JP5396737B2 - エピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法 - Google Patents

エピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、高濃度にボロンが添加されたシリコンウェーハの表面表層部にバルク層の抵抗率よりも抵抗率が高いエピタキシャル膜が形成されたエピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法に関するものである。
先端のLSIには、3×1018atoms/cm3程度のボロンが添加された直径300mmのp+シリコンウェーハの表面に、シリコンウェーハの抵抗率よりも抵抗率が高いエピタキシャル膜を形成したエピタキシャルシリコンウェーハ、例えばp/p+エピタキシャルシリコンウェーハなどが使用されている。
エピタキシャル膜の基板として上記のような低抵抗シリコンウェーハが用いられるのは、このウェーハの強度が高いこと、及びこのウェーハを作り出すインゴットの製造上の優位性による。即ち、エピタキシャルシリコンウェーハはデバイス工程において各種の高温熱処理が実施され、シリコンウェーハに大きな熱応力を与える。このため強度が低い高抵抗シリコンウェーハでは、ウェーハにスリップを生じさせたり、ウェーハが割れたりするけれども、低抵抗シリコンウェーハではこのような強度に関する問題を引き起こさない。またチョクラルスキー法で引上げたボロンが添加されたインゴットから低抵抗シリコンウェーハを作製する場合には、インゴットが有転位化しにくく高品質の単結晶になって歩留まりが高いこと、シードの強度が高く大重量のインゴットを保持することができ、これにより製造コストを高抵抗シリコンウェーハに比較して低減することができる。
しかしながら、エピタキシャル膜の基板中にボロンが2×1018atoms/cm3以上含まれているエピタキシャルシリコンウェーハを製造する際、エピタキシャル成長処理中にシリコンウェーハからドーパントであるボロンが外方拡散し、エピタキシャル層内に取り込まれる、いわゆるオートドープ現象が発生する問題があるため、通常、シリコンウェーハの裏面にCVD法にて酸化膜などの保護膜を形成した状態でエピタキシャル成長を行うことが実施されている。この手法によれば、基板裏面からのボロン外方拡散が防止され、オートドープ問題を解消できるものの、保護膜を形成する工程ならびにエピタキシャル成長処理後の保護膜を除去する工程などが必要となり、工程数増加による生産性の低下及び製造コスト高を生じる問題がある。
このため、保護膜を使用しないエピタキシャル成長技術として、エピタキシャル成長処理中に、ウェーハ裏面に保護膜が形成されていないp+ウェーハのような低抵抗シリコンウェーハを、貫通孔が厚み方向に設けられたサセプターの上に載せて、サセプターの上面側に原料ガス及びキャリアガスを供給し、かつサセプターの下面側にキャリアガスを供給しながらエピタキシャル成長する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この方法によれば、エピタキシャル成長処理中に、保護膜が形成されていないウェーハ裏面から放出されるドーパントが貫通孔を通って気相成長装置から排出することにより、放出したドーパントがエピタキシャル膜に取り込まれるオートドープ現象の発生を防止することができる。
国際公開第03/060967号パンフレット
ところで、デバイス工程では、上述したp+ウェーハのような低抵抗シリコンウェーハの表面に形成したエピタキシャル層(デバイス活性層)に微細なLSIを形成するときには、シリコンウェーハ中のドーパントであるボロンの拡散を極力抑制してエピタキシャル膜に取り込まれないようにするため、数秒間又は数ミリ秒の極短時間の熱処理が行われている。
しかしながら、本発明者等の実験によれば、エピタキシャル膜の基板中にボロンが2×1018atoms/cm3以上含まれているエピタキシャルシリコンウェーハは、デバイス工程での熱処理を例え極短時間に行っても、基板から熱処理炉中にドーパントであるボロンが極微量外方拡散することにより、第1にエピタキシャル膜のデバイス活性層が拡散したボロンで汚染されるオートドープ現象が発生するおそれが依然として残り、縦型熱処理ボートを使用して複数枚同時に熱処理する場合には、熱処理ボート上方に位置するエピタキシャルシリコンウェーハの裏面から放出されるボロンがウェーハ真下に位置する他のエピタキシャルシリコンウェーハのエピタキシャル膜表面に転写されてしまい、複数枚のウェーハを同時に熱処理することができない問題点が判明した。また第2に同一熱処理炉内において、低抵抗シリコンウェーハ表面にエピタキシャル膜を有するエピタキシャルシリコンウェーハと、抵抗率の異なるその他のシリコンウェーハとを混在させて熱処理することができない問題点がある。デバイス熱処理中にボロンがデバイス活性層に転写されると、活性層に形成されたゲート電極真下のドーパント濃度が所定の値からシフトし、閾値電圧(ゲート電圧値)が変化するなどの問題を引き起こすことになる。
