以下、測定装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
最初に、接地抵抗計1の構成について、図面を参照して説明する。図1に示す接地抵抗計1は、測定装置の一例であって、電圧V(後述する電圧Vcおよび電圧Vg)の測定、および接地電極100(図4参照)における接地抵抗Rxの2電極法による測定が可能に構成されている。具体的には、接地抵抗計1は、同図に示すように、整流平滑回路2、レンジ特定回路3、制御信号出力回路4、抵抗測定回路5および指示メータ6を備えて構成されている。
整流平滑回路2は、プローブ7a,7b(図1参照)を介して入力した交流の電圧Vを整流・平滑化して電圧Vsを出力する。
レンジ特定回路3は、図2に示すように、オペアンプ11を備えて構成されている。この場合、オペアンプ11は、コンパレータとして機能し、電圧Vsの値が比較電圧Vr(同図参照)の値を超えたときに、後述する制御信号出力回路4のスイッチ22a,22bをオフ状態からオン状態に移行させる(作動させる)ための作動信号Soを出力する。
制御信号出力回路4は、電圧測定モードが選択されている状態において、図2に示すように、整流平滑回路2から出力された電圧Vsに応じた制御信号Si(指示メータ6における指針32の振れを、電圧Vの測定値に応じた振れ量に制御する制御信号であって、一例として電流)を指示メータ6に出力する。具体的には、制御信号出力回路4は、同図に示すように、オペアンプ21、スイッチ22a,22bおよび抵抗23a〜23eを備えて構成されている。
オペアンプ21は、抵抗23a〜23dと共に加算増幅回路を構成する。また、オペアンプ21は、スイッチ22a,22bがオフ状態のときには、電圧Vsを高い利得で増幅して制御信号Siを出力し、スイッチ22a,22bがオン状態のときには、抵抗23aを介してオフセット電圧Vo(同図参照)を反転入力端子に入力して電圧Vsに加算すると共に、加算後の電圧を低い利得で増幅して制御信号Siを出力する。この場合、オフセット電圧Voは、高電圧用スケール41bにおいて指針32を振らせる際に、電圧Vが0Vのときに図3において示す数値「0」(同図において「50」の数値と「10」の数値との間に標示されている数値「0」:この破線で示す数値「0」や線分は実際には標示されていない)まで指針32を振らせるための電圧として機能する。スイッチ22aは、抵抗23aとオペアンプ21の反転入力端子との間に配置され、レンジ特定回路3から出力される作動信号Soに従って作動して、両者の接断(接続および切断)を行う。スイッチ22bは、抵抗23cとオペアンプ21の反転入力端子との間に配置され、作動信号Soに従って作動して両者の接断を行う。
この接地抵抗計1では、レンジ特定回路3および制御信号出力回路4が上記のように構成されることにより、電圧Vsが比較電圧Vr以下のときには、電圧Vsが高い利得で増幅され、電圧Vsが比較電圧Vrを超えるときには、電圧Vsとオフセット電圧Voとの加算電圧が低い利得で増幅される。したがって、この接地抵抗計1では、電圧測定モードが選択されている状態において、電圧Vsが比較電圧Vr以下の測定レンジ(低測定レンジ:一例として、電圧Vの測定値が0〜10Vのレンジ:以下、「低電圧用測定レンジ」ともいう)と、電圧Vsが比較電圧Vrを超える測定レンジ(高測定レンジ:一例として、電圧Vの測定値が50V〜500Vのレンジ:以下、「高電圧用測定レンジ」ともいう)とを切り替える機能(つまり、電圧Vの測定値が含まれる測定レンジを特定してその旨を示す特定信号としての作動信号Soを制御信号出力回路4に出力する機能)をレンジ特定回路3が果たし、作動信号Soに従い、レンジ特定回路3によって特定された(切り替えられた)測定レンジに対応する電圧用スケール41(これについては後述する)において指針32が振れる振れ量となる制御信号Siを指示メータ6に出力する機能を制御信号出力回路4が果たしている。
