JP5458975B2 - ナノインプリント用モールドの製造方法 - Google Patents
ナノインプリント用モールドの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5458975B2 JP5458975B2 JP2010053086A JP2010053086A JP5458975B2 JP 5458975 B2 JP5458975 B2 JP 5458975B2 JP 2010053086 A JP2010053086 A JP 2010053086A JP 2010053086 A JP2010053086 A JP 2010053086A JP 5458975 B2 JP5458975 B2 JP 5458975B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- resin layer
- base
- light
- mold
- shielding film
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)
- Moulds For Moulding Plastics Or The Like (AREA)
- Shaping Of Tube Ends By Bending Or Straightening (AREA)
Description
上記のナノインプリント技術の一つの方法として、光インプリント法が知られている。この光インプリント法では、例えば、基板表面に被加工物として光硬化性の樹脂層を形成し、この樹脂層に所望の凹凸構造を有するモールド(型部材)を押し当てる。そして、この状態でモールド側から樹脂層に光を照射して樹脂層を硬化させ、その後、モールドを樹脂層から引き離す。これにより、モールドが有する凹凸が反転した凹凸構造(凹凸パターン)を被加工物である樹脂層に形成することができる(特許文献2)。このような光インプリントは、従来のフォトリソグラフィ技術では形成が困難なナノメートルオーダーの微細パターンの形成が可能であり、次世代リソグラフィ技術として有望視されている。
また、モールドが有する微細な凹凸構造を、被加工物上の複数箇所へ形成する際には、ステップアンドリピート方式でパターン形成を行う場合がある。従来のモールドを用いた場合、凹凸構造が形成されているパターン領域より外側を通過する光により、凹凸構造を形成すべき部位より外側の樹脂層も露光され、一度のパターン形成で硬化する領域はモールドのパターン領域よりも大きくなる。一方、光硬化性樹脂層が露光され硬化してしまうと、その箇所にはパターン形成が行えない。このため、隣接するパターンが形成された領域間の境界幅を大きく設定せざるを得ないという問題があった。
このような問題を解消するために、パターン領域ではない部位(非パターン領域)に遮光部材を設けたモールドが提案されている(特許文献3)。この特許文献3では、モールドの一態様として、微細凹凸構造を有する加工面と裏面との間に第3の表面を有する凸構造を有した、いわゆるメサ構造のモールドであって、第3の表面と、加工面と第3の表面との境界である側面とに遮光部材が配設されているモールドが開示されている。
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたものであり、被加工物の意図しない部位への露光を確実に抑制できるナノインプリント用モールドを簡便に製造するための製造方法を提供することを目的とする。
本発明の他の態様として、前記濡れ性変化工程において、前記基部上に位置する前記樹脂層とともに前記凸構造部の側面に位置する前記樹脂層にも光を照射して、該照射部位の樹脂層の表面の水接触角を10°以下とし、前記遮光膜形成工程において、前記基部上に位置する前記樹脂層上ととともに前記凸構造部の側面に位置する前記樹脂層上にも遮光膜を形成するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記遮光膜形成用組成液は、遮光材として炭素、酸化チタン、酸化銅、酸化鉄の少なくとも1種を含有するような構成とした。
本発明の他の態様として、前記樹脂層上への遮光膜形成用組成液の塗布は、スピンコート法、スプレーコート法、および、ディップコート法のいずれかにより行うような構成とした。
まず、本発明のナノインプリント用モールドの製造方法により製造されるナノインプリント用モールドの一例を、図1を参照して説明する。