特許文献1に記載される技術のように、貫通孔が厚み方向に設けられたサセプター上にp+ウェーハのような低抵抗シリコンウェーハを載せてその表面にエピタキシャル膜を成長させた場合、その裏面から外方拡散するドーパントはサセプターの貫通孔を通じて排出されるけれども、ウェーハ裏面に対するガスの接触状態、装置内の圧力、熱処理温度及び熱処理時間などを適切に調節して裏面のドーパント濃度を所定の閾値以上に低減させなければ、上述したような問題を生じることになる。
本発明の目的は、デバイス熱処理時にドーパントの放出を防止してオートドープ現象を抑制するエピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、エピタキシャルシリコンウェーハと異なる抵抗率のシリコンウェーハ等とを混在させて熱処理した場合にも、別のシリコンウェーハがボロンで汚染されないエピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、ディスク状のバルク層11aと、前記バルク層11aの表面及び裏面にそれぞれ位置する前記表面表層部11b及び前記裏面表層部11cと、前記表面表層部11bと前記裏面表層部11cとをつなぎ前記バルク層11aのエッジ部表面に位置するエッジ表層部11dとを有し、かつウェーハ全体の抵抗率が30mΩcm以下となるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×10 17 〜16×10 17 atoms/cm 3 (旧ASTM)であるシリコンウェーハ11を準備する工程と、気相成長装置20において、前記シリコンウェーハ11を支持する昇降ピン29を上昇させて、前記シリコンウェーハ11を中空に支持した状態で、ガス供給口23aから供給される水素ガスを、前記シリコンウェーハ11の前記裏面表層部11c及び前記エッジ表層部11dに接触させ、前記シリコンウェーハ11の前記裏面表層部11c及び前記エッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれ前記バルク層11aのボロン濃度よりも低い2×10 18 atoms/cm 3 未満に低減させる熱処理を行う工程と、前記気相成長装置20において前記熱処理に続いて、前記昇降ピン29を下降させて、前記シリコンウェーハ11の前記表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を形成する工程とを含むエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法である。
請求項1に記載された製造方法により製造されたエピタキシャルシリコンウェーハ10では、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満であるので、デバイスメーカーにおけるデバイス熱処理中にウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dからドーパントであるボロンの放出が防止されるとともに、ウェーハ11と異なる抵抗率のシリコンウェーハ等とを混在させてデバイス工程で熱処理した場合にも、この異なる抵抗率のシリコンウェーハがボロンで汚染されることを防止することができる。
また請求項に記載された製造方法では気相成長装置20により、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができる。
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
図1(c)に示すように、本発明のエピタキシャルシリコンウェーハ10は、シリコンウェーハ11と、このウェーハ11の表面表層部11b上に形成されたエピタキシャル膜12とを備える。シリコンウェーハ11は、ディスク状のバルク層11aと、バルク層11aの表面及び裏面にそれぞれ位置する表面表層部11b及び裏面表層部11cと、その表面表層部11bと裏面表層部11cとをつなぎバルク層11aのエッジ部表面に位置するエッジ表層部11dとを有する。
このエピタキシャルシリコンウェーハ10の製造方法は、シリコンウェーハ11の準備工程と、熱処理工程と、エピタキシャル膜形成工程とを含む。
(1)シリコンウェーハ11の準備工程
図1(a)に示されるシリコンウェーハ11はチョクラルスキー法(CZ法)によって引上げられたインゴットをスライスして作られる。このインゴットには抵抗率30mΩcm以下、好ましくは20mΩcm以下となるようにボロンが添加される。インゴットの抵抗率を30mΩcm以下とするのは、ボロンの過剰な添加による結晶欠陥の発生を防止するためである。抵抗率が30mΩcmとなるようなウェーハ中のボロン濃度は2×1018atoms/cm3であり、抵抗率が20mΩcmとなるようなウェーハ中のボロン濃度は3.2×1018atoms/cm3である。上記濃度範囲でボロンを添加した場合には、インゴットは有転位化しにくく高品質の単結晶になって歩留まりが高く、シードの強度が高く大重量のインゴットを保持することができ、これにより製造コストを高抵抗シリコンウェーハに比較して低減することができる。また上記インゴットには窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加されるか、又は炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加される。窒素と炭素とを同時に上記範囲で添加することが特に望ましい。
