本発明の実施形態を、添付図面に基づいて説明する。図1は、本発明の実施形態にかかる露光装置の構成を概略的に示す図である。図2および図3は、図1の空間光変調ユニットの内部構成を概略的に示す図である。図1において、感光性基板であるウェハWの転写面(露光面)の法線方向に沿ってZ軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に平行な方向にY軸を、ウェハWの転写面内において図1の紙面に垂直な方向にX軸をそれぞれ設定している。
図1を参照すると、本実施形態の露光装置では、光源1から露光光(照明光)が供給される。光源1として、たとえば193nmの波長の光を供給するArFエキシマレーザ光源や、248nmの波長の光を供給するKrFエキシマレーザ光源などを用いることができる。光源1から射出された光は、ビーム送光部2および空間光変調ユニット3を介して、リレー光学系4に入射する。ビーム送光部2は、光源1からの入射光束を適切な大きさおよび形状の断面を有する光束に変換しつつ空間光変調ユニット3へ導くとともに、空間光変調ユニット3に入射する光束の位置変動および角度変動をアクティブに補正する機能を有する。
空間光変調ユニット3は、図2および図3に示すように、照明光路中に並列的に配置された4つの空間光変調器31,32,33,34を備えている。各空間光変調器31〜34は、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する。4つの空間光変調器31〜34よりも光源側(図2,図3中左側)の光路中において最も光源側には、光軸AXに対して傾斜可能な平行平面板35が配置されている。平行平面板35と第1空間光変調器31および第2空間光変調器32との間の光路中には、偏向部材36が配置されている。
平行平面板35と第3空間光変調器33との間の光路中には偏向部材37が配置され、平行平面板35と第4空間光変調器34との間の光路中には偏向部材38が配置されている。第1空間光変調器31および第2空間光変調器32とリレー光学系4との間の光路中には、偏向部材39が配置されている。第3空間光変調器33とリレー光学系4との間の光路中には偏向部材40が配置され、第4空間光変調器34とリレー光学系4との間の光路中には偏向部材41が配置されている。
以下、説明の理解を容易にするために、平行平面板35は、その入射面および射出面が光軸AXと直交する基準姿勢に設定されているものとする。この場合、3つの前側偏向部材36〜38は、光源1からの光束を4分割し、第1光束を第1空間光変調器31へ導き、第2光束を第2空間光変調器32へ導き、第3光束を第3空間光変調器33へ導き、第4光束を第4空間光変調器34へ導く。3つの後側偏向部材39〜41は、各空間光変調器31〜34を経た光をリレー光学系4へ導く。空間光変調ユニット3の具体的な構成および作用については後述する。なお、図2では、図面の明瞭化のために、偏向部材37,38,40,41の図示を省略している。
空間光変調ユニット3から射出された光は、リレー光学系4を介して、所定面5に入射する。リレー光学系4は、その前側焦点位置が各空間光変調器31〜34の複数のミラー要素の配列面の位置とほぼ一致し且つその後側焦点位置が所定面5の位置とほぼ一致するように設定されている。後述するように、各空間光変調器31〜34を経た光は、複数のミラー要素の姿勢に応じた光強度分布を所定面5に可変的に形成する。
所定面5に光強度分布を形成した光は、リレー光学系6を介して、マイクロフライアイレンズ(またはフライアイレンズ)7に入射する。リレー光学系6は、所定面5とマイクロフライアイレンズ7の入射面とを光学的に共役に設定している。したがって、空間光変調ユニット3を経た光は、所定面5と光学的に共役な位置に配置されたマイクロフライアイレンズ7の入射面に、所定面5に形成された光強度分布と同じ外形形状の光強度分布を形成する。
マイクロフライアイレンズ7は、たとえば縦横に且つ稠密に配列された多数の正屈折力を有する微小レンズからなる光学素子であり、平行平面板にエッチング処理を施して微小レンズ群を形成することによって構成されている。マイクロフライアイレンズでは、互いに隔絶されたレンズエレメントからなるフライアイレンズとは異なり、多数の微小レンズ(微小屈折面)が互いに隔絶されることなく一体的に形成されている。しかしながら、レンズ要素が縦横に配置されている点でマイクロフライアイレンズはフライアイレンズと同じ波面分割型のオプティカルインテグレータである。
マイクロフライアイレンズ7における単位波面分割面としての矩形状の微小屈折面は、マスクM上において形成すべき照野の形状(ひいてはウェハW上において形成すべき露光領域の形状)と相似な矩形状である。なお、マイクロフライアイレンズ7として、例えばシリンドリカルマイクロフライアイレンズを用いることもできる。シリンドリカルマイクロフライアイレンズの構成および作用は、例えば米国特許第6913373号公報に開示されている。
マイクロフライアイレンズ7に入射した光束は多数の微小レンズにより二次元的に分割され、その後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、入射面に形成される光強度分布とほぼ同じ光強度分布を有する二次光源(多数の小光源からなる実質的な面光源:瞳強度分布)が形成される。マイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳に形成された二次光源からの光束は、照明開口絞り(不図示)に入射する。照明開口絞りは、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍に配置され、二次光源に対応した形状の開口部(光透過部)を有する。
照明開口絞りは、照明光路に対して挿脱自在に構成され、且つ大きさおよび形状の異なる開口部を有する複数の開口絞りと切り換え可能に構成されている。照明開口絞りの切り換え方式として、たとえば周知のターレット方式やスライド方式などを用いることができる。照明開口絞りは、後述する投影光学系PLの入射瞳面と光学的にほぼ共役な位置に配置され、二次光源の照明に寄与する範囲を規定する。なお、照明開口絞りの設置を省略することもできる。
