JP5448494B2 - 偏光計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 - Google Patents

偏光計測装置、露光装置、及びデバイス製造方法 Download PDF

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本発明は、光の偏光状態を計測する偏光計測装置に関する。
近年、投影露光装置の露光性能を向上させるため、液浸露光装置等の高NA化(高NA結像)技術が注目されている。高NA化を実現するには露光光の偏光状態を制御することが重要であり、露光光の偏光制御は、通常、照明光学系、より具体的には照明光学系の瞳近傍で行われる。
しかしながら、照明光学系の瞳近傍で露光光の偏光状態を制御する場合でも、照明光学系の瞳以降の光学系又は投影光学系の影響により、照明光学系の瞳近傍で制御した偏光状態が常に維持されて像面上に到達するとは限らない。例えば、透過率又は反射率を向上させるために、レンズに反射防止膜又は反射ミラーに高反射膜が形成されており、これらは偏光状態を変化させる。また、硝材として用いられる石英や蛍石は複屈折を有するため、偏光状態を変化させる。更に、硝材を保持する鏡筒等のメカ部材の応力によって硝材の有する複屈折は変化し、硝材の複屈折を常に一定に維持させることは困難である。
例えば特許文献1には、レチクルステージの上部に構成された光学系を用いて、露光光の偏光状態、及び、投影光学系の複屈折を計測することが開示されている。また、特許文献2には、投影光学系の製造過程にて投影光学系の複屈折を計測することが開示されている。また、特許文献3には、波長板の位相差量を予め測定し、測定後の波長板を露光装置に搭載することが開示されている。
特開2007−59566号公報 特開2006−214856号公報 特開2006−179660号公報
ところで、露光光の偏光状態、及び、投影光学系の複屈折を計測するには、周知の回転位相子法が用いられる。回転位相子法による偏光計測装置では、波長板(λ板)や偏光子等の偏光素子が用いられ、これらの偏光素子は被検光に対して設計通りの光学特性(偏光特性)を有する必要がある。
しかしながら、現在、露光光源として用いられるエキシマレーザのような短波長光に対して、設計通りの偏光特性を有する偏光素子を製造することは困難である。仮に、設計通りの偏光特性を有する波長板を安定的に製造しようとすると、高精度な加工機や成膜装置等が必要となり、コスト面や歩留まり面で好ましくない。設計通りの偏光特性を有さない波長板を用いて偏光計測を行うと、波長板の実際の偏光特性と、偏光状態を算出する際の計算パラメータとして用いられる波長板の偏光特性が異なるため、偏光状態を正確に計測することはできない。
例えば特許文献3のように、予め別の偏光計測装置にて実際に用いられる波長板の偏光特性を計測し、偏光状態を算出する際にはこの計測値を用いることができる。しかし、波長板の偏光特性を正確に計測することは困難であり、また、多くの計測時間が必要となる。また、波長板の偏光特性は、偏光計測装置及び露光装置の環境により変化しうる。このため、予め波長板の偏光特性を計測したとしても、安定的、且つ、正確な偏光計測は困難である。
そこで本発明は、光の偏光状態を高精度に計測可能な偏光計測装置を提供する。
本発明の一側面としての偏光計測装置は、光の偏光状態を計測する偏光計測装置であって、光軸回りに回転して光の偏光状態を変化させる位相子と、前記位相子を通過した光の所定の偏光成分のみを通過させる第一の偏光子と、前記第一の偏光子を通過した光を検出する検出器と、前記位相子の位相差量をパラメータとして前記検出器の検出結果を用いて偏光度を算出し、算出される偏光度が1となる前記位相差量のパラメータの値を求め、求められた位相差量のパラメータの値を用いて前記偏光状態を算出する制御部と、を有し、前記偏光度をP、ストークスパラメータをS 、S 、S 、S とする場合、該偏光度Pは、



により算出される。
本発明の他の側面としての露光装置は、原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、光源からの光を用いて前記原版を照明する照明光学系と、前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、前記原版を照明する露光光の偏光状態、及び、前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系の複屈折の少なくとも一方を計測する前記偏光計測装置とを有する。
本発明の別の側面としてのデバイス製造方法は、前記露光装置を用いて基板を露光するステップと、露光された前記基板を現像するステップとを有する。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、光の偏光状態を高精度に測定可能な偏光計測装置を提供することができる。
実施例1における露光装置の概略構成図である。 実施例1における校正部の概略断面図である。 実施例1における露光装置の別形態の概略構成図である。 実施例2における校正部の概略構成図である。 実施例2における校正部のうちの光学ユニットの概略断面図である。 実施例1において、計算パラメータとしてのλ/4板の位相差量(度)を変化させた場合の偏光度Pの算出結果である。 実施例3における露光装置の概略構成図である。 実施例4における露光装置の概略構成図である。 実施例5における露光装置の概略構成図である。 実施例5における偏光子ユニットの概略断面図である。
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
