフェライトの加工誘起析出を促進させることによって、微細なフェライトを形成させるだけなく、フェライト中に多数の加工ひずみを導入して再結晶を促し、かつオーステナイト中に加工誘起球状セメンタイトの析出を促進させるようにするためである。
上述の効果は、オーステナイトとフェライトが主たる構成相として保持された状態で発現でき、このためには、先ず、全連続式熱間圧延における各圧延工程中の被圧延材の表面温度を820℃以下とするのがよい。
各圧延工程中の被圧延材の表面温度が820℃を超える場合には、該熱間圧延で導入された転位は、オーステナイトの回復再結晶に伴い容易に消失してしまうので、セメンタイトが十分に加工誘起析出できず、前記の効果が得難くなる。
一方、各圧延工程中の被圧延材の表面温度が650℃より低い場合には、多くの転位を導入できるものの、その温度で保持されることによって、オーステナイトがパーライト変態を開始してしまう。そのため後述する全連続式熱間圧延終了後の冷却により微細ラメラーパーライトを生成させることができないばかりか、変形抵抗が極めて大きい相である粗大ラメラーパーライトを加工することになるので、ミル負荷が極めて増大してしまう。したがって、各圧延工程中の被圧延材の表面温度は650℃以上とするのがよい。
なお、全連続式熱間圧延方法の場合には、圧延に伴う加工発熱のために被圧延材の中心部の温度が上昇してしまうが、その場合であっても、最初の圧延工程から最後の圧延工程までの間に1以上の中間冷却工程を設け、連続圧延の途中段階で中間冷却を行うことによって、被圧延材の中心部温度を所望の温度に制御して、主たる構成相をオーステナイトとフェライトとなる状態を維持することができる。
一方、全連続式熱間圧延の途中段階で中間冷却を行う場合に、被圧延材の表面温度が低下しすぎると、当該冷却途中あるいは当該冷却終了後に前記の主たる構成相であるオーステナイトとフェライトにおけるオーステナイトがパーライト変態を開始し、その後の圧延で当該パーライトを加工することになってしまう。この場合には、パーライト組織を構成する層状セメンタイトの一部はわずかに分断されるものの、セメンタイトのアスペクト比はあまり小さくはならないし、パーライトの変形抵抗は極めて大きいので、ミル負荷が極めて増大してしまう。さらに、被圧延材の温度がより低下すると、前記オーステナイトがベイナイト、マルテンサイトといった硬質相に変態することとなる。硬質相への変態が生じると、該硬質相が圧延加工されることになるので、圧延途中で被圧延材の表面に割れが生じてしまう。
しかしながら、水冷などによる中間冷却工程中に、被圧延材の表面温度が650℃を一時的に下回っても、オーステナイトは直ちにパーライト変態を開始するわけではない。中間冷却工程において、冷却開始から冷却終了後被圧延材の表面温度が650℃以上の温度に復熱するまでの時間Δtが実質的に10sを超えなければ、オーステナイトは前記変態を開始しない。そして、全連続式熱間圧延の途中段階での中間冷却によって被圧延材の表面が、「過冷状態」、すなわち温度低下した場合であっても、続く圧延工程開始時の被圧延材の表面温度が650℃以上に復熱しておれば、被圧延材の表面の組織をオーステナイトとフェライトが主たる構成相となる状態のままにすることができる。
したがって、全連続式熱間圧延における各圧延工程中の被圧延材の表面温度は、前記の条件〔1〕、つまり、「650〜820℃の範囲内であること」を満たすようにするのがよい。
前記各圧延工程中の被圧延材の表面温度が650〜820℃の温度範囲にあっても、圧延加工による変形が進行した場合には、主たる構成相を安定してオーステナイトとフェライトの状態に維持し難くなる場合がある。このため、2以上の圧延機列において、特に後段側の圧延機列、例えば、「粗圧延機列−仕上げ圧延機列」の場合における「仕上げ圧延機列」、あるいは、「粗圧延機列−中間圧延機列−仕上げ圧延機列」の場合における「中間圧延機列」および「仕上げ圧延機列」においては、安定かつ確実にオーステナイトとフェライトを主たる構成相として維持するために、圧延工程中の被圧延材の表面温度は、650〜800℃であることが好ましい。
フェライトの結晶粒微細化、さらには、球状セメンタイトの分散と圧延工程でのパーライト変態の抑制をより安定して行うためには、上述の2以上の圧延機列における後段側の圧延機列での圧延工程中の被圧延材の表面温度は、650〜780℃であることがさらに好ましい。
前記の条件〔1〕を満足していても、全連続式熱間圧延における総減面率が30%未満の場合には、加工に伴う転位の導入が不十分であるため、オーステナイトからの加工誘起フェライト析出させることができず、また、加工誘起球状セメンタイトを十分に析出させることができないことがある。
