JP5427816B2 - 常温用マグネシウム合金及びその製造方法 - Google Patents

常温用マグネシウム合金及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、常温用高強度/高伸び率マグネシウム合金及びその製造方法に関する。
現在産業的にMg−Al系合金が広く使われている。Mg合金にAlを添加すれば、Alによる固溶強化及びβ−Mg17Al12相の形成による粒界強化によってMg合金の強度が向上し、融点が低くなり、流動性が向上してダイカストに適用することが容易である。しかし、脆性の高いβ相の増加によって軟性が悪くなる。マグネシウム合金が自動車部品などに適用されるためには、衝撃を受けても直ちに破断されず、衝撃エネルギーを吸収して耐えなければならないため、常温で高軟性が要求される。軟性の向上によって加工性及び製品成形性も確保することができる。
したがって、強度と鋳造性の確保のために、Alの添加割合を一定水準以上に維持しながらも高水準の軟性を持つMg−Al系合金の開発が必要である。軟性は一般的に強度とは互いに犠牲的な関係にあるものである。軟性の向上が強度の減少をきたすなら、やはり合金の適用範囲に制限が生じて合金を商用化しにくくなる。
したがって、軟性と強度を同時に考慮しなければならない。Mg−Al合金において軟性を向上させるためには、MgまたはAlとの反応性が高い元素を添加して新しい相を形成させることで脆性の高いβ相を抑制させなければならない。
したがって、本発明の目的は、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯にアルカリ土類金属酸化物(特に、酸化カルシウム)を添加してマグネシウム合金を製造する常温用マグネシウム合金及びその製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、マグネシウム合金にアルカリ土類金属酸化物、つまりCaOを添加して酸化物、介在物及び気孔の減少などの鋳物の内部健全性を向上させて軟性及び強度を同時に向上させることができる常温用マグネシウム合金及びその製造方法を提供することである。
本発明が達成しようとする技術的課題は前述した技術的課題に制限されなく、前述しなかった他の技術的課題は下記の記載から本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者に明らかに理解可能であろう。
前記課題を達成するための本発明の常温用マグネシウム合金製造方法は、マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する段階;前記マグネシウムまたはマグネシウム合金が溶解された溶湯の表面にCaOを0.05〜1.2wt%添加する段階;前記溶湯と添加された前記CaOの反応によって、マグネシウムまたはマグネシウム合金中にCaOを残留しないように、表面撹拌によって消尽させる段階;及び前記酸素成分が除去されたCaを前記マグネシウムまたはマグネシウム合金中に残留しないように反応させる段階;を含む。
具体的に、前記添加されるCaOの量は0.2wt%〜0.9wt%であってもよく、0.3wt%〜0.7wt%であってもよい。
前記CaOの添加によって生成される化合物は、MgCa、AlCa、及び(Mg、Al)Caの中で少なくとも1種であることができる。
前記課題を達成するための本発明の常温用マグネシウム合金製造方法は、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶湯にCaOを0.05〜1.2wt%添加した後、前記溶湯と添加された前記CaOの還元反応によって前記CaOの一部または全部が消尽された結果として、前記マグネシウム系合金の中のMg元素または合金をなす他の元素とCaが結合して形成された化合物を存在させることにより、常温機械的物性がCaOの添加前のマグネシウムまたはマグネシウム合金の常温機械的物性より向上する。
具体的に、前記常温機械的物性は、常温降伏強度、常温引張強度及び常温伸び率のいずれか一つであることができる。
前記CaOの添加量が増加するにつれて常温機械的物性が増加し、常温降伏強度または常温引張強度と常温伸び率が同時に増加することができる。
前記添加されるCaOの量は0.2wt%〜0.9wt%であってもよく、0.3wt%〜0.7wt%であってもよい。
前記CaOの添加によって生成される化合物は、MgCa、AlCa、及び(Mg、Al)Caの中で少なくとも1種であることができる。
以上説明したように、本発明は商用マグネシウム合金にCaOを添加すれば、マグネシウム合金の組職が微細化し、AlCa相などが形成される。そして、脆性の高いβ−Mg17Al12相の形成が抑制され、鋳造欠陷が大幅減少する。その結果、CaOを添加することによってマグネシウム合金の強度と軟性が同時に増加する結果をもたらす。