まず、本発明の実施例1について説明する。図1は、本実施例における露光装置の概略構成図である。本実施例の露光装置1aは、ステップ・アンド・スキャン方式でレチクル30(原版)のパターンをウエハ50(基板)に露光する投影露光装置である。ただし本実施例は、ステップ・アンド・リピート方式やその他の露光方式による露光装置にも適用可能である。
露光装置1aは、光源10、照明光学系20、レチクル30を保持するレチクルステージ35、投影光学系40、及び、ウエハ50を保持するウエハステージ55を有する。また露光装置1aは、制御部60、計測部70、及び、校正部80を備える。なお、露光装置1aは、図示しないアライメント検出系やフォーカス検出系等も備えている。露光装置1aにおいて、制御部60、計測部70、及び、校正部80は、光の偏光状態を計測する偏光計測装置として用いられる。
光源10は、例えば、波長約193nmのArFエキシマレーザや波長約248nmのKrFエキシマレーザなどのエキシマレーザを使用する。ただし、光源10はエキシマレーザに限定されるものではなく、波長約157nmのF2レーザ、波長10nm乃至15nm程度のEUV(Extreme Ultra Violet)光、水銀ランプやキセノンランプ等のランプを用いてもよい。照明光学系20は、光源10からの光を用いてレチクル30を照明する光学系である。本実施例において、照明光学系20は、光源10からの光を光軸に対して対称な形状に整形する整形光学系22、可干渉距離を低下させるインコヒーレント化光学系24、偏光状態を制御する偏光制御部25、及び、レチクル30を照明する照明系26を含む。
レチクル30は回路パターンを有し、レチクルステージ35により保持及び駆動される。レチクルステージ35は、レチクル30を保持すると共に、x軸方向、y軸方向、z軸方向及び各軸の回転方向にレチクル30を駆動する。また本実施例において、レチクルステージ35は校正部80を載置し、レチクル30と同様に、x軸方向、y軸方向、z軸方向及び各軸の回転方向に校正部80を駆動する。なお、図1において、レチクル30又はウエハ50の面内での走査方向をy軸、その面内での走査方向とは垂直な方向をx軸、レチクル30又はウエハ50の面に垂直な方向をz軸とする。投影光学系40は、レチクル30のパターンをウエハ50に投影する光学系である。投影光学系40としては、屈折系、反射屈折系、又は、反射系のいずれを用いてもよい。
ウエハ50は、レチクル30のパターンが投影(転写)される基板である。ただし、ウエハ50は、ガラスプレートやその他の基板に置換することもできる。ウエハステージ55は、ウエハ50を保持すると共に、x軸方向、y軸方向、z軸方向及び各軸の回転方向にウエハ50を駆動する。また、ウエハステージ55は、凹面ミラー713をx軸方向、y軸方向、z軸方向及び各軸の回転方向に駆動可能に保持する。
制御部60は、CPUやメモリ等を有し、露光装置1の動作を制御する。制御部60は、レチクルステージ35及びウエハステージ55の周辺に配置されたレーザ干渉計の測定結果に基づいて、レチクルステージ35及びウエハステージ55をnmオーダーで同期制御する。なお、レーザ干渉計は、レチクルステージ35及びウエハステージ55の投影光学系40の光軸方向(即ち、z軸方向)及び投影光学系40の光軸に対して垂直な面内(即ち、xy平面)の位置を測定する。
制御部60は、後述する計測部70の動作も制御する。例えば、制御部60は、レチクルステージ35やウエハステージ55を介して、計測部70の校正時や光の偏光状態の計測時に必要となる校正部80の駆動や凹面ミラー713の駆動を制御する。ここで、偏光状態の計測とは、露光装置1における露光光の偏光状態の計測、及び、投影光学系40の複屈折の計測を含むものである。制御部60は、計測部70の校正時や光の偏光状態の計測時に必要となる算出処理を行う算出部として機能する。例えば、制御部60は、撮像素子711で撮像された画像に基づいて露光光の偏光状態を表すストークスパラメータ、及び、偏光度、あるいは、光学系の複屈折を表すジョーンズ行列を算出する。また制御部60は、計測部70による計測部70と投影光学系40の全体の複屈折を測定した結果から計測部70の複屈折を分離して、投影光学系40の複屈折を算出する。なお、制御部60による具体的な算出処理については後述する。
計測部70は、光源10からの光を投影光学系40に入射させて、投影光学系40を通過した光を撮像素子711に入射させる結像光学系を含み、投影光学系40の複屈折を測定する。ただし計測部70は、上述のように結像光学系を有している。このため、計測部70の測定結果には、投影光学系40(被検光学系)の複屈折及び計測部70(結像光学系)の複屈折の両方が含まれることになる。本実施例において、計測部70は、ファイバ701、ファイバポート702、偏光子703(第二の偏光子)、ビームエキスパンダ705、ハーフミラー706a、706b、及び、対物レンズ707を有する。さらに計測部70は、瞳結像レンズ708、λ/4板709(位相子)、検光子710(第一の偏光子)、撮像素子711(検出器)、空間フィルタ712、及び、凹面ミラー713を有する。また計測部70は、計測部70の瞳面と投影光学系40の瞳面と撮像素子711とが光学的に共役関係となるように設計されている。
上述のように、校正部80は、レチクルステージ35に載置され、計測部70の結像光学系の光路に挿脱可能に構成されている。校正部80は、計測部70の校正時において、計測部70の結像光学系の複屈折を測定するために投影光学系40の物体面側に配置される光学ユニットである。校正部80は、例えば、複数のミラーや複数のプリズムを含み、計測部70からの光を反射して投影光学系40を介さずに計測部70に戻す。
