JP5407158B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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しかし、長時間の運転中、定着部材の表面に残留するトナーが研磨手段の表面に付着し、この付着したトナーによって、定着部材の表面に更に傷が生じる場合が考えられる。また、研磨手段の表面にトナーが堆積すると、所定の効果が得られなくなるという問題がある。
請求項3に係る発明は、前記表面調整層に含まれる前記無機粒子は、平均粒径2μm〜50μmの球状粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置である。
請求項7に係る発明は、前記表面調整層に含まれる前記無機粒子は、平均粒径2μm〜50μmの球状粒子であることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置である。
図1は、本実施の形態が適用される画像形成装置1の全体構成を示した図である。図1に示す画像形成装置1は、所謂タンデム型のカラープリンタであり、各色の画像データに対応して画像形成を行う画像形成プロセス部10、画像形成装置1全体の動作を制御する制御部30、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)3や画像読取装置4等の外部装置に接続され、これらから受信された画像データに対して所定の画像処理を施す画像処理部35、各部に電力を供給する主電源50を備えている。
また、各画像形成ユニット11は、現像器14に収納されるトナーを除いて、略同様に構成される。そして、各画像形成ユニット11は、それぞれがイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)のトナー像を形成する。
このようにして、画像形成装置1での画像形成がプリント枚数分のサイクルだけ繰り返して実行される。
次に、定着装置60について説明する。
図2は本実施の形態の定着装置60の構成を示す側断面図である。この定着装置60は、定着ベルトモジュール(定着部材)61と、定着ベルトモジュール61に対して圧接して配置された加圧ロール(加圧部材)62と、内部にハロゲンヒータ(加熱手段)618aを備え、後述する定着ベルトモジュール61の定着ベルト610に接触しつつ定着ベルト610の表面を所定の表面粗さRaに調整する表面調整ロール(表面形状調整部材)618と、を備えている。
定着ベルトモジュール61は、ベルト部材の一例としての定着ベルト(無端ベルト)610、定着ベルト610を掛け渡しながら回転駆動する定着ロール(回動部材)611、内側から定着ベルト610を掛け渡すテンションロール612、外側から定着ベルト610を掛け渡す外部加熱ロール(加熱部材)613、定着ロール611とテンションロール612との間で定着ベルト610の姿勢を矯正しつつ前述した表面調整ロール618に対し定着ベルト610を挟んで対向する位置に設けられた対向ロール614、定着ベルトモジュール61と加圧ロール62とが圧接される領域であるニップ部N内の下流側領域に配置され、用紙Pを定着ベルト610から剥離する剥離パッド(剥離部材)64、ニップ部Nの下流側であって、定着ベルト610が再び定着ロール611に掛け渡されるまでの領域において定着ベルト610を掛け渡すアイドラーロール615を備えている。
また、定着ロール611の内部には、加熱源として定格900Wのハロゲンヒータ616aが配設され、定着ロール611の表面に接触するように配置された温度センサ617aの計測値に基づき、画像形成装置1の制御部30(図1参照)が定着ロール611の表面温度を150℃に制御している。
また、テンションロール612の両端部には、定着ベルト610を外側に押圧するバネ部材(不図示)が配設されている。それにより、テンションロール612は、定着ベルト610の張力を所定値(例えば、15kgf)に調整する機能を有する。
このように、定着ロール610とテンションロール612及び外部加熱ロール613に掛け渡された定着ベルト610の表面温度は、周方向位置により異なるが、例えば、表面調整ロール618が押圧される位置では、通常180℃〜185℃である。
また、表面調整ロール618に対し定着ベルト610を挟んで対向する位置に設けられた対向ロール614は、例えば外径20mm、長さ380mmの弾性層を有するスポンジロールである。
また、アイドラーロール615は、例えば外径12mm、長さ360mmのステンレスで形成された円柱状ロールである。ニップ部Nを通過した定着ベルト610が定着ロール611に向けて円滑に移動するように、剥離パッド64の定着ベルト610移動方向下流側近傍に配置される。
加圧ロール62は、例えば、直径45mm、長さ360mmのアルミニウムからなる円柱状ロール621を基体として、基体側から順に、シリコーンゴムからなる厚さ10mmの弾性層622と、膜厚100μmのPFAチューブからなる離型層623とが積層されて構成されたソフトロールである。そして、加圧ロール62は、定着ベルトモジュール61に押圧されるように設置され、定着ベルトモジュール61の定着ロール611が矢印C方向へ回転するのに伴い、定着ロール611に従動して矢印E方向に回転する。その移動速度は、定着ロール611の表面速度と同じ440mm/sである。
次に、表面形状調整部材の表面調整ロール618について説明する。