本発明によるマグネシウム系合金の製造方法を示すフローチャートである。 本発明においてマグネシウム溶湯に添加されたアルカリ土類金属酸化物(CaO)の解離を示すフローチャートである。 本発明においてマグネシウム溶湯上部層の撹拌によるアルカリ土類金属酸化物(CaO)の解離を示す概略図である。 比較例においてAZ91Dを用いるダイカスト製品の微細組職写真である。 本発明においてAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金のダイカスト製品の微細組職写真である。 本発明においてAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金のダイカスト製品の微細組職写真である。 本発明によるマグネシウム系合金の製造方法によって製造されたマグネシウム合金のEDS実験結果を示す写真である。 本発明によるマグネシウム系合金の製造方法によって製造されたマグネシウム合金のEDS実験結果を示す写真である。 本発明によるマグネシウム系合金の製造方法によって製造されたマグネシウム合金のEDS実験結果を示す写真である。 本発明によるマグネシウム系合金の製造方法によって製造されたマグネシウム合金のEDS実験結果を示す写真である。 本発明によって製造されたマグネシウム合金の引張試片の破面SEMイメージ写真である。 本発明によって製造されたマグネシウム合金の引張試片の破面SEMイメージ写真である。 本発明によって製造されたマグネシウム合金の引張試片の破面SEMイメージ写真である。 本発明によって製造されたマグネシウム合金の引張試片の破面SEMイメージ写真である。 本発明においてCaOを使わなかったマグネシウム合金の常温降伏強度に比べてCaO添加含量を変えながら製造されたマグネシウム合金の常温降伏強度を測定したグラフである。 本発明においてCaOを使わなかったマグネシウム合金の常温引張強度に比べてCaO添加含量を変えながら製造されたマグネシウム合金の常温引張強度を測定したグラフである。 本発明においてCaOを使わなかったマグネシウム合金の常温伸び率に比べてCaO添加含量を変えながら製造されたマグネシウム合金の常温伸び率を測定したグラフである。 本発明においてCaO添加含量を変えながら製造されたマグネシウム合金の常温伸び率と常温降伏強度をCaOを使わなかったマグネシウム合金の常温伸び率と常温降伏強度と比較したグラフである。 AZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造されたMg合金とCaOが添加されなかったAZ91DMg合金の常温硬度を比較したグラフである。 AZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造されたMg合金とCaOが添加されなかったAZ91DMg合金の常温降伏強度を比較したグラフである。 AZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造されたMg合金とCaOが添加されなかったAZ91DMg合金の常温引張強度を比較したグラフである。 AZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造されたMg合金とCaOが添加されなかったAZ91DMg合金の常温伸び率を比較したグラフである。 AZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造されたMg合金とCaOが添加されなかったAZ91DMg合金の常温伸び率対比常温降伏強度の関係を示すグラフである。
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図面において、同一構成要素はどの図でも同一符号で示す。また、本発明の要旨を不必要にあいまいにすることができる公知の機能及び構成についての詳細な説明は省略する。
本発明は、酸化カルシウムをマグネシウム溶湯に添加して新規の合金を製造する方法、及びその合金によって、前記カルシウムをマグネシウムに添加するときの問題点を解決し物性的限界を克服しようとする。
図1は本発明によるマグネシウム系合金の製造方法を示すフローチャートである。
図1に示すように、本発明によるマグネシウム系合金の製造方法は、マグネシウム系溶湯形成段階(S1)、アルカリ土類金属酸化物(本発明においては、酸化カルシウム:CaO)添加段階(S2)、撹拌段階(S3)、アルカリ土類金属酸化物消尽段階(S4)、アルカリ土類金属(本発明においては、カルシウム:Ca)反応段階(S5)、鋳造段階(S6)、及び凝固段階(S7)を含む。前記アルカリ土類金属酸化物消尽段階(S4)と前記アルカリ土類金属反応段階(S5)は説明の便宜上別個の段階に分離したが、両工程(S4、S5)はほぼ同時に行われる。すなわち、段階(S4)でアルカリ土類金属が供給され始めれば、段階(S5)が行われ始める。
前記マグネシウム系溶湯形成段階(S1)においては、マグネシウムまたはマグネシウム合金をるつぼに入れ、保護ガス雰囲気で400〜800℃の温度を提供する。すると、前記るつぼ内のマグネシウム合金は溶解されてマグネシウム系溶湯を形成する。
マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶解温度