図2は、本実施例における校正部80の概略断面図である。図2に示されるように、校正部80は、凹面ミラー82、凹面ミラー84、及び、プリズム86を有する。凹面ミラー82は、計測部70の結像光学系全体の複屈折を測定する際に用いられる。また、凹面ミラー84及びプリズム86は、計測部70の結像光学系のうち復路光学系の複屈折を測定する際に用いられる。本実施例において、プリズム86は、3つのプリズム86a乃至86cを含み、プリズム86a乃至86cは、z軸に対してそれぞれ異なる角度(例えば、0度、60度、120度)で配置され、所定の直線偏光のみを透過する。従って、プリズム86a乃至86cのそれぞれは、互いに異なる3つの直線偏光を透過する。また、3つのプリズム86a乃至86cのそれぞれに対応して、3つの凹面ミラー84a乃至84cが配置されている。凹面ミラー84a乃至84cは、プリズム86a乃至86cを透過した光をそれぞれ反射して、計測部70に戻す。
次に、計測部70及び校正部80の詳細な構成及び機能と共に、制御部60による算出処理について説明する。まず、計測部70の複屈折(システムエラー)の測定方法について説明する。上述のように、複屈折はジョーンズ行列で表される。このため、計測部70によって計測部70及び投影光学系40の全体の複屈折を測定した結果からシステムエラーを分離(除去)するには、行列計算が必要となる。従って、計測部70の結像光学系を、光源10からの光を投影光学系40に入射させる往路光学系と投影光学系40からの光を撮像素子711に入射させる復路光学系とに分離して、往路光学系の複屈折及び復路光学系の複屈折をそれぞれ得る必要がある。本実施例では、計測部70の結像光学系全体の複屈折を表すジョーンズ行列をJ_m、復路光学系の複屈折を表すジョーンズ行列をJ_r、往路光学系の複屈折を表すジョーンズ行列をJ_gとする。
光源10からの光は、ファイバ701を介して、ファイバポート702から射出する。ファイバポート702から射出した光は、偏光子703を透過する。偏光子703は、図示しないθステージ上に載置され、光の所定の偏光成分のみを通過させる。θステージで偏光子703を回転させることにより、既知の偏光光(直線偏光)を得ることができる。偏光子703を透過した光は、光束径を拡大するビームエキスパンダ705を介してハーフミラー706a、706bで反射され、対物レンズ707に入射する。
計測部70の結像光学系全体の複屈折を測定する際には、レチクルステージ35に載置された校正部80が投影光学系40の物体面側に配置される。具体的には、凹面ミラー82が対物レンズ707の直下に位置し、且つ、対物レンズ707の集光位置と凹面ミラー82の曲率中心とが一致するように校正部80が配置される。校正部80に入射した光は、凹面ミラー82で反射され、対物レンズ707、ハーフミラー706a、706b、及び、瞳結像レンズ708を介して、θステージ上に載置されたλ/4板709(位相子)に入射する。λ/4板709は、光軸回りに回転して光の偏光状態を変化させる。λ/4板709で変調された光は、検光子710(第一の偏光子)を介して撮像素子711(検出器)に入射する。検光子710は、λ/4板709を通過した光の所定の偏光成分のみを通過させる。撮像素子711は、検光子710を通過した光を検出する。即ち、撮像素子711は、検光子710の透過軸の角度によって定まる直線偏光成分のみを撮像する。
具体的には、λ/4板709を回転させながら撮像素子711で撮像を行うと、撮像素子711の各画素で検出される光強度が周期的に変化する。回転位相子法では、この周期的な変化を解析することにより、入射光の偏光状態を計測することが可能である。また、撮像素子711は、計測部70の瞳面及び投影光学系40の瞳面に対して共役に配置されている。このため、撮像素子711の各画素に対応した光学系の瞳面を通過した光の偏光状態、及び、複屈折を計測することができる。ただし、撮像素子711の各画素における計測及び処理方法は共通であるため、ここでは、特に断りがない限りある一画素における計測及び処理方法についてのみ説明する。
一般的に、光の偏光状態は、ストークスパラメータ(S、S、S、S)を用いて表される。ここで、「S」は入射光の全強度、「S」は水平直線偏光及び垂直直線偏光の強度、「S」は45度直線偏光及び135度直線偏光の強度、及び、「S」は右まわり円偏光及び左まわり円偏光の強度をそれぞれ表している。
また、光学系の複屈折を表すジョーンズ行列を求めるには、互いに異なる3つの角度(例えば、0度、60度、120度)を偏光子703に設定する。これらの3つの既知の偏光光を光学系に入射して、制御部60がそれらの入射光のストークスパラメータを計測する。次に、以下の式(1)に従い、それぞれのストークスパラメータから偏光パラメータを算出することにより、ジョーンズ行列を算出する。
偏光パラメータからジョーンズ行列を算出する方法は、例えば特許文献2に開示されているため、詳細な説明は省略する。このようにして、偏光子703からλ/4板709までの複屈折、即ち、計測部70の結像光学系全体の複屈折を表すジョーンズ行列J_mを得ることができる。また、回転位相子法によりジョーンズ行列を計測するには、光強度データからストークスパラメータを算出する際に、実際のλ/4板709の位相差量と検光子710の消光比を計算パラメータとして用いる必要がある。偏光パラメータからジョーンズ行列を算出する際には、偏光子703の設定角度を計算パラメータとして用いる。
また、計測部70の復路光学系の複屈折を測定する際には、凹面ミラー84及びプリズム86が対物レンズ707の直下に位置するように、校正部80が配置される。例えば、凹面ミラー84a及びプリズム86aが対物レンズ707の直下に位置するように校正部80を配置した場合、凹面ミラー84aで反射される光は、プリズム86aの角度によって定まる既知の直線偏光である。従って、対物レンズ707、ハーフミラー706a、706b、及び、瞳結像レンズ708に対し、プリズム86aの角度によって定まる直線偏光を入射した際の偏光パラメータが測定される。同様に、凹面ミラー84b及びプリズム86b、及び、凹面ミラー84c及びプリズム86cのそれぞれが対物レンズ707の直下に位置するように校正部80を配置することで、互いに異なる3つの偏光パラメータを測定することができる。これにより、対物レンズ707からλ/4板709までの複屈折、即ち、計測部70の復路光学系の複屈折を表すジョーンズ行列J_rを得ることができる。
