JP5397082B2 - 鏡枠部材の表面加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、鏡枠部材(例えば、レンズ支持枠や押え環等)の表面に反射防止面を形成する鏡枠部材の表面加工方法に関する。
カメラの撮影レンズ等のレンズ鏡筒は複数のレンズを内部に支持する為、レンズ支持環や間隔環などの鏡枠部材を複数具備している。そして、これら鏡枠部材の表面には反射防止加工を施すのが一般的である。反射防止加工を施せば、鏡枠部材の表面に撮影光路から外れた光が当たっても光の反射が抑えられるので、ゴーストやフレアが発生し難くなる。
特許文献1では、レンズ支持環(鏡枠)の内周面にリソグラフィー技術や、陽極酸化法(内周面をアルミニウム製薄膜によって覆っている場合)を用いて微細凹凸構造を形成したり、レンズ支持環の内周面にブラックアルマイト処理を施した上で、該内周面の表面に微細凹凸構造を備えるシートを貼り付けている。反射防止加工である微細凹凸構造の凹凸は規則的な配列(あるいはやや規則性が失われた配列)となっている。
特許文献2では、レンズ支持環の内周面の表面にアレイ状(規則的な配列)の微細凹凸構造(反射防止構造)を備えるシートを貼り付けたり、成形型を利用した射出成形によりレンズ支持環の内周面にアレイ状の微細凹凸構造を一体成形している。
特許文献3では、間隔環の表面に反射防止加工として微粒子を分散した電着塗装を施している。
特開2005−156989号公報 特開2006−293093号公報 特開平11−64703号公報
特許文献1及び特許文献2のような微細凹凸構造の反射防止機能は十分とは言えず、ゴーストやフレアの発生を抑制するのが難しい。また、特許文献1のようにレンズ支持環の内周面にブラックアルマイト処理を施すと該内周面は黒くなるものの、黒さとして十分ではないので、この部分による反射防止機能はあまり高くなく、しかも見た目も美しくない。
また、特許文献1及び特許文献2のようにリソグラフィー技術、陽極酸化法、あるいは射出成形により、規則的に(あるいはやや規則性が失われた)配列した微細凹凸構造をレンズ支持環の内周面に形成するのは容易ではない。さらに、特許文献1において陽極酸化法を利用する場合はレンズ支持環の内周面にアルミニウム製薄膜を形成する必要があるが、アルミニウム製薄膜を形成すること自体が困難である。
また、特許文献3のような反射防止加工は反射防止機能として不十分であるため、ゴーストやフレアを効果的に抑制するのが難しい。
しかも、塗装が剥げ落ちやすいので、反射機能の低下、ゴミの発生などの問題が生じ易い。
本発明は、反射防止機能が高く、成形が容易であり、しかも見た目が美しい鏡枠部材の表面加工方法を提供することを目的とする。
本発明の鏡枠部材の表面加工方法は、アルミニウム又はステンレスからなる鏡枠部材の表面に反射防止面を形成する鏡枠部材の表面加工方法であって、アルミニウム又はステンレスからなる上記鏡枠部材の表面に、酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施すステップ;酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施した上記鏡枠部材の表面のうち、反射防止面形成面以外の面にマスキングを施すステップ;酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施した上記鏡枠部材の表面のうち、マスキングを施していない上記反射防止面形成面に、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施すステップ;上記マスキングを除去するステップ;及びマスキングを除去した上記鏡枠部材にエッチング処理を施して、上記鏡枠部材のニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施した上記反射防止面形成面に、高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムに形成した反射防止面を形成するステップ;を有することを特徴としている。
上記鏡枠部材は、レンズ又はレンズ枠が嵌合される内円筒面を有し、上記微小突起は、この鏡枠部材の内円筒面のうち、レンズ又はレンズ枠との嵌合面を除く表面に形成されることが好ましい。
上記鏡枠部材は、その表面に、上記酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理とは別に、黒アルマイト処理が施されていることが好ましい。