抵抗測定回路5は、図外の電池を電源として用いて接地抵抗測定用の電流(一例として直流定電流:以下、「測定用電流Im」ともいう)を生成する。この場合、抵抗測定回路5によって生成された測定用電流Imは、図外のモード切り替えスイッチの操作によって接地抵抗測定モードが選択されたときに、プローブ7a,7b間に供給される。また、モード切り替えスイッチの操作によって電圧測定モードが選択されている状態では、抵抗測定回路5とプローブ7a,7bとが切断されて、プローブ7a,7bに対する測定用電流Imの供給が停止する。また、抵抗測定回路5は、接地抵抗測定時における制御信号出力回路として機能し、接地抵抗測定モードが選択されている状態において、測定用電流Imの供給によってプローブ7a,7b間に生じる直流の電圧Vを入力して、その電圧Vに基づいて抵抗指示用の制御信号Siを出力する。
指示メータ6は、図3に示すように、パネル31、1つの指針32、および制御信号Siの値に応じた振れ量で指針32を振らせる(一例として、弧を描くように指針32を回動させる)駆動用コイル(図示せず)を備えて構成されている。この場合、パネル31には、同図に示すように、電圧V(同種の物理量の一例)の測定値を示す低電圧用スケール41aおよび高電圧用スケール41b(低測定レンジ用スケールおよび高測定レンジ用スケール:複数のスケールの一例:以下、区別しないときには「電圧用スケール41」ともいう)が、上記した低電圧用測定レンジおよび高電圧用測定レンジ(複数の測定レンジの一例)にそれぞれ対応して標示されている。また、パネル31には、接地抵抗Rx(他の種類の物理量の一例)の測定値を示す抵抗用スケール42(他のスケールの一例)が、電圧用スケール41に沿って標示されている。この場合、この指示メータ6では、同図に示すように、低電圧用スケール41aおよび高電圧用スケール41bが、1つの円弧(線分の一例)上において互いに離間した状態で標示されている。つまり、指針32が振れている状態において1つの電圧用スケール41と指針32とが交差状態となり、かつ他の電圧用スケール41と指針32とが非交差状態となるように2つの電圧用スケール41がパネル31に標示されている。
また、この指示メータ6は、制御信号出力回路4から出力される制御信号Siの値に応じた振れ量(つまり、電圧Vや接地抵抗Rxの測定値に応じた振れ量)で指針32を振らせて、電圧Vの測定値および接地抵抗Rxの測定値(厳密には、接地抵抗Rxと後述する接地抵抗Roとの合計抵抗の測定値)を指示する(図5,7,8参照)。この場合、指示メータ6は、電圧測定モードが選択されているときには、低電圧用測定レンジおよび高電圧用測定レンジのうちの、電圧Vの測定値が含まれるいずれかの測定レンジに対応する電圧用スケール41において(電圧用スケール41の範囲内で)指針32を振らせて電圧Vの測定値を指示する。また、指示メータ6は、接地抵抗測定モードが選択されているときには、抵抗用スケール42において(抵抗用スケール42の範囲内で)指針32を振らせて接地抵抗Rxの測定値を指示する。
次に、例えば、定格100Vの商用電源が引き込まれている家屋において、接地電極100を地中200に埋設し(図4参照)、その接地電極100の接地抵抗Rxを接地抵抗計1を用いて例えば2電極法で測定する際の測定手順、およびそのときの接地抵抗計1の動作について、図面を参照して説明する。なお、この接地抵抗計1では、上記した比較電圧Vrが、15Vの電圧Vの入力時において整流平滑回路2から出力される電圧値(15Vに対応する電圧値)に予め設定されているものとする。つまり、15Vを超える電圧Vが入力されたときには、電圧Vsが比較電圧Vrを超え、15V以下の電圧Vが入力されたときには、電圧Vsが比較電圧Vr以下となるように、比較電圧Vrが規定されている。また、同図に示すように、商用電源のコールド側(接地線側)端子300cが、図外の柱上変圧器における2次側の中性点に接続され、この中性点が、地中200に正しく埋設されている接地電極400に接続されている(つまり、コールド側端子300cが接地電極400に接続されている)ものとする。