本発明において、マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶解のための温度は純粋マグネシウム金属がとける温度とマグネシウム合金がとける温度を意味する。合金の種類によって溶融温度には差があり得る。十分な反応のためには、マグネシウムまたはマグネシウム合金がまったく溶解された状態で酸化カルシウムが投入される。マグネシウムまたはマグネシウム合金の溶解温度は固相が充分にとけて完全な液状で存在する温度であれば十分である。ただ、本発明において、酸化カルシウムの添加によって溶湯の温度が低下する点を考慮し、充分な余裕を持つ温度範囲で溶湯を維持する作業が必要である。
ここで、温度が400℃未満であればマグネシウム合金溶湯が形成されにくく、温度が800℃を超えればマグネシウム系溶湯が発火する危険がある。そして、前記マグネシウムの場合はたいてい600℃以上で溶湯を形成するが、マグネシウム合金の場合は600℃以下400℃以上でも溶湯が形成できる。一般に、金属学によれば、合金化につれて溶融点が下がる場合が多い。
溶解温度をあまり高める場合には、液体金属の気化が発生し、マグネシウムの特性上易しく発火して溶湯量の損失をもたらすことができ、最終物性にも悪影響を及ぼすことができる。
前記マグネシウム系溶湯形成段階に用いられたマグネシウムは、純粋マグネシウム、マグネシウム合金及びその等価物の中で選ばれた1種であることができる。また、前記マグネシウム合金は、AZ91D、AM20、AM30、AM50、AM60、AZ31、AS41、AS31、AS21X、AE42、AE44、AX51、AX52、AJ50X、AJ52X、AJ62X、MRI153、MRI230、AM−HP2、マグネシウム−Al、マグネシウム−Al−Re、マグネシウム−Al−Sn、マグネシウム−Zn−Sn、マグネシウム−Si、マグネシウム−Zn−Y及びその等価物の中で選ばれた1種であることができるが、このようなマグネシウム合金に本発明を限定するものではない。通常に産業界で使われているどんなマグネシウム合金も使用が可能である。
前記アルカリ土類金属酸化物添加段階(S2)においては、前記マグネシウム溶湯に粉末状の酸化カルシウムを添加する。ここで、酸化カルシウムはマグネシウム合金との反応を促進させるために粉末状であることが好ましい。
酸化カルシウムの粉末状態
反応のために投入される酸化カルシウムはどんな形態で投入されてもかまわない。好ましくは、効率的な反応のために反応表面積を増大させるために粉末状の投入が好ましい。しかし、0.1μm未満とあまり微細な場合は、気化するマグネシウムや熱風によって飛散して炉に投入されにくくなる。そして、液状の溶融金属となかなか混じらなく、互いに凝集して塊になる。あまり粗大な場合には、前述したように表面積の増大の観点で好ましくない。理想的なパウダーの粒度は500μm以下にすることが好ましい。より好ましくは200μm以下であることが良い。
粉末状の飛散を防止するために、粉末状を凝集させたペレット状の酸化カルシウムを投入することも可能である。
投入されるアルカリ土類金属酸化物(酸化カルシウム)
溶湯に添加されるアルカリ土類金属酸化物として、本発明においては酸化カルシウム(CaO)が使われた。その他にも、SrO、BeOまたはMgO及びその等価物の中で選ばれた少なく1種であることができる。
前記アルカリ土類金属酸化物添加段階に用いられたアルカリ土類金属酸化物は一般に0.001〜30wt%が添加されることができる。
アルカリ土類金属酸化物の投入量は目的とする最終ターゲット合金組成によって決定される。すなわち、マグネシウム合金中に合金化させようとするCaの量によって逆計算してCaOの量を決定することができる。マグネシウム合金中にCaOから間接的に合金化するCaの量が21.4wt%(CaOの場合、30wt%)を超える場合にはマグネシウム合金の物性が元の物性から外れるため、前記投量を30.0wt%以下に調節することが好ましい。
本発明の場合、アルカリ土類金属酸化物として使われる酸化カルシウムの投入量は0.05wt%〜1.2wt%である。酸化カルシウムの投入量が1.2wt%以下である場合に、優れた常温高強度(引張強度/降伏強度)と優れた常温高伸び率の物性値を得ることができた。0.05wt%未満では前記物性値の改善効果が相対的に高くなかった。より好ましくは前記酸化カルシウムの投入量は0.2wt%〜0.9wt%である。さらに好ましくは0.3wt%〜0.7wt%である。酸化カルシウムの投入量は0.3wt%〜0.7wt%範囲で優れた常温高強度/高伸び率の物性値を得ることができた。同時に、0.3wt%〜0.7wt%範囲で常温機械的物性値(引張強度、降伏強度、伸び率)は酸化カルシウムの量が増加するにつれて一緒に増加した。
前記撹拌段階(S3)においては、前記マグネシウム溶湯を、添加される酸化カルシウムの0.1wt%当たり1秒〜60分間撹拌する。
ここで、撹拌時間が0.1wt%当たり1秒未満であればマグネシウム溶湯に酸化カルシウムが充分に混じらなく、撹拌時間が0.1wt%当たり60分を超えればマグネシウム溶湯の撹拌時間が不必要に長くなることができる。一般に、撹拌時間は溶湯のサイズと投入される酸化カルシウムの量による。
酸化物粉末の投入において、所要量を一時に投入する方法も使うことができるが、反応を促進させ粉末の凝集可能性を低めるという側面では、一次投入の後に時間差を置いて再び投入するかあるいは適正量に分けて順次投入することも好ましい。