本発明のように、ニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、または前記いずれかのめっき処理後にエッチング処理することにより、該表面に高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムに形成した反射防止面を形成すると、この反射防止面は従来の鏡枠部材に比べてより黒くなる。そのため、従来の鏡枠部材に比べて反射防止機能が高くなるので、ゴーストやフレアの発生を効果的に抑制できる。しかも見た目も美しくなる。さらに、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施した後にエッチング処理するだけであり、かつ微小突起はランダムな配列でよいので(規則的に配列する必要がないので)、本発明の反射防止面は鏡枠部材の表面に容易に成形できる。
しかも、安価に成形できる。
その上、ニッケルめっき及びニッケル合金めっきは延性があり剥離しにくいので、ゴミが発生しにくい。
環状部材の内部に挿入される鏡枠部材(例えば間隔環)の表面の内周面領域には高さが0.5〜5μmでピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起(ニッケルめっき)を施し、外周面領域には突起を形成しないか又はこれより低い突起を形成すれば、当該鏡枠部材の外径が大きくなることはない。そのため、環状部材の内周面に鏡枠部材を円滑かつ精度良く組み付けることができる。
本発明の第1の実施形態のレンズ鏡筒の内部を示す縦断側面図である。 間隔環に施した4種類の表面処理の拡大写真である。 比較例(図2(a))の表面処理の色度を示したCIE色度座標である。 間隔環に本発明を利用して施した表面処理(実施例、図2(c))の色度を示したCIE色度座標である。 図3Bとは別の実施例(図2(d))の表面処理の色度を示したCIE色度座標である。 さらに別の実施例(図2(b))の表面処理の色度を示したCIE色度座標である。 比較例(図2(a))の表面処理の視感反射率を示すグラフである。 図3Bに相当する実施例(図2(c))の表面処理の視感反射率を示すグラフである。 図3Cに相当する実施例(図2(d))の表面処理の視感反射率を示すグラフである。 図3Dに相当する実施例(図2(b))の表面処理の視感反射率を示すグラフである。 本発明の第2の実施形態のレンズ鏡筒の内部を示す縦断側面図である。 本発明によるレンズ鏡筒(鏡枠部材)の表面加工方法の第1の態様を示す工程図である。 本発明によるレンズ鏡筒(鏡枠部材)の表面加工方法の第2の態様を示す工程図である。
以下、図1〜図4を利用して本発明の第1の実施形態を説明する。以下の説明では図1の左側を「前方」とし図1の右側を「後方」としている。
本実施形態のレンズ鏡筒10は交換式レンズ鏡筒であり、その内部に、金属製の筒状部材であり、かつ前後方向の中間部に径方向内向きの内方フランジ12を一体的に備えるレンズ支持枠(鏡枠部材)11を具備している。
レンズ支持枠11の内部には、樹脂製またはガラス製で無色透明かつ光軸Oを中心とする回転対称形状の1群レンズ(光学系)L1、2群レンズ(光学系)L2及び3群レンズ(光学系)L3が設けてある。
1群レンズL1は内方フランジ12の前方に位置しており、その後端縁(外周縁)は内方フランジ12の前面に当接している。さらに、1群レンズL1の直前には1群レンズL1と同心をなす金属製の環状部材である押さえ環(鏡枠部材)15が位置しており、押さえ環15の外周面に形成した雄ねじ15a(ねじ部)がレンズ支持枠11の内周面に形成した雌ねじ11a(ねじ部)と螺合している。そのため、1群レンズL1は押さえ環15と内方フランジ12によって前後から挟持されている。
2群レンズL2と3群レンズL3は内方フランジ12の後方に位置している。光軸Oを中心とする回転対称形状である2群レンズL2の前端縁(外周縁)は、内方フランジ12の後面に当接している。2群レンズL2の直後にはレンズ支持枠11と同心をなす金属製の環状部材である間隔環(鏡枠部材)16が位置しており、間隔環16の外周面はレンズ支持枠11の内周面に接触している。間隔環16の前後両面は光軸Oに対して直交する平面であり、間隔環16の前面が、2群レンズL2の後面の外周縁部に接触している。そのため、2群レンズL2は、内方フランジ12と間隔環16によって前後から挟持されている。間隔環16の直後には3群レンズL3が位置しており、3群レンズL3の直後には押さえ環15及び間隔環16と同心をなす金属製の環状部材である押さえ環(鏡枠部材)17が位置しており、押さえ環17の外周面に形成した雄ねじ(ねじ部)17aがレンズ支持枠11の内周面に形成した雌ねじ(ねじ部)11bと螺合している。図示するように、3群レンズL3は、間隔環16の後面(の外周縁部)と押さえ環17の前面(の内周縁部)によって前後から挟持されている。
