JP5451837B2 - 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法 - Google Patents

繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5451837B2
JP5451837B2 JP2012197801A JP2012197801A JP5451837B2 JP 5451837 B2 JP5451837 B2 JP 5451837B2 JP 2012197801 A JP2012197801 A JP 2012197801A JP 2012197801 A JP2012197801 A JP 2012197801A JP 5451837 B2 JP5451837 B2 JP 5451837B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fiber
water
polyglutamic acid
solution
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012197801A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013019093A (ja
Inventor
武治 田島
茂 大山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Idemitsu Kosan Co Ltd
Original Assignee
Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Idemitsu Kosan Co Ltd filed Critical Idemitsu Kosan Co Ltd
Priority to JP2012197801A priority Critical patent/JP5451837B2/ja
Publication of JP2013019093A publication Critical patent/JP2013019093A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5451837B2 publication Critical patent/JP5451837B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Artificial Filaments (AREA)
  • Spinning Methods And Devices For Manufacturing Artificial Fibers (AREA)
  • Nonwoven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、ポリグルタミン酸を用いた繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法に関する。
ポリグルタミン酸は、納豆の糸として古くから知られており、生分解性、生体適合性、高吸水性に優れた樹脂として注目されている。近年では、このポリグルタミン酸を工業的に製造することが可能となった。
そして、ポリグルタミン酸を架橋したゲルは特に吸水性に優れ、化粧品などの保湿剤として使用されている。
このようなポリグルタミン酸を含有した繊維として、例えば、特許文献1には、ポリ−γ−グルタミン酸を含浸させた繊維が開示されている。
また、特許文献2には、ポリグルタミン酸を含む高分子をナノファイバー化した繊維を用いた医用材料が開示されている。
さらに、特許文献3には、湿式紡糸で形成したポリグルタミン酸を含んだ繊維が開示されている。
そして、特許文献4には、ポリグルタミン酸が含有された繊維構造体により人口心臓弁を形成する技術が記載されている。
特許3737749号公報 特開2004−321484号公報 WO2004−003130号 特開2006−158494号公報
しかしながら、特許文献1では、既存の繊維製品にポリ−γ−グルタミン酸溶液を含浸させることにより、繊維製品にポリ−γ−グルタミン酸を固着させている。すなわち、ポリ−γ−グルタミン酸自体が繊維を構成するものではない。また、繊維径も大きいために、特許文献1の繊維製品は、吸水性および保水性が不十分であった。
また、特許文献2、4の繊維は医療用として臓器の代替品として使用されるものであるが、ポリグルタミン酸のナノファイバーの具体的提示はない。
さらに、特許文献3に記載の繊維は、湿式紡糸により繊維を形成している。湿式紡糸では繊維径を十分に小さく(ナノサイズ)することができないので、この繊維からなる基材の吸水性は不十分であった。
本発明の目的は、生分解性、生体適合性、吸水性および保水性に優れた繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法を提供することである。
本発明の繊維架橋体は、分子量20万以上のポリグルタミン酸を原料として用いた繊維が架橋されたものであることを特徴とする。
