JP5413298B2 - 樹脂積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
上記部材の使用時は、最表面のハードコート層と皮膚とが接触するため、皮膚からの分泌成分である皮脂や汗などによって形成された皮脂膜の付着によって、ハードコート層の表面が汚れてしまうという問題があった。
従来、汚れの防止技術として、フッ素系化合物やシリコン系化合物をハードコート層に含有させることにより、撥水性、撥油性を高め、汚れを付着させ難くする手法が開示されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
しかしながら、汚れの付着を完全に防ぐということは非常に困難であり、特に皮膚膜の付着による汚れを防ぐことは難しく、汚れが付着した場合、汚れの接触角が高くなって反射光が散乱し、更に目立ってしまうという問題があった。また、文字や模様などの印刷による加飾を施そうとすると、印刷インキをはじいてしまい、スクリーン印刷やグラビア印刷などでは印刷加装ができず、用途が限定されてしまうという問題もあった。
(1) 樹脂基材に、該樹脂基材の表裏両面または片面に紫外線硬化性化合物(A)、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)およびポリシロキサン化合物(C)を含む紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、
塗布された紫外線硬化性樹脂組成物を硬化する工程を有する樹脂積層体の製造方法。
(2) 前記紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、該ハードコート層の表面から100nmまでの部分における紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]が、0.0007以上、0.15である前記(1)項に記載の樹脂積層体の製造方法。
(3) 前記紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、該ハードコート層の表面から100nmまでの部分における紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有比[(Bs)/(As)]が、0.07以上、3.3以下である前記(1)または(2)項に記載の樹脂積層体
の製造方法。
(4) 前記樹脂基材が、アクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂を含む樹脂基材である前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の樹脂積層体の製造方法。
紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する方法としては、特に制限されないが、例えばロールコート法、フローコート法、スプレーコート法、カーテンコート法、ディップコート法、ダイコート法などの公知の方法を用いて、前記樹脂基材の表裏両面または片面に紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する。
その後、塗布された紫外線硬化性樹脂組成物を硬化する工程を有することにより、紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物であるハードコート層を形成する。
樹脂積層体の厚みは、特に制限されないが、特に上記用途に必要とされる耐衝撃性、加工性などの性能を維持しつつ、小型化、薄型化が可能とするためには、0.02mm以上、2mm以下が好ましい範囲である。特に保護カバーに対して、有効である。
化合物(A)、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)およびポリシロキサン化合物(C)を含む樹脂組成物であり、該樹脂基材の表裏両面または片面に塗布され、硬化される。
紫外線硬化性化合物(A)は、紫外線を照射されることより硬化する化合物であり、紫外線硬化性のオリゴマーまたは紫外線硬化性のモノマーであり、一般的な紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーのうちのいずれか単独、または紫外線硬化性オリゴマーおよび紫外線硬化性モノマーの組み合わせである。
紫外線硬化性のオリゴマーまたは紫外線硬化性のモノマーとしては、紫外線照射による硬化させる紫外線硬化性のオリゴマーまたは紫外線硬化性モノマーとして、一般的に使用されている化合物が使用可能である。
紫外線硬化性オリゴマーとしては、例えば、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。
ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、ポリオールとジイソシアネートを反応させて得られるイソシアネート化合物と、水酸基を有するアクリレートモノマーの反応により得られる。
エポキシアクリレートオリゴマーは、例えば、低分子量のビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラックエポキシ樹脂のオキシラン環とアクリル酸とのエステル化反応により得られる。
ポリエステルアクリレートオリゴマーは、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールの縮合によって両末端に水酸基を有するポリエステルオリゴマーを得、次いで、その両末端の水酸基をアクリル酸でエステル化することにより得られる。
紫外線硬化性オリゴマーは、特にウレタンアクリレートオリゴマーが好ましく、更には高硬度を達成するための6官能以上の紫外線硬化性オリゴマーと、柔軟性を付与する3官能以下の紫外線硬化性オリゴマーとの組み合わせが、優れた硬度と耐衝撃性のバランスを達成する上で、より好ましい。
紫外線硬化性のオリゴマーの分子量は、好ましくは300〜30000、特に好ましくは500〜10000である。なお、紫外線硬化性のオリゴマーの分子量は、重量平均分子量であり、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)により測定される
紫外線硬化性化合物(A)が、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその多量体であること、あるいは、5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその多量体と紫外線硬化性オリゴマーとの組み合わせであることにより、ハードコート層に必要な諸物性(耐擦傷性、耐摩耗性、耐衝撃性、加工性、柔軟性など)が高まる点で、好ましい。
