JP5406658B2 - 脳深部血管吻合トレーニングモデル - Google Patents

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本発明は脳深部血管吻合トレーニングモデルに関し、さらに詳しくは、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして、あるいは側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられ、かつ机上にて簡易に使用されるモデルとは異なり、実際に手術場にても、臨床に限りなく近い環境で使用されるモデルであって、これを用いた訓練により実際の臨床へとスムーズに移行できるという利点を有する脳深部血管吻合トレーニングモデルに関するものである。
脳血管の吻合(以下バイパス手術と称することがある。)は、脳血管障害を専門とする脳神経外科医及び頭頸部外科医らにとって、必須の技術である。
通常のバイパス手術のトレーニング方法としては、例えば動物を使った血管吻合訓練や市販されている人工血管を用いた吻合訓練などがある。
これら訓練は、吻合する血管のみにて行われるため、吻合そのものは練習が可能で、最も容易に実現可能であるものの、実際の手術場における状況及び対象血管の周囲の環境等、とりわけ上記外科医が直面している脳深部の困難な手技を行う条件とは程遠く、また近年、動物を用いる訓練は動物愛護の面からも難しくなってきており、その上人工血管においては硬度等感触においても異なるため充分な訓練とはなっていないのが実状である。
解剖用献体(頭蓋骨及び脳)を用いた訓練においては、確かに形状並びに解剖学的訓練には最適であるが、生体でない点に関し、硬度及び弾性が異なり、加えて練習としては繰り返しの練習ができず、さらに現状として、このような献体の入手が非常に困難となっている。
一方、脳神経外科手術の訓練を謳ったトレーニング装置は、これまでにも開発されてきたが(例えば、特許文献1参照)、いずれも周辺設備の操作訓練や吻合自体に終始し、実際の手術場における状況及び対象血管の周囲の環境等、とりわけ上記外科医が直面している脳深部の困難な動脈吻合の実際の手技を練習する条件とは合致せず、適切な訓練装置は存在しないのが実状であった。
例えば、従来のトレーニング装置では、大脳各部位を別々に製作しており、このため本来生体の持つ弾性とは異なり、脳ベラ等による圧迫からの開放時の戻りが弱く、手術場における実際の感触を再現できていなかった。
また、事前に開けられた開頭部が側頭部の一箇所で部位が限定されてしまい、本来外科医に求められる前頭の深部脳動脈バイパス手術などの練習が全くできない状態であった。
さらに従来のトレーニング装置では、脳モデルに傾斜角度を持たせて搭載する土台が設けられた装置とされている。これは、平面台上であれば何処でも使用可能ではあるものの、手術訓練として使用する際には、予め与えられた傾斜角度以外には脳モデルを設置できず、実際に手術場において使用される頭蓋固定器を使用することもできない。すなわち、術者の任意の角度に脳モデルを固定する仕様となっておらず、訓練者の使い勝手が悪かった。
脳深部バイパス手術に携わる医師には、血管を吻合すること自体のトレーニングのみならず、実際のバイパス手術の際に遭遇する手術場における環境にできるだけ近い状態で、しかも行われる手術手技の条件に酷似した内容のトレーニングが強く求められており、これに習熟することにより、実際の手術をより短時間でより安全に行うことができると期待されているが、従来はこのような内容のトレーニングモデルは、存在していなかった。
また、従来のトレーニング装置では、脳深部のバイパストレーニングを行おうとすると、装置内部に格納されている大脳各部位がそれぞれ単独の形状にて製作されているため、深部に吻合対象の血管形状を留置しようとする際に、困難が伴ってしまい実用的ではなかった。
特開2008−241988号公報
本発明は、このような状況下になされたもので、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして、あるいは側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられ、かつ机上にて簡易に使用されるモデルとは異なり、実際に手術場にても、臨床に限りなく近い環境で使用されるモデルであって、これを用いた訓練により実際の臨床へとスムーズに移行できるという利点を有する脳深部血管吻合トレーニングモデルを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、下記の知見を得た。
