JP5415455B2 - 摩擦プラグ溶接方法及びシステム - Google Patents

Description

本発明は概して溶接方法及びシステムに関する。好ましい形態では、本発明は構成部品の孔を埋めるための摩擦プラグ溶接に関する。この摩擦プラグ溶接では、テーパーのついた雄型プラグが孔の画定表面内に挿入可能であり、これらの画定表面に摩擦溶接される。

摩擦プラグ溶接は、構成部品（特に金属部品）の貫通孔に同様の材料を充填して部品の機械特性をほぼ保つようにすることができる周知の技術である。例えば、（全ての内容が本明細書に明白に援用される）２００６年６月２２日発行の米国特許出願公開第２００６／０１３１３６４号では、拘束部品を用いた摩擦プラグ溶接技術が開示されており、この拘束部品は、溶接作業中に雄型プラグの終端を受けるように埋められる孔と軸方向に位置合わせされたブラインドキャビティを定めている。キャビティの底面は雄型プラグのリミットストップとして機能し、溶接の際に生じる、構成部品の背面の孔から出る溶接混合材のフラッシュフローを受ける。過剰なフラッシュフローが構成部品の前面に生じる場合もある。このようなフラッシュフローは、構成部品の前面及び背面に環状の溶接欠陥をもたらしうるため好ましくない場合がある。

米国特許出願公開第２００６／０１３１３６４号明細書

従って、このような環状の溶接欠陥を（完全に取り除くとはいかないまでも）最小にする摩擦プラグ溶接技術を提供できることが望ましい。本発明はこのような解決法の提供に向けられる。

プラグ構成部品の前面及び背面から構成部品を貫通して延びる孔を埋めるような摩擦プラグ溶接方法及びシステムが提供される。いくつかの実施の形態では、貫通した開口部を有する犠牲プレートが構成部品の背面に対して配置され、これによって開口部と埋められる孔とが同軸上に位置合わせされる。プラグロッドの雄型プラグを摩擦プラグ溶接条件下で前進させて孔に入れると、構成部品を貫通して延びる孔、及び犠牲プレートを貫通して延びる開口部の双方の画定表面と雄型プラグとの間に摩擦溶接領域が形成される。

一定の有利な実施の形態では、構成部品の前面に対して平行な面を定める環状肩フランジがプラグロッドに設けられている。よって、プラグロッドの雄型プラグを孔の中に前進させることで、孔を囲む前面の対応領域に環状肩フランジが隣接する。よって、摩擦溶接からのフラッシュフローは孔の横方向に移動される。雄型プラグは、テーパーがついている、即ち円錐台状であることが好ましい。雄型プラグを肩フランジにつなげる環状のアーチ形表面を設けることもできる。

いくつかの実施の形態によると、犠牲プレートが拘束部品と共に構成部品の背面に対して配置される。構成部品の背面に隣接して開放されており、犠牲プレートを収容するように寸法決めされて構成された凹形領域を拘束部品に設けることができる。更に、拘束部品には、摩擦プラグ溶接の際に雄型プラグの終端部を受けるために十分な深さのある空間（例えば貫通孔又は凹形キャビティなど）を設けることもできる。

通常、雄型プラグ及び犠牲プレートの各々は、構成部品のものと同一の材料又は互換可能に同様の材料からなることが好ましい。

摩擦プラグ溶接作業に続いて、プラグロッド及び犠牲プレートを、構成部品の前面及び背面と一致するそれぞれの面に沿って構成部品から取り除くことができる。従って、これらが取り除かれると、雄型プラグの一部分はプラグとして孔の中に配置され、構成部品に溶接されている。よって、雄型プラグの残った部分を貫通するように新しい孔を形成することができる。

これらの態様及び利点、ならびに他の態様及び利点は、以下の好ましい例示的な実施の形態の詳細な説明を熟考した後で更に明らかになるであろう。

以下に添付の図面を参照するが、種々の図にわたる同様の参照番号は同様の構造要素を示す。

溶接作業の始めの状態で示される、本発明の摩擦プラグ溶接技術の実施の形態の略断面図である。 図１と同様であるが溶接作業の終わりの状態で示される、摩擦プラグ溶接技術の実施の形態の略断面図である。 プラグ溶接された孔を整えて再度あけることのできる態様を経過順に示している。 プラグ溶接された孔を整えて再度あけることのできる態様を経過順に示している。 プラグ溶接された孔を整えて再度あけることのできる態様を経過順に示している。

添付の図１及び図２は、本発明を具体化したプラグ溶接技術を示している。これに関して、構成部品Ｐは、部品の前面Ｆ_ｆと背面Ｆ_ｂとの間で定められ、埋められるように意図された貫通孔Ｈを有する。従来から行われているように、孔Ｈは、存在しうる形状の欠陥を補正し、中心軸Ａ_ｃを有するほぼ円錐台の形状を確立するように、適切な機械加工技術によって予め加工されている。