照明開口絞りにより制限された二次光源からの光は、コンデンサー光学系8を介して、マスクブラインド9を重畳的に照明する。こうして、照明視野絞りとしてのマスクブラインド9には、マイクロフライアイレンズ7の矩形状の微小屈折面の形状と焦点距離とに応じた矩形状の照野が形成される。マスクブラインド9の矩形状の開口部(光透過部)を介した光束は、結像光学系10の集光作用を受けた後、所定のパターンが形成されたマスクMを重畳的に照明する。すなわち、結像光学系10は、マスクブラインド9の矩形状開口部の像をマスクM上に形成することになる。
マスクステージMS上に保持されたマスクMを透過した光束は、投影光学系PLを介して、ウェハステージWS上に保持されたウェハ(感光性基板)W上にマスクパターンの像を形成する。こうして、投影光学系PLの光軸AXと直交する平面(XY平面)内においてウェハステージWSを二次元的に駆動制御しながら、ひいてはウェハWを二次元的に駆動制御しながら一括露光またはスキャン露光を行うことにより、ウェハWの各露光領域にはマスクMのパターンが順次露光される。
本実施形態の露光装置は、投影光学系PLを介した光に基づいて投影光学系PLの瞳面における瞳強度分布を計測する瞳強度分布計測部DTと、瞳強度分布計測部DTの計測結果に基づいて空間光変調ユニット3中の各空間光変調器31〜34を制御する制御部CRとを備えている。瞳強度分布計測部DTは、例えば投影光学系PLの瞳位置と光学的に共役な位置に配置された撮像面を有するCCD撮像部を備え、投影光学系PLの像面の各点に関する瞳強度分布(各点に入射する光が投影光学系PLの瞳位置に形成する瞳強度分布)をモニターする。瞳強度分布計測部DTの詳細な構成および作用については、例えば米国特許公開第2008/0030707号公報を参照することができる。
本実施形態では、マイクロフライアイレンズ7により形成される二次光源を光源として、照明光学系の被照射面に配置されるマスクM(ひいてはウェハW)をケーラー照明する。このため、二次光源が形成される位置は投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役であり、二次光源の形成面を照明光学系の照明瞳面と呼ぶことができる。典型的には、照明瞳面に対して被照射面(マスクMが配置される面、または投影光学系PLを含めて照明光学系と考える場合にはウェハWが配置される面)が光学的なフーリエ変換面となる。なお、瞳強度分布とは、照明光学系の照明瞳面または当該照明瞳面と光学的に共役な面における光強度分布(輝度分布)である。
マイクロフライアイレンズ7による波面分割数が比較的大きい場合、マイクロフライアイレンズ7の入射面に形成される大局的な光強度分布と、二次光源全体の大局的な光強度分布(瞳強度分布)とが高い相関を示す。このため、マイクロフライアイレンズ7の入射面および当該入射面と光学的に共役な面における光強度分布についても瞳強度分布と称することができる。図1の構成において、リレー光学系4,6、およびマイクロフライアイレンズ7は、空間光変調ユニット3中の空間光変調器31〜34を経た光束に基づいてマイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳に瞳強度分布を形成する分布形成光学系を構成している。
次に、空間光変調ユニット3の内部構成および作用を具体的に説明する。平行平面板35は、光軸AXを通ってX方向に延びる第1軸線(不図示)廻りに回転可能で且つ光軸AXを通ってZ方向に延びる第2軸線(不図示)廻りに回転可能に構成されている。その結果、ハービングとしての平行平面板35は、制御部CRからの指令にしたがって、図2および図3に示す基準姿勢から第1軸線廻りに任意の角度だけ回転した姿勢や、基準姿勢から第2軸線廻りに任意の角度だけ回転した姿勢をとることができる。基準姿勢に設定された平行平面板35では、その入射面および射出面が光軸AXと直交し、ひいてはXZ平面と平行である。
偏向部材36および39は、例えばX方向に延びる三角柱状のプリズムミラーの形態を有する。偏向部材36は、光源側に向けた一対の反射面36aおよび36bを有し、反射面36aと36bとの稜線は光軸AXを通ってX方向に延びている。偏向部材39は、マスク側に向けた一対の反射面39aおよび39bを有し、反射面39aと39bとの稜線は光軸AXを通ってX方向に延びている。図4に示すように、光軸AXに沿って光源側から見ると、一体的な一対の反射面36aおよび36bは全体としてZ方向に沿って細長い長方形の外形形状を有する。また、図示を省略したが、光軸AXに沿ってマスク側から見ると、一体的な一対の反射面39aおよび39bも全体としてZ方向に沿って細長い長方形の外形形状を有する。
偏向部材37,38,40,41は、例えばZ方向に延びる三角柱状のプリズムミラーの形態を有する。偏向部材37,38は、光源側に向けた反射面37a,38aを有する。図4に示すように、光軸AXに沿って光源側から見ると、偏向部材37の反射面37aは反射面36aおよび36bの+X方向側の端縁部と接するように配置され、偏向部材38の反射面38aは反射面36aおよび36bの−X方向側の端縁部と接するように配置されている。
また、図示を省略したが、光軸AXに沿ってマスク側から見ると、偏向部材40の反射面40aは反射面39aおよび39bの+X方向側の端縁部と接するように配置され、偏向部材41の反射面41aは反射面39aおよび39bの−X方向側の端縁部と接するように配置されている。なお、例えば金属のような非光学材料や石英のような光学材料により形成された三角柱状の部材の側面に、アルミニウムや銀などからなる反射膜を設けることにより、偏向部材36〜41を形成することもできる。あるいは、偏向部材36〜41を、それぞれミラーとして形成することもできる。
