JP5401964B2 - 金属管の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、熱処理により管内面にスケールを形成する金属管の製造方法に関する。本発明によって得られる金属管は、例えば、炭化水素ガスやCOガスを含有する浸炭性ガス雰囲気で使用される管体、より具体的には、石油精製または石油化学プラントなどにおける分解炉管、改質炉管、加熱炉管、熱交換器管等に用いることができる。
石油精製、石油化学プラントなどにおける分解炉管、改質炉管、加熱炉管、熱交換器管などは、炭化水素ガスまたはCOガスを含有する浸炭性ガス雰囲気で使用される。上記の使用環境では金属管の内面は浸炭性雰囲気に曝される。このため、浸炭防止のためCr主体の酸化スケール層を形成するのが好ましい。Cr主体の酸化スケール層は、緻密度が高く、炭素の鋼中侵入に対する遮蔽特性に富み、しかも、コーキングに対し触媒作用が小さいため、鋼表面へのコーキングを抑制する。その結果、管内流体への熱伝導性を長時間保ち、例えば分解反応管として用いた場合、オレフィンなどの反応生成物の収率が安定する。このため、上記の環境で用いる金属管には、例えば、質量%で、20〜55%のCrおよび20〜70%のNiを含有させた、優れた高温強度および耐食性を有する金属管が用いられるようになっている。
即ち、特許文献1には、Crを20〜55質量%含有する母材の表面にCr欠乏層におけるCr濃度が10%以上、または、さらにその外側にCr含有量が50%以上のCr主体の酸化スケール層を有する浸炭性ガス雰囲気で使用されるステンレス鋼が開示されている。
Cr主体の酸化スケール層を形成するための熱処理方法として、例えば、特許文献2には、高温高圧水環境下で使用中のCrを12〜20質量%とNiを40質量%以下含有するステンレス鋼管からのNi溶出を防止するため、0.01〜0.5体積%を含む不活性ガス雰囲気下で加熱温度800〜1100℃、加熱時間2〜20分で熱処理してスケール層を形成させる方法が開示されている。
特許文献3には、オーステナイト系ステンレス鋼をバレル炉内のCO濃度を150ppm以上に管理して1100℃以上で熱処理することで鋼表面の異常酸化によるスケールムラを防止する発明が開示されている。
特開2005−48284号公報 特開平2−47249号公報 特開平3−197617号公報
特許文献1に示すように、20〜55質量%というCr含有量が高い金属管であれば、十分な厚さのCr主体の酸化スケール層を形成させることができる。しかしながら、その製造条件によっては、金属管内面、特に、金属管内面の中央部付近において、金属表面が露出したスケールムラが発生する場合がある。
一方、特許文献2および3にも、バレルを用いて熱処理を実施することにより、金属管に酸化スケールを形成させる技術が記載されているが、これらの文献で対象とする金属管は、Cr含有量が20質量%未満である。そして、例えば、特許文献3には、スケールムラに関する言及があるが、ここでは「スケールの局所的な異常成長」であることとされている。即ち、局所的に異常に成長したスケールに関する知見が開示されているものの、部分的な金属表面の露出については全く考慮されていない。
本発明は、このような従来技術の問題点を解決するためになされたものであり、部分的な金属表面の露出が発生することなく、均一に金属管の内表面にCr主体の酸化スケール層を形成することができる金属管の製造方法を提供することを目的とする。
バレル炉を使用して20〜55質量%のCrを含有する金属管に熱処理を実施すると、管内面の中央部付近において発生するスケールムラの原因とその防止につき検討するため、下記の実験を行った。
即ち、質量%で、0.11%のC、1.51%のSi、0.18%のMn、0.014%のP、0.0007%のS、25.02%のCr、37.55%のNi、1.05%のMo、0.394%のTi、0.0028%のB、0.022%のAlおよび0.0112%のNを含有し、残部が鉄および不純物からなる化学組成を有し、外径が69.85mm、肉厚が9.53mm、長さ13,800mmであり、管内周面に12ヶの管長手方向のリブ状突起(リブ高さ4.57mm)を有する金属管を用意し、この金属管を1230℃に保ったバレル炉(炉長さ7,000mm)に挿入し、この温度で3分間保持した後、水冷する固溶化熱処理を実施した。