図1に示されるナノインプリント用モールド11は、メサ構造のナノインプリント用モールドであり、透明な基材12と、この基材12の一方の表面12aを被覆する樹脂層15と、樹脂層15に設けられている凹部16と遮光膜17とを備えている。基材12は、基部13と、この基部13の一方の面から突出した凸構造部14とを有するとともに、パターン領域Xと、このパターン領域Xの周囲に位置する非パターン領域Yとに画定されている。そして、凹部16は、凸構造部14上に位置する樹脂層15に設けられているとともに、パターン領域Xに位置している。また、遮光膜17は、基材12の一方の表面12aを被覆する樹脂層15のうち、基部13上と凸構造部14の側面14aとに位置する樹脂層15に設けられているとともに、非パターン領域Yに位置している。非パターン領域Yに位置している遮光膜17は、基材12の裏面12bから非パターン領域Yに照射された光を遮蔽して、被加工物の意図しない部位への露光を抑制するための部材である。
図2および図3は、本発明のナノインプリント用モールドの製造方法の一実施形態を説明するための工程図であり、上述のナノインプリント用モールド11を例としたものである。
本発明では、乾燥工程にて、基部13の一方の面から突出する凸構造部14を有する基材12の凸構造部14が突出している側の面12aに、濡れ性変化樹脂材料塗布液を塗布して被覆し、その後、乾燥処理を施して、表面の水接触角が90°以上、好ましくは95°以上であり、かつ、硬度が400以上、好ましくは600以上である樹脂層15を形成する(図2(A))。使用する基材12は、ナノインプリント時に被加工物を硬化させるための照射光を透過可能な基材である。このような基材12の材料としては、例えば、石英ガラス、珪酸系ガラス、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、アクリルガラス等、あるいは、これらの任意の積層材を用いることができる。また、基材12の厚みは被加工物の材質、凸構造部14の高さ、基材の強度、取り扱い適性等を考慮して設定することができ、例えば、300μm〜10mm程度の範囲で適宜設定することができる。
本発明にて使用する濡れ性変化樹脂材料塗布液は、少なくともオルガノポリシロキサンと光触媒とを含有するものであり、詳細については後述する。
尚、本発明では、水接触角は、マイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後に接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定する。また、硬度は、マイクロビッカーズ硬度計((株)島津製作所製 HMV−FAシリーズ)を用いて測定する。
光を照射した樹脂層の表面の水接触角が10°を超えると、後述する遮光膜形成工程において、使用する遮光膜形成用組成液の親水性のバラツキにより、形成する遮光膜17の厚みが不十分となったり欠陥が生じたりするおそれがあり好ましくない。
尚、本実施形態では、基部13上と凸構造部14の側面14aに位置する樹脂層15に光を照射するが、本発明は基部13上に位置する樹脂層15に光を照射することが必須であり、凸構造部14の側面14aに位置する樹脂層15への光照射は任意である。
濡れ性変化樹脂材料塗布液は、上記のように、少なくとも光触媒とオルガノポリシロキサンとを含有するものである。
濡れ性変化樹脂材料塗布液に使用する光触媒としては、照射された光を吸収したときに、周囲の有機物の化学構造に変化を及ぼすものであり、例えば、光半導体として知られている酸化チタン(TiO2)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、酸化タングステン(WO3)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化鉄(Fe2O3)等のような金属酸化物を挙げることができ、これらの1種、あるいは2種以上の組み合わせで使用することができる。
このような光触媒のなかで、本発明では特に酸化チタンが、バンドギャップエネルギーが高く、化学的に安定で毒性もなく、入手も容易であることから好適に使用することができる。酸化チタンには、アナターゼ型とルチル型があり、本発明ではいずれも使用することができるが、アナターゼ型の酸化チタンが好ましい。このアナターゼ型の酸化チタンは励起波長が380nm以下にあり、また、粒径が小さいものの方が光触媒反応が効率的に起るので好ましく、例えば、平均粒径が50nm以下、より好ましくは20nm以下のものが好適である。このようなアナターゼ型の酸化チタンとしては、例えば、塩酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(石原産業(株)製 STS−02(平均粒径7nm))、硝酸解膠型のアナターゼ型チタニアゾル(日産化学(株)製 TA−15(平均粒径12nm))等を挙げることができる。
また、濡れ性変化樹脂材料塗布液に使用するオルガノポリシロキサンは、光触媒により濡れ性が変化するとともに、光触媒の作用により劣化、分解し難い主鎖を有するものであり、例えば、(1)ゾルゲル反応等によりクロロまたはアルコキシシラン等を加水分解、重縮合して大きな強度を発揮するオルガノポリシロキサン、(2)撥水性や撥油性に優れた反応性シリコーンを架橋したオルガノポリシロキサン等を挙げることができる。