平行平面板35が基準姿勢に設定されている通常状態では、光軸AXに沿って空間光変調ユニット3に入射した平行光束は、平行平面板35の入射面および射出面で屈折作用を受けることなくそのまま通過した後、偏向部材36〜38に入射する。図4に示すように、偏向部材36〜38への入射光束、例えば矩形状の断面を有する入射光束F0のうち、偏向部材36の第1反射面36aによって反射された矩形状の断面を有する第1光束F01は第1空間光変調器31に入射し、第2反射面36bによって反射された矩形状の断面を有する第2光束F02は第2空間光変調器32に入射する。
偏向部材37の反射面37aによって反射された矩形状の断面を有する第3光束F03は第3空間光変調器33に入射し、偏向部材38の反射面38aによって反射された矩形状の断面を有する第4光束F04は第4空間光変調器34に入射する。以下、説明を単純化するために、入射光束F0の断面形状および偏向部材36〜38への入射光束F0の入射位置は、各光束F01〜F04が互いにほぼ同じ断面を有するように設定されているものとする。
第1空間光変調器31により変調された光は、偏向部材39の第1反射面39aにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。第2空間光変調器32により変調された光は、偏向部材39の第2反射面39bにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。第3空間光変調器33により変調された光は、偏向部材40の反射面40aにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。第4空間光変調器34により変調された光は、偏向部材41の反射面41aにより反射され、リレー光学系4へ導かれる。
以下、説明を単純化するために、各空間光変調器31〜34は互いに同じ構成を有し、第1空間光変調器31の複数のミラー要素の配列面と第2空間光変調器32の複数のミラー要素の配列面とは、光軸AXを含んでXY平面に平行な面に関して対称に配置されているものとする。また、第3空間光変調器33の複数のミラー要素の配列面と第4空間光変調器34の複数のミラー要素の配列面とは、光軸AXを含んでYZ平面に平行な面に関して対称に配置されているものとする。すなわち、各空間光変調器31〜34は、その複数のミラー要素の配列面が光軸AXと平行になるように配置されている。
同様に、偏向部材36の第1反射面36aと第2反射面36b、および偏向部材39の第1反射面39aと第2反射面39bとは、光軸AXを含んでXY平面に平行な面に関して対称に配置されているものとする。また、偏向部材37の反射面37aと偏向部材38の反射面38a、および偏向部材40の反射面40aと偏向部材41の反射面41aとは、光軸AXを含んでYZ平面に平行な面に関して対称に配置されているものとする。したがって、3つの空間光変調器32〜34について第1空間光変調器31と重複する説明を省略し、第1空間光変調器31に着目して、空間光変調ユニット3における各空間光変調器31〜34の構成および作用を説明する。
空間光変調器31は、図5に示すように、XY平面に沿って二次元的に配列された複数のミラー要素31aと、複数のミラー要素31aを保持する基盤31bと、基盤31bに接続されたケーブル(不図示)を介して複数のミラー要素31aの姿勢を個別に制御駆動する駆動部31cとを備えている。空間光変調器31は、図6に示すように、二次元的に配列された複数の微小なミラー要素31aを備え、入射した光に対して、その入射位置に応じた空間的な変調を可変的に付与して射出する。説明および図示を簡単にするために、図5および図6では空間光変調器31が4×4=16個のミラー要素31aを備える構成例を示しているが、実際には16個よりもはるかに多数のミラー要素31aを備えている。
図5を参照すると、光軸AXと平行な方向に沿って偏向部材36(図5では不図示)の第1反射面36aに入射して空間光変調器31に向かって反射された光線群のうち、光線L1は複数のミラー要素31aのうちのミラー要素SEaに、光線L2はミラー要素SEaとは異なるミラー要素SEbにそれぞれ入射する。同様に、光線L3はミラー要素SEa,SEbとは異なるミラー要素SEcに、光線L4はミラー要素SEa〜SEcとは異なるミラー要素SEdにそれぞれ入射する。ミラー要素SEa〜SEdは、その位置に応じて設定された空間的な変調を光L1〜L4に与える。
空間光変調器31では、すべてのミラー要素31aの反射面が1つの平面(XY平面)に沿って設定された基準状態において、光軸AXと平行な方向に沿って反射面36aに入射した光線が、空間光変調器31で反射された後に、偏向部材39(図5では不図示)の第1反射面39aにより光軸AXとほぼ平行な方向に向かって反射されるように構成されている。また、空間光変調器31の複数のミラー要素31aの配列面は、上述したように、リレー光学系4の前側焦点位置またはその近傍に位置決めされている。
したがって、空間光変調器31の複数のミラー要素SEa〜SEdによって反射されて所定の角度分布が与えられた光は、所定面5に所定の光強度分布SP1〜SP4を形成し、ひいてはマイクロフライアイレンズ7の入射面に光強度分布SP1〜SP4に対応した光強度分布を形成する。すなわち、リレー光学系4は、空間光変調器31の複数のミラー要素SEa〜SEdが射出光に与える角度を、空間光変調器31の遠視野領域(フラウンホーファー回折領域)である所定面5上での位置に変換する。
同様に、他の3つの空間光変調器32〜34によって変調された光は、その回折特性に応じた光強度分布を、所定面5に、ひいてはマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する。こうして、マイクロフライアイレンズ7が形成する二次光源の光強度分布(瞳強度分布)は、第1空間光変調器31およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第1の光強度分布と、第2空間光変調器32およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第2の光強度分布と、第3空間光変調器33およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第3の光強度分布と、第4空間光変調器34およびリレー光学系4,6がマイクロフライアイレンズ7の入射面に形成する第4の光強度分布との合成分布に対応した分布となる。ここで、第1乃至第4の光強度分布は、互いに隔絶したものであっても良いし、互いに一部または全部が重複するものであっても良いし、後述するようにランダムに混在するものであっても良い。
