JP5401857B2 - 蒸気圧縮式冷凍サイクル - Google Patents

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Description

本発明は、例えば給湯装置における給湯水の加熱源に適用して好適な蒸気圧縮式冷凍サイクルに関するものである。
従来の蒸気圧縮式冷凍サイクルとして、例えば特許文献1に示されるように、冷媒としてCO2が使用されて、サイクルの高圧側圧力が超臨界領域で運転されるものが知られている。ここでは、冷媒の高圧側温度および高圧側圧力をもとに圧力制御弁(減圧器)の弁開度が制御されるようになっている。
特開平9−264622号公報
しかしながら、上記のように冷媒の高圧側の温度および圧力をもとにサイクルの制御を行うものは、圧縮機の吸入側の冷媒条件(温度、圧力)が成り行きとなってしまう。
また、超臨界領域で運転される冷凍サイクルの圧縮機用の潤滑油としては、高圧雰囲気においても適切な油膜が形成されるように、通常、高粘度の潤滑油が採用される。そして、高圧での運転に伴うCO2のガス密度は非常に高くなることから、他の冷媒(HFC134a等)を使用する圧縮機に比べて、圧縮機としての吐出容量は小容量のものが使用される。
よって、圧縮機の吸入側の冷媒条件が成り行きとなることから、圧縮機用潤滑油の粘度、貯油量は変動しやすくなり、また、圧縮機が小容量であるとサイクルを循環する冷媒の流速は遅くなる。そして、一度圧縮機から流出した潤滑油は、サイクル内の熱交換器(主に蒸発器)内に滞留しやすくなり、その結果、圧縮機に戻りにくい状況となり、圧縮機の信頼性低下や、熱交換器での熱交換効率低下によるサイクル効率低下を引き起こしていた。
本発明の目的は、上記問題に鑑み、圧縮機から吐出された潤滑油の戻り性を向上させて、圧縮機の信頼性向上、およびサイクルの効率向上を可能とする蒸気圧縮式冷凍サイクルを提供することにある。
本発明は上記目的を達成するために、以下の技術的手段を採用する。
請求項1に記載の発明では、圧縮機(111)、放熱器(112)、膨張弁(113)、および蒸発器(114)が環状に接続され、冷媒としてCO2が使用される冷凍サイクル(110)と、
圧縮機(111)の作動、および膨張弁(113)の弁開度を制御することで冷凍サイクル(110)の運転を行う制御部(120)とを備える蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
圧縮機(111)内には、所定摺動部用であって、相溶性を有する潤滑油を貯める貯油室(111a)が形成されており、
圧縮機(111)が吸入する冷媒の吸入エンタルピー(A)と、冷媒の低圧側圧力での飽和蒸気線上のエンタルピー(B)との差(A−B)を比エンタルピー(X)と定義した時に、
制御部(120)は、冷凍サイクル(110)の運転中に、比エンタルピー(X)が、予め定めた所定範囲となるように、膨張弁(113)の弁開度を調整し、貯油室(111a)における潤滑油の残油率が所定残油率範囲に入るようにする比エンタルピー制御運転を実行するようになっており、
所定範囲は、−20≦X≦68.43としたことを特徴としている。
これにより、圧縮機(111)の吸入側の冷媒を飽和蒸気に近い状態にすることができる。そして、潤滑油に冷媒が溶け込みやすくなり、潤滑油と冷媒とが混合状態となって潤滑油の粘度を下げることができるので、短時間で潤滑油を冷凍サイクル(110)内から貯油室(111a)に回収することができる。よって、圧縮機(111)から吐出された潤滑油の戻り性を向上させて、圧縮機(111)の信頼性向上、および冷凍サイクル(110)の効率向上を可能とする蒸気圧縮式冷凍サイクル(100)とすることができる。
また、所定範囲を、−20≦X≦68.43とすることで、圧縮機(111)における液圧縮を回避しつつ、且つ、必要最低限の残油率を確保可能として、圧縮機(111)の信頼性向上、および冷凍サイクル(110)の効率向上を可能とすることができる。
ここで、CO2を冷媒として使用するものにおいては、高圧側が臨界点を超える場合があり、高圧側の冷媒温度を検出するだけでは、高圧側の冷媒圧力を一義的に推定することができない。
そこで、請求項1に記載の発明では、冷媒の高圧側圧力(PH)を検出する圧力検出手段(131)と、
圧縮機(111)から吐出される冷媒の吐出温度(TH)を検出する温度検出手段(132)と、
冷媒の低圧側圧力(PL)を推定あるいは検出する圧力推定検出手段(141)とを備え、
制御部(120)は、冷凍サイクル(110)の運転中に、吸入エンタルピー(A)を、
圧力検出手段(131)によって得られる高圧側圧力(PH)と、
温度検出手段(132)によって得られる吐出温度(TH)と、
圧力推定検出手段(141)から得られる低圧側圧力(PL)と、
圧縮機(111)の断熱圧縮を前提とする等エントロピー特性とから算出し、
飽和蒸気線上のエンタルピー(B)を、
冷媒の低圧側圧力(PL)と、冷媒の飽和蒸気線の特性とを用いて算出し、
吸入エンタルピー(A)と、飽和蒸気線上のエンタルピー(B)との差(A−B)より比エンタルピー(X)を算出し、