撹拌方法及び条件
本発明のマグネシウムまたはマグネシウム合金と酸化カルシウムとの効率的な反応のために撹拌が好ましい。一般に、撹拌の形態は、溶湯を収容している炉の周りに電磁場を印加することができる装置を備えることで電磁場を発生させて溶湯の対流を誘導することができる。また、外部から溶湯に人為的な撹拌(機械的な撹拌)を加えることができる。機械的な撹拌の場合、投入される酸化カルシウム粉末が凝集しないように適切に撹拌することもできる。本発明において、撹拌の究極の目的は溶湯と投入される粉末との還元反応を適切に誘導することにある。
撹拌のための時間は溶湯の温度と投入される粉末の状態(予熱状態など)などによって差があり得る。好ましくは、溶湯の表面で粉末が見えないまで撹拌することを原則とする。その理由は、粉末は比重が溶湯より低いので正常状態では溶湯上で流動することになり、溶湯上で粉末が見えないときは十分に反応されたと間接的に決定することができるからである。ここで、十分な反応とは酸化カルシウムが溶湯と実質的に全部反応して消尽された状態を意味する。
たとえ酸化カルシウム粉末が溶湯上で確認されないとしても溶湯中に存在する可能性も排除することができないため、撹拌時間の後に未だ浮上しなかった粉末の存在を確認し、未だ反応しなかった粉末の反応を終える時間を付与する維持時間が必要なこともある。
撹拌の時期
撹拌の時期は酸化物粉末の投入と同時に行うことが有効である。また、酸化物が溶湯から熱を受けて一定温度以上に到逹した後、撹拌を始めて反応を促進させることもできる。溶湯の表面で投入された酸化物の粉末が感知されないまで撹拌を続ける。酸化カルシウムが反応によって全部消尽された後に撹拌を完了する。
表面反応
一般に、溶湯にアルカリ土類金属の中でCaとSrを直接添加する場合には、比重差によって低比重のマグネシウム溶湯中に沈みながら反応が起こる。したがって、Caの溶解に役立てるために、単に溶湯を掻きまぜることで合金化がなされる。
一方、溶湯に酸化カルシウムを投入する場合には、比重差によって溶湯中に沈まないで溶湯の表面に浮遊することになる。
通常の金属合金化の場合には、溶湯と合金元素金属を対流(convection)または撹拌(stirring)させて積極的な反応を誘導することで、溶湯内で反応が起こるようにすることが一般的である。しかし、本発明の場合には、積極的な反応を誘導した場合には溶湯中に投入される酸化物が十分に反応しなくて最終の材料に残留して物性値を低下させるか欠陷の原因として作用した。すなわち、溶湯の表面でなくて溶湯中の反応を誘導する場合、溶湯の表面での反応よりは酸化カルシウムが最終溶湯中に残留する場合が相対的に多かった。
したがって、本発明においては、酸化物が溶湯中で反応するよりは溶湯の表面で反応するように反応環境を造成することが重要である。そのようにするためには、溶湯の表面で浮遊する酸化物を強制に溶湯中に掻きまぜないようにすることが重要である。酸化カルシウムを大気に露出された溶湯の表面で均一に拡散するように広げることが重要である。より好ましくは、酸化物を供給するとき、溶湯の表面全体を酸化物で塗布する方式で供給することが重要である。
撹拌を行わないよりは行うことが反応を促進させ、溶湯の内部よりは外部表面(上層部表面)で撹拌を行うことが反応をより促進させた。すなわち、溶湯は外部表面(上層部表面)で大気に露出された酸化物粉末との反応を一層促進させた。真空または雰囲気ガスの下では結果が良くはなかった。十分な反応のためには、上層部の撹拌を行って表面反応を誘導することが必要である。ここで、十分な反応とは投入されるアルカリ土類金属酸化物が溶湯とすべて反応して溶湯中に実質的に残留しない反応を意味する。本発明において、このような表面反応を誘導する撹拌を表面撹拌と言う。すなわち、Mg溶湯の表面に添加されたCaOの還元反応(表面還元反応)によって生成されたCaはMgまたはMg合金の合金化元素として作用する。
下記の表1はAM60Bマグネシウム合金の溶湯に70μmの粒度を有する5、10、15wt%の酸化カルシウムをそれぞれ添加してから撹拌する方法によるマグネシウム合金内の酸化カルシウムの残量を測定した。撹拌の方法としては、溶湯の上層部撹拌、溶湯の内部撹拌、そして残りの一つは撹拌を行わなかった。この際、上層部の撹拌は溶湯の表面から溶湯の全深さの10%前後の上層部で行った。撹拌条件を変えることで、撹拌の上層部のみを撹拌する場合が撹拌しなかった場合及び内部撹拌を行った場合に比べて、酸化カルシウムの残量は5、10、15wt%酸化カルシウムを添加するとき最終残留量がそれぞれ0.001、0.002、0.005wt%で、最少量で残留することを確認することができた。すなわち、CaOをMg溶湯の表面で反応させるために溶湯の上層部を撹拌した場合、添加されたCaOは大部分がCaに分離されることが分かる。すなわち、商用AM60Bの合金にさらにCaOを添加して還元反応を誘導することで合金中にCaを添加した。
