JP5445936B2 - 共鳴トンネルダイオードおよびテラヘルツ発振器 - Google Patents

共鳴トンネルダイオードおよびテラヘルツ発振器 Download PDF

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Description

本発明は、テラヘルツ周波数帯の光源となる発振素子を構成する共鳴トンネルダイオードの層構造、および共鳴トンネルダイオードを使用したテラヘルツ発振器に関するものである。
100GHzから10THzにあるテラヘルツ周波数帯は、電子デバイスの動作周波数の上限に近く、簡便に利用可能な小型の光源が無かったことから、これまで特殊な計測・分析、電波天文学等に利用が限られていた。室温で動作する小型のテラヘルツ周波数帯光源は、イメージングによるセキュリティ技術、短距離大容量の無線通信技術への応用等、幅広い分野への応用が期待されることから、その実現が望まれている。
負性微分抵抗を有する共鳴トンネルダイオード(Resonant Tunneling Diode:以下、RTD)は、電子が走行する際の短いトンネル時間、高電流密度と小さい寄生容量がもたらす短い充電時間により、テラヘルツ周波数帯の発振が可能であることから、室温動作する小型のテラヘルツ光源として期待されている。その中でもInP基板上に積層したInGaAs層、AlAs層からなるRTDは、InGaAsとAlAs間の大きな伝導帯バンド不連続により室温において比較的大きな負性微分抵抗を得ることが可能であり、優れた発振特性をもたらす。
RTDは、電流−電圧特性(以下、I−V特性)における負性微分抵抗領域において発振動作する。RTDのI−V特性を特徴づけるパラメータとして、ピーク電流密度JPとピーク電圧VP、バレー電流密度と呼ばれる負性微分抵抗領域の電流密度極小値JV等がある。ピーク電流密度JPとピーク電圧VPの積は、発振素子の消費電力の指標と見なすことができる。ピーク電流密度JPが高いほどRTDの容量を短時間で充電できるため、高い発振周波数を得ることが可能となるが、これに伴い発振器の消費電力も増加する。
最近、発明者らはInP基板上に積層されたInGaAs層、AlAs層からなるRTDを用いた発振器によって、831GHzにおける基本波発振を実現した(非特許文献1参照)。このような1THz近傍の高い周波数における室温発振は、非特許文献1に記載のようにRTDの1×106A/cm2を上回る非常に高いピーク電流密度JPと明瞭な負性微分抵抗によって実現することができる。一方、発振動作させるために素子に加えるバイアス電圧は非特許文献1に示されているように比較的高く、1Vを上回っている。テラヘルツ周波数帯での発振と低い消費電力を同時に満たす発振器を作製するためには、RTDのI−V特性において、高JPと低VPを同時に満たす必要がある。
Safumi Suzuki,Atsushi Teranishi,Kensuke Hinata,Masahiro Asada,Hiroki Sugiyama,and Haruki Yokoyama,"Fundamental Oscillation of up to 831 GHz in GaInAs/AlAs Resonant Tunneling Diode",Appl.Phys.Express 2,054501,2009
従来、一般にRTDを高速動作させようとすると、例えば素子のメサ面積を縮小して高いピーク電流密度Jpを得て素子容量の充電時間を短縮する、という方法が採用されてきた。しかし、この方法は高速動作するものの、RTDに印加するバイアス電圧が比較的高くなるために消費電力が大きくなるという問題点があった。バイアス電圧が高くなる理由は、RTDに動作電圧付近まで電圧を印加すると、RTDの二重障壁構造とコレクタ層との間にある電子走行層の伝導帯が大きくベンディングし、エミッタとコレクタとで伝導帯に大きなポテンシャル差を生じるからである。
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、テラヘルツ周波数帯での発振と低消費電力を同時に満たすテラヘルツ発振器を作製するために、電流−電圧特性において高いピーク電流密度JPと低いピーク電圧VPを同時に満たし、発振動作に必要なバイアス電圧を低くすることができるRTD層構造を提供することを目的とする。
