JP5434110B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、複写機、レーザープリンタ、普通ファクシミリ等に用いられる電子写真感光体、及び電子写真感光体の製造方法、並びに該電子写真感光体を用いたプロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
産業活動・生活によって排出される二酸化炭素や有機化合物による環境変化、環境汚染に対して関心が高まっており、各産業分野、各会社共に積極的に排出削減による環境保全に取り組んでいる。
このような有機化合物のうち、揮発性有機化合物(所謂VOC)の排出は産業活動によるものが大部分を占めており、VOCは浮遊粒子状物質や光化学オキシダントの一要因とされている他、シックハウス症候群、土壌汚染や地下水汚染等の一要因とされており、人間を含む動植物への影響が心配されている。そのため、産業活動を行う上で、VOC排出量を削減することが地域社会の環境維持につながるのみならず、産業活動による利器、利便の継続獲得につながることから、近年多くの産業分野毎に排出量規制を課すなど、排出量の削減に対する活動が盛んに実施されている。
電子写真感光体についても、製造時に多量のVOCを用いることから、その排出抑制に対して多くの検討がなされている。例えば、製造に一度使用した有機溶剤については回収とその再利用を行うという取り組みが提案されている(特許文献1、特許文献2、及び特許文献3参照)。これによってVOCの排出量削減を実施している。また、VOCであっても、ハロゲン系有機溶媒に関しては、前記記載の環境への影響を及ぼすだけでなく、オゾン層の破壊につながることが懸念されている物質であり、これらの使用を制限することによって、環境影響を低減する試みも行われている。例えば、特許文献4及び特許文献5には、従来使用されていたハロゲン系溶媒(具体的にはMDC)に変えて、非ハロゲン系溶媒へ置き換える電子写真感光体の製造方法について提案されている。これらVOC排出量削減技術や環境影響の小さいVOC使用に関しては、確実にVOC排出量が削減されることから各社共に採用している手段ではあるが、実質的に使用するVOC量が少なくなる訳ではなく、また、VOC回収に使用するエネルギー量が非常に大きいことから、根本的な解決に至っていないとの見解がある。
これらVOCの直接的な回収・使用量削減とは異なる手段でVOC排出量削減を達成する手段についても数多く検討されている。その一つが、感光体自体のライフサイクルをのばすことにより、感光体の交換頻度を少なくし、一定プリント枚数あたりのVOC使用量を削減するということが試みられている。感光体自体のライフサイクルをのばす手段としては、主に感光体が電子写真作像プロセスから受ける各種ハザードに対して電子写真感光体の耐性を向上させることが挙げられる。例えば、電子写真感光体の表面に機械的強度の高い層(所謂表面層)を形成することによって、感光体のライフサイクルをのばす技術が多数提案されている。例えば、表面層のバインダー成分として熱硬化性樹脂を適用することにより、表面層の耐摩耗性、及び耐傷性を向上させる手法が提案されている(特許文献6、特許文献7、及び特許文献8参照)。
また、電荷輸送物質として架橋構造を有するシロキサン樹脂を用いることで、耐摩耗性、及び耐傷性を向上させることが提案されている(特許文献9、特許文献10、及び特許文献11参照)。
更に、耐摩耗性、及び耐傷性を向上させるために、バインダー樹脂、電荷輸送物質ともに炭素−炭素の二重結合を有するモノマー、炭素−炭素二重結合を有する電荷輸送物質、及びバインダー樹脂を用いる手法が提案されている(特許文献12及び特許文献13参照)。
このような電子写真感光体のライフサイクル延長は、実質的に使用するVOC量を削減するだけでなく、実質的に使用するエネルギー量の削減にもつながるため、省エネルギー対策としても非常に有効な手段である。その他、環境影響の低減とは異なるが、感光体の交換頻度を少なくすることによって、画像形成装置のメンテナンス回数が減少し、よりユーザビリティの高い画像形成装置の提供が可能となるなどの効果も得られる。
前記表面層形成技術においては、常温常圧で液体である低分子量架橋成分を用いることによって、塗工時の粘度調整に用いられるVOC量を低減、又は一切使用せずに表面層を形成させることも可能である。
また、特許文献14及び特許文献15には、溶媒をほとんど用いることなく表面層の形成が可能である技術について提案されている。
しかし、これらの提案では、表面層を形成する際にVOCを使用するケースがほとんどであり、根本的にVOC使用量、排出量削減はVOC回収等の技術と併用する必要があること、また、VOCを一切使用せずに表面層を形成する場合においては材料の制約が高く、実用化例が少ないこと、また、電子写真感光体の大部分を占める感光層の塗工にはVOCが使用されていることから、使用量削減に対する寄与はそれほど大きくないことから、VOC使用量削減に対しては更なる技術検討が必要であると考えられる。
また、VOC使用量を削減することによってVOC排出量を低減する技術についても検討されている。例えば、高圧二酸化炭素を溶媒として使用して塗装液を作製し、それを用い被塗装物を塗装する技術が提案されている(特許文献16参照)。この提案は、塗装に使用する一部のVOCを高圧二酸化炭素に置換することによってVOC使用量削減を実現可能な技術であるが、二酸化炭素自体が多くの有機化合物と親和性が低いため、有機化合物の溶媒として使用する場合は貧溶媒として振る舞う。そのため、VOC置換量には上限があり、すべてのVOCを置き換えることは現時点においては極めて難しい。
また、二酸化炭素に親和性の高いシリコーン系有機化合物(シラン化合物)を、溶媒を使用せずに塗装する技術が提案されている(特許文献17参照)。シラン化合物は、二酸化炭素に対して比較的親和性が高く、高圧二酸化炭素中に溶解しやすいという性質を持つため、高圧二酸化炭素中にシラン化合物を溶解させ、VOCをほとんど利用せずに塗装液の作製が可能であり、それを用いることによって非塗装物を塗装することが可能である。しかし、使用できる有機化合物が非常に限定的であること、また、親和性が高いと言っても、二酸化炭素に溶解する有機化合物の量は多くなく、非常に希薄な塗装液を用いることになるため、一定以上の厚みの塗膜を得るためには多量の二酸化炭素を必要とし、塗装装置としての制約も大きいことが懸念されているのが現状である。
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、環境負荷の大きい揮発性有機溶剤(VOC)の排出を極めて少なくできると共に、電子写真感光体中の残留溶媒が極めて少なくなることによる残留電位及び地汚れ低減が可能となり、長期に亘る使用によっても特性低下が極めて少なく、欠陥の少ない画像を継続的に得ることができる電子写真感光体、及び揮発性有機溶剤を一切使用しないか、又は揮発性有機溶剤の使用量が極めて少ない電子写真感光体の製造方法、並びにプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法である。
<2> 感光層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質と、電荷輸送物質とからなり、
前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて感光層を形成する前記<1>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
<3> 感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷発生層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質とからなり、
前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて電荷発生層を形成する前記<1>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
<4> 感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷輸送層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷輸送物質とからなり、
前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて電荷輸送層を形成する前記<1>に記載の電子写真感光体の製造方法である。
<5> 感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第1の混合流体を用いて電荷発生層を形成し、
前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第2の混合流体を用いて電荷輸送層を形成する前記<1>及び<3>から<4>のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法である。
<6> バインダー樹脂が、常温常圧雰囲気で固相を示す前記<2>から<5>のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法である。
<7> 前記<1>から<6>のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法により製造されたことを特徴とする電子写真感光体である。
<8> 帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、及び除電手段から選択される少なくとも1つの手段と、前記<7>に記載の電子写真感光体とを有し、画像形成装置本体に着脱可能なことを特徴とするプロセスカートリッジである。
<9> 前記<7>に記載の電子写真感光体と、該電子写真感光体表面を帯電させる帯電手段と、帯電された電子写真感光体表面を露光して静電潜像を形成する露光手段と、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、前記可視像を記録媒体に転写する転写手段と、前記記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有することを特徴とする画像形成装置である。
