JP5427406B2 - 眼科用レーザ治療装置 - Google Patents

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Description

本発明は、レーザ光を患者眼の患部に照射して、光凝固等の治療を行う眼科用レーザ治療装置に関する。
網膜光凝固治療では、眼底におけるレーザ光のスポットサイズは200〜500μmの比較的大きなサイズが使用される。眼底の光凝固治療の場合、レーザ光のスポットの中心部から焼け始める傾向があるため、レーザ光のエネルギ強度分布は均一なプロファイルよりも中心部が窪んだ凹状のプロファイルがより好ましいとされている。中心部が窪んだ凹状のプロファイルを実現するために、光ファイバの出射端に光強度分布変更フィルタを配置する技術(特許文献1参照)、光ファイバの出射端側で、光ファイバの出射端面像に負の歪曲収差を発生させる光学系を配置する技術が提案されている(特許文献2参照)。
また、光凝固に使用されるレーザ治療装置は、虹彩の切開(イリドトミー)にも使用されることが多い。この虹彩の切開では、レーザ光のスポットサイズが50μm等の小さなサイズで、中心部のエネルギ密度が高くなっていることが良いとされている。
特開2001−8945号公報 特開2002−165824号公報
しかし、光強度分布変更フィルタを使用する技術(特許文献1)では、フィルタによるレーザ光のエネルギ損失があり、特に、虹彩の切開を行う場合には、中心部のエネルギ密度が高いプロファイルを得るために、中心部のエネルギ密度を変えずに、周辺部の透過率を下げることによって中心部のエネルギ密度が相対的に高くなるようにしているので、全体的にはレーザ光のエネルギ損失が大きくなる。また、コア径が50μmの光ファイバの出射端付近にフィルタを配置しなければならず、フィルタの光軸合わせ位置が強度分布の対称性に大きく影響するため、フィルタの光軸合わせが極めて難しい。さらに、フィルタには熱吸収があり、光ファイバの出射端又は入射端の付近に配置される構成では、光ファイバの破損の要因となり、現実的ではない。またさらに、特許文献1では、光強度分布変更フィルタが光ファイバの出射端側に配置されているので、光ファイバの出射端側の構成が大型化及び複雑化し、スリットランプ等の観察光学系と組み合わせて使用する場合に不利となる。
光ファイバの出射端面像に負の歪曲収差を発生させる光学系を配置する技術(特許文献2)では、歪曲収差を発生させるための第1焦点レンズと第2焦点レンズとの光路長を十分に長くする必要があり、光ファイバの出射端側が大型化する問題、光路長を長くするためにプリズムが使用されているが、プリズムの光路への出し入れの機構が大掛かりとなる問題がある。また、歪曲収差を頼りにしているので、患者眼に接触される手術用コンタクトレンズの収差の影響を受け、術者が使用する手術用コンタクトレンズの種類によっては、エネルギ分布の中央部での窪み程度が大きく変化する問題がある。
また、別の問題として、コヒーレンス性の高いレーザ光源からのレーザ光をマルチモードファイバに入射させて導光する場合、スペックルノイズが発生し、不均一な凝固斑が生じる原因となる。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、レーザ光のエネルギ損失を抑え、また、複雑な構成の歪曲収差発生光学系を使用することなく、適切なビームプロファイルを持つレーザ光を得ることができる眼科用レーザ治療装置を提供することを技術課題とする。また、スペックルノイズを低減して、より均一な凝固斑を形成できる眼科用レーザ治療装置を提供することを技術課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下のような構成を備えることを特徴とする。
(1) 治療レーザ光源からのレーザ光を所定のビーム径に集光して光ファイバに入射させる導光光学系を備え、前記光ファイバから出射したレーザ光を患者眼の患部に照射する眼科用レーザ治療装置において、前記光ファイバはマルチモードファイバであり、前記光ファイバの入射側に配置され、前記光ファイバに入射するレーザ光を入射端面の中心に対して偏心させて入射させることが可能な偏心光学系と、ビーム径が前記入射端面に入った状態で前記偏心光学系を駆動、前記入射端面におけるレーザ光の入射位置を、前記入射端面における同一の平面上で変化させることで、前記光ファイバの出射端面におけるビームプロファイルを変化させる偏心位置変更手段と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、レーザ光のエネルギ損失を抑え、複雑な構成の歪曲収差発生光学系を使用することなく、適切なビームプロファイルを持つレーザ光を得ることができる。また、スペックルノイズを低減して、より均一な凝固斑を形成できる。