接地抵抗Rxの測定に先立ち、2電極法による接地抵抗Rxの測定が可能であるか否かを判断するために、接地電極100が地中200に確実に埋設されているか否か、および接地電極100を埋設した地中200の地電圧(具体的には、地中200における接地電極100と接地電極400との間の電圧V(以下、この電圧Vを「電圧Vg」ともいう))が規定値(例えば10V)以下であるか否かの2つの点について判定する。
まず、接地電極100が地中200に確実に埋設されているか否かを判定するために、接地電極100と商用電源のホット側(活線側)端子300h(図4参照)との間の電圧V(以下、この電圧Vを「電圧Vc」ともいう)を測定する。この電圧Vcの測定では、図外のモード切り替えスイッチを操作して電圧測定モードを選択する。この場合、電圧測定モードが選択されている状態では、抵抗測定回路5とプローブ7a,7bとが切断されてプローブ7a,7bに対する測定用電流Imの供給が停止している。
次いで、図4に示すように、プローブ7a,7bの一方(例えば、プローブ7a)を接地電極100(接地電極100に接続されている導線)に接続すると共に、プローブ7a,7bの他方(例えば、プローブ7b)をホット側端子300hに接続する。続いて、整流平滑回路2が、プローブ7a,7bを介して入力した電圧Vcを整流・平滑化して電圧Vsを出力する。
ここで、接地電極100が地中200に埋設されていない(または、正しく埋設されていない)ときには、プローブ7a,7b間の電圧Vcがほぼ0V(または、0V)となる(つまり、電圧Vcが15V以下となる)。この場合、上記したように、電圧Vcが15V以下のときには、整流平滑回路2から出力される電圧Vsが比較電圧Vr以下となるため、レンジ特定回路3のオペアンプ11が作動信号Soを出力せずに、スイッチ22a,22bがオフ状態に維持される。この際には、制御信号出力回路4のオペアンプ21は、オフセット電圧Voの加算を行うことなく、電圧Vsを高い利得で増幅して制御信号Siを出力する。この場合、整流平滑回路2から出力される電圧Vsが、ほぼ0Vの電圧Vcに応じた低い値であるため、オペアンプ21からは、低い値の制御信号Siが出力される。
次いで、指示メータ6が、制御信号Siの値に応じた振れ量で指針32を振らせて電圧Vcの測定値を指示する。この場合、制御信号Siの値が、ほぼ0Vの電圧Vcに応じた低い値であるため、図3に示すように、その電圧Vcの測定値が含まれる低電圧用測定レンジに対応する低電圧用スケール41aの0Vを示す位置近傍に指針32が振れて、ほぼ0Vの測定値が指示される。このように、制御信号出力回路4は、電圧Vcの測定値に対応する電圧Vsが比較電圧Vr以下のときには、その電圧Vcの測定値が含まれる低電圧用測定レンジに対応する低電圧用スケール41aにおいて指針32が振れる振れ量となる制御信号Siを出力する。
この場合、測定者は、指示メータ6によって指示された電圧Vcの測定値がほぼ0Vであることから、接地電極100が正しく地中に埋設されていないおそれがあることを認識することができる。このため、この際には、測定を中断して接地電極100を埋設し直す必要があることを認識することができる。
一方、接地電極100が正しく地中200に埋設されているときには、電圧Vcの測定値が100V(または、ほぼ100V)となる(つまり、電圧Vcが15Vを超える)。この場合、上記したように、電圧Vcが15Vを超えるときには、整流平滑回路2から出力される電圧Vsが比較電圧Vrを超えるため、レンジ特定回路3のオペアンプ11が作動信号Soを出力する。これに応じて、制御信号出力回路4のスイッチ22a,22bがオフ状態からオン状態に移行する。この結果、オフセット電圧Vo(図2参照)が抵抗23aおよびスイッチ22aを介してオペアンプ21の反転入力端子に入力され、抵抗23cがスイッチ22bを介してオペアンプ21に接続される。この場合、オペアンプ21が、オフセット電圧Voを電圧Vsに加算すると共に、加算後の電圧を低い利得で増幅して制御信号Siを出力する。したがって、オペアンプ21からは、ほぼ100Vの電圧Vcの値に応じた値の制御信号Siが出力される。