上記の理由から、総減面率が前記の条件〔2〕、つまり、「30%以上」も満たすようにするのがよい。
なお、全連続式熱間圧延における総減面率は、加工誘起析出によりオーステナイトから安定して微細なフェライトを析出させ、かつオーステナイトに十分な加工歪を導入する理由から、60%以上であることが好ましい。全連続式熱間圧延における総減面率の上限は、総減面率を極端に大きくすると、仕上げ圧延機に近づくにつれて、圧延速度が増加し、加工発熱が生じ、加工発熱の抑制のため、冷却設備あるいは圧延レイアウトの大幅な延長、増設が必要となる理由から、99.5%程度となる。
3.3.全連続式熱間圧延終了後の最終冷却条件:
高周波焼入れ用圧延鋼材のミクロ組織を所望のものとするためには、既に述べた化学成分を有する被圧延材を、前記「3.1.」項に記載した条件で加熱した後、前記「3.2.」項に記載した条件で全連続式熱間圧延を行って所定の形状にした後、5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却するのがよい。
全連続式熱間圧延終了後、つまり、最終圧延工程における圧延を終了した後、5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とすることで、最終圧延工程後のオーステナイトが過冷オーステナイトとなり、その後の復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となることで、平衡状態でのA1点(約720℃)と上記復熱温度の差であるいわゆる「過冷度」により、ラメラー間隔が200nm以下の微細ラメラーパーライトを生成させることができるだけでなく、加工により歪が導入されたオーステナイトから球状セメンタイトを析出させることができる。さらに、上記復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却することは、ベイナイトの生成を抑制することになるとともに、球状セメンタイト中にCrが拡散して球状セメンタイトを安定にすることにもなる。
上記最終圧延工程が終了した後、鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とする時間が5sを超えた場合、すなわち、最終圧延工程が終了した後5s以内に鋼材表面温度が600℃以下にならない場合、最終圧延工程後のオーステナイトが過冷オーステナイトとならず、その後に復熱によって鋼材表面温度が500〜700℃の範囲になったとしても、微細ラメラーパーライトを生成させることができない。一方、上記最終圧延工程における圧延を終了した後、5s以内に鋼材表面温度をMs点以下にした場合には、マルテンサイトが生成することになって微細ラメラーパーライトが得られない。
なお、上記5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度としても、その後、復熱により鋼材表面温度が500℃を下回った場合には、ベイナイトが生成するため、母材靱性の低下を生じてしまう。また、上記5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度としても、その後、複熱により鋼材表面温度が700℃を上回った場合には、生成した微細ラメラーパーライトが逆変態してしまい、所望のミクロ組織が得られなくなる。したがって、最終圧延工程における圧延を終了した後、5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却するのがよい。
なお、上述の5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却した後で室温まで冷却する条件は特に規定するに及ばない。このため、製造設備、生産性等を勘案して、例えば、空冷(放冷)、強制風冷やミスト冷却などから適宜決定すればよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明する。
表1に示す化学成分を有する鋼A〜Vからなる角ビレット(160mm角で長さが10m)を準備した。
上記の鋼のうち、鋼A〜Kは化学成分が本発明で規定する範囲内にある鋼である。一方、鋼L〜Vは化学成分が本発明で規定する範囲から外れた比較例の鋼である。
なお、表1には、各鋼についてMs点も併記した。
Figure 0005459062
前記の角ビレットを、下記の各圧延機列の間に冷却設備を備えた全連続式熱間圧延ラインによって、表2に試験番号1〜28として示した条件で「総減面率」が95.1%の熱間圧延を行い、直径40mmの棒鋼に加工した。
