JP5434939B2 - ストローク量検出装置 - Google Patents
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例えば図17(a)に示すように、特許文献1の装置601は、4つの磁石62a、62b、63a、63bを、ストローク範囲の一方と他方にそれぞれ互いに対向させて配置している。対向する磁石の極性は同方向であり、ストローク範囲の一方と他方で隣り合う磁石の極性は逆方向である。そのため、ストローク範囲の一方と他方とで磁束の方向(図中矢印)が逆転する。また、対向する磁石間に磁気検出素子61xを配置している。
また、特許文献1の装置に関する課題について、図17を参照して説明する。図17(a)は、特許文献1の図3に相当し、磁石62a、63aと磁石62b、63bとのストローク方向の両端距離W1が比較的短い例を示している。図17(b)、(c)は、図17(a)に対し、磁石62a、63aと磁石62b、63bとのストローク方向の両端距離W2が比較的長い例を示している。
さらに、磁気検出素子の位置がストローク方向に直交する方向にずれることによる検出誤差(以下、「位置ずれ誤差」という。)が大きく、「ロバスト性(外乱や設計誤差などに対しシステム特性が現状を維持する性質)」に劣るという課題がある。
第1磁界発生手段および第2磁界発生手段は、磁気的特性が同一であり、形状および着磁方向が所定の基準点に対して対称に設けられる。
第1磁束伝達手段および第2磁束伝達手段は、磁性材料で形成され、磁気的特性が同一であり、形状が前記基準点に対して対称に設けられる。第1磁束伝達手段は、第1磁界発生手段と接続し、第2磁界発生手段に対向する。第2磁束伝達手段は、第2磁界発生手段と接続し、第1磁界発生手段に対向する。
磁気検出手段は、感磁面を有し、第1磁界発生手段と第2磁束伝達手段との間の領域、及び第2磁界発生手段と第1磁束伝達手段との間の領域において、検出対象の直線移動に伴って基準点を含む直進軸上を第1磁界発生手段、第2磁界発生手段、第1磁束伝達手段および第2磁束伝達手段に対して相対移動して検出対象のストローク量を検出する。
また、4つの磁石を用いる従来技術に比べ磁石の数を減らすことができ、磁石の個体ばらつきによる検出精度のばらつきを低減することができる。さらに、部品コストを低減することができる。
加えて、第1磁界発生手段および第2磁界発生手段の磁気的特性は同一であり、第1磁束伝達手段および第2磁束伝達手段の磁気的特性は同一である。また、磁界発生手段の形状および着磁方向、並びに磁束伝達手段の形状は、基準点に対して対称に設けられ、磁気検出手段は、当該基準点を含む直進軸上を相対移動する。すなわち、磁気検出手段は、第1磁界発生手段および第2磁界発生手段から等距離、かつ、第1磁束伝達手段および第2磁束伝達手段から等距離の直線上を相対移動する。したがって、磁束ベクトルが均一となり、磁気検出手段の位置ずれに対するロバスト性に一層強くなる。
ここで、請求項2〜13は請求項1に従属するため、第1磁界発生手段および第1磁束伝達手段と第2磁界発生手段および第2磁束伝達手段とは基準点に対して対称であることが前提となる。したがって、第1磁界発生手段および第1磁束伝達手段についての発明特定事項は、第2磁界発生手段および第2磁束伝達手段にも同様に適用される。そのため、原則として、第1磁界発生手段および第1磁束伝達手段についての構成のみを記載し、第2磁界発生手段および第2磁束伝達手段については、重複する記載を省略する。
この構成によれば、基準視方向から視た磁界発生手段および磁束伝達手段の形状は、内壁面と外壁面とが平行であることのみが特定される。
この構成によれば、基準視方向から視た磁界発生手段および磁束伝達手段の形状は長方形である。仮に、基準視方向から視た奥行方向での形状が一定である場合、磁界発生手段および磁束伝達手段の形状は直方体である。単純形状であるため加工および組立工程でのばらつきを抑制することができ、検出精度のばらつきを低減することができる。また、単純形状であるため製造コストを低減することができる。