特に、紫外線硬化性化合物(A)としては、上記5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーと、3官能以下のウレタンアクリレートオリゴマーとの組み合わせが、優れた硬度と耐衝撃性のバランスを達成できる点で好ましい。
上記5官能以上の多官能の紫外線硬化性モノマーまたはその2量体以上の化合物としては、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートなどが挙げられる。
なお、本発明において、「5官能」とは、一分子中の紫外線により重合反応する官能基、例えば、アクリル基、メタクリル基、ビニル基などの基の数が5である。
紫外線硬化性モノマーは、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ぺンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。
これらの中でも、特に環状構造を有する2官能アクリレートが、ハードコート層の硬度や耐熱性を高くすることができる点で、好ましい。
上記脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、アラキジン酸、リグノセリン酸などが挙げられる。
上記脂肪酸エステルとしては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル(モノグリセリド)、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、エトキシ化グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、トリオレイン、レシチン、などが挙げられる。具体的には、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、ヒマシ油(リシノール酸トリグリセリド)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、硬化ヒマシ油(水添リシノール酸トリグリセリド)、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレンデシルテトラデシルエーテルなどが挙げられる。
これらのうち脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、イソステアリン酸ポリ
オキシエチレン硬化ヒマシ油、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル、などのように、脂肪酸、脂肪酸エステルおよびまたはそれらの誘導体のうち、分子内に炭素数12以上の炭化水素(直鎖または環状)を1つ以上、かつ、繰り返し単位が合計で10以上となるポリエーテル鎖を同じ分子内に有する構造のものが好適であり、さらに、分子内に炭素数16から18の直鎖の炭化水素を2つ以上、かつ、繰り返し単位が合計で20から80のポリエーテル鎖を同じ分子内に2つ以上有する構造のものが、特に好適である。
含有比[(Bs)/(As)]をこの範囲とすることにより、皮脂膜の付着による汚れが目立つのを防止する効果が特に高まる。
さらに、表面に付着する皮脂膜の接触角を下げて目立たなくさせる効果や、皮脂膜の拭き取り性を顕著に向上させる効果が得られ、または、その充分な耐久性が得られるため、透過率の低下や、ヘイズの上昇などにより光学特性の劣化も発生せず、ハードコート層自体の性能も維持され、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)が表面に析出することはなく、外観上の不具合も発生しない。
なお、含有比[(Bs)/(As)]は、重量比である。また、重量比[(Bs)/(As)]は、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)が1種単独の場合は、その1種の含有量に基づいて算出され、また、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)が2種以上の組み合わせの場合は、それらの合計含有量に基づいて算出される。
また、ハードコート層の表面から100nmまでの部分とは、ハードコート層のうち、表面から100nmの位置から表面側の部分を指す。ハードコート層の表面から100nm以外の部分とは、ハードコート層のうち、表面から100nmの位置から樹脂基材側の部分を指す。
前記ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有比[(Bs)/(As)]は、飛行時間型二次イオン質量分析装置TOF−SIMS(Time Of Fright−Secondary IonMassSpectroscopy)を用いて、ハードコート層表面より紫外線硬化性化合物(As)の硬化物と脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を求め、得られた含有量の値より算出された値である。
含有比[(Bs)/(As)]を上記範囲とする方法としては、例えば、ハードコート層を形成する紫外線硬化性樹脂組成物中の紫外線硬化性化合物(A)および脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)の含有量を適宜調整することが挙げられる。
例えば、紫外線硬化性樹脂組成物中の紫外線硬化性化合物(A)100重量部に対して、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)を0.01〜5重量部配合することにより調整することが可能である。
含有比[(Br)/(Ar)]は、例えば、下記式(1)より算出することができる。
At:ハードコート層全体の(A)成分の含有量(重量)
Bt:ハードコート層全体の(B)成分の含有量(重量)
t :ハードコート層の厚さ(μm)
As:ハードコート層の表面から100nmの(A)成分の含有量(重量)
Bs:ハードコート層の表面から100nmの(B)成分の含有量(重量)
なお、ハードコート層全体の(A)成分の含有量とは、前記ハードコート層の表面から100nmまでの部分に含まれる(A)成分と前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分に含まれる(A)成分との合計に含有量である。同様に、ハードコート層全体の(A)成分の含有量とは、前記ハードコート層の表面から100nmまでの部分に含まれる(A)成分と前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分に含まれる(A)成分との合計に含有量である。