ここで、校正部80におけるプリズム86について説明する。本実施例において、プリズム86としては、ウォラストンプリズムが用いられる。ウォラストンプリズムは、入射光に対して等しい角度で常光と異常光とを分離する。従って、プリズム86としてウォラストンプリズムを用いる場合、異常光を空間フィルタ712で遮光することにより、撮像素子711に異常光が入射することを防止する必要がある。
空間フィルタ712の開口半径がΔrである場合、常光と異常光の分離角θDは、以下の式(2)で表される。
θD=Δr/f0 … (2)
式(2)において、f0は、瞳結像レンズ708の焦点距離、より詳細には、瞳結像レンズ708を構成するレンズのうちハーフミラー706a、706b側に配置されたレンズの焦点距離を表している。
ウォラストンプリズムは、常光も入射光に対して傾いた方向に射出するため、常光が空間フィルタ712(の開口)を通過するように、凹面ミラー84の位置を調整する必要がある。また、ウォラストンプリズムは、分離角θDが小さい場合、プリズムの接合角を小さくすることができる。従って、ウォラストンプリズムは薄型化が可能であり、プリズム86として対物レンズ707の集光位置の近傍に配置した場合でも、収差の発生を抑制することができる。プリズムは、一般的には、複屈折硝材で構成されるため、集光位置に配置すると結晶軸方向に位相差が生じる。しかし、このような位相差を相殺する複屈折硝材を凹面ミラー84とプリズム86との間に配置することにより、収差の発生を抑制することが可能である。なお、本実施例では、プリズム86としてウォラストンプリズムを用いているが、対物レンズ707の開口角が小さい場合には、グラントムソンプリズムやサバール板等に置換してもよい。
偏光子703から対物レンズ707までの複屈折、即ち、計測部70の往路光学系の複屈折を表すジョーンズ行列J_gは、ジョーンズ行列J_m、J_rを用いて、以下の式(3)で算出される。
J_g=J_r−1×J_m … (3)
式(3)において、J_r−1は、計測部70の復路光学系の複屈折を表すジョーンズ行列J_rの逆行列を表している。
次に、計測部70によって計測部70と投影光学系40の全体の複屈折を測定した結果から、計測部70の複屈折(システムエラー)を分離(除去)する方法について説明する。計測部70の結像光学系の光路から校正部80を退避させ、対物レンズ707の焦点位置が投影光学系40の物点と一致するように対物レンズ707を配置する。また、ウエハステージ55に保持された凹面ミラー713の曲率中心と投影光学系40の結像点とが一致するように凹面ミラー713を配置する。
対物レンズ707からの光は、投影光学系40(被検光学系)を通過し、凹面ミラー713で垂直反射する。凹面ミラー713で垂直反射した光は、投影光学系40を再び通過し、対物レンズ707、ハーフミラー706a、706b、瞳結像レンズ708、λ/4板709、及び、検光子710を介して、撮像素子711に入射する。この際、計測部70と投影光学系40との全体の複屈折が測定される。
従って、計測部70と投影光学系40との全体の複屈折を表すジョーンズ行列をJ_aとすると、投影光学系40の複屈折を表すジョーンズ行列J_pは、以下の式(4)で算出される。ただし、行列の累乗根計算は例えば特許文献2に記載されているため、詳細な説明は省略する。
J_p=(J_r−1×J_a×J_g−1)1/2 … (4)
このように、本実施例では、計測部70の往路光学系の複屈折及び復路光学径の複屈折を2回の測定で得ることが可能であり、また、計測部70と投影光学系40との全体の複屈折からシステムエラーを分離することができる。従って、本実施例の露光装置1は、投影光学系40の複屈折を露光装置内で計測することが可能となる。
しかし上述のように、加工誤差のため、λ/4板709の位相差量は、設計値通りの位相差量となっていない場合がある。実際のλ/4板709の位相差量と計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量との間に誤差が生じていると、ストークスパラメータを正確に計測することができない。即ち、各偏光パラメータ、及び、ジョーンズ行列を正確に計測することができず、投影光学系40の複屈折を高精度に計測することができない。ストークスパラメータを正確に計測するには、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を、実際のλ/4板709の位相差量に一致させる(λ/4板709の位相差量を校正する)必要がある。
そこで本実施例では、以下の式(5)を利用して、計測部70により得られる光強度データからストークスパラメータを算出する。
ここで「P」は、入射光の全光量(S)における偏光成分(√(S +S +S ))の割合を示しており、一般的に偏光度と呼ばれている。式(5)において、入射光が完全偏光であり、且つ、実際のλ/4板709の位相差量と計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量とが一致する場合、偏光度Pは1となる。偏光度Pが1の場合、その光束が完全偏光であることを示し、偏光度Pが1未満の場合、その光束が部分偏光であることを示している。偏光子703は高い消光比(数十dB)を有するため、ファイバポート702から射出した光のうち、偏光子703によりほぼ完全な直線偏光のみが計測部70に入射する。また、計測部70には偏光解消効果がある光学素子は含まれていない。このため、計測部70で計測される光束の偏光度Pは、理想的には1となる。