本発明によると、従来における前記問題を解決することができ、環境負荷の大きい揮発性有機溶剤(VOC)の排出を極めて少なくできると共に、電子写真感光体中の残留溶媒が極めて少なくなることによる残留電位及び地汚れ低減が可能となり、長期に亘る使用によっても特性低下が極めて少なく、欠陥の少ない画像を継続的に得ることができる電子写真感光体、及び揮発性有機溶剤を一切使用しないか、又は揮発性有機溶剤の使用量が極めて少ない電子写真感光体の製造方法、並びにプロセスカートリッジ、及び画像形成装置を提供することができる。
図1は、本発明の電子写真感光体の一例を示す概略図である。 図2は、本発明の電子写真感光体の他の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の電子写真感光体の更に他の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す概略図である。 図5は、本発明のプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 図6は、チタニルフタロシアニンのX線回折パターン図である。 図7は、実施例で使用した昇降装置付き耐圧セルを示す概略図である。 図8Aは、図7の昇降装置付き耐圧セル内で被塗工物を降下させた状態を示す概略図である。 図8Bは、図7の昇降装置付き耐圧セル内で被塗工物を上昇させた状態を示す概略図である。
(電子写真感光体及び電子写真感光体の製造方法)
本発明の電子写真感光体の製造方法は、支持体上に少なくとも感光層を有し、
前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて感光層を形成する。
本発明の電子写真感光体は、本発明の前記電子写真感光体の製造方法により製造される。
以下、本発明の電子写真感光体の製造方法の説明を通じて、本発明の電子写真感光体の詳細についても明らかにする。
前記電子写真感光体の製造方法は、層構成、構成成分の種類などに応じて、以下の第1の形態から第4の形態のいずれかであることが好ましい。
第1の形態では、感光層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質と、電荷輸送物質とからなり、
前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した混合流体を用いて感光層を形成することが好ましい。この第1の形態の電子写真感光体の製造方法では、単層構造の感光層を、揮発性有機溶剤を使用しない無溶媒塗工で形成することができる。
第2の形態では、感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷発生層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質とからなり、
前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて電荷発生層を形成することが好ましい。この第2形態の電子写真感光体の製造方法では、積層構造の感光層の電荷発生層を、揮発性有機溶剤を使用しない無溶媒塗工で形成することができる。
第3の形態では、感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷輸送層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷輸送物質とからなり、
前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて電荷輸送層を形成することが好ましい。この第3形態の電子写真感光体の製造方法では、積層構造の感光層の電荷輸送層を、揮発性有機溶剤を使用しない無溶媒塗工で形成することができる。
第4の形態では、感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第1の混合流体を用いて電荷発生層を形成し、
前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第2の混合流体を用いて電荷輸送層を形成することが好ましい。この第4形態の電子写真感光体の製造方法では、積層構造の感光層の電荷発生層及び電荷輸送層を、揮発性有機溶剤を使用しない無溶媒塗工で形成することができる。
−超臨界乃至亜臨界流体−
前記超臨界流体とは、気体と液体が共存できる限界の温度及び圧力(臨界点)を超えた状態にある流体を意味する。前記超臨界流体は、高密度状態において、一般に物質を溶かす能力がその流体の常温での溶解力よりも非常に大きいという特徴を有する。これは該超臨界流体が高圧力下にあるため、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいためと考えられている。また、温度及び圧力による密度の調整によって溶解性の制御ができるため、適用範囲が広いことも特筆すべき特性である。一般には、密度0.2g/cm以上の超臨界流体が化学物質に対する溶媒として用いられることが多い。また、超臨界流体は前述の通り、流体の運動エネルギーが大きいこと、また、粘性が小さいことから媒質への拡散が早い。このため、一般に用いられる溶媒では多孔質体へ浸透しにくいが、超臨界流体を用いれば比較的容易に多孔質体へ浸透することが知られている。更に、熱伝導度は液体よりも大きいため、超臨界流体中で生じた化学反応による反応熱は速やかに除去することが可能である。
−無溶媒塗工の原理−
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、前記超臨界乃至亜臨界流体が感光層構成成分中に溶解することにより該感光層構成成分を可塑化させることにより、該感光層構成成分のガラス転移点や軟化点が低下する現象が発現する。この現象は超臨界流体又は亜臨界流体の溶解量に依存するため、感光層構成成分に超臨界乃至亜臨界流体の溶解量が高くなるような処理条件にすることでより顕著に発現する。雰囲気温度を該感光層構成成分の軟化点以上にすることにより、比較的穏和な条件で感光層構成成分を流動化することが可能となる。また、流動化した感光層構成成分への超臨界乃至亜臨界流体の溶解量を調整することにより、その粘性を制御することが可能である。これによってVOCを一切使用することなく、感光層構成成分を流動化することができ、更にその粘性制御も雰囲気温度及び圧力によって可能な感光層構成成分を含む混合流体を形成することができる。該混合流体を用いて電子写真感光体の感光層の形成を行うことによって、排出VOCが極めて少なく、高い機能を有する電子写真感光体を作製することが可能となる。
−使用できる媒体−
前記超臨界流体としては、気体と液体とが共存できる限界(臨界点)を超えた温度及び圧力領域において非凝縮性高密度流体として存在し、圧縮しても凝縮を起こさず、臨界温度以上、かつ臨界圧力以上の状態にある流体である限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。また、超臨界流体の臨界温度及び臨界圧力としては特に制限はない。これらの流体としては、例えば一酸化炭素、二酸化炭素、アンモニア、窒素、水、メタノール、エタノール、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、2,3−ジメチルブタン、ベンゼン、クロロトリフロロメタン、ジメチルエーテルなどが挙げられる前記臨界温度としては、−273℃〜300℃が好ましく、0℃〜1400℃が特に好ましい。超臨界中に対する媒質が熱により変性するようなものを用いる場合には臨界温度が低いものが好ましい。例えば、二酸化炭素(臨界温度31.0℃)、エタン(臨界温度32.2℃)、プロパン(臨界温度96.6℃)、アンモニア(臨界温度132.3℃)などが挙げられる。また、前記亜臨界流体としては、前記臨界点近傍の温度及び圧力領域において高圧液体として存在する限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。超臨界流体として挙げられる各種材料は、前記亜臨界流体としても好適に使用することができる。
前記超臨界乃至亜臨界流体は、1種単独で使用してもよいし、2種類以上混合して用いてもよい。
−超臨界二酸化炭素−
本発明においては、バインダー樹脂、電荷発生物質、電荷輸送物質等の感光層構成成分(有機材料)に対して超臨界乃至亜臨界流体を適用する場合、媒体として二酸化炭素を主媒体として用いることが好ましい。二酸化炭素は超臨界圧力が7.3MPa、超臨界温度が31.0℃と比較的穏和な温度圧力条件によって容易に超臨界状態を作り出せ、有機材料に対する熱ダメージが小さいこと、更に不燃性、低毒性で取り扱いが容易であることが利点として挙げられるため、食品工業の分野では広く用いられている。
−エントレーナー−
超臨界乃至亜臨界流体のバインダー樹脂、電荷発生物質、電荷輸送物質等の感光層構成成分(有機材料)に対する溶解性を制御するために、超臨界乃至亜臨界流体に有機溶媒をエントレーナーとして添加することができる。一般には超臨界乃至亜臨界流体を溶解させたい溶質(バインダー樹脂、電荷発生物質、電荷輸送物質等の有機材料)に対して親和力の強い溶媒をエントレーナーとして選択することが好ましい。エントレーナー添加によって所望の溶質に対する超臨界乃至亜臨界流体の溶解度を増大することが可能であると同時に、電子写真感光体から超臨界乃至亜臨界流体への感光層構成成分の溶出を抑制することが可能となるように溶媒を選択することがより好ましい。
前記エントレーナーとして用いる溶媒としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、アンモニア、メラミン、尿素、チオエチレングリコールなどが挙げられる。
前記超臨界乃至亜臨界流体と前記エントレーナーとの混合流体における該エントレーナーの含有量は、0.1質量%〜10質量%が好ましく、0.5質量%〜5質量%がより好ましい。前記含有量が、0.1質量%未満であると、エントレーナーとしての効果が得られ難くなることがあり、10質量%を超えると、エントレーナーの液体としての性質が強くなりすぎ、超臨界乃至亜臨界状態が得られにくくなることがある。
−処理方法−
本発明の電子写真感光体の製造方法により、感光層を溶媒を使用しない無溶媒塗工により形成する場合には、無溶媒塗工液の作製、及びその粘度が処理条件によって決定されるため、極めて重要となる。
最初に電子写真感光体の感光層構成成分を含む混合流体の調製に関して説明する。なお、超臨界流体を用いた場合の調整方法に関して記載するが、亜臨界流体を用いた場合でも同様である。