なお、炉雰囲気は、LNGを燃料として、空燃比(空気の質量/燃料の完全燃焼に必要な空気の燃料質量):1.05で制御した。
得られた金属管の内面を目視観察したところ、管端部にはスケールムラが発生していなかったが、管中央部にはスケールムラが発生していた。そこで、管端部および管中央部のの内表面をEPMAによる元素の面分析を行った。なお、EPMAによる分析に際して、予め試験片の一部の酸化スケールを削り取り、母材を露出させたものを用いた。その結果を図1および2に示す。
図1は、従来の金属管内面の管端部におけるEPMAによる分析結果を示す図であり、図2は、従来の金属管内面の管中央部におけるEPMAによる分析結果を示す図であり、(a)はCr量分析図を、(b)はNi量分析図をそれぞれ示している。いずれの図においても、試験片の一部に傷を付け、母材を露出させたものを使用した(左端部分が母材を露出させた部分である。)。
図1に示すように、管端部ではスケールに由来するCrが全面で検出されたが、母材由来のNiはほとんど検出されなかった。即ち、Crを主体とする酸化スケール層が均一、且つ十分に形成されていることが分かる。しかし、図2に示すように、管中央部ではCrがほぼ全面に検出されたものの、部分的にCrが少ない部分があり、そこではNiが検出された。即ち、管中央部においても、ある程度Cr主体の酸化スケール層が形成されるが、一部に母材が露出する部分がある。
即ち、金属管内面の酸化スケール層は、管を熱間加工または冷間加工で所定寸法に加工した後、機械的特性、耐食性等の性能向上のために行われる固溶化熱処理において形成される。その熱処理に用いられる熱処理炉としては、前掲のバレル炉が用いられ、その炉内雰囲気は、バーナから供給されるLNGと空気の混合比で制御される。
ここで、金属管に連続的に熱処理をするための加熱炉としては、バーナ炉を縦列し、その間をカバーで連結したバレル炉が、設備の簡便さと経済性の観点から多用されている。しかし、この熱処理に供される金属管の長さに対し、バレル炉の長さが短い場合がある。
このバレル炉では、金属管はバレル炉内に軸方向と平行な方向に挿入され、熱処理の初期段階では、金属管の先端部分が加熱炉内にあり、後端部分が加熱炉外にあるため、その気圧差により金属管内には、先端から後端に向かって炉内の酸化性ガスが流動し、金属管内面に酸化スケールが形成される。一方、熱処理の最終段階では、逆に、金属管の先端が加熱炉外にあり、後端が加熱炉内にある状態となるため、その気圧差により金属管内には後端から先端に向かって炉内の酸化性ガスが流動することになり、金属管内面に酸化スケールが形成される。しかし、熱処理の中間段階では、金属管の両端が加熱炉外にあるため、炉内の酸化性ガスの流動が不十分となり、酸化スケールの形成が不十分となる。
その結果、金属管の先端および後端においては、その内面に十分な厚さを有し、かつ均一な酸化スケールを形成することができるが、中央部においては、部分的に金属管表面が露出し、不均一な酸化スケールが形成されことがある。
従って、金属管内面の中央部のスケールムラを防止するには、金属管内面の中央部にもスケールの形成に十分な酸化性ガスを供給することが必要になるが、バレル炉で搬送される管の端部から酸化性ガスを供給する方法では、管が異常に高温となり温度制御が困難となるため適用できない。
そこで、本発明者は、鋭意研究を行い、雰囲気ガスの酸素ポテンシャルを調整することにより、高Cr含有の金属管の内面におけるCrを主体とする酸化スケールのムラを防止することを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕に示す金属管の製造方法を要旨とする。
〔1〕質量%で、20〜55%のCrおよび20〜70%のNiを含有する金属管を、該金属管の長さより短いバレル炉により前記金属管の表面に酸化スケールを形成する金属管の製造方法であって、前記金属管を、バーナーから供給されるLNGと空気の混合比を制御して酸素ポテンシャルを0.01〜0.2atmに調整した環境で、かつ1150〜1250℃の温度範囲に制御した前記炉内に、管軸と平行な方向に移送して熱処理することを特徴とする金属管の製造方法。
