JP5409414B2 - 定着装置及びこれを搭載した画像形成装置 - Google Patents
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一方、この摺動ベルトを用いる場合には、摺動部材がベルト内部に設けられる。薄肉のベルトと加圧ローラとの間にニップを形成させるためである。そして、この摺動部材を、特許文献2等の如くコイルの磁界によって発熱可能に構成すれば、非通紙域での過昇温を防止できる。
ここで、本発明のコイル保持部は、その外周面が上記回転軸線方向(長手方向)に延びており、ラジアル方向で螺旋状に巻回されたコイルを保持するのみならず、この回転軸線方向に延びた外周面で摺動部材を加圧回転体に向けて押圧支持しており、この摺動部材を加熱回転体に強く圧して摺動部材の特に長手方向中央部分の撓みを抑制する。この結果、加熱回転体の内側に、ラジアル巻きのコイルや発熱する摺動部材を備えた構造であっても、コイルと摺動部材との接触を回避しつつ、これら加熱回転体と加圧回転体との間に所望のニップ長を確保できる。
第2の発明によれば、第1の発明の作用に加えてさらに、摺動部材をコイル保持部から延びたリブで支持すれば、コイルと摺動部材との接触を確実に回避できる。さらに、コイル間のピッチが同じになるため、均一な磁界が得られ、発熱性能の向上に寄与する。
第4の発明は、第1から第3の発明の構成において、コイル保持部は、回転軸線方向でみた摺動部材の略中央部分を加圧回転体に向けて押圧支持する補強部材を備えられていることを特徴とする。
第5の発明は、第1から第4の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を記録媒体に定着させる画像形成装置であることを特徴とする。
図1は、一実施形態の画像形成装置1の構成を示した概略図である。画像形成装置1は、例えば外部から入力された画像情報に基づいて記録媒体の一例としての用紙の表面にトナー画像を転写して印刷を行うプリンタ、複写機、ファクシミリ装置、それらの機能を併せ持つ複合機等としての形態をとることができる。また、以下の実施形態では、記録媒体は用紙に限らず、用紙以外の記録媒体(OHPシートなど)であっても実施可能である。
装置本体2内において、その下部には、用紙を収納する給紙カセット5が配設されている。また、装置本体2内の中央部には、給紙カセット5に収容していない用紙を装置本体2へ供給するスタックトレイ6が配設されている。そして、装置本体2の上部には画像形成部7が設けられており、この画像形成部7は、画像形成装置1と接続されたPC等の上位装置から送信される文字や絵柄などの画像データに基づいて用紙に画像を形成する。
第1の搬送路9と第2の搬送路10とはレジストローラ対22の手前で合流しており、レジストローラ対22に到達した用紙はここで一旦待機し、スキュー調整とタイミング調整を行った後、二次転写部23に向けて送出される。送出された用紙には、二次転写部23で中間転写ベルト40上のフルカラーのトナー画像が用紙に二次転写される。この後、定着ユニット14でトナー画像が定着された用紙は、必要に応じて第4の搬送路12で反転され、最初とは反対側の面にも二次転写部23でフルカラーのトナー画像が二次転写される。そして、反対面のトナー画像が定着ユニット14で定着された後、第3の搬送路11を通って排出ローラ対24により排出トレイ3に排出される。
各画像形成ユニット26〜29は、感光体ドラム32と、感光体ドラム32の周面に対向して配設された帯電部33と、帯電部33の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面上の特定位置にレーザビームを照射するレーザ走査ユニット34と、レーザ走査ユニット34からのレーザビーム照射位置の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設された現像部35と、現像部35の感光体ドラム32の回転方向下流側であって感光体ドラム32の周面に対向して配設されたクリーニング部36とを備えている。
第1の搬送路9や第2の搬送路10は、給紙カセット5やスタックトレイ6から繰り出されてきた用紙を二次転写部23側に搬送するものであり、装置本体2内で所定の位置に配設された複数の搬送ローラ対43と、二次転写部23の手前に配設され、画像形成部7における画像形成動作と給紙動作とのタイミングを取るためのレジストローラ対22とを備えている。
〔定着ユニットの詳細〕
次に、本実施形態の画像形成装置1に適用された定着ユニット14の詳細について説明する。