酸化カルシウムの酸素成分は前記溶湯の上部層の撹拌によって実質的に溶湯表面上に除去される。前記撹拌は前記溶湯表面から溶湯の全深さの20%前後の上層部でなされることが良い。20%以上の深さでは本発明において好ましい例示として提示した表面反応が起こりにくい。より好ましくは、前記溶湯表面から溶湯の全深さの10%前後の上層部で撹拌がなされることが良い。これは、実質的に浮遊する酸化カルシウムを実際に溶湯の深さの10%上位層に位置するように誘導することで溶湯の撹乱を最小化することができた。
前記アルカリ土類金属酸化物の消尽段階(S4)においては、前記溶湯と前記添加された酸化カルシウムの反応によって、酸化カルシウムがマグネシウム合金中にごく一部が残留するかあるいは実質的に残留しないように消尽される。本発明において投入される酸化カルシウムは十分な反応によって全部消尽されることが好ましい。しかし、一部反応されずに合金内に残っている場合であっても物性に大きな影響を及ぼさない場合にも有効である。
ここで、酸化カルシウムを消尽させるというのは、アルカリ土類金属酸化物から酸素成分を除去することである。前記酸素成分は酸素(O)ガスの形態で除去されるか、あるいは溶湯中のマグネシウムまたはその合金成分との結合によってドロス(dross)やスラッジ形態で除去できる。ここで、酸化カルシウムから提供されるCaは合金中のMgよりはその他の成分元素と化合物を形成する傾向を示した。そして、前記酸素成分は溶湯上部層の撹拌によって実質的に溶湯表面上に除去される。
図3は本発明においてマグネシウム溶湯の上部層の撹拌による酸化カルシウムの解離を例示する断面図である。
前記アルカリ土類金属反応段階(S5)においては、前記酸化カルシウムの消尽結果として生成されたカルシウムをマグネシウム合金中にごく一部残留するかあるいは実質的に残留しないように反応させることになる。ここで、消尽結果として生成されたカルシウムは前記マグネシウム合金中のマグネシウム、アルミニウム、及び前記溶湯中のその他の合金元素(成分)の中で少なくとも1種と化合物を形成して実質的に残留しないようにするものである。ここで、化合物とは金属と金属が結合してなった金属間化合物を示す。
本発明において、投入される酸化カルシウムは全部消尽されるときに最大の効果が得られた。溶湯と酸化カルシウムが十分に反応して、酸化カルシウムがマグネシウム合金中に残留しないように誘導することができる。溶湯中には前記酸化カルシウムが残留しない場合に機械的な物性値が最高になる。もし、どんな理由で酸化カルシウムが反応によっても全部消尽されなくて一部のみが消尽された場合には機械的な物性値が全部消尽された場合よりは低かった。一部が消尽された場合であっても酸化カルシウムを投入しない同一組成のマグネシウム合金の物性値よりは良かった。
結局、添加された酸化カルシウムは溶湯であるマグネシウム合金との反応によって酸素成分の少なくとも一部あるいは実質的に全部が除去され、酸素成分が除去されたカルシウムはマグネシウム合金中のマグネシウム、アルミニウム、及び前記溶湯中のその他の合金元素の中で少なくとも1種と化合物を形成することによりマグネシウム合金中にごく一部が残留するかあるいは実質的に残留しなくなる。
前記アルカリ土類金属酸化物の消尽段階(S5)では、溶湯の表面でアルカリ土類金属酸化物が還元反応するとき、火花が発生する。このような火花は還元反応が完了したかを確認する指標として用いることができる。火花が発生する間に出湯を行って反応を終結させれば、添加されたアルカリ土類金属酸化物が全部消尽されない場合が発生することになる。すなわち、出湯は還元反応の間接測定手段である火花が終了した後に実施する。
これまで説明した過程は図1及び図2に示されている。図2は本発明においてマグネシウム溶湯に添加されて使われる酸化カルシウムの解離を示すフローチャートである。
一方、鋳造段階(S6)においては、前記マグネシウム溶湯を常温または予熱状態の鋳型に入れて鋳造する。ここで、前記鋳型は、金型、セラミック型、グラファイト型及びその等価物の中で選ばれたいずれか1種を用いることができる。また、鋳造方式は、重力鋳造、連続鋳造またはその等価の方式が可能である。
前記凝固段階(S7)においては、前記鋳型を常温に冷却させた後、鋳型からマグネシウム合金(例えば、マグネシウム合金インゴット)を取り出す。
前記のような製造方法によって製造されたマグネシウム系合金は硬度(HRF)が40〜80であることがある。しかし、このような硬度値は加工方法及び熱処理などによって多様に変わるので、このような硬度値に本発明によるマグネシウム系合金を限定するものではない。
純粋なマグネシウム溶湯の場合には、溶湯中のマグネシウム成分はアルカリ土類金属と反応してマグネシウム(アルカリ土類金属)化合物を形成する。本発明においては、アルカリ土類金属酸化物がCaOの場合であり、MgCaが形成される。そして、CaOをなしていた酸素はOになって溶湯の外に排出されるか、あるいはMgと結合してMgOになり、ドロスの形態で排出される。(下記の反応式1参照)
反応式1
純粋Mg+CaO→Mg(マトリックス)+MgCa
・・・[O発生+MgOドロス発生]