本発明の共鳴トンネルダイオードは、基板から近い方から順に、不純物がドープされた半導体からなるエミッタ層と、このエミッタ層の電子に対して障壁となる第1の障壁層と、電気的に中性な半導体からなる井戸層と、前記エミッタ層の電子に対して障壁となる第2の障壁層と、記エミッタ層から前記第1の障壁層と前記井戸層と前記第2の障壁層とを経て電子が流れ込む電子走行層と、不純物がドープされた半導体からなるコレクタ層とが、前記基板上に順次積層され、前記電子走行層は、組成を含め同一の半導体の3つの層からなり、基板から近い方から順に、電気的に中性な第1の電子走行層と、不純物がドープされた第2の電子走行層と、電気的に中性な第3の電子走行層とが順次積層されて構成され、少なくとも前記エミッタ層と前記コレクタ層と前記第2の電子走行層とが同じ導電型を示す不純物でドープされていることを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードの1構成例において、前記半導体は、InGaAsであり、前記電子走行層は、電気的に中性なInGaAsからなる前記第1、第3の電子走行層の間にn型不純物ドーピングが施された前記第2の電子走行層を有することを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードの1構成例は、前記エミッタ層に負の電圧が印加され、前記コレクタ層に正の電圧が印加されることを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードは、基板から遠い方から順に、不純物がドープされた半導体からなるエミッタ層と、このエミッタ層の電子に対して障壁となる第1の障壁層と、電気的に中性な半導体からなる井戸層と、前記エミッタ層の電子に対して障壁となる第2の障壁層と、前記エミッタ層から前記第1の障壁層と前記井戸層と前記第2の障壁層とを経て電子が流れ込む電子走行層と、不純物がドープされた半導体からなるコレクタ層とが、前記基板上に順次積層され、前記電子走行層は、組成を含め同一の半導体の3つの層からなり、基板から遠い方から順に、電気的に中性な第1の電子走行層と、不純物がドープされた第2の電子走行層と、電気的に中性な第3の電子走行層とが順次積層されて構成され、少なくとも前記エミッタ層と前記コレクタ層と前記第2の電子走行層とが同じ導電型を示す不純物でドープされていることを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードの1構成例において、前記半導体は、InGaAsであり、前記電子走行層は、電気的に中性なInGaAsからなる前記第1、第3の電子走行層の間にn型不純物ドーピングが施された前記第2の電子走行層を有することを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードの1構成例は、前記エミッタ層に正の電圧が印加され、前記コレクタ層に負の電圧が印加されることを特徴とするものである。
また、本発明の共鳴トンネルダイオードの1構成例は、さらに、前記エミッタ層の外側に前記エミッタ層と接するように積層され、前記エミッタ層および前記コレクタ層と同じ導電型を示す不純物で、かつ前記エミッタ層および前記コレクタ層よりも高い濃度の不純物がドープされた半導体からなるサブエミッタ層と、前記コレクタ層の外側に前記コレクタ層と接するように積層され、前記エミッタ層および前記コレクタ層と同じ導電型を示す不純物で、かつ前記エミッタ層および前記コレクタ層よりも高い濃度の不純物がドープされた半導体からなるサブコレクタ層とを有することを特徴とするものである。
また、本発明のテラヘルツ発振器は、共鳴トンネルダイオードと、この共鳴トンネルダイオードに接続された共振器であるスロットアンテナと、前記共鳴トンネルダイオードのエミッタ層とコレクタ層との間にバイアス電圧を印加する電源とからなることを特徴とするものである。
本発明によれば、電子走行層を、第1の電子走行層と、第2の電子走行層と、第3の電子走行層の3層で構成し、うち第2の電子走行層をエミッタ層、コレクタ層と同じ導電型を示す不純物でドープすることにより、高いピーク電流密度JPを維持しつつ、低いピーク電圧VPを得ることが可能となり、発振動作に必要なバイアス電圧を低減することができる。その結果、本発明では、テラヘルツ周波数帯での発振と低消費電力を同時に満たすテラヘルツ発振器を実現することができる。