ポリグルタミン酸は、アミノ酸の一種であるグルタミン酸が直鎖状に連結した高分子で、生分解性、生体適合性などの特性を備えている。
また、吸水性および保水性に優れているため、ポリグルタミン酸の分子量を20万以上とすることにより、繊維化が可能となり、吸水性および保水性に優れた繊維架橋体を提供することができる。
本発明の繊維架橋体において、前記繊維は、前記ポリグルタミン酸と、水と、水溶性有機溶媒として炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールと、を混合してポリグルタミン酸溶液とし、このポリグルタミン酸溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法により紡糸されたものである。
この発明によれば、繊維が静電紡糸法により紡糸されるので、極細の繊維を得ることができる。したがって、このような繊維であれば、表面積が大きく、吸水性および保水性に優れた製品を提供することができる。
本発明の繊維架橋体において、前記炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールのうち少なくともいずれか1種であることが好ましい。
本発明の繊維架橋体において、前記水と前記水溶性有機溶媒とが60:25〜61:23の質量比となるように混合されたものであることが好ましい。
本発明の繊維架橋体において、前記繊維は、繊維集合体を構成していることが好ましい。
この発明によれば、前述の繊維が積層されて繊維集合体となる。そして、繊維が架橋されて繊維架橋体を形成する。繊維が積層されることにより、繊維間に多数の細孔が形成され、この細孔に大量の水分が吸収される。したがって、吸水性に優れている。
本発明の繊維架橋体において、前記繊維の径寸法が、0.01μm以上3μm以下であることが好ましい。また、前記繊維の径寸法が、0.05μm以上1.8μm以下であることがより好ましい。
繊維の径寸法が3μmを超えると、超極細繊維としての特徴であるフィルター性能、表面積による吸水性が繊維集合体の単位重量あたりで優位ではなくなってしまい、風合い的にもゴアゴア感が生じてくる。繊維の径はさらに細い方が好ましいが、0.01μm以下になると、生産性、強度、取り扱いの面で適宜選択されうるものである。
本発明の繊維架橋体の製造方法は、前記ポリグルタミン酸と、水と、水溶性有機溶媒として炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールと、を混合してポリグルタミン酸溶液とし、このポリグルタミン酸溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法で前記繊維を紡糸することを特徴とする。
この発明によれば、溶媒として水の他にも水溶性有機溶媒を混合させるので、静電紡糸を行う際に紡糸性を向上させることができる。すなわち、ポリグルタミン酸含有率が高く、ビーズ(粒子状の欠陥)や糸径ムラが少ない繊維を形成することができる。また、溶媒として水と水溶性有機溶媒を使用するため、取り扱いおよび製造を容易に行うことができる。
そして、静電紡糸法により紡糸するため、電荷の高まりが糸の細化を促進し、細化に伴い溶媒の揮散が進むため、極細繊維を得ることができる。
なお、静電紡糸法においては、ノズル式とロール式のどちらを用いてもよい。ノズル式では他成分との芯/鞘構造であっても良い。
本発明の繊維架橋体の製造方法において、前記炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールのうち少なくともいずれか1種であることが好ましい。
本発明の繊維架橋体の製造方法において、前記水と前記水溶性有機溶媒とが60:25〜61:23の質量比となるように混合されたものであることが好ましい。
本発明の一実施形態にかかる繊維の製造方法に用いられる製造装置の概略を示す斜視図。 図1の断面図。 実施例1で製造した繊維集合体の拡大写真。 実施例2で製造した繊維集合体の拡大写真。 比較例1で製造した繊維集合体の拡大写真。 比較例2で製造した繊維集合体の拡大写真。 比較例3で製造した繊維集合体の拡大写真。
以下、本発明の一実施形態について説明する。
本実施形態では、ポリグルタミン酸を含む溶液を静電紡糸法により紡糸して繊維および繊維集合体を形成し、この繊維集合体に架橋処理を実施して、ポリグルタミン酸の繊維架橋体を形成する。
(1.溶液の調整)
(1−1.ポリグルタミン酸)
ポリグルタミン酸は、分子量が20万以上であれば特に限定されず、公知の製法で得られたもの、天然物由来のもの、また、ナトリウム塩を使用することができる。
分子量が20万未満であると、静電紡糸する際にポリグルタミン酸の濃度を上げたとしても粒子しか生成されず、繊維状に紡糸することができない。