(ここで、Yはアルキル基、フルオロアルキル基、ビニル基、アミノ基、フェニル基まはたエポキシ基を示し、Xはアルコキシル基、アセチル基またはハロゲンを示す。nは0〜3までの整数である。)
で示される珪素化合物の1種または2種以上の加水分解縮合物もしくは共加水分解縮合物であるオルガノポリシロキサンであることが好ましい。尚、Yで示される基の炭素数は1〜20の範囲内であることが好ましく、また、Xで示されるアルコキシル基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基であることが好ましい。
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)4CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)6CH2CH2Si(OCH3)3;
(CF3)CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3;
CF3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4Si(OCH3)3;
CF3(CF2)3CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)9CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)4CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)6CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
(CF3)CF(CF2)8CH2CH2SiCH3(OCH3)2;
CF3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)5(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)7(C6H4)C2H4SiCH3(OCH3)2;
CF3(CF2)3CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)5CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)7CH2CH2Si(OCH2CH3)3;
CF3(CF2)9CH2CH2Si(OCH2CH3)3;および
CF3(CF2)7SO2N(C2H5)C2H4CH2Si(OCH3)3。
また、上記の(2)の反応性シリコーンとしては、下記のような一般式で表される骨格を有する化合物を挙げることができる。
また、濡れ性変化樹脂材料塗布液には、さらに界面活性剤を含有させることができる。具体的には、日光ケミカルズ(株)製 NIKKOL BL、BC、BO、BBの各シリーズ等の炭化水素系、デュポン社製 ZONYL FSN、FSO、旭硝子(株)製 サーフロンS−141,145、大日本インキ化学工業(株)製 メガファックF−141,144、ネオス(株)製 フタージェントF−200、F−251、ダイキン工業(株)製 ユ二ダインDS−401、402、スリーエム(株)製 フロラードFC−170、176等のフッ素系あるいはシリコーン系の非イオン界面活性剤を挙げることができ、また、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤を用いることもできる。
次に、本発明のナノインプリント用モールドの製造方法の他の実施形態を上述のナノインプリント用モールド11と同様の構造のナノインプリント用モールド31を例とし、図4および図5を参照しながら説明する。
本発明では、凹部形成工程にて、基部33の一方の面から突出する凸構造部34を有する基材32の凸構造部34が突出している側の面32aに、濡れ性変化樹脂材料塗布液を塗布して被覆し濡れ性変化樹脂材料層35′を形成する(図4(A))。使用する基材32は、上述の実施形態で説明した基材12と同様とすることができる。また、濡れ性変化樹脂材料塗布液も、上述の実施形態で説明した濡れ性変化樹脂材料塗布液を使用することができ、濡れ性変化樹脂材料層35′の厚みは、形成する凹部36の深さ、形状等を考慮して設定することができ、例えば、0.01〜10μm程度の範囲で設定することができる。次いで、凸構造部34上に位置する濡れ性変化樹脂材料層35′とマスターモールド41とを圧着し(図4(B))、その後、離間して、濡れ性変化樹脂材料層35′に凹部36を形成する。使用するマスターモールド41は、上述の実施形態で説明したマスターモールド21と同様とすることができる。
尚、本発明では、上記の乾燥工程を凹部形成工程に組み入れてもよい。すなわち、図4(B)に示されるように、凸構造部34上に位置する濡れ性変化樹脂材料層35′とマスターモールド41とを圧着した状態で濡れ性変化樹脂材料層35′に乾燥処理を施して樹脂層35を形成し、その後、マスターモールド41と樹脂層35とを離間してもよい。