図1(a)では、ディスク状のバルク層11aと、バルク層11aの表面及び裏面にそれぞれ位置する表面表層部11b及び裏面表層部11cと、その表面表層部11bと裏面表層部11cとをつなぎバルク層11aのエッジ部表面に位置するエッジ表層部11dとを有するシリコンウェーハ11を示す。上記インゴットをスライスして作られたシリコンウェーハ11では、バルク層11aは勿論のこと、表面表層部11b、裏面表層部11c及びエッジ表層部11dを含むウェーハ全体の抵抗率が30mΩcm以下、好ましくは20mΩcm以下となるようにボロンが添加される。上記濃度範囲でボロンが添加されたシリコンウェーハは強度が高く、デバイス熱処理時に割れやスリップを発生させない特長がある。また窒素又は炭素の一方又は双方が添加されたインゴットをスライスして作られたシリコンウェーハ11では、窒素濃度が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲にあり、炭素濃度が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲にある。ウェーハ11に窒素を添加することにより、ウェーハ11の内部の酸素析出物が熱的に安定して形成され、後述するエピタキシャル成長時などの高温熱処理により酸素析出物が縮小又は消滅せず、ゲッタリング能力の高いウェーハが得られる。窒素の添加量が上記下限値未満ではゲッタリング効果に乏しく、上記上限値を超える場合には酸素析出物が過剰になり、エピタキシャル膜への二次欠陥発生の原因となる。またウェーハ11に炭素を添加することにより、窒素添加と同様にウェーハのゲッタリング能力が向上する。炭素添加により酸素析出物の成長が促進されることによる。炭素の添加量が上記下限値未満ではゲッタリング効果に乏しく、上記上限値を超える場合にはシリコン単結晶(インゴット)の引上げ時にDF切れ(DF;dislocation free 、「DF切れ」とは有転位化と同義。)を生じ、無転位の単結晶を育成することが困難になる。本発明では、後述する熱処理の実施によってウェーハの表層部のボロン濃度や酸素濃度が低下することから、ウェーハの強度低下を生じることが懸念されるが、特に窒素と炭素の両方を添加した場合にはウェーハの強度が向上し、熱処理によるウェーハ強度低下を解消することができる。
(2)熱処理工程
熱処理工程で、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3以下に低減させる。バルク層11aのボロン濃度は変化しない。ここで初期状態よりもボロン濃度を低減させる裏面表層部11c及びエッジ表層部11dの各厚さは少なくとも10nm、好ましくは10〜100nmである。
一般に、デバイスメーカーでは、デバイス熱処理前の工程として、エピタキシャルシリコンウェーハの酸化処理、洗浄処理及びエッチング処理などの工程がある。これらの処理によってウェーハの全表面においてその厚さが減少するけれども、この減少する厚さは10nm未満であるので、上記範囲にボロン濃度を低減させた裏面表層部及びエッジ表層部を設けておくことにより、熱処理前に上記工程を経た後でも、デバイス熱処理時にバルク層より低いボロン濃度を有する裏面表層部及びエッジ表層部を確保することができる。なお、デバイス熱処理前の工程で100nmを超えてウェーハ表裏面においてその厚さが減少する場合には、後述するエピタキシャル成長時にウェーハ11の表裏面及びエッジ部にシリコン膜を形成しておくことが好ましい。
次にこの熱処理方法について詳述する。
(2-1) 気相成長装置における支持ピン押し上げ式熱処理
図2及び図3に示す枚葉式気相成長装置20における熱処理について説明する。この気相成長装置20は上側ドーム21と下側ドーム22とドーム取付体23を有し、これらにより装置20の内部にエピタキシャル膜形成室20aが形成される。上側ドーム21及び下側ドーム22は石英等の透明な材料で形成され、装置20の上方および下方に複数配置されたハロゲンランプ24によりサセプター26及びそのサセプター26に支持されたウェーハ11が加熱されるように構成される。
このサセプター26は円板状に形成され、その周方向に間隔をあけてウェーハ11をピン支持して昇降を行うための3個の貫通孔26bが形成される。このサセタプー26はサセプター回転軸27に連なる支持アーム28によってその下面の外周部が嵌合支持され回転する。またサセプター26の貫通孔には昇降ピン29が貫通して設けられ、この昇降ピン29の昇降はリフトアーム31を昇降させることにより行われる。ドーム取付体23にはサセプター26に支持されたウェーハ11に向って形成室20a内部に供給する第1ガス供給口23aが設けられる。この第1ガス供給口からは、ボロンをウェーハ11の裏面表層部及びエッジ表層部から放出させるための水素ガス、又はエピタキシャル膜を形成するための反応ガスが供給される。また第1ガス供給口23a下方のドーム取付体23にはサセプター26の下面側に水素ガスなどのキャリアガスを供給するための第2ガス供給口23bが設けられる。そして、それらのガス供給口に対向するようにガス下流側のドーム取付体23には第1及び第2ガス排出口23c,23dが設けられる。
