JP5404232B2 - 切削工具 - Google Patents

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Description

本発明は、基体の表面に被覆層が形成された切削工具に関する。
近年、切削加工を行う切削工具においては、より高硬度な被削材や熱伝導性の悪い被削材等のような難削材の切削加工が求められており、工具のより高い耐摩耗性および耐欠損性が求められている。そこで、かかる切削工具においては、表面に被覆層を形成して切刃の耐摩耗性を向上することが行われている。
このような被覆層に関して、例えば、特許文献1では、耐クレータ摩耗性と耐フランク摩耗性とをともに改善するために、逃げ面に(Ti1−xAl)(0<x≦0.7)の窒化物または炭窒化物からなる硬質皮膜を、すくい面に(Ti1−yAl)(0<y≦0.7)の窒化物または炭窒化物からなる硬質皮膜を被覆した切削工具が開示されている。
特開平9−41126号公報
しかしながら、特許文献1のように被覆層の種類自体を変えてしまう方法では、耐クレータ摩耗性と耐フランク摩耗性を最大化するための被覆層の硬度と靭性の微調整が難しく、耐クレータ摩耗性と耐フランク摩耗性の最適化には限界があった。また、成膜時にすくい面および逃げ面の順にマスキングを施さなければならず、工程が煩雑であった。
本発明は、被覆層のすくい面および逃げ面における被覆層の特性の微調整が可能であり、切削性能に求められるすくい面および逃げ面の性能の最適化が図れる切削工具を提供することを目的とする。
本発明の切削工具は、基体の表面に2層以上の被覆層が形成されたものであって、複数の前記被覆層のうちの厚みが厚い2層について、前記基体側に形成された被覆層を下層、前記基体から遠ざかる側に形成された被覆層を上層と特定し、前記下層のすくい面におけ
る厚みをtrL、逃げ面における厚みをtfL、前記上層のすくい面における厚みをtrU、逃げ面における厚みをtfUとしたとき、trL<tfL、かつtrU>tfUであるとともに、前記下層の前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に形成される切刃における厚みをt cL 、前記上層の前記切刃における厚みをt cU としたとき、0.9≦t cU /t cL ≦1.1であることを特徴とする。
ここで、上記構成において、0.8≦(trL+trU)/(tfL+tfU)≦1.2であることが望ましい。
さらに、前記下層および前記上層は、ともにTi成分とAl成分を含有し、Ti成分とAl成分との合計含有量に対して、前記下層は前記上層よりもTi成分の含有量が多く、かつ前記上層は前記下層よりもAl成分の含有量が多い構成からなるか、または、前記下層が(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)からなり、前記上層が(TiCr1−y)C1−z(0.2≦y≦0.7、0≦z<1)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる場合には、すくい面に耐溶着性および耐熱性に優れ、逃げ面は耐摩耗性に優れた被覆層となる。
本発明の切削工具によれば、下層のすくい面における厚みtrL、逃げ面における厚みtfL、上層のすくい面における厚みtrU、逃げ面における厚みtfUが、trL<tfLで、かつtrU>tfUであることから、すくい面と逃げ面との被覆層の性能を微調整することができる。その結果、すくい面に求められる耐クレータ摩耗性を改善するための耐熱性と逃げ面に求められる耐フランク摩耗性を改善するための硬度とを最適化した構成の被覆層や、すくい面に求められる切屑排出性と逃げ面に求められる耐摩耗性とを最適化した構成の被覆層が可能となる。
ここで、上記構成において、0.8≦(trL+trU)/(tfL+tfU)≦1.2であることが、すくい面および逃げ面における耐摩耗性および耐欠損性を高く維持できる点で望ましい。
また、前記下層の前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に形成される切刃における厚みをtcL、前記上層の前記切刃における厚みをtcUとしたとき、0.9≦tcU/tcL≦1.1であることが、切刃に要求される耐摩耗性および耐欠損性をともに高く維持する点で重要である