算出した比エンタルピー(X)が、所定範囲となるように、膨張弁(113)の弁開度を調整することを特徴としている。
これにより、簡易な構成にて、吸入エンタルピー(A)を容易に算出することができる。
請求項に記載の発明では、制御部(120)は、飽和蒸気線上のエンタルピー(B)を、
圧力推定検出手段(141)から得られる低圧側圧力(PL)と、
冷媒の飽和蒸気特性とから算出することを特徴としている。
これにより、上記と同様に簡易な構成にて、飽和蒸気線上のエンタルピー(B)を容易に算出することができる。
請求項に記載の発明では、所定範囲は、望ましくは−20≦X≦20としたことを特徴としている。
これにより、所定残油率範囲における下限値を大きくすることができる。
請求項に記載の発明では、所定範囲は、更に望ましくは−20≦X≦0としたことを特徴としている。
これにより、所定残油率範囲における下限値を更に大きくすることができる。
通常、圧縮機(111)は、湿り度(Z)の高い冷媒を吸入すると液圧縮となって、信頼性が低下する。よって、請求項13に記載の発明のように、湿り度(Z)を20%以下に抑えることで、圧縮機(111)における液圧縮を回避しつつ、潤滑油の戻り性向上による圧縮機(111)の信頼性向上、および冷凍サイクル(110)の効率向上を可能とすることができる。
請求項に記載の発明では、制御部(120)は、圧縮機(111)の起動後に、比エンタルピー制御運転を実行することを特徴としている。
これにより、圧縮機(111)起動後に生じやすい潤滑油の戻り不良を効果的に抑制することができる。
請求項に記載の発明では、制御部(120)は、冷凍サイクル(110)の所定運転時間毎に、比エンタルピー制御運転を実行することを特徴としている。
これにより、冷凍サイクル(110)の運転中の大半の時間を通常制御運転とすることができるので、本来の冷凍サイクル(110)の作動を大きく損なうことがない。
比エンタルピー制御運転に際しては、請求項に記載の発明のように、所定運転時間に対して10%以上の割合で実行すると良い。また、請求項に記載の発明のように、冷媒が冷凍サイクル(110)内を所定回数循環するように実行しても良い。
尚、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
(第1実施形態)
以下、本発明を適用した第1実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル100について図1〜図5を用いて説明する。まず、本実施形態の蒸気圧縮式冷凍サイクル100の基本構成について、図1の模式図を用いて説明する。
蒸気圧縮式冷凍サイクル100(広義にはヒートポンプサイクル)は、一般家庭用の給湯装置の加熱手段として使用されるものであり、冷凍サイクル110と、この冷凍サイクル110の作動(運転)を制御する制御部120とを備えている。尚、給湯装置は、冷凍サイクル110(放熱器112)によって生成される高温湯を貯湯タンク内に貯えると共に、貯えられた高温湯を給湯用の湯として、台所、洗面所、風呂、暖房機器等へ供給する装置である。
冷凍サイクル110は、圧縮機111、放熱器112、膨張弁113、蒸発器114が順次配管によって環状に接続されることで構成されている。そして、冷凍サイクル110の内部を流れる冷媒としては、熱効率に優れる点で二酸化炭素(CO2)が使用されるようになっている。
圧縮機111は、1つの密閉容器内に圧縮機部と電動モータ(図示せず)とが収容された密閉型の電動圧縮機として形成されており、電動モータによって圧縮機部が駆動され、後述する蒸発器114より吸引した気相冷媒を臨界圧力以上(後述する図3の臨界点Kの圧力以上)に圧縮して吐出するようになっている。圧縮機111(電動モータ)の作動は、後述する制御部120によって制御されるようになっている。
圧縮機部は、電動モータによってシャフトが回転駆動され、このシャフトの回転駆動によって旋回スクロールが固定スクロールに対して公転作動されるスクロール式の圧縮機部として形成されている。両スクロール間に形成される作動室の拡大によりに気相冷媒が吸入され、更に作動室の収縮により冷媒が圧縮吐出されるようになっている。
そして、圧縮機111(圧縮機部)の吐出側となる内部空間には、例えばシャフトの軸受け部、旋回スクロール等の摺動部(所定摺動部)の潤滑を図るための潤滑油を貯める貯油室111aが形成されている。貯油室111aの潤滑油は、圧縮機111の内部圧力によって、上記摺動部に供給されるようになっている。尚、本冷凍サイクル110が超臨界サイクルであり、高圧圧力下で運転されることから、潤滑油としては、高圧圧力下においても適切な油膜が形成されて圧縮機111の信頼性が得られるように、例えば粘度が30cSt以上となる高粘度潤滑油が使用されている。また、この潤滑油は、相溶性のある2層分離するものとしている。
圧縮機111の外部吐出側(圧縮機111と放熱器112の間)には、冷媒と共に吐出される潤滑油を、冷媒から分離するための潤滑油分離手段としてのオイル分離器111bが設けられている。オイル分離器111bは、例えば、冷媒に旋回流れを与えて、冷媒と潤滑油との比重量の差によって、冷媒と潤滑油とを分離する遠心式の分離器が使用されている。オイル分離器111bによって分離された潤滑油は貯油室111aに還流されるようになっている。