マグネシウム合金溶湯の場合には、溶湯中のマグネシウム成分はアルカリ土類金属と反応してマグネシウム(アルカリ土類金属)化合物またはアルミニウム(アルカリ土類金属)化合物を形成する。また、マグネシウムまたはアルミニウムとともにマグネシウム合金元素がアルカリ土類金属と化合物を形成する。本発明においては、アルカリ土類金属酸化物がCaOの場合は、MgCa、AlCa、または(Mg、Al、その他の合金元素)Caが形成される。そして、CaOをなしていた酸素は純粋マグネシウムの場合と同様にOになって溶湯の外に排出されるか、あるいはMgと結合してMgOになり、ドロスの形態で排出される。(下記の反応式2参照)
反応式2
Mg合金+CaO→Mg合金(マトリックス)+
{MgCa+AlCa+(Mg、Al、その他の合金元素)Ca}
・・・[O発生+MgOドロス発生]
以上説明したように、本発明は従来のマグネシウム合金の生産方法に比べ、より経済的にマグネシウム合金を製造する工法である。アルカリ土類金属(例えば、Ca)は相対的にアルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO)に比べ高価の合金元素で、マグネシウム合金の値段を上昇させる要因として作用する。また、アルカリ土類金属酸化物をアルカリ土類金属の代わりにマグネシウムまたはマグネシウム合金に添加するので相対的に合金化することが容易である。一方、アルカリ土類金属(例えば、Ca)を直接添加しないで、化学的に安定したアルカリ土類金属酸化物(例えば、CaO)を添加することで同一またはそれ以上の合金化効果が発生させることができる。すなわち、Mg溶湯に添加されたCaOの還元反応によって生成されたCaはMgまたはMg合金の合金化元素として作用する。
また、アルカリ土類金属(Ca)をマグネシウムまたはマグネシウム合金に直接投入する場合、マグネシウム合金においてアルカリ土類金属の固溶化が一定量発生するが、本発明の技術を活用した場合には、アルカリ土類金属酸化物(CaO)を添加するときに固溶される程度がアルカリ土類金属(Ca)を直接添加する場合に比べて固溶がないかあるいはごく少ない。Caを直接添加する場合に比べ、CaOによって間接添加する場合、AlCa相を含んで金属間化合物が一層容易に生成されることが確認された。したがって、マグネシウム合金の物性を向上させるためには一定比率以上のアルカリ土類金属の添加が必要であるが、アルカリ土類金属酸化物を添加してマグネシウム合金を製造する場合には、アルカリ土類金属の相当量が直接マグネシウムまたはAlの金属間化合物(例えば、MgCaまたはAlCa)を形成することにより、Caを直接投入した場合より物性が向上することが分かる。AlCaなどの他の金属間化合物の形成は、結晶粒界に約95%以上、かつ残りの約5%未満は結晶粒内に形成されることが確認された。
図4aは比較例を示すもので、AZ91Dを用いるダイカスト製品の微細組職写真である。図4b及び図4cは本発明においてAZ91DにCaOを0.3wt%及び0.7wt%添加して還元反応によって製造したMg合金のダイカスト製品の微細組職写真である。本発明において、“CaOの添加”は、添加後に還元反応過程を経ることを意味する。コールドチャンバー(Cold Chamber)ダイカストした後の微細組職写真を撮影した。本発明が比較例に比べて合金の組職が微細で緻密であった。このような傾向はMg合金に添加されるCaOの含量が増加するほど著しくなることが分かる。その理由は、CaOを添加するにつれて均一に分布して相を形性するAlCaまたはその他の相形性物(MgCa及び(Mg、Al、その他の合金元素)Ca)のためであると判断される。
図5a〜図5dはAM60B合金の溶湯に0.45wt%のCaOを添加して本発明で製造したマグネシウム合金のEDS成分分析を示す写真である。同図に示すように、AlCa相が形成され、β−Mg17Al12相の形成が抑制されることが分かる。
AlとCaの存在領域が類似して分布されていることが分かる。すなわち、マグネシウム溶湯に添加されたCaOから分離されたCaがAlと化合物を形成することを意味する。これにより、既存のMg−Al系合金に存在する脆性の高いβ−Mg17Al12相の形成が抑制され、マグネシウム合金の軟性が増加し、同時にAlCa相の形成によって合金の強度が増加するものである。
図6aは商用AM60B合金に、かつ図6b〜図6dはAM60BにCaOを反応させて製造したマグネシウム合金の引張試片の破面SEMイメージを示す写真である。
合金内に気孔などの鋳造欠陷によってディンプル(Dimple)構造(くぼみのような部分)が多いことが分かる。これに比べ、CaOが添加されて製造された合金の場合(図6bはAM60Bに0.25wt%のCaOを添加、図6cはAM60Bに0.58wt%のCaOを添加、図6dはAM60Bに0.98wt%のCaOを添加)、引張試片の破面のディンプル構造が著しく減少したことが分かる。すなわち、CaOの添加によって合金の気孔が減少し、酸化物や介在物が減少するなど鋳造欠陷が減少した。
図7はマグネシウム合金に酸化カルシウムを添加したときの常温降伏強度(TYS)を示すグラフである。ここで、実線はCaOを添加しなかったAM60B合金の常温降伏強度を示す。
実施例においては、AM60Bマグネシウム合金に酸化カルシウムを0.2wt%〜1.0wt%の範囲で添加して実験した。