光を照射した樹脂層の表面の水接触角が10°を超えると、後述する遮光膜形成工程において、使用する遮光膜形成用組成液の親水性のバラツキにより、形成する遮光膜37の厚みが不十分となったり欠陥が生じたりするおそれがあり好ましくない。
尚、この実施形態では、基部33上と凸構造部34の側面34aに位置する樹脂層35に光を照射するが、本発明は基部33上に位置する樹脂層35に光を照射することが必須であり、凸構造部34の側面34aに位置する樹脂層35への光照射は任意である。
図6に示されるように、基板52の表面に被加工物として配設された樹脂層53に、ナノインプリント用モールド11の凸構造部14(パターン領域X)を所定の深さまで押し込む。そして、この状態で照明光学系(図示せず)からナノインプリント用モールド11の基材12の裏面12bに紫外線を照射し、ナノインプリント用モールド11を透過した紫外線により樹脂層53を硬化させる。このとき、非パターン領域Yに照射された紫外線は遮光膜17により遮蔽され、これにより、樹脂層53の意図しない部位への露光が確実に抑制される。また、ナノインプリント用モールド11は、乾燥処理を施して形成した樹脂層15の硬度が400以上であり、一方、被加工物である樹脂層53は樹脂層15に比べると脆弱である。したがって、ナノインプリント用モールド11は良好な耐久性を有している。
上述の実施形態は例示であり、本発明はこれに限定されるものではない。
[実施例1]
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリント用モールド用基材として準備した。
まず、上記の基材の一方の面に市販のレジストを塗布し、所望のマスクを介して露光し現像して、基材の中央部に位置する35mm角の領域(パターン領域)にエッチングレジストを形成した。次いで、このエッチングレジストをマスクとして基材をハーフエッチングして、厚み6.335mmの基部と、この基部から突出した高さ15μmの凸構造部を形成した。その後、エッチングレジストを除去し、メサ構造の基材を得た。
(濡れ性変化樹脂材料塗布液の組成)
・無定形シリカ … 50重量部
(JSR(株)製 グラスカHPC7002)
・濡れ性変化成分 … 10重量部
(JSR(株)製 グラスカHPC402H)
・光触媒 … 20重量部
(日産化学(株)製 TA−15(平均粒径12nm))
・溶媒成分(トルエン) … 20重量部
このように形成した樹脂層の表面の水接触角は90°、樹脂層の硬度は610であった。尚、水接触角は、マイクロシリンジから水滴を滴下して30秒後に接触角測定器(協和界面科学(株)製 CA−Z型)を用いて測定した。また、硬度はマイクロビッカーズ硬度計((株)島津製作所製 HMV−FAシリーズ)を用いて測定した。以下の実施例、比較例においても同様である。
次に、上記のように形成した樹脂層のうち、基材の基部上と凸構造部の側面に位置する樹脂層に光を照射した。この光照射は、凸構造部に対応した遮光部(35mm角)を有するマスクを介し、平行光(波長が172nmの真空紫外線)を200mJ/cm2照射することにより行った。これにより、照射部位の表面の水接触角は10°となった。
次に、樹脂層上に下記組成の遮光膜形成用組成液をスピンコート法で塗布し、乾燥、硬化(230℃、30分間)することにより、上記の濡れ性変化工程で表面の水接触角が10°となった樹脂層上に遮光膜(厚み1μm)を形成した。
(遮光膜形成用組成液の組成)
・カーボンブラック … 61重量部
・感光性樹脂組成物 … 39重量部
・メトキシブチルアセテート … 300重量部
(感光性樹脂組成物の組成)
・アクリル樹脂 … 32重量部
・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート … 42重量部
・エピコート180S70(三菱油化シェル(株)製) … 18重量部
・Irg.907(チバスペシャリティケミカルズ(株)製)
… 8重量部
石英ガラスを加工して、30mm角の領域に直径100nmの円柱形状の凸部がピッチ200nmで格子配置されたマスターモールドを作製し、このマスターモールドを、凸構造部上に位置する樹脂層に圧着し、その後、離間して、樹脂層に凹部(深さ200nm、直径100nm)を形成した。これにより、ナノインプリント用モールドを得た。
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、損傷は発生していなかった。また、遮光膜の光学濃度(OD)を下記の条件で測定した結果、2以上であることを確認した。
(光学濃度の測定)
JISB9622:2000(ISO13656:2000)の反射光学濃度測定に基づく光学系で測定を行う。サカタインクスエンジニアリング(株)製2405型マイクロデンシトメーターを使用し、光吸収部10ヶ所の測定を行い、その平均値を光学濃度とした。