放熱器112は、圧縮機111より吐出された高温高圧の冷媒(ホットガス)と図示しない循環ポンプにより貯湯タンク内から圧送された給湯水との間で熱交換し、給湯水を加熱して湯とする熱交換器である。放熱器112は、内部に冷媒が流れる冷媒通路(図示しない)と、給湯水が流れる水通路(図示しない)とを有しており、冷媒通路を流れる冷媒の流れ方向と水通路を流れる給湯水の流れ方向とが対向するように構成されている。尚、放熱器112を流れる冷媒(CO2)は、圧縮機111によって臨界圧力以上に加圧されているので、放熱器112を流通する給湯水に放熱して温度低下しても凝縮することは無い。
膨張弁113は、放熱器112から流出される冷媒を弁開度に応じて等エンタルピー的に減圧する減圧器であり、具体的には絞り量を加えていき弁開度を小さくすることで、より大きな減圧を行う。逆に言えば、弁開度を小さくすることで冷媒の高圧側に対しては圧力を上昇させる。膨張弁113は、後述する制御部120によって弁開度が電気的に(図示しないステッピングモータによって)制御されるようになっている。
蒸発器114は、膨張弁113で減圧された冷媒を図示しないファンによって送風される外気との熱交換によって蒸発させる熱交換器である。蒸発器114の冷媒出口側は、圧縮機111の冷媒吸入側に接続されている。
圧縮機111(オイル分離機111b)と放熱器112との間には、放熱器112に流入する冷媒の圧力(以下、高圧側圧力PH)を検出する圧力センサ131、および圧縮機111から吐出される冷媒の温度(以下、吐出温度TH)を検出する温度センサ132が配設されている。圧力センサ131は上記冷媒の圧力情報を、また温度センサ132は上記冷媒の温度情報を後述する制御部120に出力するようになっている。
また、蒸発器114の熱交換部中央の外表面には、蒸発器114内を流通する冷媒の温度(以下、低圧側温度TL)を検出する温度センサ141が設けられている。温度センサ141は、後述するように蒸発器114における冷媒の圧力(以下、低圧側圧力PL)を間接的に検出(推定)する圧力推定検出手段に対応する。温度センサ141は上記冷媒の温度情報を後述する制御部120に出力するようになっている。
制御手段である制御部120は、冷凍サイクル110の作動(運転)を制御するものであり、後述する通常制御運転の中で、比エンタルピー制御運転を実行するようになっている。制御部120は、圧力センサ131からの圧力情報、および各温度センサ132、141からの温度情報に基づいて、圧縮機111の作動状態、膨張弁113の弁開度、およびファンの作動状態を制御し、蒸発器114によって外気から吸熱し、放熱器112によって内部を流通する給湯水を加熱するようになっている。
次に、上記構成による蒸気圧縮式冷凍サイクル100の作動(通常制御運転、および比エンタルピー制御運転)について図2〜図5を加えて説明する。尚、図2は制御部120が行う通常制御運転、および比エンタルピー制御運転に用いられるフローチャート、図3は比エンタルピーの算出要領を示すグラフ、図4は外気温度に対する圧縮機111の残油率、および比エンタルピーを示すグラフ、図5は比エンタルピーに対する残油率を示すグラフである。
制御部120は、冷凍サイクル110の起動直後にステップS100〜ステップS200において、まず、比エンタルピー制御運転を実行し、その後に、ステップS210〜ステップS240において、冷凍サイクル110の所定運転時間での通常制御運転、および通常制御運転後の比エンタルピー制御運転を繰り返し実行する。以下、制御の詳細を説明する。
図2に示すように、制御部120は、まず、ステップS100で後述するステップS200での判定のためのタイマーカウントをスタートする。ここでのカウント時間は、冷凍サイクル110を運転する際に、例えば所定運転時間として60分を定め、その10%以上となる時間(例えば10分)をカウントする。
次に、ステップS110で圧力センサ131によって検出される高圧側圧力PHを取得し、ステップS120で温度センサ132によって検出される吐出温度THを取得し、更に、ステップS130で温度センサ141によって検出される低圧側温度TLを取得する。
次に、ステップS140で上記の低圧側温度TLを基に、対応する低圧側圧力PLを算出する。これは、蒸発器114における気液2相状態の冷媒の温度(低圧側温度TL)は一定値を示し、この温度に対応する冷媒圧力値(低圧側圧力PL)は一義的に定まることから算出するようにしている。
次に、ステップS150で、圧縮機111の吸入側となる吸入冷媒の吸入エンタルピーAを算出する。吸入エンタルピーAの算出は、以下のように行う。即ち、図3に示すCO2冷媒のモリエル線図上において、ステップS110にて取得した高圧側圧力PH値に基づく圧力線と、ステップS120にて取得した吐出温度TH値に基づく温度線とから、両者の交差する点を吐出冷媒の状態位置アとして特定する。そして、この状態位置アを通る圧縮機111の断熱圧縮を前提とする等エントロピー線(等エントロピー特性)を用いて、この等エントロピー線と、ステップS140で算出した低圧側圧力PL値に基づく圧力線とから、両者の交差する点を吸入冷媒の状態位置イとして算出する。そして、この状態位置イにおけるエンタルピー値を吸入エンタルピーAとして算出する。