(1)本来生体が持つ弾性を再現するために、大脳各部位を一体的に形成することで、圧迫開放時の戻りや手術場における実際の感触を再現し得ること、(2)本来外科医に必要とされるトレーニング部位は、側頭部を始め前頭部及び後頭下部に及んでいるため、前頭部深部血管吻合トレーニングモデル、側頭・後頭部深部血管吻合トレーニングモデルと2種に分けるのが有利であり、それにより、それぞれ専門に充分な訓練が可能となること、(3)当該トレーニングモデルを、実際の手術場における環境に近づけるために、実際の手術場で使用される、傾斜角度を自在に変え得る患者頭蓋固定器に装着するための部材を当該トレーニングモデルに取付けることが望ましいこと、(4)実際の脳深部バイパス手術時の視野の狭さ、限定された挿入手術器具の可動範囲といった条件を再現し得るトレーニングモデルが有利であること、(5)当該トレーニングモデルに格納される大脳モデルを一体にて形成し、その周りを緩衝材にて挟み込む仕様とし、これらの緩衝材の量を適宜調整することにより、前頭部大脳縦裂及び側頭部シルビウス裂内深部におけるバイパス手術のトレーニングに際し、訓練周辺部位の圧力や圧迫開放時の戻りの感触を自由自在に変更可能であること、などを見出した。
本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
(1)ヒトの脳深部血管吻合トレーニングモデルであって、開口部を有する頭蓋模型と、該頭蓋模型内に、前記開口部を介して格納されてなる、大脳各部位が一体的に形成された大脳模型と、その周囲に配置された緩衝材とを有し、かつ前記大脳模型がエラストマー材料からなることを特徴とする、脳深部血管吻合トレーニングモデル、
(2)実際の手術場で使用される、傾斜角度を自在に変え得る患者頭蓋固定器に装着するための部材を、開口部の反対側に有する上記(1)項に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル、
(3)開口部を有する頭蓋模型が、前頭部の頭蓋模型であって、大脳模型が大脳前頭葉の一部を含み、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられる、上記(1)又は(2)項に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル、
(4)開口部を有する頭蓋模型が、側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型であって、大脳模型が、大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含み、側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられる、上記(1)又は(2)項に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル、及び
(5)開口部を有する頭蓋模型及び大脳模型が、粉末焼結積層造形法により、形成されたものである、上記(1)〜(4)項のいずれかに記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル、
を提供するものである。
本発明によれば、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして、あるいは側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられ、かつ机上にて簡易に使用されるモデルとは異なり、実際に手術場にても、臨床に限りなく近い環境で使用されるモデルであって、これを用いた訓練により実際の臨床へとスムーズに移行できるという利点を有する脳深部血管吻合トレーニングモデルを提供することができる。
実施例1で得られた前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの斜視図である。 実施例2で得られた側頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの斜視図である。
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルは、ヒトの脳深部血管吻合トレーニングモデルであって、開口部を有する頭蓋模型と、該頭蓋模型内に、前記開口部を介して格納されてなる、大脳各部位が一体的に形成された大脳模型と、その周囲に配置された緩衝材とを有し、かつ前記大脳模型がエラストマー材料からなることを特徴とする。
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルにおいては、本来外科医に必要とされるトレーニング部位は、側頭部を始め前頭部及び後頭下部に及んでいるため、前頭部深部血管吻合トレーニングモデル、側頭・後頭部深部血管吻合トレーニングモデルと2種に分けるのが有利であり、それにより、それぞれ専門に充分な訓練が可能となる。
[前頭部の深部血管吻合トレーニングモデル]
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルにおける一態様である、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルは、開口部を有する頭蓋模型が、前頭部の頭蓋模型であって、該開口部を介して前頭部の頭蓋模型内に格納される大脳模型が、大脳前頭葉の一部を含んでいる。
前記前頭部の頭蓋模型及び前記大脳模型の形成法としては特に制限はなく、例えばレーザー光の照射により焼結する粉末焼結材料を用いる粉末焼結積層造形法や、レーザー光の照射により硬化する光重合性樹脂を用いる光積層造形法などを用いることができるが、本発明においては、ひと頭蓋骨に対する触感の類似性及び大脳用素材選択の自由度などの観点から、粉末焼結積層造形法が好ましく用いられる。