図3は、本実施の形態における表面調整ロール618の断面構造を説明する図である。図3に示すように、表面調整ロール618は、金属製の円柱状ロールからなる基体618bと、定着ベルト610(図2参照)に接触する表面調整層618dとを有している。
表面調整ロール618の表面温度を定着ベルト610の表面温度より高温にすることにより、表面調整ロール618の表面にトナーの付着を防止することができる。ここで、表面調整ロール618の表面温度は、定着ベルト温度より通常10℃以上高く、好ましくは定着ベルト温度より15℃以上高く設定されるが、耐熱温度以下である必要があるため、通常250℃以下に設定されている。
尚、基体618bは、例えば、外径30mm、長さ350mmのステンレス(SUS)で形成された円柱状ロールである。
表面調整層618dがフッ素樹脂及び平均粒径2μm〜50μmの無機粒子を含むことにより、無機粒子の種類に応じて、定着ベルト610の表面を研磨したり、定着ベルト610の表面に無機粒子の粒径に相当する凹凸形状を付与することが可能となる。そして、定着ベルト610の表面が所定の表面粗さRaの範囲に調整されることにより、定着動作の際に生じる定着ベルト610の表面に生じる傷跡や筋跡に起因する画像不良の発生を低減させることができる。
このとき、定着ベルト610の表面は、表面粗さRa0.5μm〜0.2μm、特に0.1μm〜0.15μmの範囲に調整されることが好ましい。
表面調整層618dにフッ素樹脂が含まれることにより、表面調整ロール618の表面にトナーの付着を防止することができ、それによって、表面調整ロール618の性能を長期間に亘り維持することが可能となる。
無機粒子の形状は、球状、棒状、針状、繊維状等が挙げられ、中でも球状が好ましい。
これらの化合物を用いてプライマー層618cを形成することにより、基体618bと表面調整層618dとの接着を行うことが可能となる。
この場合、所定の荷重をかけて表面調整ロール618を定着ベルト610(図2参照)の表面に接触させることにより、表面調整ロール618の表面に形成された凹凸形状が型押しされ、定着ベルト610の表面に所定の凹凸形状を付与することが可能となる。そして、表面調整層618dの第1の実施形態と同様に、定着ベルト610の表面が所定の表面粗さRaの範囲に調整され、定着ベルト610の表面に生じる傷跡や筋跡に起因する画像不良の発生を低減させることができる。
尚、この場合、フッ素樹脂は、プライマー層618cを介してブラスト処理が施された基体618bの表面に固着されてもよく、また、プライマー層618cを設けることなく予め成形したフッ素樹脂チューブ等を加熱融着させても良い。
表面調整ロール618の調製方法は、特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂及び無機粒子を共通溶媒に溶解した混合溶液を調製し、この混合溶液を基体618bの表面に所定の厚さに塗布する方法が挙げられる。また、基体618bを前述したフッ素樹脂及び無機粒子を含む混合溶液中に浸漬した後これを引き上げ、溶媒を除去する方法等が挙げられる。上述した調製方法により、表面調整ロール618の表面調整層618dは、表面粗さRaが2μm〜10μm、好ましくは4μm〜5μmとなるように調製される。
画像形成装置1の二次転写部T(図1参照)において未定着トナー像が静電転写された用紙Pは、搬送ベルト76,77および定着装置60の入口ガイド78により、定着装置60のニップ部Nに向けて(図2参照:矢印F方向)搬送される。そして、ニップ部Nを通過する用紙P表面の未定着トナー像は、ニップ部Nに作用する圧力と熱とにより用紙Pに定着される。
ニップ部Nを通過する用紙Pは、加圧ロール62に剥離パッド64が押圧されることにより大きく屈曲した定着ベルト610との付着力が弱められ、用紙P自身が有している紙のコシによって定着ベルト610から剥離する。
そして、定着ベルト610から分離された用紙Pは、ニップ部Nの下流側に配設された剥離案内板83により案内された用紙Pは、その後、排紙ガイド65および排紙ロール66によって機外に排出されて(図2参照)、定着処理が完了する。
表面調整ロール618が定着ベルト610の回転に伴い従動回転することにより、定着ベルト610の表面に生じる用紙突入傷に類似する形状の凹凸を、定着ベルト610の表面に付与することが可能となる。
また、このとき、表面調整ロール618の内部に設けたハロゲンヒータ618aにより、表面調整層618dの温度は、定着ベルト610の表面温度より高温に保持され、定着ベルト610の表面に残留しているトナーが表面調整ロール618の表面に付着することが防止される。
尚、このとき、表面調整ロール618は、面圧2kgf/cm2〜3kgf/cm2を得ている。また、定着ベルト610の表面温度は150℃〜200℃である。
例えば、平均粒径2μm〜12μmの炭化ケイ素(SiC)の場合は、表面調整ロール618により定着ベルト610の表面が研磨されて微小な凹凸が形成される。そのため、トナー像の表面の拡散光が増加し、定着ベルト610の表面の傷跡や筋跡とそれ以外の部分とのコントラストの差が低減する。
また、平均粒径3μm〜10μmの球状酸化アルミニウム(Al2O3)の場合は、表面調整層618dに含まれる無機粒子を型押しすることにより、定着ベルト610の表面に球状酸化アルミニウム(Al2O3)の形状に応じた凹凸形状が付与される。このため、同様に、トナー像の表面の拡散光が増加し、定着ベルト610の表面の傷跡や筋跡とそれ以外の部分とのコントラストの差が低減する。