空間光変調器31は、図6に示すように、平面形状の反射面を上面にした状態で1つの平面に沿って規則的に且つ二次元的に配列された多数の微小な反射素子であるミラー要素31aを含む可動マルチミラーである。各ミラー要素31aは可動であり、その反射面の傾き、すなわち反射面の傾斜角および傾斜方向は、制御部CRからの指令にしたがって作動する駆動部31cの作用により独立に制御される。各ミラー要素31aは、その反射面に平行な二方向であって互いに直交する二方向(例えばX方向およびY方向)を回転軸として、所望の回転角度だけ連続的或いは離散的に回転することができる。すなわち、各ミラー要素31aの反射面の傾斜を二次元的に制御することが可能である。
なお、各ミラー要素31aの反射面を離散的に回転させる場合、回転角を複数の状態(例えば、・・・、−2.5度、−2.0度、・・・0度、+0.5度・・・+2.5度、・・・)で切り換え制御するのが良い。図6には外形が正方形状のミラー要素31aを示しているが、ミラー要素31aの外形形状は正方形に限定されない。ただし、光利用効率の観点から、ミラー要素31aの隙間が少なくなるように配列可能な形状(最密充填可能な形状)とすることができる。また、光利用効率の観点から、隣り合う2つのミラー要素31aの間隔を必要最小限に抑えることができる。
本実施形態では、空間光変調器31として、たとえば二次元的に配列された複数のミラー要素31aの向きを連続的にそれぞれ変化させる空間光変調器を用いている。このような空間光変調器として、たとえば特表平10−503300号公報およびこれに対応する欧州特許公開第779530号公報、特開2004−78136号公報およびこれに対応する米国特許第6,900,915号公報、特表2006−524349号公報およびこれに対応する米国特許第7,095,546号公報、並びに特開2006−113437号公報に開示される空間光変調器を用いることができる。なお、二次元的に配列された複数のミラー要素31aの向きを離散的に複数の段階を持つように制御してもよい。
空間光変調器31では、制御部CRからの制御信号に応じて作動する駆動部31cの作用により、複数のミラー要素31aの姿勢がそれぞれ変化し、各ミラー要素31aがそれぞれ所定の向きに設定される。空間光変調器31の複数のミラー要素31aによりそれぞれ所定の角度で反射された光は、図7に示すように、マイクロフライアイレンズ7の入射面に、例えば光軸AXを中心としてZ方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20aを形成する。
同様に、第2空間光変調器32を経た光は、例えば光軸AXを中心としてX方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20bを形成する。第3空間光変調器33を経た光は、例えば光軸AXを中心としてX方向およびZ方向と45度をなす第1斜め方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20cを形成する。第4空間光変調器34を経た光は、例えば光軸AXを中心として第1斜め方向と直交する第2斜め方向に間隔を隔てた一対の円弧形状の光強度分布20dを形成する。こうして、4つの空間光変調器31〜34を経た光は、マイクロフライアイレンズ7の入射面に、例えば光軸AXを中心とした輪帯状の光強度分布20(20a〜20d)を形成する。
その結果、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍の照明瞳には、輪帯状の光強度分布20に対応する輪帯状の光強度分布21(21a〜21d)が形成される。さらに、マイクロフライアイレンズ7の後側焦点面またはその近傍の照明瞳と光学的に共役な別の照明瞳の位置、すなわち結像光学系10の瞳位置および投影光学系PLの瞳位置(開口絞りASが配置されている位置)にも、輪帯状の光強度分布20に対応する輪帯状の光強度分布が形成される。
本実施形態では、第3空間光変調器33が故障した場合、平行平面板35を図3に示す基準姿勢からZ方向に延びる第2軸線廻りに所要の角度だけ回転した第1姿勢に設定する。第1姿勢に設定された平行平面板35は入射光束を−X方向へ所要距離だけ平行移動させ、図8に示すように、2つの前側偏向部材36および38は入射光束F1を3分割する。この場合、偏向部材36の第1反射面36aによって反射された矩形状の断面を有する光束F11は第1空間光変調器31に入射し、第2反射面36bによって反射された矩形状の断面を有する光束F12は第2空間光変調器32に入射する。
偏向部材38の反射面38aによって反射された矩形状の断面を有する光束F14は第4空間光変調器34に入射する。なお、光束F1は偏向部材37の反射面37aへ入射しないため、故障した第3空間光変調器33へ光束F1の一部が導かれることはない。ここで、入射光束F1は図4の入射光束F0と同じ断面を有し、光束F11およびF12は図4の光束F01およびF02と同じ断面を有し、光束F14は図4の光束F03とF04との合計と同じ断面を有する。
こうして、第3空間光変調器33の故障時には、例えば、空間光変調器31を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20aを形成し、空間光変調器32を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20bを形成し、空間光変調器34を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20cおよび一対の円弧形状の光強度分布20dを形成する。すなわち、第3空間光変調器33が故障しても、他の3つの空間光変調器31,32,34を用いて装置の稼働を続けることができ、ひいては装置を停止させることなく故障した空間光変調器33を交換することができる。