〔2〕前記金属管が、質量%で、C:0.01〜0.6%、Si:0.1〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:20〜55%、Ni:20〜70%およびN:0.001〜0.25%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有する上記〔1)の金属管の製造方法。
〔3〕前記金属管が、質量%で、さらに、下記(a)〜(g)の中から選択された一種以上の元素を含有する化学組成を有する上記〔2〕の金属管の製造方法。
(a)Cu:5%以下、
(b)Co:5%以下、
(c)Mo:3%以下、W:6%以下およびTa:6%以下から選択される一種以上、
(d)Ti:1%以下およびNb:2%以下から選択される一種以上、
(e)B:0.1%以下、Zr:0.1%以下およびHf:0.5%以下から選択される一種以上、
(f)Mg:0.1%以下、Ca:0.1%以下およびAl:1%以下から選択される一種以上、
(g)Y:0.15%以下およびLn族:0.15%以下から選択される一種以上
〔4〕前記金属管が、管内面にリブ状の突起を有する上記〔1〕〜〔3〕のいずれかの金属管の製造方法。
本発明によれば、管内面に形成されるスケールのムラが少ない金属管を製造できるため、外観上の見栄えが良い。さらに、スケール層を管全面に形成することができるため、耐浸炭性および耐コーキング性に優れ、しかも、高温強度が高く、耐食性にも優れる金属管を得ることができる。この金属管は、例えば、炭化水素ガスまたはCOガスを含有する浸炭性ガス雰囲気で使用される管体、より具体的には、石油精製または石油化学プラントなどにおける分解炉管、改質炉管、加熱炉管、熱交換器管等に用いるのに適している。
本発明に係る金属管の製造方法においては、質量%(以下、各元素の含有量についての「%」は全て「質量%」を意味する。)で、20〜55%のCrおよび20〜70%のNiを含有する金属管を対象としている。これは、Cr主体の酸化スケ−ルを安定に形成すること、管製造性、高温での組織安定性等の観点によるものである。詳しくは後述する。
本発明に係る金属管の製造方法においては、上記の金属管を、管軸と平行な方向に移送し、この金属管の長さより短いバレル炉により前記金属管の表面に酸化スケールを形成することにより行う。これは、前述のように、このようなバレル炉においては、管内面の中央部においてスケールムラが生じやすく、この問題を解決するのが本発明の主眼とするところだからである。
バレル炉は、0.01〜0.2atmの酸素ポテンシャル環境で、かつ1150〜1250℃の温度範囲に制御する必要がある。
ここで、酸素ポテンシャルとは、炉内に供給する酸化性ガスを酸素に換算したものを意味し、例えば、市販の熱力学計算ソフトMALT2を用いて算出することができる。そして、酸素ポテンシャルが0.01atmに満たない場合、金属管の中央部にスケールムラが発生しやすくなり、一方、酸素ポテンシャルが0.2atmを超えると、局所的な異常酸化を招く。従って、バレル炉の雰囲気は、0.01〜0.2atmの酸素ポテンシャル環境とした。酸素ポテンシャルの上限は、0.1atmとするのが好ましい。なお、酸素ポテンシャルは、例えば空燃比を変更することで制御することができる。
また、加熱温度が1150℃未満では、スケールが均一に十分形成されない。1250℃を超えると融点近傍での加熱となり材料の性能が大きく損なわれる。従って、バレル炉の加熱温度は、1150〜1250℃の温度範囲に制御することとした。
次に、本発明の対象である金属管の化学組成について説明する。
上述のように、金属管は、20〜55%のCrおよび20〜70%のNiを含有する化学組成であればよいが、特に、C:0.01〜0.6%、Si:0.1〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:20〜55%、Ni:20〜70%およびN:0.001〜0.25%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有するのが好ましい。