また、図2に示されるように、加圧ローラ44にはステッピングモータ66が装備されており、加圧ローラ44はこのモータ66からの動力により、搬送される用紙の幅方向に延びた軸線回りに回転する。この加圧ローラ44の回転駆動(図3でみて反時計回り)に伴い、摺動ベルト45が従動回転(図3でみて時計回り)し、摺動ベルト45と加圧ローラ44との間にはニップが形成される。
この他に定着ユニット14は、摺動ベルト45の内側にIHコイルユニット(電磁誘導加熱ユニット)50を備えている(図1には示されていない)。IHコイルユニット50は、細い線材を束ねたリッツ線である誘導加熱コイル(コイル)52をはじめ、上記ニップを形成させる摺動部材80や、誘導加熱コイル52の周囲にて磁路を形成するべく、フェライト等の強磁性体で構成された不図示のコア部から構成されている。
誘導加熱コイル52は、摺動ベルト45を誘導加熱するための磁界(磁束)を発生させる。そのため、誘導加熱コイル52は摺動ベルト45の内面48に沿って配置される。実際には、摺動ベルト45の内側にはコイルボビン(コイル保持部)53が配置されており(図3)、このコイルボビン53上に誘導加熱コイル52が巻線状に配置される構成である。
コイルボビン53は、摺動ベルト45の内面48に沿う円筒状に成形され、摺動ベルト45の回転軸線方向(長手方向)に沿って延びている。そして、本実施例のコイル52は、コイルボビン53の外周面にて当該長手方向に交差する方向、つまり、ラジアル方向に巻き回されており(図4)、本実施例のコイルボビン53は上記長手方向に沿って螺旋状に巻回されたコイル52を保持する。なお、コイルボビン53の材質は、耐熱性樹脂(例えばPPS、PET、LCP)であることが好ましく、また、コイル52のコイルボビン53への固定は例えばシリコン系接着剤を用いて行う。
摺動部材80は、上記長手方向に沿って延びた薄板状に形成され、摺動ベルト45の内面48にて加圧ローラ44との対峙部分に固定して配置されており(図3,4)、この固定の摺動部材80の下面部分が回転する摺動ベルト45の内面48に擦れ合って接触し、摺動ベルト45と加圧ローラ44との間に上記ニップを形成させる。詳しくは、摺動部材80は、その長手方向に亘って加圧ローラ44からの押圧力を受けており、摺動ベルト45と加圧ローラ44との間にはトナー画像を用紙に定着させるフラットなニップが形成されている。
また、本実施例の摺動部材80はコイル52からの磁束によって発熱可能に構成されている。具体的には、図3に示される如く、摺動部材80は、透磁性・導電性の発熱層82と非磁性・導電性の支持層86との2層で形成される。
まず、発熱層82は、整磁材料(例えばFe−Ni合金など)で構成された上記長手方向の長さ294mm、厚み0.6mm程度の薄板状であり、その上面83がコイル52の外周面に対峙している(図4)。そして、発熱層82は、常温では磁性を有するのに対し、この発熱層82が所定の温度(キュリー温度)以上になると磁性が消失して非磁性(常磁性)になる性質を有しており、自己温度制御可能に構成されている。
一方、支持層86は発熱層82と摺動ベルト45との間に位置し、図4に示す支持層86の下面88が摺動ベルト45の内面48に摺接する。
この支持層86は、例えばアルミニウム若しくは銅で構成された上記長手方向の長さ294mm、厚み0.03mm程度の薄板状であり、その上面部分が発熱層82の下面部分に重ねられて一体形成されており、発熱層82が上述した所定の温度以上になっても発熱し続けるのを抑制する機能を有している。
ところで、摺動部材80は、コイルボビン53によって摺動ベルト45に向けて押圧支持されている。
詳しくは、図4に示されるように、コイルボビン53は、その外周面のうち発熱層82に対峙した位置に複数のリブ70を有する。本実施例のリブ70は上記長手方向に沿って略等間隔で突設され(図4)、コイルボビン53の外周面から発熱層82に向けて突き出ている。そして、コイル52は、各リブ70の間に巻き回されるとともに、これら各リブ70の先端面71が発熱層82の上面83に当接することにより、各リブ70は支持層86の下面88を摺動ベルト45の内面48に向けて強く圧している。
〔補強部材〕
コイルボビン53による摺動部材80への押圧力は、リブ70の他、例えば金属製(例えば、SUS)の補強部材90によって確実になる(図3)。具体的には、この補強部材90は、コイルボビン53の内側にて上記長手方向に沿って延びており、摺動部材80の法線方向、つまり、図3の姿勢で云えば上下方向でコイルボビン53を支持する。この結果、摺動部材80への押圧力によって円筒状のボビン53に生じた反力は補強部材90で受けられる。