さらに、前記下層および前記上層はともにTi成分とAl成分を含有し、Ti成分とAl成分との合計含有量に対して、前記下層は前記上層よりもTi成分の含有量が多く、かつ前記上層は前記下層よりもAl成分の含有量が多い構成からなる場合には、すくい面に求められる耐クレータ摩耗性を改善するための耐熱性と逃げ面に求められる耐フランク摩耗性を改善するための硬度とを最適化した被覆層となる。
または、前記下層が(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)からなり、前記上層が(TiCr1−y)C1−z(0.2≦y≦0.7、0≦z<1)またはダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる場合には、すくい面に耐溶着性および耐熱性に優れ、逃げ面は耐摩耗性に優れた被覆層となる。
本発明の切削工具の好適例であるスローアウェイチップについての概略斜視図である。 図1のスローアウェイチップの概略断面図である。 本発明の切削工具の他の好適例であるエンドミルついての概略横断面図である。 本発明の切削工具の被覆層を被覆するための成膜装置の一例を示す模式図である。 図4の成膜装置に試料をセットするセット方法の一例を示す模式図であり、(a)下層を成膜する際のセット方法、(b)上層を成膜する際のセット方法を示す。
本発明の切削工具の好適例であるスローアウェイチップの一例について、概略斜視図である図1、および第1の実施態様のついての概略断面図である図2を基に説明する。
図1、2のスローアウェイチップ(以下、単にチップと略す。)1は、概略平板形状からなり、すくい面5である主面と逃げ面6である側面との間の交差稜線部が切刃7として使用される。
また、チップ1は、図2の断面図に示すように、基体2の表面に2層以上の被覆層3(3L、3U)が形成されている。そして、複数の被覆層3のうちの厚みが厚い2層について、基体2側に形成された被覆層3を下層3L、基体2から遠い側に形成された被覆層3を上層3Uと特定する。なお、被覆層3が2層で構成されるときはその2層が下層3Lと上層3Uとなる。また、3層以上の多層で構成されるときには、すくい面5および逃げ面6の両方で厚みを測定し、すくい面5および逃げ面6のいずれか厚い方の厚みをその層の厚みとして比較する。さらに、本発明では、一番厚い被覆層3が同じ厚みで3層以上存在する場合、または2番目に厚い被覆層3が同じ厚みで2層以上存在する場合には、これらのうちで最も基体側に存在する被覆層3を下層3L、最も上側に存在する被覆層3を上層3Uと定義する。
ここで、下層3Lのすくい面5における厚みをtrL、逃げ面6における厚みをtfL、上層3Uのすくい面5における厚みをtrU、逃げ面6における厚みをtfUとしたとき、図2の構成では、trL<tfL、かつtrU>tfUとなっている。
これによって、すくい面5に求められる耐クレータ摩耗性を改善するための耐熱性と逃げ面6に求められる耐フランク摩耗性を改善するための硬度とを最適化した構成の被覆層3や、すくい面5に求められる切屑排出性と逃げ面6に求められる耐摩耗性とを最適化した構成の被覆層3が調整可能となる。
なお、本発明におけるすくい面5および逃げ面6における被覆層3の厚みは、切刃7の付近で増減することがあるので、切刃7の先端位置から1mmの距離だけ離間した位置で測定する。また、切削工具の形状として、図3に示すドリルやエンドミル8のような回転軸を有する形状の切削工具においても、切刃9の先端と回転中心(基体10の中心)とを通る直線Aと逃げ面11とが交差する位置であって2つの逃げ面11の被覆層12の厚みが同じである位置で逃げ面11の厚みを測定し、直線Aに対して平行な直線Bとすくい面13とが交差する位置で被覆層12(上層12U、下層12L)のすくい面13における厚みを測定する。
また、0.8≦(trL+trU)/(tfL+tfU)≦1.2であることがすくい面5および逃げ面6における耐摩耗性および耐欠損性を高く維持できる点で望ましい。
さらに、下層3L、12Lのすくい面5と逃げ面6との交差稜線部に形成される切刃7における厚みをtcL、上層3U、12Uの切刃7における厚みをtcUとしたとき、0.9≦tcU/tcL≦1.1であることが、切削時の耐摩耗性および耐欠損性を高める点で
重要である
ここで、例えば、下層3L、12Lおよび上層3U、12Uはともに、金属成分としてTi成分とAl成分とを総量で金属成分の総含有量に対して70原子%以上含有し、Ti成分とAl成分との合計含有量に対して、下層3L、12Lは上層3U、12UよりもTi成分の含有量が多く、かつ上層3U、12Uは下層3L、12LよりもAl成分の含有量が多い構成からなる場合には、すくい面5に求められる耐クレータ摩耗性を改善するための耐熱性と逃げ面6に求められる耐フランク摩耗性を改善するための硬度とを最適化した被覆層3、12となる。