なお、不純物とは、原料鉱石、スクラップ等から混入する成分であって、本発明に悪影響を与えない範囲で許容されるものを意味する。
以下、各元素の含有量の範囲および限定理由について説明する。
C:0.01〜0.6%
Cは、高温強度を確保するのに有効な元素であり、含有させてもよい。しかし、その効果は、その含有量が0.01%以上の場合に顕著となるが、その含有量が0.6%を超えると、ステンレス鋼の靱性を著しく低下させるおそれがある。従って、Cは0.01〜0.6%含有させるのが好ましい。より好ましい下限は、0.02%である。また、より好ましい上限は、0.45%であり、さらに好ましい上限は0.3%である。
Si:0.1〜5%
Siは酸素との親和力が強いため、Cr主体の酸化スケ−ル層を均一に形成することを助長するのに有効な元素であり、含有させてもよい。これらの作用は、その含有量が0.1%以上の場合に顕著となるが、その含有量が5%を超えると、溶接性が劣化し、組織も不安定になるおそれがある。従って、Siは0.1〜5%含有させるのが好ましい。より好ましい下限は、0.3%である。また、より好ましい上限は、3%であり、更に好ましい上限は2%である。
Mn:0.1〜10%
Mnは、脱酸および加工性改善に有効な元素であるので、含有させてもよい。この効果が顕著となるのは、その含有量が0.1%以上の場合である。Mnは、オーステナイト生成元素であることから、Niの一部をMnで置換することも可能である。しかし、その含有量が10%を超えると、Cr主体の酸化スケール層の形成を阻害するおそれがある。従って、Mnは0.1〜10%含有させるのが好ましい。より好ましい上限は5%であり、更に好ましい上限は2%である。
P:0.08%以下、
S:0.05%以下
PおよびSは、結晶粒界に偏析し、熱間加工性を劣化させる。そのため、極力低減することが好ましいが、過剰な低減はコスト高を招く。従って、Pは0.08%、Sは0.05%まで許容できる。より好ましい上限は、Pは0.05%以下、Sは0.03%以下である。更に好ましい上限は、Pは0.04%以下、Sは0.015%以下である。
Cr:20〜55%
Crは、本発明において重要な元素である。Cr主体の酸化スケ−ルを安定的に形成するためには20%以上の含有が必要である。しかしながら、過剰な含有は、管製造性や使用中の高温での組織安定性を低下させるので、上限を55%とする。従って、Crは20〜55%含有させる。加工性とともに組織安定性の劣化を防止するためには、上限を35%とすることが好ましい。より好ましい上限は33%である。また、好ましい下限は、22%である。
Ni:20〜70%
Niは、Cr含有量に応じて安定したオーステナイト組織を得るために必要な元素であり、20%以上の含有させる必要がある。また、Cが鋼中に侵入した場合、侵入速度を低減する働きがあるため含有することが好ましい。しかしながら、過剰な含有は、コスト高と製造難を招く。従って、Niは20〜70%含有させる。好ましい下限は23%であり、更に好ましい下限は25%である。また、好ましい上限は60%であり、更に好ましい上限は50%である。
N:0.001〜0.25%
Nは、高温強度改善に有効な元素であるので、含有させても良い。この効果を得るためには0.001%以上含させることが好ましい。しかし、過剰な含有は、加工性を大きく阻害するため、0.25%を上限とするのが好ましい。従って、Nは0.001〜0.25%含有させるのが好ましい。より好ましい上限は0.2%である。
金属管は、上記の成分に加え、更に、さらに、下記(a)〜(g)の中から選択された一種以上の元素を含有するのが好ましい。
(a)Cu:5%以下
Cuは、オーステナイト相を安定にする他、高温強度向上に有効であるので、含有させてもよい。上記の効果を得るためには0.01%以上含有させるのが好ましい。一方、5%を超えて含有させると、著しく熱間加工性を低下させるおそれがある。従って、Cuを含有させる場合には、その含有量を5%とするのが好ましい。より好ましい上限は3%である。
(b)Co:5%以下
Coはオーステナイト相を安定にして、Niの一部を置換することができるので、含有させてもよい。上記の効果を得るためには0.01%以上含有させるのが好ましい。一方、5%を超えて含有させるすると著しく熱間加工性を低下させる。従って、Coを含有させる場合は5%以下含有させるのが好ましい。好ましい範囲は0.01〜3%である。