図示を省略したが、第4空間光変調器34が故障した場合、ハービングとしての平行平面板35により入射光束を+X方向へ平行移動させて、2つの前側偏向部材36および37により入射光束を3分割すれば良い。その結果、第4空間光変調器34が故障しても、他の3つの空間光変調器31〜33を用いて装置の稼働を続けることができ、ひいては装置を停止させることなく故障した空間光変調器34を交換することができる。
次に、第2空間光変調器32が故障した場合、平行平面板35を図3に示す基準姿勢からX方向に延びる第1軸線廻りに所要の角度だけ回転した第2姿勢に設定することにより入射光束を+Z方向へ平行移動させて、図9に示すように3つの前側偏向部材36,3738により入射光束F2を3分割する。この場合、偏向部材36の第1反射面36aによって反射された矩形状の断面を有する光束F21は第1空間光変調器31に入射する。
偏向部材37の反射面37aによって反射された矩形状の断面を有する光束F23は第3空間光変調器33に入射し、入射偏向部材38の反射面38aによって反射された矩形状の断面を有する光束F24は第4空間光変調器34に入射する。なお、光束F2は偏向部材36の第2反射面36bへ入射しないため、故障した第2空間光変調器32へ光束F2の一部が導かれることはない。ここで、入射光束F2は図4の入射光束F0と同じ断面を有し、光束F23およびF24は図4の光束F03およびF04と同じ断面を有し、光束F21は図4の光束F01とF02との合計と同じ断面を有する。
こうして、第2空間光変調器32の故障時には、例えば、空間光変調器31を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20aおよび一対の円弧形状の光強度分布20bを形成し、空間光変調器33を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20cを形成し、空間光変調器34を経た光が一対の円弧形状の光強度分布20dを形成する。すなわち、第2空間光変調器32が故障しても、他の3つの空間光変調器31,33,34を用いて装置の稼働を続けることができ、ひいては装置を停止させることなく故障した空間光変調器32を交換することができる。
図示を省略したが、第1空間光変調器31が故障した場合、ハービングとしての平行平面板35により入射光束を−Z方向へ平行移動させて、3つの前側偏向部材36,37,38により入射光束を3分割すれば良い。その結果、第1空間光変調器31が故障しても、他の3つの空間光変調器32〜34を用いて装置の稼働を続けることができ、ひいては装置を停止させることなく故障した空間光変調器31を交換することができる。
以上のように、光源1からの光に基づいて被照射面としてのマスクMを照明する照明光学系(2〜10)に用いられる本実施形態の空間光変調ユニット3では、4つの反射型の空間光変調器31〜34が照明光路中に並列的に配置され、ハービングとしての平行平面板35の作用により少なくとも3つの任意の空間光変調器へ選択的に照明光が導かれる。その結果、本実施形態の空間光変調ユニット3では、少なくとも3つの空間光変調器の同時使用により瞳強度分布を自在に且つ迅速に変化させ、瞳強度分布の形状および大きさについて多様性に富んだ照明条件を実現することができる。
また、本実施形態の空間光変調ユニット3では、4つの空間光変調器31〜34を同時使用する通常状態においても、1つの空間光変調器の故障時に3つの空間光変調器を同時使用する非常状態においても、空間光変調器を単体で使用する場合に比して、ミラー要素SEの反射面に入射する光の単位面積当たりのエネルギーが小さく(例えば1/4または1/3に)抑えられる。その結果、各空間光変調器では、ミラー要素SEの反射率が低下しにくく、所要の機能を所要期間に亘って安定的に発揮することができる。
また、本実施形態の空間光変調ユニット3では、任意の空間光変調器が故障しても、ハービングとしての平行平面板35の作用により、故障した空間光変調器を除く他の3つの空間光変調器へ照明光を導くことができる。その結果、空間光変調器の故障時にも他の3つの空間光変調器を用いて装置の稼働を続けることができ、ひいては装置を停止させることなく故障した空間光変調器を交換することができる。
このように、本実施形態の照明光学系(2〜10)では、内蔵する空間光変調器31〜34の所要の機能を所要期間に亘って安定的に発揮する空間光変調ユニット3を用いて、瞳強度分布の形状および大きさについて多様性に富んだ照明条件を実現することができる。また、本実施形態の露光装置(2〜WS)では、多様性に富んだ照明条件を実現する照明光学系(2〜10)を用いて、転写すべきマスクMのパターンの特性に応じて実現された適切な照明条件のもとで良好な露光を行うことができる。
なお、上述の実施形態では、光軸AXに対して傾斜可能な平行平面板35により、光源1から入射した光束を平行移動させて射出する光束移動部を構成している。しかしながら、これに限定されることなく、光束移動部の構成については様々な形態が可能である。例えば、一対のミラーを用いて光束移動部を構成することもできる。
また、上述の実施形態では、光軸AXに対して傾斜可能な平行平面板35と、3つの前側偏向部材36〜38とにより、光源1から入射した光を少なくとも3つの空間光変調器へ選択的に導く選択導光部を構成している。しかしながら、これに限定されることなく、選択導光部の構成については様々な形態が可能である。光束移動部を経て入射した光束を第1空間光変調器へ向けて偏向する第1前側偏向面(反射面36aに対応)と、第2空間光変調器へ向けて偏向する第2前側偏向面(反射面36bに対応)と、第3空間光変調器へ向けて偏向する第3前側偏向面(反射面37aに対応)と、第4空間光変調器へ向けて偏向する第4前側偏向面(反射面38aに対応)とを、例えば別々のミラーとして構成することもできる。