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は患者眼の光凝固及び虹彩切開を行う眼科用レーザ治療装置の外観略図である。図2は、装置の光学系及び制御系の概略構成図である。装置本体1には、治療レーザ光源10及びレーザ光を光ファイバ2に入射させる導光光学系が収納されている。また、装置本体1には、レーザ出力、照射時間、エイミング光の点灯状態等のレーザ照射条件や装置の必要な設定を行うレーザ照射コントロールパネル3が設置されている。コントロールパネル3には、手術条件に応じて患者眼に照射されるレーザ光のビームプロファイルを選択するためのスイッチ3a、3b、3cが設けられている。
レーザ治療装置は、患者眼を観察するスリットランプ4を備える。スリットランプ4は、患者眼を照明する照明部6、観察光学系としての双眼の顕微鏡部4a、照明部6及び顕微鏡部4aを移動させるためのジョイスティック7を備える。装置本体1からのレーザ光は、スリットランプ4に取り付けられたレーザ照射部5に光ファイバ2により導光される。光ファイバ2は、コア径が50μmのマルチモードファイバが使用されている。レーザ照射のトリガ信号は、フットスイッチ8により入力される。
レーザ照射部5には患者眼眼底上に結像するレーザ光のスポット像(光ファイバの出射端面像)の径を変えるためのスポット径調節ツマミ5bが設けられている。スポット径調節ツマミ5bが操作されることにより、レーザ光のスポット径が50μmから500μmまで変えられる。
図2において、治療レーザ光を出射する治療用レーザ光源10として、波長1064nmの基本波を発振するNd:YAGレーザから、その2倍波(波長532nm)である緑色光を得るものが使用されている。レーザ光源10からのレーザ光は、その一部がビームスプリッタ14により反射された後、拡散板15を通過して出力センサ16に入射される。出力センサ16はレーザ光源10からのレーザ光の出力を検出する。
ビームスプリッタ14を透過したレーザ光は、ダイクロイックミラー18により光ファイバ2側に反射される。赤色光を発する可視半導体レーザ等により構成されるエイミング光源19からのエイミング光は、コリメータレンズ20を介した後、ダイクロイックミラー18を透過して治療用レーザ光と同軸にされる。
光ファイバ2の入射端2a側には、集光レンズ22と偏向光学部材により、光ファイバ2に入射させるレーザ光を入射端2aの中心から偏心させる偏心光学系70が配置されている。図2の例では、偏向光学部材は2枚のウェッジプリズム71、72により構成されている。ウェッジプリズム71、72は、ウェッジ角度及び触れ角が同一のものが使用されている。ウェッジプリズム71、72を通過したレーザ光は、集光レンズ22によって光ファイバ2の入射面2aに集光して入射される。光ファイバ2の入射面2aに入射されるレーザ光は、集光レンズ22により、光ファイバ2のコア径(50μm)より小さな径に集光される。光ファイバ2の中心軸は、集光レンズ22の光軸L1と一致するように位置合わせされている。
各ウェッジプリズム71、72は、それぞれモータを持つ回転ユニット73、74により集光レンズ22の光軸L1の軸回りに回転される。また、回転ユニット73、74には、各ウェッジプリズム71、72の回転角を検出するための検出器としてのエンコーダ75、76がそれぞれ接続されている。エンコーダ75、76の検出信号は制御部50に入力され、回転ユニット73、74は制御部50によって制御される。これら回転ユニット73、74、エンコーダ75、76、制御部50及びコントロールパネル3等により、光ファイバ2の入射端面2aに入射するレーザ光の偏心位置を変える偏心位置変更ユニットが構成される。