本実施形態では、必要に応じてバインダーを配合することもできる。ここで用いられるバインダーとしては公知のものが使用可能で、例えば、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリプロリレンオキサイド、ポリエチレンイミド、ポリアニリン、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、シリコーン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、ポリエチレンサルファイド、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリエチレンテルフタレート、など溶媒に溶解可能な合成高分子が挙げられる。また、コラーゲン、ゼラチン、デンプン、セルロース、キチン、キトサン、セリシン、フィブロイン、核酸、ヒアルロン酸、エラスチン、ヘパリンなどの天然高分子も使用することが出来る。さらに、オルガノシリカやオルガノチタンなどのゾル溶液も挙げられる。
(1−2.溶媒)
また、ポリグルタミン酸を溶解せしめる溶媒には、水と水溶性有機溶媒が用いられる。ポリグルタミン酸は水に可溶であるが、静電紡糸する際に、水だけでは紡糸が困難であるため、水溶性有機溶媒と併用する。
水溶性有機溶媒としてはポリグルタミン酸水溶液と混合しうるものが適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール類以外にも、アセトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。この中でも、肌への刺激が小さく生体への影響が小さいことから、特に、炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールであるメタノール、エタノール、プロパノールを用いることが好ましい。これらは一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
ポリグルタミン酸の含有量は、ポリグルタミン酸の分子量やバインダーにより適宜設定することができるが、溶液に対して1質量%以上50質量%以下が好ましく、より好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
ポリグルタミン酸の含有量が1質量%未満であると、濃度が薄すぎて紡糸することができない。また、50質量%を超えると、粘度が高すぎて静電紡糸する際に紡糸することが困難となる恐れがある。
なお、紡糸後の繊維中のポリグルタミン酸の配合比としては、20%以上であることが好ましい。20%未満であると、生分解性、生体適合性などのポリグルタミン酸の特有の機能を十分に発揮することができない。
(1−3.各種添加剤)
さらに、必要に応じて、界面活性剤、金属塩、増粘剤、色剤、防腐剤、各種安定剤を適宜使用することができる。
界面活性剤としては、特に制限はなく、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤といった公知の界面活性剤を使用することができ、具体的には、p−ノニルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリルオキシスルホン酸ナトリウム、ラウリルオキシリン酸二ナトリウム等のアニオン界面活性剤や、ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド等のカチオン界面活性剤や、ステアリン酸ポリエチレングリコール、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル等のノニオン界面活性剤や、ラウリルジメチルペタイン等の両性界面活性剤が挙げられ、これらの一種を単独で、または、二種以上を組み合わせて使用することができる。
金属塩としては、塩化物、臭化物、ヨウ化物などの金属塩が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、メチルセルロースやヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体、各種ガム類やペクチン、アルギン酸ソーダ、デキストリン、寒天、ゼラチン等の天然高分子増粘剤が挙げられる。
(2.製造方法)
(2−1.製造装置)
次に、本発明の一実施形態にかかる繊維の製造装置を、図面を用いて説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる繊維の製造装置の概略を示す斜視図、図2は図1の概略断面図である。
図1および図2において、繊維の製造装置は静電紡糸装置であって、ポリグルタミン酸を収納した溶解液浸漬槽10の中に電圧印加ロール20が設置されている。
電圧印加ロール20は溶解液浸漬槽10の中で回転可能に支持され、少なくとも周面部は金属製である。溶解液浸漬槽10には高電圧発生装置21が接続されており、高電圧発生装置21の電源21から電圧が加えられ、ポリグルタミン酸溶液はプラスに帯電し、電圧印加ロール20で電荷が集中するようになっている。電圧印加ロール20は図示しない回転駆動機構と連結されている。