しかし、実際のλ/4板709の位相差量と計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量とが異なる場合、計測する光束が完全偏光であっても、式(5)から算出される偏光度Pは1にならない。このことを利用し、λ/4板709を露光装置1(偏光計測装置)に搭載した状態で、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を決定する。具体的には、制御部60は、計測部70により得られた光強度データからストークスパラメータを算出する際に、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を変更しながら複数の偏光度Pを算出する。そして制御部60は、偏光度Pが1、又は、偏光度Pが1に最も近くなるときの位相差量を用いて算出したストークスパラメータを、最終的な結果として採用する。このように、本実施例の制御部60は、λ/4板709を露光装置1(偏光計測装置)に搭載した状態で、λ/4板709の位相差量を高精度に決定(補正)する。具体的には、制御部60は、λ/4板709に入射した既知の偏光光に基づいてλ/4板709の位相差量を補正する。即ち、制御部60は、撮像素子711で検出される光の偏光度Pが1となるようにλ/4板709の位相差量を補正する。そして制御部60は、補正された位相差量を計算パラメータとして用い、ストークスパラメータを算出する。
図6は、本実施例において、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量(度)を変化させた場合の偏光度Pの算出結果である。図6に示されるように、λ/4板709の位相差量を88乃至96度の間で変化させた場合、偏光度Pは0.8乃至1.2程度の間で変化する。そして、λ/4板709の位相差量が92度のときに偏光度Pが1となっている。従って、図6に示されるような結果が得られた場合には、λ/4板709の位相差量が92度のときに算出したストークスパラメータを最終結果(位相差量の補正値)として採用する。
なお、実際にストークスパラメータを計測する工程は、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を変えて偏光度Pを算出し、位相差量を決定する工程とは別に行ってもよい。即ち、予め、計測部70により光強度データを取得し、この光強度データからλ/4板709の位相差量を変えて偏光度Pを算出して、偏光度Pが1となるλ/4板709の位相差量の決定しておく。そして再度、計測部70による光強度データの取得を行い、決定した位相差量を計算パラメータとしてストークスパラメータを計測する。
計測部70による偏光度Pの計測結果が1とならない要因として、λ/4板709の位相差量の他に、λ/4板709の回転開始位置がずれていることがある。計測部70によるストークスパラメータの計測では、検光子710の透過軸がλ/4板709の進相軸(又は、遅相軸)に一致した状態からλ/4板709を360度回転させて、光強度データを得ることが望ましい。これらの軸が互いに一致しない状態からλ/4板709を360度回転させ、得られた光強度データからストークスパラメータを計測した場合、誤差を含み偏光度Pが1とならないことがある。
これは、偏光子703の角度を検光子710の透過軸の角度に一致させた場合、実際のλ/4板709の位相差量と計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量とが異なることにより、偏光度Pが最も敏感に1からずれるためである。一方、検光子710の透過軸とλ/4板709の進相軸(あるいは遅相軸)とが一致してない場合、偏光度Pは最も鈍感に1からずれる。
このように、位相差量の精度低下を抑制するため、λ/4板709の位相差量を決定する際には、検光子710の透過軸の角度を偏光子703の角度と同一に設定することが望ましい。例えば検光子710の透過軸が0度である場合、偏光子703も0度に設定し、λ/4板709を回転させて得られた光強度データからλ/4板709の位相差量を決定すればよい。このような構成により、検光子710の透過軸がλ/4板709の進相軸(あるいは遅相軸)に一致していない場合でも、λ/4板709の位相差量を高精度に決定し、さらに、ストークスパラメータを高精度に計測することができる。
また、それぞれのジョーンズ行列(J_m、J_r、J_a)の計測における偏光子703の設定の全てに対し、計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量の決定を行う必要はなく、少なくとも1つの設定に対して行えばよい。また、λ/4板709の位相差量を決定する工程と、実際にストークスパラメータを計測する工程とは別でもよく、実際のストークスパラメータの計測の機会とは別に、λ/4板709の位相差量の決定は定期的又は不定期的に実施してもよい。
撮像素子711は、二次元的に配置された複数の画素を有する。このため、画素毎に偏光度Pを算出し、それらの平均値が1となるように計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を決定することができる。また、画素毎での偏光度Pが1となるように画素毎で計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を決定してもよい。画素毎で計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量を決定することで、λ/4板709の面内の位相差量の分布による計測精度の低下を抑制することができる。