各ウェッジプリズム71、72の回転角度は、コントロールパネル3に設けられたスイッチ3a、3b、3c等からの入力信号に基づいて設定される。スイッチ3aが選択されると、2枚のウェッジプリズム71、72の頂角の向きが同一方向となるように回転される。一方、スイッチ3bが選択されると、ウェッジプリズム71と72の頂角の向きが互いに180度の角度を持つように配置される。スイッチ3cでは、ウェッジプリズム71、72の頂角の向きを任意又は段階的に変更可能にされる。
なお、図2の例では2枚のウェッジプリズム71、72の夫々を回転可能に取付けた場合について示しているが、回転ユニット73、74及びエンコーダ75、76は、少なくとも1つのウェッジプリズムに配置されていれば良い(1枚のウェッジプリズムは固定であっても良い)。
図2の光学系において、ビームスプリッタ14から光ファイバ2に至る光路には、異常時発生の場合に光路に挿入され、レーザ光を遮断するための安全シャッタが設けられているが、図2では安全シャッタは省略されている。
レーザ照射部5のレーザ照射光学系において、光ファイバ2により導光されたレーザ光は、出射端面2bから出射し、リレーレンズ24、レーザ光のスポットサイズを変更するために光軸方向に移動可能なズームレンズ(変倍光学系)25、対物レンズ26を介した後、可動ミラー27で反射し、コンタクトレンズ28を経て患者眼Eの眼底に照射される。
スリット光を投影する照明部6は、照明光源30からの照明光がコンデンサーレンズ31、スリット32、投影レンズ33を介した後、分割ミラー35a、35bで反射され、コンタクトレンズ28を介して患者眼を照明する。34は分割ミラーで反射される照明光の光路長を補正する補正レンズである。双眼の顕微鏡部4aの観察光学系は、対物レンズ40、変倍光学系41、保護フィルタ42、正立プリズム群43、視野絞り44、接眼レンズ45を備える。
次に、偏心光学系70により、患者眼に照射されるレーザ光のビームプロファイルを変える方法を説明する。前述したように、光凝固手術では、均一な凝固班を得るために、レーザ照射によるエネルギ分布の中心部が窪んだプロファイルが好ましい。一方、イリドトミーでは、レーザ光の中心部のエネルギ強度が高いビームプロファイルが好ましい。
図3は、光ファイバ2の入射端面2aに入射されるレーザ光の偏心位置の説明図である。本実施形態では、コア径W1が50μmの光ファイバ2に、ビーム径W2が10μmのレーザ光を入射させた場合を例にしている。図4は、ウェッジプリズム71、72の頂角の向きにより、光ファイバ2の入射端面2aに入射されるレーザ光が偏心される状態を説明する図である。図4(a)のように、ウェッジプリズム71の頂角p1とウェッジプリズム72の頂角p2の向きが互いに180度の角度を持つように配置されると、レーザ光はウェッジプリズム71、72を通過しても、レーザ光の進行方向は変えられず、ファイバ2の入射端面2aの中心位置C0に入射される。ウェッジプリズム71の頂角p1とウェッジプリズム72の頂角p2の成す角度が180度より小さくなると、レーザ光はウェッジプリズム71、72を通過するときの進行方向が偏向され、入射端面2aの中心に対してレーザ光の中心位置が、図3のC1、C2、C3、C4のように偏心される。ウェッジプリズム71、72の頂角の成す角度が連続的に変化されることにより、入射端面2aの中心位置C0に対するレーザ光の中心位置の偏心量Dも連続的に変えられる。そして、図4(b)のように、ウェッジプリズム71、72の頂角が同一方向(0度)となるように配置されたとき、偏心量Dが最大とされる。
図5は、偏心量Dを順次変化させたときに、ファイバ2の出射端面2bから出射されるレーザ光のビームプロファイルのシミュレーション結果である。なお、ファイバ2の入射端面2aにはファイバ2のコア径50μmより小さなビーム径(10μm)の円形のレーザ光を入射させているが、レーザ光がファイバ2内で反射されて伝送されることにより、出射端面2bでのビームプロファイルは、ファイバ2の中心軸を中心にしてほぼ回転されたものとなることが実験及び経験的に確認されている。
図5(a)は偏心量Dがゼロのとき(偏心が無いとき)のビームプロファイルである。偏心量Dが略ゼロのとき(偏心がほぼ無いとき)には、出射端面2bでのビームプロファイルは中心部のエネルギ強度が高く、レーザ光のビーム径(10μm)より外側でのエネルギ強度は低いのもとなっている。