・粗圧延機列:6台の圧延機で構成、
・第一中間圧延機列:2台の圧延機で構成、
・第二中間圧延機列:4台の圧延機で構成、
・仕上げ圧延機列:2台の圧延機で構成。
なお、放射温度計を用いて圧延時の被圧延材の表面温度および連続圧延終了後の冷却過程での被圧延材の表面温度を測定した。そして、圧延および冷却の各段階での被圧延材の表面部および中心部の温度履歴について、前記の放射温度計で測定した表面温度測定値、各中間冷却設備における冷却条件、各中間冷却設備を出た後の大気中での冷却条件および圧延条件を考慮して、差分法による数値解析を行った。
連続圧延終了後、つまり、仕上げ圧延機列の2台目の圧延機による圧延を終了した後、水冷設備を用いて水量によって冷却速度を制御し、試験番号1〜27について、5s以内に鋼材表面温度が600℃以下でMs点を超える温度となるように冷却した。なお、試験番号27については、試験番号1〜26よりも冷却水量を増し、強冷却した。水冷設備を出た後の被圧延材は、復熱により鋼材表面温度が上昇した。試験番号28については、最終圧延後水冷せずそのまま大気中での放冷とした。
なお、表2において粗圧延機列、第一中間圧延機列、第二中間圧延機列および仕上げ圧延機列をそれぞれ、「粗列」、「第一中間列」、「第二中間列」および「仕上列」と表記し、粗圧延機列と第一中間圧延機列との間の冷却設備を「冷却設備1」、第一中間圧延機列と第二中間圧延機列との間の冷却設備を「冷却設備2」、また、第二中間圧延機列と仕上げ圧延機列の間の冷却設備を「冷却設備3」と表記した。また、試験番号1〜27における最終圧延後の「冷却終了時間」は水冷設備による水冷時間、「冷却後温度」は水冷終了直後の温度、「復熱後温度」は復熱によって到達した最高温度である。一方、最終圧延後に水冷せずそのまま大気中での放冷とした試験番号28における「冷却後温度」は放冷後5s経過後の温度である。
なお、表2に記載の圧延開始温度、入側温度、出側温度、圧延終了温度ならびに、最終圧延後の冷却後温度および復熱後温度は、放射温度計を用いて測定した被圧延材の表面温度であり、中間冷却工程において、冷却開始から冷却終了後被圧延材の表面温度が650℃以上に復熱するまでの時間Δtは、放射温度計で測定した表面温度測定値、各中間冷却設備における冷却条件、各中間冷却設備を出た後の大気中での冷却条件および圧延条件を考慮して、差分法による数値解析によって求めた被圧延材表面の温度履歴から算出して記載したものである。
Figure 0005459062
さらに、上記のようにして得た各棒鋼について、次に示す方法で、ミクロ組織、セメンタイト中に固溶しているCr量、引張特性、衝撃特性および高周波焼入れで生成した硬化層の靱性を調査した。
ミクロ組織調査は次のようにして実施した。
すなわち、先ず、直径40mmの各棒鋼から長さが20mmの試験片を切り出し、これらの試験片の縦断面が被検面になるように樹脂に埋め込み、鏡面研磨した後、3%硝酸アルコール(ナイタル液)で腐食してミクロ組織を現出させ、各棒鋼のR/2(「R」は棒鋼の半径を表す。)の部位を光学顕微鏡あるいはSEMで観察を行い、ミクロ組織を構成している相の識別を行った。
ミクロ組織を構成している相が、フェライト、ラメラーパーライトおよびセメンタイトからなる場合には、再度鏡面研磨した後、ピクリン酸アルコール(ピクラル液)で腐食して、倍率を5000倍としてSEMを用いて10視野についてミクロ組織画像を撮影した。なお、各視野の面積は25μm×20μmである。
次に、上記の撮影画像を用いて、画像処理ソフトによってフェライトの平均結晶粒径を求めるとともに、各セメンタイトの長径Lと短径Wとを個々に測定し、L/Wが2.0以下であるセメンタイト、つまり、球状セメンタイトの個数をカウントして、最終的に面積1mm2あたりの球状セメンタイトの個数(個/mm2)を算出した。また、ラメラーパーライトについては、各パーライト毎に粒径とラメラー数を測定し、計算によってラメラー間隔の平均値λを求め、λが200nm以下である微細ラメラーパーライトおよびλが200nmより大きい粗大ラメラーパーライトに区分し、画像処理ソフトによって、それぞれのラメラーパーライトがミクロ組織に占める面積割合を求めた。
セメンタイト中に固溶しているCr量は、10%AA系電解液を用いて電解を行い、その抽出残渣から既に述べた方法によって算出した。
引張特性は、直径40mmの各棒鋼のR/2の部位が試験片の中心軸となるように、JIS Z 2201(1998)に規定される14A号試験片(ただし、平行部直径:7mm)を採取し、標点距離を35mmとして室温で引張試験を実施し、引張強度(MPa)を求めた。