図7に示すように、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.3wt%を添加する場合、常温降伏強度がおよそ130〜137[MPa]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.7wt%を添加する場合、降伏強度がおよそ151〜168[MPa]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.9wt%を添加する場合、降伏強度がおよそ156[MPa]程度である。添加されるCaOの量が0.3wt%〜0.7wt%の範囲でCaOの量が増加するにつれて常温降伏強度が一緒に増加した。
このような酸化カルシウムのwt%による降伏強度は下記の表2のとおりである。
したがって、前記表2のようにマグネシウム合金に添加する酸化カルシウムの量が0.7wt%付近で最も優れた常温降伏強度(TYS)が現れる。
図8はマグネシウム合金に酸化カルシウムを添加したときの常温引張強度(UTS)を示すグラフである。ここで、実線はCaOを添加しなかったAM60B合金の常温引張強度を示す。
実施例においては、AM60Bマグネシウム合金に酸化カルシウムを0.2wt%〜1.0wt%添加して実験した。
図8に示すように、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.3wt%を添加する場合、常温引張強度がおよそ205〜230[MPa]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.7wt%を添加する場合、常温引張強度がおよそ240〜261[MPa]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.9wt%を添加する場合、常温引張強度がおよそ245〜251[MPa]程度である。添加されるCaOの量が0.3wt%〜0.7wt%の範囲でCaOの量が増加するにつれて常温引張強度が一緒に増加した。
このような酸化カルシウムのwt%による常温引張強度は下記の表3のとおりである。
したがって、前記表3のようにマグネシウム合金に酸化カルシウムを0.5〜0.8wt%の範囲で添加したとき、最も優れた常温引張強度が現れる。
図9はマグネシウム合金に酸化カルシウムを添加したとき、常温伸び率(elongation)を示すグラフである。ここで、実線はCaOを添加しなかったAM60B合金の常温伸び率を示す。
実施例においては、AM60Bマグネシウム合金に酸化カルシウムを0.2wt%〜1.0wt%を添加して実験した。
図9に示すように、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.3wt%を添加する場合、伸び率がおよそ6〜10[%]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.7wt%を添加する場合、伸び率がおよそ13〜15[%]であり、マグネシウム合金に酸化カルシウム0.9wt%を添加する場合、伸び率がおよそ13〜14[%]程度である。添加されるCaOの量が0.3wt%〜0.7wt%の範囲でCaOの量が増加するにつれて常温伸び率が一緒に増加した。
このような酸化カルシウムのwt%による常温伸び率は下記の表4のとおりである。
したがって、前記表4のようにマグネシウム合金に酸化カルシウムを0.5〜0.8wt%の範囲で添加したとき、最も優れた伸び率が現れる。
下記の表5は本発明によって製造されたマグネシウム合金の機械的特性の平均値を示すものである。それぞれのデータは約200個の実験測定値から平均を求めた。
図7、図8及び図9に示すように、Mg溶湯に添加されたCaOの還元反応によって製造されたMg合金の場合、CaOを添加する前のMg合金に比べ、常温降伏強度、常温引張強度、及び常温伸び率のいずれも高かった。また、このような常温での機械的物性の向上はCaOの添加量が増大するにつれて増加した。そして、このような傾向はCaOの添加量が0.3wt%〜0.7wt%の場合に一層著しく現れた。このような常温機械的物性が向上する理由は、CaOの添加によってMgCa、AlCaまたは(Mg、Al)Caの化合物相が形性されるからである。
図10は本発明によって製造されたマグネシウム系合金と既存の合金の常温降伏強度と常温伸び率を比較して示すグラフである。
同図に示すように、既存のAM(アルミニウムとマンガンが添加されたマグネシウム合金)とAE(アルミニウムに希土類金属が添加されたマグネシウム合金)は常温降伏強度と常温伸び率が反比例することが分かる。
CaOが添加されたマグネシウム合金の場合、常温伸び率は常温降伏強度が増加するにもかかわらず増加することが分かる。一般に、グラフの円形点(Mg−Al−RE合金)や三角形点(Mg−Al−Mn合金)の傾向のように伸び率が増加すればその合金の降伏強度は減少する。すなわち、伸び率と降伏強度は互いに犠牲的な関係にあることが一般的である。しかし、前記グラフの四角形点(CaOを添加したマグネシウム合金)から分かるように、CaOを添加した場合には常温伸び率が増加するにつれて常温降伏強度も同時に増加する傾向を示している。
図11はAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金とCaOが添加されなかったAZ91D