次いで、指示メータ6が、制御信号Siの値に応じた振れ量で指針32を振らせて電圧Vcの測定値を指示する。この場合、制御信号Siの値が、ほぼ100Vの電圧Vcの測定値に応じた値であるため、図5に示すように、電圧Vcの測定値が含まれる高電圧用測定レンジに対応する高電圧用スケール41bの100Vを示す位置近傍に指針32が振れて、ほぼ100Vの値が指示される。このように、制御信号出力回路4は、電圧Vcの測定値に対応する電圧Vsが比較電圧Vrを超えるときには、その電圧Vcの測定値が含まれる高電圧用測定レンジに対応する高電圧用スケール41bにおいて指針32が振れる振れ量となる制御信号Siを出力する。
この場合、測定者は、指示メータ6によって指示された電圧Vcの値がほぼ100Vであることから、接地電極100が正しく地中に埋設されていることを認識することができ、この際には、接地電極100を埋設した地中200の電圧Vgが10V以下であるか否かを判定するために電圧Vgを測定する。
この電圧Vgの測定では、電圧測定モードを選択した状態で、図6に示すように、プローブ7aを接地電極100に接続すると共に、プローブ7bを商用電源のコールド側端子300cに接続する。続いて、整流平滑回路2が、プローブ7a,7bを介して入力した電圧Vgを整流・平滑化して電圧Vsを出力する。
この場合、例えば、電圧Vgの値が4Vのとき(つまり、電圧Vgが15V以下のとき)には、上記したように、電圧Vsが比較電圧Vr以下となるため、レンジ特定回路3のオペアンプ11が作動信号Soを出力せずに、スイッチ22a,22bがオフ状態に維持される。したがって、制御信号出力回路4のオペアンプ21は、オフセット電圧Voの加算を行うことなく、電圧Vsを高い利得で増幅して4Vの電圧Vgに応じた値の制御信号Siを出力する。
次いで、指示メータ6が、制御信号Siの値に応じた振れ量で指針32を振らせて電圧Vgの測定値を指示する。この場合、制御信号Siが4Vの電圧Vgに応じた値であるため、図7に示すように、電圧Vgの測定値が含まれる低電圧用測定レンジに対応する低電圧用スケール41aの4Vを示す位置近傍に指針32が振れて、4Vの測定値が指示される。
一方、図10に示す従来の接地抵抗計では、2つの測定レンジに対応する2つのスケール501,502が同じ長さで上下に並べられた状態でパネルに標示されているため、2つのスケール501,502の2つの異なる数値が指針503によって指示される結果、測定値の読み取り間違いが生じるおそれがある。これに対して、この接地抵抗計1では、上記したように、電圧Vの測定値が低電圧用測定レンジに含まれているときには低電圧用測定レンジに対応する低電圧用スケール41aにおいて指針32が振れ、電圧Vの測定値が高電圧用測定レンジに含まれているときには高電圧用測定レンジに対応する高電圧用スケール41bにおいて指針32が振れる。つまり、この接地抵抗計1では、指針32によって指示される数値が、いずれか一方の電圧用スケール41における1つの数値だけに限られる。このため、この接地抵抗計1では、従来の接地抵抗計とは異なり、測定値の読み取り間違いを確実に防止することが可能となっている。また、この接地抵抗計1では、電圧測定モードが選択されている状態において、測定値が含まれる測定レンジをレンジ特定回路3が特定して、制御信号出力回路4が、レンジ特定回路3によって特定された測定レンジに対応する電圧用スケール41において指針32が振れる振れ量となる制御信号Siを出力する(つまり、レンジ特定回路3が低電圧用測定レンジと高電圧用測定レンジとを自動的に切り替える)。このため、この接地抵抗計1では、切り替えスイッチを操作して測定レンジを選択する構成とは異なり、測定レンジの選択誤り起因して不正確な測定値が指示される事態が確実に防止されている。