このような気相成長装置20を用いた熱処理は、図2に示すように処理すべきウェーハ11をサセプター26に搭載し、次に図3に示すようにリフトアーム31を上昇させ、これにより昇降ピン29を上昇させて、ウェーハ11を押し上げて中空に支持した状態で行われる。即ち、この状態ではウェーハ11の裏面表層部は3箇所ピン29で覆われるが、それ以外の裏面表層部及びエッジ表層部は第1ガス供給口23aから供給される水素ガスに接触するようになる。熱処理は、図3に示す状態で、ウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧又はそれ以下の圧力下、950〜1200℃の温度で5秒〜2時間行われる。この温度条件及び熱処理時間は、熱処理前のウェーハ11の抵抗率及びデバイス工程での熱処理条件によって変化するが、好ましくは1000〜1200℃、30秒〜10分間、更に好ましくは1100〜1200℃、1分〜5分間である。この熱処理により、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができる。これらの裏面表層部11c及びエッジ表層部11dの各厚さは少なくとも10nm、好ましくは10〜100nmである。熱処理温度が高い程、また熱処理時間が長い程、上記厚さは大きくなる。
(2-2) 孔あきサセプター付き気相成長装置における熱処理
図4及び図5に示す孔あきサセプター付き気相成長装置における熱処理について説明する。この気相成長装置の構造は上記(2-1)と同一であるけれども、円板状に形成されたサセプター26に代えて、図4及び図5に示すように、複数の貫通孔26cが形成されたサセプター26を用いる。即ち、このサセプター26は、ウェーハ11裏面から放出されるドーパントを排出するための貫通孔26cが座繰り部26aの床面部全域に複数個設けられる。そして、このサセプター26は、座繰り部26aの床面部にウェーハ11をピン支持して昇降を行うための貫通孔26bが周方向3カ所の位置に設けられている。また、座繰り部26aの外周壁部にはウェーハ支持部26dが形成され、このウェーハ支持部26dはウェーハ11のエッジ部に線接触して支持するように外周側から内周側下方に向けて傾斜するように形成される。そして、このウェーハ支持部26dに載置されるウェーハ11は中央部において、ウェーハ11裏面と座繰り部26aの床面部との間に空間が形成されるように載置される。なお、ウェーハ支持部26dは表面部に凹凸部を設けてウェーハ11の外周部を点接触支持するようにしてもよい。
このような孔あきサセプター付き気相成長装置20を用いた熱処理は、図5に示すように処理すべきウェーハ11をサセプター26に搭載した状態で行われる。即ち、この状態ではウェーハ11はサセプターのウェーハ支持部によりそのエッジ部で線接触するけれども、それ以外の裏面表層部及びエッジ表層部は第1ガス供給口23aから供給される水素ガスに接触するようになる。即ち、熱処理時に、ウェーハ11の裏面から外方拡散するドーパントはサセプター26の貫通孔26cを通じてサセプター26の下方に排出されるため、ウェーハ11の裏面から外方拡散するドーパントを放散させるために昇降ピン29を上昇させてウェーハ11を中空に支持することを必要としない。よって、図4及び図5に示すようなサセプター26を用いれば、ウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満に低減させる熱処理を、サセプター26上にウェーハ11を配置した状態で行うことが可能になる。
なお、この孔あきサセプター付き気相成長装置における熱処理は、後述するエピタキシャル膜を形成するときに同時に行ってもよい。この場合には、エピタキシャル膜を形成する前の熱処理は不要となる。
(2-3) RTA熱処理炉における熱処理
図6に急速・急冷加熱型(Rapid Thermal Annealing:RTA)熱処理炉40を示す。この熱処理装置40は加熱炉41を有し、加熱炉41の一側部には搬入口41aが形成され、他側部には搬出口41bが形成される。搬入側及び搬出側にはロボットアーム42が配設され、このロボットアーム42は未熱処理のシリコンウエーハ11を炉内部に搬入し、熱処理済みのシリコンウエーハ11を炉外部に搬出可能に構成される。加熱炉41の内部は、例えば、石英(SiO2 )、炭化ケイ素(SiC)等の耐熱性の高い壁部材44で囲繞されるとともに、その壁部材44の外側にはヒータ素線46aを有する加熱ヒータ46が配設され、その加熱ヒータ46の外側は断熱材47で囲繞される。加熱炉41の下部には、上面側中央部に凹状収納部48aが形成された基台48が配設される。その凹状収納部48aの底面中央部にはシリコンウエーハ11を載置するための固定台49が固定され、凹状収納部48aの底面中央部には第1摺動孔48bが形成される。
固定台49は、上述した凹状収納部48aの底面中央部に固定された円盤形状の台本体49aを備え、凹状収納部48aに形成された第1摺動孔48bと上下方向に連通する第2摺動孔49bが台本体49aの中央部に形成される。これらの第1及び第2摺動孔48b,49bは、昇降体54の上下摺動が許容される孔径に形成される。台本体49aの上面側には、シリコンウエーハ11の下面側中央部と対向する位置であって、上述した第2摺動孔49bを中心として、先細形状に形成した複数本(例えば、3本)の各支持突起49cを円周方向に対して等間隔に隔てて立設するとともに、各支持突起49cを後述するリング部材52の内径よりも内側に配列している。