(c)Mo:3%以下、W:6%以下およびTa:6%以下から選択される一種以上、
Mo、WおよびTaはいずれも固溶強化元素として高温強度向上に有効であるので、含有させてもよい。その効果を発揮させるためには0.01%以上含有させることが好ましい。しかし、過剰な含有は、加工性の劣化と組織安定性を阻害するおそれがある。従って、これらの元素の一種以上を含有させる場合には、Moは3%以下、Wは6%以下、Taは6%以下含有させるのが好ましい。いずれの元素も、その含有量の上限は2.5%とするのがより好ましく、更に好ましい上限は2%である。また、これらの元素の一種以上を含有させる場合は、その合計含有量は10%以下とするのが好ましい。
(d)Ti:1%以下およびNb:2%以下から選択される一種以上
TiおよびNbは、極微量の含有でも高温強度および延性、靱性の改善に大きな効果があるので、含有させてもよい。上記の効果を得るためには0.01%以上含有させるのが好ましい。またTiは1%、Nbは2%を超えると加工性や溶接性が低下するおそれがある。従って、これらの元素の一種以上を含有させる場合には、Tiは1%以下、Nbは2%以下含有させるのが好ましい。TiおよびNbを複合して含有させる場合は、合計で2%以下とするのが好ましい。
(e)B:0.1%以下、Zr:0.1%以下およびHf:0.5%以下から選択される一種以上
B、ZrおよびHfは、いずれも粒界を強化し、熱間加工性および高温強度特性を改善するのに有効な元素であるので、含有させてもよい。その効果を得るには、いずれの元素も0.001%以上含有させるのが好ましい。しかし、過剰な含有は、溶接性を劣化させるおそれがある。従って、これらの元素の一種以上を含有させる場合には、Bは0.1%以下、Zrは0.1%以下およびHfは0.5%以下含有させることが好ましい。
(f)Mg:0.1%以下、Ca:0.1%以下およびAl:1%以下から選択される一種以上
Mg、CaおよびAlは、いずれも熱間加工性を改善するのに有効な元素であるので、含有させてもよい。上記の効果を得るためには、MgおよびCaでは、0.0005%以上、Alでは0.01%以上含有させるのが好ましい。しかし、いずれの元素も過剰な含有は、溶接性を劣化させるおそれがある。従って、これらの元素の一種以上を含有させる場合には、Mgは0.1%以下、Caは0.1%以下およびAlは1%以下含有させるのが好ましい。MgおよびCaの含有量のより好ましい下限は、0.0008%であり、好ましい上限は0.05%である。また、Alの含有量の好ましい上限は0.6%である。
(g)Y:0.15%以下およびLn族:0.15%以下から選択される一種以上
Y、Ln族は、耐酸化性の向上に有効な元素であるので、含有させてもよい。上記の効果を得るためには、いずれの元素においても0.0005%以上含有させるのが好ましい。一方、過剰に含有させても、加工性を低下させるおそれがある。従って、これらの元素の一種以上を含有させる場合には、Yは0.15%以下、Ln族は0.15%以下含有させるのが好ましい。Ln族の中でも、特にLa、CeおよびNdから選択される一種以上を用いることが好ましい。なお、Ln族とは、元素番号57のLaから、同71のLuまでを指す。
前述の熱処理に供される金属管の形状には特に制約はないが、管内面にリブ状の突起を有するものが好ましい。これは、石油精製、石油化学プラントなどにおける反応炉内に配管された分解炉管もしくは改質炉管、加熱炉管、または、熱交換器管は、管の内部に炭化水素類を水蒸気とともに供給し、管外面から熱を加えることにより、管の内部で炭化水素類を熱分解反応させて、オレフィン系炭化水素類(エチレン、プロピレン等)を得るものであり、上記の熱分解反応において、炭化水素類を未反応のまま反応炉外に排出させないためには、管外面から加えられる熱を効率よく管内面に伝達させることが必要となる。すなわち、管には優れた「熱交換特性」が必要とされる。従って、熱交換特性を向上させる手段として管の内表面積を大きくするため、管の内周面にリブ状の突起を形成させたリブ付き管(またはひれ付き管)を使用するのが好ましい。