なお、請求項4は請求項2に従属するから、第1磁界発生手段の外壁面と第1磁束伝達手段の外壁面とは互いに同一平面に形成される。この構成によれば、基準視方向から視た磁界発生手段および磁束伝達手段の形状は、互いに接続される辺の長さが等しい長方形である。これにより、磁界発生手段と磁束伝達手段とがより効率的に接続される。
請求項5に記載の発明では、第1磁界発生手段および第1磁束伝達手段の内壁面は、直進軸に対して平行である。
請求項6に記載の発明では、第1磁界発生手段および第1磁束伝達手段の内壁面は、直進軸に対して傾斜している。
例えば、感磁面が直進軸に対して平行に設けられる場合、請求項6に記載の発明のように磁界発生手段および磁束伝達手段の内壁面を直進軸に対して傾斜させることにより、磁束ベクトルを感磁面に対して垂直に近くすることができる。その結果、磁束をより均一にすることができ、位置ずれロバスト性が向上する。
請求項7に記載の発明では、第1磁界発生手段の内壁面と第2磁界発生手段の内壁面とは、互いの面に投影したとき重複部分を有する。
これにより、第1磁界発生手段の開放面側の磁極と第2磁界発生手段の接続面側の磁極との距離、及び、第2磁界発生手段の開放面側の磁極と第1磁界発生手段の接続面側の磁極との距離が相対的に近くなる。したがって、磁束ベクトルが内壁面に対して垂直に近くなり、磁束がより均一になる。よって、位置ずれロバスト性が向上する。
これにより、第1磁界発生手段の開放面側の磁極と第2磁界発生手段の接続面側の磁極との距離、及び、第2磁界発生手段の開放面側の磁極と第1磁界発生手段の接続面側の磁極との距離が相対的に遠くなる。したがって、磁束ベクトルが直進軸に対して平行に近くなる。よって、「磁界発生手段の開放面と接続面との距離」(以下、簡単のため、「磁界発生手段の長さ」という。)に対して、磁束ベクトル変化範囲を大きくすることができる。
請求項8を引用する請求項10に係る発明では、磁界発生手段および磁束伝達手段の内壁面に平行な方向について、磁界発生手段の開放面が対向する磁束伝達手段の開放面に対して外側に位置することとなる。
例えば、感磁面が直進軸に対して平行に設けられる場合、磁束ベクトルが直進軸に対して垂直に近くなるように、磁界発生手段の内壁面を磁束伝達手段の内壁面に対して傾斜させることにより、磁束ベクトルを感磁面に対して垂直に近くすることができる。その結果、磁束をより均一にすることができ、位置ずれロバスト性が向上する。
例えば、感磁面が直進軸に対して平行に設けられる場合、磁束ベクトルが直進軸に対して垂直に近くなるように、磁界発生手段の内壁面または磁束伝達手段の内壁面に傾斜面を設けることにより、磁束ベクトルを感磁面に対して垂直に近くすることができる。その結果、磁束をより均一にすることができ、位置ずれロバスト性が向上する。
上述のように、請求項5または6による「内壁面と直進軸との位置関係」と、この「感磁面と直進軸との位置関係」とを組み合わせることで、効果を調整することができる。
請求項14に記載の発明では、磁気検出手段の感磁面は、直進軸に対して平行に設けられる。
請求項15に記載の発明では、磁気検出手段の感磁面は、直進軸に対して傾斜して設けられる。
例えば、磁界発生手段および磁束伝達手段の内壁面が直進軸に対して平行に設けられる場合、請求項15に記載の発明のように磁気検出手段の感磁面を直進軸に対して傾斜させることにより、磁束ベクトルを感磁面に対して垂直に近くすることができる。その結果、磁束をより均一にすることができ、位置ずれロバスト性が向上する。
請求項17に記載の発明では、磁気検出手段は、さらに、第1磁気検出素子が検出した磁束密度が検出対象のストローク量に対して線形に変化するように補正するリニア補正手段を備える。これにより、第1磁気検出素子の検出磁束密度に高い直線性を求める必要がなくなり、磁界発生手段の形状、配置などを単純にすることができる。
また、第1磁気検出素子は、請求項19に記載の発明のように、ホール素子であることが好ましい。
