JP5419773B2 - 顔画像合成装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、顔画像に写っている顔の領域全体が、照合処理に適しているとは限らない。例えば、対象者がカメラに対して顔の正面を向けた状態で撮影された顔画像において、目及び鼻の付近は照合処理に用いるのに適している。しかし、耳から顎にかけての部分は斜めから撮影されているので、画像上での肌のテクスチャが変形しており、その部分は照合処理に用いるには適さない。また、対象者がカメラに対して顔を45度右に回転した方向に向けている場合には、左目から左頬及び左耳にかけての部分はカメラに対して正面を向いているので照合処理に用いるのに適しているが、顔の右半分は斜め方向から撮影されているので照合処理に用いるには適さない。
また、顔画像を合成する際、斜め方向を向いた顔を用いざるを得ないことがある。このような場合、顔と背景の境界付近の肌のテクスチャだけでなく、顔の広い領域で肌のテクスチャが変形し易い。例えば、天井に設置した監視カメラで歩行者を撮影する場合、歩行者がカメラに正対した方向へ顔を向けることは稀であり、得られる顔画像では歩行者の顔は監視カメラに対して斜め方向を向いていることが多くなる。
そのため、このようなテクスチャが変形する領域を含む顔画像を用いても、照合処理に適した顔画像を合成可能な技術が求められている。
なお、撮像部2が有するカメラは、入力顔画像上の肌色部分を抽出することが容易となるように、可視光域に感度を有し、カラーの多階調画像を作成するものとすることが好ましい。しかし、撮像部2が有するカメラは、近赤外域に感度を有し、グレー画像を作成するカメラであってもよい。また撮像部2は、入力顔画像上に写っている顔の目、鼻、口などの顔特徴が区別できる程度の画素数を有することが好ましい。
撮像部2は、入力顔画像を作成する度に、その入力顔画像をインターフェース部3へ出力する。
記憶部4は、半導体メモリ、磁気記録媒体及びそのアクセス装置及び光記録媒体及びそのアクセス装置のうちの少なくとも一つを有する。そして記憶部4は、顔画像合成装置1を制御するためのコンピュータプログラム、各種パラメータ及びデータなどを記憶する。また記憶部4は、3次元顔形状データ及び3次元顔形状データに対応する3D顔特徴点の3次元位置情報を記憶する。3次元顔形状データは複数存在してもよく、また一つであってもよい。3次元顔形状データは、人物の顔の3次元形状を表すフレームモデルであって、ワイヤーフレームモデルあるいはサーフェイスモデル等が用いられる。なお3次元顔形状データは、例えば、複数の人物の顔形状からそれぞれ作成されたり、多数の人物の顔形状を模した顔形状モデルを平均化して作成される。さらに、3次元顔形状データとして、他の方法によって作成された3次元顔形状データの一部を変形させたもの、例えば、顔の中心から上側部分の長さと下側部分の長さの比を変化させたものを用いてもよい。
さらに記憶部4は、入力顔画像、展開顔画像、重み参照テーブルの形で合成用重み係数、及び顔向きと顔画像の合成に使用しない領域の幅との関係を表す幅参照テーブルなどを記憶する。なお、展開顔画像、合成用重み係数及び幅参照テーブルの詳細については、画像処理部5の関連する構成要素とともに説明する。
なお、画像処理部5が有するこれらの各部は、独立した集積回路、ファームウェア、マイクロプロセッサなどで構成されてもよい。
以下、画像処理部5の各部について詳細に説明する。