また、このコイルボビン53の内周面には、補強部材90の他、上述したコア部も配置されており、上記長手方向に沿って延びてコイル52の周囲にて磁路を形成する。
そして、上記の如く構成された定着ユニット14では、不図示の高周波電源からコイル52に高周波電流が供給されると、コイル52には磁界が発生する。この磁界はコイルボビン53の径方向外側に向かって進み、摺動ベルト45及び摺動部材80に到達して発熱させる。
一方、発熱層82は、その温度がキュリー温度に達すると非磁性になる。例えば、仮に幅の狭い用紙を連続して通過させると、上記長手方向に延びた発熱層82のうち通紙領域よりも外側部分の温度は上昇して当該キュリー温度を超える。この結果、発熱層82は非磁性となり、磁界は発熱層82を貫通して支持層86に到達する。
さらに、摺動ベルト45は、可撓性を有した薄肉で形成されて加圧ローラ44に対峙しており、例えばヒートローラや定着ローラの如く厚肉のローラで構成する場合に比して熱容量が少なくなることから、安定時間が約10秒間程度で足り、ウォームアップタイムの削減及び省エネルギー化に寄与する。
さらに、摺動部材80が透磁性・導電性の発熱層82及び非磁性・導電性の支持層86との2層である。発熱層82は、その温度によって透磁率が変化する感温磁性材料で構成され、コイル52と支持層86との間に配置されている。換言すれば、この支持層86が発熱層82と摺動ベルト45の内面48との間に狭持されている。
さらにまた、補強部材90が、摺動部材80の長手方向略中央部分を加圧ローラ44に向けて押圧支持するため、摺動部材80の撓みをより一層抑制できる。
本発明は上述した実施形態に制約されることなく、種々に変形して実施可能である。例えば、コア部の構成は中実状或いは中空状のいずれでも良く、また、回転若しくは固定のセンタコアにも適用可能である。
そして、これらいずれの場合にも上記と同様に、コイルと摺動部材との接触を回避しつつ、所望のニップ長を確保できるとの効果を奏する。
7 画像形成部
14 定着ユニット(定着装置)
44 加圧ローラ(加圧回転体)
45 摺動ベルト(加熱回転体)
50 IHコイルユニット(電磁誘導加熱ユニット)
52 誘導加熱コイル(コイル)
53 コイルボビン(コイル保持部)
70 リブ
71 先端面
80 摺動部材
82 発熱層
86 支持層
90 補強部材
Claims (4)
- 記録媒体に画像を定着するための定着装置であって、
搬送される前記記録媒体の幅方向に延びた軸線周りに回転し、可撓性を有した加熱回転体と、
前記加熱回転体の内面にて、この回転軸線に交差する方向に巻き回されてこの加熱回転体を誘導加熱するための磁界を発生させるコイル、前記回転軸線方向に延びてその外周面に前記コイルを保持するコイル保持部、前記コイル保持部の外周面に略等間隔で形成された複数のリブ、及び、前記磁界によって発熱し、前記回転軸線方向に延びて前記加熱回転体と対峙した加圧回転体との間にその長手方向に亘るニップを形成させる摺動部材をそれぞれ備えた電磁誘導加熱ユニットとを具備しており、
前記摺動部材は、前記リブの先端面に当接して前記コイル保持部によって前記加圧回転体に向けて押圧支持されており、且つ、
前記コイルは、前記リブの配置間隔と等しい巻き間隔で前記各リブの間に巻き回されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1に記載の定着装置であって、
前記摺動部材は、常温では磁性を有するも所定の温度以上になるとこの磁性が消失する整磁材料で構成された発熱層と、前記発熱層に重ねられ、その磁性の消失によって到達する磁界を用い、この発熱層が前記所定の温度以上になっても発熱し続けるのを抑制する材料で構成された支持層とを備え、
この支持層が前記発熱層と前記加熱回転体との間に狭持されていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1又は2に記載の定着装置であって、
前記コイル保持部は、前記回転軸線方向でみた前記摺動部材の略中央部分を前記加圧回転体に向けて押圧支持する補強部材を備えられていることを特徴とする定着装置。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の定着装置を搭載し、これを用いて画像形成部で形成されたトナー画像を前記記録媒体に定着させることを特徴とする画像形成装置。
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