固定台49の上方には熱処理用基板支持具50が設けられ、この熱処理用基板支持具50はリング部材52と支持台53とを備える。リング部材52は、蓄熱性及び熱伝導性が良く、耐熱性の高い炭化ケイ素(SiC)により形成され、その表面には化学的気相堆積(CVD)法によりSiC膜が形成される。リング部材52は、被処理基板であるシリコンウエーハ11の直径よりも大きな外径を有し、シリコンウエーハ11の直径よりも小さな内径に形成される。そして、リング部材52の内周部にはウェーハ11のエッジ部に線接触して支持するように外周側から内周側下方に向けて傾斜するように形成される。一方、支持台53は、円盤形状に形成された台本体53aと、その台本体53aの上面側周縁部に立設された複数本の支持軸53bとを備える。台本体53aには、前述した固定台49の各支持突起49cが遊通可能な孔部53cが形成され、各支持軸53bの上端部にはリング部材52が水平状態にかつ交換可能に支持される。
凹状収納部48aに形成された第1摺動孔48bと台本体49aの下面中央部に形成された第2摺動孔49bには、図示しない昇降装置により昇降する昇降体54が挿通される。熱処理用基板支持具50は昇降体54の上端に取付けられ、昇降体54が昇降装置により昇降することによりその昇降体54とともに昇降するように構成される。具体的に、熱処理用基板支持具50を構成する台本体53aの下面中央部に、筒状に形成した昇降体54の上端部が固定され、台本体53aの下面中央部に形成した孔部53dが昇降体54と連通される。図示しない昇降装置としては、例えば、サーボモータ、エアシリンダ等が挙げられ、この昇降装置により昇降体54を鉛直方向に上下摺動させて、熱処理用基板支持具50が支持突起49cの上端よりも下方に位置する降下位置と、加熱炉41の中心部まで持上げられた二点鎖線で示す上昇位置とに熱処理用基板支持具50を上下動可能に構成される。なお、図示しないが、昇降体54は、例えば、窒素ガス等のプロセスガスをパージするためのガス供給装置に接続され、加熱炉41の搬出側又は搬入側には、降下位置に昇降停止されたシリコンウエーハ11に向けて冷却ガスを吐出するための噴射ノズル56が配設される。
次に、上述したRTA熱処理炉40によりシリコンウエーハ11を熱処理するときの動作を説明する。先ず、熱処理開始時に於いて、熱処理用基板支持具50を降下位置に維持させた状態でロボットアーム42により保持した未熱処理のシリコンウエーハ11を加熱炉41内部に搬入し、加熱炉41に設置された固定台49の各支持突起49c上にシリコンウエーハ11を水平に載置する。その後加熱炉41外部にロボットアーム42を引出し、熱処理用基板支持具50を垂直上昇させて、リング部材52の内周部にウェーハ11のエッジ部を線接触させて支持させる。その後、そのシリコンウエーハ11を水平に支持させた状態で二点鎖線で示す上昇位置まで持上げる。同時に、筒状の昇降体54から吐出されるプロセスガスを加熱炉41内部にパージして、熱処理に応じたガス環境を形成した後、シリコンウエーハ11を水平に支持した状態のまま加熱ヒータ46により熱処理する。
この熱処理では、昇降体54から水素ガス、アルゴンガス、これらの混合ガス、窒素ガス又は窒素と酸素の混合ガスを吐出して加熱炉41内部にパージし、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガス、アルゴンガス、これらの混合ガス、窒素ガス又は窒素と酸素の混合ガスを接触させながら、大気圧又はそれ以下の圧力下、950〜1200℃の温度で5秒〜10分間行われることが好ましい。この温度条件及び熱処理時間は、熱処理前のウェーハ11の抵抗率及びデバイス工程での熱処理条件によって変化するが、好ましくは1000〜1200℃、10秒〜5分間、更に好ましくは1100〜1200℃、20〜120秒間である。この熱処理により、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができる。これらの裏面表層部11c及びエッジ表層部11dの各厚さは少なくとも10nm、好ましくは10〜100nmである。熱処理温度が高い程、また熱処理時間が長い程、上記厚さは大きくなる。
(2-4) 縦型の熱処理炉における熱処理
図7及び図8に示す縦型の熱処理炉70における熱処理について説明する。この熱処理炉70は、ウェーハ11を水平に支持した状態で処理する縦型炉であって、この熱処理炉70は鉛直方向に延びるSiC製の反応管71と、この反応管71内に所定の間隔をあけて立設されかつSiCにより形成された棒状の複数の支持柱72を備え、複数の支持柱72には長手方向に所定の間隔をあけてウェーハ11の外周縁を遊挿可能な多数の保持具用凹溝74(図8)がそれぞれ形成される。反応管11の外周面は均熱管76を介して筒状のヒータ77により覆われる。支持柱72はベース78及び保温筒79を介してボートキャップ81に立設される。また支持柱72はこの実施の形態では4本であり(図8)、同一半円上に等間隔に設けられる。この支持柱72は熱処理時の高熱により支持柱72自体の変形を防止するため、及びパーティクル等が発生して反応管71内を汚染するのを防止するために、SiCにより形成される。
