JP5426216B2 - カルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法 - Google Patents

カルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明はカルボキシアルキルセルロース誘導体、特にカルボキシエチルセルロース誘導体の製造方法に関する。
カルボキシメチルセルロースやカルボキシエチルセルロース等のカルボキシアルキルセルロースは、増粘剤や分散剤、乳化剤、保護コロイド剤、安定化剤として有用である。カルボキシエチルセルロースには、上記用途に加えて、スポンジ等の原料素材としての用途が存在する。
これらカルボキシアルキルセルロースの製造を行なう場合、一般に原料となるセルロースは種々の反応剤に対する反応性が極めて乏しいため、例えば、カルボキシメチルセルロースは、セルロースに対して大過剰のアルカリを用いて一旦アルカリセルロースを生成することで活性化を行い、その後クロロ酢酸類との量論反応を行って工業的に製造されている。また特許文献1には、セルロースをアルカリ水溶液及び二硫化炭素で処理してビスコースとした後、アクリロニトリルを反応させ、さらに酸またはアルカリで加水分解してカルボキシエチルセルロースを製造する方法が開示されている。
特開平7−242767号公報
上記アルカリセルロースを用いる反応は、反応性が高く比較的安価なクロロ酢酸類を用いるカルボキシメチルセルロースを除き、工業的にはカルボキシアルキルセルロースの製造には用いられていない。また、このアルカリセルロースを用いる方法及び特許文献1に開示された方法は、いずれもセルロースを構成するグルコース単位あたり、少なくとも1モル以上、通常1〜3モルのアルカリを使用するため、反応剤の分解による反応選択性の低下、及び中和した後、大量の塩が生成するため精製負荷が高いという問題がある。さらに特許文献1で開示された方法では、生成物がカルボキシエチルセルロースに限られるという問題がある。
本発明は、工業的に簡便で、反応の選択性が高く効率的な、カルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、結晶性を低下させた粉末のセルロースを原料として用いれば、特定のα,β−不飽和カルボン酸エステル、好ましくはアクリル酸エステルとの反応が、触媒量の塩基存在下で効率的に進行することを見出した。このアクリル酸エステルとの反応で得られた生成物は、エステル基の酸またはアルカリによる加水分解により容易にカルボキシエチルセルロース誘導体へと変換することが可能である。
すなわち本発明は、低結晶性の粉末セルロースを、塩基触媒存在下、下記一般式(1)
Figure 0005426216
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、または−COOR5で表される置換基を示すが、両者とも水素原子となることはなく、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R5は炭素数1〜17の炭化水素基、水素原子又はアルカリ金属原子を示すが、分子中、少なくとも1つのR5は炭化水素基であり、分子中に2つのR5がある場合、両者は同じであっても異なっていても良いが、一般式(1)で示される化合物の総炭素数は4〜20である。)
で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルと反応させるカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法を提供する。
本発明によれば、工業的にも簡便で、かつ高選択的、効率的なカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法を提供することができる。
〔低結晶性の粉末セルロースの調製〕
一般にセルロースは幾つかの結晶構造が知られており、また一部に存在するアモルファス部と結晶部との割合から結晶化度として定義されるが、本発明における「結晶化度」とは、天然セルロースの結晶構造に由来するI型の結晶化度を示し、粉末X線結晶回
折スペクトルから求められる下記計算式(1)で表される結晶化度によって定義される。
結晶化度(%)=〔(I22.6−I18.5)/I22.6〕×100 (1)
〔I22.6は、X線回折における格子面(002面)(回折角2θ=22.6°)の回折強度、及びI18.5は、アモルファス部(回折角2θ=18.5°)の回折強度を示す〕