本発明では、2つの磁気検出素子が検出する磁束密度は位相がずれて変化し、それらの検出磁束密度を三角関数演算することにより、検出対象のストローク量を検出する。これにより、個々の磁気検出素子が有する検出磁束密度の温度特性をキャンセルすることができ、簡易な構成で高精度な検出が可能となる。
また、第1磁気検出素子および第2検出素子は、請求項23に記載の発明のように、ホール素子であることが好ましい。
(第1実施形態)
本発明のストローク量検出装置は、例えば、自動車のトランスミッション、アクセル、ブレーキ等のストローク部に適用されて検出対象のストローク量を検出する装置である。
ストローク量検出装置1は、図2に示すように、「第1磁界発生手段」としての第1磁石21、「第2磁界発生手段」としての第2磁石22、「第1磁束伝達手段」としての第1ヨーク31、「第2磁束伝達手段」としての第2ヨーク32、及び「磁気検出手段」かつ「第1磁気検出素子」としてのホール素子5を備えている。
第1磁石21と第2磁石22とは、磁気的特性が同一であり、形状および着磁方向が基準点Oに対して対称に設けられる。第1ヨーク31と第2ヨーク32とは、鋼材等の磁性材料で形成され、磁気的特性が同一であり、形状が基準点Oに対して対称に設けられる。第1ヨーク31は第1磁石21と接続し、第1磁石21が発生する磁束を伝達する。第2ヨーク32は第2磁石22と接続し、第2磁石22が発生する磁束を伝達する。また、第2ヨーク32は第1磁石21と対向し、第1ヨーク31は第2磁石22と対向する。
本実施形態では、開放面21c、22c側がN極に着磁され、接続面21d、22d側がS極に着磁されている。よって、図中矢印で示すように磁束ベクトルが発生する。
さらに、磁石21、22の開放面21c、22cと接続面21d、22dとの距離である磁石長Lm1と、ヨーク31、32の開放面31c、32cと接続面31d、32dとの距離であるヨーク長Ly1とは同一である。
また、磁石長Lm1とヨーク長Ly1とを合計した合計長Lt1は、磁石長Lm1の2倍となる。したがって、合計長Lt1の大部分の範囲で磁束ベクトルが変化する場合には、磁石長Lm1の約2倍のストローク量検出範囲を確保することができることとなる。
また、基準点Oを通り、内壁面21a、22a、31a、32aに直交する直線を「基準軸y」と表す。ホール素子5の相対移動において、基準点Oをストローク量のゼロ点とする。また、ホール素子5が基準軸yに対して図1の右側に相対移動したときのストローク量を正の値で表し、ホール素子5が基準軸yに対して図1の左側に相対移動したときのストローク量を負の値で表す。
このとき、ホール素子5の相対移動に伴って感磁面5aが受ける磁束密度の変化を検出することで、ストローク量検出装置1は、検出対象であるストローク部3aのストローク量を検出する。
また、4つの磁石を用いる従来技術に比べ磁石の数を減らすことができ、磁石の個体ばらつきによる検出精度のばらつきを低減することができる。
加えて、第1磁石21および第2磁石22の磁気的特性は同一であり、第1ヨーク31および第2ヨーク32の磁気的特性は同一である。また、磁石21、22の形状および着磁方向、並びにヨーク31、32の形状は、基準点Oに対して対称に設けられ、ホール素子5は、当該基準点Oを含む直進軸x上を相対移動する。すなわち、ホール素子5は、第1磁石21および第2磁石22から等距離、かつ、第1ヨーク31および第2ヨーク32から等距離の直線上を相対移動する。したがって、磁束ベクトルが均一となり、ホール素子5の位置ずれに対するロバスト性に一層強くなる。
(1)磁石21、22およびヨーク31、32は直方体形状である。単純形状であるため、加工および組立工程でのばらつきを抑制することができ、検出精度のばらつきを低減することができる。また、単純形状であるため製造コストを低減することができる。
(2)磁石21、22とヨーク31、32とは、内壁面、外壁面がそれぞれ互いに同一平面に形成される。そのため、磁石21、22の接続面21d、22dとヨーク31、32の接続面31d、32dとの基準視方向から視た辺の長さ位置が一致する。したがって、磁石21、22とヨーク31、32とがより効率的に接続される。