次に、ステップS160で、飽和蒸気線上のエンタルピーBを算出する。飽和蒸気線上のエンタルピーBの算出は、以下のように行う。即ち、モリエル線図の飽和蒸気線(飽和蒸気特性)と、ステップS140で算出した低圧側圧力PL値に基づく圧力線とから、両者の交差する点を低圧側圧力における飽和蒸気線上の状態位置ウとして算出する。そして、この状態位置ウにおけるエンタルピー値を飽和蒸気線上のエンタルピーBとして算出する。
次に、ステップS170で、上記吸入エンタルピーAと飽和蒸気線上のエンタルピーBとの差(A−B)を、比エンタルピーXとして算出する。比エンタルピーXは、その値がゼロに近いほど、冷媒は飽和状態に近いことを意味する。そして、比エンタルピーXは、吸入エンタルピーAがモリエル線図の気液2相域にあると負の値となり、この値(−X)が小さいほど(絶対値Xが大きいほど)冷媒の湿り度が大きい状態にあることを意味する。また、比エンタルピーXは、吸入エンタルピーAがモリエル線図の過熱域にあると正の値となり、この値(X)が大きいほど冷媒の過熱度が高い状態にあることを意味する。比エンタルピーXは、吸入冷媒における湿り度あるいは過熱度を明確に把握可能とする物理量となっている。
次に、ステップS180で、算出した比エンタルピーXが予め定めた所定範囲内にあるか否かを判定する。比エンタルピーXの所定範囲は、ここでは、−20≦X≦0の範囲としている。所定範囲の設定根拠としては以下の内容を基にしている。
即ち、外気温度に対する圧縮機111の貯油室111aでの残油率Y、および比エンタルピーXの関係を調べると、図4のような結果が得られ、更に図4より比エンタルピーXに対する残油率Yの関係をまとめると図5のような結果を得た。図5における残油率Yと比エンタルピーXの関係において、1次の直線近似することで、
Y=−0.0058X+0.6969
が得られた。
冷凍サイクル110の運転時において、吸入冷媒の比エンタルピーXが小さくなると、上記で説明したように冷媒の湿り度が大きくなることから、圧縮機110における液圧縮のおそれが生ずる。よって、この液圧縮の影響を受けない比エンタルピーXの下限値としては、−20以上とするのが良いことを確認した。また、冷凍サイクル110の運転時において、圧縮機110の信頼性を確保するには、貯油率Yとしては、30%以上が必要であることを確認した。
よって、比エンタルピーXとしては、−20≦X≦68.43の範囲(所定範囲)と成るように設定することが好ましいと言える。この時の貯油率Yは、30%〜80%の確保が見込まれる。更に、貯油率Yの下限値を大きくしていくことで、貯油率Yを実質的に高めることができるため、比エンタルピーXの範囲としては、望ましくは−20≦X≦20(貯油率Yは58%〜80%)、更に望ましくは−20≦X≦0(貯油率Yは70%〜80%)に設定すると良いと言える。本実施形態では、比エンタルピーXの所定範囲としては、貯油率Yの値として最も大きく取り得る−20≦X≦0を採用した。
ステップS180で否と判定すると、次に、ステップS190に移行して、膨張弁190の弁開度を調整する。弁開度の調整にあたっては、−20≦X≦0の範囲において比エンタルピーXが小さい側にあって大きくしたい場合は、膨張弁113の弁開度を小さくする。逆に−20≦X≦0の範囲において比エンタルピーXが大きい側にあって小さくしたい場合は、膨張弁113の弁開度を大きくする。そして、この弁開度調整の後にステップS110に戻り、ステップS180での判定が否の間は、ステップS110〜ステップS190を繰り返す。
そして、ステップS180で比エンタルピーXが−20≦X≦0の範囲に入ると、ステップS200において、ステップS100でスタートしたタイマーカウントが10分になったか否かを判定し、否の場合は、ステップS110〜ステップS180を繰り返し、タイマーカウントが10分になると(タイムアップすると)、ステップS210に移行する。
以上のステップS100〜ステップS200が、制御部120による、冷凍サイクル110の起動直後の比エンタルピー制御運転の実行となっている。
そして、ステップS210では、後述するステップS230での判定のためのタイマーカウントをスタートする。ここでのカウント時間は、冷凍サイクル110を運転する際の所定運転時間として定めた60分をカウントする。
次に、ステップS220で、冷凍サイクル110の通常制御運転を行う。通常制御運転は、放熱器112における効率的な高温湯の生成が可能となるように、高圧側圧力PHが、予め定めた圧力値となるように膨張弁113の弁開度を調整する。これは、冷媒の高圧側条件を一定として冷凍サイクル110を運転する、いわゆる高圧制御である。
次に、ステップS230において、ステップS210でスタートしたタイマーカウントが60分になったか否かを判定し、否の場合は、ステップS220〜ステップS230を繰り返し、タイマーカウントが60分になると(タイムアップすると)、ステップS240に移行する。