電圧印加ロール20と対向する位置に集積コンベア30が集積面30Aを電圧印加ロール20側に向けて配置されている。また、集積コンベア30を挟んで電圧印加ロール20と対向する位置には金属製ブロック31が配置され、この金属製ブロック31は高電圧発生装置21に接続され、マイナスに帯電している。
集積コンベア30は導電性のある素材、例えば、アルミニウム等から形成された帯状部材、または金属製ブロック31の導電性を妨げない紙もしくは合成繊維から成る不織布であり、図示しない繰り出しロールから繰り出されるとともに図示しない巻き取りロールで巻き取られる構成である。
金属製ブロック31の集積コンベア30の流れ方向の前後にはガイドロール32がそれぞれ配置されている。
電圧印加ロール20と集積コンベア30の集積面30Aとの距離は、溶媒が気化するように、糸の堆積状態をみながら自由に選択すればよく、特に限定するものではない。印加電圧は、溶液の性状、堆積量によって変えればよく、電圧が高いほど多量の繊維が得やすい。従って、電圧印加ロール20と金属製ブロック31が電極となって、その間に静電場が形成され、電圧印加ロール20に付着した液体表面に電荷が蓄積され、液体の表面張力以上に電荷が高まると、電圧印加ロール20の表面から金属製ブロック31に向かって糸状に引き出され、集積面30Aに堆積する。
(2−2.製造方法)
次に、繊維の製造方法について説明する。本実施形態の繊維の製造方法は図1および図2で示される静電紡糸装置を用いた静電紡糸法(エレクトロスピニング法)である。
まず、溶解液浸漬槽10の内部にポリグルタミン酸溶液を収納しておき、集積コンベア30を駆動する。集積コンベア30には高電圧発生装置21に接続された金属製ブロック31が近接配置されているため、この状態で、高電圧をかけると、溶液表面に電荷が誘発、蓄積される。この静電引力はポリグルタミン酸溶液の表面張力に対抗する。電場力が臨界値を超えると、静電引力が表面張力を超え、荷電した溶液のジェットが噴射される。噴射されたジェットは体積に対して表面積が大きいため、溶媒が効率よく蒸発し、また体積の減少により電荷密度が高くなるため、さらに細いジェットになる。溶液のジェット噴射により金属製ブロック31側に自発的に牽引されることで紡糸がなされる。
紡糸されたポリグルタミン酸の繊維は集積コンベア30の集積面30Aに堆積されるが、集積コンベア30は巻き取られるため、集積面30Aに堆積されたポリグルタミン酸の繊維はコンベアの長さ方向に亘って所定厚さとなる。集積されたポリグルタミン酸の繊維は繊維集合体となり、図示しない装置によって集積コンベア30から剥離される。
(2−3.架橋方法)
静電紡糸法によって得られた繊維集合体は、熱架橋、電子線架橋、紫外線架橋、放射線架橋、グルタルアルデヒド架橋などの従来公知の架橋処理を実施することができる。この中でも特に、ポリグルタミン酸のゲル化処理にも一般に用いられている電子線架橋が好ましい。
このようにして、繊維架橋体を得ることができる。
(3.実施形態の効果)
したがって、本実施形態によれば次の作用効果を奏することができる。
(1)ポリグルタミン酸は、生分解性および生体適合性などの機能を有する。また、分子量20万以上のポリグルタミン酸を使用するので、極細の繊維および極細の繊維からなる繊維集合体を製造することができる。
(2)本実施形態の繊維集合体は、径寸法が0.01μm以上3μm以下の繊維が堆積されて形成されることにより、表面積が大きく、繊維間に多数の細孔が形成される。そのため、これらの細孔に水分が取り込まれやすく、取り込まれた水分は流出しにくい構造となっている。したがって、吸水性と保水性に優れた繊維集合体を提供することができる。
(3)上記の繊維集合体を架橋させた繊維架橋体とすることにより、ポリグルタミン酸が水に溶けず、保水した状態を保つことができる。
(4)本実施形態では、繊維および繊維集合体を静電紡糸法により製造した。静電紡糸法は径寸法がナノサイズの繊維を紡糸することができる。したがって、前述の効果を奏することのできる繊維および繊維集合体を製造することができる。
また、静電紡糸法は常温で紡糸できるのでポリグルタミン酸の熱劣化を抑えて製造することができる。また、溶媒は水と水溶性有機溶媒であるので、取り扱いおよび製造を容易に行うことができる。
(4.実施形態の変形例)
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、前記実施形態では、静電紡糸装置の静電場は、電圧印加ロール20と金属製ブロック31とで一対の電極を形成しているが、本発明ではこれを増やして、複数の電極間、溶解液浸漬槽で形成するものでもよい。この場合、複数の電圧印加ロール20は、異なる電圧値であってもよい。
また、前記実施形態では、ロール式の静電紡糸装置を使用したが、ノズル式の静電紡糸装置を用いてもよい。ノズル式では多成分との芯/鞘構造であっても良い。
以下、本発明の効果を実施例及び比較例により確認する。なお、本発明はその要旨を超えない限りこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
ポリグルタミン酸として、分子量150万の和光純薬工業株式会社製ポリ−γ−グルタミン酸ナトリウム(平均分子量150万〜250万)を使用した。