次に、第2実施形態について、図3を参照して説明する。以下の第2〜第10実施形態は、第1実施形態に対し、磁石およびヨークの各形状、磁石とヨークとの位置関係、又は磁石およびヨークと直進軸xとの位置関係に関する構成が異なる。以下の実施形態の説明では、実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
しかし、磁石21、22の内壁面21a、22a、及びヨーク31、32の内壁面31a、32aが、直進軸xに対して傾斜角αだけ傾斜する点が第1実施形態と相異する。
ただし、磁石長Lm1を直進軸x上に投影した長さである「Lm1・cosα」は、αが0から大きくなるにしたがい、磁石長Lm1より短くなる。そのため、図4(b)に示すように、第2実施形態(S2)の磁束ベクトル変化範囲Re2は、第1実施形態(S1)の磁束ベクトル変化範囲Re1よりも短くなる。
次に、第3、第4実施形態について、図5を参照して説明する。
図5(a)に示す第3実施形態は、第1磁石21、第2磁石22、第1ヨーク311、第2ヨーク321およびホール素子5から構成される。磁石21、22は、第1実施形態と実質的に同一の直方体形状であり、内壁面21a、22aは直進軸xに対して平行である。感磁面5aは直進軸xに対して平行に設けられる。
しかし、第1実施形態と異なり、内壁面21a、22aがストローク方向外側に向かうにしたがって直進軸xから遠ざかるように傾斜角γで傾斜している。
次に、第5、第6実施形態について、図6、図7を参照して説明する。
図6(a)に示す第5実施形態は、第1磁石21、第2磁石22、第1ヨーク331、第2ヨーク341およびホール素子5から構成される。第1磁石21および第2磁石22は、第1実施形態と実質的に同一の直方体形状であり、内壁面21a、22aは直進軸xに対して平行である。感磁面5aは直進軸xに対して平行に設けられる。
第1ヨーク331と第2ヨーク341とは、形状が基準点Oに対して対称に設けられる。ヨーク331、341は、外壁面33b、34bがそれぞれ磁石21、22の外壁面21b、22bと同一平面に形成されており、開放面33c、34cは外壁面33b、34bに直交している。また、傾斜内壁面33g、34gは、外壁面33b、34bに対して非平行であり、ストローク方向外側に向かうにしたがって直進軸xに近づくように傾斜している。
図6(b)に示す変形例では、ヨーク332、342の内壁面は、接続面33d、34d側で外壁面33b、34bに平行な内壁面33a、34aと、開放面33c、34c側で外壁面33b、34bに非平行な傾斜内壁面33g、34gとから構成されている。
図6(c)に示す変形例では、ヨーク333、343の内壁面は、開放面33c、34c側で外壁面33b、34bに平行な内壁面33a、34aと、接続面33d、34d側で外壁面33b、34bに非平行な傾斜内壁面33g、34gとから構成されている。
したがって、第1実施形態に比べ、第1磁石21から第2ヨーク341等に向かう磁束ベクトル(図中矢印)、及び、第2磁石22から第1ヨーク331等に向かう磁束ベクトルが感磁面5aに対して垂直に近くなる。よって、位置ずれロバスト性が向上する。
第1磁石231と第2磁石241とは、形状および着磁方向が基準点Oに対して対称に設けられる。磁石231、241は、外壁面23b、24bがそれぞれヨーク31、32の外壁面31b、32bと同一平面に形成されており、開放面23c、24cは外壁面23b、24bに直交している。また、傾斜内壁面23g、24gは、外壁面23b、24bに対して非平行であり、ストローク方向外側に向かうにしたがって直進軸xから遠ざかるように傾斜している。
図7(b)に示す変形例では、磁石232、242の内壁面は、開放面23c、24c側で外壁面23b、24bに平行な内壁面23a、24aと、接続面23d、24d側で外壁面23b、24bに非平行な傾斜内壁面23g、24gとから構成されている。