図5(b)は、偏心量Dがビーム径W2(10μm)の0.5倍(5μm)であるときのビームプロファイルである。この場合、図5(a)に対して周辺のエネルギ強度がやや高くなっているものの、中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルは現れず、中心部のエネルギ強度が高いものとなっている。
図5(c)は、偏心量Dがビーム径W2の1倍(10μm)であるときのビームプロファイルである。この場合、中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルとなっている。
図5(d)は、偏心量Dがビーム径W2の1.5倍(15μm)であるときのビームプロファイルである。この場合、図5(c)に対して、中心部の窪みが大きくなった凹状のビームプロファイルが現れてきている。また、ファイバ2のコア径の外周端でのエネルギ強度が急激に立ち上がるようになっている。
図5(e)は、偏心量Dがビーム径W2の2倍(20μm)であるときのビームプロファイルである。この場合、図5(d)に対して、さらに中心部の窪みが大きくなった凹状のビームプロファイルとなっている。ファイバ2のコア径の外周端でのエネルギ強度は、図5(d)よりもさらに急激に立ち上がっており、エッジが強調されるビームプロファイルとなっている。
図5に示されるように、偏心量Dが大きくなるに従って、ビームプロファイルの中心部の窪みも大きくなる。中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルを得るためには、図5(c)、図5(d)及び図5(e)のように、偏心量Dは入射端面2aに入射されるビーム径W2以上とされる。また、偏心量Dを大きくし、レーザ光のビーム径W2がファイバ2のコア径W1から外れてしまうとエネルギのロスとなる。このため、偏心量Dはビーム径W2がコア径W1内に入る範囲が好ましい。眼底上でのビームスポット径を100μm以上とし、照射時間を200msec程度とする一般的な照射条件での光凝固においては、レーザ光の偏心を位置C4にしたときの図5(e)のビームプロファイルのときに、均一な凝固斑が得られ易くなる。
なお、レーザ光の偏心に関して図3の位置C4のように、ビーム径が光ファイバ2のコアから外れない範囲で最大の偏心量とする場合、ウェッジプリズム等の偏向光学部材の振れ角度θと、光ファイバ2のコアの半径w1、集光レンズ22により光ファイバ2に入射端面2aに入射されるビームの半径w2、集光レンズ22の焦点距離fとの間には
w1−w2=f・tanθ
の関係がある。この関係を満たす振れ角度θを持つウェッジプリズム71、72が設計される。
次に、以上のような構成を備える装置において、手術時の動作を説明する。まず眼底の光凝固手術について説明する。術者は手術に先立ち、照明部6からの照明光によって照らされた眼底を、顕微鏡部4aを通して観察する。この時、術者は眼底に照射されたエイミング光を観察しながら、スポット径調節つまみ5bを使用して、所望するスポット径に設定する。なお、レーザスポット径が小さいと、ビームプロファイルの中央部にエネルギ分布が集中する傾向があるため、光凝固手術の場合には、レーザスポット径は、200〜500μmのように大きく設定される。
術者はコントロールパネル3の各種スイッチにて、レーザ照射時間、レーザ出力などのレーザ照射条件を設定する。また、術者はコントロールパネル3に設けられたスイッチ3a、3b、3cにより、眼底に照射されるレーザ光のビームプロファイルを選択する。光凝固手術の場合、スイッチ3aが選択されると、ファイバ2の中心に対してレーザ光の中心位置が図3の位置C4となるように設定される。すなわち、スイッチ3aが選択されると、レーザ光のビームプロファイルは、図5(e)のように、中心部の窪みが最も大きくなったものが設定される。スイッチ3aからの入力信号が制御部50に入力されると、制御部50は回転ユニット73、74の駆動を制御し、図4(b)に示されたように、ウェッジプリズム71、72の頂角p1、p2が光軸L1に対して同じ位置(回転角度の差が0度)となるように配置する。
術者はジョイスティック7又は図示無きマニュピレータの操作によりエイミング光の患部への位置合わせを行う。術者はエイミング光が患部で一番小さくなるように結像位置を合わせた後、フットスイッチ8を押してレーザ照射を行う。レーザ光源10から出射されたレーザ光は、ウェッジプリズム71、72によって偏角され、入射端面2aの中心から偏位された位置C4に入射される。その後、光ファイバ2によってレーザ照射部5へ導かれる。この時、光ファイバ2の出射端面2bでのビームプロファイルは、図5(e)に示すように、照射面の中央部の強度が低く、周囲の強度が高くなる。このレーザ光が眼底に照射される。光凝固では、エネルギ強度が中央部で窪んだビームプロファイルにすると、中央部に熱が集まりにくくなり、均一な焼け具合の凝固斑が形成され易くなる。