円柱状のプラグロッド１０が設けられており、これは、孔Ｈの円錐台形状にほぼならう円錐台の形状を備えた雄型プラグ１０ａを終端に有する。雄型プラグ１０ａは、構成部品Ｐの材料と（同一ではないにしても）互換できる材料からなることが好ましい。これに関して、構成部品Ｐ及び雄型プラグ１０ａは金属（例えばアルミニウム合金）からなることができるが、熱可塑性プラスチック又は樹脂複合材のような互換性のある非金属材料からなっていてもよいことも考えられる。よって、図面は金属材料を示しているが、本明細書に開示される技術は非金属材料にも同様に適用できる。

プラグロッド１０は、くぼんだアーチ形の環状面１０ｃによって雄型プラグ１０ａにつながった環状肩フランジ１０ｂを定めている。よって、環状面１０ｃは円錐台形の雄型プラグ１０ａと肩フランジ１０ｂとの間に滑らかな遷移（ｔｒａｎｓｉｔｉｏｎ）をもたらし、肩フランジ１０ｂは構成部品Ｐの前面Ｆｆに平行な面を定めている。

拘束部品１２が背面Ｆ_ｂ上に設けられており、空間１２ａを定めている。図１及び図２に示すような貫通した開口部として空間１２ａを設ける必要はないが、その代わりにブラインドキャビティとして設けることができる。貫通開口部の形であろうとブラインドキャビティの形であろうと、空間１２ａは摩擦溶接作業を行う際に雄型プラグ１０ａの終端を受けるのに十分な深さを有する。拘束部品１２は更に、中心軸Ａ_ｃに対して開口部１２ａと同軸上に位置合わせされ、構成部品Ｐの背面Ｆ_ｂに隣接して開放された環状の凹形領域１２ｂを含む。

凹形領域１２ｂは、構成部品Ｐ及び雄型プラグ１０ａと同一か又は互換可能に同様の材料からなる犠牲プレート１４を収容するように寸法決めされて構成されている。犠牲プレート１４は貫通した開口部１４ａを定めており、これは中心軸Ａ_ｃに対して孔Ｈ及び開口部１２ａと同軸上に位置合わせされている。開口部１４ａは、構成部品Ｐの背面Ｆ_ｂにおいて孔Ｈの直径と少なくとも同一か又はそれよりもやや小さい直径を有する。一方、開口部１２ａは、開口部１４ａの直径よりも大きな直径を有することが最も好ましい。

溶接作業の際、プラグロッド１０と、従ってその雄型プラグ１０ａは中心軸Ａ_ｃと同軸上に位置合わせされ、好適な駆動手段１１によって中心軸Ａ_ｃ（矢印Ｒ）を中心に回転される間に孔Ｈの画定表面と接触する。雄型プラグ１０ａの画定表面、孔Ｈ及び開口部１４ａの間の摩擦により各々の材料が溶け、溶けながら一緒に流れてこれらの間に溶接領域１６が形成される（図２を参照）。

特に、溶接領域１６は開口部１４ａを囲む犠牲プレート１４の一部分まで延び、これを含むことがみられる。よって、フラッシュ領域１６ａが構成部品Ｐの背面Ｆ_ｂの直近にならないように溶接領域は開口部１２ａ内に延びる。このようにすると、溶接領域１６は構成部品Ｐの面Ｆ_ｂを越えて一体的に延びているため、溶接欠陥（例えば、不完全な溶接の環状領域）が（完全に回避するとはいかないまでも）最小になる。

前面Ｆ_ｆでは、溶融材料のフラッシュフローはプラグロッド１０の環状肩フランジ１０ｂによって横方向に向けられ、これによってフラッシュ領域１６ｂが前面Ｆ_ｆの半径方向にずれた位置に形成される。従って、領域１６ａは前面Ｆ_ｆの孔Ｈの直近には位置せず、フラッシュ領域１６ａの位置と同様の態様で環状の溶接欠陥が（完全に除去するとはいかないまでも）最小になる。溶接作業に続いて、プラグロッド１０、構成部品Ｐ及び犠牲プレート１４が溶接領域１６を介してこのように互いに溶接される。

添付の図３Ａから図３Ｃは、プラグ溶接を行った孔Ｈを整えて再度孔をあけることのできる態様を示している。これに関して、図３Ａは、溶接されたプラグロッド１０、構成部品Ｐ及び犠牲プレート１４が溶接機から取り除かれた（例えば、拘束部品１２から取り除かれた）状態を示している。前面Ｆ_ｆ及び背面Ｆ_ｂとそれぞれ一致する面に沿ってこのような構造体を切断することにより、プラグロッド１０及び犠牲プレート１４を構成部品Ｐから取り除くことができる。図３Ｂに示すように、このような構造体が取り除かれると、埋められた孔Ｈは雄型プラグ１０ａの残った部分（図３Ｂでは１０ａ’で示す）及び溶接領域１６の残りの部分で構成される。次に、埋められた孔Ｈに再び孔をあけ、図３Ｃに示すように適切に寸法決めされた新しい孔Ｈ’を形成することができる。次に、このように新しくした構成部品Ｐを再び使用することができる。