図7(c)に示す変形例では、磁石233、243の内壁面は、接続面23d、24d側で外壁面23b、24bに平行な内壁面23a、24aと、開放面23c、24c側で外壁面23b、24bに非平行な傾斜内壁面23g、24gとから構成されている。
したがって、第1実施形態に比べ、第1磁石21から第2ヨーク341等に向かう磁束ベクトル(図中矢印)、及び、第2磁石22から第1ヨーク331等に向かう磁束ベクトルが感磁面5aに対して垂直に近くなる。よって、位置ずれロバスト性が向上する。
次に、第7、第8実施形態について、図8を参照して説明する。
図8(a)に示す第7実施形態は、第1磁石25、第2磁石26、第1ヨーク35、第2ヨーク36およびホール素子5から構成される。第1磁石25と第2磁石26とは、形状および着磁方向が基準点Oに対して対称に設けられ、第1ヨーク35と第2ヨーク36とは、形状が基準点Oに対して対称に設けられる。
以上の点が第1実施形態と共通である。
そのため、第1磁石25の内壁面25aと第2磁石26の内壁面26aとは、互いの面に投影したとき重複する磁石重複部OLmを有する。言い換えれば、磁石25、26とヨーク35、36との接続面25d(35d)、26d(36d)は、基準軸yに対してそれぞれヨーク35、36の開放面35c、36c側に設けられる。
しかし、磁石21、22とヨーク31、32との接続面21d(31d)、22d(32d)が基準軸yに対してそれぞれヨーク31、32の開放面31c、32c側に設けられる点が、第1実施形態と相違する。
次に、第9、第10実施形態について、図9を参照して説明する。
図9(a)に示す第9実施形態は、第1磁石27、第2磁石28、第1ヨーク37、第2ヨーク38およびホール素子5から構成される。第1磁石27と第2磁石28とは、形状および着磁方向が基準点Oに対して対称に設けられ、第1ヨーク37と第2ヨーク38とは、形状が基準点Oに対して対称に設けられる。
以上の点が第1実施形態と共通である。
そのため、第1ヨーク37の内壁面37aと第2ヨーク38の内壁面38aとは、互いの面に投影したとき重複するヨーク重複部OLyを有する。言い換えれば、磁石27、28とヨーク37、38との接続面27d(37d)、28d(38d)は、基準軸yに対してそれぞれ磁石27、28の開放面27c、28c側に設けられる。
しかし、磁石21、22とヨーク31、32との接続面21d(31d)、22d(32d)が基準軸yに対してそれぞれ磁石21、22の開放面21c、22c側に設けられる点が、第1実施形態と相違する。
次に、第11実施形態について、図11を参照して説明する。
第11実施形態は、第1実施形態に対してホール素子5の感磁面5aが向く方向のみが異なる。すなわち、図11に示すように、感磁面5aは、第2磁石22および第2ヨーク32の内壁面22a、32aの法線方向に対して傾斜角δだけ傾斜して設けられている。
この傾斜角δは、ストローク検出範囲の両端付近での磁束ベクトル(図中矢印)方向に相当する角度と同等に設定される。これにより、ストローク検出範囲の両端付近での磁束ベクトルが感磁面5aに対して垂直に近くなるため、位置ずれロバスト性が向上する。
第12、第13実施形態は、第1実施形態に対して磁気検出手段の構成が異なる。
第12実施形態では、1つのホール素子5がホールICチップ7に搭載されている。ホールICチップ7は、図12に示すように、ホール素子5、ホール素子5の出力信号を増幅するアンプ回路11、増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換回路13、A/D変換されたデジタル信号を処理する信号処理装置14、信号処理装置14が出力したデジタル値をアナログ値に変換するD/A変換回路19等を搭載している。ホールICチップ7は、特許請求の範囲に記載の「半導体チップ」に相当する。
リニア補正回路18は、感磁面5aが検出した検出磁束密度(図13(a)参照)を直線化するように補正して、図13(b)に示すリニア補正後出力を出力する。
また、ホール素子5およびリニア補正回路18は、1つのホールICチップ7として構成されるため、磁気検出手段の体格を小型化することができ、搭載性が向上する。