本実施形態において、2D顔特徴点抽出部51は、記憶部4に記憶されている各3D顔特徴点(目領域中心、鼻尖点、口端などの15箇所)に対応する顔特徴点を抽出する。2D顔特徴点抽出部51は、入力顔画像から顔特徴点を抽出するための公知の様々な手法を用いることができる。例えば、2D顔特徴点抽出部51は、入力顔画像に対してエッジ抽出処理を行って周辺画素との画素値の差が大きいエッジ画素を抽出する。そして2D顔特徴点抽出部51は、エッジ画素の位置、パターンなどに基づいて求めた特徴量が、目、鼻、口などの部位について予め定められた条件を満たすか否かを調べて各部位の位置を特定することにより、各顔特徴点を抽出することができる。また2D顔特徴点抽出部51は、エッジ抽出処理を行ってエッジ画素を抽出する代わりに、ガボール変換処理あるいはウェーブレット変換処理を行って、異なる複数の空間周波数帯域で局所的に変化の大きい画素を抽出してもよい。さらに2D顔特徴点抽出部51は、顔の各部位に相当するテンプレートと入力顔画像とのテンプレートマッチングを行って顔の各部位の位置を特定することにより、顔特徴点を抽出してもよい。さらにまた、2D顔特徴点抽出部51は、キーボード、マウス及びディスプレイなどで構成されるユーザインターフェース(図示せず)を介してユーザに各顔特徴点の位置を指定させることにより、各顔特徴点を取得してもよい。
入力顔画像マッピング部53は、画像処理部5が登録対象者についての入力顔画像を取得する度に、その入力顔画像に対する3次元顔モデルを作成する。ただし、記憶部4に複数の3次元顔形状データが記憶されている場合は、登録対象者の複数の入力顔画像に対して最適な3次元顔形状データが選択された後、入力顔画像マッピング部53は、各入力顔画像について3次元顔モデルを作成する。そして入力顔画像マッピング部53は、作成した3次元顔モデルを登録対象者の識別コードと関連付けて記憶部4に記憶するとともに、展開顔画像生成部54へ出力する。
図2は、展開顔画像を生成するために3次元顔モデルに対して設定される座標系を示す。
図2おいて、X軸は、3次元顔モデル200に対して、右目から左目へ向かうように(3次元顔モデルの正面に向かって左から右に)、水平方向の軸として定義される。Y軸は、X軸及びZ軸と直交し、喉付近から頭頂部へ向かうように、すなわち下から上へ向かう軸として定義される。Z軸は、X軸及びY軸と直交し、鼻尖点から後頭部へ向かう方向の軸として定義される。X軸、Y軸及びZ軸の交点である原点Oは、3次元顔モデル200の重心に設定される。
展開顔画像生成部54は、Y軸を回転中心として3次元顔モデルを回転させ、それぞれの回転角度における、テクスチャスキャンライン210上の画素値を読み取って、横軸を回転角、縦軸をY座標とする2次元上にマッピングすることにより、展開顔画像を作成する。なお、入力顔画像がカラー画像である場合、画素値は、例えばRGB各色の輝度値となる。また、入力顔画像がグレー画像である場合、画素値は輝度値となる。例えば、鼻尖点がYZ平面220上に位置するときの回転角を0°とし、3次元顔モデル200を矢印230に示されるように時計回りに回転させたときの回転角の値を正、3次元顔モデル200を矢印240に示されるように反時計回りに回転させたときの回転角の値を負とする。
なお、展開顔画像生成部54は、X軸を回転軸としてもよい。この場合には、例えば、Y=0のXZ平面と、3次元顔モデルの表面との交点をテクスチャスキャンラインとする。
図3(a)に示された3次元顔モデル300は、やや右側(向かって左側)を向いている入力顔画像から作成された3次元顔モデルである。このとき、上記のように、3次元顔モデル300をY軸を回転中心として1°ずつ回転させつつ、3次元顔モデル300の表面とYZ平面との交点の画素値情報を読み取ることにより、図3(b)に示されるような展開顔画像310が作成される。展開顔画像310の輪郭315は、3次元顔モデル300にマッピングされた入力顔画像の肌部分の輪郭に対応する。
なお、輪郭315のうち、テクスチャ欠落領域330と重なる部分は、本来輪郭として写ってはいないが、ここでは、理解を容易にするために、顔の左側の輪郭を、顔の中心を通る線で左右反転した線を、欠落している部分の輪郭として図示した。またテクスチャ欠落領域内の画素の値は、例えば、テクスチャ情報が欠落していることを表す特定の値(例えば、通常取り得る画素値の範囲外の値である-1)に設定される。
このように、展開顔画像上でテクスチャ情報が欠落していると、照合時において、特にその欠落している部分の方から撮影した顔画像が照合用の画像として得られたときに、その展開顔画像に対応する3次元顔モデルを用いた照合処理の精度が低下する。そこで顔画像合成装置1は、登録対象者について作成された複数の展開顔画像を用いて、テクスチャ情報の欠落のない合成展開顔画像を作成する。