レンズ支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の表面の一部には反射防止面が形成されている。この反射防止面は、ニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、又はこれらいずれかのめっき処理後にエッチング処理することにより形成されるものであり、高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムな配列に形成してなる。但し、レンズ支持枠11の表面にニッケルめっき処理を行う際には内方フランジ12の内周面を除く部分にはシール(図示略)を貼ってマスキングする。同様に、押さえ環15の外周面と後面、間隔環16の外周面と前後両面、及び、押さえ環17の外周面と前面にもシール(図示略)を貼ってマスキングする。そのため、レンズ支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の表面における上記シールを貼ったマスキング部分にはニッケルめっき処理は施されない(反射防止面は形成されない)。これら各シールはニッケルめっきを施した後に、レンズ支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17からそれぞれ剥がされる。なお、マスキングする部分の形状に因っては、シールを貼る代わりにレジスト等の樹脂を塗布してマスキングしたり、専用のマスキング治具を事前に準備して利用しても良い。専用のマスキング治具を使えば精度よくマスキングできる。
ニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、又はこれらいずれかのめっき処理後にエッチング処理を施すと、レンズ支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の表面におけるシールを貼らなかった部分(マスキングしなかった部分)は黒色となる。
図2(b)〜(d)は本実施形態の反射防止面(微小突起)を拡大して示す写真である。図2(b)(c)は、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理により反射防止面を形成したものであり、図2(d)は、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理後さらにエッチング処理を施すことにより反射防止面を形成したものである。
図2(a)に示すAM−BS処理(梨地処理した基板に黒アルマイト処理したもの。比較例)と比べると、図2(b)〜(d)に示す本実施形態の反射防止面(微小突起)の詳細形状が異なるのが分かる。
図3A〜図3Dに示すCIE色度座標から明らかなように、図2(d)の実施例のニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理後エッチング処理したもの(NO3。図3C)は、AM−BS処理(NO1。図3A)や、図2(b)の実施例のニッケルめっき(NO4。図3D)、図2(c)の実施例のニッケルめっき(NO2。図3B)に比べてより黒いのが分かる。
そして、図4A〜図4Dに示す視感反射率を示すグラフから明らかなように、本実施形態(図2(b):図4D、図2(c):図4B、図2(d):図4C)のものはいずれも、波長が400nm〜680nmの光に対する反射率が0.3%以下である。図2(d)のニッケルめっき(NO3。図4C)は視感反射率が最も低い。これは図2(d)の微小突起構造が図2(b)及び(c)の微小突起構造に比べて最もピッチが大きく、高さも高いことによるものである。一方、図2(c)の微小突起構造は図2(d)の微小突起構造に比べて強度の点で優れている。図2(b)の微小突起構造は、(d)と(c)の中間的な特性を有する。どの実施例の態様で実施するかは、微小突起を設ける位置等の条件によって判断、選択することが可能である。
このように本実施形態のレンズ支持枠11、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17に形成した反射防止面は、従来の鏡枠部材に比べて反射防止機能が高いので、ゴーストやフレアの発生を効果的に抑制できる。しかも、従来より黒いので見た目も美しい。
さらに、本実施形態の反射防止加工はニッケルめっき処理、ニッケル合金めっき処理、又はこれらいずれかのめっき処理後にエッチング処理するだけで実現でき、しかも微小突起はランダムな配列でよいので、鏡枠部材の表面に容易に成形できる。しかも、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきなので安価に成形できる。その上、ニッケルめっき又はニッケル合金めっきは延性があり剥離しにくいので、ゴミが発生しにくい。
また、レンズ支持枠11における内方フランジ12を除く内周面、押さえ環15の外周面、間隔環16の外周面、及び押さえ環17の外周面にはニッケルめっき処理を施していないので(反射防止面を形成していないので)、レンズ支持枠11の内径、並びに押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の外径が大きくなることはない。そのため、レンズ支持枠11の内周面に押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17を円滑かつ精度良く組み付けることができる。