第13実施形態は、図14に示すように、第12実施形態に対し、磁気検出手段がホール素子を2個備えるものである。
第1磁気検出素子としての第1ホール素子5、及び、第2磁気検出素子としての第2ホール素子6は、1つのホールICチップ8内に、直進軸xに沿って所定距離ずらして搭載されている。第1ホール素子5の感磁面5aと第2ホール素子6の感磁面6aとは、いずれも直進軸xに対して平行に設けられている。ホールICチップ8は、特許請求の範囲に記載の「半導体チップ」に相当する。
V1:第1ホール素子5の出力電圧(mV)
V2:第2ホール素子6の出力電圧(mV)
K(t):ホール係数(−)
I(t):ホール電流(mA)
B(t):検出しうる磁束密度の最大値(正弦波の振幅)(mT)
B1(t):第1ホール素子5の検出磁束密度(mT)
B2(t):第2ホール素子6の検出磁束密度(mT)
L:ストローク量(mm)
e:第1ホール素子5と第2ホール素子6との位相差(素子間距離)(mm)
d:基準ストローク量(mm)
基準ストローク量d(mm)は、正弦波周期の1/2、すなわちπ(rad)に相当するストローク量である。ストローク範囲を−d〜+d(mm)に設定すれば、角度単位では−π〜+π(rad)がストローク範囲となる。この関係に基づくと、ストローク量L(mm)は、角度単位でπL/d(rad)に換算される。
V1=K(t)・I(t)・B1(t)
=K(t)・I(t)・B(t)・sin(πL/d) ・・・(式1)
V2=K(t)・I(t)・B2(t)
=K(t)・I(t)・B(t)・sin{π(L−e)/d}・・・(式2)
このように、ホール素子5、6の出力電圧Vは雰囲気温度tに依存する。したがって、雰囲気温度tを測定し、ホール係数K(t)、ホール電流I(t)、磁束密度B(t)それぞれの温度特性から出力電圧Vを補正しようとすると、複雑な補正回路が必要となる。
L=(d/π)×arctan{cot(πe/2d)・Cv} ・・・(式3)
Cv=(V1−V2)/(V1+V2) ・・・(式4)
特にe=d/2の場合には、(式5)のようになる。
L=(d/π)×arctan(V1/V2) ・・・(式5)
演算ストローク量は、上記の式による計算結果に、素子間距離eに応じたオフセット量を加えることによって得られる。
(ア)図16(a)に示すように、磁石218の内壁面218aとヨーク318の内壁面318aとは、いずれも直進軸xに対して平行であり、かつ、互いに異なる平面上に形成されてもよい。また、磁石218の外壁面218bとヨーク318の外壁面318bとは、いずれも直進軸xに対して平行であり、かつ、互いに異なる平面上に形成されてもよい。
さらに、磁石218、228は直方体形状に限定されない。例えば図16(b)に示すように、開放面218cまたは接続面218dの形状が長方形でなく、例えば四角を面取りした八角形状でもよい。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
3 ・・・リニアアクチュエータ、
3a ・・・ストローク部、
5 ・・・ホール素子、第1ホール素子(第1磁気検出素子、磁気検出手段)、
6 ・・・ホール素子、第2ホール素子(第2磁気検出素子、磁気検出手段)、
5a、6a・・・感磁面、
7、8 ・・・ホールICチップ(半導体チップ、磁気検出手段)、
10 ・・・ECU、
14 ・・・信号処理装置、
17 ・・・三角関数演算回路(演算手段)、
18 ・・・リニア補正回路(リニア補正手段)、
21、231〜233、25、27・・・磁石、第1磁石(第1磁界発生手段)、
22、241〜243、26、28・・・磁石、第2磁石(第2磁界発生手段)、
21a〜28a・・・内壁面、
21b〜28b・・・外壁面、
21c〜28c・・・開放面、
21d〜28d・・・接続面、
23g、24g・・・傾斜内壁面、
31、311、312、331〜333、35、37・・・ヨーク、第1ヨーク(第1磁束伝達手段)、
32、321、322、341〜343、36、38・・・ヨーク、第2ヨーク(第2磁束伝達手段)、