前記脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)が、ハードコート層の表面より深い部分まで高濃度に含有された場合、表面に付着する皮脂膜の接触角を下げて目立たなくさせることや、皮脂膜の拭き取り性を顕著に向上させる効果は得られるものの、透過率の低下や、ヘイズの上昇などにより光学特性の劣化が起こる場合や、ハードコート層自体の性能が低下してしまい、本発明の樹脂積層体の用途上好ましくない。
具体的には、変性ポリシロキサン化合物(C)としては、特にポリエーテル変性ポリジメチルシロキサンや、ポリエーテル変性ポリメチルアルキルシロキサンが、好ましい。変性ポリシロキサン化合物(C)に係る有機基としてのポリエーテル基としては、エチレンオキサイドもしくはポリプレンオキサイドの単独重合体、またはエチレンオキサイド若しくはポリプレンオキサイドの共重合体で構成される。
含有比[(Cs)/(As)]が、上記範囲内にあることにより、表面に付着する皮脂膜の接触角を下げて目立たなくさせることや、皮脂膜の拭き取り性を顕著に向上させる効果が高くなり、または耐久性も高くなる。さらに、ハードコート層の平滑性が得られ易くなり、ハードコート層自体の性能が高くなる。
上記、ハードコート層の表面から深さ100nmまでの部分の含有比[(Cs)/(As)]にするためには、適宜含有量を調整して作製する。例えば、紫外線硬化性化合物(A)100重量部に対して、変性ポリシロキサン化合物(C)を0.0001〜0.3重量部配合することにより調整することが可能である。
ることができ、また、ハードコート層と樹脂積層体との密着性がよく、塗膜の硬化収縮によるクラックなどが発生しない。
光重合開始剤は、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテルベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸などの芳香族ケトン類、ベンジルなどのアルファージカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、アセトフェノン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−プロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチル-プロパン−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−
2−モルホリノプロパノン−1などのアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノンなどのアントラキノン類、2,
4−ジメチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピ
ルチオキサントンなどのチオキサントン類、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイドなどのフォスフィンオキサイド類、1−フェニル−1,2
−プロパンジオン−2−[o−エトキシカルボニル]オキシムなどのアルファーアシルオキシム類、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルなどのアミン類などを使用することができる。光重合開始剤は、表面硬化性に優れるものと内部硬化性に優れるもの、2種以上を併用することが望ましい。
紫外線硬化性樹脂組成物の調製に用いられる溶剤は、紫外線硬化性樹脂組成物を樹脂積層体に塗工しやすくするために必要に応じて紫外線硬化性樹脂組成物に添加されるものである。
このようなものとしては例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭
化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、イソホロンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤を単独または混合して使用できる。
例えば、各成分を混合し、必要に応じて加温(60℃以下が望ましい)し、ディゾルバーなどの撹拌機や、ボールミルなどの分散装置を用いて均一になるまで、例えば1〜30分間程度、混合撹拌することにより調製することができる。
本発明の樹脂積層体の用途としては、携帯電話、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、テレビ、パソコン、携帯用ゲーム機、GPS(全地球測位システム)、タッチパネルなどの液晶表示部、ゴーグル、CD、DVDなどの保護カバーがあり、透明性、加工性、耐衝撃性の観点から、樹脂基材としては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂が好ましい。その他、樹脂基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂などの一般的な透明樹脂も好ましい。
樹脂基材の厚さは、特に限定されないが、特に上記用途に必要とされる性能(耐衝撃性、加工性など)を維持しつつ、小型化、薄型化するためには、0.02mm以上、2mm以下の範囲が好ましい。
原料は、以下のものを使用した。
<紫外線硬化性化合物(A)>
(A1)6官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB1290、ダイセルサイテック社製)《紫外線硬化性オリゴマー》
(A2)2官能ウレタンアクリレートオリゴマー(商品名:EB8402、ダイセルサイテック社製)《紫外線硬化性オリゴマー》
(A3)ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(商品名:A−DPH、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(A4)ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名:A−TMMT、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(A5)エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(商品名:A−BPE−4、新中村化学工業社製)《紫外線硬化性モノマー》
(B1)イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWIS−110、日本エマルジョン社製)