図3は、上述の露光装置1aとは別形態である露光装置1bの概略構成図である。上述の校正部80は、レチクルステージ35に載置されているが、露光装置1bのように、校正部80を投影光学系40(具体的には、投影光学系40を構成する鏡筒の入射面)に載置することもできる。この場合、対物レンズ707が校正部80の直上に配置することが可能なように、対物レンズ707が駆動可能に構成される。図3では、校正部80の全体が投影光学系40に搭載されているが、校正部80のうちの凹面ミラー82のみを投影光学系40に搭載するようにしてもよい。
本実施例では、λ/4板709が計測部70に構成された状態で計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量が決定可能であり、実際のλ/4板709の位相差量と計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量とを一致させることができる。このため、高精度、且つ、安定的にストークスパラメータ、及び、投影光学系40の複屈折を計測することが可能となる。
次に、本発明の実施例2において、計測部70の複屈折(システムエラー)の校正方法について説明する。図4は、本実施例における校正部の概略構成図である。ここでは実施例1との相違点のみ説明し、同一部箇所についての説明は省略する。
図4に示されるように、本実施例の校正部800は、互いに異なる角度で配置された3つの光学ユニット810a乃至810cを備えて構成される。この場合、光学ユニット810a乃至810cのそれぞれを対物レンズ707の直下に配置して、互いに異なる3つの偏光パラメータを測定し、ジョーンズ行列を算出する。なお、光学ユニット810a乃至810cは、レチクルステージ35に載置されていてもよいし、投影光学系40に載置されていてもよい。
図5は、校正部800のうちの光学ユニット810aの概略断面図である。図5に示されるように、光学ユニット810aは、凹面ミラー82、折り曲げミラー811a、レンズ812a、偏光ビームスプリッタ813a、及び、反射ミラー814aを有する。本実施例では、凹面ミラー82は光学ユニット810aに設けられているが、投影光学系40に設けられていてもよい。上述のように、凹面ミラー82は、計測部70の結像光学系全体の複屈折を測定する際に用いられる。折り曲げミラー811a、レンズ812a、偏光ビームスプリッタ813a、及び、反射ミラー814aは、計測部70の結像光学系のうち復路光学系の複屈折を測定する際に用いられる。なお、光学ユニット810b、810cは、凹面ミラー82を有していないだけで光学ユニット810aと同様な構成を有しているため、詳細な説明は省略する。
計測部70の復路光学系の複屈折を測定する際には、折り曲げミラー811aが対物レンズ707の直下に位置するように光学ユニット810aが配置される。対物レンズ707からの光は、折り曲げミラー811aで垂直な方向に偏向されてレンズ812aに入射する。レンズ812aに入射した光は、平行光となって偏光ビームスプリッタ813aに入射し、偏光ビームスプリッタ813aの角度によって定まる直線偏光のみが反射ミラー814aに入射する。反射ミラー814aに入射した光は垂直反射され、偏光ビームスプリッタ813a、レンズ812a、及び、折り曲げミラー811aを介して、対物レンズ707に戻る。なお、折り曲げミラー811a及びレンズ812aは、計測部70の復路光学系の複屈折に対して十分に小さい複屈折を有する硝材で構成されることが好ましい。これにより、偏光パラメータは、計測部70の復路光学系に偏光ビームスプリッタ813aで定まる直線偏光を入射した際のものであるとみなすことが可能となる。光学ユニット810b、810cでも同様な測定を行うことで、3つの偏光パラメータから計測部70の復路光学系のジョーンズ行列J_rを求めることができる。なお、計測部70の結像光学系全体の複屈折を表すジョーンズ行列J_mの測定(算出)方法や計測部70と投影光学系40との全体の複屈折からシステムエラーを分離する方法については、上述のとおりである。
本実施例において、光学ユニット810aは反射ミラー814aを有しているが、反射ミラー814aの代わりに偏光ビームスプリッタ813aの射出面(反射ミラー814aに対向している面)に反射膜を形成してもよい。また、偏光ビームスプリッタ813aで反射された光を垂直反射させるのではなく、偏光ビームスプリッタ813aを透過した光を垂直反射させてもよい。
また、計測部70の復路光学系の複屈折に対して十分に小さい複屈折を有する硝材で折り曲げミラー811a及びレンズ812aを構成することができない場合、折り曲げミラー811a、レンズ812aの複屈折を予め測定しておく。そして、折り曲げミラー811a及びレンズ812aの複屈折に基づいて、計測部70の復路光学系に入射する光の偏光状態を算出してもよい。
本実施例によれば、校正部800において光束が平行な位置で偏光ビームスプリッタ等の偏光素子を用いることができるため、偏光素子の光学性能を低下させることなく高精度に投影光学系40の複屈折を計測することが可能となる。
次に、本発明の実施例3について説明する。本実施例は、照明光学系20によりレチクル30を露光照明する露光光の偏光状態を計測部70を用いて計測する方法である。本実施例では、上述の実施例1及び実施例2との相違点のみ説明し、同一の構成についての説明は省略する。
レチクル30面における露光光の偏光状態を計測するには、リレー部90が用いられる。リレー部90は、偏光計測装置の一部を構成し、その内部に複数のレンズやミラーが設けられている。リレー部90は、校正部80と同様にレチクルステージ35に搭載可能である。図7を参照して、リレー部90の構成、及び、リレー部90と計測部70とを用いて露光光の偏光状態を計測する方法について説明する。