31a〜38a・・・内壁面、
31b〜38b・・・外壁面、
31c〜38c・・・開放面、
31d〜38d、31e、31f、32e、32f・・・接続面、
33g、34g・・・傾斜内壁面、
Lm1、Lm5、Lm7・・・磁石長、
Ly1、Ly5、Ly7・・・ヨーク長、
Lt1、Lt5、Lt7・・・合計長、
Re ・・・磁束ベクトル変化範囲。
Claims (23)
- 直線移動する検出対象のストロークを検出するストローク量検出装置であって、
第1磁界発生手段と、
磁気的特性が前記第1磁界発生手段と同一であり、形状および着磁方向が所定の基準点に対して前記第1磁界発生手段と対称に設けられる第2磁界発生手段と、
磁性材料で形成され、前記第1磁界発生手段と接続し、前記第2磁界発生手段に対向する第1磁束伝達手段と、
磁性材料で形成され、磁気的特性が前記第1磁束伝達手段と同一であり、前記第2磁界発生手段と接続し、前記第1磁界発生手段に対向し、形状が前記基準点に対して前記第1磁束伝達手段と対称に設けられる第2磁束伝達手段と、
感磁面を有し、前記第1磁界発生手段と前記第2磁束伝達手段との間の領域、及び前記第2磁界発生手段と前記第1磁束伝達手段との間の領域において、検出対象の直線移動に伴って前記基準点を含む直進軸上を前記第1磁界発生手段、前記第2磁界発生手段、前記第1磁束伝達手段および前記第2磁束伝達手段に対して相対移動して前記検出対象のストローク量を検出する磁気検出手段と、
を備えることを特徴とするストローク量検出装置。 - 前記第1磁界発生手段および前記第1磁束伝達手段は、前記磁気検出手段側に向く内壁面、前記磁気検出手段と反対側に向く外壁面、互いに接続される面である接続面、及び、前記接続面と反対側に向く開放面を有し、
前記第1磁界発生手段の前記内壁面および前記外壁面は、互いに平行な単一平面で構成され、かつ、
前記第1磁束伝達手段の前記内壁面および前記外壁面は、互いに平行な単一平面で構成されることを特徴とする請求項1に記載のストローク量検出装置。 - 前記第1磁界発生手段の前記接続面および前記開放面は、前記第1磁界発生手段の前記内壁面および前記外壁面に直交する単一平面で構成され、かつ、
前記第1磁束伝達手段の前記接続面および前記開放面は、前記第1磁束伝達手段の前記内壁面および前記外壁面に直交する単一平面で構成されることを特徴とする請求項2に記載のストローク量検出装置。 - 前記第1磁界発生手段の前記内壁面と前記第1磁束伝達手段の前記内壁面とは互いに同一平面に形成されることを特徴とする請求項3に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段および前記第1磁束伝達手段の前記内壁面は、前記直進軸に対して平行であることを特徴とする請求項4に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段および前記第1磁束伝達手段の前記内壁面は、前記直進軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項4に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段の前記内壁面と前記第2磁界発生手段の前記内壁面とは、互いの面に投影したとき重複部分を有することを特徴とする請求項5または6に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁束伝達手段の前記内壁面と前記第2磁束伝達手段の前記内壁面とは、互いの面に投影したとき重複部分を有することを特徴とする請求項5または6に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段または前記第1磁束伝達手段の前記接続面と前記第2磁界発生手段または前記第2磁束伝達手段の前記接続面とは、前記基準点を通る同一平面に形成されることを特徴とする請求項5または6に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