人間の顔は曲面形状を有している。そのため、入力顔画像に写っている登録対象者の顔と背景との境界近傍の顔の部分では、撮像部2から見込む角度が顔表面に対する法線に対して大きな角度となる。そのため、入力顔画像上でのその部分の肌のテクスチャ情報は、本来その部分を正面から見たときの肌のテクスチャ情報とは異なるものになってしまう可能性が高い。その結果、このような背景との境界近傍の顔の部分のテクスチャ情報の信頼性は低い。したがって、顔画像合成装置1は、合成展開顔画像を作成する際、基準となる展開顔画像においてテクスチャ欠落境界近傍の顔の部分を使用せず、そのテクスチャ欠落境界近傍に相当する顔の部分が撮像部2に対してより正面に近い方向を向いている、他の展開顔画像上の対応する部分を使用する方が好ましい。
そこで非合成領域設定部55は、各展開顔画像について、テクスチャ欠落境界から所定の範囲内の領域を非合成領域とする。そして非合成領域設定部55は、展開顔画像上で顔のテクスチャ情報が写っている領域から非合成領域を除いた領域、すなわち、合成展開顔画像の作成に使用される領域を合成領域とする。また、合成領域と非合成領域の境界を、以下では合成境界と呼ぶ。
図4(b)に示したグラフ410では、顔の角度の絶対値が大きくなるにつれて、非合成領域の幅は線形的に増加する。また図4(c)に示したグラフ420では、顔の角度の絶対値が小さい場合には非合成領域の幅は急激に増加し、一方、顔の角度の絶対値が大きくなるほど非合成領域の幅は緩やかに増加する。あるいは図4(d)に示したグラフ430では、顔の角度の絶対値が小さい場合には非合成領域の幅は緩やかに増加し、一方、顔の角度の絶対値が大きくなるほど非合成領域の幅は急激に増加する。
なお、Th1は、例えば0に設定される。またTh2は、Th1よりも大きく、例えば、平均的な顔の両目中心間の距離の1/2に相当する値に設定される。
そして非合成領域設定部55は、その幅参照テーブルまたは関係式を参照することにより、水平方向における顔の向きの回転角に対応する非合成領域の幅を決定する。なお、この回転角は、位置合わせ情報算出部52により算出された位置合わせ情報に含まれる、3次元顔形状データの回転角とすることができる。
また、非合成領域設定部55は、顔の回転角によらず、テクスチャ欠落境界から一定の幅の領域を非合成領域として設定してもよい。この場合、非合成領域の幅は、例えば、平均的な顔の両目中心間の距離の1/2に相当する値に設定される。
合成展開顔画像に写った登録対象者の顔が不自然にならないようにするためには、合成展開顔画像の作成に用いられる展開顔画像の数はできるだけ少なく、かつ、合成する展開顔画像に写っている顔の合成境界付近の輝度差ができるだけ小さいことが好ましい。
例えば、登録対象者が所定の領域、例えば、建物内の廊下を歩行している様子を撮像部2で撮影することにより入力顔画像が得られる場合、登録対象者の位置、顔の向き、または照明の設置位置などにより顔に対する照明条件は変化する。その結果、複数の入力顔画像のそれぞれに写っている登録対象者の顔の輝度は、入力顔画像ごとに異なる可能性がある。特に、顔画像合成装置1が複数の撮像部2を有し、それぞれの撮像部2によって撮影された画像を一人の登録対象者の入力顔画像として用いる場合に、そのような入力顔画像ごとの顔の輝度の違いが生じる傾向が強くなる。そして入力顔画像ごとの顔の輝度の違いがあまりに大きいと、そのような入力顔画像から作成された展開顔画像を用いた合成展開顔画像では、異なる展開顔画像がマッピングされた二つの領域の境界がエッジ状になってしまう。さらに、合成に利用される展開顔画像の枚数が増えると、それだけ異なる展開顔画像からマッピングされた領域の境界の数も増えるので、顔全体の輝度を合わせることが困難になる。
そのため、本実施形態では、合成元画像選定部56は、合成展開顔画像の作成に用いられる展開顔画像の数はできるだけ少なく、かつ、合成する展開顔画像に写っている顔の合成境界近傍での輝度差ができるだけ小さくなるように、展開顔画像を選択する。
逆に、合成展開顔画像上に、顔に相当する画素に囲まれた欠落部分が存在する場合、または上記の3次元顔モデルの回転角が所定の角度範囲内に相当する合成展開顔画像上の領域に欠落部分が存在する場合、合成元画像選定部56はテクスチャ情報の欠落部分が存在すると判定する。
なお、合成元画像選定部56は、平均値Avgi,i+1の総和の代わりに、i番目の展開顔画像の合成境界上の画素の値と、(i+1)番目の展開顔画像の対応する画素の値との差の中央値の総和を輝度相違度Pとしてもよい。
または、合成元画像選定部56は、平均値Avgi,i+1を合成境界上のみならず、合成境界近傍の幅を持った領域から求めてもよい。例えば、後述する合成重み算出部57が、パラメータWをWmaxに設定したときに重み係数B(dist)が0.5以下となる範囲を求め、合成元画像選定部56は、その範囲に含まれる画素の値から輝度相違度Pを算出してもよい。
選択された各順列に対応する展開顔画像の組み合わせごとではなく、順列ごとに輝度相違度Pを算出するのは、展開顔画像を合成する順序によって合成境界の位置が異なるため、輝度相違度Pも順列ごとに異なる値を取り得るためである。
あるいは、合成元画像選定部56は、選択された複数の順列の中から、一つずつ輝度相違度Pを算出し、その輝度相違度Pが最初に所定の閾値以下となったときの順列に示された展開顔画像を、合成展開顔画像の作成に利用するものとして選択してもよい。なお、所定の閾値は、例えば、15に設定される。
そこで合成元画像選定部56は、展開顔画像に対応する入力顔画像に写っている顔の大きさが所定倍率以上あるいは所定縮小率以下離れている展開顔画像の組み合わせを、合成展開顔画像の作成に利用しないようにしてもよい。この場合、所定倍率は、例えば、2に設定される。また所定縮小率は、例えば0.5に設定される。なお、合成元画像選定部56は、二つの展開顔画像に写っている顔の倍率を、例えば、入力顔画像を3次元顔形状データにマッピングする際の拡大/縮小率の比として求めることができる。
合成元画像選定部56は、合成展開顔画像の作成に利用されることを示すフラグ及び順列に示された合成順序を選択された展開顔画像のそれぞれと関連付けて記憶部4に記憶する。
なお、以下では、先にマッピングされた展開顔画像を基準展開顔画像と呼び、後からマッピングされる展開顔画像を補完用展開顔画像と呼ぶ。
図5(a)において、基準展開顔画像500において、顔の右側部分及び鼻の右側に相当する領域501は、テクスチャ欠落領域と非合成領域とを組み合わせた領域となっている。そのため、この領域501には、補完用展開顔画像の合成領域のテクスチャ情報がマッピングされる。また、基準展開顔画像500における合成領域503についても、合成境界510から所定距離内の画素については、合成処理において、基準展開顔画像の画素の値と補完用展開顔画像の対応する画素の値とが加重平均される。
図5(b)に示されるように、画素520が合成境界上に位置するとき(すなわち、dist=0)、重み係数B(dist)は0となり、合成境界から画素520までの距離が大きくなるほど、重み係数B(dist)は1に近づく。
すなわち、合成処理において、合成境界の近くでは基準展開顔画像の情報は重視されず、補完用展開顔画像の情報が重視される。このように重み係数を設定する理由は、合成境界近傍では、基準展開顔画像に写っている登録対象者の顔の部分よりも補完用展開顔画像に写っている登録対象者の顔の部分の方が撮像部2に対して正面方向を向いており、従って、補完用展開顔画像の方がテクスチャ情報の信頼性が高いことによる。
一方、合成境界から離れるにつれ、逆に基準展開顔画像に写っている登録対象者の顔の部分の方が、補完用展開顔画像に写っている、対応する登録対象者の顔の部分よりも撮像部2に対して正面方向を向いており、テクスチャ情報の方が信頼性が高くなる。そのため、重み係数B(dist)は、合成境界からの距離が離れるほど大きな値となる。
なお、本実施形態では、画像処理部5は、登録対象者の全ての入力顔画像を、一つの3次元顔形状データにマッピングして3次元顔モデル及び展開顔画像を生成している。そのため全ての展開顔画像は既に位置合わせされている。そこで顔画像合成部58は、合成展開顔画像の着目する画素の値を、基準展開顔画像と補完用展開顔画像において着目する画素と同じ位置にある画素を次式に従って加重平均することにより算出できる。
同様に、顔画像合成部58は、3枚以上の展開顔画像を合成する場合、すでに複数の展開顔画像がマッピングされた展開顔画像をあらためて基準展開顔画像とし、次にマッピングする展開顔画像を補完用展開顔画像として、テクスチャ欠落領域がなくなるまで、すなわち、選択された全ての展開顔画像がマッピングされるまで、上記の処理を繰り返す。
顔画像合成部58は、作成した合成展開顔画像を登録対象者の識別コードと関連付けて記憶部4に記憶するとともに、その合成展開顔画像を展開顔画像マッピング部59へ渡す。
また、展開顔画像マッピング部59は、合成展開顔画像の作成に利用された展開顔画像に関連付けて記憶されている展開情報を参照することにより、合成展開顔画像の各画素が3次元顔形状データ上で対応する位置を特定し、その特定された位置へマッピングする。
画像処理部5は、展開顔画像マッピング部59により作成された合成3次元顔モデルを登録対象者の識別コードと関連付けて記憶部4に記憶する。あるいは、画像処理部5は、その合成3次元顔モデルを登録対象者の識別コードとともに、図示しない通信ネットワークを介して、3次元顔モデルを用いて認証処理を行う顔認証装置など他の装置へ出力してもよい。
先ず、画像処理部5は、撮像部2からインターフェース部3を介して、登録対象者の顔が写っている入力顔画像を取得する(ステップS101)。そして画像処理部5は、取得した入力顔画像を登録対象者の識別コードに関連付けて記憶部4に記憶するとともに、画像処理部5の2D顔特徴点抽出部51へ渡す。
位置合わせ情報算出部52は、入力顔画像について2D顔特徴点抽出部51により抽出された各顔特徴点と、3次元顔形状データに関連する3D顔特徴点とを用いて、入力顔画像と記憶部4に記憶されている各3次元顔形状データの位置合わせを行う(ステップS103)。そして位置合わせ情報算出部52は、その位置合わせの結果として得られる、各3次元顔形状データに対する位置ずれ量の最小値及びその最小値に対応する3次元顔形状データの回転、拡大/縮小などの量を含む位置合わせ情報を算出する。
一方、取得された入力顔画像の枚数が所定枚数に達していれば、位置合わせ情報算出部52は、記憶部4に記憶されている各3次元顔形状データのうち、最適な3次元顔形状データを選択する(ステップS105)。例えば、位置合わせ情報算出部52は、取得された登録対象者の入力顔画像のそれぞれについて求められた位置ずれ量の最小値の総和が最も小さくなる3次元顔形状データを、最適な3次元顔形状データとする。
位置合わせ情報算出部52は、選択された3次元顔形状データとともに、その3次元顔形状データに対する各入力顔画像の位置合わせ情報を、画像処理部5の入力顔画像マッピング部53、非合成領域設定部55及び合成元画像選定部56へ出力する。
入力顔画像マッピング部53は、着目顔画像と選択された3次元顔形状データとを、着目顔画像について求められた位置合わせ情報を参照して位置合わせした後、着目顔画像の各画素の値を位置合わせされた3次元顔形状データ上にマッピングすることにより、着目顔画像に対応する3次元顔モデルを作成する(ステップS107)。入力顔画像マッピング部53は、作成した3次元顔モデルを画像処理部5の展開顔画像生成部54へ渡す。
展開顔画像生成部54は、3次元顔モデルから展開顔画像を作成する(ステップS108)。そして展開顔画像生成部54は、その展開顔画像を、対応する3次元顔モデル及び入力顔画像に関連付けて記憶部4に記憶する。