(欠陥率の測定)
光学顕微鏡でパターン領域内を5箇所観察し、一つの観察箇所(1.0mm×1.0mm)内で、樹脂層の剥がれや、パターン欠損が確認できた面積の割合を測定した。したがって、この欠陥率が大きい程、欠陥が多いことを意味し、本発明では、欠陥率が0.1未満を実用レベルと判定する。
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリント用モールド用基材として準備した。
<凹部形成工程>
まず、上記の基材を使用し、実施例1と同様にして、メサ構造の基材を得た。
次に、上記の基材の凸構造部が突出している側の面に、実施例1と同じ組成の濡れ性変化樹脂材料塗布液をスピンコート法により塗布して被覆し、その後、加熱処理(40℃、2分間)を施して溶剤を除去して濡れ性変化樹脂材料層を形成した。
次に、実施例1で使用したのと同じマスターモールドを、凸構造部上に位置する濡れ性変化樹脂材料層に圧着し、その後、離間して、濡れ性変化樹脂材料層に凹部(深さ200nm、直径100nm)を形成した。
上記のように凹部が形成された濡れ性変化樹脂材料層に乾燥処理(150℃、10分間)を施して樹脂層(厚み1μm)を形成した。
このように形成した樹脂層の表面の水接触角は95°、樹脂層の硬度は、610であった。
次に、上記のように形成した樹脂層のうち、基材の基部上と凸構造部の側面に位置する樹脂層に、照射量を150mJ/cm2照射とした他は、実施例1と同様にして光照射を行った。これにより、照射部位の表面の水接触角は8°となった。
次に、樹脂層上に実施例1と同じ組成の遮光膜形成用組成液をスピンコート法で塗布し、乾燥、硬化(230℃、30分間)することにより、上記の濡れ性変化工程で表面の水接触角が8°となった樹脂層上に遮光膜(厚み1μm)を形成した。これにより、ナノインプリント用モールドを得た。
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、損傷は発生していなかった。また、遮光膜の光学濃度(OD)を実施例1と同様にして測定した結果、2以上であることを確認した。
また、実施例1と同様にしてパターン形成を行い、欠陥率を測定した結果、0.03であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリント用モールド用基材として準備した。
<凹部形成工程・乾燥工程>
まず、上記の基材を使用し、実施例1と同様にして、メサ構造の基材を得た。
次に、上記の基材の凸構造部が突出している側の面に、実施例1と同じ組成の濡れ性変化樹脂材料塗布液をスピンコート法により塗布して被覆し、その後、加熱処理(40℃、2分間)を施して溶剤を除去して濡れ性変化樹脂材料層を形成した。
次に、実施例1で使用したのと同じマスターモールドを、凸構造部上に位置する濡れ性変化樹脂材料層に圧着し、その状態で、濡れ性変化樹脂材料層に乾燥処理(150℃、10分間)を施して樹脂層を形成した。その後、マスターモールドと樹脂層とを離間して、樹脂層に凹部(深さ200nm、直径100nm)を形成した。
このように形成した樹脂層(厚み1μm)の表面の水接触角は90°、樹脂層の硬度は、610であった。
次に、上記のように形成した樹脂層のうち、基材の基部上と凸構造部の側面に位置する樹脂層に、実施例1と同様にして光照射を行った。これにより、照射部位の表面の水接触角は10°となった。
次に、樹脂層上に実施例1と同じ組成の遮光膜形成用組成液をスピンコート法で塗布し、乾燥、硬化(230℃、30分間)することにより、上記の濡れ性変化工程で表面の水接触角が10°となった樹脂層上に遮光膜(厚み1μm)を形成した。これにより、ナノインプリント用モールドを得た。
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、損傷は発生していなかった。また、遮光膜の光学濃度(OD)を実施例1と同様にして測定した結果、2以上であることを確認した。
また、実施例1と同様にしてパターン形成を行い、欠陥率を測定した結果、0.02であり、良好なインプリント転写が行われたことが確認された。
実施例1の<乾燥工程>において、乾燥処理の条件を100℃、1分間とし、樹脂層の表面の水接触角を70°、硬度を220とした他は、実施例1と同様にして、ナノインプリント用モールドを作製した。
<評 価>
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、マスターモールドを用いて凹部を形成した樹脂層の領域(パターン領域)にも遮光膜が痕跡程度に形成されており、実用に供し得ないものであった。
実施例1の<濡れ性変化工程>において、照射量を110mJ/cm2照射とし、光照射部位の樹脂層の表面の水接触角を20°とした他は、実施例1と同様にして、ナノインプリント用モールドを作製した。