また、上述の実施形態では、第3空間光変調器33(または第4空間光変調器34)の故障に際して、図4の入射光束F0と同じ断面を有する入射光束F1を3分割している。しかしながら、図10に示すように、入射光束F1とは断面の縦横比が異なる入射光束F1’を2つの前側偏向部材36および38(または37)によりほぼ3等分することもできる。入射光束F1’は、図11に示すように、例えば平行平面板(光束移動部)35よりも光源側の光路に配置された光束断面可変部材42の作用により得られる。
光束断面可変部材42は、例えば複数のシリンドリカルレンズを含むアフォーカルズームレンズを有し、入射した光束の断面形状をX方向およびZ方向に独立に変化させて射出する。光束断面可変部材42は、場合によっては、平行平面板35と前側偏向部材36〜38との間の光路に配置されていても良い。また、光束断面可変部材42が回折光学素子を含む構成を採用することにより、入射した光束の断面形状を自在に変化させて射出することもできる。
図10に示す態様では、空間光変調器33(または34)の故障に際して、他の3つの空間光変調器31,32,34(または33)を経た光が、例えば輪帯状の光強度分布20をランダム形態にしたがって形成するようにしても良い。この場合、3つの空間光変調器31,32,34(または33)の各ミラー要素と輪帯状の光強度分布20を形成する各小光源とがランダムに一対一対応するので、空間光変調ユニット3への入射光束の光軸AXに対する位置ずれが瞳強度分布に与える影響を小さく抑えることができる。使用する空間光変調器の各ミラー要素と瞳強度分布の各小光源とをランダムに一対一対応させる手法は、使用する空間光変調器の数、瞳強度分布の形状などに限定されることなく適用可能である。
図11に示す構成では、ハービングとしての平行平面板35と光束断面可変部材42との協働作用により、図4の光束F01に対応する光束を偏向部材36の第1反射面36aに入射させ、且つ光束F02に対応する光束を偏向部材36の第2反射面36bに入射させることができる。また、図4の光束F01に対応する光束を偏向部材36の第1反射面36aにだけ入射させたり、図4の光束F02に対応する光束を偏向部材36の第2反射面36bにだけ入射させたりすることができる。
同様に、図4の光束F03に対応する光束を偏向部材37の反射面37aにだけ入射させたり、図4の光束F04に対応する光束を偏向部材38の反射面38aにだけ入射させたりすることができる。すなわち、図11に示す構成では、光源1から入射した光を少なくとも1つの空間光変調器へ選択的に導くことができるので、3つの空間光変調器が同時に故障することがあっても、装置を停止させることなく故障した空間光変調器を交換することができる。
また、上述の実施形態では、光束移動部としての平行平面板35を経た光束が矩形状の断面を有し、3つの前側偏向部材36〜38により波面分割された各光束の断面もそれぞれ矩形状である。しかしながら、これに限定されることなく、光束移動部を経た光束の断面形状および大きさ、複数の前側偏向面により波面分割された各光束の断面形状および大きさなどについて様々な形態が可能である。
また、上述の実施形態に対して、いわゆる偏光照明方法を適用することも可能である。一例として、図12に示すように、光束移動部としての平行平面板35よりも光源側の光路に偏光素子43を配置可能に設けることにより、例えば周方向偏光状態の輪帯照明を行うことができる。偏光素子43は、場合によっては、平行平面板35と前側偏向部材36〜38との間の光路に配置可能に設けられていても良い。
偏光素子43は、図13に示すように、互いに厚さの異なる4つの平行平面板状の旋光部材43a,43b,43c,43dを有する。各旋光部材43a〜43dは、旋光性を有する光学材料である結晶材料、例えば水晶により形成されている。偏光素子43が光路中に位置決めされた状態において、各旋光部材43a〜43dの入射面(ひいては射出面)は光軸AXと直交し、その結晶光学軸は光軸AXとほぼ一致(すなわち入射光の進行方向とほぼ一致)する。また、4つの旋光部材43a〜43dは、前側偏向部材36〜38により4分割される各光束F01〜F04に対応する各光束F31〜F34がそれぞれ通過するように区分されている。
偏向部材36の第1反射面36aに入射する光束F31が通過する旋光部材43aは、Z方向に偏光方向を有するZ方向直線偏光の光が入射した場合、X方向に偏光方向を有するX方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。偏向部材36の第2反射面36bに入射する光束F32が通過する旋光部材43bは、Z方向直線偏光の光が入射した場合、Z方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。
偏向部材37の反射面37aに入射する光束F33が通過する旋光部材43cは、Z方向直線偏光の光が入射した場合、X方向およびY方向と45度をなす第1斜め方向に偏光方向を有する第1斜め方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。偏向部材38の反射面38aに入射する光束F34が通過する旋光部材43dは、Z方向直線偏光の光が入射した場合、第1斜め方向と直交する第2斜め方向に偏光方向を有する第2斜め方向直線偏光の光を射出するように厚さが設定されている。
したがって、偏光素子43にZ方向直線偏光の光が入射する場合、図14に示すように、マイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳に形成される輪帯状の瞳強度分布21のうち、旋光部材34aの旋光作用を受けた光束F31が形成する一対の円弧形状の光強度分布21aの偏光方向はX方向になり、旋光部材34bの旋光作用を受けた光束F32が形成する一対の円弧形状の光強度分布21bの偏光方向はZ方向になる。旋光部材34cの旋光作用を受けた光束F33および旋光部材34dの旋光作用を受けた光束F34が形成する一対の円弧形状の光強度分布21cおよび一対の円弧形状の光強度分布21dの偏光方向は斜め方向になる。その結果、偏光素子43の作用により、周方向偏光状態の瞳強度分布21が得られる。なお、図示を省略したが、偏光素子43にX方向直線偏光の光が入射する場合、マイクロフライアイレンズ7の直後の照明瞳には、径方向偏光状態の瞳強度分布が得られる。