ステップS240では、上記ステップS100〜ステップS200と同様の比エンタルピー制御運転(10分間)を実行する。そして、10分が経過すると、ステップS210に戻り、通常制御運転(60分)、比エンタルピー制御運転(10分)の実行を繰り返す。
以上のように、本実施形態では、比エンタルピーXという物理量を導入して、冷凍サイクル110の運転中に、比エンタルピーXが所定範囲となるように、膨張弁113の弁開度を調整する比エンタルピー制御運転を実行するようにしている。
吸入側冷媒において、単純にその圧力(低圧側圧力PL)、あるいは温度(低圧側温度TL)を把握しても、気液2相状態における冷媒の湿り度を把握することはできない。しかしながら、本実施形態のように、比エンタルピーXという物理量を用いることで、吸入冷媒の状態(特に湿り度がどの状態にあるのか)を明確に把握できると共に、比エンタルピーXの所定範囲の設定により圧縮機111の吸入側の冷媒を飽和蒸気に近い状態にすることができる。飽和状態に近い状態においては、潤滑油に冷媒が溶け込みやすくなり、潤滑油と冷媒とが混合状態となって潤滑油の粘度を下げることができる。よって、オイル分離器111bを備えるといえども、圧縮機111から冷凍サイクル110側(特に放熱器112を経由して蒸発器114側)へ流出した(吐出された)潤滑油を、短時間で貯油室111aに回収することができる。よって、圧縮機111から吐出された潤滑油の戻り性を向上させて(つまり、貯油室111aにおける潤滑油の残油率Yを所定残油率範囲に入るようにして)、圧縮機111の信頼性向上、および冷凍サイクル110の効率向上を可能とすることができる。
また、吸入エンタルピーAの算出に当たって、圧力センサ131による高圧側圧力PH、温度センサ132による吐出温度TH、温度センサ141から得られる低圧側温度TLに対応する低圧側圧力PL、および圧縮機111の断熱圧縮を前提とする等エントロピー特性を用いて算出するようにしているので、簡易な構成にて、吸入エンタルピーAを容易に算出することができる。そして、飽和蒸気線上のエンタルピーBの算出に当たって、温度センサ141から得られる低圧側温度TLに対応する低圧側圧力PL、および冷媒の飽和蒸気特性を用いて算出するようにしているので、簡易な構成にて、飽和蒸気線上のエンタルピーBを容易に算出することができる。よって、比エンタルピーXを容易に算出することができる。
また、制御するための比エンタルピーXの所定範囲として−20≦X≦0と設定しているので、残油率範囲の下限値を大きくして、好適な残油率(図5より70〜80%)を確保することができる。
また、冷凍サイクル110の起動直後にまず、比エンタルピー制御運転を実行するようにしているので、圧縮機111の起動後に生じやすい潤滑油の戻り不良を効果的に抑制することができる。
また、冷凍サイクル110の通常制御運転を行う中で、所定運転時間(60分)毎に、所定運転時間の10%以上の割合で比エンタルピー制御運転を実行するようにしているので、冷凍サイクル110の運転中の大半の時間を通常制御運転とすることができ、本来の冷凍サイクル110の作動を大きく損なうことがない。
(第2実施形態)
第2実施形態を図6に示す。第2実施形態は、上記第1実施形態に対して、冷凍サイクル110の通常制御運転における比エンタルピー制御運転の内容を変更したものである。
図6のフローチャートに示すように、ステップS220〜ステップS230での通常制御運転を実行し、ステップS250でタイマーカウントをスタートした後に、ステップS260で、この時点での比エンタルピーXを算出する。比エンタルピーXの算出要領は、ステップS110〜ステップS170と同一である。
そして、ステップS270で、算出された比エンタルピーXが、−20≦X≦0の範囲内にあるか否かを判定し、肯定判定であれば、ステップS210に戻り、すぐに通常制御運転を継続する。つまり、通常制御運転において、所定運転時間後の比エンタルピーXが−20≦X≦0の範囲内にあれば、貯油室111aにおける残油率Yは、良好なレベル(70%〜80%)にあると判定して、通常制御運転を継続するわけである。
しかしながら、ステップS270で、否と判定すると、ステップS280で、上記ステップS100〜ステップS200と同様の比エンタルピー制御運転(10分間)を実行することで残油率Yを向上させ、その後にステップS210以降の通常制御運転に戻る。
これにより、必要最小限の比エンタルピー制御運転を実行すればよいことになり、冷凍サイクル110の運転中の大半の時間を通常制御運転とすることができ、本来の冷凍サイクル110の作動を大きく損なうことなく、圧縮機111の信頼性向上、および冷凍サイクル110の効率向上を可能とすることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態を図7、図8に示す。第3実施形態は、上記第1実施形態に対して、比エンタルピー制御運転を、低圧側冷媒の湿り度Zを用いた湿り度制御運転に変更したものである。図7は第3実施形態における、制御部120が行う通常制御運転、および湿り度制御運転に用いられるフローチャートであり、図8は湿り度Zの算出要領を示すグラフである。