衝撃特性は、引張試験片と同様に、直径40mmの各棒鋼のR/2の部位が試験片の中心軸となるように、2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を採取し、25℃でシャルピー衝撃試験を実施して衝撃値(J/cm2)を求めた。
高周波焼入れで生成した硬化層の靱性調査は次のようにして実施した。
すなわち、先ず、2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を上述したようにして採取し、Uノッチ部における硬化層深さ(ビッカース硬さ450となる表面からの深さ)が1mmとなるように、高周波焼入れの条件を種々調整して高周波焼入れした。その後、実部品の場合と同様に、高周波焼入れ後の割れの防止を目的として、180℃で2時間の焼戻し処理を行った。
次いで、上記の高周波焼入れ後に焼戻しを行った試験片を用いて、図1に示すように、支点間距離50mm、押し込み速度0.5mm/minで3点曲げ試験を行い、「荷重−ストローク(押し込み距離)曲線」を採取し、ポップイン、すなわち、微小なき裂が生じて、荷重が変動した際の荷重を「き裂発生荷重」とし、この荷重によって高周波焼入れで生成した硬化層の靱性を評価した。
なお、既に述べたように、引張特性、衝撃特性および高周波焼入れで生成した硬化層の靱性の目標は、それぞれ、引張強度が760MPa以上、衝撃値が200J/cm2以上およびき裂発生荷重が20kN以上である。
表3に、上記の各調査結果を示す。なお、表3の「ミクロ組織」欄における「F」はフェライト、「LP」はラメラーパーライト、「SC」は球状セメンタイト、「B」はベイナイトを示す。「評価」欄における「○」印は上述した引張特性、衝撃特性および高周波焼入れで生成した硬化層の靱性の目標を全て満足していることを指し、一方、「×」印は上記の目標のうち一つでも満足できていないことを指す。試験番号19、23、24および27の「−」は相が「F+LP+SC」でないため調査していないことを示す。
Figure 0005459062
表3から、本発明で規定する化学成分とミクロ組織の条件を満たす試験番号1〜11の棒鋼の場合、その評価は「○」であって、調質処理を行うことなく、所望の特性、すなわち、引張強度が760MPa以上、2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上という優れた機械的特性、さらには、高周波焼入れで生成した硬化層のき裂発生荷重が20kN以上という硬化層の靱性にも優れた圧延鋼材を安価に安定して得ることができることが明らかである。
これに対して、表3から、本発明で規定する化学成分とミクロ組織の条件の少なくともいずれかから外れた試験番号12〜28の棒鋼の場合、その評価は「×」であって、所望の特性が得られておらず、調質処理の省略化はできないことが明らかである。
すなわち、試験番号12の場合は、用いた鋼LのC含有量が0.32%と低く、本発明で規定する値を下回るものである。このため、圧延棒鋼の強度が低下し所望の強度を得られず、また高周波焼入れで生成した硬化層の強度が低く、き裂発生荷重が9kNと低い。
試験番号13の場合、用いた鋼MのC含有量が0.60%と高く、本発明で規定する値を上回るものである。このため、母材のシャルピー衝撃値は130J/cm2と低く、さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下して、き裂発生荷重は17kNと低い。
試験番号14の場合、用いた鋼NのSi含有量が1.20%と高く、本発明で規定する値を上回るものである。このため、A3変態点が上昇し、高周波焼入れで生成した硬化層内にフェライトが残存するため、強度が低下して、き裂発生荷重は11kNと低い。
試験番号15の場合、用いた鋼OのMn含有量が0.10%と低く、本発明で規定する値を下回るものである。このため、圧延棒鋼の強度が低下し所望の強度を得られず、また高周波焼入れ性が低く、高周波焼入れで生成した硬化層内に微細パーライト組織が存在してしまい、硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重が9kNと低い。
試験番号16の場合、用いた鋼PのCr含有量が0.05%と低く、本発明で規定する値を下回るものである。このため、加熱段階や圧延途中段階でセメンタイトが残存することができないため、Crが濃化した球状セメンタイトの個数が2.0×105個/mm2と少なく、母材のシャルピー衝撃値は100J/cm2と低い。さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性も低下し、き裂発生荷重が12kNと低い。