術者はレーザ照射により眼底に形成された凝固斑を観察し、その焼け具合を確認する。ビームプロファイルの中央部の窪みを大きくしたことにより、凝固斑の中央部での焼けが少なくなりすぎた場合には、スイッチ3cによりファイバ2に入射させるレーザ光の偏心量を任意又は複数段階で変化させ、ビームプロファイルの中央部の窪みの程度を調整する。
例えば、光凝固のビームプロファイルのモードとして、「ハードモード」、「マイルドモード」、「ソフトモード」が設けられ、各モードはスイッチ3cにより選択される。入射端面2aでのレーザ光の偏心量は、「ハードモード」では図3の位置C2に設定され、「マイルドモード」では図3の位置C3に設定され、「ソフトモード」では図3の位置C4に設定される。各モードが選択されると、制御部50は、回転ユニット73、74の駆動を制御して、偏心量の各位置C2、C3、C4に対応させてウェッジプリズム71及び72を回転させる。これにより、ビームプロファイルの中央部の窪みの程度を使い分けできる。なお、コントロールパネル3に設けられたディスプレイにレーザ光の偏心量に応じて変化されるビームプロファイルがグラフィックで表示されることにより、術者は所望のビームプロファイルを設定しやすくなる。
以上のように、レーザ光のエネルギ損失を抑え、また、光ファイバ2の出射端側の構成を大型化することなく、中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルを得ることができる。光ファイバ2の出射端側の照射光学系は、特別な変更を加えることなく、従来のものがそのまま使用可能にされる。経強膜光凝固手術では、光ファイバ2の出射端がプローブに接続されたエンドフォトプローブが使用され、光ファイバ2の先端が眼内に挿入されるが、上記のように中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルを得るための偏心光学系70が光ファイバ2の入射端側に設けられているので、そのままエンドフォトプローブを使用することができる。
次に、虹彩の切開手術について説明する。虹彩の切開手術は、光凝固とは異なり、均一な焼け具合を必要とせず、切開を目的としているため、中心部でのエネルギ密度が高い事が好ましいため、レーザスポット径は小さく設定される。例えば、術者は、スポット径調節ツマミ5bを操作して最小スポットの50μmに設定する。また、術者はコントロールパネル3のスイッチにより、眼底に照射されるレーザ光のビームプロファイルを選択する。虹彩の切開手術の場合、スイッチ3bが選択されると、ファイバ2に入射させるレーザ光の中心位置がファイバ2の中心位置C0に設定される。スイッチ3bからの入力信号が制御部50に入力されると、制御部50は回転ユニット73、74の駆動を制御し、図4(a)に示されたように、ウェッジプリズム71、72の頂角p1、p2を互いに反対側(回転角度の差が180度)となるように配置する。
術者は、エイミング光が虹彩の患部で一番小さくなるようにエイミングを行い、フットスイッチ8を押してレーザ照射を行う。ファイバ2から出射されるレーザ光のビームプロファイルは、図5(a)のように、中央部のエネルギ強度が高くされているので、虹彩を効率よく切開できる。また、光強度分布変更フィルタが用いられていないので、エネルギ損失が少なく、エネルギ効率のよいレーザ光を照射できる。
ところで、光ファイバ2としてマルチモードファイバが使用され、治療用レーザ光源10からコヒーレンス性の高いレーザ光が出射される場合、光ファイバ2から出射されるレーザ光にスペックルノイズが発生し、不均一な凝固斑が生じる原因となる。この対応として、光ファイバ2の入射端面2aに入射させるレーザ光を偏心させた状態で、光ファイバ2の中心軸(入射端面2aの中心C0)の軸回りレーザ光を回転させると、眼底に照射されるレーザ光のスポットが重ね合わせられ、レーザ光のコヒーレンス性が低下した状態となり、スペックルノイズが低減される。