また、例えば、下層3L、12Lが(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)で上層3U、12Uが(TiCr1−y)C1−z(0.2≦y≦0.7、0≦z<1)の構成からなる場合には、すくい面5、13に求められる切屑排出性を改善するための耐溶着性と逃げ面6、11に求められる耐フランク摩耗性を改善するための硬度とを最適化した被覆層3、12となる。さらに、前記下層が(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)からなり、前記上層がダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる場合にも、すくい面に耐溶着性および耐熱性に優れ、逃げ面は耐摩耗性に優れた被覆層となる。
さらには、下層3L、12Lが(CrAl1−a)C1−z(0<a<1、0≦z<1)で上層3U、12Uが(CrAl1−b(0<b<1)の構成からなる場合には、すくい面5、13に求められる耐酸化性および摺動性と逃げ面6、11に求められる耐摩耗性とを最適化した被覆層3、12となる。被覆層3、12の組成については求める切削工具の性能に応じて選択することができる。
なお、被覆層3、12の組成は、周期表第4、5、6族金属、Al、Siの炭化物、窒化物、酸化物、ダイヤモンド、cBNが適応でき、特にTiC、TiN、TiCN、Al、Ti1−c−dAl(C1−x)(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上であり、0≦c<1、0≦d≦1、0≦x≦1である。)が好適である。
また、チップ1を構成する基体2、10は、例えば超硬合金、サーメット、セラミックス、ダイヤモンド、cBN等の硬質焼結体からなる。
また、上記スローアウェイチップを製造する方法の一例について、図1に示すチップ1の被覆層を被覆するための成膜装置の模式図である図4を基に説明する。
図4は、焼成後の基体2に被覆層3の成膜方法として適応可能なイオンプレーティング装置を示す。詳細な成膜方法の一例について、アークイオンプレーティング成膜装置(以下、AIP装置と略す。)20の模式図である図4を参照して説明する。
図4のAIP装置20は、真空チャンバ21の中にNやAr等のガスをガス導入口22から導入し、カソード電極23とアノード電極24とを配置して、両者間に高電圧を印加してプラズマを発生させ、このプラズマによってターゲット25から所望の金属あるいはセラミックスを蒸発させるとともにイオン化させて高エネルギー状態とし、このイオン化した金属を試料(基体2)の表面に付着させて、基体2の表面に被覆層3を被覆する構造となっている。また、図4によれば、基体2は試料支持治具26に設けられた複数の試料支持部28それぞれにすくい面がターゲット25に対向するように載置されてタワー27が複数(図4では試料支持治具26が8セット、タワー27が2セット図示されている。)配置された構成となっている。また、タワー27および試料支持治具26はそれぞれ回転しており、各試料が順にターゲット25に対向して被覆層の厚みは均一となるように配慮されている。この構成によって、各試料の切刃全周の厚みばらつきを小さくできるので、全体の厚みが厚くなっても部分的に欠損しやすい部分ができにくい。
さらに、図4によれば、基体2を加熱するためのヒータ29と、ガスを系外に排出するためのガス排出口30と、基体2にバイアス電圧を印加するためのバイアス電源31が配置されている。そして、ターゲット25を用いて、アーク放電やグロー放電などにより金属源を蒸発させイオン化すると同時に、窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスと反応させることにより、基体2の表面に被覆層7が堆積する。
なお、ターゲット25としては、例えば、金属チタン(Ti)、金属アルミニウム(Al)、金属M(ただし、MはTiを除く周期表第4、5、6族元素、希土類元素およびSiから選ばれる1種以上)をそれぞれ独立に含有する金属ターゲット、これらを複合化した合金ターゲット、これらの化合物粉末または焼結体からなる混合物ターゲットを用いることができる。