試験番号17の場合、用いた鋼QのCr含有量が2.20%と高く、本発明で規定する値を上回るものである。このため、球状セメンタイトを微細分散でき、高い母材強度が得られるものの、母材のシャルピー衝撃値は120J/cm2と低い。
試験番号18の場合、用いた鋼RのN含有量が0.015%と高く、本発明で規定する値を上回り、また、Ti含有量が0.030%で、本発明で規定する値を下回るものである。このため、BNを形成して、Bの高周波焼入れ性向上効果が薄れ、また、Bによる高周波焼入れ時のオーステナイト結晶粒界へのPおよびSの偏析抑制効果が乏しくなって、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は9kNと低い。
試験番号19の場合、用いた鋼Sには、BおよびTiが含有されておらず、本発明で規定する値を下回るものである。このため、Bのオーステナイトとフェライトが主たる構成相となる温度領域の上限値を高温側にシフトさせる効果が得られず、圧延後のミクロ組織の構成相はフェライトと粗大ラメラーパーライトとなり、球状セメンタイトを含まない組織となる。このため硬質な粗大ラメラーパーライト相の存在により目標強度は得られるものの、球状セメンタイト相が含まれないことによって、母材のシャルピー衝撃値は120J/cm2と低い。さらに、高周波焼入れ性向上効果および高周波焼入れ時のオーステナイト結晶粒界へのPおよびSの偏析抑制効果が得られず、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は17kNと低い。
試験番号20の場合、用いた鋼TのTi含有量が0.008%と少なく、本発明で規定する値を下回るものである。このため、Tiと結合せず鋼中に残存したNがBと結合してBNを形成する。したがって、Bが「固溶B」として存在しないため、Bの高周波焼入れ性向上効果および高周波焼入れ時のオーステナイト結晶粒界へのPおよびSの偏析抑制効果が得られず、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は8kNと低い。
試験番号21の場合、用いた鋼UのTi含有量が0.060%と多く、本発明で規定する値を上回るものである。このため、過剰に残存したTiが鋼中のCと結合し、炭化物(TiC)を形成するので、鋼材中のC量が減少してフェライトの割合が多くなり、高周波焼入れ性の低下を招くとともに、高周波焼入れされた硬化層の靱性も低下し、き裂発生荷重は9kNと低い。
試験番号22の場合、用いた鋼Vのfn1の値が1.24と高く、本発明で規定する値を上回るものである。このため、母材のシャルピー衝撃値は、140J/cm2と低い。
試験番号23および試験番号24の場合は、用いた鋼Aの化学成分は本発明で規定する条件を満たすものの、いずれも、ミクロ組織がフェライトとラメラーパーライトとからなるもので球状セメンタイトを含んでいない。このため、硬質な粗大ラメラーパーライト相の存在により目標強度はえられるものの、球状セメンタイト相が含まれないことによって、母材のシャルピー衝撃値はそれぞれ、110J/cm2および95J/cm2と低く、さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は、それぞれ16kNおよび15kNと低い。
試験番号25の場合も、用いた鋼Aの化学成分は本発明で規定する条件を満たすものの、微細ラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が本発明で規定する条件を上回り、一方、球状セメンタイトの個数は本発明で規定する条件を下回っている。このため、母材のシャルピー衝撃値は100J/cm2と低く、さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は、19kNと低い。
試験番号26の場合も、用いた鋼Bの化学成分は本発明で規定する条件を満たすものの、微細ラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が本発明で規定する条件を上回り、一方、球状セメンタイトの個数は本発明で規定する条件を下回っている。このため、母材のシャルピー衝撃値は90J/cm2と低く、さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下し、き裂発生荷重は、17kNと低い。