(前頭頭蓋模型の作製)
前記の粉末焼結積層造形法に用いる粉末焼結材料に特に制限はなく、レーザー光の照射により焼結する、従来公知の粉末焼結材料の中から、適宜選択して用いることができる。例えばポリアミド11(ナイロン11)などの平均粒径40〜80μm程度のポリアミド粉末と、平均粒径40〜80μm程度のガラスビーズとの質量比90:10〜50:50程度の混合粉末を用いることができる。また、レーザーとしては、例えば炭酸ガスレーザーなどを用いることができる。
当該前頭頭蓋模型は、例えば下記の操作を施すことにより、作製することができる。
まず、成人男子の頭部をX線コンピュータ断層撮影したデータからソフトウエアを用いて、頭蓋骨前部及び開口部のデータを作成し、これに該開口部の反対側に配す固定板(患者頭蓋固定器に装着するための部材)を固定するボルト穴形状のデータなどを付与し、造形用データに変換する。このデータを炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置に入力し、積層ピッチ0.10mm程度で粉末焼結材料を逐次積層焼結することにより、前頭頭蓋模型を作製する。
(大脳模型の作製)
当該大脳模型は、例えば下記の操作を施すことにより、作製することができる。
まず、成人男子の頭部を磁気共鳴画像装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging system)にて撮影したデータからソフトウエアを用いて一体形状となるように抽出し、造形用データに変換する。次いで、同ソフトウエア上で、本データの反転型のデータを作成し、炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置にて型を作製し、この型にエラストマー材料を流し入れることにより、大脳前頭葉の一部を含む大脳模型を作製する。
前記エラストマー材料としては、例えばエステル系、スチレン系、オレフィン系、塩化ビニル系、ウレタン系、ポリアミド系、フッ素樹脂系、共役ジエン系などの熱可塑性エラストマー、さらには加熱加硫型シリコーンゴム、室温加硫型シリコーンゴムなどのゴム状弾性体などを挙げることができる。
(前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの作製)
前述のようにして作製した大脳模型を、前述のようにして作製した前頭頭蓋模型内に格納し、この周囲に緩衝材を配置したのち、開口部の反対側に固定板を配し、これを前頭頭蓋模型に設けたボルトに固定することにより、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルを作製することができる。
前記緩衝材としては、例えばデンプン系等の分解性樹脂などを挙げることができる。
[側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデル]
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルの別の態様である側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルは、開口部を有する頭蓋模型が、側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型であって、該開口部を介して側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型内に格納される大脳模型は、大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含んでいる。
前記側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型、及び前記大脳模型の形成法に特に制限はないが、前述と同様に、粉末焼結積層造形法が好ましく用いられる。
(側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型の作製)
当該側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型を、例えば下記の操作を施すことにより、作製することができる。なお、この場合は、右側頭部の例を示す。
まず、成人男子の頭部をX線コンピュータ断層撮影したデータからソフトウエアを用いて、頭蓋骨右側部及び開口部のデータを作成し、これに該開口部の反対側に配す固定板を固定するボルト穴形状のデータなどを付与し、造形用データに変換する。このデータを炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置に入力し、積層ピッチ0.10mm程度で粉末焼結材料を逐次積層焼結することにより、右側頭蓋模型を作製する。
(大脳模型の作製)
当該大脳模型は、例えば下記の操作を施すことにより、作製することができる。