ウェーハ11は4本の支持柱72の同一水平面内に位置する4つの保持具用凹溝74の下部水平面に載せられ、このように載せられることによりシリコンウェーハ11は縦型熱処理炉70の内部で水平に支持される。そして熱処理炉70を稼働すると、熱処理炉70内の温度はヒータ77により上昇し、シリコンウェーハ11は熱処理される。この熱処理は、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガス、アルゴンガス、これらの混合ガス、窒素ガス又は窒素と酸素の混合ガスを接触させながら、大気圧又はそれ以下の圧力で、950〜1200℃の温度で5秒〜2時間行われる。この温度条件及び熱処理時間は、熱処理前のウェーハ11の抵抗率及びデバイス工程での熱処理条件によって変化するが、好ましくは1000〜1200℃、5分〜100分間、更に好ましくは1100〜1200℃、10分〜60分間である。この熱処理により、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができる。これらの裏面表層部11c及びエッジ表層部11dの各厚さは少なくとも10nm、好ましくは10〜100nmである。熱処理温度が高い程、また熱処理時間が長い程、上記厚さは大きくなる。
(3)エピタキシャル形成工程
このエピタキシャル形成工程では、図1(c)に示すように、シリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を形成する。この実施の形態では、図2及び図3に示す気相成長装置20が用いられ、リフトアーム31を昇降ピン29とともに下降させ、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でエピタキシャル膜12が形成される。具体的には、ガス供給口12からSiHCl3等のSiソースを水素ガスで希釈しそれにドーパントを微量混合してなる反応ガスが形成室2内に供給され、供給された反応ガスはウェーハ11の表面を通過してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させる。なお、エピタキシャル膜12を成長させた後の反応バスは、ガス排出口13c,13dより装置20の外部に排出される。
このような製造方法では、ウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を形成したエピタキシャルシリコンウェーハ10であって、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満であるエピタキシャルシリコンウェーハ10を比較的容易に得ることができる。
なお、前述したようにデバイス熱処理前の工程で100nmを超えてウェーハ表裏面においてその厚さが減少する場合には、上記熱処理工程でボロン濃度を低減させた裏面表層部及びエッジ表層部が消失するために、エピタキシャル成長時にウェーハ11の表裏面及びエッジ部にシリコン膜を形成しておく。この方法は次の通りである。即ち、シリコンウェーハ11を予め多結晶シリコンが堆積されたサセプタ26の座ぐりに収納してサセプタ26に配置し、このサセプタ26を加熱する。これにより多結晶シリコンは蒸発してサセプタ26に面するシリコンウェーハ11の裏面にシリコン膜が形成される。
次に本発明の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例1>
インゴットをスライスして作られ、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であるシリコンウェーハ11を準備した。このシリコンウェーハ11には窒素が1.5×1013添加され、炭素が1.2×1016atoms/cm3添加されたものを使用した。
このウェーハ11を図2に示す気相成長装置20のサセプター26に搭載し、図3に示すように昇降ピン29を上昇させて、ウェーハ11を中空に支持した。この状態で第1ガス供給口23aから水素ガスを供給してウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧下、950℃の温度で1分間熱処理を行った。
次に、気相成長装置20のリフトアーム31を昇降ピン29とともに下降させ、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でガス供給口12から反応ガスを形成室20a内に供給してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例1とした。
<実施例2>
熱処理が1075℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例2とした。
<実施例3>
熱処理が1200℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例3とした。
<実施例4>
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を複数の貫通孔26cが形成された図4及び図5に示すサセプター26に搭載し、このウェーハ11をそのサセプター26に線接触させた状態で支持させた。この状態で昇降ピン29を上昇させることなく第1ガス供給口23aから水素ガスを供給してウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧下、950℃の温度で1分間熱処理を行った。