まず、感光層構成成分(例えばバインダー樹脂、電荷発生物質、電荷輸送物質など)の混合物を超臨界乃至亜臨界流体中に静置することによって、超臨界流体が感光層構成成分中に溶解し、感光層構成成分の可塑化が生じる。この際、少なくとも1種の感光層構成成分の軟化点(ここで指す軟化点とは超臨界乃至亜臨界流体の溶解によって低下したものを指す)以上の雰囲気温度とすることによって該構成成分が流動化する。この状態で機械的な剪断力を該流動成分を含む感光層構成成分の混合物に加えることによって、感光層構成成分の混合及び分散を実施することが可能となり、これによって均質な混合流体(無溶媒塗工液)を形成することが可能である。混合に際しては、均質な感光層塗工液を得るために機械的剪断力を加えることが好ましいが、雰囲気温度をすべての感光層構成成分の軟化点以上に設定することによって、すべての成分を流動化することが可能であれば、比較的時間を要するものの分子拡散によって均質塗工液を得ることも可能である。
次に、前記無溶媒塗工液を用いた塗工について説明する。前記塗工方法に関しては一般に用いられる塗工方法であれば特に制限はなく、塗工液の粘性、所望とする感光層の厚みなどによって適宜塗工方法を選択することができ、例えば、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート法などが挙げられる。
塗膜の厚みや機能に深く関わる感光層塗工液の粘度に関しては、塗工液中への超臨界流体の溶解量によって調整することが可能である。具体的には、無溶媒塗工液中への超臨界流体の溶解量が多い場合には粘性低下を、溶解量が少ない場合には粘性上昇をする。ここで無溶媒塗工液中への超臨界流体の溶解量は用いる感光層構成成分の種類、超臨界流体の種類によって異なるため、使用材料、溶媒種に併せて適宜温度、圧力条件を設定することが好ましい。
次に、塗工後の乾燥について説明する。本発明においては感光層塗工液に揮発性有機溶剤を使用しないので、通常の塗工のような乾燥工程は不要である。ただし、感光層構成成分によっては前記エントレーナーとなる揮発性有機溶剤を少量添加することがあるため、その場合についてのみ、該有機溶剤を塗膜中から取り除くプロセスが必要な場合がある。通常、感光層の形成は高圧雰囲気下で行われるが、塗工後に圧力を低下し、膜中に溶解していた超臨界流体を排出する必要がある。この際に前記エントレーナーとして用いた揮発性有機溶剤のほとんどが超臨界流体と一緒に膜外に排出されることが知られており(所謂、超臨界流体乾燥)、多くの場合においては乾燥工程の必要はない。なお、エントレーナーの残留によって膜の機能発現が不十分であったり、そもそも膜の機能発現に一定以上の加温が必要である場合には、適宜加温条件、時間を選択して乾燥工程を実施するとよい。
最後に作製した感光層を大気中に解放する方法について説明する。前述の通り本発明の電子写真感光体の製造方法は、高圧雰囲気下で実施されるため、減圧工程が必要となる。この減圧工程での減圧条件は、特に制限はなく、感光層の製造方法や感光層の厚みに応じて適宜選択することができる。一般に電子写真感光体の感光層厚みは1μm〜40μmと比較的薄膜であり、減圧時の塗膜からの超臨界流体の排出は発泡を伴うことなく終了することが多い。しかし、用いる感光層構成成分や超臨界流体によっては減圧時に発泡等により膜の変形を伴うこともあり、その場合には減圧速度を遅くする必要がある。また、前述の手法で作製した無溶媒塗工液も含めて減圧を実施する場合には、無溶媒塗工液の発泡を抑制するために、減圧と同時に雰囲気温度を低下させ、雰囲気温度を無溶媒塗工液の軟化点以下とし、発泡が生じにくい状態で減圧することが好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法は、上述したように、無溶媒塗工液の調製から塗工、大気解放を実施し、感光層の形成を行うものであり、通常の塗工法と比較して以下に示す特徴がある。
(1)塗膜中に残留する溶媒が極めて少ない
本発明の電子写真感光体の製造方法では、感光層塗工液の形成及び塗工時の粘度調整に揮発性有機溶剤を使用しないため、形成した塗膜内には有機溶剤は残留しない。このため、通常の揮発性有機溶剤を使用して作製した塗膜と比較して、膜からの臭気が少なく、材料の純度が重要となるような有機半導体材料などの機能向上などに非常に有利である。本発明の電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体にも後述する電気特性への影響が確認できており、デバイスの形成方法としては非常に良好な塗工法である。
(2)相互に親和性を有しない材料の塗工
互いに親和性を有しない材料(例えば飽和炭化水素化合物とシリコーン化合物)は、揮発性有機溶剤を使用した製造方法によって膜形成した場合、一般には相分離構造を有する塗膜となることが多い。本発明の電子写真感光体の製造方法においては、感光層構成成分として用いる材料の親和性がよくない場合であっても、超臨界乃至亜臨界流体が各有機材料に溶解するため、通常用いる場合と比較して互いの有機材料の親和性が高くなり、均質膜構造を形成しやすいという特徴がある。このため、材料を選択することによって、比較的容易に親和性の低い材料のブレンド膜を形成することが可能となる。
(3)表面性
本発明の電子写真感光体の製造方法を用いて塗膜を形成した場合には、該塗膜表面が非常に平滑となることが確認されている。この現象については、通常の揮発性有機溶剤を使用した場合の塗工方法で見られるような表面凹凸の発生原因などから、減圧時に塗膜からの超臨界流体の排出が均一にかつ迅速に生じるためであると考えられる。
(4)構成成分の偏析
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、形成した塗膜からの超臨界乃至亜臨界流体の排出が均一にかつ迅速に生じると考えられるため、溶媒成分の揮発速度の偏在によって生じる感光層構成成分の偏在も生じにくいと考えられる。電子写真感光体の感光層においては電荷の移動がホッピングにより生じ、そのホッピングによる移動速度はホッピングサイト(所謂電荷輸送物質中における電荷輸送構造)の濃度により決定されることが広く知られている。前記感光層構成成分の偏在が生じにくい場合には感光層全域に亘って均一な電荷移動が生じるのに対して、通常の揮発性有機溶剤を用いて形成した場合には偏在が生じ、前述のホッピングサイト間の距離が相対的に長くなる箇所も生じ、電荷移動阻害になる可能性がある。また、ホッピングサイト間に残留溶剤のような不純物が存在していた場合にはその箇所が浅い電荷トラップとなる可能性もあり、電荷移動等の機能阻害の一因となりやすい。
−処理条件に関する説明−
前記感光層構成成分は、主に有機材料から選択されるため、熱により変質乃至分解することが懸念される。そのため、無溶媒塗工液の調製及び塗工においてはその温度は、30℃以上230℃以下が好ましく、40℃以上200℃以下がより好ましい。前記温度が、30℃未満であると、超臨界乃至亜臨界流体の感光層構成成分中への溶解性、拡散性が低いために、構成成分の可塑化及び軟化点低下を引き起こしにくいこと、また、用いる構成成分に高分子量材料が含まれている場合には該成分の流動化が見込めないことがある。一方、前記温度が、230℃を超えると、感光層構成成分の変性乃至分解が生じたり、超臨界乃至亜臨界流体の感光層構成成分中への溶解性が低下したり、感光体が機能分離型積層感光体である場合には隣接層に含まれる構成成分のしみ出しなどの原因になることがある。
無溶媒塗工液の形成及び塗工に際する圧力については、選択した溶媒が超臨界乃至亜臨界流体となり、感光層の構成成分中に溶解する圧力条件であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、1MPa〜100MPaが好ましく、1MPa〜50MPaがより好ましい。
−超臨界流体への添加材料の説明−
本発明の電子写真感光体の製造方法においては、感光層構成成分の内、超臨界乃至亜臨界流体と親和性の高い成分は感光層から超臨界乃至亜臨界流体中に溶解する。このため、感光層中に所望の濃度を配合するために、予め超臨界乃至亜臨界流体中に所望の材料を溶解させておくことが好ましい。また、感光層塗工と同時に注入処理も可能であり、塗工の際に注入したい所望の材料を超臨界乃至亜臨界流体中に予め溶解させておくことにより、感光層中に注入することが可能である。なお、超臨界乃至亜臨界流体中への添加剤の量は使用する材料によって適宜選択することができる。
−装置−
超臨界乃至亜臨界流体を使用する装置は、支持体上に少なくとも感光層が形成された積層体が、超臨界乃至亜臨界流体と接触できる構成であれば、いかなる装置をも使用することができる。超臨界乃至亜臨界流体を閉鎖系で使用するバッチ方式、超臨界乃至亜臨界流体を循環させて使用する流通方式、バッチ方式と流通方式とを組み合わせた複合方式などの方式があり、いずれも使用可能である。例えば、後述の実施例に示す装置構成(図7参照)などが挙げられる。この装置により、超臨界流体処理工程を実施することができる。
このような装置としては、例えば耐圧反応セル内に、導電性支持体と、感光層構成成分の混合物を収納した後に耐圧セルを封止し、例えば、二酸化炭素を供給ボンベから耐圧セル内に供給し、加圧ポンプと温度調節機で圧力と温度(例えば、30MPa、80℃又は120℃)に調節する。静置後、圧力を10MPaまで低下させ(温度は80℃又は120℃に保ったまま)、圧力を維持したまま加圧ポンプと排圧弁を使用して、二酸化炭素を流すことによって、余分の感光層構成成分を耐圧セルから除去する。余分の感光層構成成分を除去後、温度及び圧力を徐々に大気圧雰囲気まで低下させることによって、超臨界流体処理が行われる。
<電子写真感光体>
本発明の電子写真感光体は、支持体と、該支持体上に少なくとも感光層を有してなり、更に必要に応じて、下引き層等のその他の層を有してなる。
前記感光層としては、電荷発生機能と電荷輸送機能を有していれば単層構造をとっても多層構造をとってもよい。
ここで、前記電子写真感光体の一例について図1〜図3を用いて説明する。
図1に示した電子写真感光体の概略断面図は、感光層が単層の場合の一例であり、支持体31上に電荷発生物質と電荷輸送物質を含有する感光層34が設けられている。
図2及び図3に示した電子写真感光体の概略断面図は、感光層が積層の場合の例であり、支持体31上に電荷発生機能を担う電荷発生層32と、電荷輸送機能を担う電荷輸送層33とを分離して積層した態様のものである。本態様をとる場合は、図示するとおり電荷発生層と電荷輸送層の積層順番は特に限定されることはなく、用途に応じて使い分けることが可能である。
<積層構成の場合>