一般に、周方向偏光状態の輪帯状や複数極状の瞳強度分布に基づく周方向偏光照明では、最終的な被照射面としてのウェハWに照射される光がS偏光を主成分とする偏光状態になる。ここで、S偏光とは、入射面に対して垂直な方向に偏光方向を有する直線偏光(入射面に垂直な方向に電気ベクトルが振動している偏光)のことである。ただし、入射面とは、光が媒質の境界面(被照射面:ウェハWの表面)に達したときに、その点での境界面の法線と光の入射方向とを含む面として定義される。その結果、周方向偏光照明では、投影光学系の光学性能(焦点深度など)の向上を図ることができ、ウェハ(感光性基板)上において高いコントラストのマスクパターン像を得ることができる。
なお、図12の構成では、4つの旋光部材43a〜43dにより、周方向偏光照明用(または径方向偏光照明用)の偏光素子43を形成している。しかしながら、これに限定されることなく、偏光素子の具体的な構成、ひいては偏光素子が実現する偏光照明の種類などについて様々な形態が可能であり、必要に応じて所要の特性を有する偏光素子が照明光路中に位置決めされる。例えば、旋光部材に代えて、入射光を所要の偏光状態の光に変化させる複数種類の波長板、入射光から所要の偏光状態の光を選択して射出する複数種類の偏光子などを用いて、様々な入射光束に対応して様々な偏光照明を実現する偏光素子を構成することもできる。
また、上述の実施形態では、4つの空間光変調器31〜34が照明光路中に並列的に配置され、一対の空間光変調器31および32の配列面が光軸AXを挟んで互いに平行に配置され、一対の空間光変調器33および34の配列面が光軸AXを挟んで互いに平行に配置されている。そして、光源1から入射した光を、少なくとも3つの空間光変調器へ選択的に導いている。しかしながら、これに限定されることなく、光路中に並列的に配置される空間光変調器の数、各空間光変調器の配列面の位置関係、照明光が選択的に導かれる空間光変調器の数などについて、様々な形態が可能である。一般に、本発明では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する3つ以上の空間光変調器が照明光路中に互いに並列的に配置されていること、および光源から入射した光が少なくとも1つの空間光変調器へ選択的に導かれることが重要である。
なお、上述の説明では、照明瞳に輪帯状の瞳強度分布が形成される変形照明、すなわち輪帯照明を例にとって、本発明の作用効果を説明している。しかしながら、輪帯照明に限定されることなく、例えば円形状の瞳強度分布が形成される円形照明、複数極状(2極状、4極状など)の瞳強度分布が形成される複数極照明などに対しても、同様に本発明を適用して同様の作用効果を得ることができることは明らかである。
また、上述の説明では、二次元的に配列されて個別に制御される複数のミラー要素を有する空間光変調器として、二次元的に配列された複数の反射面の向き(角度:傾き)を個別に制御可能な空間光変調器を用いている。しかしながら、これに限定されることなく、たとえば二次元的に配列された複数の反射面の高さ(位置)を個別に制御可能な空間光変調器を用いることもできる。このような空間光変調器としては、たとえば特開平6−281869号公報及びこれに対応する米国特許第5,312,513号公報、並びに特表2004−520618号公報およびこれに対応する米国特許第6,885,493号公報の図1dに開示される空間光変調器を用いることができる。これらの空間光変調器では、二次元的な高さ分布を形成することで回折面と同様の作用を入射光に与えることができる。なお、上述した二次元的に配列された複数の反射面を持つ空間光変調器を、たとえば特表2006−513442号公報およびこれに対応する米国特許第6,891,655号公報や、特表2005−524112号公報およびこれに対応する米国特許公開第2005/0095749号公報の開示に従って変形しても良い。
なお、上述の実施形態では、オプティカルインテグレータとして、マイクロフライアイレンズ7を用いているが、その代わりに、内面反射型のオプティカルインテグレータ(典型的にはロッド型インテグレータ)を用いても良い。この場合、リレー光学系6の代わりに、所定面5からの光を集光する集光光学系を配置する。そして、マイクロフライアイレンズ7とコンデンサー光学系8との代わりに、所定面5からの光を集光する集光光学系の後側焦点位置またはその近傍に入射端が位置決めされるようにロッド型インテグレータを配置する。このとき、ロッド型インテグレータの射出端がマスクブラインド9の位置になる。ロッド型インテグレータを用いる場合、このロッド型インテグレータの下流の結像光学系10内の、投影光学系PLの開口絞りASの位置と光学的に共役な位置を照明瞳面と呼ぶことができる。また、ロッド型インテグレータの入射面の位置には、照明瞳面の二次光源の虚像が形成されることになるため、この位置およびこの位置と光学的に共役な位置も照明瞳面と呼ぶことができる。ここで、上記の集光光学系、上記の結像光学系、およびロッド型インテグレータを分布形成光学系とみなすことができる。
上述の実施形態では、マスクの代わりに、所定の電子データに基づいて所定パターンを形成する可変パターン形成装置を用いることができる。このような可変パターン形成装置を用いれば、パターン面が縦置きでも同期精度に及ぼす影響を最低限にできる。なお、可変パターン形成装置としては、たとえば所定の電子データに基づいて駆動される複数の反射素子を含むDMD(デジタル・マイクロミラー・デバイス)を用いることができる。DMDを用いた露光装置は、例えば特開2004−304135号公報、国際特許公開第2006/080285号パンフレットおよびこれに対応する米国特許公開第2007/0296936号公報に開示されている。また、DMDのような非発光型の反射型空間光変調器以外に、透過型空間光変調器を用いても良く、自発光型の画像表示素子を用いても良い。なお、パターン面が横置きの場合であっても可変パターン形成装置を用いても良い。ここでは、米国特許公開第2007/0296936号公報の教示を参照として援用する。なお、可変パターン形成装置として、複数のDMDを用いる場合において、本実施形態にかかる光束分割素子を用いて複数のDMDへ光を導く構成としても良い。