次に、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でガス供給口12から反応ガスを形成室20a内に供給してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例4とした。
<実施例5>
熱処理が1075℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例5とした。
<実施例6>
熱処理が1200℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例6とした。
<実施例7>
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を図6に示すRTA型熱処理炉40を用いて熱処理を行った。即ち、加熱炉41に設置された固定台49の各支持突起49c上にシリコンウエーハ11を水平に載置し、熱処理用基板支持具50を垂直上昇させて、リング部材52の内周部にウェーハ11のエッジ部を線接触させて支持させた。その後、昇降体54から水素ガスを吐出して加熱炉41内部にパージし、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガスを接触させながら、大気圧下、950℃の温度で60秒間熱処理を行った。
熱処理後、シリコンウェーハ11をRTA型熱処理炉40から取り出し、図2に示す気相成長装置20を用いて実施例1と同一の手順によりシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例7とした。
<実施例8>
熱処理が1075℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例8とした。
<実施例9>
熱処理が1200℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例9とした。
<実施例10>
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を図7に示す縦型炉70を用いて熱処理を行った。即ち、このウェーハ11を縦型炉70の4本の支持柱72の同一水平面内に位置する4つの保持具用凹溝74の下部水平面に載せて水平に支持させた。そして熱処理炉70を稼働し、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガスを接触させながら、大気圧下の圧力で、950℃の温度で30分間熱処理を行った。
熱処理後、シリコンウェーハ11を縦型炉70から取り出し、図2に示す気相成長装置20を用いて実施例1と同一の手順によりシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例10とした。
<実施例11>
熱処理が1075℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例11とした。
<実施例12>
熱処理が1200℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例12とした。
<比較例1>
熱処理が900℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例1とした。
<比較例2>
熱処理が1250℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例2とした。
<比較例3>
熱処理が900℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例3とした。
<比較例4>
熱処理が1250℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例4とした。
<比較例5>
熱処理が900℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例5とした。
<比較例6>
熱処理が1250℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例6とした。
<比較例7>
熱処理が900℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例7とした。
<比較例8>
熱処理が1250℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例8とした。
<比較例9>
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を複数の貫通孔26cが形成されかつウェーハ支持部がほぼ平坦に形成された従来のサセプターに周囲を面接触させた状態で搭載した。この状態で図2に示す気相成長装置20を用いて第1ガス供給口23aから水素ガスを供給してウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧下、950℃の温度で1分間熱処理を行った。