前記積層型感光層は、電荷発生機能及び電荷輸送機能をそれぞれ独立した層が担うため、感光層の層構成としては、支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とが積層された構成を取る。積層順については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、多くの電荷発生物質は化学的安定性に乏しく、電子写真作像プロセスにおける帯電器周辺での放電生成物のような酸性ガスにさらされると電荷発生効率の低下などを引き起こすおそれがあるので、電荷発生層の上に電荷輸送層を積層することが好ましい。
−電荷発生層−
前記電荷発生層は、電荷発生機能を有する層であり、構成成分として電荷発生機能を有する電荷発生物質と、バインダー樹脂とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
前記無機系材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、結晶セレン、アモルファス・セレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物、アモルファス・シリコンなどが挙げられる。これらの中でも、アモルファス・シリコンが特に好ましい。前記アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
前記有機系材料としては、特に制限はなく、公知の材料の中から目的に応じて適宜選択することができ、例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリアリールアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン系顔料、トリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン系顔料、ナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂としては、例えばポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記バインダー樹脂の含有量は、前記電荷発生物質100質量部に対し500質量部以下が好ましく、10質量部〜300質量部がより好ましい。
ここで、電荷発生層を本発明の電子写真感光体の製造方法で形成する場合であって、電荷発生層の構成成分としてバインダー樹脂を用いる場合には、常温常圧雰囲気において固相を示すことが好ましい。ここで、前記常温常圧とは、1気圧で25℃を意味する。前記バインダー樹脂が常温常圧雰囲気下で固相を示さない場合には、塗工後に架橋反応等による硬化をさせることが好ましい。通常、電子写真感光体は、常温常圧雰囲気近傍で使用されることが多く、その際に電荷発生層が固相を示さない場合には、電子写真感光体の経時での厚み偏差の発生や機能の低下などを引き起こすため好ましくない。
本発明の電子写真感光体の製造方法により電荷発生層を形成する場合には、前述の通り、前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分(バインダー樹脂、電荷発生物質等)を含む混合流体を用いて電荷発生層を形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体の製造方法を用いない場合(即ち、電荷輸送層等の他層を本発明の製造方法で形成する場合)には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。前記真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
前記キャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を、必要に応じてバインダー樹脂と共に、溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより形成できる。また、必要に応じて、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のレベリング剤を添加することができる。
前記溶媒としては、例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソラン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、アニソール、キシレン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル、酢酸ブチルなどが挙げられる。
前記塗布は、例えば浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、リングコート法などを用いて行うことができる。
前記電荷発生層の厚みは、0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜2μmがより好ましい。
−電荷輸送層−
前記電荷輸送層は、電荷輸送機能を有する層であり、構成成分として電荷輸送物質と、高分子電荷輸送物質と、バインダー樹脂とを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記バインダー樹脂としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の材料を適宜選択することができ、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記電荷輸送層を本発明の電子写真感光体の製造方法で形成する場合であって、電荷輸送層の構成成分としてバインダー樹脂を用いる場合には、常温常圧雰囲気において固相を示すことが好ましい。ここで、前記常温常圧とは、1気圧で25℃を意味する。前記バインダー樹脂が常温常圧雰囲気で固相を示さない場合には、塗工後に架橋反応等による硬化をさせることが好ましい。通常、電子写真感光体は、常温常圧雰囲気近傍で使用されることが多く、その際に電荷輸送層が固相を示さない場合には、電子写真感光体の厚み偏差の発生やトナー付着、画像形成装置各部材の汚染などを引き起こすためである。
前記電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリアリールアミン、ヒドラゾン、ピラゾリン、カルバゾールなどの正孔輸送性構造を有する公知の正孔輸送物質、縮合多環キノン、ジフェノキノン、シアノ基、ニトロ基を有する電子吸引性芳香族環などの電子輸送構造を有する公知の電子輸送物質が挙げられる。前記正孔輸送物質又は電子輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種以上の混合物として用いてもよい。
前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量としては、電荷輸送層全質量に対して20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましい。前記含有量が、電荷輸送層全質量に対して20質量%未満であると、電荷輸送層の電荷輸送性が小さくなることにより所望の光減衰特性が得られないことがあり、80質量%より大きいと、電子写真プロセスから感光体が受ける各種ハザードによって必要以上に磨耗することがある。一方、前記電荷輸送物質の電荷輸送層における含有量が、前記特に好ましい範囲内であると、所望の光減衰性が得られるとともに、使用によっても磨耗量が少ない電子写真感光体を得ることができる点で有利である。
前記高分子電荷輸送物質とは、後述するバインダー樹脂の機能と電荷輸送物質の機能を併せた材料である。電荷輸送物質として高分子電荷輸送物質を適用することにより、帯電性低下や地汚れの発生が抑制されるので好ましい。
前記高分子電荷輸送物質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えばポリカーボネート、ポリウレタン、ポリエステル及びポリエーテルの中から選ばれる少なくともいずれかの重合体であることが好ましい。これらの中でも、特許第3852812号公報及び特許第3990499号公報等に例示されているトリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネートが、磨耗耐久性・電荷輸送性の観点から好ましい。
前記高分子電荷輸送物質は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。また、磨耗耐久性や製膜性等の観点から後述するバインダー樹脂と併用してもよい。電荷輸送性の両立の観点から、前記高分子電荷輸送物質とバインダーを併用する場合、高分子電荷輸送物質の含有量としては電荷輸送層全質量に対して40質量%〜90質量%が好ましく、50質量%〜80質量%がより好ましい。
本発明の電子写真感光体の製造方法で電荷輸送層を形成する場合には、前述の通り、前記電荷輸送層の構成成分(バインダー樹脂、電荷輸送物質等)の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて電荷輸送層を形成することができる。
また、本発明の電子写真感光体の製造方法を用いない場合(即ち、電荷発生層等の他層を本発明の製造方法で形成する場合)には、前記電荷輸送物質、前記バインダー樹脂、又は前記高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解乃至分散し、これを塗布し、乾燥することによって形成できる。前記電荷輸送層の構成成分はいずれも常温常圧下で固体であるものが多いため、塗工液作製においては各構成成分と親和性の高い溶媒を用いる。ここで用いられる溶剤としては、一般に塗装及び塗工に用いられる公知の溶剤であれば特に限定されない。用いる溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
また、前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第1の混合流体を用いて電荷発生層を形成し、
前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した第2の混合流体を用いて電荷輸送層を形成することもできる。
前記電荷輸送層形成の際に用いる塗工方法としては、特に制限はなく、一般に用いられている塗工方法を用いることができ、塗工液の粘性、所望とする電荷輸送層の厚みなどによって適宜塗工方法を選択するとよい。例えば、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、リングコート法などが例示される。