上述の実施形態の露光装置は、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行っても良い。
次に、上述の実施形態にかかる露光装置を用いたデバイス製造方法について説明する。図15は、半導体デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図15に示すように、半導体デバイスの製造工程では、半導体デバイスの基板となるウェハWに金属膜を蒸着し(ステップS40)、この蒸着した金属膜上に感光性材料であるフォトレジストを塗布する(ステップS42)。つづいて、上述の実施形態の投影露光装置を用い、マスク(レチクル)Mに形成されたパターンをウェハW上の各ショット領域に転写し(ステップS44:露光工程)、この転写が終了したウェハWの現像、つまりパターンが転写されたフォトレジストの現像を行う(ステップS46:現像工程)。
その後、ステップS46によってウェハWの表面に生成されたレジストパターンをマスクとし、ウェハWの表面に対してエッチング等の加工を行う(ステップS48:加工工程)。ここで、レジストパターンとは、上述の実施形態の投影露光装置によって転写されたパターンに対応する形状の凹凸が生成されたフォトレジスト層であって、その凹部がフォトレジスト層を貫通しているものである。ステップS48では、このレジストパターンを介してウェハWの表面の加工を行う。ステップS48で行われる加工には、例えばウェハWの表面のエッチングまたは金属膜等の成膜の少なくとも一方が含まれる。なお、ステップS44では、上述の実施形態の投影露光装置は、フォトレジストが塗布されたウェハWを、感光性基板つまりプレートPとしてパターンの転写を行う。
図16は、液晶表示素子等の液晶デバイスの製造工程を示すフローチャートである。図16に示すように、液晶デバイスの製造工程では、パターン形成工程(ステップS50)、カラーフィルタ形成工程(ステップS52)、セル組立工程(ステップS54)およびモジュール組立工程(ステップS56)を順次行う。ステップS50のパターン形成工程では、プレートPとしてフォトレジストが塗布されたガラス基板上に、上述の実施形態の投影露光装置を用いて回路パターンおよび電極パターン等の所定のパターンを形成する。このパターン形成工程には、上述の実施形態の投影露光装置を用いてフォトレジスト層にパターンを転写する露光工程と、パターンが転写されたプレートPの現像、つまりガラス基板上のフォトレジスト層の現像を行い、パターンに対応する形状のフォトレジスト層を生成する現像工程と、この現像されたフォトレジスト層を介してガラス基板の表面を加工する加工工程とが含まれている。
ステップS52のカラーフィルタ形成工程では、R(Red)、G(Green)、B(Blue)に対応する3つのドットの組をマトリックス状に多数配列するか、またはR、G、Bの3本のストライプのフィルタの組を水平走査方向に複数配列したカラーフィルタを形成する。ステップS54のセル組立工程では、ステップS50によって所定パターンが形成されたガラス基板と、ステップS52によって形成されたカラーフィルタとを用いて液晶パネル(液晶セル)を組み立てる。具体的には、例えばガラス基板とカラーフィルタとの間に液晶を注入することで液晶パネルを形成する。ステップS56のモジュール組立工程では、ステップS54によって組み立てられた液晶パネルに対し、この液晶パネルの表示動作を行わせる電気回路およびバックライト等の各種部品を取り付ける。
また、本発明は、半導体デバイス製造用の露光装置への適用に限定されることなく、例えば、角型のガラスプレートに形成される液晶表示素子、若しくはプラズマディスプレイ等のディスプレイ装置用の露光装置や、撮像素子(CCD等)、マイクロマシーン、薄膜磁気ヘッド、及びDNAチップ等の各種デバイスを製造するための露光装置にも広く適用できる。更に、本発明は、各種デバイスのマスクパターンが形成されたマスク(フォトマスク、レチクル等)をフォトリソグラフィ工程を用いて製造する際の、露光工程(露光装置)にも適用することができる。
なお、上述の実施形態では、露光光としてArFエキシマレーザ光(波長:193nm)やKrFエキシマレーザ光(波長:248nm)を用いているが、これに限定されることなく、他の適当なレーザ光源、たとえば波長157nmのレーザ光を供給するF2レーザ光源などに対して本発明を適用することもできる。
また、上述の実施形態において、投影光学系と感光性基板との間の光路中を1.1よりも大きな屈折率を有する媒体(典型的には液体)で満たす手法、所謂液浸法を適用しても良い。この場合、投影光学系と感光性基板との間の光路中に液体を満たす手法としては、国際公開第WO99/49504号パンプレットに開示されているような局所的に液体を満たす手法や、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる手法や、特開平10−303114号公報に開示されているようなステージ上に所定深さの液体槽を形成し、その中に基板を保持する手法などを採用することができる。ここでは、国際公開第WO99/49504号パンフレット、特開平6−124873号公報および特開平10−303114号公報の教示を参照として援用する。
また、上述の実施形態では、露光装置においてマスク(またはウェハ)を照明する照明光学系に対して本発明を適用しているが、これに限定されることなく、マスク(またはウェハ)以外の被照射面を照明する一般的な照明光学系に対して本発明を適用することもできる。