なお、分子量の測定は、ポリグルタミン酸5mlを水1mlに溶解し、ゲル浸透クロマトグラフ測定(島津製作所製「LC−10ADvpシステム」、カラム:昭和電工製「SHODEX ASAHIPAK GS−710+GS−310 7G」、室温、移動相:(50mmol/lリン酸緩衝液)+(0.3mol/lNaCl水溶液)、0.7ml/min、検出器:示差屈折率検出器)により行った。
水/エタノール/ポリグルタミン酸=60質量%/25質量%/15質量%の配合比で混合し、攪拌溶解した。
この溶液を、ノズル式の静電紡糸装置(メック(株)製、製品名「Nanon」)で、電圧65〜78kV、電極間距離100〜110mm、電荷ロール8〜4rpmで紡糸し、アルミ箔に繊維集合体を堆積させた。
得られた繊維集合体を、気密性のあるナイロンフィルム袋(旭化成パックス(株)製、商品名「飛竜(登録商標)N−9」、延伸ナイロン15μm/ポリエチレン60μmの積層体)に入れ、密閉した(特開2005−314489参照)。
これを、コッククロフトウォルトン型電子線照射装置にて、照射距離10cm、2.0kGy/secにて照射合計量が140kGyになるように照射した。
この照射物を、サンユー電子社製「SC−701 GUICKCOATER」で金蒸着し、キーエンス社製の3Dリアルサーフェイスビュー顕微鏡「VE−8800」にて繊維径を観察した。図3に実施例1の繊維集合体の拡大写真を示す。
そして、ナイロンフィルム袋を開放して空気中の水蒸気を吸湿させ、24時間放置した。
[実施例2]
実施例1のポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを使用し、水/メタノール/塩化カルシウム/ポリグルタミン酸=61質量%/23質量%/1質量%/15質量%の配合比で混合し、攪拌溶解した。
この溶液を、ノズル式の静電紡糸装置(メック(株)製、製品名「Nanon」)で、電圧30kV、電極間距離150mm、吐出2.0ml/hで紡糸し、アルミ箔に繊維集合体を堆積させた。
実施例1と同様の電子線架橋処理を実施し、さらに実施例1と同様に繊維径を観察した。図4に実施例2の繊維集合体の拡大写真を示す。
そして、ナイロンフィルム袋を開放して空気中の水蒸気を吸湿させ、24時間放置した。
[比較例1]
電子線照射を行わなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で繊維集合体を製造した。図5に比較例1の繊維集合体が24時間放置された後の拡大写真を示す。
[比較例2]
実施例1のポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを使用し、水/ポリグルタミン酸=90質量%/10質量%の配合比で混合し、攪拌溶解した。
この溶液を、実施例1と同様に静電紡糸装置で紡糸したが、径寸法が略同じである糸状の繊維を形成することができなかった。図6に比較例2の繊維集合体の拡大写真を示す。
[比較例3]
実施例1のポリ−γ−グルタミン酸ナトリウムを使用し、水/ポリグルタミン酸=80質量%/20質量%の配合比で混合し、攪拌溶解した。
この溶液を、実施例1と同様に静電紡糸装置で紡糸したが、径寸法が略同じである糸状の繊維を形成することができなかった。図7に比較例3の繊維集合体の拡大写真を示す。
[比較例4]
ポリグルタミン酸として、分子量5万のもの(和光純薬工業株式会社製、商品名「ポリ−L−グルタミン酸」、平均分子量1.5万〜5万)を用いた。
水/エタノール/ポリグルタミン酸=55質量%/25質量%/20質量%の配合比で混合し、攪拌溶解した。
この溶液を、静電紡糸装置(エレクトロスピニング装置)で、電圧65〜78kV、電極間距離100〜110mm、電荷ロール8〜4rpmで紡糸したが、繊維を得ることができなかった。
実施例1および2、比較例1〜4の評価結果を以下の表1に示す。
なお、紡糸性の評価は以下の通りである。
○:径寸法が略同じである糸状の繊維を紡糸できる。
△:紡糸できるが、繊維の径寸法がばらばらで糸状に形成されない。
×:紡糸できない。
実施例1、2では、紡糸性が良好である。また、繊維径および図3、4からもわかるように、実施例1、2の繊維集合体は、ナノファイバーで形成されている。24時間放置後は、繊維状であった繊維集合体が空気中の水分を吸収して寒天状に変化している。すなわち、吸水性に優れた繊維集合体であることがわかる。
一方、比較例1は、電子線照射(架橋処理)を行わなかったので、繊維状に紡糸できなかった。
比較例2、3は、溶媒に水のみを使用したので、繊維の径寸法が略同じである糸状の繊維が形成されず紡糸性が劣っていた。
比較例4は、分子量の小さいポリグルタミン酸を使用したので、静電紡糸装置による紡糸ができなかった。
本発明は、パックやフェイスマスクなどの化粧用品、創傷被覆剤や止血シートや癒着防止シートなどの医療用品、また、細胞培養床や発芽シートなどのバイオ、農業用品、さらには、水系インクの受理体としての日用品や電気電子材料に利用できる。
10…溶解液浸漬槽
20…電圧印加ロール
30…集積コンベア
30A…集積面

