JP5423800B2 - 電線及びその製造方法 - Google Patents
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Description
第二の絶縁層に用いられるフッ素樹脂としては、溶融加工性のフッ素樹脂が好ましく、FEP又はPFAがより好ましい。
第三の絶縁層に用いられるフッ素樹脂としては、PTFE及びFEPからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。PTFEとFEPは単独で使用してもよいし、併用してもよい。
上記PTFEは、テトラフルオロエチレン単独重合体であってもよいし、変性ポリテトラフルオロエチン〔変性PTFE〕であってもよい。上記「変性PTFE」は、得られる重合体に溶融加工性を付与しない程度の少量の共単量体をTFEと共重合してなるものを意味する。上記少量の共単量体としては特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン(3FH)、パーフルオロアルキルビニルエーテル(PAVE)、パーフルオロ(アルコキシビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン等が挙げられる。上記少量の共単量体は、1種又は2種以上を用いることができる。
上記PFAとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とPAVE単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とPAVE単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
上記FEPとしては、特に限定されないが、TFE単位70〜99モル%とHFP単位1〜30モル%からなる共重合体であることが好ましく、TFE単位80〜97モル%とHFP単位3〜20モル%からなる共重合体であることがより好ましい。TFE単位が70モル%未満では機械物性が低下する傾向があり、99モル%をこえると融点が高くなりすぎ成形性が低下する傾向がある。
本明細書において、上記SSGは、ASTM D 4895に準拠して測定したものである。上記MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、融点より70℃高い温度、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
フッ素樹脂オルガノゾルが、PTFEを除くフッ素樹脂からなるオルガノゾルである場合、分散粒子径が30〜200nmであることが好ましい。分散粒子径が大きすぎる場合や小さすぎる場合、クラック等の不具合を生じるおそれがある。40〜100nmであることがより好ましい。
フッ素樹脂オルガノゾルがPTFEからなるPTFEオルガノゾルの場合、分散粒子径は150〜350nmであることが好ましい。分散粒子径が大きすぎる場合や小さすぎる場合、クラック等の不具合を生じるおそれがある。200〜300nmであることがより好ましく、230〜260nmであることが更に好ましい。上記分散粒子径は、大塚電子(株)製FPAR−1000を用いて、動的光散乱法によって測定した値である。
容量法誘電率測定方法 1kHz(pF/m)
内側電極:芯線(導体)
外側電極:水
測定機器:NF回路設計ブロック社製LCZメーター
JIS C 3003.5に準拠して測定する。
放電開始電圧は、JIS C3003 11.1に準拠して作成したツイスト片について、総研電気(株)製DAC−PD−3を用いて、周波数100kHz、電荷量100pCにて測定を行った。
JIS C 3003 10.1に準じて往復式磨耗試験器を用いて測定する。
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、メチルイソブチルケトン(MIBK)とポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕とからなるオルガノゾル(PTFE濃度70%)及びMIBKとテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体〔FEP〕とからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)を使用した。上記オルガノゾルは、1次粒子の分散体である。
乳化重合FEPの水性分散体から有機溶媒への転相により有機溶媒分散体とした実施例1のFEPオルガノゾルは、分散粒子径が40〜100nmであり、平均粒子径は50nmである。PTFEオルガノゾルは、分散粒子径が230〜260nmであり、平均粒子径は255nmである。
FEPの水性分散液を、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。実施例1と同じようにして第1層を形成した電線を、ゴム栓からビーカー内に通し、さらに、該電線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された上記連続式焼成炉中に通すことにより、第2層を形成し、その後、3番目の炉は305℃とした以外は実施例1と同様にして、第3層を形成して電線を得た。
実施例1の混合液を3回塗布焼付けして、電線を得た。
30%PAI溶液のみを導体に塗布して第1層を形成したこと以外は実施例1と同じ方法で電線を得た。
実施例1〜3及び比較例1で得られた電線の評価結果を表1に示す。
下記方法にて、実施例1〜3及び比較例1で得られた被覆電線の耐熱性を評価した。
実施例1〜3又は比較例1で得られた被覆電線を200℃の電気炉で200時間加熱し、炉から取り出して常温にもどした。その後、JIS C 3003 11.1に準拠した2個より法にて試験片を作成し、部分放電開始電圧を測定した。部分放電開始電圧は、実施例1、実施例2、及び実施例3ともに、熱処理前後比で80%以上であった。比較例1では、熱処理前後比で40%以下であった。この結果より、実施例1〜3で得られた被覆電線が、従来の被覆電線よりも高い耐熱性を有することがわかる。
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、MIBKとFEPとからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)を使用した。上記FEP濃度70%のFEPオルガノゾルは、実施例1のFEPオルガノゾルと同じである。
この実施例では、フッ素樹脂オルガノゾルとして、MIBKとFEPとからなるオルガノゾル(FEP濃度70%)、熱硬化性樹脂溶液として、ポリエステルイミド〔PEI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PEI溶液を使用した。上記FEP濃度70%のFEPオルガノゾルは、実施例1のFEPオルガノゾルと同じである。
実施例4と同じ方法で第1層、第2層及び第3層を形成した。第1層及び第3層の厚みは、それぞれ5μmであった。
実施例5と同じ方法で第1層、第2層及び第3層を形成した。第1層及び第3層の厚みは、それぞれ5μmであった。
実施例6と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。
実施例7と同じ方法により第1層及び第2層を形成した。
FEPの水性分散液を、底面に穴の開いたポリエチレン製ビーカー及び前記ビーカー底面に固定された穴の開いたゴム栓からなるゴム栓付きビーカーに入れた。実施例6と同じ方法で第1層を形成した電線を、ゴム栓からビーカー内に通し、さらに、該電線の上端をビーカー上面からビーカーの上部に設置された連続式焼成炉中に通す操作を7回行うことにより、第2層を形成した。その後、実施例6と同じ方法で第3層を形成して電線を得た。第2層の膜厚は35μmであった。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=10:90となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=30:70となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=70:30となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=90:10となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPEI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。この攪拌後に得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法により第1層を形成した。その後、第1層の上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