本発明における低結晶性の粉末セルロースの「低結晶性」とは、上記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、上記計算式(1)から得られる結晶化度が0%である場合を含む。
一般に知られている粉末セルロースにも極めて少量のアモルファス部が存在するため、それらの結晶化度は、本発明で用いる上記計算式(1)によれば、概ね60〜80%の範囲に含まれる、これらはいわゆる結晶性のセルロースであり、通常のセルロース誘導体合成における反応性は極めて低い。
したがって、本発明における低結晶性の粉末セルロースの「低結晶性」とは、前記のセルロースの結晶構造においてアモルファス部の割合が多い状態を示し、好ましくは上記計算式(1)から得られる結晶化度が0〜50%の範囲であることが好ましい。この範囲であれば、塩基触媒によるα,β−不飽和カルボン酸エステルとの反応が極めて良好に進行する。この観点から結晶化度は0〜40%の範囲がより好ましく、0〜30%の範囲が更に好ましい。特に本発明において、完全に非晶質化した、すなわち上記計算式(1)から求められる結晶化度がほぼ0%となる、いわゆる非晶化セルロースを用いることが最も好ましい。
本発明で用いる低結晶性の粉末セルロースは、汎用原料として得られるシート状やロール状のセルロース純度の高いパルプから極めて簡便に調製することができる。低結晶性のセルロースを調製する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特許第4160109号公報に記載されているように、セルロースパルプシートを粗粉砕して得られるチップ状パルプを、押出機で処理して、更にボールミル等の粉砕機で処理することにより簡便に調製することができる。この方法では分子量すなわち重合度が高くかつ低結晶性の粉末セルロースを調製することが可能である。
この方法に用いられる押出機としては、単軸又は二軸の押出機を用いることができ、強い圧縮せん断力を加える観点から、スクリューのいずれかの部分に、いわゆるニーディングディスク部を備えるものであってもよい。押出機を用いる処理方法としては、特に制限は無いが、チップ状パルプを押出機に投入し、連続的に処理する方法が好ましい。
ボールミル等の粉砕機としては、公知の振動ボールミル、媒体攪拌ミル、転動ボールミル、遊星ボールミル等の他に、ロッドミルを用いることができる。媒体として用いるボール又はロッド等の材質に特に制限は無く、例えば、鉄、ステンレス、アルミナ、ジルコニア等が挙げられる。ボール又はロッド等の媒体の直径は、効率的にセルロースを非晶化させる観点から、好ましくは0.1〜100mm、より好ましくは0.5〜50mm、更に好ましくは1〜30mmである。媒体としては、チューブ状のものも用いることができる。ボール又はロッド等の媒体の充填率は、機種にもよるが、粉砕効率の観点から、通常10〜97%、好ましくは20〜90%である。ここで充填率とは、粉砕機の撹拌部の容積に対する媒体の見かけの体積をいう。
セルロースの結晶化度を効率的に低下させることができることから、ボールミル等の処理時間としては、5分〜72時間が好ましく、5分〜50時間がより好ましい。またこの処理の際には、発生する熱による変性や劣化を最小限に抑えるためにも、5〜250℃の範囲で行なうことが好ましく、5〜200℃で行なうことが更に好ましい。更に必要に応じて、窒素等の不活性ガス雰囲気下で処理を行なうことが好ましい。
また本発明における低結晶性の粉末セルロースの重合度としては、原料パルプや工業的に実施にする際の操作性の観点から100〜2000が好ましく、100〜1000がより好ましい。
この低結晶性の粉末セルロースの平均粒径は、粉体としての流動性の良い状態が保てるならば特に限定はされないが、300μm以下が好ましく、150μm以下がより好ましく、50μm以下が特に好ましい。但し、工業的に実施する際の操作性の観点からは、20μm以上が好ましく、25μmが特に好ましい。
(カルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法)
本発明のカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法において、低結晶性の粉末セルロースを、塩基触媒存在下、下記一般式(1)
Figure 0005426216
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、または−COOR5で表される置換基を示すが、両者とも水素原子となることはなく、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R5は炭素数1〜17の炭化水素基、水素原子又はアルカリ金属原子を示すが、分子中、少なくとも一つのR5は炭化水素基であり、分子中に2つのR5がある場合、両者は同じであっても異なっていても良いが、一般式(1)で示される化合物の総炭素数は4〜20である。)