続いて、本発明の第2の実施形態について図5を用いて説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同じ符号を付すに止めて、その詳細な説明は省略する。
本実施形態のレンズ鏡筒20は、共に金属製の筒状部材である第1レンズ支持枠21と第1レンズ支持枠21の後端部に接続する第2レンズ支持枠25とを具備している。
第1レンズ支持枠21はレンズ支持枠11に類似した構造であり、内方フランジ12の内周面と押さえ環15の内周面及び前面にはレンズ鏡筒10と同様の要領によって反射防止面が形成してある。第1レンズ支持枠21の内方フランジ12より後方の内周面は光軸Oを中心とする環状面である内周ガイド面(ガイド部)22となっており、かつ後端部の外周面には雄ねじ(ねじ部)23が形成してある。内周ガイド面22内には、光軸Oを中心とする樹脂製の環状部材である移動レンズ枠24が位置しており、移動レンズ枠24の外周面(ガイド部)24aが内周ガイド面22に接触している。さらに、移動レンズ枠24の内周面には2群レンズL2’が嵌合固定してある。移動レンズ枠24は内周ガイド面22によって光軸O方向にスライド可能に支持されており、かつ移動レンズ枠24はモータ(図示略)と連動機構(図示略)を介して接続している。従って、モータを正逆に回転させると、移動レンズ枠24及び2群レンズL2’は第1レンズ支持枠21に対して光軸O方向(矢印方向)に進退する。
第2レンズ支持枠25はその径が3段階で変化するものであり、前端部の内周面には雄ねじ23に螺合する雌ねじ(ねじ部)26が形成してあり、第2レンズ支持枠25の内周面の後端部に3群レンズL3’が嵌合固定してある。さらに、第2レンズ支持枠25の中間径部27には周方向に等角度間隔で3つのねじ穴(穴部)28が貫通穴として穿設してある。このねじ穴28は図示を省略したボルトが貫通させ、該ボルトを利用して第2レンズ支持枠25をレンズ鏡筒20内部の固定部材(図示略)に固定するためのものである。なお、このねじ穴28の代わりに単なる貫通穴(穴部)を形成し、該貫通穴を貫通させたピンによって第2レンズ支持枠25を上記固定部材に固定してもよい。
中間径部27の内周面、及び、中間径部27と最小径部29を接続しかつ光軸Oに対して直交する環状壁部30の前面にはレンズ鏡筒10と同様の要領によって反射防止面が形成してある(但し、ねじ穴28または上記貫通穴の周面には反射防止面を形成しない)。さらに、第2レンズ支持枠25の後端に形成した内方フランジ31の前面及び内周面にもレンズ鏡筒10と同様の要領によって反射防止面が形成してある。
本実施形態によっても第1の実施形態と同様の効果が得られる。
さらに、第1レンズ支持枠21の内周ガイド面22及び移動レンズ枠24の外周面には反射防止面を形成していないので、第1レンズ支持枠21に対して移動レンズ枠24を円滑にスライドさせることが可能である。また、ねじ穴28(または上記貫通穴)の周面にも反射防止面を形成していないので、ボルトやピンをこれらの穴に挿入しても、反射防止面の微小突起がボルトやピンと擦れることによって当該穴から剥がれ落ちることはない。
以下、図6及び7を用いて、本発明による鏡枠部材の表面加工方法について具体的に説明する。図6及び7は、図1及び5と比較して、内方フランジ12が図示されていない等、各部材の形状が異なっているが、基本的な概念は同じである。すなわち、図6及び7は、レンズ鏡筒(鏡枠部材)50の表面に反射防止面80を形成する工程を示す図である。
1.削り出し及び黒アルマイト処理工程
まず、図6(A)のように構成されたレンズ鏡筒50を準備する。レンズ鏡筒50は、例えば削り出しにより作製することができる。レンズ鏡筒50は、レンズL4、L5(又はそのレンズ枠)が嵌合される内円筒面51を有し、この内円筒面51は、光軸方向に位置を異ならせた光軸中心の円筒面からなる大径筒部52及び小径筒部53と、この大径筒部52と小径筒部53の間に形成された光軸直交面54とから構成されている。また、レンズ鏡筒50の表面(内円筒面51)には、黒アルマイト処理を施す。
2.マスキング処理工程
次いで、レンズ鏡筒50の表面のうち、反射防止面80の形成面以外の面にマスキング60を施す。すなわち、レンズ鏡筒50の前方端面55、後方端面56及び外円筒面57の全面と、レンズ鏡筒50の内円筒面51のうち、レンズL4の外周円筒面との嵌合面52A、レンズL5の外周円筒面との嵌合面53Aにマスキング60を施す(図6(B))。このマスキング処理は、例えば、マスキングシール(マスキングテープ)により行う。
3.めっき処理工程