まず、成人男子の頭部を磁気共鳴画像装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging system)にて撮影したデータからソフトウエアを用いて側頭部位を一体形状となるように抽出し、造形用データに変換する。次いで、同ソフトウエア上で、本データの反転型のデータを作成し、炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置にて型を作製し、この型に前述のエラストマー材料を流し入れることにより、大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含む大脳模型を作製する。
(側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの作製)
前述のようにして作製した大脳模型を、前述のようにして作製した側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型内に格納し、この周囲に緩衝材を配置したのち、開口部の反対側に固定板を配し、これを側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型の開口部とは反対側周囲に設けたボルトに固定することにより、側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルを作製することができる。
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルは、実際の手術場で使用される、傾斜角度を自在に変え得る患者頭蓋固定器に装着するための部材を、開口部の反対側に有するものが好ましい。
具体的には、前述した二つの態様の脳深部血管吻合トレーニングモデルのそれぞれに、例えば3箇所のピン用台座を設ける。この台座には各々長さ15mmほどの楔型凹条溝が設けられている。この機構は、当該モデルを実際の手術場において行われる環境に近づけるため、手術場において使用される患者頭蓋固定器の固定用ピンの受け台として設けられるものであり、該固定器のアーム先端に装着されたピンの繰り出し長さの長短にも適宜対応できるように考慮されている。この台座を用い該固定器に装着することで、手術者にとり最も好ましい角度に当該モデルの開口部を設置することができる。
次に、本発明を実施例により、さらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
粉末焼結積層造形法を用いて、訓練対象部位が開口された前頭頭蓋模型及びこれに格納される大脳前頭葉の一部を含む大脳模型を作製した。
(1)実寸大前頭頭蓋模型の作製
粉末焼結材料として、平均粒径58μmの球状ポリアミド11(ナイロン11)の粉末70質量%と、平均粒径60μmのガラスビーズ30質量%の混合物を用い、造形装置として100W炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置[3D−systems社製、「Vanguard−HS」]を用いた。
成人男子の頭部をX線コンピュータ断層撮影したデータからソフトウエア[Materialise社製、「Mimics」]を用いて、頭蓋骨前部及び開口部のデータを作成した。これに背面に配す固定板を固定するボルト穴形状のデータを付与し、造形用データに変換した。このデータを前記造形装置に入力し、積層ピッチ0.10mmで粉末焼結材料を逐次積層焼結し、実寸大の前頭頭蓋模型を作製した。
(2)大脳模型の作製
当該部位の大脳は、成人男子の頭部を磁気共鳴画像装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging system)にて撮影したデータからソフトウエア[Materialise社製、「Mimics」]を用いて一体形状となるように抽出し、造形用データに変換した。さらに同ソフトウエア上で、本データの反転型のデータを作成し、先の100W炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置[3D−systems社製、「Vanguard−HS」]にて型を作製し、この型にスチレン系エラストマー材料を流し入れることにより、大脳前頭葉の一部を含む大脳模型とした。
(3)前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの作製
上記(2)で得た大脳模型を上記(1)で得た前頭頭蓋模型内に格納し、この周囲に緩衝材[イージェイ(株)製、「エコタッチE」、デンプン系]を配置して、後端に固定板を配し、これを前頭頭蓋模型の後部に設けたボルトにて固定することにより、前頭部血管吻合トレーニングモデルを作製した。このモデルの前頭部大脳縦裂内を開口部より押し広げると、本来の生体が持つ弾性を伴い、圧迫開放時の戻りや手術場における実際の感触を非常に良く再現した。また、緩衝材の補充量を調節することにより、押し広げようとした際の反力や、圧迫開放時の戻りの感触を適宜変更することが可能であった。
図1に、本実施例で得られた前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの斜視図を示す。図1において、符号1は前頭頭蓋模型を示し、符号2は大脳前頭葉の一部を含む大脳模型を示す。
実施例2
粉末焼結積層造形法を用いて、訓練対象部位が開口された右側頭蓋模型及びこれに格納される大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含む大脳模型を作製した。