で表されるα,β-不飽和カルボン酸エステルと反応させる。
本発明で用いるα,β−不飽和カルボン酸エステルとは、上記一般式(1)で表される総炭素数4〜20のα,β−不飽和カルボン酸エステルを示す。
上記一般式(1)で表される総炭素数4〜20のα,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、総炭素数4〜20のα,β−不飽和カルボン酸エステル、β位にカルボキシル基が置換したα,β−不飽和カルボン酸エステルまたはそのアルカリ金属塩等が挙げられる。
上記一般式(1)におけるR5が炭素数1〜17の炭化水素基である場合、炭化水素基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状であってもよく、不飽和結合を含んでいても良い。R5における炭素数1〜17の炭化水素基としては、反応性の観点から、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖の飽和又は不飽和の炭化水素が好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖の飽和炭化水素、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基がより好ましい。
上記一般式(1)におけるR5がアルカリ金属原子である場合、アルカリ金属原子としては、ナトリウム、カリウムが好ましい。
上記一般式(1)におけるR3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示すが、少なくとも1つは水素原子であることが好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸エステルとしては、例えば、アクリル酸またはメタクリル酸の、メチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル、tert−ブチルエステル、ペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル等の他、マレイン酸のモノ又はジメチルエステル、モノ又はジエチルエステル、モノ又はジイソプロピルエステル、モノ又はジ−tert−ブチルエステル、モノ又はジオクチルエステル、モノ又はジ−2−エチルヘキシルエステルや同様のフマル酸エステル等の多価カルボン酸エステル又はそのアルカリ金属塩等が挙げられ、アルカリ金属塩としては、ナトリウム塩またはカリウム塩が挙げられる。
これらの内、反応性や溶媒への溶解性の観点から、アクリル酸またはメタクリル酸のエステルが好ましく、アクリル酸エステルがより好ましい。
本発明において、α,β-不飽和カルボン酸エステルのセルロースへの付加反応は良好に進行することから、α,β-不飽和カルボン酸エステルは、予定のカルボキシアルキル基の導入量に対して大過剰に用いる必要はなく、セルロースを構成するグルコース単位あたり所望の置換度に調整することも可能である。
α,β-不飽和カルボン酸エステルの使用量としては、性能発現や反応時の凝集を抑制する観点から、カルボキシアルキルセルロースとしてのセルロース分子中のグルコース単位あたり0.1〜5モル倍用いるのが好ましく、0.2〜2.5モル倍用いるのがより好ましい。
本発明の製造方法において、触媒として用いる塩基は、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物、ナトリウムメトキシドやナトリウムtert-ブトキシド、カリウムtert-ブトキシド等のアルカリ金属のアルコキシド等が挙げられる。これらうち、α,β−不飽和カルボン酸エステルの分解を抑制する観点からアルカリ金属のアルコキシドが好ましい。また、α,β−不飽和カルボン酸エステルとのエステル交換による影響を抑制する観点から、下記一般式(2)
6−OH (2)
(式中、R6は上記一般式(1)におけるR5が示す炭素数1〜17の炭化水素基と同じ意味を示す。)
で表されるアルコールのアルカリ金属アルコキシド、または第3級アルコールのアルカリ金属アルコキシドが特に好ましい。
塩基触媒の使用量としては、低結晶性の粉末セルロースに対して1〜50質量%用いるのが好ましく、2〜20質量%用いるのがより好ましい。