段の前記開放面と前記接続面との距離は、前記第1磁束伝達手段の前記開放面と前記接続面との距離と同一であることを特徴とする請求項7〜9のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段の前記開放面と前記第2磁束伝達手段の前記開放面とは互いに同一平面に形成され、前記第1磁束伝達手段の前記開放面と前記第2磁界発生手段の前記開放面とは互いに同一平面に形成されることを特徴とする請求項7または8に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段の前記内壁面は、前記第1磁束伝達手段の前記内壁面に対して傾斜していることを特徴とする請求項2または3に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁界発生手段および前記第1磁束伝達手段は、前記磁気検出手段側に向く内壁面、前記磁気検出手段と反対側に向く外壁面、互いに接続される面である接続面、及び、前記接続面と反対側に向く開放面を有し、
前記第1磁界発生手段の前記内壁面または前記第1磁束伝達手段の前記内壁面のうち少なくとも一方は、対応する前記外壁面に対して非平行な傾斜面を含むことを特徴とする請求項1に記載のストローク量検出装置。 - 前記磁気検出手段の感磁面は、前記直進軸に対して平行に設けられることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。
- 前記磁気検出手段の感磁面は、前記直進軸に対して傾斜して設けられることを特徴とする請求項1〜13のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。
- 前記磁気検出手段は、
前記第1磁界発生手段、前記第1磁束伝達手段、前記第2磁界発生手段および前記第2磁束伝達手段に対して相対移動することにより生じる磁界の変化に応じた信号を出力する第1磁気検出素子を備えることを特徴とする請求項1〜15のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。 - 前記磁気検出手段は、
前記第1磁気検出素子が検出した磁束密度が前記検出対象のストローク量に対して線形に変化するように補正するリニア補正手段を備えることを特徴とする請求項16に記載のストローク量検出装置。 - 前記第1磁気検出素子および前記リニア補正手段は、1つの半導体チップとして構成されることを特徴とする請求項17に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁気検出素子はホール素子であることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。
- 前記磁気検出手段は、
前記第1磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子から前記直進軸に沿って所定距離ずらして配置され、前記第1磁気検出素子と同一の磁気的特性を有する第2磁気検出素子と、
前記第1磁気検出素子および前記第2磁気検出素子の出力信号に基づき三角関数演算により前記検出対象のストローク量を演算する演算手段と、
を備えることを特徴とする請求項16に記載のストローク量検出装置。 - 前記磁気検出手段は、
前記演算手段が演算した演算ストローク量が前記検出対象のストローク量に対して線形に変化するように補正するリニア補正手段を備えることを特徴とする請求項20に記載のストローク量検出装置。 - 前記第1磁気検出素子、前記第2磁気検出素子、前記演算手段、及び、前記リニア補正手段は、1つの半導体チップとして構成されることを特徴とする請求項21に記載のストローク量検出装置。
- 前記第1磁気検出素子および前記第2検出素子はホール素子であることを特徴とする請求項20〜22のいずれか一項に記載のストローク量検出装置。
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