試験番号27の場合も、用いた鋼Cの化学成分は本発明で規定する条件を満たすものの、パーライト変態しなかったので、ミクロ組織が硬質相のベイナイトと、フェライトおよび球状セメンタイトからなっており、本発明で規定する条件から外れている。このため、母材のシャルピー衝撃値が120kJ/cm2と低く、さらに、高周波焼入れで生成した硬化層の靱性が低下して、き裂発生荷重は10kNと低い。
試験番号28の場合も、用いた鋼Cの化学成分は本発明で規定する条件を満たすものの、ラメラーパーライトのうちで微細ラメラーパーライト(つまり、ラメラー間隔が200nm以下であるラメラーパーライト)のミクロ組織に占める面積割合が5%で本発明で規定する条件を下回っている。このため、引張強度が695MPaと低い。
本発明の高周波焼入れ用圧延鋼材は、必ずしも高価なVを含有させる必要がなく、しかも、調質処理を行わずとも、圧延鋼材の状態で引張強度が760MPa以上、および2mmUノッチシャルピー衝撃試験片を用いたシャルピー衝撃試験における試験温度25℃での衝撃値が200J/cm2以上という特性を有し、さらに、高周波焼入れの際に粒成長が起こりにくいため硬化層の靱性にも優れるので、高周波焼入れを行って用いられる曲げ強度および衝撃特性が要求されるラックバー等の部品の素材として用いるのに好適である。この高周波焼入れ用圧延鋼材は、本発明の方法によって安価に安定して製造することができる。

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.38〜0.55%、Si:1.0%以下、Mn:0.20〜2.0%、P:0.020%以下、S:0.10%以下、Cr:0.10〜2.0%、Al:0.10%以下、B:0.0005〜0.0030%、N:0.008%以下およびTi:0.047%以下(但し、3.4N≦Ti≦3.4N+0.02%)を含有し、残部はFeおよび不純物からなり、下記の(1)式で表されるfn1の値が1.20以下である化学成分を有し、ミクロ組織がフェライト、ラメラーパーライトおよび球状セメンタイトからなり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であり、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20〜50%であり、かつ、球状セメンタイトの個数が4×10個/mm以上であることを特徴とする高周波焼入れ用圧延鋼材。
    fn1=C+(1/10)Si+(1/5)Mn+(5/22)Cr+1.65V−(5/7)S・・・(1)
    ただし、上記(1)式中の、C、Si、Mn、Cr、V、Sは、それぞれの元素の質量%での含有量を表す。また、上記球状セメンタイトとは、長径Lと短径Wの比(L/W)が2.0以下であるセメンタイトを指す。
  2. 化学成分が、Feの一部に代えて、質量%で、Cu:1.0%以下、Ni:3.0%以下およびMo:0.50%以下のうちの1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1に記載の高周波焼入れ用圧延鋼材。
  3. 化学成分が、Feの一部に代えて、質量%で、Nb:0.10%以下およびV:0.30%以下のうちの1種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の高周波焼入れ用圧延鋼材。
  4. 請求項1から3までのいずれかに記載の化学成分を有する被圧延材を、670〜850℃の温度域に加熱した後、2以上の圧延工程を備える全連続式熱間圧延方法により圧延し、さらに、最終圧延工程における圧延を終了した後、5s以内に鋼材表面温度を600℃以下でMs点を超える温度とし、その後、復熱により鋼材表面温度が500〜700℃の範囲となるように冷却して、
    フェライト、ラメラーパーライトおよび球状セメンタイトからなり、フェライトの平均結晶粒径が10μm以下であり、ラメラーパーライトのうちのラメラー間隔が200nm以下のラメラーパーライトのミクロ組織に占める面積割合が20〜50%であり、かつ、球状セメンタイトの個数が4×10 個/mm 以上であるミクロ組織を有する高周波焼入れ用圧延鋼材製造する方法であって、
    該全連続式熱間圧延方法が、下記の〔1〕および〔2〕を満足することを特徴とする高周波焼入れ用圧延鋼材の製造方法。
    〔1〕各圧延工程中の被圧延材の表面温度が、650〜820℃の温度範囲内であること
    〔2〕総減面率が30%以上であること
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