<評 価>
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、損傷は発生していなかった。しかし、遮光膜の光学濃度(OD)を実施例1と同様にして測定した結果、2未満の箇所が存在し、遮光膜の厚みにバラツキが存在した。
厚み6.35mmの石英ガラス(65mm角)をナノインプリント用モールド用基材として準備した。
上記の基材の一方の面にスパッタリング法によりクロム薄膜(厚み50nm)を成膜し、その後、このクロム薄膜上に市販のレジストを塗布した。
次いで、市販の電子線描画装置内のステージ上に、基材の裏面がステージと対向するように基材を配置し、レジストに電子線を照射して、所望のパターン潜像を形成した。
次に、レジストを現像してレジスト層を形成し、このレジスト層をマスクとしてドライエッチングによりクロム薄膜に開口(直径100nmの円形開口がピッチ200nmで格子配置されたパターン)を形成して、遮光性エッチングマスクとした。次いで、この遮光性エッチングマスクを介して異方性エッチングによって基材に凹部を形成した。形成した凹部は深さ200nm、直径100nmであった。この凹部が形成されたパターン領域は、基材の中央に位置する30mm角の領域であった。
次に、凹部を形成した基材面に市販のレジストを塗布し、所望のマスクを介して露光し現像して、上記の35mm角のパターン領域にエッチングレジストを形成した。次いで、このエッチングレジストをマスクとして基材をエッチングして、厚み6.335mmの基部と、この基部から突出した高さ15μmの凸構造部を形成した。
次いで、上記のエッチングレジストを被覆するように基材上に真空蒸着法によりシリコン薄膜(厚み50nm)を形成して遮光膜とした。その後、レジスト剥離液を用いてエッチングレジストを剥離するとともに、エッチングレジスト上の遮光膜も除去した。これにより、凸構造部の側面、および基部のみに遮光膜が残り、図1に示されるようなメサ構造のナノインプリント用モールドを得た。
このように作製したナノインプリント用モールド100個について、凹部および遮光膜を顕微鏡を用いて観察した結果、30個のモールドにおいて凹部の損傷が発生し、特に35mm角のパターン領域の端部に多く損傷が発生していた。
12,32…基材
13,33…基部
14,44…凸構造部
14a,34a…凸構造部の側面
15,35…樹脂層
15a,35a…濡れ性を変化させた樹脂層
35′…濡れ性変化樹脂材料層
16,36…凹部
17,37…遮光膜
21,41…マスターモールド
Claims (7)
- 基部と該基部の一方の面から突出する凸構造部とを有する基材と、該基材の前記凸構造部が突出している側の面を被覆する樹脂層と、前記凸構造部上の前記樹脂層に位置する凹部と、前記基部上に位置する樹脂層を被覆する遮光膜と、を備えるナノインプリント用モールドの製造方法において、
基部と該基部の一方の面から突出する凸構造部とを有する基材の前記凸構造部が突出している側の面に、濡れ性変化樹脂材料塗布液を塗布して被覆し、その後、乾燥処理を施して、表面の水接触角が90°以上、かつ、硬度が400以上である樹脂層を形成する乾燥工程と、
前記基部上に位置する前記樹脂層に光を照射して、該照射部位の樹脂層の表面の水接触角を10°以下とする濡れ性変化工程と、
前記樹脂層上に遮光膜形成用組成液を塗布して、乾燥、硬化することにより、前記基部上に位置する前記樹脂層上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、
前記凸構造部上に位置する前記樹脂層とマスターモールドとを圧着し、その後、離間することにより、前記樹脂層に凹部を形成する凹部形成工程と、を有することを特徴としたナノインプリント用モールドの製造方法。 - 基部と該基部の一方の面から突出する凸構造部とを有する基材と、該基材の前記凸構造部が突出している側の面を被覆する樹脂層と、前記凸構造部上の前記樹脂層に位置する凹部と、前記基部上に位置する樹脂層を被覆する遮光膜と、を備えるナノインプリント用モールドの製造方法において、
基部と該基部の一方の面から突出する凸構造部とを有する基材の前記凸構造部が突出している側の面に、濡れ性変化樹脂材料塗布液を塗布して被覆し、前記凸構造部上に位置する濡れ性変化樹脂材料層とマスターモールドとを圧着し、その後、離間することにより、前記濡れ性変化樹脂材料層に凹部を形成する凹部形成工程と、
前記濡れ性変化樹脂材料層に乾燥処理を施して、表面の水接触角が90°以上、かつ、硬度が400以上である樹脂層とする乾燥工程と、
前記基部上に位置する前記樹脂層に光を照射して、該照射部位の樹脂層の表面の水接触角を10°以下とする濡れ性変化工程と、