ここで、上記した電圧Vgの測定において、その測定値が10Vを超えるときには、漏電が生じているおそれがあり、この際には2電極法による正確な接地抵抗Rxの測定が困難となる。したがって、地電圧の測定値が10Vを超えるときには、測定を中断して漏電の有無を検査する必要がある。一方、上記したように電圧Vgの測定値が10V以下(上記の例では4V)のときには、2電極法による正確な接地抵抗Rxの測定が可能なため、続いて、2電極法による接地抵抗Rxの測定を行う。
この2電極法による接地抵抗Rxの測定では、モード切り替えスイッチを操作して、接地抵抗測定モードを選択する。この際に、抵抗測定回路5とプローブ7a,7bとが接続されて、抵抗測定回路5によって生成された測定用電流Imがプローブ7a,7b間に供給される。次いで、図6に示すように、プローブ7aを接地電極100に接続すると共に、プローブ7bを商用電源のコールド側端子300cに接続する。これにより、プローブ7a,7b間に供給された測定用電流Imが、接地電極100および、図外の柱上変圧器介してコールド側端子300cに接続されている接地電極400に供給される。また、接地電極100,400に対する測定用電流Imの供給に伴い、接地電極100,400間に電圧Vが生じる。
次いで、抵抗測定回路5が、プローブ7a,7bを介して入力した接地電極100,400間の電圧Vに基づき、指針32の振れを電圧Vの値に応じた(つまり、接地抵抗Rxと接地抵抗Roとの合計抵抗の測定値に応じた)振れ量に制御する制御信号Siを出力する。続いて、指示メータ6が、図8に示すように、抵抗用スケール42において、制御信号Siの値に応じた振れ量で指針32を振らせる。これにより、同図に示すように、接地抵抗Rxと接地抵抗Roとの合計抵抗の測定値が指示される。この場合、柱上変圧器における2次側の中性点に接続されている接地電極400の接地抵抗Roは、一般的に、無視することができる程度に十分に小さい。このため、指針32によって指示された測定値を接地電極100についての接地抵抗Rxの測定値とすることができる。以上により、2電極法による接地抵抗Rxの測定が完了する。
このように、この接地抵抗計1では、同種の物理量としての電圧Vの測定値を示す2つの電圧用スケール41が2つの測定レンジにそれぞれ対応して標示されたパネル31および1つの指針32を有する指示メータ6を備え、指針32が振れている状態において1つの電圧用スケール41と指針32とが交差状態となりかつ他の電圧用スケール41と指針32とが非交差状態となるように各電圧用スケール41がパネル31に標示され、電圧Vの測定値が含まれる測定レンジに対応する電圧用スケール41において指針32が振れる。このため、この接地抵抗計1によれば、電圧Vの測定値が低電圧用測定レンジに含まれているときには低電圧用測定レンジに対応する低電圧用スケール41aにおいて指針32によって測定値が指示され、電圧Vの測定値が高電圧用測定レンジに含まれているときには高電圧用測定レンジに対応する高電圧用スケール41bにおいて指針32によって測定値が指示される。したがって、この接地抵抗計1によれば、2つの測定レンジに対応する2つのスケールが同じ長さで上下に並べられた状態でパネルに標示されて2つのスケールにおける2つの異なる数値が1つの指針によって指示される従来の接地抵抗計とは異なり、指針32によって指示される数値が、いずれか一方の電圧用スケール41における1つの数値だけに限られるため、測定値の読み取り間違いを確実に防止することができる。