本発明の実施の形態に係るテラヘルツ発振器の構造を示す斜視図である。 本発明の実施の形態に係るテラヘルツ発振器の分解斜視図である。 本発明の実施の形態に係るテラヘルツ発振器の等価回路図である。 本発明の実施の形態に係る共鳴トンネルダイオードの構造を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る共鳴トンネルダイオードの発振器動作点バイアス電圧における伝導帯バンドプロファイルを計算した結果を示す図である。 本発明の実施の形態に係る共鳴トンネルダイオードの電流−電圧特性を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施の形態に係るテラヘルツ発振器の構造を示す斜視図である。
図1に示すテラヘルツ発振器では、インジウムリン(InP)からなる基板1上に、金(Au)、パナジウム(Pd)、またはチタン(Ti)等で作製される右電極2が積層されている。同じく金、パナジウムまたはチタンからなる左電極4は、酸化シリコンからなる絶縁体3を挟んで右電極2と対向するように積層されている。
左電極4には、右電極2と絶縁体3を介して重なっている部分の中央部に2箇所の凹部5,6が形成されており、この2つの凹部5,6に挟まれた箇所に凸部7が形成されている。さらに、この凸部7の先端に突起部8が形成され、この突起部8の下側に右電極2と挟まれるようにしてRTD9が配置されている。右電極2と左電極4には、直流電源11が接続されるとともに、寄生発振を防止するための抵抗10が接続されている。
この右電極2と左電極4とからスロットアンテナが形成されている。右電極2と左電極4とは、絶縁体3によって高周波的に短絡されると共に、直流的に遮断されるように形成されている。凹部5,6の深さ(図1のD)は4μm程度、凸部7の幅(図1のW)は6μm程度が好ましいが、このサイズはこれに限定されるものではなく、発振する高周波の周波数に応じて設計上適宜設定されるものである。
図2は本実施の形態のテラヘルツ発振器の分解斜視図である。図2に示すように、右電極2と、絶縁体3と、左電極4と、RTD9とが基板1上に積層されてテラヘルツ発振器が構成される。
図3は本実施の形態のテラヘルツ発振器の等価回路図である。図3において、GRTDはRTD9の抵抗成分、GANTはスロットアンテナの抵抗成分、CRTDはRTD9のキャパシタンス成分、CANTはスロットアンテナのキャパシタンス成分、Lはスロットアンテナのインダクタンス成分である。
スロットアンテナは、共振器と電磁波の放射アンテナとを兼ねている。図1、図3に示したように、テラヘルツ発振器に対して直流電源11からバイアス電圧を供給すると、基板1に対して上方向と下方向の2方向に電磁波が放射される。このとき、発振周波数fは、1/[2π{L(CRTD+CANT)}1/2]となる。
次に、以上のようなテラヘルツ発振器に使用するRTD9の構造について説明する。図4は本実施の形態のRTD9の構造を示す断面図である。RTD9は、アンドープインジウムガリウムヒ素(un−In0.53Ga0.47As)からなるバッファ層90と、n型インジウムガリウムヒ素(n−In0.53Ga0.47As)からなるサブエミッタ層91と、n型インジウムガリウムヒ素(n−In0.53Ga0.47As)からなるエミッタ層92と、アンドープインジウムガリウムヒ素(un−In0.53Ga0.47As)からなるスペーサ層93と、アルミニウムヒ素(AlAs)からなる第1の障壁層94と、アンドープインジウムガリウムヒ素(un−In0.8Ga0.2As)からなる井戸層95と、アルミニウムヒ素(AlAs)からなる第2の障壁層96と、アンドープインジウムガリウムヒ素(un−In0.53Ga0.47As)からなる第1の電子走行層97と、n型インジウムガリウムヒ素(n−In0.53Ga0.47As)からなる第2の電子走行層であるスパイクドープ層98と、アンドープインジウムガリウムヒ素(un−In0.53Ga0.47As)からなる第3の電子走行層99と、n型インジウムガリウムヒ素(n−In0.7Ga0.3Asまたはn−In0.53Ga0.47As)からなるコレクタ層100と、n型インジウムガリウムヒ素(n−In0.7Ga0.3Asおよびn−In0.53Ga0.47As)からなるサブコレクタ層101とが順次積層された構造からなる。