(B2)トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWS320、日本エマルジョン社製)
(B3)ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル
(商品名:GWIS−260EX、日本エマルジョン社製)
(B4)ラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:RWL−150、日本エマルジョン社製)
(B5)イソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:エマレックスRWIS−10、日本エマルジョン社製)
(B6)テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット
(商品名:エマノーン460V、花王社製)
(B7)テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット
(商品名:ニッコールGS460、日光ケミカルズ社製)
(B8)ポリオキシエチレンヒマシ油
(商品名:C−40日本エマルジョン社製)
(B9)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(商品名:エマノーンCH−60、花王社製)
(B10)ポリオキシエチレンフィトステロール
(商品名:ニッコールBPS−10、日光ケミカルズ社製)
(B11)ポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル
(商品名:エマレックスDICD−30、日本エマルジョン社製)
<変性ポリシロキサン化合物(C)>
(C1)変性ポリシロキサン化合物(商品名:SH28PA、東レ・ダウコーング社製)(C2)変性ポリシロキサン化合物(商品名:グラノール400、共栄社化学社製)
<光重合開始剤>
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、チバ・ジャパン社製)
(A)紫外線硬化性化合物として、EB1290/EB8402/A−TMMT/A−BPE−4を40/10/40/10の比率で配合し、紫外線硬化性化合物の濃度が20重量%となるように、プロピレングリコールモノメチルエーテル/イソブチルアルコールの50/50混合希釈溶剤で希釈した。ここへ、光重合開始剤としてイルガキュア184を紫外線硬化性化合物比で5重量%添加した。これに(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体としてイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−110)を、表1に示す配合割合で加え、配合液を充分に攪拌して紫外線硬化性樹脂組成物とした後、密閉容器に保存した。
樹脂基材として、厚さ1.5mmのアクリル樹脂基材(PMMA 住友化学社製「スミペックスE」)を準備し、バーコーターを用いて、ウェット膜厚が約15μmになるように前記作製した紫外線硬化性樹脂組成物を樹脂基材上に塗布した。
紫外線硬化性樹脂組成物を塗布した樹脂基材を50℃の熱風循環型オーブンに入れ、10分間乾燥した後、メタルハライドランプ(ウシオ電機社製)を用い、紫外線を照射して塗膜を硬化させ、膜厚3μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は1.1であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(A)紫外線硬化性化合物として、EB1290/EB8402/A−TMMT/A−
BPE−4の比率を55/5/30/10に変更し(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をトリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWS320)に変更した以外は、実施例1と同様にして膜厚3μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.9であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。<実施例3>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−260EX)に変更し、(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体と同時に(C)変性ポリシロキサン化合物としてSH28PAを、表1に示す配合割合で添加し、ウェット膜厚を約25μmとして塗布した以外は実施例1と同様にして膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は1.0、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.005であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(A)紫外線硬化性化合物のうち、EB1290をA−DPHに変更し、(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をラウリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(RWL−150)に変更し、(C)変性ポリシロキサン化合物としてSH28PAを添加し、ウェット膜厚を約25μmとして塗布した以外は、実施例3と同様にして膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は2.1、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.05であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
<実施例5>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をイソステアリン酸ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(RWIS−10)に変更し、希釈溶剤をプロピレングリコールモノメチルエーテル/イソブチルアルコールの80/20混合希釈溶剤に変更し、樹脂基材を厚さ0.5mmのポリカーボネート樹脂基材(PC 住友ベークライト社製「ポリカエース」)に変更し、乾燥温度を70℃に変更し乾燥時間を5分間とした以外は、実施例3と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は3、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(