本実施形態の湿り度制御運転は、冷凍サイクル110の運転中に、冷媒の低圧側圧力での湿り度Zが、予め定めた所定範囲となるように、制御部120が膨張弁113の弁開度を調整し、貯油室111aにおける潤滑油の残油率が所定残油率範囲に入るようにするものである。冷凍サイクル110、および制御部120を備える蒸気圧縮式冷凍サイクル100の構成は、第1実施形態で説明したものと同一である。
以下、制御部120が実施する制御について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。第3実施形態における図7のフローチャートは、第1実施形態における図2のフローチャートに対して、ステップS150〜170をステップS155に、ステップS180をステップS185に、更にステップS240をステップS245に変更したものである。
制御部120は、ステップS100でタイマーをスタートさせた後に、ステップS110〜ステップS130で、高圧側圧力PH、吐出温度TH、および低圧側温度TLを取得し、ステップS140で上記の低圧側温度TLを基に、対応する低圧側圧力PLを算出する。
次に、ステップS155で、圧縮機111の吸入側となる吸入冷媒の湿り度Zを算出する。湿り度Zは、図8に示すように、低圧側冷媒の飽和蒸気線(飽和蒸気特性)上のエンタルピーBと低圧側冷媒の飽和液線(飽和液特性)上のエンタルピーCとの差(B−C)に対する、低圧側冷媒の飽和蒸気線上のエンタルピーBと圧縮機111の吸入エンタルピーAとの差(B−A)の比{(B−A)/(B−C)}で示されるものである。
この湿り度Zの算出は、以下のように行う。即ち、図8に示すCO2冷媒のモリエル線図上において、ステップS110にて取得した高圧側圧力PH値に基づく圧力線と、ステップS120にて取得した吐出温度TH値に基づく温度線とから、両者の交差する点を吐出冷媒の状態位置アとして特定する。そして、この状態位置アを通る圧縮機111の断熱圧縮を前提とする等エントロピー線(等エントロピー特性)を用いて、この等エントロピー線と、ステップS140で算出した低圧側圧力PL値に基づく圧力線とから、両者の交差する点を吸入冷媒の状態位置イとして算出する。そして、この状態位置イにおけるエンタルピー値を吸入エンタルピーAとして算出する。
次に、飽和蒸気線上のエンタルピーBを算出する。飽和蒸気線上のエンタルピーBの算出は、以下のように行う。即ち、モリエル線図の飽和蒸気線と、ステップS140で算出した低圧側圧力PL値に基づく圧力線とから、両者の交差する点を低圧側圧力における飽和蒸気線上の状態位置ウとして算出する。そして、この状態位置ウにおけるエンタルピー値を飽和蒸気線上のエンタルピーBとして算出する。
次に、飽和液線上のエンタルピーCを算出する。飽和液線上のエンタルピーCの算出は、以下のように行う。即ち、モリエル線図の飽和液線と、ステップS140で算出した低圧側圧力PL値に基づく圧力線とから、両者の交差する点を低圧側圧力における飽和液線上の状態位置エとして算出する。そして、この状態位置エにおけるエンタルピー値を飽和液線上のエンタルピーCとして算出する。
そして、上記エンタルピーA、B、Cより、
湿り度Z={(B−A)/(B−C)}×100%
として算出する。
次に、ステップS185で、算出した湿り度Zが予め定めた所定範囲内にあるか否かを判定する。湿り度Zの所定範囲は、ここでは、20%以下の範囲としている。通常、圧縮機111は、湿り度Zの高い冷媒を吸入すると液圧縮となって、信頼性が低下するため、湿り度Zとしては、ここでは液圧縮による影響を受けない20%以下とした。
そして、ステップS185で否と判定すると、次に、ステップS190に移行して、膨張弁190の弁開度を調整する。弁開度の調整にあたっては、湿り度Zを小さくするために膨張弁113の弁開度を所定量小さくする。この弁開度調整の後にステップS110に戻り、ステップS185での判定が否の間は、ステップS110〜ステップS190を繰り返す。
そして、ステップS185で湿り度Zが20%以下となると、ステップS200において、ステップS100でスタートしたタイマーカウントが10分になったか否かを判定し、否の場合は、ステップS110〜ステップS180を繰り返し、タイマーカウントが10分になると(タイムアップすると)、ステップS210に移行する。
以上のステップS100〜ステップS200が、制御部120による、冷凍サイクル110の起動直後の湿り度制御運転の実行となっている。
更に、制御部120は、ステップS210〜ステップS230で通常制御運転を実行し、ステップS245で、60分毎に10分の湿り度制御運転を行う。
以上のように、第1実施形態の比エンタルピー制御運転に代えて、湿り度制御運転を行うことで、圧縮機111の吸入側の冷媒を気液2相側で飽和蒸気に近い状態にすることができる。そして、潤滑油に冷媒が溶け込みやすくなり、潤滑油と冷媒とが混合状態となって潤滑油の粘度を下げることができるので、短時間で潤滑油を冷凍サイクル110内から貯油室111aに回収することができる。よって、圧縮機111から吐出された潤滑油の戻り性を向上させて、圧縮機111の信頼性向上、および冷凍サイクル110の効率向上を可能とすることができる。