RTD9は、下側に位置する右電極2と上側に位置する左電極4にオーミックに接続される構造となっている。サブエミッタ層91とサブコレクタ層101は、右電極2と左電極4のオーミック接触抵抗を小さくし、またそれぞれ右電極2からエミッタ層92までの寄生抵抗成分、左電極4からコレクタ層100までの寄生抵抗成分を小さくすることで、素子全体の寄生抵抗成分を小さくする役目を果たす。
なお、スパイクドープ層とは、電気的に中性なInGaAs層中のごく狭い領域に、スパイク的なn型不純物ドーピングを施すことで形成される層(n型不純物ドーピングされた極薄膜層を電気的に中性な層で挟んで形成されるドーピングプロファイル)である。理想的にはδドープであるが、作成の容易性の観点から1原子層以上、第1、第2、第3の電子走行層97〜99の全厚さの15%以下の厚さを有し、コレクタ層100のn型不純物ドーピング濃度の50%以上のドーピング濃度を有するものであればよい。なお、スパイクドープ層98の厚みは素子容量を左右する要因の一つであり、特に第1、第2、第3の電子走行層97〜99の全厚さに対して15%を超える厚さにすると、RTDの高周波特性を顕著に劣化させるまで素子容量が増加する。また、スパイクドープ層98の不純物ドーピング濃度は、後述の通り第3の電子走行層99およびコレクタ層100の伝導帯バンドプロファイルに影響を与えるが、コレクタ層100のn型不純物ドーピング濃度の50%未満では十分に伝導帯のポテンシャルが持ち上がらず、本発明の効果が十分に得られない。基本的に濃度は高いほど良いが、スパイクドープ層98を構成している半導体とn型不純物の種類によって欠陥密度などの結晶品質を劣化させない濃度には上限があり、スパイクドープ層98の不純物ドーピング濃度の上限もそれによって定まる。例えば、本実施の形態で用いているn型インジウムガリウムヒ素(n−In0.53Ga0.47As)にn型不純物としてSiをドープする場合、結晶成長を低温で行うなどの特殊な条件を用いた場合でも不純物ドーピング濃度を1×1020cm-3未満にしないと結晶欠陥が顕著に増加し、素子特性を著しく劣化させる。
バッファ層90、サブエミッタ層91、エミッタ層92、スペーサ層93、第1の障壁層94、井戸層95、第2の障壁層96、コレクタ層100、サブコレクタ層101の厚さは、それぞれ200nm、400nm、25nm、2nm、1.4nm、4.5nm、1.4nm、25nm、23nmである。なお、サブコレクタ層101は、基板1に近い方から順に、厚さ15nmのn−In0.53Ga0.47Asと厚さ8nmのn−In0.7Ga0.3Asの2層からなる。また、第1の電子走行層97、スパイクドープ層98、第3の電子走行層99の厚さを、それぞれdS1,dSD,dS2とする。これらの厚さdS1,dSD,dS2については後述する。
サブエミッタ層91のドーパントはSiで、ドーピング濃度は2×1019cm-3、エミッタ層92のドーパントはSiで、ドーピング濃度は3×1018cm-3、コレクタ層100のドーパントはSiで、ドーピング濃度は3×1018cm-3、サブコレクタ層101のドーパントはSiで、ドーピング濃度は2×1019cm-3である。また、スパイクドープ層98のドーパントもSiで、ドーピング濃度をNDとする。このドーピング濃度NDについては後述する。
図4の構造を有するRTD9の試料A,B,CのパラメータdS1,dS2,dSD,NDの値を表1に示す。なお、試料Aは、スパイクドープ層を含まない比較参照用の試料である。
Figure 0005445936
図5は、図4に示したRTD構造を有する試料A,B,Cの発振器としての動作電圧付近での伝導帯バンドプロファイルを計算した結果を示す図である。横軸は基板表面を原点とした層構造の厚さ、縦軸はエネルギーである。ここでは、基板側のサブエミッタ層91に負の電圧を印加し、サブコレクタ層101に正の電圧を印加した状態を示している。エミッタ層92側のバンドが平坦な領域とコレクタ層100側のバンドが平坦な領域とのエネルギー差が、印加バイアス電圧に対応する。