図7は、本実施例における露光装置1cの概略構成図であり、リレー部90がレチクルステージ35に載置された状態を示している。リレー部90は、投影光学系40の物体面(レチクル30面)を焦点位置として、照明光学系20からの光束を平行光とするためのリレーレンズ91aを有する。またリレー部90は、照明光学系20からの光束を偏向するための折り曲げミラー92a、及び、光束を計測部70に入射させるための折り曲げミラー92bを有する。さらにリレー部90は、投影光学系40の物体面を焦点位置とし、光束を再び投影光学系40の物体面に集光するためのリレーレンズ91bを有する。
レチクル30面における露光光の偏光状態を計測する際には、照明光学系20からの露光光がリレーレンズ91aからリレー部90に入射するように、レチクルステージ35が駆動される。また計測部70は、対物レンズ707の焦点位置とリレーレンズ91bの焦点位置とが一致するように、対物レンズ707を駆動する。この状態で、照明光学系20は、計測すべき偏光状態で照明を行う。同時に、計測部70がλ/4板709を回転させながら撮像素子711で撮像を行うと、撮像素子711の各画素で検出される光強度が周期的に変化する。この周期的な変化を解析することにより、照明光の偏光状態を計測することが可能である。
しかし、ここで計測される照明光の偏光状態は、リレー部90、及び、計測部70の復路光学系の複屈折の影響を受けている。このため、レチクル30面での露光光の偏光状態を計測するには、リレー部90、及び、計測部70の復路光学系を介して得られた偏光状態の結果から、リレー部90の複屈折及び計測部70の復路光学系の複屈折を除去(校正)する必要がある。
計測部70の復路光学系の複屈折を計測するには、実施例1及び実施例2と同様の方法を用いることができる。リレー部90の複屈折を計測するには、リレーレンズ91aの焦点を曲率中心とする凹面ミラー93をリレー部90に取り付ける。計測部70は、対物レンズ707の焦点位置とリレーレンズ91bの焦点位置とが一致するように対物レンズ707を駆動し、ファイバ701にて照明することで、実施例1と同様の方法で計測部70とリレー部90とを合わせた複屈折を計測することができる。また、計測部70とリレー部90とを合わせた複屈折の計測結果から、リレー部90のみの複屈折を計測するためには、実施例1と同様の方法で計測部70全体の複屈折と、計測部70の復路光学系の複屈折とを計測し、行列計算することで算出可能である。
レチクル30面における露光光の偏光状態は、リレー部90及び計測部70の復路光学系を介した露光光の偏光状態の計測結果から、リレー部90及び計測部70の復路光学系の複屈折の影響を除去(校正)することにより算出される。このような算出は、偏光計測装置の一部を構成する制御部60により行われる。
計算パラメータとしてのλ/4板709の位相差量は、リレー部90、及び、計測部70の復路光学系を介して露光光の偏光計測を行う際に得られた光強度データから決定することができる。または、実施例1で説明した計測部70の校正時の光強度データから決定してもよい。このように、本実施例では、リレー部90、及び、計測部70の復路光学系を介して露光光の偏光状態の計測する場合、偏光度Pが1となるように決定したλ/4板709の位相差量を計算パラメータとして用いることで、高精度、且つ、安定的な計測が可能となる。
次に、本発明の実施例4について説明する。本実施例は、投影光学系40の複屈折を計測する形態であり、上述の各実施例との相違点のみ説明する。
図8は、本実施例における露光装置1dの概略構成図である。本実施例の露光装置1dは、ウエハステージ55に搭載した計測ユニット100を用いて投影光学系40の複屈折を計測する。計測ユニット100は、投影光学系40に近い側から、ピンホール101、コリメータレンズ102、λ/4板103(位相子)、偏光子104(第一の偏光子)、及び、撮像素子105(検出器)を備えて構成される。偏光子104は、プリズム86又は偏光子703と同様のものを使用可能であり、λ/4板103は不図示の駆動系により光軸回りに回転可能である。また撮像素子105は、コリメータレンズ102により、投影光学系40の瞳面と光学的に共役関係であるように配置されている。
本実施例において投影光学系40の複屈折を計測するには、まず、計測部70の往路光学系と投影光学系40とを合わせた複屈折を計測する。偏光子703の設定で決まる少なくとも3つの既知の偏光光(直線偏光)を、計測部70から投影光学系40(被検光学系)に入射し、各直線偏光においてλ/4板103を回転させながら撮像素子105で撮像を行う。撮像素子105で得られる光強度は、λ/4板103の回転により周期的に変化し、この変化を解析することで、各直線偏光入射時のストークスパラメータを計測することができる。更に、各直線偏光入射時のストークスパラメータから、計測部70の往路光学系と投影光学系40とを合わせた複屈折を計測することができる。計測部70の往路光学系と投影光学系40とを合わせた複屈折の計測結果から、実施例1及び2と同様の方法で計測した計測部70の往路光学系の複屈折の計測結果を校正(除去)することで、投影光学系40(被検光学系)のみの複屈折を計測することが可能となる。
次に、本発明の実施例5について説明する。図9は、本実施例における露光装置1eの概略構成図である。図9に示されるように、本実施例の露光装置1eは、偏光子ユニット110を備えることで、より簡単に投影光学系40の複屈折を計測することが可能である。
図10は、偏光子ユニット110の概略断面図である。図10に示されるように、偏光子ユニット110は、互いに異なる角度の直線偏光のみを透過する少なくとも3つの偏光子111a、111b、111cを備えて構成されており、レチクルステージ35に搭載可能である。偏光子111a、111b、111cとしては、プリズム86と同様のものを用いることができる。