光ファイバ2の中心軸の軸回りにレーザ光を回転させる構成の概略を説明する。図6は、図2の2枚のウェッジプリズム71及び72を光ファイバ2の中心軸(集光レンズ22の光軸L1)の軸回りに回転させる構成例である。
図6において、ウェッジプリズム71及び72の頂角p1及びp2の位置には、それぞれスリット板101及び102が配置されている。また、装置には、各スリット板101及び102を検知するフォトセンサ等から構成される検出器103及び104が配置されている。
光凝固手術に際して、術者は、コントロールパネル3の各種スイッチにて、レーザ照射時間、レーザ出力などのレーザ照射条件を設定し、また、眼底に照射されるレーザ光のビームプロファイルを選択する。スイッチ3aが選択されると、制御部50により回転ユニット73、74の駆動が制御され、ウェッジプリズム71、72の頂角が同一方向にされ、図3に示したように、入射端面2aに入射されるレーザ光の偏心位置は位置C4の位置とされる。検出器103及び104によるスリット板101及び102の検出信号からウェッジプリズム71、72の頂角の位置がセットされる。そして、レーザ光の偏心が位置C4の状態で、回転ユニット73、74が駆動され、エンコーダ75及び76の回転角検出信号に基づいてウェッジプリズム71、72が同期して、入射端面2aの中心位置C0を中心に回転される。これにより、光ファイバ2の入射端面2aに入射されるレーザ光は、位置C4の偏心量を維持したまま、中心位置C0を中心に回転されることになる。このとき、制御部50は、設定されたレーザ照射時間に対して少なくとも1回転する速度でウェッジプリズム71、72を回転するように、回転ユニット73、74を制御する。これにより、設定されたレーザ照射時間で眼底に照射されるレーザ光のスポットが重ね合わせられ、スペックルノイズが軽減される。なお、ウェッジプリズム71、72の回転速度が速くされることにより、よりスペックルノイズが低減される。
また、スイッチ3cにより、入射端面2aに入射されるレーザ光の偏心位置が位置C3、C2等に変更された場合も、同様に検出器103及び104、エンコーダ75及び76の回転角検出信号に基づいてウェッジプリズム71、72が同期して回転されることにより、眼底に照射されるレーザ光のスペックルノイズが低減される。
次に、中心部が窪んだビームプロファイルを得るための偏心光学系70の変容例を説明する。図7は、偏心光学系70の偏向光学部材として、ターレット板90に異なる振れ角を有するウェッジプリズム91a、91b、91c及び91eと、開口92を設けた例である。図2のウェッジプリズム71及び72に代え、ターレット板90のウェッジプリズム91a〜91e、開口92の何れかが光路に配置されるように、モータを持つ回転ユニット95により、回転中心93を中心にしてターレット板90が回転される。ウェッジプリズム91a〜91eは、図3の偏心量Dが段階的に増加するように設定されている。光凝固手術のときは、スイッチ3cにより、ウェッジプリズム91a〜91eの何れかが光路に挿入され、中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルが変えられる。虹彩切開手術では、開口92が選択されることにより、すなわち、ウェッジプリズム91a〜91eが光路から外されことにより、中央部のエネルギ強度が高くされたビームプロファイルのレーザ光が得られる。
なお、上記のように中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルを複数のものに変更できることが好ましいが、中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルは少なくとも1つが選択できれば良い。この場合、例えば、図3の偏心量Dが位置C4となる一つのウェッジプリズムを図7のターレット板90に設けておけば良い。このウェッジプリズムの光路への挿入及び脱出により、光凝固手術用に中心部が窪んだ凹状のビームプロファイルと、虹彩切開手術用に中央部のエネルギ強度が高くされたビームプロファイルを選択できる。
また、眼底に照射されるレーザ光のスポットのスペックルノイズを低減する場合には、各ウェッジプリズム91a〜91eをそれぞれ保持するプリズムホルダ97a〜97eが、入射端面2aの中心位置C0を中心にして回転可能にターレット板90に保持される構成とする。また、各ホルダ97a〜97eはターレット板90とは別に中心93を中心にして太陽ギヤ96により回転される構成とする。そして、太陽ギヤ96が回転ユニット98により回転されることにより、各ウェッジプリズム91a〜91eがそれぞれ入射端面2aの中心位置C0を中心にして回転される。これにより、スペックルノイズが低減される。