0.11%のC、1.51%のSi、0.18%のMn、0.014%のP、0.0007%のS、25.02%のCr、37.55%のNi、1.05%のMo、0.394%のTi、0.0028%のB、0.022%のAlおよび0.0112%のNを含有し、残部が鉄および不純物からなる化学組成を有し、外径が69.85mm、肉厚が9.53mm、長さ13,800mmであり、管内周面に12ヶの管長手方向のリブ状突起(リブ高さ4.57mm)を有する金属管を用意し、この金属管を1230℃に保ったバレル炉(炉長さ7,000mm)に挿入し、この温度で3分間保持した後、水冷する固溶化熱処理を実施した。熱処理後に、管端部と中央部を切り出し、内表面のスケールムラの有無を目視で確認した。炉内雰囲気の条件を表1に示す。
Figure 0005401964
なお、炉内の雰囲気は、ガスクロマトグラフィーによる炉内ガスの分析を行った。また、ガスクロマトグラフィーではH2Oの分析ができないため、完全燃焼と仮定したH2O濃度で補正した。

表1に示すように、酸素ポテンシャルPO2が10-2atm(即ち、0.01atm)未満であった比較例1および2では、管中央部においてスケールムラが発生したが、酸素ポテンシャルが10-2atm(即ち、0.01atm)以上であった本発明例1では、管端部、管中央部共に、均一な酸化スケール層を形成することができた。
本発明によれば、管内面に形成されるスケールのムラが少ない金属管を製造できるため、外観上の見栄えが良い。さらに、スケール層を管全面に形成することができるため、耐浸炭性および耐コーキング性に優れ、しかも、高温強度が高く、耐食性にも優れる金属管を得ることができる。この金属管は、例えば、炭化水素ガスやCOガスを含有する浸炭性ガス雰囲気で使用される管体、より具体的には、石油精製または石油化学プラントなどにおける分解炉管、改質炉管、加熱炉管、熱交換器管等に用いるのに適している。
従来の金属管内面の管端部におけるEPMAによる分析結果を示す図 (a) Cr量分析図 (b) Ni量分析図 従来の金属管内面の管中央部におけるEPMAによる分析結果を示す図 (a) Cr量分析図 (b) Ni量分析図

Claims (4)

  1. 質量%で、20〜55%のCrおよび20〜70%のNiを含有する金属管を、該金属管の長さより短いバレル炉により前記金属管の表面に酸化スケールを形成する金属管の製造方法であって、前記金属管を、バーナーから供給されるLNGと空気の混合比を制御して酸素ポテンシャルを0.01〜0.2atmに調整した環境で、かつ1150〜1250℃の温度範囲に制御した前記炉内に、管軸と平行な方向に移送して熱処理することを特徴とする金属管の製造方法。
  2. 前記金属管が、質量%で、C:0.01〜0.6%、Si:0.1〜5%、Mn:0.1〜10%、P:0.08%以下、S:0.05%以下、Cr:20〜55%、Ni:20〜70%およびN:0.001〜0.25%を含有し、残部がFeおよび不純物からなる化学組成を有することを特徴とする請求項1に記載の金属管の製造方法。
  3. 前記金属管が、質量%で、さらに、下記(a)〜(g)の中から選択された一種以上の元素を含有する化学組成を有することを特徴とする請求項2に記載の金属管の製造方法。
    (a)Cu:5%以下、
    (b)Co:5%以下、
    (c)Mo:3%以下、W:6%以下およびTa:6%以下から選択される一種以上、
    (d)Ti:1%以下およびNb:2%以下から選択される一種以上、
    (e)B:0.1%以下、Zr:0.1%以下およびHf:0.5%以下から選択される一種以上、
    (f)Mg:0.1%以下、Ca:0.1%以下およびAl:1%以下から選択される一種以上、
    (g)Y:0.15%以下およびLn族:0.15%以下から選択される一種以上
  4. 前記金属管が、管内面にリブ状の突起を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の金属管の製造方法。
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