本実施例では、偏光子111a、111b、111cのいずれかが対物レンズ707と投影光学系40との間に配置されるようにレチクルステージ35が位置調整される。その状態で計測部70に照射することにより、投影光学系40に直線偏光を入射することが可能である。したがって、計測部70で偏光子111a、111b、111cのそれぞれに対し照射を行うことで、少なくとも3つの直線偏光を投影光学系40に入射することが可能である。また、位置調整された計測ユニット100を用いて投影光学系40を透過した各直線偏光を受光することで、投影光学系40の複屈折を計測することが可能である。本実施例によれば、計測部70の複屈折の影響を受けることなく、投影光学系40の複屈折を計測可能であるため、短時間、且つ、高精度に投影光学系40の複屈折を計測することができる。
また、計測ユニット100内のコリメータレンズ102の複屈折は小さいことが好ましいが、コリメータレンズ102の複屈折の影響が大きい場合は、事前にコリメータレンズ102のみの複屈折を計測しておき、投影光学系40の計測結果を校正すればよい。
また、空間的制約からコリメータレンズ102の配置が困難である場合は、コリメータレンズ102を配置しなくてもよい。ただし、この場合は、事前にλ/4板103と偏光子104の光学特性(偏光特性)を計測しておき、投影光学系40の計測結果を校正すればよい。
次に、上述の各実施例における露光装置の動作について説明する。まず、投影光学系40の複屈折を計測する。投影光学系40の複屈折は、上述のように、校正部80を用いて計測部70の複屈折(システムエラー)を計測し、計測部70によって計測部70と投影光学系40との全体の複屈折を測定した結果からシステムエラーを分離することで得られる。投影光学系40の複屈折が計測されると、かかる計測結果に基づいて、投影光学系40の複屈折が調整される。投影光学系40の複屈折は、例えば、投影光学系40を構成する光学素子を光軸周りに回転させたり、光軸方向に駆動したりすることで調整することができる。このように、計測部70(制御部60)は、投影光学系40の複屈折を高精度に計測及び補正することができる。
次に、レチクル30面における露光光の偏光状態を計測する。レチクル30面における露光光の偏光状態は、上述のように、リレー部90と計測部70を用いて照明光学系20からの照明光の偏光状態を計測し、この計測結果からリレー部90と計測部70の復路光学系との複屈折の影響を除去(校正)することで得られる。レチクル30面での露光光の偏光状態が計測されると、かかる計測結果に基づいて、露光光の偏光状態が調整される。露光光の偏光状態はレチクル30のパターンに対し最適な状態となるように偏光制御部25により行われる。
デバイス(半導体集積回路素子、液晶表示素子等)は、前述のいずれかの実施例の露光装置を使用して感光剤を塗布した基板(ウエハ、ガラスプレート等)を露光する工程と、その基板を現像する工程と、他の周知の工程と、を経ることにより製造される。
上述の露光装置が使用する照明光学系の偏光状態、及び、投影光学系の複屈折は高精度に調整されており、優れた結像能力を有する。このため、本実施例のデバイス製造方法によれば、従来よりも高品位のデバイスを製造することができる。このように、上述の露光装置を使用するデバイス製造方法、並びに結果物としてのデバイスも本発明の一側面を構成する。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
1a〜1e 露光装置
60 制御部
70 計測部
80 校正部
90 リレー部
709 λ/4板
710 検光子
711 撮像素子

Claims (6)

  1. 光の偏光状態を計測する偏光計測装置であって、
    光軸回りに回転して光の偏光状態を変化させる位相子と、
    前記位相子を通過した光の所定の偏光成分のみを通過させる第一の偏光子と、
    前記第一の偏光子を通過した光を検出する検出器と、
    前記位相子の位相差量をパラメータとして前記検出器の検出結果を用いて偏光度を算出し、算出される偏光度が1となる前記位相差量のパラメータの値を求め、求められた位相差量のパラメータの値を用いて前記偏光状態を算出する制御部と、を有し、
    前記偏光度をP、ストークスパラメータをS 、S 、S 、S とする場合、該偏光度Pは、



    により算出されることを特徴とする偏光計測装置。
  2. 光の所定の偏光成分のみを通過させる第二の偏光子を有し、
    前記第二の偏光子を通過した既知の偏光光は、前記位相子に入射し、
    前記制御部は、前記位相子に入射した前記既知の偏光光に基づいて前記位相差量のパラメータの値求めることを特徴とする請求項1に記載の偏光計測装置。
  3. 前記第二の偏光子は、前記既知の偏光光を被検光学系に入射し、
    前記制御部は、前記被検光学系の複屈折を算出することを特徴とする請求項2記載の偏光計測装置。
  4. 前記第二の偏光子と前記第一の偏光子との透過軸が一致した状態で前記位相子を回転させて前記検出器が前記第一の偏光子を通過した光を検出した結果を用いて前記偏光度を算出し、算出される偏光度が1となる前記位相差量のパラメータの値を求めることを特徴とする請求項2記載の偏光計測装置。
  5. 原版のパターンを基板に露光する露光装置であって、
    光源からの光を用いて前記原版を照明する照明光学系と、
    前記原版のパターンを前記基板に投影する投影光学系と、
    前記原版を照明する露光光の偏光状態、及び、前記投影光学系の複屈折の少なくとも一方を計測する請求項1乃至4のいずれか一に記載の偏光計測装置と、を有することを特徴とする露光装置。
  6. 請求項記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
    露光された前記基板を現像する工程と、を有することを特徴とするデバイス製造方法。
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