前述したように、図2に示す定着装置60において、表面調整ロール618として、軸方向長さ320mm、径φ20のSUS製の金属ロールコアを基体618bとし、この基体618bの表面に、プライマー層618cを介してPFA樹脂100重量部に対し平均粒径30μmの球状酸化アルミニウム(Al2O3)30重量部を含む表面調整層618dを積層した。このとき、定着ベルト610と接触させる表面調整層618dの表面粗さRaは、4μm〜5μmである。
尚、表面調整ロール618の表面調整層618dの厚さは、10μm〜15μmである。
尚、このとき、表面調整ロール618は、面圧2kgf/cm2〜3kgf/cm2を得ている。また、定着ベルト610の表面温度は180℃〜190℃である。
その結果、A4用紙を縦送りで10k枚通紙した後も、表面調整ロール618の表面には定着ベルト610の表面に残留するトナーに起因する汚れが生じなかった。
また、表面調整ロール618を定着ベルト610に接触させて定着ベルト610の表面状態を調整することにより得られた画像には光沢ムラが観察されなかった。
実施例1において、表面調整ロール618として、基体618bの表面に、フローコーティングにより、PFA樹脂100重量部に対し平均粒径4μmの炭化ケイ素(SiC)30重量部を含む表面調整層618dを調製した。このとき、表面調整層618dの表面粗さRaは、0.5μm〜0.8μmである。尚、表面調整ロール618の表面調整層618dの厚さは、1μm〜2μmである。
次に、表面調整ロール618に荷重20kgfを負荷し、また、ハロゲンヒータ618aにより、表面調整層618dの温度が195℃〜200℃になるように加熱し、実施例1と同様の条件で定着装置60を運転した。尚、このとき、表面調整ロール618は、面圧2kgf/cm2〜3kgf/cm2を得ている。また、定着ベルト610の表面温度は180℃〜190℃である。
その結果、A4用紙を縦送りで10k枚通紙した後も、表面調整ロール618の表面には汚れが生じなかった。また得られた画像には光沢ムラが観察されなかった。
実施例1において、表面調整ロール618に代えて、軸方向長さ320mm、径φ20のSUS製ロールの表面にブラスト処理を施し、フッ素樹脂層を積層せずに表面粗さRa0.5μm〜0.8μmに調整したものを使用し、その他の条件は実施例1と同様にして定着装置60を運転した。尚、このSUS製ロールは内部にハロゲンヒータを備えていない。
その結果、縦送りで通紙するA4用紙の枚数が増加する程、SUS製ロールの表面に汚れが生じ、定着ベルト610表面の表面状態を調整する効果が大幅に低減した。また得られた画像には光沢ムラが観察された。
Claims (7)
- 回転駆動する定着部材と、
前記定着部材を押圧しつつ当該定着部材に従動回転し、当該定着部材との間に記録材が通過するニップ部を形成する加圧部材と、
前記定着部材に接触し、当該定着部材の表面形状の表面粗さを接触前に比べて粗くする表面形状調整部材と、
前記表面形状調整部材の表面温度が前記定着部材の表面温度より高温になるように加熱する加熱手段と、
を有し、
前記表面形状調製部材は、円柱状ロールからなる基体と、当該基体の表面側に積層され、前記定着部材の表面に接触する表面調整層と、当該基体の表面に対して当該表面調整層を接着する接着層とを有し、
前記表面調整層は、フッ素樹脂と、無機粒子とを含むことを特徴とする定着装置。 - 前記表面調整層に含まれる前記無機粒子の量は、フッ素樹脂100重量部に対して、5重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
- 前記表面調整層に含まれる前記無機粒子は、平均粒径2μm〜50μmの球状粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の定着装置。
- 前記表面形状調整部材は、前記定着部材に接触しつつ当該定着部材の回転に伴い従動回転することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の定着装置。
- トナー像を形成するトナー像形成部と、
前記トナー像形成部により形成されたトナー像を記録材上に転写する転写部と、
前記転写部により記録材上に転写したトナー像を当該記録材上に定着する定着部と、を有し、
前記定着部は、
定着ロールと、
前記定着ロールに掛け渡される定着ベルトと、
前記定着ベルトとの間に記録材が通過するニップ部を形成する加圧ロールと、
前記定着ベルトの表面温度より高温になるよう加熱され、当該定着ベルトに接触しつつ当該定着ベルトとともに回転し当該定着ベルトの表面を所定の表面粗さRaに調整する表面形状調整部材と
を備え、
前記表面形状調製部材は、円柱状ロールからなる基体と、当該基体の表面側に積層され、前記定着ベルトの表面に接触する表面調整層と、当該基体の表面に対して当該表面調整層を接着する接着層とを有し、
前記表面調整層は、フッ素樹脂と、無機粒子とを含むことを特徴とする画像形成装置。 - 前記表面調整層に含まれる前記無機粒子の量は、フッ素樹脂100重量部に対して、5重量部以上50重量部以下であることを特徴とする請求項5記載の画像形成装置。
- 前記表面調整層に含まれる前記無機粒子は、平均粒径2μm〜50μmの球状粒子であることを特徴とする請求項5または6に記載の画像形成装置。
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