これらの塩基触媒は、あらかじめ低結晶性の粉末セルロースに対して添加・分散させ、次いでα,β−不飽和カルボン酸エステルを滴下し反応させる方法により行うことが好ましい。
この塩基触媒の添加方法としては特に限定されないが、塩基触媒として水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物を水溶液で添加する場合には、α,β−不飽和カルボン酸エステルが反応する前に加水分解してしまうことを避ける観点から、α,β−不飽和カルボン酸エステルを添加する前にあらかじめ減圧下で加温し、反応系内の水分量を低下させる脱水操作を行うことが好ましい。
また本発明では、反応時に有機溶媒を用いることも可能である。この有機溶媒の具体例としては、ジオキサンやエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のジグライム、トリグライム系エーテル溶媒、あるいはジメチルスルホキシド等の非反応性の極性溶媒の他、トルエンやベンゼン、ヘキサンや他の炭化水素油といった非反応性の低極性または非極性溶媒が挙げられるが、低結晶性の粉末セルロースおよび塩基触媒を良好に分散させる観点から、非反応性の極性溶媒が好ましい。
またこれら溶媒の使用量としては、低結晶性の粉末セルロースに対して1〜20重量倍用いるのが好ましい。
本発明における反応温度は、反応速度、及び生成物への着色を抑える観点から、30〜100℃が好ましく、特に40〜80℃の範囲で反応させることが好ましい。
本発明における生成物中のカルボキシアルキル基は、セルロース分子中のグルコース単位におけるいかなる位置の水酸基に結合していてもよい。
本発明において、用いるα,β−不飽和カルボン酸エステルの種類に応じて、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、ジカルボキシエチル基、ジカルボキシプロピル基、ジカルボキシブチル基等のジカルボキシアルキル基をセルロース分子中に導入することができる。中でも広範に使用されているカルボキシメチルセルロースと同等の性能のものが得られることから、カルボキシエチル基をセルロース分子中に導入することが好ましい。
本発明で得られるカルボキシアルキルセルロース誘導体におけるセルロースを構成するグルコース単位当たりの置換度(カルボキシアルキル基の平均付加モル数)は、反応時間や反応温度、α,β−不飽和カルボン酸エステル、塩基触媒及び有機溶媒の使用量等の反応条件を調整することにより、任意に調整することができる。例えば、該置換度が0.1〜2.5、好ましくは0.6〜2.0のカルボキシアルキルセルロース誘導体を効率的に製造することができる。
以下の実施例及び比較例において、セルロースの結晶化度、重合度及び平均粒径、カルボキシアルキルセルロース誘導体における置換度は以下の方法で算出した。
(1)結晶化度
セルロースの結晶化度の算出は、株式会社リガク製「Rigaku RINT 2500VC X-RAY diffractometer」を用いて以下の条件で測定した粉末X線回折スペクトルのピーク強度から前記計算式(1)に従って行った。
測定条件;X線源:Cu/Kα−radiation,管電圧:40kv,管電流:120mA,測定範囲:2θ=5〜45°,測定用サンプル:面積320mm2×厚さ1mmのペレットを圧縮し作製,X線のスキャンスピード:10°/min
(2)重合度
セルロースの重合度はISO−4312法に記載の銅アンモニア法により測定した。
(3)平均粒径
セルロースの平均粒径は、株式会社堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置「LA−920」を用いて測定した。尚、用いた屈折率は1.2である。
(4)置換度の算出
置換度は、セルロースを構成するグルコース単位当たりのカルボキシアルキル基の平均付加モル数を示す。その算出法としては、まずピリジン溶媒中でメトキシアセチルクロリドを用いて実施例及び比較例で得られた生成物中の未反応水酸基のメトキシアセチル化を行い、そのメトキシアセチル化物の1H−NMRスペクトルを測定し、3.2〜4.6ppm(重クロロホルム溶媒中、TMS基準)に観察されるメトキシアセチル基由来のメチルプロトンおよびメチレンプロトンシグナルと、導入されたカルボキシアルキル基由来のプロトンシグナルとの積分比から算出した。NMR測定にはVarian社製「Unity Inova300」を用いた。
製造例1(非晶化粉末セルロースの製造)
