JP5446134B2 - 吸音構造体 - Google Patents
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Description
また、本発明においては、前記複数の振動体の厚さが各々異なっていてもよい。
また、本発明においては、前記空気層に多孔質吸音材を有していてもよい。
また、本発明においては、空気層と交互に重なっている前記複数の振動体のうち最も外側にある2つの振動体の一方に対して前記振動体より高い剛性を有する非振動体が面していてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る吸音構造体1の外観図、図2は、吸音構造体1の分解斜視図、図3は吸音構造体1のA−A線断面矢視図である。なお、図面においては、本実施形態の構成を分かりやすく図示するために、吸音構造体1の寸法を実際の寸法とは異ならせてある。
吸音構造体1は、図に示したように大別すると筐体10、第1振動体20−1および第2振動体20−2で構成されている。
金属板で形成されている筐体10は、正方形で板状の底面部11と、角管の形状で断面形状が正方形の側壁12とを有している。なお、本実施形態においては筐体10は金属で形成されているが、素材は金属に限定されず、第1振動体20−1と第2振動体20−2を支持して前記第1振動体20−1及び第2振動体20−2に振動を発現させるものであれば、金属以外の合成樹脂や木質材料、繊維板など他の素材であってもよい。
吸音構造体1においては、側壁12の一方(裏側)の開口部に底面部11が固着され、他方(表側)の開口部に第1振動体20−1が固着されて底面部11と第1振動体20−1が平行となっている。また、側壁12の内側であって底面部11から第1振動体20−1側へ所定距離離れた位置には、底面部11と平行となるようにして第2振動体20−2が側壁12に固着されている。
なお、本実施形態において第1空気層30−1と第2空気層30−2は密閉されているが、側壁12や底面部11に孔を設けて第1空気層30−1や第2空気層30−2が吸音構造体1の外側の空間と通じるようにしてもよい。
(1)第1振動体20−1と第1空気層30−1で形成される吸音メカニズム。
(2)第2振動体20−2と第2空気層30−2で形成される吸音メカニズム。
(3)第1振動体20−1と、第1空気層30−1および第2空気層30−2が一体となった空気層で形成される吸音メカニズム。
(4)第2振動体20−2と第1空気層30−1で形成される吸音メカニズム。
(5)第1振動体20−1と第2振動体20−2と第2空気層30−2で形成される吸音メカニズム。
また、第1振動体20−1と第2振動体20−2は弾性を有しており、これらの振動体が屈曲振動する場合には、屈曲振動(固有振動)による屈曲系の吸音メカニズムも形成される。なお、本実施形態においては底面部11及び筐体10は第1振動体20−1と第2振動体20−2より高い剛性を有しており、振動しない部材(非振動体)として機能する。
図5(b)に示した吸音構造体は、第2振動体20−2を備えず、第1振動体20−1の厚さが0.85[mm]、第1振動体20−1の背後の空気層の厚さが30[mm]であり、図5(c)に示した吸音構造体は、第2振動体20−2を備えず、第1振動体20−1の素材をABS樹脂に替えてその厚さを3[mm]とし、第1振動体20−1の背後の空気層の厚さを30[mm]としたものである。
(a)第1振動体20−1で反射される反射波。
(b)第1振動体20−1を透過して第2振動体20−2で反射され、第1振動体20−1を透過する反射波。
(c)第1振動体20−1と第2振動体20−2とを透過して底面部11で反射され第2振動体20−2と第1振動体20−1を透過する反射波。
(d)第1振動体20−1を透過して第2振動体20−2で反射され、第1振動体20−1で再び反射された後、第2振動体20−2で再度反射されて第1振動体20−1を透過する反射波。
これらの反射波は、少しずつ位相がずれて音場に到達する。すると、これら位相がずれた反射波が重畳された音場においては、音圧分布の偏り(定在波)が緩和されるため、吸音だけでなく車室や音響室などの部屋の騒音を低減することもできる。また、オーディオや楽音、音声などの音質を改善することもできる。
次に、本発明の第2実施形態に係る吸音構造体1Aについて説明する。
吸音構造体1Aは、第1実施形態の吸音構造体1と同様に、底面部11と側壁12で構成された筐体10、第1振動体20−1および第2振動体20−2を備えており、外観については第1実施形態の吸音構造体1と同じである。吸音構造体1Aが第1実施形態の吸音構造体1と異なる点は、図6(吸音構造体1Aの断面図)に示したように側壁12の内側に複数の振動体を有している点である。なお、図面においては、本実施形態の構成を分かりやすく図示するために、吸音構造体1の寸法を実際の寸法とは異ならせてある。また、下の説明においては、第1実施形態と同じ構成の部材については第1実施形態と同じ符号を付し、その詳細については説明を省略する。
なお、本実施形態において各空気層は密閉されているが、側壁12や底面部11に孔を設けて各空気層が吸音構造体1Aの外側の空間と通じるようにしてもよい。
次に本発明の第3実施形態に係る吸音構造体1Bについて説明する。
図7は、吸音構造体1Bの外観図、図8は、吸音構造体1Bの分解斜視図、図9は吸音構造体1BのB−B線断面矢視図である。なお、図面においては、本実施形態の構成を分かりやすく図示するために、吸音構造体1Bの寸法を実際の寸法とは異ならせてある。
吸音構造体1Bは、図に示したように側壁12、第1振動体20−11および第2振動体20−12で構成されている。
側壁12は、第1実施形態の側壁12と同じ構成である。第1振動体20−11と第2振動体20−12は、合成樹脂を薄い膜状にしたものであり、形状が正方形となっている。第1振動体20−11と第2振動体20−12は、弾性を有しており、力を加えると変形し、弾性により復元力を発生して振動する。