本発明によれば、図5に示すように、下層を成膜するときの基体のセット方法と上層を成膜するときの基体のセット位置を変えることによって成膜される被覆層の厚みを調整することができる。具体的には、下層を成膜する際には、逃げ面がチャンバの側面とほぼ平行に、かつすくい面がチャンバの上面とほぼ平行な向きにセットして成膜する(図5(a)参照)。その後、上層を成膜する際には、すくい面がチャンバの側面とほぼ平行に、かつ逃げ面がチャンバの上面とほぼ平行な向きになるように、試料を90°回転させた状態で第2層を成膜する(図5(b)参照)。
また、成膜条件として、アーク電流100A以上、バイアス電圧30〜150Vとし、成膜装置内にセットする試料の数を、チップの切刃先端と隣り合うチップの切刃先端との隙間d(d、d)が50〜80mmとなるようにセット位置を調整することによって、すくい面および逃げ面における被覆層の厚みを所定の範囲内に制御することができる。
なお、プラズマを発生するためにはアーク放電やグロー放電などを用い、導入ガスとしては窒素源の窒素(N)ガスや炭素源のメタン(CH)/アセチレン(C)ガスを用いることができる。そして、窒素(N)ガスやアルゴン(Ar)ガスを流した状態で成膜する。
さらに、本発明の下層と上層の厚みを制御する方法として、上記基体のセット位置を成膜途中で変える方法の他に、基体に第1層を成膜した後に試料をチャンバから取り出してすくい面側の第1層を研磨加工により薄くし、再度チャンバ内に第1層を成膜したときと同じ向きに試料をセットして、第2層を成膜する方法によっても作製可能である。
WC粉末、Co粉末、Cr粉末およびVC粉末を混合し、溝入加工用スローアウェイチップ(京セラ製スローアウェイチップ型番GMM3020-040MW)のチップ形状にプレス成形し、焼成して研削加工およびホーニング加工を行った。その後、図4の状態で試料を成膜装置内に載置して、窒素(N)ガスをチャンバ内に導入して表1の条件でPVD法によって表1に示す厚みの被覆層を成膜してチップを作製した(試料No.1〜6)。また、なお、チップ基体のセットは下層を成膜する際は逃げ面がターゲットに対向する向き(図5(a)の向き)でセットして成膜し、上層を成膜する際は表1に示すように試料によってはセットの向きを変えて成膜した。なお、試料No.3については下層を成膜する前にTiN層を0.5μmの厚みで成膜した。
得られたチップの断面を観察して、被覆層の下層と上層を特定し、それらのすくい面、逃げ面および切刃における厚みを測定した。結果は表2に示した。なお、試料No.3は参考例である。
Figure 0005404232
Figure 0005404232
そして、このチップをホルダに装着して以下の切削試験を行い、切削性能評価を行った。
切削方法:溝入れ加工
被削材 :SNCM439
切削速度:200m/分
送り :0.1mm/rev
切込み :2.0mm
切削状態:湿式
評価方法:150分間切削した後で切刃の状態を確認し、逃げ面摩耗量を測定した。
結果は表3に示した。
Figure 0005404232
表1〜3の結果から明らかなように、下層と上層のすくい面および逃げ面における厚みが同じ試料No.4、下層も上層も逃げ面の厚みがすくい面の厚みよりも厚い試料No.5、および下層も上層も逃げ面の厚みがすくい面の厚みよりも薄い試料No.6では、いずれも耐摩耗性および耐欠損性の両方を高くすることはできなかった。
これに対して、本発明に従い、下層は逃げ面が厚く、上層はすくい面が厚い試料No.1〜3では、いずれも耐欠損性および耐摩耗性ともに優れたものであった。
WC粉末、Co粉末、Cr粉末およびTaC粉末を混合し、ドリルチップ(京セラ製スローアウェイチップ型番ZCMT06T204)のチップ形状にプレス成形し、この成形体を焼成して研削加工およびホーニング加工を行って基体を得た。得られた基体を、図4の状態で試料を成膜装置内に載置して、窒素(N)ガスをチャンバ内に導入して表4の条件(チップ基体の先端と上段の試料支持台との隙間d、アーク電流、バイアス電圧)の条件でPVD法によって表4に示す被覆層を成膜してスローアウェイドリル用のチップを作製した(試料No.9〜14)。
得られたチップの断面を観察して、被覆層の下層と上層を特定し、それらのすくい面、逃げ面および切刃における厚みを測定した。結果は表5に示した。なお、試料No.10、12は参考例である。
Figure 0005404232
Figure 0005404232
そして、このインサートを工具本体(京セラ製スローアウェイドリルホルダS25−DRZ1734−06)に装着して以下の切削試験を行い、切削性能を評価した。
切削方法:穴あけ(ドリル加工)
被削材 :SCM440H
切削速度:150m/分
送り :0.1mm/刃
切り込み:穴径20mm、穴深さ20mm
切削状態:湿式