Claims (9)

  1. 分子量20万以上のポリグルタミン酸を原料として用いた繊維が架橋されたものであり、
    前記繊維は、
    前記ポリグルタミン酸と、
    水と、
    水溶性有機溶媒として炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールと、を混合してポリグルタミン酸塩の溶液とし、
    このポリグルタミン酸塩の溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法により紡糸されたものであって、
    前記水と前記水溶性有機溶媒とが60:25〜61:23の質量比となるように混合されたものである
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  2. 請求項1に記載の繊維架橋体において、
    前記炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールのうち少なくともいずれか1種である
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の繊維架橋体において、
    前記ポリグルタミン酸塩の溶液における前記ポリグルタミン酸塩の含有量が前記溶液に対して5質量%以上20質量%以下である
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  4. 請求項1に記載の繊維架橋体において、
    前記繊維は、繊維集合体を構成している
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  5. 請求項1または請求項4に記載の繊維架橋体において、
    前記繊維の径寸法が、0.01μm以上3μm以下である
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  6. 請求項5に記載の繊維架橋体において、
    前記繊維の径寸法が、0.05μm以上1.8μm以下である
    ことを特徴とする繊維架橋体。
  7. 繊維架橋体を製造する製造方法であって、
    前記ポリグルタミン酸と、
    水と、
    水溶性有機溶媒として炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールと、を
    前記水と前記水溶性有機溶媒とが60:25〜61:23の質量比となるように混合してポリグルタミン酸塩の溶液とし、
    このポリグルタミン酸塩の溶液を帯電させて紡糸する静電紡糸法で前記繊維を紡糸する
    ことを特徴とする繊維架橋体の製造方法。
  8. 請求項7に記載の繊維架橋体の製造方法において、
    前記炭素数1〜3の脂肪族低級アルコールは、メタノール、エタノール及びプロパノールのうち少なくともいずれか1種である
    ことを特徴とする繊維架橋体の製造方法。
  9. 請求項7または請求項8に記載の繊維架橋体において、
    前記ポリグルタミン酸塩の溶液における前記ポリグルタミン酸塩の含有量が前記溶液に対して5質量%以上20質量%以下である
    ことを特徴とする繊維架橋体の製造方法。
JP2012197801A 2012-09-07 2012-09-07 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法 Active JP5451837B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012197801A JP5451837B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012197801A JP5451837B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007262300A Division JP2009091682A (ja) 2007-10-05 2007-10-05 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013019093A JP2013019093A (ja) 2013-01-31
JP5451837B2 true JP5451837B2 (ja) 2014-03-26