Mg合金の硬度を比較したグラフである。それぞれの合金を用いてコールドチャンバー(Cold Chamber)ダイカストした後、ロックウェル(Rockwell)硬度を測定した。CaOが添加されたMg合金が、添加されなかった合金より硬度が高いことを確認することができた。また、CaOの添加量が増加するほど常温硬度が増加することを確認することができた。本発明において、“CaOの添加”は添加後に還元反応過程を経ることを意味する。
図12はAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金とCaOが添加されなかったAZ91D
Mg合金の常温降伏強度を比較したグラフである。ホットチャンバー(Hot Chamber)ダイカスト方法で試験片を製造した後、常温降伏強度を測定した。CaOが添加されたMg合金が添加されなかった合金より常温降伏強度が高いことを確認することができた。CaOを添加する前と比較して、0.7wt%添加した場合に常温降伏強度が約15%増加することが分かる。また、CaOの添加量が増加するほど常温降伏強度が増加することを確認することができた。
図13はAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金とCaOが添加されなかったAZ91D
Mg合金の常温引張強度を比較したグラフである。ホットチャンバー(Hot Chamber)ダイカスト方法で試験片を製造した後、常温引張強度を測定した。
CaOが添加されたMg合金が、添加されなかった合金より常温引張強度が高いことを確認することができた。CaOを添加する前と比較して、0.7wt%添加した場合に常温引張強度が約14%増加することが分かる。また、CaOの添加量が増加するほど常温引張強度が増加することを確認することができた。
図14はAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金とCaOが添加されなかったAZ91D
Mg合金の常温伸び率を比較したグラフである。CaOが添加されたMg合金が、添加されなかった合金より常温伸び率が高いことを確認することができた。CaOを添加する前と比較して、0.7wt%添加した場合に常温伸び率が約3倍増加することが分かる。また、CaOの添加量が増加するほど常温伸び率が増加することを確認することができた。
図15はAZ91DにCaOを0.3wt%と0.7wt%添加して製造したMg合金とCaOが添加されなかったAZ91D
Mg合金の常温伸び率に対する常温降伏強度の関係を示すグラフである。CaOが添加されたMg合金が、添加されなかった合金より常温伸び率が高いことを確認することができた。また、CaOの添加量が増加するほど常温降伏強度と常温伸び率が同時に増加することを確認することができた。
以上説明したように、本発明は、商用マグネシウム合金にCaOを添加すれば、マグネシウム合金の組職が微細化し、AlCa及びMgCaまたは(Mg、Al、その他の合金元素)Ca)相などが形成される。そして、脆性の高いβ−Mg17Al12相の形成が抑制され、鋳造欠陷が大幅減少する。結果として、CaOを添加して還元反応でCaを間接的に合金化することが可能であり、これによりマグネシウム合金の常温強度と常温軟性が同時に増加する結果を示した。
以上本発明を好適な実施例に基づいて説明したが、本発明が属する技術分野で通常の知識を持った者であれば本発明の本質的な技術範囲内で前記本発明の詳細な説明とは異なる形態の実施例を具現することができるであろう。ここで、本発明の本質的な技術範囲は特許請求範囲によって決められ、それと同等な範囲内のすべての相違点は本発明に含まれるものに解釈されなければならない。
本発明は、常温用高強度/高伸び率マグネシウム合金及びその製造方法に適用可能である。


Claims (4)

  1. マグネシウム系合金を製造する方法において、
    マグネシウムまたはマグネシウム合金を溶解する段階;
    前記マグネシウムまたはマグネシウム合金が溶解された溶湯の表面にCaOを0.05〜1.2wt%添加する段階;
    前記溶湯と添加された前記CaOの反応によって、マグネシウムまたはマグネシウム合金中にCaOを残留しないように、表面撹拌によって消尽させる段階;及び
    前記酸素成分が除去されたCaを前記マグネシウムまたはマグネシウム合金中に残留しないように反応させる段階;を含むことを特徴とする、常温用マグネシウム系合金の製造方法。
  2. 前記添加されるCaOの量は0.2wt%〜0.9wt%であることを特徴とする、請求項1に記載の常温用マグネシウム系合金の製造方法。
  3. 前記添加されるCaOの量は0.3wt%〜0.7wt%であることを特徴とする、請求項2に記載の常温用マグネシウム系合金の製造方法。
  4. 前記CaOの添加によって生成される化合物は、MgCa、AlCa、及び(Mg、Al)Caの中で少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1に記載の常温用マグネシウム系合金の製造方法。
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