前記樹脂層上に遮光膜形成用組成液を塗布して、乾燥、硬化することにより、前記基部上に位置する前記樹脂層上に遮光膜を形成する遮光膜形成工程と、を有することを特徴としたナノインプリント用モールドの製造方法。 - 前記凹部形成工程に前記乾燥工程を組み入れて、凸構造部上に位置する濡れ性変化樹脂材料層とマスターモールドとを圧着した状態で濡れ性変化樹脂材料層に乾燥処理を施し、その後、マスターモールドと樹脂層とを離間して、凹部を有し、表面の水接触角が90°以上、かつ、硬度が400以上である樹脂層を形成することを特徴とした請求項2に記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 前記濡れ性変化工程において、前記基部上に位置する前記樹脂層とともに前記凸構造部の側面に位置する前記樹脂層にも光を照射して、該照射部位の樹脂層の表面の水接触角を10°以下とし、前記遮光膜形成工程において、前記基部上に位置する前記樹脂層上ととともに前記凸構造部の側面に位置する前記樹脂層上にも遮光膜を形成することを特徴とした請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 前記濡れ性変化樹脂材料塗布液は、少なくともオルガノポリシロキサンと光触媒とを含有することを特徴とした請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 前記遮光膜形成用組成液は、遮光材として炭素、酸化チタン、酸化銅、酸化鉄の少なくとも1種を含有することを特徴とした請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
- 前記樹脂層上への遮光膜形成用組成液の塗布は、スピンコート法、スプレーコート法、および、ディップコート法のいずれかにより行うことを特徴とした請求項1乃至請求項6のいずれかに記載のナノインプリント用モールドの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010053086A JP5458975B2 (ja) | 2010-03-10 | 2010-03-10 | ナノインプリント用モールドの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010053086A JP5458975B2 (ja) | 2010-03-10 | 2010-03-10 | ナノインプリント用モールドの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2011183731A JP2011183731A (ja) | 2011-09-22 |
JP5458975B2 true JP5458975B2 (ja) | 2014-04-02 |
Family
ID=44790577
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2010053086A Expired - Fee Related JP5458975B2 (ja) | 2010-03-10 | 2010-03-10 | ナノインプリント用モールドの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5458975B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2014099525A (ja) * | 2012-11-15 | 2014-05-29 | Fujifilm Corp | ナノインプリント方法およびそれを用いたパターン化基板の製造方法 |
JP6136271B2 (ja) * | 2013-01-08 | 2017-05-31 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールドの製造方法 |
KR102089835B1 (ko) | 2016-01-27 | 2020-03-16 | 주식회사 엘지화학 | 필름 마스크, 이의 제조방법 및 이를 이용한 패턴 형성 방법 |
WO2017131499A1 (ko) | 2016-01-27 | 2017-08-03 | 주식회사 엘지화학 | 필름 마스크, 이의 제조방법, 이를 이용한 패턴 형성 방법 및 이를 이용하여 형성된 패턴 |
CN108351605B (zh) | 2016-01-27 | 2020-12-15 | 株式会社Lg化学 | 膜掩模、其制备方法、使用膜掩模的图案形成方法和由膜掩模形成的图案 |
JP6729102B2 (ja) * | 2016-07-08 | 2020-07-22 | 大日本印刷株式会社 | インプリントモールドの製造方法 |
US20200333704A1 (en) * | 2017-10-17 | 2020-10-22 | Canon Kabushiki Kaisha | Imprint apparatus and article manufacturing method |