また、前記電荷輸送層には、必要により後述する可塑剤、レベリング剤を添加することもできる。
いずれの方法で形成した場合であっても、前記電荷輸送層の厚みとしては、解像度及び応答性の点から、50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましい。下限値に関しては、使用する画像形成装置に応じて異なるが、5μm以上が好ましい。
<単層型感光層>
前記単層構造の感光層は、電荷発生機能と電荷輸送機能を同時に有する層であり、構成成分として電荷発生物質と、電荷輸送物質と、バインダー樹脂とを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
本発明の電子写真感光体の製造方法により感光層を形成する場合には、前述の通り、前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含む混合流体を用いて感光層を形成することができる。
前記バインダー樹脂としては、前記電荷輸送層で挙げたバインダー樹脂のほかに、電荷発生層で挙げたバインダー樹脂を混合して用いてもよい。なお、高分子電荷輸送物質も好適に使用できる。前記バインダー樹脂100質量部に対する電荷発生物質の量は5質量部〜40質量部が好ましく、電荷輸送物質の量は190質量部以下が好ましく、50質量部〜150質量部がより好ましい。
前記単層型感光層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5μm〜25μmが好ましい。
<支持体>
前記支持体としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属;酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいはアルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理を施した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体として用いることができる。
その他、前記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものについても、支持体として用いることができる。
前記導電性粉体としては、例えば、カーボンブラック、アセチレンブラック、また、アルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルトルエン樹脂、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。
前記導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体として良好に用いることができる。
−下引き層−
本発明の電子写真感光体は、支持体と感光層との間に下引き層を設けることができる。
前記下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
前記下引き層は、本発明の電子写真感光体の製造方法で形成してもよいし、適当な溶媒を使用した塗工法を用いて形成してもよい。また、前記下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。更に、前記下引き層は、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。
前記下引き層の厚みは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、5μm以下が好ましい。
−その他添加剤−
本発明の電子写真感光体においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、前記感光層、前記電荷発生層、前記電荷輸送層、前記下引き層の各層に一般に市販されている酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤及びレベリング剤を添加してもよい。これら添加剤の添加量は、目的に応じて適宜選択するとよく、添加する層の総質量に対し0.01質量%〜10質量%が好ましい。
(画像形成方法及び画像形成装置)
本発明の画像形成装置は、電子写真感光体と、帯電手段と、露光手段と、現像手段と、転写手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、定着手段、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
前記電子写真感光体が、本発明の前記電子写真感光体である。
本発明で用いられる画像形成方法は、帯電工程と、露光工程と、現像工程と、転写工程とを少なくとも含み、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、定着工程、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明で用いられる画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記帯電工程は前記帯電手段により行うことができ、前記露光工程は前記露光手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記クリーニング工程は前記クリーニング手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
−帯電工程及び帯電手段−
前記帯電工程は、電子写真感光体表面を帯電させる工程であり、前記帯電手段により行われる。
前記帯電手段としては、前記電子写真感光体の表面に電圧を印加して一様に帯電させることができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、電子写真感光体と非接触で帯電させる非接触方式の帯電手段が用いられる。
前記非接触の帯電手段としては、例えば、コロナ放電を利用した非接触帯電器や針電極デバイス、固体放電素子;電子写真感光体に対して微小な間隙をもって配設された導電性又は半導電性の帯電ローラなどが挙げられる。これらの中でも、コロナ放電が特に好ましい。
前記コロナ放電は、空気中のコロナ放電によって発生した正又は負のイオンを電子写真感光体の表面に与える非接触な帯電方法であり、電子写真感光体に一定の電荷量を与える特性を持つコロトン帯電器と、一定の電位を与える特性を持つスコロトロン帯電器とがある。
前記コロトン帯電器は、放電ワイヤの周囲に半空間を占めるケーシング電極とそのほぼ中心に置かれた放電ワイヤとから構成される。
前記スコロトロン帯電器は、前記コロトロン帯電器にグリッド電極を追加したものであり、グリッド電極は電子写真感光体表面から1.0mm〜2.0mm離れた位置に設けられている。
−露光工程及び露光手段−
前記露光は、例えば、前記露光手段を用いて前記電子写真感光体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光における光学系は、アナログ光学系とデジタル光学系とに大別される。前記アナログ光学系は、原稿を光学系により直接電子写真感光体上に投影する光学系であり、前記デジタル光学系は、画像情報が電気信号として与えられ、これを光信号に変換して電子写真感光体を露光し作像する光学系である。
前記露光手段としては、前記帯電手段により帯電された前記電子写真感光体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザ光学系、液晶シャッタ光学系、LED光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記電子写真感光体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像工程及び現像手段−
前記現像工程は、前記静電潜像を、トナー乃至現像剤を用いて現像して可視像を形成する工程である。
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像を前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、前記トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記電子写真感光体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該電子写真感光体の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該電子写真感光体の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記現像器に収容させる現像剤は、前記トナーを含む現像剤であるが、該現像剤としては一成分現像剤であってもよいし、二成分現像剤であってもよい。
−転写工程及び転写手段−
前記転写工程は、前記可視像を記録媒体に転写する工程であるが、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する態様が好ましく、前記トナーとして2色以上、好ましくはフルカラートナーを用い、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写工程と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写工程とを含む態様がより好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記電子写真感光体を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。前記転写手段としては、可視像を中間転写体上に転写して複合転写像を形成する第一次転写手段と、該複合転写像を記録媒体上に転写する第二次転写手段とを有する態様が好ましい。