方向を示すいくつかの用語（例えば「前」及び「背」）を前述の説明のために使用し、以下の請求の範囲にも示されるが、このような用語は本発明を限定しないことが理解されるであろう。よって、構成部品Ｐの前面Ｆ_ｆ及び背面Ｆ_ｂはプラグロッド１０と犠牲プレート１４との間の相対的な向きを含み、従って必ずしも構成部品Ｐの技術的な「前」及び「背」に対応するわけではないことが意図される。

従って、現在最も実用的で好適な実施の形態とみなすものに関連して本発明を説明したが、本発明は開示された実施の形態に限定されず、反対に、添付の請求の範囲の趣意及び範囲内に含まれる種々の変更物及び同等の構成を包含するよう意図されていることを理解されたい。

Claims (16)

1. 構成部品の前面と背面との間を貫通して延びる孔を埋めるための摩擦プラグ溶接方法であって、
   （ａ）貫通した開口部を有する犠牲プレートを前記構成部品の前記背面に対して配置し、前記開口部と埋められる前記孔とが同軸上に位置合わせされるようにし、
   （ｂ）プラグロッドの雄型プラグを摩擦プラグ溶接条件下で前進させて前記孔に入れ、前記構成部品を貫通して延びる前記孔、及び前記犠牲プレートを貫通して延びる前記開口部の双方の画定表面と前記雄型プラグとの間に摩擦溶接領域を形成する、
   ことを含む方法。
2. 前記構成部品の前記前面に対して平行な面を定める環状肩フランジを前記プラグロッドに設けることを含み、
   前記プラグロッドの前記雄型プラグを前進させて前記孔に入れ、前記環状肩フランジが前記孔を囲む前記前面の対応領域に隣接して前記摩擦溶接からのフラッシュフローを前記孔の横方向に移動させることを含む、請求項１に記載の方法。
3. 拘束部品を用いて前記犠牲プレートを前記構成部品の前記背面に対して配置することを含む、請求項１に記載の方法。
4. 前記構成部品の前記背面に隣接して開放されており、前記犠牲プレートを収容するように寸法決めされて構成された凹形領域を前記拘束部品に設けることを含む、請求項３に記載の方法。
5. 前記拘束部品が、前記摩擦プラグ溶接の際に前記雄型プラグの先端を受ける空間を含む、請求項４に記載の方法。
6. 前記雄型プラグ及び前記犠牲プレートがそれぞれ前記構成部品と同一の材料又は互換性のある材料からなる、請求項１に記載の方法。
7. 前記構成部品の前記前面及び前記背面に一致するそれぞれの面に沿って、前記プラグロッド及び前記犠牲プレートを前記構成部品から取り除くことを更に含む、請求項１に記載の方法。
8. 前記雄型プラグの一部分が前記孔のプラグとして残って前記構成部品に溶接され、前記雄型プラグの残った前記部分を貫通する新しい孔を形成することを含む、請求項７に記載の方法。
9. 構成部品の前面及び背面から前記構成部品を貫通して延びる孔を埋めるための摩擦プラグ溶接システムであって、
   貫通した開口部を有する犠牲プレートであって、前記開口部と埋められる前記孔とが同軸上に位置合わせされるように前記構成部品の前記背面に対して配置可能である、犠牲プレートと、
   雄型プラグを有するプラグロッドであって、前記雄型プラグを摩擦プラグ溶接条件下で前進させて前記孔に入れ、前記構成部品を貫通して延びる前記孔、及び前記犠牲プレートを貫通して延びる前記開口部の双方の画定表面と前記雄型プラグとの間に摩擦溶接領域を形成する、プラグロッドと、
   を含むシステム。
10. 前記プラグロッドが、前記構成部品の前記前面に対して平行な面を定める環状肩フランジを含み、
    前記環状肩フランジが前記孔を囲む前記前面の対応領域に隣接して前記摩擦溶接からのフラッシュフローを前記孔の横方向に移動させるように、前記プラグロッドの前記雄型プラグを前進させて前記孔に入れる、請求項９に記載のシステム。
11. 前記犠牲プレートを前記構成部品の前記背面に対して配置する拘束部品を更に含む、請求項９に記載のシステム。
12. 前記拘束部品が凹形領域を含み、前記凹形領域は前記構成部品の前記背面に隣接して開放されており、前記犠牲プレートを収容するように寸法決めされて構成されている、請求項１１に記載のシステム。
13. 前記拘束部品が、前記摩擦プラグ溶接の際に前記雄型プラグの先端を受ける空間を含む、請求項１２に記載のシステム。
14. 前記雄型プラグ及び前記犠牲プレートがそれぞれ前記構成部品と同一の材料又は互換性のある材料からなる、請求項９に記載のシステム。
15. 前記雄型プラグが円錐台状の形状を有する、請求項９に記載のシステム。
16. 前記雄型プラグを前記肩フランジにつなげるアーチ形の凹面を更に含む、請求項１５に記載のシステム。

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