As)]は、0.1であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体としてテトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット(460V)に変更し、(C)変性ポリシロキサン化合物をグラノール400に変更し、樹脂基材を、厚さ188μmのポリエチレンテレフタレート樹脂基材(PET 東洋紡社製「コスモシャインA4300」)に変更した以外は実施例3と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.1、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.001であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
<実施例7>
(A)紫外線硬化性化合物の、A−DCP/EB8402/A−TMMT/A−BPE−4の比率を70/10/10/10に変更し、(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をテトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビット(GS460)に変更し、(C)変性ポリシロキサン化合物をグラノール400に変更した以外は、実施例3と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.5、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.005であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(A)紫外線硬化性化合物として、EB1290/A−DCP/EB8402/A−TMMT/A−BPE−4の比率を30/30/20/10/10とし、(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をポリオキシエチレンヒマシ油(C−40)に変更し、ウェット膜厚を約40μmとして塗布した以外は、実施例7と同様にして、膜厚8μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は1.8、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.03であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
<実施例9>
(A)紫外線硬化性化合物として、EB1290/A−DCP/EB8402/A−B
PE−4の比率を25/30/25/20とし、(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(CH−60)に変更した以外は、実施例7と同様にして、膜厚8μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.8、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.015であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をポリオキシエチレンフィトステロール(BPS−10)に変更し、ウェット膜厚が約15μmとした以外は、実施例7と同様にして、膜厚3μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は1.5、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.02であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
<実施例11>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体をポリオキシエチレン水添ダイマージリノール酸エステル(DICD−30)に変更した以外は、実施例10と同様にして、膜厚3μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Asの硬化物)に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は2.3、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.07であった。また、前記ハードコート層の表面から100nm以外の部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(Ar)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Br)の含有比[(Br)/(Ar)]は、上記式(1)より算出し、0.08以下であった。
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体である、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−110)を、表1に示す配合割合で加えたこと以外は、実施例1と同様にして膜厚3μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は3.6であった。
<比較例2>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルそれらの誘導体である、ジイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル(GWIS−260EX)を、表1に示す配合割合で添加とした以外は、実施例3と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の
含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.05、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.005であった。
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体を加えなかったこと以外は、実施例7と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有量を測定したところ、含有比[(Cs)/(As)]は0.005であった。