なお、前記中間転写体としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写体の中から適宜選択することができ、例えば、転写ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記電子写真感光体上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。前記転写器としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、記録媒体としては、代表的には普通紙であるが、現像後の未定着像を転写可能なものなら、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、OHP用のPETベース等も用いることができる。
−定着工程及び定着手段−
前記定着工程は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着させる工程であり、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着部材と該定着部材を加熱する熱源とを有するものが用いられる。
前記定着部材としては、例えば、無端状ベルトとローラとの組合せ、ローラとローラとの組合せ、などが挙げられるが、ウォームアップ時間を短縮することができ、省エネルギー化の実現の点で、また、定着可能幅の拡大の点で、熱容量が小さい無端状ベルトとローラとの組合せであるのが好ましい。
−クリーニング工程及びクリーニング手段−
前記クリーニング工程は、前記電子写真感光体上に残留する前記トナーを除去する工程であり、クリーニング手段により好適に行うことができる。なお、クリーニング手段を用いることなく、摺擦部材で残留トナーの電荷を揃え、現像ローラで回収する方法を採用することもできる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
−除電工程及び除電手段−
前記除電工程は、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加して除電を行う工程であり、除電手段により好適に行うことができる。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記電子写真感光体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
−リサイクル工程及びリサイクル手段−
前記リサイクル工程は、前記クリーニング工程により除去した前記トナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、リサイクル手段により好適に行うことができる。前記リサイクル手段としては、特に制限はなく、公知の搬送手段等が挙げられる。
−制御工程及び制御手段−
前記制御工程は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
次に、図面に基づいて本発明の画像形成装置及びプロセスカートリッジについて詳しく説明する。
本発明の画像形成装置とは、本発明の前記電子写真感光体を用い、例えば少なくとも感光体に帯電、画像露光、現像の過程を経た後、画像保持体(転写紙)へのトナー画像の転写、定着及び感光体表面のクリーニングというプロセスよりなるものである。
なお、場合により、静電潜像を直接記録媒体に転写し現像する画像形成装置では、感光体に配した上記プロセスを必ずしも有するものではない。
図4は、画像形成装置の一例を示す概略図である。感光体を平均的に帯電させる手段として、帯電チャージャ3が用いられる。この帯電手段としては、コロトロンデバイス、スコロトロンデバイス、固体放電素子、針電極デバイス、ローラ帯電デバイス、導電性ブラシデバイス等が用いられ、公知の方式が使用可能である。
次に、均一に帯電された感光体1上に静電潜像を形成するために画像露光部5が用いられる。この光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
次に、感光体1上に形成された静電潜像を可視化するために現像ユニット6が用いられる。現像方式としては、乾式トナーを用いた一成分現像法、二成分現像法、湿式トナーを用いた湿式現像法がある。感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
次に、感光体上で可視化されたトナー像を記録媒体9上に転写するために転写チャージャ10が用いられる。また、転写をより良好に行うために転写前チャージャ7を用いてもよい。これらの転写手段としては、転写チャージャ、バイアスローラーを用いる静電転写方式、粘着転写法、圧力転写法等の機械転写方式、磁気転写方式が利用可能である。静電転写方式としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、記録媒体9を感光体1より分離する手段として分離チャージャ11、分離爪12が用いられる。その他分離手段としては、静電吸着誘導分離、側端ベルト分離、先端グリップ搬送、曲率分離等が用いられる。分離チャージャ11としては、前記帯電手段が利用可能である。
次に、転写後感光体上に残されたトナーをクリーニングするためにファーブラシ14、クリーニングブレード15が用いられる。また、クリーニングをより効率的に行うためにクリーニング前チャージャ13を用いてもよい。その他クリーニング手段としては、ウェブ方式、マグネットブラシ方式等があるが、それぞれ単独又は複数の方式を一緒に用いてもよい。
更に必要に応じて感光体上の潜像を取り除く目的で除電手段が用いられる。除電手段としては除電ランプ2、除電チャージャが用いられ、それぞれ前記露光光源、帯電手段が利用できる。
その他、感光体に近接していない原稿読み取り、給紙、定着、排紙等のプロセスは公知のものが使用できる。
本発明の画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形態でそれら装置内に組み込まれ、着脱可能としたものであってもよい。プロセスカートリッジの一例を図5に示す。
前記プロセスカートリッジとは、感光体101を内蔵し、他に帯電手段102、現像手段104、転写手段106、クリーニング手段107、除電手段(不図示)の少なくとも一つを具備し、画像形成装置本体に着脱可能とした装置(部品)である。
図5のプロセスカートリッジによる画像形成プロセスについて示すと、感光体101は、矢印方向に回転しながら、帯電手段102による帯電、露光手段103による露光により、その表面に露光像に対応する静電潜像が形成され、この静電潜像は、現像手段104でトナー現像され、該トナー現像は転写手段106により、記録媒体105に転写され、プリントアウトされる。次いで、像転写後の感光体表面は、クリーニング手段107によりクリーニングされ、更に除電手段(不図示)により除電されて、再び以上の操作を繰り返すものである。
本発明の画像形成方法、画像形成装置、及びプロセスカートリッジは、本発明の電子写真感光体を用いているので、長期にわたる使用によっても帯電性の低下などの電子写真特性の低下が極めて少なく、欠陥の少ない高品質画像を継続的に得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液、及び下記組成の電荷発生層用塗工液を順次、塗布し、乾燥することにより、平均厚み3.5μmの下引き層、及び平均厚み0.2μmの電荷発生層をそれぞれ形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4質量部
・酸化チタン・・・40質量部
・メチルエチルケトン・・・50質量部
〔電荷発生層用塗工液〕
・図6に示すX線回折パターンを有するチタニルフタロシアニン(平均粒子径=0.31μm)・・・8質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・5質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
次に、得られた導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体の表面に超臨界流体を用いて電荷輸送層の塗工を行った。本実施例では超臨界流体として二酸化炭素を用いた。まず、図7に示す昇降装置付き耐圧セル(内容積が1300ml)206内に、下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物、及び導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体(被塗工物)205を封入し、ガス導入弁201及びガス排出弁202を閉じ耐圧セルを封止した。
次いで、ガス導入弁201を開け二酸化炭素を供給ボンベにより前記耐圧セル206に供給し、加圧ポンプと温度調整器により温度及び圧力を7.5MPaで135℃に調節し、温度及び圧力が安定するまで耐圧セルを封じきり、超臨界二酸化炭素と電荷輸送層用構成成分の混合物を36時間攪拌した。
次いで、図8Aに示すように外部マグネット204を下方向に動かすことで、これと連動して内部マグネット203が下方向に移動し、内部マグネットと連結されている導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体205が降下し、該積層体を電荷輸送層用構成成分の混合物を含む混合流体207中に浸漬した。その後、図8Bに示すように外部マグネット204を上方向に動かすことで、これと連動して内部マグネット203が上方向に移動し、積層体205が上昇することで、積層体表面に平均厚み20μmの電荷輸送層を塗工した。
電荷輸送層を塗工後速やかに、ガス排出弁202を開け圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま耐圧セル温度を80℃まで低下させた。その状態で1時間静置後、温度及び圧力を徐々に大気雰囲気まで低下させることによって、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ポリスチレン(Mw=3,000、Mn=2,500)・・・10質量部
・下記構造式(1)で表される低分子電荷輸送物質・・・10質量部
<構造式(1)>
(実施例2)
実施例1において、電荷輸送層用構成成分の混合物を下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物に変更し、超臨界二酸化炭素を用いた電荷輸送層塗工の際における温度及び圧力を「7.5MPaで135℃」から「10MPaで135℃」に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ポリスチレン(Mw=5,000、Mn=4,500)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される低分子電荷輸送物質・・・10質量部