Family

ID=47690791

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012197801A Active JP5451837B2 (ja) 2012-09-07 2012-09-07 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5451837B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107212088A (zh) * 2017-06-07 2017-09-29 广东工业大学 一种静电纺丝纤维包膜装置

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6205674B2 (ja) * 2014-04-23 2017-10-04 株式会社Roki 微細繊維の製造方法
CN104233496A (zh) * 2014-09-03 2014-12-24 苏州印丝特纺织数码科技有限公司 一种丝素纳米纤维的制备方法
CN114108185A (zh) * 2021-12-03 2022-03-01 上海纳米技术及应用国家工程研究中心有限公司 一种阻燃无纺布的制备方法及其产品

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07138364A (ja) * 1993-11-16 1995-05-30 Fukuoka Pref Gov ポリ−γ−グルタミン酸成形物およびその成形方法
JP2000327795A (ja) * 1999-05-20 2000-11-28 Toshio Hara ポリ−γ−グルタミン酸架橋体の製造方法及びその製造装置
JP4496360B2 (ja) * 2003-04-24 2010-07-07 国立大学法人九州大学 医療用高分子ナノ・マイクロファイバー
JP4574214B2 (ja) * 2004-04-27 2010-11-04 出光テクノファイン株式会社 ポリ−γ−グルタミン酸架橋体の製造方法
JP2006283240A (ja) * 2005-04-01 2006-10-19 Oji Paper Co Ltd ウェブ製造装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN107212088A (zh) * 2017-06-07 2017-09-29 广东工业大学 一种静电纺丝纤维包膜装置
CN107212088B (zh) * 2017-06-07 2020-03-10 广东工业大学 一种静电纺丝纤维包膜装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013019093A (ja) 2013-01-31

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Ding et al. Electrospinning: nanofabrication and applications
Mirjalili et al. Review for application of electrospinning and electrospun nanofibers technology in textile industry
Wang et al. The development and bio-applications of multifluid electrospinning
US7767297B2 (en) Fiber, fiber assembly, and fiber producing method
Elsabee et al. Chitosan based nanofibers, review
Deng et al. Enhanced bacterial inhibition activity of layer-by-layer structured polysaccharide film-coated cellulose nanofibrous mats via addition of layered silicate
JP4871196B2 (ja) セルロース極細繊維およびその繊維集合体シートとその製造方法
CN102813965B (zh) 一种多层有序的丝素蛋白组织工程支架及其制备方法
JP5451837B2 (ja) 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法
JP5166953B2 (ja) 繊維、繊維集合体、および繊維の製造方法
Choi et al. Aligned cellulose nanofiber composite made with electrospinning of cellulose nanofiber-polyvinyl alcohol and its vibration energy harvesting
Yadav et al. Electrospinning: an efficient biopolymer-based micro-and nanofibers fabrication technique
KR101628205B1 (ko) 일방향 전이 기능을 갖는 창상 피복재 및 그의 제조방법
CN104674454B (zh) 聚乳酸熔融纺纤维热粘合固化三维多孔无序支架的制备方法
JP5417571B2 (ja) 創傷被覆材
JP2009091682A (ja) 繊維架橋体および繊維架橋体の製造方法
KR20140069085A (ko) 극세 섬유 시트
Makowski et al. Multifunctional polylactide nonwovens with 3D network of multiwall carbon nanotubes
Ahmadi Bonakdar et al. Electrospinning: Processes, structures, and materials
Das et al. Electrospinning: the state of art technique for the production of nanofibers and nanofibrous membranes for advanced engineering applications
Rahmani et al. Electrospinning of cellulose nanofibers for advanced applications
Alvarado et al. Nanofiber alignment for biomedical applications
Sasikanth et al. Nanofibers-a new trend in nano drug delivery systems
KR101033278B1 (ko) 전기방사를 이용한 개선된 폴리비닐알코올 나노섬유 멤브레인의 제조방법
Hoque et al. New generation antibacterial nanofibrous membrane for potential water filtration

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130521

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130522

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130710

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20130919

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20130919

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131217

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131226

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5451837

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150