吸音構造体1Bにおいては、側壁12の一方の開口部に第2振動体20−12が固着され、もう一方の開口部に第1振動体20−11が固着されて第1振動体20−11と第2振動体20−12が平行となっている。
そして、吸音構造体1Bは、いずれか一方の振動体が車室や音響室などの部屋の境界面の側に向けられ、境界面の側に向けられた振動体と境界面との間に空間(空気層)が形成されるようにして配置される。
なお、吸音構造体1Bを境界面から離れた位置に配置する方法としては、一例として柱状の支持部材の一方の端部を吸音構造体1Bの四隅に固着し、支持部材のもう一方の端部を境界面に固着して振動体と境界面との間に空間を形成する方法などがある。
なお、本実施形態において第1空気層30−1は密閉されているが、側壁12に孔を設けて第1空気層30−1が吸音構造1の外側の空間と通じるようにしてもよい。
そして、複数の吸音メカニズム毎に吸音率のピークが発現し、各吸音メカニズムでは質量成分やバネ成分が各々異なるため、吸音率がピークとなる音の周波数帯も各吸音メカニズムで異なる。つまり、図9のように吸音構造体1Bを境界面から離れた位置に配置した吸音構造においても、広帯域で効率よく吸音を行うことができる。
なお、比較のため図10においては、第1振動体20−11の素材をPVCとして厚さを0.5[mm]とし、第2振動体20−12に替えて底面部11を側壁12に固着し、第1空気層30−1の縦と横の大きさが100[mm]×100[mm]で第1空気層30−1の厚さが30[mm]であり、第2空気層30−2を備えない吸音構造(図11(b))のランダム入射吸音率の測定結果のグラフ(図10の(2)のグラフ)も示している。
一方、図11(a)に示した吸音構造の場合には、図11(b)のように第1空気層30−1の厚さを厚くした構成と比較すると、400[Hz]に加えて315[Hz]付近でも吸音率が高くなっており、図11(b)の構成より広い帯域で吸音が行えていることが分かる。
また、図10(a)に示した本実施形態に係る吸音構造では、図11(b)に示した吸音構造体より薄い吸音構造体で低域の音を吸音することが可能となっており、小さな体積の吸音構造体で効率良く吸音ができるという効果も得られる。
上述した吸音構造体1Bにおいては、第1振動体20−11と第2振動体20−12との間に多孔質の吸音材を配置するようにしてもよい。
なお、図12(a)に示した吸音構造体を配置する場合、図12(a)に示したように第2振動体20−12が境界面と平行になるように配置してもよく、図12(b)に示したように第1振動体20−11が境界面と平行になるように配置してもよい。
また、図12(c)に示したように第1振動体20−11と第2振動体20−12の両方が境界面と平行にならないように配置してもよい。
なお、振動体を境界面と平行にしないという観点では、第1振動体20−11と第2振動体20−12が平行な吸音構造体について、図12(d)に示したように第1振動体20−11と第2振動体20−12の両方が境界面と平行にならないように配置してもよい。
また、図13(a)に示した吸音構造体を配置する場合、第1振動体20−11が境界面に対して平行となるようにしてもよく、第1振動体20−11が境界面に対して平行にならないようにしてもよい。
また、図13(a)に示した吸音構造体を使用する場合、第1振動体20−11を境界面に平行に対向させ、第2振動体20−13を音場に向けて配置するようにしてもよく、また、第1振動体20−11を境界面に対向させる場合、第1振動体20−11が境界面に対して平行にならないように対向させて、第2振動体20−13を音場に向けて配置するようにしてもよい。
また、吸音構造体1Bにおいても、側壁12の内側に複数の振動体を固着して、側壁12の内側に複数の空気層を設けるようにしてもよい。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば、上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。
また、これらの素材においては、有機低分子(可塑剤、架橋剤、架橋促進剤、酸化防止剤)や、無機充填剤がふくまれていてもよい。
また、吸音構造体を複数組み合わせる場合には、組み合わせる吸音構造体毎に振動体の素材や厚さ、密度、ヤング率、損失正接(tanδ)を異ならせてもよい。
また、吸音構造体を複数組み合わせる場合には、吸音構造体毎に空気層の厚さを異ならせてもよい。また、空気層のサイズを各々異ならせてもよく、空気層の厚さとサイズの両方を各々異ならせてもよい。
Claims (5)
- 複数の板状または膜状の振動体と、
中空部を備える管の形状の側壁と
を有し、
前記中空部を塞ぐように前記振動体が前記側壁に固着され、
前記複数の振動体は、非平行で配置され、距離をおいて表面が他の振動体の表面に面し、
前記振動体と空気層とが交互に積層された吸音構造体。 - 前記複数の振動体の厚さが各々異なることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
- 前記振動体の数が3つ以上であることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
- 前記空気層に多孔質吸音材を有することを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
- 空気層と交互に重なっている前記複数の振動体のうち最も外側にある2つの振動体の一方に対して前記振動体より高い剛性を有する非振動体が面していることを特徴とする請求項1に記載の吸音構造体。
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