第1、第2の障壁層94,96と井戸層95とからなる二重障壁構造部分において伝導帯バンドの傾きは、試料A〜C間で等しくなっている。ただし、試料A,B,Cの順にコレクタ層100側のエネルギーが高くなっていることから明らかなように、第1、第3の電子走行層97,99中にスパイクドープ層98を挿入し、スパイクドープ層98のドーピング濃度を高めた試料ほど、動作電圧を低くできることが分かる。
図6は、実験的に測定した試料A,B,CのI−V特性を示す図である。ここで、負バイアス電圧は、基板側のサブエミッタ層91に負の電圧を印加する極性であり、図5のバンドプロファイルに対応している。つまり、負バイアス電圧下では、電子は基板側のサブエミッタ層91からサブコレクタ層101へ流れている。
各試料A,B,Cの負バイアス電圧下のI−V特性におけるピーク電流密度JP、ピーク電圧VP、ピーク電流密度JPとピーク電圧VPの積、および負性微分抵抗特性の指標となる、ピーク電流密度JPと電流密度極小値JVの差ΔJを表2に示す。
Figure 0005445936
表2によれば、ピーク電流密度JPは、1.6〜1.8×106A/cm2と試料A〜C間でほぼ同程度の値となっている。一方、第1、第3の電子走行層97,99中にスパイクドープ層98を挿入し、スパイクドープ層98のドーピング濃度を高めることによって、ピーク電圧VPを低下できることが分かる。ピーク電圧VPの低下に伴い、ピーク電流密度JPとピーク電圧VPの積の値も顕著に低下しており、本実施の形態のRTDを使用してテラヘルツ発振器を実現したときに、発振器の低消費電力化が可能となることを示している。また、スパイクドープ層98の挿入によるΔJの低下はなく、負性微分抵抗特性を損なうことが無いことも分かる。
なお、上記の試料B,CをRTD9として使用したテラヘルツ発振器によって、発明者らは試料AをRTD9として使用した場合と同様に800GHzを上回る発振周波数が得られることを確認しており、本実施の形態の構造でRTDの高周波特性が損なわれないことは確認済みである。
以上のように、本実施の形態では、RTDにおいて、電子走行層を、第1の電子走行層97と、スパイクドープ層(第2の電子走行層)98と、第3の電子走行層99の3層で構成し、うちスパイクドープ層98をサブエミッタ層91、エミッタ層92、コレクタ層100、サブコレクタ層101と同じ導電型を示す不純物でドープすることにより、スパイクドープ層98の部分で伝導帯のベンディングを抑えることができる。その結果、本実施の形態では、高いピーク電流密度JPを維持しつつ、低いピーク電圧VPを得ることが可能となり、発振動作に必要なバイアス電圧を低減することができるので、低消費電力のテラヘルツ発振器を実現することができる。
なお、本実施の形態では、電子が基板側から表面側に流れるバイアス極性を想定し、スパイクドープ層98と第1、第3の電子走行層97,99とを二重障壁部分よりも表面側に設置した。電子が表面側から基板側に流れるバイアス極性、つまりサブエミッタ層91に正の電圧を印加し、サブコレクタ層101に負の電圧を印加する極性を想定する場合には、スパイクドープ層98と第1、第3の電子走行層97,99とを二重障壁部分よりも基板に近い側に設ければ良い。つまり、図4において、エミッタ層92からコレクタ層100までの構造の上下を反転させた構造を用いても、本実施の形態と同様の効果を得ることができる。
本発明は、共鳴トンネルダイオードに適用することができる。
1…基板、2…右電極、3…絶縁体、4…左電極、5,6…凹部、7…凸部、8…突起部、9…共鳴トンネルダイオード、10…抵抗、11…直流電源、90…バッファ層、91…サブエミッタ層、92…エミッタ層、93…スペーサ層、94、96…障壁層、95…井戸層、97,99…電子走行層、98…スパイクドープ層、100…コレクタ層、101…サブコレクタ層。

Claims (8)

  1. 基板から近い方から順に、不純物がドープされた半導体からなるエミッタ層と、
    このエミッタ層の電子に対して障壁となる第1の障壁層と、
    電気的に中性な半導体からなる井戸層と、
    前記エミッタ層の電子に対して障壁となる第2の障壁層と、
    記エミッタ層から前記第1の障壁層と前記井戸層と前記第2の障壁層とを経て電子が流れ込む電子走行層と、