次いで、レンズ鏡筒50の表面のマスキング60を施していない部分、すなわち内円筒面51のうち嵌合面52A及び53Aを除く表面に、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施して、めっき層70を形成する(図6(C))。このめっき層70の厚みは3〜90μmであり、反射防止面80をなす微小突起の高さ(0.5〜5μm)の6倍〜18倍である。このめっき処理は、例えば、めっき浸漬により行う。
4.エッチング工程
次いで、レンズ鏡筒50にエッチング処理を施す。これにより、レンズ鏡筒50の内円筒面51に形成されためっき層70が、高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムに形成した反射防止面80となる(図6(D))。このエッチング処理は、例えば、硝酸エッチングにより行う。
5.マスキング除去工程
最後に、レンズ鏡筒50の表面に施したマスキング60を除去する。これにより、レンズ鏡筒50の内円筒面51のうち、嵌合面52A及び53Aを除く表面に、反射防止面80を形成することができる(図6(E))。そして、嵌合面52AにはレンズL4の外周円筒面を嵌め込み、嵌合面53AにはレンズL5の外周円筒面を嵌め込むことができる(図6(F))。
なお、図6(D)のエッチング工程を省略して、レンズ鏡筒50の表面に反射防止面80を形成することも可能である。すなわち、レンズ鏡筒50のマスキング60を施していない他の部分に、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施すだけで、高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムに形成した反射防止面80を形成することができる。
図7は、図6のエッチング工程(第4工程)とマスキング除去工程(第5工程)の順番を入れ替えた加工方法である。図7(A)−(C)、(F)の工程は、図6(A)−(C)、(F)と同一であるため、その説明を省略する。
図7の加工方法は、レンズ鏡筒50が、アルミニウム、ステンレス、チタン、タンタル及びマグネシウムのいずれかの金属材料またはこれらの合金からなる場合に好適な加工方法である。アルミニウム及びステンレスは、酸化皮膜又は不動態皮膜を有する材料である。また、アルミニウム、チタン、タンタル及びマグネシウムは、陽極酸化で緻密な酸化物層のできるバルブ金属である。
レンズ鏡筒50の表面には、レンズ鏡筒50の削り出し後に、酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理が施されている。「酸化皮膜」とは、金属が酸化してできた酸化物の皮膜であり、「不動態皮膜」とは、使用する環境中において金属が金属表面に薄い膜を作り、その膜が環境と金属を隔て、耐食性を発現する薄い膜である。「酸化皮膜処理」とは、レンズ鏡筒50の表面に酸化皮膜を形成する処理であり、具体的には、陽極酸化することにより行なわれる。「不動態化処理」とは、レンズ鏡筒50の表面に不動態皮膜を形成する処理であり、具体的には、不動態皮膜が形成するpHの薬液などに浸漬することにより行なわれる。
レンズ鏡筒50が以上の構成を有していることにより、レンズ鏡筒50からマスキング60を除去した後にエッチングを施しても(図7(D)、(E))、酸化皮膜又は不動態皮膜(緻密な酸化物層)の作用によって、レンズ鏡筒50の、マスキング60を除去した表面がエッチング液によって侵食されることはない。
また、マスキング60を除去した後にエッチングにより反射防止面80を形成するので(図7(D)、(E))、マスキング60を除去するときに反射防止面80の微小突起に触れること、又は反射防止面80の微小突起を一緒に剥がすことはなく、反射防止面80の微細構造が破壊されることはない。反射防止面80の微細構造が破壊されるとその破壊部分が逆に光り、反射防止面としての機能が低下するが、本加工方法によればそのような弊害を防止することができる。本加工方法は、レンズ鏡筒50の内円筒面51のような狭い箇所に反射防止面80を形成する場合には特に優位である。
さらに、内円筒面51の嵌合面52A及び53Aには反射防止面80が形成されないので、嵌合面52A及び53Aの寸法精度が高く、レンズL4、L5との嵌合を良好にすることができる。
なお、上記実施形態ではレンズ支持枠11、21の内周面と、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の外周面とにシールを貼ることにより、シールを貼った部分にニッケルめっき処理を施さない(反射防止面を形成しない)ようにしているが、シールを貼らずに、レンズ支持枠11、21、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17の表面全体にニッケルめっき処理を施し、その後にレンズ支持枠11、21の内周面における内方フランジ12の内周面を除く部分のニッケルめっきと、押さえ環15の外周面及び後面のニッケルめっきと、間隔環16の外周面及び前後両面のニッケルめっきと、押さえ環17の外周面及び前面のニッケルめっきを塩化第二鉄(塩化鉄(III))を含有する溶剤を利用して削りとってもよい。このようにしても、これらの領域の微小突起をその他の領域の微小突起より低くしたり、微小突起を完全に無くすことが可能である。