(実施例3)
実施例1において、電荷輸送層用構成成分の混合物を下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物に変更し、超臨界二酸化炭素を用いた電荷輸送層塗工の際における温度及び圧力を「7.5MPaで135℃」から「17MPaで150℃」に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ビスフェノールZ変性ポリカーボネート(Mw=25,000、Mn=11,000)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・10質量部
(実施例4)
実施例1において、電荷輸送層用構成成分の混合物を下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物に変更し、超臨界二酸化炭素を用いた電荷輸送層塗工の際における温度及び圧力を「7.5MPaで135℃」から「20MPaで150℃」変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ビスフェノールZ変性ポリカーボネート(Mw=45,000、Mn=21,500)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・10質量部
(実施例5)
実施例1において、電荷輸送層用構成成分の混合物を、下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物に変更し、超臨界二酸化炭素を用いた電荷輸送層塗工の際における温度及び圧力を「7.5MPaで135℃」から「30MPaで150℃に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ビスフェノールZ変性ポリカーボネート(Mw=100,000、Mn=45,800)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・10質量部
(実施例6)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の下引き層用塗工液を塗布し、乾燥することにより、平均厚み3.5μmの下引き層を形成した。
〔下引き層用塗工液〕
・アルキッド樹脂(ベッコゾール1307−60−EL、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・6質量部
・メラミン樹脂(スーパーベッカミン G−821−60、大日本インキ化学工業株式会社製)・・・4質量部
・酸化チタン・・・40質量部
・メチルエチルケトン・・・50質量部
次に、得られた導電性支持体と、下引き層とからなる積層体の表面に超臨界流体を用いて電荷発生層の塗工を行った。実施例1と同様に、本実施例においても超臨界流体として二酸化炭素を用いた。また、下記組成の電荷発生層構成成分の混合物を、超臨界二酸化炭素を用いた電荷発生層塗工の際における温度及び圧力を150℃で320MPaとした以外は、実施例1と同様にして、平均厚み0.4μmの電荷発生層を形成し、導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体を形成した。
〔電荷発生層構成成分の混合物〕
・無金属フタロシアニン顔料(大日本インキ工業社株式会社製、Fastogen Blue8120B)・・・8質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・5質量部
次いで、得られた導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体の表面に下記組成の電荷輸送層用塗工液を塗布し、乾燥することにより、平均厚み20μmの電荷輸送層を形成し、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用塗工液〕
・ビスフェノールZ変性ポリカーボネート(Mw=40,000、Mn=21,500)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・10質量部
・テトラヒドロフラン・・・70質量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・1質量部
(実施例7)
実施例6で作製した導電性支持体と下引き層と電荷発生層とからなる積層体表面に、実施例4と同様にして、超臨界流体を用いて電荷輸送層を形成することによって、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
(実施例8)
直径30mmのアルミニウムシリンダーの表面に超臨界流体を用いて単層感光層の塗工を行った。本実施例では実施例1と同様に超臨界流体として二酸化炭素を用いた。図7に示す耐圧セル206内に、下記組成の感光層用構成成分の混合物と、前記導電性支持体としてのアルミニウムシリンダーを封入し、ガス導入弁201及びガス排出弁202を閉じ耐圧セルを封止した。
次いで、ガス導入弁201を開け二酸化炭素を供給ボンベにより前記耐圧セル206に供給し、加圧ポンプと温度調整器により温度及び圧力を17MPaで150℃に調節し、温度及び圧力が安定するまで耐圧セルを封じきり、超臨界二酸化炭素と感光層用構成成分の混合物を72時間攪拌した。
次いで、図8Aに示すように外部マグネット204を下方向に動かすことで、これと連動して内部マグネット203が下方向に移動し、内部マグネットと連結されている導電性支持体205が降下し、該導電性支持体を感光層用構成成分の混合物を含む混合流体207中に浸漬した。その後、図8Bに示すように外部マグネット204を上方向に動かすことで、これと連動して内部マグネット203が上方向に移動し、導電性支持体205が上昇することで、導電性支持体表面に厚み20μmの感光層を塗工した。
感光層を塗工後速やかに、ガス排出弁202を開け圧力を10MPaまで低下させ、この圧力を維持したまま耐圧セル温度を80℃まで低下させた。その状態で1時間静置後、温度及び圧力を徐々に大気雰囲気まで低下させることによって、導電性支持体と感光層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔感光層用構成成分の混合物〕
・ポリカーボネート(Mw=40,000、Mn=11,000)・・・50質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・30質量部
・下記構造式(2)で表される電荷輸送物質・・・20質量部
<構造式(2)>
・無金属フタロシアニン顔料(大日本インキ化学工業株式会社製、Fastogen Blue8120B)・・・3質量部
(比較例1)
実施例1で用いた下引き層用塗工液、及び電荷発生層用塗工液と、実施例6で用いた電荷輸送層用塗工液とを用い、これら塗工液を直径30mmのアルミニウムシリンダー上に順次、塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み20μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を作製した。
(比較例2)
実施例1で用いた下引き層用塗工液、及び下記組成の電荷発生層用塗工液と、実施例6で用いた電荷輸送層用塗工液を用い、直径30mmのアルミニウムシリンダー上に順次、塗布し、乾燥することにより、厚み3.5μmの下引き層、厚み0.2μmの電荷発生層、及び厚み20μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷発生層用塗工液〕
・τ型無金属フタロシアニン(大日本インキ化学工業社株式会社製、Fastogen Blue 8120B)・・・8質量部
・ポリビニルブチラール(XYHL、UCC社製)・・・5質量部
・メチルエチルケトン・・・80質量部
(比較例3)
直径30mmのアルミニウムシリンダー上に、下記組成の感光層用塗工液を塗布し、乾燥することにより、厚み20μmの感光層を形成し、導電性支持体と感光層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔感光層用塗工液〕
・ポリカーボネート(Mw=25,000、Mn=21,500)・・・50質量部
・前記構造式(1)で表される電荷輸送物質・・・30質量部
・前記構造式(2)で表される電荷輸送物質・・・20質量部
・無金属フタロシアニン顔料(大日本インキ化学工業株式会社製、Fastogen Blue8120B)・・・3質量部
・テトラヒドロフラン・・・340質量部
・1%シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF50−100CS、信越化学工業株式会社製)・・・1質量部
(参考例1)
実施例1において、電荷輸送層用構成成分の混合物を下記組成の電荷輸送層用構成成分の混合物に変更し、超臨界二酸化炭素を用いた電荷輸送層塗工の際における温度及び圧力を「7.5MPaで135℃」から「7.5MPaで80℃」に変えた以外は、実施例1と同様にして、導電性支持体と下引き層と電荷発生層と電荷輸送層とからなる電子写真感光体を作製した。
〔電荷輸送層用構成成分の混合物〕
・ポリスチレン(Mw=880、Mn=750、ガラス転移点(Tg)=16℃)・・・10質量部
・前記構造式(1)で表される低分子電荷輸送物質・・・10質量部
参考例1では、電荷輸送層用構成成分において常温常圧雰囲気で液相を示すバインダー樹脂を用いているため、電子写真感光体を作製することができなかった。
<超臨界流体雰囲気における二酸化炭素溶解度及び樹脂粘度の測定>
実施例1で用いた電荷輸送層用構成成分の一つ(バインダー樹脂)であるポリスチレンについて、1気圧における軟化点、及びポリスチレンへの超臨界二酸化炭素の溶解量とその状態におけるポリスチレンの粘度を測定した。結果を以下に示す。
なお、超臨界二酸化炭素のポリスチレンへの溶解量は、Journal of Supercritical Fluids 19(2001)187−198に記載の方法に則って測定を行った。また、粘度は、振動式レオメーター(XL/7−902−HT2−E104、ハイドロモーション社製)と該装置に対応した耐圧セルを組み合わせて測定を行った。
・軟化点:85.8℃(1気圧)
・超臨界二酸化炭素の溶解量及び粘度