また、湿り度Zの算出に当たって、圧力センサ131による高圧側圧力PH、温度センサ132による吐出温度TH、温度センサ141から得られる低圧側温度TLに対応する低圧側圧力PL、圧縮機111の断熱圧縮を前提とする等エントロピー特性、冷媒の飽和蒸気線、および冷媒の飽和液線を用いて、算出するようにしているので、簡易な構成にて、湿り度Zを容易に算出することができる。
また、制御すべき湿り度Zの所定範囲を20%以下と設定しているので、圧縮機111における液圧縮を回避しつつ、潤滑油の戻り性向上による圧縮機111の信頼性向上、および冷凍サイクル110の効率向上を可能とすることができる。
また、冷凍サイクル110の起動直後にまず、湿り度制御運転を実行するようにしているので、圧縮機111の起動後に生じやすい潤滑油の戻り不良を効果的に抑制することができる。
また、冷凍サイクル110の通常制御運転を行う中で、所定運転時間(60分)毎に、所定運転時間の10%以上の割合で湿り度制御運転を実行するようにしているので、冷凍サイクル110の運転中の大半の時間を通常制御運転とすることができ、本来の冷凍サイクル110の作動を大きく損なうことがない。
上記第3実施形態の変形例として、図9を示す。図9は、変形例における制御部120が行う通常制御運転、および湿り度制御運転に用いられるフローチャートである。変形例は、第2実施形態と同様の通常制御運転(ステップS210〜ステップS230)において、所定運転時間(60分)毎に湿り度Zを算出し(ステップS265)、湿り度Zが20%以下でない場合に(ステップS275)、湿り度制御運転を実行するものである(ステップS285)。
(その他の実施形態)
上記第1〜3実施形態では、比エンタルピーX、あるいは湿り度Zの算出に当たって、高圧側圧力PHを圧縮機111と放熱器112との間で検出するようにしたが、圧縮機111と膨張弁113との間(特に、放熱器112と膨張機113との間)で検出するようにしても良い。
また、比エンタルピーX、あるいは湿り度Zの算出に当たって、冷媒の低圧側圧力PLを低圧側温度TLから推定算出するものとしたが、圧力推定検出手段を、直接的に低圧側圧力を検出する圧力検出手段(圧力センサ)として使用しても良い。この場合は、図2、図6、図7、図9の制御フローのステップS130が直接的な低圧側圧力検出のステップとなり、ステップS140(低圧側圧力算出ステップ)は、廃止となる。
また、通常制御運転における所定運転時間に対して10%以上の割合(60分に対して10分)で比エントロピー制御運転、あるいは湿り度制御運転を実行するようにしたが、これに限らず、冷媒が冷凍サイクル110内を循環する回数をもとにして比エントロピー制御運転、あるいは湿り度制御運転を実行するようにしても良い。例えば、循環回数に対する貯油率Yを確認することで、必要とされる貯油率Yを満足する循環回数を決定して(例えば所定回数、2〜30回)と決定して、対応すれば良い。
また、冷凍サイクル110の起動直後に、比エンタルピー制御運転、あるいは湿り度制御運転を実行するようにしたが(ステップS100〜ステップS200)、起動時の潤滑油不足が心配されない場合は、省略しても良い。逆に、起動直後の比エンタルピー制御運転、あるいは湿り度制御運転を行うことで、後の通常制御運転において、潤滑油不足が心配されない場合は、通常制御運転における所定運転時間毎の比エンタルピー制御運転、あるいは湿り度制御運転を省略しても良い。
また、比エンタルピー制御運転の実行にあたって、比エンタルピーXの制御すべき所定範囲としては、−20≦X≦0を採用したが、これに限らず、−20≦X≦20、あるいは−20≦X≦68.43等としても良い。
また、比エンタルピー制御運転と湿り度制御運転とを併せた制御運転を行うようにしても良い。つまり、制御の途中で、比エンタルピーXと湿り度Zとを算出し、両者の所定範囲条件を共に満たすように、膨張弁113の弁開度を調整するようにしても良い。
また、圧縮機111は、スクロール式に限らず、レシプロ式、ロータリ式、スクリュー式等のものとしても良い。
また、圧縮機111内部で冷媒の流通速度が変更され、それによって冷媒と潤滑油とが分離されて、分離された潤滑油が貯油室111aに貯められるものであれば、オイル分離器111bは不要とすることができる。
また、圧縮機111の駆動源は電動モータに限定されず、定置エンジン等の動力源であっても良い。
蒸気圧縮式冷凍サイクルの全体構成を示す概略図である。 第1実施形態における、制御部が行う通常制御運転、および比エンタルピー制御運転に用いられるフローチャートである。 比エンタルピーの算出要領を示すグラフである。 外気温度に対する圧縮機の残油率、および比エンタルピーを示すグラフである。 比エンタルピーに対する残油率を示すグラフである。 第2実施形態における、制御部が行う通常制御運転、および比エンタルピー制御運転に用いられるフローチャートである。 第3実施形態における、制御部が行う通常制御運転、および湿り度制御運転に用いられるフローチャートである。 湿り度の算出要領を示すグラフである。 第3実施形態の変形例における、制御部が行う通常制御運転、および湿り度制御運転に用いられるフローチャートである。