評価方法:800穴について切削加工を行った後、外刃について切刃の状態と逃げ面摩耗量を測定した。結果は表6に示した。
Figure 0005404232
表4〜6の結果から明らかなように、下層と上層のすくい面および逃げ面における厚みが同じ試料No.11、下層も上層も逃げ面の厚みがすくい面の厚みよりも厚い試料No.12では、いずれも耐摩耗性および耐欠損性の両方を高くすることはできなかった。
これに対して、本発明に従い、下層は逃げ面が厚く、上層はすくい面が厚い試料No.7〜10では、いずれも耐欠損性および耐摩耗性ともに優れたものであった。
WC粉末、Co粉末、Cr粉末およびVC粉末を混合し、溝入加工用スローアウェイチップ(型番GMM3020-040MW)のチップ形状にプレス成形し、この成形体を焼成して研削加工およびホーニング加工を行って基体を得た。得られた基体を、図4の状態で試料を成膜装置内に載置して、窒素(N)ガスをチャンバ内に導入して表7の条件(チップ基体の先端と上段の試料支持台との隙間d、アーク電流、バイアス電圧)の条件でPVD法によって表7に示す被覆層を成膜してスローアウェイドリル用のチップを作製した(試料No.15〜17)。
得られたチップの断面を観察して、被覆層の下層と上層を特定し、それらのすくい面、逃げ面および切刃における厚みを測定した。結果は表8に示した。
Figure 0005404232
Figure 0005404232
そして、このインサートをホルダに装着して以下の切削試験を行い、切削性能を評価した。
切削方法: 溝入れ加工
被削材 : A7075(アルミニウム合金)
切削速度: 170m/分
送り : 0.02mm
切り込み: 3.0mm
切削状態: 湿式
評価方法: 約20分間切削する毎に、切刃の状態と逃げ面摩耗量を測定した。結果は表9に示した。
Figure 0005404232
表7〜9の結果から明らかなように、下層と上層のすくい面および逃げ面における厚みが同じ試料No.17では、耐摩耗性および耐欠損性の両方を高くすることはできなかった。
これに対して、本発明に従い、下層は逃げ面が厚く、上層はすくい面が厚い試料No.15、16では、いずれも耐欠損性および耐摩耗性ともに優れたものであった。
1 スローアウェイチップ(チップ)
2、10 基体
3、12 被覆層
3L、12L 下層
3U、12U 上層
5、13 すくい面
6、11 逃げ面
7、9 切刃
8 エンドミル
20 アークイオンプレーティング成膜装置(AIP装置)
21 真空チャンバ
22 ガス導入口
23 カソード電極
24 アノード電極
25 ターゲット
26 試料支持治具
27 タワー
28 試料支持部
29 ヒータ
30 ガス排出口
31 バイアス電源
rL 下層のすくい面における厚み
fL 逃げ面における厚み
rU 上層のすくい面における厚み
fU 逃げ面における厚み

Claims (5)

  1. 基体の表面に2層以上の被覆層が形成された切削工具であって、複数の前記被覆層のうちの厚みが厚い2層について、前記基体側に形成された被覆層を下層、前記基体から遠い側に形成された被覆層を上層と特定し、前記下層のすくい面における厚みをtrL、逃げ面における厚みをtfL、前記上層のすくい面における厚みをtrU、逃げ面における厚みをtfUとしたとき、trL<tfL、かつtrU>tfUであるとともに、前記下層の前記すくい面と前記逃げ面との交差稜線部に形成される切刃における厚みをt cL 、前記上層の前記切刃における厚みをt cU としたとき、0.9≦t cU /t cL ≦1.1である切削工具。
  2. 0.8≦(trL+trU)/(tfL+tfU)≦1.2である請求項1記載の切削工具。
  3. 前記下層および前記上層はともにTi成分とAl成分とを含有し、Ti成分とAl成分との合計含有量に対して、前記下層は前記上層よりもTi成分の含有量が多く、かつ前記上層は前記下層よりもAl成分の含有量が多い請求項1または2記載の切削工具。
  4. 前記下層が(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)からなり、前記上層が(TiCr1−y)C1−z(0.2≦y≦0.7、0≦z<1)からなる請求項1または2記載の切削工具。
  5. 前記下層が(TiAl1−x)C1−z(0.2≦x≦0.7、0≦z<1)からなり、前記上層がダイヤモンドライクカーボン(DLC)からなる請求項1または2記載の切削工具。
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