表1の結果から、本発明における無溶媒塗工の原理の項に記載の粘度制御が本実施例の温度及び圧力の制御によって十分可能であること、粘度が本発明に記載の浸漬塗工法に適した粘度(約10〜500mPa・sec)まで低下していることが示された。
<常圧雰囲気におけるガラス転移点の測定>
実施例及び比較例で用いたバインダー樹脂について、常圧雰囲気におけるガラス転移点を以下の通り測定した。結果を表2に示す。
−測定装置−
・SHIMAZU社製 示差走査熱量計 DSC−60
−測定条件−
・測定範囲 : 25℃〜250℃
・昇温速度 : 10℃/min
表2の結果から、実施例及び比較例のバインダー樹脂は、すべて常温常圧雰囲気で固相を示し、参考例のバインダー樹脂は、常温常圧雰囲気で液相を示すことが分かった。
<静電疲労前後の静電特性評価及び画像評価>
−静電疲労試験−
実施例1〜7及び比較例1〜2で得た電子写真感光体について、下記の静電疲労試験を実施した。
画像形成装置(株式会社リコー製、Imagio Neo 271)の感光体ユニットから帯電ユニットを除く部材(クリーニングブレード等)を取り除いたユニットをランニング試験に用いた。
ます、実施例及び比較例で作製した感光体を取り付けた改造感光体ユニットを前記Imagio Neo 271改造機にセットし、通紙を行わず帯電、現像のみを繰り返し実施できるようにした。帯電条件としては、帯電ローラを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約1.9[kV]、周波数fは約900[Hz]、直流電圧は−800[V]、電子写真感光体の回転速度は125mm/secに設定した。現像条件には780nmのLDを用い、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。本条件で3万枚のランニング(5%テストパターン/帯電−露光電位差750V/電子写真感光体静電容量110pF/cm)と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷するためには、約40分のランニングによって達成できることが通過電荷量計算から示される。本評価ではランニング10万枚相当の静電疲労試験を上述の改造機を用いて実施した。
−静電特性評価及び画像評価−
次に、静電特性評価及び画像評価を以下に示す評価機を用いて実施した。
画像評価には、前記静電疲労試験時と同様に、780nmのLDを組み付けた株式会社リコー製IPSiO ColorCX9000改造機を用いた。本装置を用いて画像出力を実施する際には、画像出力時の初期空転プロセスをなくすように改造した。トナーとしてはImagioトナータイプ27を用い、用紙としてはNBSリコー社製MyPaper(A4サイズ)を用いた。スタート時の感光体表面電位は−800Vとし、前記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位及び露光部電位)の評価を行った。出力画像としては、は全面白地出力を5枚連続で行い、地汚れの評価を行った。結果を表3に示す。
<静電疲労前後の静電特性評価及び画像評価>
次に、実施例8及び比較例3で作製した電子写真感光体について、実施例1〜7及び比較例1〜2と同様にして下記の試験を実施した。
−静電疲労試験−
静電疲労実施用プリンタとして、前記株式会社リコー製Imagio Neo 271改造機のパワーパックを交換し正帯電を行えるように改造したものを用いた。帯電条件としては、帯電ローラを用い、直流電圧に交流電圧を重畳させた交番電圧を印加し、交流電圧のピークツーピーク電圧Vppは約1.9[kV]、周波数fは約1350[Hz]、直流電圧は+600[V]、電子写真感光体の回転速度は125mm/secに設定した。現像条件には780nmのLDを用い、書き込みパターンを100%書き込みパターン(全ベタ)とした。本条件で3万枚のランニング(5%テストパターン/帯電−露光電位差450V/電子写真感光体の静電容量110pF/cm)と同等の静電疲労を電子写真感光体に負荷することによって、実施例1〜7及び比較例1〜2と同様に電子写真感光体に静電疲労を施した。
−静電特性評価及び画像評価−
次に、静電特性評価及び画像評価用プリンタとして、前記株式会社リコー製IPSiO ColorCX9000改造機のパワーパックを交換し、正帯電を行えるように改造したものを用いた。トナーとしては実施例1〜7及び比較例1〜2の試験とは極性が逆になるように現像剤、トナーを交換して使用した。画像形成装置の帯電手段は外部電源を用いて、帯電ローラの印加電圧はAC成分としてピーク間電圧1.9kV、周波数1.35kHzを選択した。また、DC成分は試験開始時の感光体の帯電電位が+600Vとなるようなバイアスを設定し、前記静電疲労前後における機内電位(帯電後電位及び露光部電位)の評価を行った。出力画像としては、は全面白地出力を5枚連続で行い、地汚れの評価を行った。結果を表4に示す。
表3及び表4の結果から、実施例で得られた電子写真感光体は、いずれも比較例で得られた電子写真感光体と比較して初期における露光部電位が低いことが分かった。また、静電疲労による露光部電位変動も小さく、本発明の電子写真感光体の製造方法で感光層を形成した電子写真感光体は優れた安定性を示すことが分かった。特に、実施例1〜5及び実施例7の静電安定性は非常に高く、本発明の電子写真感光体の製造方法により電荷輸送層を形成することによる特性向上が顕著であることが分かった。
また、画像評価に関しては実施例1〜5及び実施例7は、いずれも初期、静電疲労後共に地汚れ等の画像欠陥は見られなかったのに対して、実施例6及び比較例1〜2は静電疲労前には見られなかった地汚れが、静電疲労後に発生することが確認された。この現象の詳細な原因はわかっていないが、本発明者らは、電荷輸送層を形成する際に揮発性有機溶媒を用いた場合には、該電荷輸送層に含まれる電荷輸送物質が下引き層まで拡散し、導電性支持体からの正孔注入が生じやすくなったために発生した現象であると考えている。
本発明の電子写真感光体の製造方法により製造された電子写真感光体は、例えば複写機、レーザープリンタ、LEDプリンタ、液晶シャッタ式プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の画像形成装置にも広く適用できるものである。
1 電子写真感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 搬送ローラ
9 被転写体(記録媒体)
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
31 支持体
32 電荷発生層
33 電荷輸送層
34 (単層型又は積層型)感光層
101 電子写真感光体
102 帯電手段
103 露光手段
104 現像手段
105 被転写体(記録媒体)
106 転写手段
107 クリーニング手段
201 ガス導入弁
202 ガス排出弁
203 昇降機駆動用マグネット(内部)
204 昇降機駆動用マグネット(外部)
205 被塗工物
206 耐圧セル
207 感光層構成成分の混合物
特開2000−225316号公報 特開2001−83717号公報 特開2004−81952号公報 特開平7−17529号公報 特開2000−221708号公報 特開平5−181299号公報 特開2002−6526号公報 特開2002−82465号公報 特開2000−284514号公報 特開2000−284515号公報 特開2001−194813号公報 特許第3194392号公報 特許第3286704号公報 特開2007−3930号公報 特開2007−264214号公報 特開2005−246145号公報 特開2007−511816号公報

Claims (5)

  1. 支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記感光層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質と、電荷輸送物質とからなり、
    前記感光層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含み、かつ前記構成成分の全てを含む混合流体を用いて感光層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  2. 支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
    前記電荷発生層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷発生物質とからなり、
    前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含み、かつ前記構成成分の全てを含む混合流体を用いて電荷発生層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  3. 支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
    前記電荷輸送層の構成成分が、少なくともバインダー樹脂と、電荷輸送物質とからなり、
    前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体により流動化した該構成成分を含み、かつ前記構成成分の全てを含む混合流体を用いて電荷輸送層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  4. 支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、
    前記感光層が、電荷発生層と、電荷輸送層とからなり、
    前記電荷発生層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した該構成成分を含み、かつ前記電荷発生層の前記構成成分の全てを含む第1の混合流体を用いて電荷発生層を形成し、
    前記電荷輸送層の構成成分の少なくとも1種を、少なくとも1種の超臨界乃至亜臨界流体を用いて流動化した該構成成分を含み、かつ前記電荷輸送層の前記構成成分の全てを含む第2の混合流体を用いて電荷輸送層を形成することを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  5. バインダー樹脂が、常温常圧雰囲気で固相を示す請求項1から4のいずれかに記載の電子写真感光体の製造方法。
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