図8は、偏心光学系70の他の変容例であり、図2におけるウェッジプリズム71、72に代えて、偏向光学部材として球面レンズ110を使用する例である。図8では、球面レンズ110及び集光レンズ22により、レーザ光源10からのレーザ光を光ファイバ2の入射端面2aに集光して入射させる光学系を構成している。球面レンズ110は、モータ及びスライド機構から構成される移動ユニット112により、集光レンズ22の光軸L1に垂直な方向に移動される。球面レンズ110の光軸L2が集光レンズ22の光軸L1に対して偏心されると、レーザ光が球面レンズ110を通過するときに、光軸L1に対して偏心される(すなわち、光ファイバ2の入射端面2aの中心位置C0に対して偏心される)。入射端面2aの入射するレーザ光の偏心量Dは、球面レンズ110及び集光レンズ22と、光軸L1に対する光軸L2の偏心量により決定される。この構成によっても、中心部が窪んだビームプロファイルを得ることができる。また、球面レンズ110を中心位置C0の軸を中心に回転させることにより、スペックルノイズを軽減することができる。
図9は、偏心光学系70の更なる変容例であり、偏向光学部材としてミラー120を使用する例である。ミラー120は、レーザ光源10からのレーザ光を反射させて集光レンズ22に向かわせる。ミラー120が回転ユニット122により、矢印A方向に回転されることにより、集光レンズ22を通過するレーザ光が光軸L1から偏心される。また、ミラー120を中心位置C0の軸を中心に回転させることにより、スペックルノイズを軽減することができる。
以上のような変容例のほか、偏心光学系70を構成する偏向光学部材としては、図2におけるウェッジプリズム71、72に代えて、光路に挿脱可能に配置された回折光学素子を使用することもできる。回折光学素子は、硝子や石英等の透光部材に所定方向の回折を起こすように微小な溝が形成されることにより構成され、ウェッジプリズム71、72と同様に通過するレーザ光の向きを変えることができる。このように、偏心光学系70としては種々の変容が可能であり、これらも技術思想を同一とする範囲で本件発明に含まれる。
眼科用レーザ治療装置の外観略図である。 装置の光学系及び制御系の概略構成図である。 光ファイバの入射端面に入射されるレーザ光の偏心位置の説明図である。 2枚のウェッジプリズムの頂角の向きを変えることにより、光ファイバ2に入射されるレーザ光が偏心される状態を説明する図である。 レーザ光の偏心量を変えたときのビームプロファイルのシミュレーション結果である。 2枚のウェッジプリズムを光ファイバの中心軸の回りに回転させる構成例である。 偏心光学系の変容例の説明図である。 偏心光学系の他の変容例を示す図である。 偏心光学系の更なる変容例を示す図である。
符号の説明
1 装置本体
2 光ファイバ
3 レーザ照射コントロールパネル
10 治療レーザ光源
50 制御部
70 偏心光学系
71、72 ウェッジプリズム
73、74 回転ユニット
75、76 エンコーダ
90 ターレット板
101、102 スリット板
103、104 検出器
110 球面レンズ
120 ミラー

Claims (1)

  1. 治療レーザ光源からのレーザ光を所定のビーム径に集光して光ファイバに入射させる導光光学系を備え、前記光ファイバから出射したレーザ光を患者眼の患部に照射する眼科用レーザ治療装置において、
    前記光ファイバはマルチモードファイバであり、
    前記光ファイバの入射側に配置され、前記光ファイバに入射するレーザ光を入射端面の中心に対して偏心させて入射させることが可能な偏心光学系と、
    ビーム径が前記入射端面に入った状態で前記偏心光学系を駆動、前記入射端面におけるレーザ光の入射位置を、前記入射端面における同一の平面上で変化させることで、前記光ファイバの出射端面におけるビームプロファイルを変化させる偏心位置変更手段と、
    を備えることを特徴とする眼科用レーザ治療装置。
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