    不純物がドープされた半導体からなるコレクタ層とが、前記基板上に順次積層され、
    前記電子走行層は、組成を含め同一の半導体の3つの層からなり、基板から近い方から順に、電気的に中性な第1の電子走行層と、不純物がドープされた第2の電子走行層と、電気的に中性な第3の電子走行層とが順次積層されて構成され、
    少なくとも前記エミッタ層と前記コレクタ層と前記第2の電子走行層とが同じ導電型を示す不純物でドープされていることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  2. 請求項1記載の共鳴トンネルダイオードにおいて、
    前記半導体は、InGaAsであり、
    前記電子走行層は、電気的に中性なInGaAsからなる前記第1、第3の電子走行層の間にn型不純物ドーピングが施された前記第2の電子走行層を有することを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  3. 請求項1または2記載の共鳴トンネルダイオードにおいて、
    前記エミッタ層に負の電圧が印加され、前記コレクタ層に正の電圧が印加されることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  4. 基板から遠い方から順に、不純物がドープされた半導体からなるエミッタ層と、
    このエミッタ層の電子に対して障壁となる第1の障壁層と、
    電気的に中性な半導体からなる井戸層と、
    前記エミッタ層の電子に対して障壁となる第2の障壁層と、
    前記エミッタ層から前記第1の障壁層と前記井戸層と前記第2の障壁層とを経て電子が流れ込む電子走行層と、
    不純物がドープされた半導体からなるコレクタ層とが、前記基板上に順次積層され、
    前記電子走行層は、組成を含め同一の半導体の3つの層からなり、基板から遠い方から順に、電気的に中性な第1の電子走行層と、不純物がドープされた第2の電子走行層と、電気的に中性な第3の電子走行層とが順次積層されて構成され、
    少なくとも前記エミッタ層と前記コレクタ層と前記第2の電子走行層とが同じ導電型を示す不純物でドープされていることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  5. 請求項4記載の共鳴トンネルダイオードにおいて、
    前記半導体は、InGaAsであり、
    前記電子走行層は、電気的に中性なInGaAsからなる前記第1、第3の電子走行層の間にn型不純物ドーピングが施された前記第2の電子走行層を有することを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  6. 請求項または記載の共鳴トンネルダイオードにおいて、
    前記エミッタ層に正の電圧が印加され、前記コレクタ層に負の電圧が印加されることを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  7. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の共鳴トンネルダイオードにおいて、
    さらに、前記エミッタ層の外側に前記エミッタ層と接するように積層され、前記エミッタ層および前記コレクタ層と同じ導電型を示す不純物で、かつ前記エミッタ層および前記コレクタ層よりも高い濃度の不純物がドープされた半導体からなるサブエミッタ層と、
    前記コレクタ層の外側に前記コレクタ層と接するように積層され、前記エミッタ層および前記コレクタ層と同じ導電型を示す不純物で、かつ前記エミッタ層および前記コレクタ層よりも高い濃度の不純物がドープされた半導体からなるサブコレクタ層とを有することを特徴とする共鳴トンネルダイオード。
  8. 請求項1乃至のいずれか1項に記載の共鳴トンネルダイオードと、
    この共鳴トンネルダイオードに接続された共振器であるスロットアンテナと、
    前記共鳴トンネルダイオードのエミッタ層とコレクタ層との間にバイアス電圧を印加する電源とからなることを特徴とするテラヘルツ発振器。
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