また、反射防止面を形成する鏡枠部材はレンズ支持枠11、21、押さえ環15、間隔環16及び押さえ環17には限定されず、あらゆる鏡枠部材に適用することができる。例えば、レンズ鏡筒(交換式のものでなくてもよい)の光路が通過する部材であればいずれにも適用可能であるし、レンズ鏡筒でなくとも、カメラボディ内において光路が通過する周囲の壁面、例えばミラーボックス内の壁面や、ファインダー光路の壁面にも応用可能であることは言うまでもない。
さらに、鏡枠部材における反射防止面を形成しない領域、つまりニッケルめっきを施さない(或いはニッケルめっきを削り取る)領域は上記の部分には限定されず、隣接する部材と接触する部分であればどの部分であってもよく、例えば当該領域を、光軸方向に相対スライド可能な2つのレンズ鏡枠の接触部や、レンズ鏡筒を光軸方向に進退させるためのカム溝と該カム溝に嵌るカムフォロアの接触面などにしてもよい。また、間隔環16の内周面のみに反射防止面を形成したり、押さえ環15と押さえ環17の内周面のみに反射防止面を形成してもよい。さらに、例えば押さえ環15の前面や押さえ環17の後面のように、他の部材と接触しない部分のうち光路(光軸O)と対向しない箇所については反射防止面を形成しないようにしてもよい。
なお、反射防止面を形成した(ニッケルめっきを施した)場合であっても鏡枠部材を隣接する部材に対して円滑かつ精度よく組み付けられるのであれば、鏡枠部材の表面全体にニッケルめっきを施して反射防止面を形成してもよい(反射防止面の形成後に微小突起の一部を取り除く必要がない)。
10 レンズ鏡筒
11 レンズ支持枠(鏡枠部材)
11a 11b 雌ねじ(ねじ部)
12 内方フランジ
15 押さえ環(鏡枠部材)
15a 雄ねじ(ねじ部)
16 間隔環(鏡枠部材)
17 押さえ環(鏡枠部材)
17a 雄ねじ(ねじ部)
20 レンズ鏡筒
21 第1レンズ支持枠
22 内周ガイド面(ガイド部)
23 雄ねじ(ねじ部)
24 移動レンズ枠
24a 外周面(ガイド部)
25 第2レンズ支持枠
26 雌ねじ(ねじ部)
27 中間径部
28 ねじ穴(穴部)
29 最小径部
30 環状壁部
31 内方フランジ
50 レンズ鏡筒(鏡枠部材)
51 内円筒面
52 大径筒部
52A 嵌合面
53 小径筒部
53A 嵌合面
54 光軸直交面
55 前方端面
56 後方端面
57 外円筒面
60 マスキング
70 めっき層
80 反射防止面(微小突起形成面)
L1 1群レンズ(光学系)
L2 L2’ 2群レンズ(光学系)
L3 L3’ 3群レンズ(光学系)
L4 レンズ(レンズ枠)
L5 レンズ(レンズ枠)

Claims (3)

  1. アルミニウム又はステンレスからなる鏡枠部材の表面に反射防止面を形成する鏡枠部材の表面加工方法であって、
    アルミニウム又はステンレスからなる上記鏡枠部材の表面に、酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施すステップ;
    酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施した上記鏡枠部材の表面のうち、反射防止面形成面以外の面にマスキングを施すステップ;
    酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理を施した上記鏡枠部材の表面のうち、マスキングを施していない上記反射防止面形成面に、ニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施すステップ;
    上記マスキングを除去するステップ;及び
    マスキングを除去した上記鏡枠部材にエッチング処理を施して、上記鏡枠部材のニッケルめっき処理又はニッケル合金めっき処理を施した上記反射防止面形成面に、高さが0.5〜5μmかつピッチが0.1〜10μmである多数の微小突起をランダムに形成した反射防止面を形成するステップ;を有することを特徴とする鏡枠部材の表面加工方法。
  2. 請求項1記載の鏡枠部材の表面加工方法において、
    上記鏡枠部材は、レンズ又はレンズ枠が嵌合される内円筒面を有し、上記微小突起は、この鏡枠部材の内円筒面のうち、レンズ又はレンズ枠との嵌合面を除く表面に形成される鏡枠部材の表面加工方法。
  3. 請求項1または2記載の鏡枠部材の表面加工方法において、
    上記鏡枠部材は、その表面に、上記酸化皮膜処理又は不動態皮膜処理とは別に、黒アルマイト処理が施されている鏡枠部材の表面加工方法。
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