JP7465146B2 (ja) | 2020-05-12 | 2024-04-10 | キヤノン株式会社 | インプリント方法、インプリント装置、判定方法及び物品の製造方法 |
Family Cites Families (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8011916B2 (en) * | 2005-09-06 | 2011-09-06 | Canon Kabushiki Kaisha | Mold, imprint apparatus, and process for producing structure |
JP4940884B2 (ja) * | 2006-10-17 | 2012-05-30 | 大日本印刷株式会社 | パターン形成体の製造方法 |
JP5446782B2 (ja) * | 2009-11-27 | 2014-03-19 | 大日本印刷株式会社 | インプリント用基板およびインプリント転写方法 |
-
2010
- 2010-03-10 JP JP2010053086A patent/JP5458975B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2011183731A (ja) | 2011-09-22 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5458975B2 (ja) | ナノインプリント用モールドの製造方法 | |
JP3679943B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP4236081B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP6011671B2 (ja) | インプリント用基板およびインプリント方法 | |
JP4289522B2 (ja) | パターン形成体の製造法 | |
JP5446782B2 (ja) | インプリント用基板およびインプリント転写方法 | |
US20080044745A1 (en) | Process for production of pattern-forming body | |
JP5760332B2 (ja) | インプリント用基板およびインプリント方法 | |
JP4275233B2 (ja) | 光学素子およびその製造方法 | |
JP5533297B2 (ja) | インプリント方法 | |
JP4276724B2 (ja) | 光学素子およびその製法 | |
JP3971517B2 (ja) | 超撥水性から超親水性表面に変化する複合材料 | |
JP5516224B2 (ja) | パターン形成方法とナノインプリントモールドおよびナノインプリント用転写基材 | |
JP4187840B2 (ja) | 面状光学素子の製造方法 | |
JP5671841B2 (ja) | ナノインプリント用モールドの製造方法 | |
JP2004302086A (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP4353608B2 (ja) | カラーフィルタの製造方法 | |
JP3945799B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP3881138B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP4844568B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP4236099B2 (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP4348351B2 (ja) | パターン形成体 | |
JP4461696B2 (ja) | パターニング方法 | |
JP2004191995A (ja) | パターン形成体の製造方法 | |
JP2005191180A (ja) | フォトマスク及びこれを用いたパターン形成体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20130111 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20131209 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20131217 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20131230 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5458975 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |