JP5416127B2 - ガラスシートの高速/低残留応力レーザ罫書き - Google Patents

ガラスシートの高速/低残留応力レーザ罫書き Download PDF

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Description

関連出願の説明
本出願は、2007年11月20日に出願された米国仮特許出願第61/003738号の恩典を主張する。上記特許出願の明細書の内容及び、本明細書に挙げられる刊行物、特許及び特許文献の全開示は本明細書に参照として含まれる。
本発明は、ディスプレイ装置、例えば薄膜トランジスタ液晶ディスプレイ(TFT-LCD)の作成において基板として用いられるシートのような、ガラスシートのレーザ罫書きに関する。
ガラスの切断は従来機械工具を用いて達成されていたが、波長が10.6μmのCOレーザ光を用いてガラスを加熱し、温度勾配により引張り応力を生じさせる、代替プロセスがある。ガラス切断へのCOレーザの使用は、コンドラテンコ(Kondratenko)の、名称を「非金属材料を分割する方法(Method of splitting non-metallic materials)」とする特許文献1,共通に譲渡された特許の、アレイア(Allaire)等の、名称を「脆性材料を割るための方法及び装置(Method and apparatus for breaking brittle materials)」とする特許文献2,オステンダープ(Ostendarp)等の、名称を「脆性材料、特にガラスでつくられた平加工品を切り進むための方法及び装置(Method and apparatus for cutting through a flat workpiece made of brittle material, especially glass)」とする特許文献3、及び共通に譲渡された特許の、アレイア等の、名称を「レーザ罫書きにおけるメディアンクラック深さの制御(Control of median crack depth in laser scoring)」とする特許文献4に論じられている。共通に譲渡された特許の、特許文献2及び4の内容はそれぞれの全体が本明細書に参照として含まれる。
図9に示されるように、レーザ罫書き中に、(不完全ベントとして、または単にベントとしても知られる)メディアンクラック115がガラスシート112の主表面114に形成される。ベントを形成するため、ガラスシート112のエッジの1つの近傍でガラス表面上に小さな初期キズ111が入れられ、キズ111は次いで、ビーム113につくられたレーザ光121をガラス表面にかけて移動させ、冷却ノズル119によってつくられる冷却領域を追随させることによって、ベントに転換される。レーザビームによるガラスの加熱及びその直後の冷却材による急冷が熱勾配及び対応する、ベントの波及の原因となる、応力場を形成する。
上に挙げた特許文献では様々な形状及び寸法をもつレーザビームが用いられている。特許文献1に説明される罫書きビームの形状は、ビームの最長軸が材料厚の10倍より短い、短楕円形である。この手法にしたがえば、ディスプレイ基板の一般的な厚さである、0.7mm厚のガラスシートの場合、ビームの長軸の長さは7mmをこえないはずである。特許文献2において、罫書きビームの形状は、最長軸が好ましくは40mmより長い、細長楕円形である。特許文献4においては、ビームが一端または両端で端欠され、この結果ビームの総長が20〜40%減じている。特許文献3においては、スキャン法によって形成されたU字形ビームが罫書きに用いられる。
上に挙げた特許文献では、特許文献1の例における6mm/秒の低速から特許文献3の複雑なビーム構造に対する1000mm/秒までの範囲の様々な罫書き速度が説明されている。重要なことは、これらの特許文献のどれも、レーザ罫書きの結果としてガラスシートに生じる残留応力の問題に全く触れていないことである。したがって、これらの特許文献は、本発明によって、罫書き速度の増大にともなうことが見いだされた残留応力の増大の問題について完全に沈黙している。
残留応力は、ディスプレイ装置の基板として用いられることになるガラスシートの場合、特に重要な問題である。TFT-LCDパネル及び有機発光ダイオード(OLED)パネルのような、多くのディスプレイ装置は、ガラス基板上に直接作成される。生産速度を上げ、コストを下げるため、一般的なパネル製造プロセスでは、単一の基板または基板のサブピース上に複数のパネルが同時につくられる。そのようなプロセスの様々な時点において、基板は切断線に沿って機械的に分割されて、半製品になる。
そのような機械的切断はガラス内応力分布、特にガラスが真空で平らにされたときに見られる面内応力分布を変化させる。さらに一層詳しくは、切断は、切り口に牽引力がかからなくなるから、切断線においてシート内の残留応力を解放する。そのような応力解放の結果、一般にガラスサブピースの真空で平らにされた形状の変化が生じ、この現象はディスプレイ製造業者によって「歪」と称される。
応力解放の結果としての形状変化の量は一般に非常に小さいが、最近のディスプレイに用いられるピクセル構造の観点からすると、より大きなシートからの個々のパネルの機械的切分けで生じる歪はかなりの数の欠陥(不合格)ディスプレイをもたらすに十分に大きくなり得る。したがって、歪問題はディスプレイ製造業者にとって重大関心事であり、許容歪に関する仕様は2μmないしさらに小さくなり得る。
そのような機械的切断が行われたときに生じる歪の量はシート内の残留応力に依存し、残留応力レベルが低いほど生じる歪は小さくなる。上で論じたように、レーザ罫書きに関する従来技術は、罫書きプロセス中にガラスシートに導入される残留応力に関して沈黙している。したがって、従来技術は、後にガラスシートがパネル製造プロセス中に機械的に切断されるときにそのような残留応力によって生じる歪に関しても。沈黙している。
歪問題に加えて、以下で論じられるように、残留応力は、レーザ罫書きされたガラスシートが2枚のサブピースに分割されたときにつくられるエッジの品質に関しても重要である。本発明によれば、高レベルの残留応力には、比較的強度が低く、品質が劣る、例えば砕片及びマイクロクラックを有する、エッジがともっていた。ガラスエッジ近傍の高残留応力は、罫書き後にいつか現れるか、または外部からの衝撃によって、誘起され得る、エッジ品質の緩やかな劣化、すなわちチッピングまたは離層を生じさせ得る。やはり、従来技術はレーザ罫書きにともなうこれらの問題に関して沈黙している。
レーザ罫書きの実施に対する従来技術の手法にともなう第3の問題は、罫書かれているガラスのCTE(熱膨張係数)に関する。従来技術のレーザ罫書き手法はCTEが比較的高いガラス、例えばCTE(0〜300℃)が約37×10−7/℃のコーニング社(Corning Incorporated)のコード1737 LCDガラスを用いていた。より最近のガラス、例えばコーニングのEAGLE2000(登録商標)ガラス及びEAGLE XM(商標)ガラスのCTEはさらに低い。コード1737ガラスのCTEのような高CTEは、加熱中に、他の全ての条件が等しければ、より高速でそのようなガラスのレーザ罫書きがより容易であることを意味する、より高い引張り応力に換言される。LCD産業で用いられる極く最近のガラス基板の低CTEは、従来のレーザ罫書き技術が用いられる場合には罫書き速度をかなり低めることになる。
米国特許第5609284号明細書 米国特許第5776220号明細書 米国特許第5984159号明細書 米国特許第6327875号明細書
このような様々な問題から見て、低CTE(すなわち、約37×10−7/℃(0〜300℃)より低いCTE)を有するガラスの高速レーザ罫書きを提供でき、同時に過大な残留応力を発生させないプロセスが、技術上必要とされている。
第1の態様にしたがえば、本発明は、
(a)ガラスシート112の表面114にかけてピーク強度がIピークの細長レーザビームを速度Sで平行移動(図1Cの矢印17を見よ)させる工程であって、ビームの特徴は無端欠長Lであり、Lはガラスシート112の表面14におけるビーム強度が、全く端欠されていない状態で、Iピークの1/eに落ちている位置の間のビームの長さに沿う最大距離に等しいものである工程、及び
(b)ガラスシート112の表面114にかけて冷却材領域15をレーザビームと縦連態様で平行移動させる工程、
を含み、
(i) Sは500mm/秒より大きく、
(ii) Lは200mm以上であり、
(iii) Iピーク及びLは、ガラスシート112の表面114にかけてレーザビームを速度Sで平行移動させることで、ガラスの歪点以下であり、可能な限り最低の温度であることが好ましい、最高温度がガラスシート112の表面114に生じるように選ばれる、
ガラスシート112を罫書く方法を提供する。
いくつかの好ましい実施形態において、ガラスシート112の表面114への接触に先立ち、ビームの冷却材領域15に近接する一部分23が端欠される(例えばLの20%までが端欠される)。ビームの冷却材領域に近接する部分だけが端欠されることが好ましい。これらの実施形態に関連して、冷却材領域15は、ビームが端欠されていなければガラスシート112の表面114に接触しているであろうビーム領域内に配置されることが好ましい。
第2の態様にしたがえば、本発明は、ガラスシート112の表面114にかけて端欠レーザビーム13を、中心点を有する冷却材領域15と縦連態様で平行移動させることによってベント115がガラスシート112に形成される、レーザ罫書きシステムの動作方法を提供し、本方法は、(i)ベント115の深さ及び(ii)シート112からつくられるサブピース内の残留横領の内の少なくとも1つを制御するために、レーザビームの端欠量τを、または冷却材領域15の中心点と端欠前のレーザビームの最近接縁の間の距離Dを、あるいは端欠量τ及び冷却材領域15の中心点と端欠前のレーザビームの最近接縁の間の距離Dのいずれをも、選択する工程を含む。
第3の態様にしたがえば、本発明は、ガラスシート112の表面114にかけて端欠レーザビーム13を、外縁を有する冷却材領域15と縦連態様で平行移動させることによってベント115がガラスシート112に形成され、レーザビームの端欠によって冷却材領域15に近接する端欠縁が形成される、レーザ罫書きシステムの動作方法を提供し、前記方法は、
(a)罫書き速度の変更、ベント深さの変更、ガラス組成の変更、シート厚の変更、シートからつくられるサブピース内の残留応力の変更、及びシートからつくられるサブピースのエッジ特性の変更の内の、1つないしさらに多くに順応するかまたは1つないしさらに多くを実現するように、レーザビームの端欠量τを変更する工程、及び
(b)レーザビームの端欠量τの変更に応じて、(i)レーザビームの端欠縁と(ii)レーザビームの端欠縁に最も近い冷却材領域15の外縁部分の間隔Lを一定に保つ工程、
を含む。
本発明の様々な態様の上記要約に用いられる参照数字及び符号は読者の簡便のために過ぎず、本発明の範囲を限定する目的はなく、またそのように解されるべきではない。さらに包括的には、上記の一般的説明及び以下の詳細な説明が本発明の例示に過ぎず、本発明の本質及び特質の理解のための概要または枠組みの提供が目的とされていることは当然である。
本発明のさらなる特徴及び利点は以下の詳細な説明に述べられ、ある程度は、当業者にはその説明から容易に明らかであろうし、あるいは本明細書に説明されるように本発明を実施することによって認められるであろう。添付図面は本発明のさらに深い理解を提供するために含められ、本明細書に組み入れられて本明細書の一部をなす。本明細書及び図面に開示される本発明の様々な特徴がいずれかのまたは全ての組合せで用いられ得ることは当然である。
図1Aは従来技術の罫書きシステムの略図である。参照数字17は罫書き方向を表す。 図1Bは従来技術の罫書きシステムの略図である。参照数字17は罫書き方向を表す。 図1Cは本発明の一実施形態の略図である。参照数字17は罫書き方向を表す。 図2は、デュアルモードでレーザを動作させている場合についての、レーザパワーと罫書き速度の様々な組合せに対する罫書き線に沿うガラス表面上のそれぞれの点の計算された熱履歴のグラフである。レーザビーム長は230mmとした。表1は本図に示される様々な曲線についてのレーザパワー及び速度を示す。本図の縦軸は温度を℃で示し、横軸は時間を秒で示す。参照数字50は最高温度限界を示し、参照数字60は急冷領域を示す。 図3は、図1Cのパラメータτ及びDに対する、過渡熱応力計算値のグラフである。 図4はベント深さ対パラメータτのグラフである。縦軸はベント深さをμmで示し、横軸はビーム遮蔽の大きさτをmmで示す。三角形のデータ点は測定値であり、曲線はデータ点の値にフィッティングされている。 図5は、60mmビーム(曲線20)についての露光時間計算値(急冷無し)対罫書き速度を、本発明にしたがう、200mmより長い、詳しくは250mmビーム(曲線22)及び300mmビーム(曲線24)についての露光時間計算値(急冷無し)対罫書き速度とともに示すグラフである。縦軸は露光時間を秒で示し、横軸は罫書き速度をmm/秒で示す。本図において参照数字26で示される、60mm曲線における間隙(破線部)は60mmビームによって達成できる最高罫書き速度の位置を示す。 図6は、本発明の代表的なビーム(正方形のデータ点)及び参照(対照)ビーム(円形のデータ点)によって生じるピークガラス表面温度測定値のグラフである。縦軸はピークガラス表面温度を℃で示し、横軸はレーザパワーを%で示す。本グラフにおいて、高レーザパワーは高レーザ罫書き速度に相当する。 図7は、本発明の代表的なビーム(正方形のデータ点)及び参照(対照)ビーム(円形のデータ点)によってレーザ罫書き中に発生するピーク残留応力測定値のグラフである。縦軸はピーク残留応力をpsiで示し、横軸はレーザパワーを%で示す。本グラフにおいて、高レーザパワーは高レーザ罫書き速度に相当する。 図8は、コーニング社の、EAGLE2000 LCDガラス(菱形のデータ点)及びEAGLE XG LCDガラス(正方形のデータ点)について、過大な残留応力を発生させずに達成された罫書き速度対レーザパワーのグラフである。縦軸は罫書き速度をmm/秒で示し、横軸はレーザパワーを%で示す。 図9は従来技術の罫書きシステムの略図である。
A. 高速ガラスシート罫書きの課題
レーザ罫書きは一般に10.6μmの波長で動作する炭酸ガスレーザを用いて行われる。この波長において酸化物ガラスの吸収は10〜10l/mを上回ることができるが、COレーザ光の実効侵入深さは1〜10μmより小さくなる。罫書きの成功に必要な一般的なベント深さはガラス厚の10〜20%の範囲になければならず、これはLCDの製造に用いられる代表的な基板、すなわち0.7mm厚の基板に対して70〜140μmに相当する。これは、レーザ罫書き中のベントの形成が主に、比較的低速の過程である、ガラス表面下の熱の熱伝導度に依存することを意味する。したがって、ガラスの高い表面吸収及び熱伝導度が、基本的にプロセスウインドウを決定し、罫書き速度を制限する、2つの基本因子である。
ベントの形成に必要な引張り応力に達するためには、ビームのパワー密度がガラスの表面に十分な温度差を与えるに十分に高くなければならない(以下を見よ)。しかし、パワー密度が高すぎると、露光中に罫書き線に沿うガラス表面上のそれぞれの点に送り込まれるエネルギーがガラスのアブレーションまたは蒸発をおこさせ得る。そのような高パワー密度は、分割されたサブピースのエッジにも、エッジに隣接する領域内にも、高レベルの残留応力を生じさせ得る。一方、露光時間が短いと(罫書き速度が高いと)、ガラスに送り込まれるエネルギーは、表面下のガラスを加熱して深いベントを形成するには不十分になり得る。
理論的には、そのような課題は、冷却前にガラスを予備加熱するために幾本かのビームを用いることによるか、または罫書き線に沿って単一のビームを複数回走査することによって、解決することができるであろう。しかし、いずれの方法にも複雑な光学系及び制御方式が必要である。
B. 細長ビームの使用
本発明にしたがえば、熱膨張係数が低いガラスからなるガラスシートを含む、ガラスシートを意外にも残留応力を低レベルにして高速で有効に罫書くことがわかった、より簡易な解決策を用いて上記課題が対処され、解決される。その解決策は、200mm以上の無端欠長L(以下を見よ)をもつ単一の細長ビームの使用を含む。ビームが長いことから、本発明の実施に用いられるビームは一般に大きい、例えば130より大きく、好ましくは200より大きく、最も好ましくは300より大きい、長軸対短軸比を有する。
このタイプのビームにより、1000mm/秒をこえる罫書き速度においてさえ深いベントの形成を可能にする、罫書き中のガラスシート表面上の長いビーム滞留時間が得られる。さらに、レーザモードのビーム形状及びパワー分布は、罫書かれているガラスの歪点より高温にガラス表面を過熱させずに一貫した罫書きプロセスを可能にする、比較的低レベルにパワー密度を保つように選ぶことができる。これは、高レベルの残留応力を発生させずに高罫書き速度を用い得ることを意味するから、本方法の明瞭な利点を表す。さらに、冷却域とビームの後縁の相対位置を調節することによって、罫書き中に発生する引張り応力を最大化できることがわかった(以下を見よ)。これにより、ガラス表面の最高温度をガラスの歪点より低く保ちながら、ガラス表面に沿う温度差を高めることが可能になる。
いくつかの好ましい実施形態にしたがえば、非対称レーザビーム、例えば一端だけが端欠されたビームを用いてレーザ罫書きが行われる。ビームは様々なガラスタイプ及び/またはプロセス条件(例えば罫書き速度)に順応するように変えることができる寸法(長さ)及びパワー密度を有するが、望ましければ、例えばタイプ及び厚さが一定のガラスに用いられる専用罫書きステーションに関しては、固定された寸法及びパワー密度をもつビームを本発明の実施に用いることができる。
C. 細長ビームによるレーザ罫書き
レーザベントを形成し、与えられた速度で波及させるためには、ガラス表面上のそれぞれの点が以下のパラメータ、レーザビーム内のレーザパワー及びパワー密度分布、加熱速度、加熱中に達成される最高ガラス表面温度、並びに急冷域の急冷効率及び位置で決定される、同じ熱履歴を受けるべきである。総括的にいえば、本発明の罫書き方法は、1つのパラメータの変動が1つないしさらに多くの他のパラメータの変動で補償されて、罫書き線に沿うガラス表面上のそれぞれの点に対して基本的に同じ所望の熱履歴を維持するように、システムのプロセスパラメータのバランスをとる。
いずれの与えられたタイプのガラス及び罫書き速度に対しても、本発明は以下の条件、
(1)罫書き線のそれぞれの点の加熱及びこれに続く冷却によって形成される過渡熱応力はガラスの破断応力を上回り、ベントがいったん既存のキズから発してしまえば、ベントの安定な波及を可能にする、
(2)罫書き線に沿うガラス表面上のそれぞれの点のレーザ露光は比較的深いベントを形成するに十分であるが、一方で、レーザビームの露光持続時間及びパワー密度は、ガラス表面の過熱を生じさせず、よってかなりの大きさの残留応力を誘起することなく、プロセスの実施を可能にするように選ばれる、及び
(3)ビームの後縁内の急冷域の位置は、与えられた最高ガラス表面温度に対して熱応力勾配を最大化するように選ばれる、
を満たすことによって、残留応力が低い、高速罫書きを達成する。
これらの原理の適用は、図1Aに特許文献1のプロセス、図1Bに特許文献2のプロセス、また図1Cに本発明の一実施形態を簡略に示す、図1を考察することで最善に理解され得る。
図1A及び1Bに示されるように、特許文献1及び2に説明されるレーザ罫書きプロセスは、急冷域または冷却領域15が後続する限定された寸法のレーザビーム113によるガラス表面の加熱を含む。レーザ罫書き中に、メディアンクラック(または不完全ベント)が形成される。上で論じたように、ベントを形成するため、初めに小さな初期キズがガラス表面上に形成され、初期キズは次いでレーザビーム及び急冷域によってベントに転換されて、波及する。特許文献1及び2にしたがえば、冷却領域はビーム境界の外側のいくらかの距離に配置される(図1A及び1Bを見よ)。
図1A及び1Bの構成は罫書きを達成できるが、罫書き速度はガラスのタイプに依存して20mm/秒〜500mm/秒に制限される。同じ構成を用いて罫書き速度を高めようとするいかなる試みも、本発明により、高印加パワー密度の結果として高レベルの残留応力を生じさせることがわかったガラスの過熱をともなう。さらに、残留応力効果は、特に低熱膨張ガラスの場合に、罫書き速度が高くなるほど益々顕著になる。
図1Cの実施形態の手法はかなり長いレーザビームを用いることによって、また本発明の最も好ましい実施形態にしたがえば、ビームの一端を端欠してガラスシートの表面上に非対称ビームスポットを形成することによって、これらの問題を克服する。
本手法の基礎は以下の考察から理解することができる。機械工学の観点から、罫書きプロセスはガラス罫書き中にガラス内につくられる引張り応力σによって説明することができる。この引張り応力はα・E・ΔTに比例し、ここでαはガラスの線熱膨張係数(CTE)、Eはガラスの弾性率、ΔTはレーザビーム下にあるガラス表面領域と冷却ノズル下にあるガラス表面領域の間のガラス表面上の温度差の尺度である。
ベントを形成するためには、発生する引張り応力がガラスの分子結合より高くなければならない。ガラスのCTE及び弾性率が低くなるほど、発生する引張り応力が低くなり、したがって与えられた一組の条件に対する罫書き速度が低くなる。与えられたα・E積に対し、ガラスを高温に加熱することで引張り応力σを高めることができる。しかし、ガラスの歪点近くまたはそれをこえるガラスの過熱は、ガラスのアブレーションをおこし、ガラスエッジの品質を低下させ、強度を下げ、罫書きプロセスの動作一貫性の欠如に寄与する、ガラス内の不可逆高残留応力の形成をともなう。
これらの問題に対処するため、時間の関数としての温度変動(熱履歴)を罫書き線に沿うガラス表面のそれぞれの点において計算する、検討に着手した。理想的な場合、罫書き中に罫書き線上のガラスのそれぞれの点は同じ時間にわたり同じ温度変化を受けるはずである。図2は、レーザパワーと速度の様々な組合せに対して、230mmのビーム長を用いて計算した熱履歴を示す。表1にこれらの図に示される曲線のそれぞれについてのパワーレベル及び速度を挙げてある。図2の計算に用いたガラス特性は、コーニング社のEAGLE2000ガラスの特性に相当する。図は冷却過程がおこる領域(急冷域)も示す。
本図における水平の点線は上記計算の実施に用いたガラスの歪点、すなわち666℃を示す。本発明にしたがえば、この温度は、ガラス内の過大な残留歪の発生を回避するため、罫書き中にこえるべきではない上限を表す。一般に、ガラス表面の加熱及びこれに続く急冷がベントを波及させるに十分な引張り応力を発生するとすれば、低い最高ガラス温度が高い最高温度より好ましい。そのようにすれば、完成したエッジ及びシート内の残留応力を最小限に抑えることができる。
図2の計算結果は過大な残留応力を生じさせずに成功裏に用いることができる罫書きパラメータの組合せを示し、ガラスの過熱(例えば、T>666℃のようなガラスの加熱)をともなう組合せも示す(参照数字100及び110を見よ)。計算結果はガラス表面温度を下げ、それでもベントを形成するに十分なレベルの過渡引張り応力を達成するプロセスを実施するために用いることができる、レーザパワーと露光時間の組合せも示す(参照数字70,80及び90を見よ)。以下に示されるように、これらの計算結果は実験的に確証された。
(結果は示されていない)他の計算及び実験は、レーザパワーを調節することで、ベント深さ及び残留応力に有意な影響を与えずに罫書きが成功裏に達成されるプロセスウインドウ内にガラス表面温度を維持するように、ビームの加速及び減速にともなう罫書き速度の変化を順応させ得ることを実証した。さらに詳しくは、これらの計算及び実験において、罫書き速度の変化に対応するガラス上のそれぞれの点の熱履歴が罫書き速度が一定の場合の熱履歴と実質的に同様になるように、レーザパワーを加速中は高め、減速中は低めた。このようにすることで、得られたレーザ誘起ガラス温度及びベントはその長さにわたって実質的に一様になり、ガラスシートがベントで2つのサブピースに分割されたときに得られる切り口も実質的に一様になった。
上述したように、罫書きプロセス中のガラス表面温度を最小限に抑えることは、ガラス内の残留応力の低減に役立つ。しかし、罫書き中に発生する熱応力はベントを形成するに十分に高くなければならない。そのような競合問題に対処するために一連の実験を行った。実験は、レーザビーム下の表面領域について与えられた最高温度に対し、ビームに対する冷却材スポットの位置を変えることによって熱応力を高め得ることを示した。このことは、図1Cのパラメータτ及びDの関数として過渡熱応力を計算することによっても確証された。
これらの計算結果が図3に示される。本図からわかるように、それぞれの距離D(すなわち、冷却剤スポットの中心から無遮蔽ビームの縁までの距離;図1Cを見よ)に対し、過渡熱応力がその間で最高値をとる、τ値(すなわちビーム遮断長;図1Cを見よ)の範囲がある。これらの計算結果は実験的に得られた結果と定量的に一致する。
したがって、τ(及びD)の調節により、過大なレベルの残留応力を発生させずにベントを形成するに十分な引張り応力を達成するための有効な手法が得られる。さらに、τもベント深さに影響し、端欠を大きくする(τ値を大きくする)ほどベントは浅くなる。一般に、ベント深さはτの非線形関数、言い換えれば、図1Cの長さbの非線形関数であることがわかった。この効果が図4に示され、本図の上部は、0.7mm厚LCDガラスの罫書きにおいて成功裏にはたらくことがわかった、適するτ値範囲を表す。図4に示される非線形挙動は、b(図1A及び1Bを見よ)の関数としてのベント深さの線形依存性が予測される、特許文献1,2及び4に説明される挙動とは異なることに注意すべきである。
罫書き速度を高めると、一般に、ベント深さが減少し、以降のガラスシートの2つのサブピースへの分割が不確実になる。既存のレーザ罫書き手法の主な欠点は、短レーザビームにより、得られる露光(または滞留)時間が制限されることであった。露光時間は罫書き速度が500mm/秒に近づくかまたはこれをこえると漸減的に短く(例えば、〜100〜120ミリ秒に)なる。従来技術のビーム長(60mm;参照数字20を見よ)及び本発明の代表的ビーム長(250mm及び300mm;それぞれ参照数字22及び24を見よ)について、露光時間対罫書き速度がプロットされている、図5にこの効果が示される。本図には従来技術のビーム長で達成できる最高罫書き速度も示される(参照数字26を見よ)。
一連の計算及び実験により、そのような短露光時間では、高パワー密度ビームを用いない限り、確実なベント形成に必要な温度までガラス表面を加熱するには不十分であることが実証された。しかし、そのような高パワー密度では深刻な残留応力問題が生じる。露光時間はベント線における分割の成功を保証するに十分な深さのベントを形成するにも短すぎる。
上で論じたように、本発明にしたがえば、200mm以上の無端欠長Lを有する細長ビームが罫書きの実施に用いられる。図1Cの表記では、L=b+τである。そのようなビームにより、500mm/秒の罫書き速度における従来のレーザ罫書きプロセスの露光時間より3〜5倍長い露光時間を得ることができる。これにより、ガラス表面を過熱させずにかなり高い罫書き速度でガラス内深くへの熱伝達が可能になる。そのようなビームで形成されるベント深さは、1000mm/秒ないしさらに高い速度であっても、確実な分割が保証されるガラス厚の10%をこえることができる。本発明の実施に用いられるレーザビームの長さに理論的限界はないが、コスト及びその他の実行要件に基づけば、Lは一般に約300mmないしさらに短いであろうが、望ましければさらに長いビームを用いることができる。
レーザビームは一般にCOレーザで形成されるであろうが、望ましければ他のタイプのレーザを用いることができる。200mmないしさらに長いL値を達成するため、ビームは一般にビーム拡大器を通され、次いで円柱光学系を用いて引き伸ばされるであろう。本発明の目的のため、無端欠ビームに対するL値はISO11146標準のビーム長の1/e定義を用いて決定される。すなわち、レーザビームの境界はビーム強度がピーク値Iピークの1/eに落ちた位置として定義される。この定義にしたがえば、総ビームエネルギーのほぼ86%が定義された境界内に送られる。
上で論じたように、本発明にしたがえば、罫書き中のガラス表面の最高温度T最高はガラスの歪点T、すなわち、ガラスの粘度が1013.5Pa・秒(1014.5ポアズ)になる温度より低く、または高くともTに等しく、保たれる。T最高≦T−30であることが好ましく、T最高≦T−60であることがさらに好ましく、T最高≦T−100であることが最も好ましい。ここでT最高及びTは℃で表される。500mm/秒ないしさらに遅い罫書き速度に対し、最高ガラス温度はT−150より低く、あるいはT−200より低くさえ、なり得る。ガラス温度は様々な方法で測定することができ、好ましい手順は熱撮像(熱画像)カメラの使用による。
同じく上で論じたように、このようにT最高を制御することによりガラス内の残留応力量が低減される。ガラスシートからつくられるサブピース内のピーク残留応力は、300psi(2.07×10Pa)以下であることが好ましく、100psi(6.89×10Pa)以下であることが最も好ましい。300psiをこえるピーク残留応力、例えば500psi(3.42×10Pa)までの範囲の応力が許容され得る場合もある。特に、ガラスシートが十分な付加エッジ応力を受けることにはなりそうもなければ、そのような高い応力レベルが許容され得る。また、大寸ガラスシートの場合、シート体内の歪は、エッジにおけるピーク値が高くとも、シート寸法が大きいことから小さくなるようである。罫書きされて分割されたシート内のピーク残留応力は複屈折率法を用いて測定されることが好ましい。
上述から明らかであろうように、本発明は無端欠ビームを用いて実施することができるが、一端で、すなわち冷却材領域に最も近い(近接する)後縁で端欠されたビームを用いることが好ましい。端欠はこの目的のために特につくられたシールドを用いて実施することができる。あるいは、シートに冷却材を与えるために用いられる集成ノズルの一部を、ビームの後縁を遮り、よって端欠するように配置することができる。後者の手法が図1Cにしめされ、図では無端欠ビーム21がノズル19の筐体によって遮られ、よってガラス表面において端欠ビーム13になっている。
特許文献4に説明される事例とは異なり、本発明にしたがうビーム遮蔽の大きさは総ビーム長のほぼ20%をこえないことが好ましい。また、同じく特許文献4とは異なり、ビーム遮蔽の大きさは所望の罫書き速度に応じて選ばれることも好ましい。さらに、ビーム遮蔽の実施に集成冷却ノズルが用いられる場合、ビーム内の冷却域の所望の位置の選択によって、異なる大きさのビーム端欠(異なるτ値)がえられ、同時にビームの後縁から冷却域の前縁までの距離L(図1Cを見よ)が一定に保たれる。すなわちこの構成ではLはτに依存しない。τに無関係の一定のLの使用は、集成ノズルではなく、シールドを用いて端欠を行うシステムにおいても実施することができる。
本発明をいかなる態様でも限定することは目的とせずに、以下の実施例によって本発明をさらに説明する。
D. 実験結果
可変ビーム拡大器を通し、次いで円柱光学系を用いて細長ビームに転換させた、円偏光COレーザビームを用いて実験データを得た。光学系により、ビーム長を罫書き方向に沿って調節して200mm以上の無端欠長Lを得ることが可能になった。冷却材ジェットを無端欠ビームの後縁の内側でガラスシートに接触するように配置した。図1Cに示されるように、ノズル本体を用いてビームを端欠した。
図6は本発明のビームで生じたガラスのピーク表面温度(正方形のデータ点)を参照ビームで生じたピーク表面温度(円形のデータ点)と比較している。詳しくは、本発明のビームは200mmの無端欠長を有し、10〜15mm端欠してあり、参照ビームは100mmの無端欠長を有し、端欠せずに用いている。距離L(図1を見よ)はそれぞれの場合に3〜6mmに等しくした。これらの実験に用いたガラスはコーニング社のEAGLE2000ガラスである。ガラスの表面温度は熱画像カメラを用いて測定した。本図において、高レーザパワーは高罫書き速度に相当する。
本図からわかるように、参照ビームについては、30%をこえる相対レーザパワーレベルにおいて表面温度が700℃をこえ、急速に上昇する。一方、本発明を代表するビームについては、相対レーザパワーが60%をこえても、表面温度はガラス歪点より低いままである。罫書き速度の観点からは、参照ビームを用いると、罫書き速度が450〜500mm/秒をまさにこえると、ガラス温度が600℃より十分高くに上昇するガラス表面の過熱が容易におこり得るが、本発明のビームが用いられた場合には罫書き速度が1000mm/秒に近づいても最高ガラス温度は600℃より低いままであることが、本実験及び関連実験によって実証された。すなわち、本発明により、ガラスを過熱させずに高速度でレーザ罫書きを実施することが可能になる。
上で論じたように、ガラスの過熱は、とりわけ、分割されたサブピース内に過大なレベルの残留歪を生じさせるため、望ましくない。この効果が図7に示され、図7には、上述した参照ビーム(円形のデータ点)及び本発明のビーム(正方形のデータ点)による罫書きで生じた、分割サブピース内のピーク残留応力の測定値が示されている。本図には罫書き速度も示されている。本図からわかるように、参照ビームでは罫書き速度が500mm/秒をこえると500psiより十分高いレベルの応力が生じるが、本発明のビームでは罫書き速度が1000mm/秒をこえても残留応力レベルは十分低いままである。
図8は、CTEが低いガラス基板を罫書くことができる、本発明のレーザビームの能力を示す。図6及び7の正方形のデータ点をとったときと同じレーザビームを用いた。図8の菱形のデータ点はコーニング社のEAGLE2000ガラスについてのデータであり、正方形のデータ点はコーニング社のEAGLE XGガラスについてのデータである。本図に示されるように、本発明のレーザビームは、500mm/秒より十分高い速度、例えば750〜1000mm/秒に対応するレーザパワーレベルにおいてこれらの低CTEガラスからなる基板を成功裏に罫書いている。さらに、得られたサブピースは低レベルの、すなわち一般には100psi以下の、残留応力を有していた。本発明の態様で罫書かれたガラスシートの破断はガラスを曲げることによるかまたは、曲げずに、超音波分割法を用いることで完了した。
上の実験データで示されるように、細長レーザビームをビームの後縁の一部遮蔽と組み合わせて用いることにより、ガラスシートの有効な罫書きが可能になる。特に、この組合せによって、ベント深さを最大化し、最高ガラス表面温度を高めずに罫書き中に発生する熱応力勾配も最大化するような、急冷位置の選択が可能になる。この手法により、CTEが低いガラス基板であっても、残留応力を高めずに高罫書き速度、例えば750〜1000mm/秒以上の速度の達成が可能になる。
本発明の特定の実施形態を説明し、図示したが、本発明の精神及び範囲を逸脱せずに改変がなされ得ることは当然である。例えば、10.6μmで動作するCOレーザを用いる0.7mm厚のLCDガラスの罫書きに関して本発明を論じ、図示したが、本発明は、望ましければ、他のタイプのガラスに適用することができ、異なる波長で動作する別のタイプのレーザを用いることができる。
当業者には本発明の開示から本発明の範囲及び精神を逸脱しない他の様々な改変が明らかであろう。添付される特許請求の範囲は、本明細書に述べられる特定の実施形態を、そのような改変、変形及び等価物とともに、包含するとされる。
Figure 0005416127
13 端欠レーザビーム
15 急冷域
19,119 冷却ノズル
21 無端欠レーザビーム
23 端欠部
111 初期キズ
112 ガラスシート
113 ビーム
114 ガラスシート主表面
115 メディアンクラック(ベント)
121 レーザ光

Claims (11)

  1. ガラスシートを罫書く方法において、
    (a)前記ガラスシートの表面にかけてピーク強度がIピークの細長レーザビームを速度Sで平行移動させる工程であって、前記ビームの特徴は無端欠長Lであり、Lは前記ガラスシートの前記表面におけるビーム強度が、全く端欠されていない状態で、前記Iピークの1/eに落ちている位置の間の前記ビームの長さに沿う最大距離に等しいものである工程、及び
    (b)前記ガラスシートの前記表面にかけて冷却材領域を前記レーザビームと縦連態様で平行移動させる工程、
    を含み、
    (i) Sが500mm/秒より大きく、
    (ii) Lが200mm以上であり、
    (iii) 前記ガラスシートの前記表面にかけての前記レーザビームの前記速度Sの前記平行移動が前記ガラスの歪点以下である最高温度を前記ガラスシートの前記表面に生じさせるように、Iピーク及びLが選ばれる、
    ことを特徴とする方法。
  2. 前記ガラスシートの前記表面に接触する前に、前記ビームの一部分が端欠され、前記部分が前記冷却材領域に近接していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記冷却材領域が、前記ビームが端欠されていなければ前記ガラスシートの前記表面に接触していたであろう前記ビームの前記部分内に配置されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  4. 前記ビームの前記端欠部分の長さが0.2×L以下であることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  5. 前記冷却材領域が集成ノズルによって形成され、前記集成ノズルの少なくとも一部が前記レーザビームを遮り、よって前記レーザビームを端欠させることを特徴とする請求項2に記載の方法。
  6. 前記罫書きが、深さが前記ガラスシートの厚さの少なくとも10%のベントを前記ガラスシートに形成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  7. 前記ガラスシートの前記表面における前記最高温度T最高が、Tを前記ガラスの歪点とし、T最高及びTを℃で表して、関係式:
    最高≦T−100
    を満たすことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 前記ガラスシートからつくられるサブピース内のピーク残留応力が500psi(3.42×10Pa)以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  9. 前記ガラスシートからつくられるサブピース内のピーク残留応力が100psi(6.89×10Pa)以下であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. ガラスシートの表面にかけて端欠レーザビームを、中心点を有する冷却材領域と縦連態様で、速度Sで平行移動させることによって前記ガラスシートにベントが形成されるレーザ罫書きシステムの動作方法において、前記方法が、(i)前記ベントの深さ及び(ii)前記シートからつくられるサブピース内の残留応力の内の少なくとも1つを制御するため、前記レーザビームの端欠量を、または前記冷却材領域の前記中心点と端欠される前の前記レーザビームの最近接縁の間の距離を、あるいは前記端欠量及び前記冷却材領域の前記中心点と端欠される前の前記レーザビームの最近接縁の間の前記距離のいずれをも、選択する工程を含み、
    前記ガラスシートの前記表面においての前記レーザビームの前記速度Sでの前記平行移動が、前記ガラスの歪点以下である最高温度を前記ガラスシートの前記表面に生じさせることを特徴とする方法。
  11. ガラスシートの表面にかけて端欠レーザビームを、外縁を有する冷却材領域と縦連態様で、速度Sで平行移動させることによって前記ガラスシートにベントが形成されるレーザ罫書きシステムの動作方法において、前記方法が、
    (a)罫書き速度の変更、ベント深さの変更、ガラス組成の変更、シート厚の変更、前記シートからつくられるサブピース内の残留応力の変更、及び前記シートからつくられるサブピースのエッジ特性の変更の内の1つないしさらに多くに順応するかまたは1つないしさらに多くを実現するように、前記レーザビームの端欠量を変更する工程、及び
    (b)前記レーザビームの前記端欠量の変更に応じて、(i)前記レーザビームの端欠縁と(ii)前記レーザビームの前記端欠縁に最も近い前記冷却材領域の前記外縁の部分の間隔を一定に保つ工程、
    を含み、
    前記ガラスシートの前記表面においての前記レーザビームの前記速度Sでの前記平行移動が、前記ガラスの歪点以下である最高温度を前記ガラスシートの前記表面に生じさせることを特徴とする方法。
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