また、この接地抵抗計1によれば、測定値が含まれる測定レンジを特定するレンジ特定回路3を備えたことにより、電圧Vの測定値に応じて測定レンジが自動的に選択されるため、切り替えスイッチを操作して測定レンジを選択する構成とは異なり、測定レンジの選択誤り起因して不正確な測定値が指示される事態を確実に防止することができる。
また、この接地抵抗計1によれば、接地抵抗Rxの値を示す抵抗用スケール42を電圧用スケール41に沿ってパネル31に標示し、接地抵抗Rxの測定モードが選択されたときに抵抗用スケール42において指針32が振れることにより、電圧Vおよび接地抵抗Rxの2つの物理量を指示する機能を1つのパネル31および1つの指針32(1つの指示メータ6)で実現することができるため、各物理量を別々のパネル31や指針32で指示する構成と比較して接地抵抗計1を安価にしかもコンパクトに構成することができる。
なお、低電圧用スケール41aおよび高電圧用スケール41bを1つの円弧上において互いに離間した状態でパネル31に標示した構成例について上記したが、図9に示すように、低電圧用スケール41aおよび高電圧用スケール41bを半径が互いに異なる円弧状として、指針32が振れている状態において1つの電圧用スケール41と指針32とが交差状態となりかつ他の電圧用スケール41と指針32とが非交差状態となるようにパネル31に標示した指示メータ106を採用することもできる。
また、弧を描くように指針32を振らせる(指針32を回動させる)構成例について上記したが、直線的に移動するように指針32を振らせる構成を採用することもできる。この構成を採用したときには、低電圧用スケール41aと高電圧用スケール41bとを1つの円弧上において互いに離間させた状態でパネル31に標示する構成に代えて、これらの電圧用スケール41を1つの直線上において互いに離間させた状態でパネル31に標示する構成を採用することができる。また、1つの直線に代えて、平行な2つの直線上においてそれぞれ1つの電圧用スケール41を標示して、指針32が振れている状態において1つの電圧用スケール41と指針32とが交差状態となりかつ他の電圧用スケール41と指針32とが非交差状態となるようにパネル31に標示した指示メータを採用することもできる。
また、2つの測定レンジに対応する2つの電圧用スケール41をパネル31に標示した構成例について上記したが、3つ以上の測定レンジに対応する3つ以上の電圧用スケール41をパネル31に標示することもでき、指針32が振れている状態において1つの電圧用スケール41と指針32とが交差状態となりかつ他の電圧用スケール41と指針32とが非交差状態となるように(一例として、1つの線分上において互いに離間した状態で)各電圧用スケール41をパネル31に標示することで、上記した効果と同様の効果を実現することができる。
さらに、接地抵抗Rxについても複数の測定レンジを規定して、各測定レンジにそれぞれ対応する複数の抵抗用スケール42をパネル31に標示することもでき、指針32が振れている状態において1つの抵抗用スケール42と指針32とが交差状態となりかつ他の抵抗用スケール42と指針32とが非交差状態となるように(一例として、1つの線分上において互いに離間した状態で)各電圧用スケール41をパネル31に標示することで、上記した効果と同様の効果を実現することができる。また、物理量の一例としての電圧V、および他の物理量の一例としての接地抵抗Rxを測定可能に構成された接地抵抗計1を例に挙げて説明したが、電圧Vおよび接地抵抗Rx以外の物理量(例えば、電流、電力、温度、速度など)を測定する各種の測定装置に適用することができる。また、制御信号Siとして、電流値を規定して指示メータ6に出力する例について上記したが、制御信号Siとして、電圧値を規定して出力する構成を採用することもできる。また、指示メータ6における指針32の振れ量を制御する構成(整流平滑回路2、レンジ特定回路3および制御信号出力回路4など)は上記の構成に限定されず、各種の公知回路を採用することができる。