実施例7と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。その後、第2層のうえに、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)のみを用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第3層を形成した。第3層の膜厚は、5μmであった。
実施例7と同じ方法で第1層及び第2層を形成した。樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=70:30となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。第2層の上に得られた混合液を用いたこと以外は実施例7と同じ方法で第3層を形成した。
実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層上に、FEPを、ダイ温度380℃、成形速度15m/分で溶融押し出し成形し、第2層を形成した。第2層の膜厚は55μmであった。第2層上に、実施例7と同じ方法で第3層を形成した。
実施例4と同じ方法で第1層を形成した。樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=81:19となるように、実施例4で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。このようにして得られた混合液を用いたこと以外は、第1層と同じ方法で第2層を形成した。第2層の膜厚は50μmであった。第2層上に実施例4と同じ方法で第3層を形成した。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PEI=10:90となるように、実施例7で用いたFEPのオルガノゾル及びPAI溶液をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。このようにして得られた混合液を用いたこと以外は、実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層上に、実施例7と同じ方法で第2層及び第3層を形成した。
30%PEI溶液のみを導体に塗布したこと以外は実施例7と同じ方法で第1層を形成した。第1層の膜厚は8μmであった。第1層上に、30%PAI溶液のみを塗布したこと以外は第1層と同じ方法で第2層を形成した。第2層の膜厚は30μmであった。
樹脂成分の質量比(固形分)で、FEP:PAI=50:50となるように、FEP粉体、及び、ポリアミドイミド〔PAI〕をN−メチルピロリドン溶媒に溶解させて得られた30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)をそれぞれ回転式攪拌装置に投入し、1時間攪拌して混合した。得られた混合液を用いたこと以外は、実施例6と同じ方法で第1層を形成した。第1層の膜厚は5μmであった。第1層上に、実施例6と同じ方法で第2層を形成した。第2層上に、第1層と同じ方法で第3層を形成した。
比較例3と同様にして第1層を形成した。第1層の膜厚は75μmであった。
実施例4〜19及び比較例2〜4の結果を表2〜4に示す。
FEP水性分散体を凝析により2次粒子化し、その後乾燥させた粉末をMIBKに分散させ、この分散体を上記30%PAI溶液(日立化成社製HI−680)に混合して、混合液を作成した。この混合液を、実施例1の混合液の代わりに使用したこと以外は、実施例1と同じ方法で被覆電線を作成した。上記FEP水性分散体を凝析により2次粒子化し、乾燥させた粉末は、2次粒子径が0.20〜0.50mmであり、実施例1で用いたFEPオルガノゾルの2000倍程度である。そのため塗料化すると、粒径の大きいFEPの2次粒子があるために、ディッピングした場合に膜厚が不均一になった。また、粒子内に空気層が存在するため、部分放電開始電圧も700Vと低かった。
Claims (8)
- 導体と、前記導体の外周に形成される第一の絶縁層とを有し、
前記第一の絶縁層は、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、
熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が90:10〜10:90であり、
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であり、
前記熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記フッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種であり、
前記フッ素樹脂オルガノゾルは、分散粒子径が30〜500nmである
ことを特徴とする電線。 - 第一の絶縁層の外周に形成され、全体の80質量%以上がフッ素樹脂からなる第二の絶縁層を有する
請求項1記載の電線。 - 第二の絶縁層の外周に形成され、熱硬化性樹脂及びフッ素樹脂からなり、熱硬化性樹脂とフッ素樹脂との質量比が99.9:0.1〜30:70である第三の絶縁層を有し、
第三の絶縁層は、熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けることによって形成された層であり、
第三の絶縁層に用いられる熱硬化性樹脂は、ポリビニルホルマール、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリアリーレンサルファイド、ポリエーテルイミド及びポリエステルイミドからなる群より選択される少なくとも1種である
請求項2記載の電線。 - 第二の絶縁層に用いられるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項2又は3記載の電線。
- 第三の絶縁層に用いられるフッ素樹脂は、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド及びポリクロロトリフルオロエチレンからなる群より選択される少なくとも1種である請求項3又は4記載の電線。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成する
ことを特徴とする製造方法。 - 請求項2、3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、
第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80質量%以上含む第二の絶縁層を形成する
ことを特徴とする製造方法。 - 請求項3、4又は5記載の電線の製造方法であって、
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、
得られた混合液を導体上に塗布し、焼き付けて第一の絶縁層を形成し、
第一の絶縁層の外周に、フッ素樹脂を80質量%以上含む第二の絶縁層を形成し、
熱硬化性樹脂溶液とフッ素樹脂オルガノゾルとを混合し、得られた混合液を第二の絶縁層上に塗布し、焼き付けて、第三の絶縁層を形成する
ことを特徴とする製造方法。
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JPN6013016838; プラスチックポケットブック 全面改訂版, 2003, p.12-13 * |
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