<比較例4>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体を、表1に示す配合割合で添加とし、(C)成分を過剰に添加したこと以外は、実施例7と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は0.5、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.3であった
<比較例5>
(B)脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体、および(C)変性ポリシロキサン化合物を、表1に示す配合割合で添加したこと以外は、実施例7と同様にして、膜厚5μmのハードコート層を有する樹脂積層体を得た。
ハードコート層の表面から100nmの部分におけるハードコート層の紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有量を測定したところ、含有比[(Bs)/(As)]は4.3、同様に紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]は、0.2であった
<含有比率([(Bs)/(As)]および[(Cs)/(As)])の測定方法>
ハードコート層の表面から100nmの部分の測定は、飛行時間型二次イオン質量分析装置TOF−SIMS(Time Of Fright−Secondary IonMassSpectroscopy)を用いて実施した。作製した樹脂積層体を用いて、樹脂積層体の試料表面からイオンによるスパッタリングを行いながら測定することで、ハードコート層の表面から深さ100nmまでの各成分の含有量を測定した。あらかじめ各成分を用いて固有ピークを特定しておき、測定ピークとした。各成分の含有量は、最表面から、深さ100nmまでの部分の平均値とした。比率は、重量比とした。
作製した樹脂積層体を用いて、暗室内で、20Wの3波長型蛍光灯の直下10cmの距離で目視観察し、ハードコート表面の曇りや析出物の有無、表面の平滑性を確認した。
<光学特性>
作製した樹脂積層体を用いて、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電飾工業社製)を用いて、JIS K 7105に準拠して、全光線透過率(Tt)、ヘイズ(Hz)を測定した。
作製した樹脂積層体を用いて、スチールウール#0000を直径10mmの保持具に取り付け、一定荷重(500g)、一定速度(6000mm/min)にて100往復した
後、試料表面の傷の有無を目視により観察し、以下の基準により評価した。
A:傷が付かない/実用上優れる
B:数本の傷が付く/実用上充分
C:全体に傷が付く/実用上劣る
皮脂膜の付着汚れ防止性I(付着汚れの目立たなさ/見えにくさ)
皮脂成分としてトリオレインを人差し指に付着させ、その指を作製した樹脂積層体のハードコート層表面に一定荷重(1kg)で押し当てて再転写させた。トリオレインを転写させたハードコート層表面を顕微鏡(キーエンス社製VK9700)より倍率200倍にて観察した。
トリオレインの付着状態により以下の基準により評価した。
A:指紋状に付着したトリオレインが、面積で70%以上が濡れ拡がっている状態(直径100μm以下の液滴ではない状態)(指紋が非常に見えにくい)
B:指紋状に付着したトリオレインが、面積で50%以上70%未満が濡れ拡がっている状態(直径100μm以下の液滴ではない状態)(指紋が見えにくい)
C:指紋状に付着したトリオレインが、面積で50%を超え、直径100μm以下の液滴の状態になっており、濡れ拡がっていない状態(指紋が見えやすい)
上記と同様にトリオレインをハードコート層表面に転写させた後、ワイパー(商品名:ハンディワイパー、クラレ社製)を直径30mmの保持具に取り付け、一定荷重(1kg)、一定速度(6000m/min)にて50往復させ、その試験体の表面を暗室内で、20Wの3波長型蛍光灯の直下10cmの距離で目視観察し、トリオレインの付着状態を確認した。また、ヘイズメーター(商品名:NDH2000、日本電飾工業社製)を用いて、JIS K 7105に準拠して、試験前と比較したヘイズの増加(ΔH)を測定した。
A:皮脂膜がほぼ完全に拭き取られており、ΔHが0.05%未満
B:皮脂膜がほぼ拭き取られており、ΔHが0.05%以上、0.2%未満
C:皮脂膜がほとんど拭き取られておらず、白く曇っており、ΔHが0.2%以上
また、実施例1〜11について、印刷性の評価を実施し、印刷性については特に問題はなく良好であった。
一方、(B)成分が過剰に含有された比較例1と、(B)成分(C)成分共に過剰に含有された比較例5では、ハードコート性や外観に問題があり、皮脂膜の付着汚れ防止性の評価は実施しなかった。また、(C)成分は適正量含有するものの、(B)成分の含有量が適性範囲未満である比較例2、(B)成分を含有せず、(C)成分を適性範囲で含有している比較例3、(C)成分が過剰に含有された比較例4とにおいては、ハードコート性、外観は問題ないものの、充分な皮脂膜の付着汚れの防止性が得られなかった。
Claims (4)
- 樹脂基材に、該樹脂基材の表裏両面または片面に紫外線硬化性化合物(A)、脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(B)およびポリシロキサン化合物(C)を含む紫外線硬化性樹脂組成物を塗布する工程と、
塗布された紫外線硬化性樹脂組成物を硬化する工程を有する樹脂積層体の製造方法。 - 前記紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、該ハードコート層の表面から100nmまでの部分における紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する変性ポリシロキサン化合物(Cs)の含有比[(Cs)/(As)]が、0.0007以上、0.15である請求項1に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 前記紫外線硬化性樹脂組成物の硬化物からなるハードコート層が、該ハードコート層の表面から100nmまでの部分における紫外線硬化性化合物(As)の硬化物に対する脂肪酸、脂肪酸エステルまたはそれらの誘導体(Bs)の含有比[(Bs)/(As)]が、0.07以上、3.3以下である請求項1または2に記載の樹脂積層体の製造方法。
- 前記樹脂基材が、アクリル樹脂またはポリカーボネート樹脂を含む樹脂基材である請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂積層体の製造方法。
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