JP5425696B2 - ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構 - Google Patents

Description

本発明は、車両などに用いられる、ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構に関する。

一般に、ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構においては、スタータモータとリングギアを常時噛み合い状態にして、スタータモータの回転力をワンウェイクラッチの外輪に連結したリングギアからワンウェイクラッチを介し、エンジンのクランクシャフト（ワンウェイクラッチの内輪と連結）に伝達し、エンジンを始動させている。エンジン始動後は、クランクシャフトがオーバーランすることで、エンジン回転と同期し、リングギアは停止状態となる。

ワンウェイクラッチは、エンジン始動後に、過度の高速でスタータモータが駆動されるのを防止する機能を備えている。

従来のワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構では、スタータモータからの駆動力をエンジンのクランクシャフトに伝達するワンウェイクラッチの外輪は、軸方向に延在するフランジ部を備えている。このフランジ部とワンウェイクラッチの内輪との間にオイルシールを介装する構成であった。

しかしながら、オイルシールを介装するスペースを確保するため、軸方向に延在するフランジ部を設けているため、エンジンスタータ機構の軸方向長を短縮することができず、省スペース化及び低コスト化において課題があった。

従って、本発明の目的は、ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構の軸方向長を短縮することで、省スペース化及び低コスト化を図ることができるエンジンスタータ機構を提供することである。

上記目的を達成するため、本願発明のワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構は、
ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構であって、
スタータモータと、
前記スタータモータからの駆動力を受けるためのリングギアと、
外輪と、前記外輪に対して内径方向に離間され、相対回転自在に同心状に配置された内輪と、前記外輪と前記内輪の間に配置されトルクを伝達するトルク伝達部とを有するワンウェイクラッチと、
前記ワンウェイクラッチを封止するオイルシールと、
を含み、前記リングギアは前記ワンウェイクラッチの前記外輪に連結され、前記オイルシールは、前記リングギアと前記外輪との間に挟持されていることを特徴としている。

本発明によれば、以下のような効果が得られる。
エンジンスタータ機構の軸方向長さを短縮化でき、コンパクトで、省スペース、コストパフォーマンスに優れたワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構を提供できる。

本発明の一実施例を示すワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構の軸方向部分断面図である。

以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。尚、以下説明する実施例は本発明を例示として説明するものであって、本発明を限定するものではないことは言うまでもない。

図１は、本発明の一実施例を示すワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構の軸方向部分断面図である。図１に示すように、ワンウェイクラッチ２０を用いたエンジンスタータ機構５０は、不図示の電源からの給電により駆動される電動モータであるスタータモータ１と、スタータモータ１からの駆動力を受けるためのリングギア６と、ワンウェイクラッチ２０と、ワンウェイクラッチ２０を封止するオイルシール１２とを含んでいる。

リングギア６は、スタータモータ１の回転軸２に固定されたギア３に常時噛合するギア部４とギア部４が固定されたプレート部５を備えている。リングギア６とエンジン（不図示）のクランクシャフト１３との間にはワンウェイクラッチ２０が配置されている。ワンウェイクラッチ２０は、外輪２１と外輪２１に対して内径方向に離間され、相対回転自在に同心状に配置された内輪２２と、外輪２１と内輪２２との間に配置されトルクを伝達するトルク伝達部とを有している。

外輪２１は、軸方向の一端に外径方向に延在するフランジ部３３を一体に備えている。外輪２１の内径側には内輪２２が配置されている。外輪２１と内輪２２との間には、内外輪に係合して、内外輪間でトルクを伝達するトルク伝達部材である複数のスプラグ２３、スプラグ２３を保持する外側保持器２４及び内側保持器２５、スプラグ２３に起き上がりモーメントを与えるリボンスプリング２６を含むトルク伝達部が設けられている。

内輪２２の内径側には内径フランジ部３５が設けられ、ボルト３６によってエンジンのクランクシャフト１３に固定されている。また、内輪２２の外径側には外径フランジ部２８が設けられ、この外径フランジ部２８は、軸受９の内輪となっている。内径フランジ部３５と外径フランジ部２８は、内輪２２と一体である。クランクシャフト１３には、フライホイール４０が固定されている。

ワンウェイクラッチ２０に並置される軸受９の外輪２７は、ワンウェイクラッチ２０の外輪２１の段部３４に嵌合している。軸受９は、ワンウェイクラッチ２０内に組み入れられている。従って、エンジンスタータ機構５０の軸方向の長さが短縮され、省スペース化が実現できる。