画像処理部5は、全ての入力顔画像について3次元顔モデル及び展開顔画像が作成されたか否か判定する(ステップS109)。何れかの入力顔画像について3次元顔モデル及び展開顔画像が作成されていない場合、画像処理部5は、ステップS106〜S109の処理を繰り返す。
ステップS114の後、あるいはステップS113にてテクスチャ欠落領域のない合成展開顔画像が作成できないと判定された場合、合成元画像選定部56は、未着目の順列が存在するか否か判定する(ステップS115)。未着目の順列が存在する場合、合成元画像選定部56は、ステップS112〜S115の処理を繰り返す。
合成元画像選定部56は、合成展開顔画像の作成に利用されることを示すフラグ及び順列に示された合成順序を選択された展開顔画像のそれぞれと関連付けて記憶部4に記憶する。
画像処理部5は、選択された展開顔画像のうち、マッピング用展開顔画像にマッピングされていない展開顔画像が存在するか否か判定する(ステップS121)。マッピング用展開顔画像にマッピングされていない展開顔画像が存在すれば、画像処理部5は、ステップS118〜S121の処理を繰り返す。この場合、ステップS118では、重み係数は、合成展開顔画像に基づいて再算出される。
一方、ステップS121にて、マッピング用展開顔画像にマッピングされていない展開顔画像が存在しなければ、合成展開顔画像が完成されている。そこで画像処理部5は、その合成展開顔画像を、登録対象者の識別コードと関連付けて記憶部4に記憶する。
また画像処理部5の展開顔画像マッピング部59は、合成展開顔画像を、基準展開顔画像の作成に利用された3次元顔形状データにマッピングすることにより、合成3次元顔モデルを作成する(ステップS122)。そして展開顔画像マッピング部59は、作成した合成3次元顔モデルを記憶部4に記憶し、あるいは、通信ネットワークを介して他の機器へ出力する。
その後、画像処理部5は、顔画像合成処理を終了する。
なお、記憶部4が3次元顔形状データを一つしか記憶していなければ、ステップS105の処理は省略されてもよい。
そこで、合成元画像選定部は、輝度相違度が最小となる順列に示された展開顔画像の組み合わせについて、合成領域の重複領域の水平方向の幅を求め、その幅が所定の幅閾値よりも狭い場合、少なくとも一方の展開顔画像の合成領域の水平方向の幅を広げてもよい。例えば、合成元画像選定部は、非合成領域設定部が非合成領域の設定に利用するパラメータTh1、Th2の少なくとも一方をその初期設定値よりも小さくして(例えば、初期設定値の1/2にして)、非合成領域の幅を狭くすることにより、展開顔画像の合成領域の水平方向の幅を広げる。
なお、幅閾値は、例えば、補完用展開顔画像に適用される重み係数が0.1以下となる合成境界からの距離に設定される。
なお、合成元画像選定部は、例えば、合成領域の重複領域の水平方向の幅が、補完用展開顔画像に適用される重み係数が0.05以下となる合成境界からの距離よりも大きい場合、合成領域の重複領域が過度に広いと判定できる。
そこで、非合成領域設定部は、位置合わせ情報算出部により算出された、入力顔画像がマッピングされた3次元顔形状データに関する位置ずれ量が大きいほど、非合成領域の水平方向の幅を大きくしてもよい。
あるいは、非合成領域設定部は、目、鼻、口といった部位ごとの特徴点の位置ずれ量に応じて、その部位近傍の非合成領域の水平方向の幅を設定してもよい。例えば、非合成領域設定部は、目中心と鼻尖点、及び鼻尖点と口中心のそれぞれの中点で展開顔画像を3分割する。そして非合成領域設定部は、一番上の分割領域の非合成領域の幅を、目中心についての位置ずれ量が大きくなるほど大きくなるように設定する。同様に、非合成領域設定部は、中央の分割領域の非合成領域の幅を、鼻尖点についての位置ずれ量が大きくなるほど大きくなるように設定する。また非合成領域設定部は、一番下の分割領域の非合成領域の幅を、口中心についての位置ずれ量が大きくなるほど大きくなるように設定する。
なお、分割領域同士の境界で、非合成領域の幅が大きく変化する場合は、その境界近傍で非合成領域の幅が滑らかに変化するように適当な曲線を当てはめてその境界近傍の非合成領域の幅を修正するのが好適である。