特許第4160109号公報に記載されている方法に準じて非晶化粉末セルロースの調製を行った。すなわち、まず市販の木材パルプシート(ボレガード社製パルプシート、結晶化度74%)をシュレッダー(株式会社明光商会製、「MSX2000−IVP440F」)にかけて1cm角のチップ状にした。次に、得られたチップ状パルプをスクリューの中央部にニーディングディスク部を備えた二軸押出機(株式会社スエヒロEPM製、「EA−20」)に2kg/hrで投入し、せん断速度660sec-1、スクリュー回転数300rpmの条件で、外部から冷却水を流しながら、1パス処理して粉末状にした。次いで得られた粉末セルロースを、バッチ式媒体攪拌型ボールミル(三井鉱山株式会社製「アトライタ」:容器容積800mL、6mmφ鋼球を1400g充填、攪拌翼の直径65mm)に前記粉末状のセルロース100gを投入した。容器ジャケットに冷却水を通しながら、攪拌回転数600rpmで3時間粉砕処理を行い、粉末セルロース(結晶化度0%、重合度600、平均粒径40μm)を得た。この粉末セルロースを更に32μm目開きの篩をかけた篩下品(投入量の90質量%)を、後述の反応に使用した。
実施例1
500mlナスフラスコ中に、前記製造例1で得られた非晶化粉末セルロース(結晶化度 0%、重合度 600)10g、カリウムtert-ブトキシド0.6g、トリエチレングリコールジメチルエーテル150mlを加えて室温で分散させた。次いで窒素雰囲気下50℃に昇温し、アクリル酸tert-ブチル 16gを一括で添加し、そのまま50℃で24時間攪拌した。反応終了後、酢酸により中和し、更に500mlのメタノールで洗浄した後、減圧下乾燥したところ、11gの反応生成物を得た。メトキシアセチル化後の1H−NMR分析からグルコース単位あたりの置換度は0.94であった。
実施例2
500mlナスフラスコ中に、前記製造例1で得られた非晶化粉末セルロース(結晶化度 0%、重合度 600)10g、カリウムtert-ブトキシド0.6g、ジメチルスルホキシド150mlを加えて室温で分散させた。次いで窒素雰囲気下50℃に昇温し、アクリル酸tert-ブチル16gを一括で添加し、そのまま50℃で24時間攪拌した。反応終了後、酢酸により中和し、未反応エステルを留去した後、減圧下乾燥したところ、18gの粗反応生成物を得た。メトキシアセチル化後の1H−NMR分析から求めた置換度は、グルコース単位あたり1.25であった。
比較例1
セルロースとして、結晶性の市販セルロース(日本製紙ケミカル株式会社製KC-フロックW400G、結晶化度 74%)10gを用いる以外は実施例1と同様にして反応を行った結果、9.6gの反応生成物が得られ、メトキシアセチル化後の1H−NMR分析から求めた置換度は、グルコース単位あたり0.51であった。

Claims (4)

  1. 原料セルロースを粉砕機で処理することにより得られる、低結晶性の粉末セルロースの結晶化度が50%以下である低結晶性の粉末セルロースを、低結晶性の粉末セルロースに対して1〜20質量%の塩基触媒存在下、下記一般式(1)
    Figure 0005426216
    (式中、R1及びR2は、それぞれ独立に水素原子、または−COOR5で表される置換基を示すが、両者とも水素原子となることはなく、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、R5は炭素数1〜17の炭化水素基、水素原子又はアルカリ金属原子を示すが、分子中、少なくとも1つのR5は炭化水素基であり、分子中に2つのR5がある場合、両者は同じであっても異なっていても良いが、一般式(1)で示される化合物の総炭素数は4〜20である。)
    で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルと反応させる、カルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法。
  2. 一般式(1)で表されるα,β−不飽和カルボン酸エステルがアクリル酸エステルである、請求項1に記載のカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法。
  3. 塩基触媒がアルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物である、請求項1又は2に記載のカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法。
  4. カルボキシアルキルセルロール誘導体の置換度が、0.6〜2.0である、請求項1〜3のいずれかに記載のカルボキシアルキルセルロース誘導体の製造方法。
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