(1)実寸大右側頭蓋模型の作製
粉末焼結材料として、平均粒径58μmの球状ポリアミド11(ナイロン11)の粉末70質量%と、平均粒径60μmのガラスビーズ30質量%の混合物を用い、造形装置として100W炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置[3D−systems社製、「Vanguard−HS」]を用いた。
成人男子の頭部をX線コンピュータ断層撮影したデータからソフトウエア[Materialise社製、「Mimics」]を用いて、頭蓋骨右側部及び開口部のデータを作成した。これに該開口部の反対側に配す固定板を固定するボルト穴形状のデータを付与し、造形用データに変換した。このデータを前記造形装置に入力し、積層ピッチ0.10mmで粉末焼結材料を逐次積層焼結し、実寸大の右側頭蓋模型を作製した。
(2)大脳模型の作製
当該部位の大脳は、成人男子の頭部を磁気共鳴画像装置(MRI:Magnetic Resonance Imaging system)にて撮影したデータからソフトウエア[Materialise社製、「Mimics」]を用いて側頭部位と一体形状となるように抽出し、造形用データに変換した。さらに同ソフトウエア上で、本データの反転型のデータを作成し、先の100W炭酸ガスレーザーを備えた粉末焼結積層造形装置[3D−systems社製、「Vanguard−HS」]にて型を作製し、この型にエラストマー材料(前出)を流し入れることにより、大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含む大脳模型とした。
(3)側頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの作製
上記(2)で得た大脳模型を上記(1)で得た右側頭蓋模型内に格納し、この周囲に緩衝材(前出)を配置して、開口部の反対側に固定板を配し、これを右側頭蓋模型の開口部とは反対側周囲に設けたボルトにて固定することにより、側頭部の深部血管吻合トレーニングモデルを作製した。このモデルの側頭部シルビウス裂内深部を開口部より押し広げると、本来の生体が持つ弾性を伴い、圧迫開放時の戻りや、手術場における実際の感触を非常に良く再現した。また、緩衝材の補充量を調節することにより、押し広げようとした際の反力や、圧迫開放時の戻りの感触を適宜変更することが可能であった。
また、本右側頭蓋モデルには、後頭下部にも訓練用開口部を設けることができ、限られた視野及び作業範囲における後頭動脈の血管吻合手術の訓練におおいに役立つ。
図2に、本実施例で得られた側頭部の深部血管吻合トレーニングモデルの斜視図を示す。図2において、符号3は右側頭蓋模型を示し、符号4は大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含む大脳模型を示す。
本発明の脳深部血管吻合トレーニングモデルは、臨床経験の少ない若手医師に手術場の臨場感をそのままに深部血管吻合訓練を行うことができるため、何よりも経験と実績が重視される外科医にとって最適なトレーニングモデルである。また、若手医師の早期育成に際しても、非常に有用である。
1 前頭頭蓋模型
2 大脳前頭葉の一部を含む大脳模型
3 右側頭蓋模型
4 大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含む大脳模型

Claims (5)

  1. ヒトの脳深部血管吻合トレーニングモデルであって、開口部を有する頭蓋模型と、該頭蓋模型内に、前記開口部を介して格納されてなる、大脳各部位が一体的に形成された大脳模型と、その周囲に配置された緩衝材とを有し、かつ前記大脳模型がエラストマー材料からなることを特徴とする、脳深部血管吻合トレーニングモデル。
  2. 実際の手術場で使用される、傾斜角度を自在に変え得る患者頭蓋固定器に装着するための部材を、開口部の反対側に有する請求項1に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル。
  3. 開口部を有する頭蓋模型が、前頭部の頭蓋模型であって、大脳模型が大脳前頭葉の一部を含み、前頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられる、請求項1又は2に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル。
  4. 開口部を有する頭蓋模型が、側頭部及び/又は後頭部の頭蓋模型であって、大脳模型が、大脳側頭葉及び前頭葉・頭頂葉の一部を含み、側頭部及び/又は後頭部の深部血管吻合トレーニングモデルとして用いられる、請求項1又は2に記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル。
  5. 開口部を有する頭蓋模型及び大脳模型が、粉末焼結積層造形法により、形成されたものである、請求項1〜4のいずれかに記載の脳深部血管吻合トレーニングモデル。
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