ワンウェイクラッチ２０の外輪２１のフランジ部３３には、リングギア６のプレート部５がリベット７で結合されている。このとき、軸受９に隣接して配置されるオイルシール１２の外径部８がプレート部５と外輪２１との間と、プレート部５と軸受９の外輪２７の軸方向端面３１との間に挟持される構成となっている。従って、オイルシール１２のためのスペースを最小のものにできるため、エンジンスタータ機構５０の軸方向の長さが従来に比べて更に短縮され、省スペース化が実現できる。
また、オイルシール１２を固定するための追加部材が不要となるため、部品点数が減少し、コストも削減できる。

ワンウェイクラッチ２０のオイルシール１２と軸方向で反対側には、潤滑油の通路を形成する部材３７が設けられ、潤滑油の供給される油路３８を形成している。潤滑油は不図示のオイルポンプによって、油路３８に供給され、油路３８からワンウェイクラッチ２０及び軸受９を潤滑している。

油路３８で供給される潤滑油は、ワンウェイクラッチ２０の内輪２２に設けられた貫通孔１０を通り、オイルシール１２と軸受９とで画成する封止された空間３９に入り、軸受９を潤滑する。一方、油路３８は、ワンウェイクラッチ２０を潤滑するため外径方向に延在しており、部材３７とワンウェイクラッチ２０の外輪２１との間に設けたオイルシール３２で封止されている。

ワンウェイクラッチ２０の内輪２２の貫通孔１０近傍には凹部１１が設けられ、この凹部１１にオイルシール１２のリップ部３０が収容されている。これにより、軸方向の省スペース化が実現できる。

軸受９の外輪２７は、ワンウェイクラッチ２０のクラッチ部と軸方向で対向している。このため、外輪２７が軸方向抜け止めの機能を果たし、ワンウェイクラッチ２０のクラッチ部が軸方向に脱落することが防止されている。

以上のように構成されたエンジンスタータ機構は、以下のように動作する。スタータモータ１とリングギア６のギア部４とを常時噛み合い状態にする。その状態で、スタータモータ１が不図示の駆動減により駆動されると、その回転力は、ギア３とギア部４との噛み合いを介して、ワンウェイクラッチ２０の外輪２１に伝達される。

外輪２１からの駆動力はクラッチ部を介して内輪２２に伝達され、内輪２２に固定されたクランクシャフト１３に伝達される。これにより、エンジンが始動される。エンジン始動後は、クランクシャフト１３がオーバーランすることで、エンジン回転と同期するため、ワンウェイクラッチ２０は空転するようになり、リングギア６は停止状態となる。従って、エンジン始動後に、過度の高速でスタータモータが駆動されることが防止される。

１ スタータモータ
６ リングギア
９ 軸受
１１ 凹部
１２ オイルシール
２０ ワンウェイクラッチ
２１ 外輪
２２ 内輪
５０ エンジンスタータ機構

Claims (5)

1. ワンウェイクラッチを用いたエンジンスタータ機構であって、
   スタータモータと、
   前記スタータモータからの駆動力を受けるためのリングギアと、
   外輪と、前記外輪に対して内径方向に離間され、相対回転自在に同心状に配置された内輪と、前記外輪と前記内輪の間に配置されトルクを伝達するトルク伝達部とを有するワンウェイクラッチと、
   前記ワンウェイクラッチを封止するオイルシールと、
   を含み、前記リングギアは前記ワンウェイクラッチの前記外輪に連結され、前記オイルシールは、前記リングギアと前記外輪との間に挟持されていることを特徴とするエンジンスタータ機構。
2. 前記ワンウェイクラッチの前記外輪と前記内輪との間に軸受が設けられ、前記軸受は、前記ワンウェイクラッチと共に前記オイルシールで封止されていることを特徴とする請求項１に記載のエンジンスタータ機構。
3. 前記軸受の内輪は前記ワンウェイクラッチの内輪であることを特徴とする請求項２に記載のエンジンスタータ機構。
4. 前記ワンウェイクラッチの前記内輪の軸方向端面には凹部が設けられ、前記凹部に前記オイルシールのリップ部が収容されていることを特徴とする請求項１乃至３のいずれか１項に記載のエンジンスタータ機構。
5. 前記軸受の外輪は、前記ワンウェイクラッチの前記クラッチ部と軸方向で対向していることを特徴とする請求項１乃至４のいずれか1項に記載のエンジンスタータ機構。

Images