符号の説明
100 蒸気圧縮式冷凍サイクル
110 冷凍サイクル
111 圧縮機
111a 貯油室
112 放熱器
113 膨張弁
114 蒸発器
120 制御部
131 圧力センサ(圧力検出手段)
132 温度センサ(温度検出手段)
141 温度センサ(圧力推定検出手段)

Claims (8)

  1. 圧縮機(111)、放熱器(112)、膨張弁(113)、および蒸発器(114)が環状に接続され、冷媒としてCO2が使用される冷凍サイクル(110)と、
    前記圧縮機(111)の作動、および前記膨張弁(113)の弁開度を制御することで前記冷凍サイクル(110)の運転を行う制御部(120)とを備える蒸気圧縮式冷凍サイクルにおいて、
    前記圧縮機(111)内には、所定摺動部用であって、相溶性を有する潤滑油を貯める貯油室(111a)が形成されており、
    前記冷媒の高圧側圧力(PH)を検出する圧力検出手段(131)と、
    前記圧縮機(111)から吐出される冷媒の吐出温度(TH)を検出する温度検出手段(132)と、
    前記冷媒の低圧側圧力(PL)を推定あるいは検出する圧力推定検出手段(141)とを備え、
    前記圧縮機(111)が吸入する前記冷媒の吸入エンタルピー(A)と、前記冷媒の低圧側圧力での飽和蒸気線上のエンタルピー(B)との差(A−B)を比エンタルピー(X)と定義した時に、
    前記制御部(120)は、前記冷凍サイクル(110)の運転中に、前記比エンタルピー(X)が、予め定めた所定範囲となるように、前記膨張弁(113)の弁開度を調整し、前記貯油室(111a)における前記潤滑油の残油率が所定残油率範囲に入るようにする比エンタルピー制御運転を実行するようになっており、
    前記所定範囲は、−20≦X≦68.43であって、
    かつ、前記制御部(120)は、前記冷凍サイクル(110)の運転中に、
    前記吸入エンタルピー(A)を、
    前記圧力検出手段(131)によって得られる前記高圧側圧力(PH)と、
    前記温度検出手段(132)によって得られる前記吐出温度(TH)と、
    前記圧力推定検出手段(141)から得られる前記低圧側圧力(PL)と、
    前記圧縮機(111)の断熱圧縮を前提とする等エントロピー特性とから算出し、
    前記飽和蒸気線上のエンタルピー(B)を、
    前記冷媒の低圧側圧力(PL)と、前記冷媒の飽和蒸気線の特性とを用いて算出し、
    前記吸入エンタルピー(A)と、前記飽和蒸気線上のエンタルピー(B)との差(A−B)より比エンタルピー(X)を算出し、
    前記算出した比エンタルピー(X)が、前記所定範囲となるように、前記膨張弁(113)の弁開度を調整する
    ことを特徴とする蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  2. 前記制御部(120)は、前記飽和蒸気線上のエンタルピー(B)を、
    前記圧力推定検出手段(141)から得られる前記低圧側圧力(PL)と、
    前記冷媒の飽和蒸気特性とから算出することを特徴とする請求項1に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  3. 前記所定範囲は、望ましくは−20≦X≦20としたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  4. 前記所定範囲は、更に望ましくは−20≦X≦0としたことを特徴とする請求項3に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  5. 前記制御部(120)は、前記圧縮機(111)の起動後に、前記比エンタルピー制御運転を実行することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  6. 前記制御部(120)は、前記冷凍サイクル(110)の所定運転時間毎に、前記比エンタルピー制御運転を実行することを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1つに記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  7. 前記制御部(120)は、前記所定運転時間に対して10%以上の割合で前記比エンタルピー制御運転を実行することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
  8. 前記制御部(120)は、前記冷媒が前記冷凍サイクル(110)内を所定回数循環するように前記比エンタルピー制御運転、あるいは前記湿り度制御運転を実行することを特徴とする請求項5または請求項6に記載の蒸気圧縮式冷凍サイクル。
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