このような場合、合成展開顔画像では、合成境界を挟んで画素値が大きく異なってしまうおそれがある。
そこで、合成重み算出部は、合成境界近傍の所定範囲での基準展開顔画像の画素の平均値と、補完用展開顔画像の画素の平均値との差の絶対値Δdelが大きいほど、補完用展開顔画像の画素値が合成展開顔画像に反映されるように、(2)式のパラメータWを調節してもよい。なお、Δdelを求める所定の範囲は、例えば、合成境界に隣接する画素、あるいは、顔画像合成部の処理によって基準展開顔画像と補完用展開顔画像の両方の画素値が反映される範囲、例えば、パラメータWをWmaxに設定したときに重み係数B(dist)が0.5以下となる範囲とすることができる。
さらに、合成重み算出部は、基準展開顔画像に対する重み係数B(dist)を、合成境界からの距離distに応じて単調増加する他の関数、例えば、シグモイド関数または線形関数によって求めてもよい。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
2 撮像部
3 インターフェース部
4 記憶部
5 画像処理部
51 2D顔特徴点抽出部
52 位置合わせ情報算出部
53 入力顔画像マッピング部
54 展開顔画像生成部
55 非合成領域設定部
56 合成元画像選定部
57 合成重み算出部
58 顔画像合成部
59 展開顔画像マッピング部
Claims (4)
- 複数の顔画像を合成して合成顔画像を生成する顔画像合成装置であって、
同一対象者を撮影した複数の顔画像と人物の顔の形状を表す3次元顔形状データとを記憶する記憶部と、
前記複数の顔画像のそれぞれを、前記3次元顔形状データと位置合わせして、当該3次元顔形状データにマッピングすることにより、前記複数の顔画像のそれぞれに対応する3次元顔モデルを作成するマッピング部と、
複数の前記3次元顔モデルのそれぞれを2次元に展開した展開顔画像を作成する展開顔画像生成部と、
前記展開顔画像において顔のテクスチャ情報が欠けていない第1の領域内に、当該第1の領域と顔のテクスチャ情報が欠けた第2の領域との境界を一端とし、かつ所定の幅を持つ非合成領域と、前記第1の領域から該非合成領域を除いた合成領域とを設定する非合成領域設定部と、
2以上の所定数の前記展開顔画像を選択する顔画像選定部と、
前記選択された展開顔画像のうちの第1の展開顔画像に設定された前記第2の領域及び前記非合成領域に、前記選択された展開顔画像のうちの第2の展開顔画像に設定された前記合成領域の対応する画素の値をマッピングすることにより、前記合成顔画像を作成する顔画像合成部と、
を有することを特徴とする顔画像合成装置。 - 前記非合成領域設定部は、前記展開顔画像に写っている前記対象者の顔の向きの正面向きからのずれ量が大きいほど、前記所定幅を大きくする、請求項1に記載の顔画像合成装置。
- 前記顔画像選定部は、前記選択した展開顔画像の合成順序を規定した順列を複数求め、該複数の順列のうち、当該順列に示された前記所定数の展開顔画像の前記合成領域をマッピングすることにより作成される前記合成顔画像において顔のテクスチャ情報の欠けがなく、かつ、当該順列に示された順序に従って先にマッピングされた前記展開顔画像における前記非合成領域と前記合成領域の境界である合成境界上の各画素の値と次にマッピングされる前記展開顔画像における対応する画素の値の差の統計量を輝度相違度として算出し、当該輝度相違度が最小または所定の閾値以下となる順列に示された前記展開顔画像を選択する、
請求項1または2に記載の顔画像合成装置。 - 前記非合成領域設定部は、前記展開顔画像のそれぞれについて、互いに異なる幅を持つ複数の前記非合成領域を設定し、
前記顔画像選定部は、前記順列に示された順序に従って先にマッピングされた前記展開顔画像における前記複数の非合成領域のそれぞれについて求めた前記統計量の最小値を前記輝度相違度として算出する、
請求項3に記載の顔画像合成装置。
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