次に、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でガス供給口12から反応ガスを形成室20a内に供給してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例9とした。
<比較試験1>
実施例1〜12及び比較例1〜9におけるエピタキシャルシリコンウェーハにおけるウェーハの熱処理前と熱処理後におけるバルク層、裏面表層部及びエッジ表層部の各ボロン濃度をSIMSにより測定した。
その後、エピ膜を形成したそれぞれのエピタキシャルシリコンウェーハをデバイス熱処理に模してAr雰囲気中1150℃で90分間熱処理したときの参照ウェーハへのボロン転写量をn型10Ωcmのシリコンウェーハを用いて測定した。この測定はSIMSによって行った。なお、参照ウェーハの熱処理前のボロン濃度は3.6×1018atoms/cm3であった。
これらの結果を表1に示す。
Figure 0005396737
<評価1>
表1から明らかなように、熱処理が950〜1200℃の温度範囲内である実施例1〜12では、熱処理後のそれぞれシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができているのに対して、熱処理温度が950℃未満である比較例1,3,5,7では、熱処理後のそれぞれシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度を2×1018atoms/cm3未満にすることができないことが判る。また、熱処理温度が1200℃を越える比較例2,4,6,8では、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満になるものの、熱処理温度が高いため、ウェーハにスリップ転位が発生してしまう問題がある。
また、ウェーハの外周部をサセプターが面接触して支持する比較例9では、熱処理後のシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度を2×1018atoms/cm3未満にすることができない。これに対してウェーハ外周部をサセプターが線接触して支持する実施例4では、熱処理後のシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度を2×1018atoms/cm3未満にすることができている。これはサセプタの接触する面積が比較例9に比較して実施例4の方が著しく小さいことに起因するものと考えられる。
更に実施例1〜12のエピタキシャルウェーハからの参照ウェーハへのボロン転写量が1×1015atoms/cm3以下であって、デバイス熱処理中でのオートドープ現象のおそれががない程度であったのに対して、比較例1〜9のエピタキシャルウェーハからの参照ウェーハへのボロン転写量は1×1015atoms/cm3を超え、デバイス熱処理中でのオートドープ現象のおそれがあることが判った。
次に本発明の別の実施例を比較例とともに説明する。
<実施例13>
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が0.5×1015添加され、炭素が4.2×1017atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例13とした。
<比較例10>
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が0.4×1013添加され、炭素が4.1×1015atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例10とした。
<比較例11>
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が1.8×1015添加され、炭素が5.7×1017atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例11とした。
<比較試験2>
実施例1及び13並びに比較例10及び13におけるエピタキシャルシリコンウェーハの強度を測定した。強度の測定は、ビッカース硬度計における四角錐状の先端をウェーハの裏面に押し付けてその裏面に四角錐状に凹んだ圧痕を付け、その圧痕の対角線における長さ(パンチングアウト転位の移動距離)を光学顕微鏡で測定することにより強度を求めた。この結果を表2に示す。
Figure 0005396737
<評価2>
表2から明らかなように、窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加され、炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加された実施例1及び13におけるシリコンウェーハのパンチングアウト転位の移動距離は短く、その強度が高いことが判る。これに対して窒素濃度が低い比較例10のパンチングアウト転位の移動距離は長く、強度が弱いことが判る。また、比較例11のウェーハの強度は高いものの、窒素濃度及び炭素濃度が高すぎるため、窒素、炭素を起因とした結晶欠陥がエピタキシャル層内に発生する問題がある。従って、上記範囲の窒素と炭素を添加することによりウェーハの強度が向上できることが判る。このため、熱処理の実施によってウェーハの表層部のボロン濃度や酸素濃度を低下する本発明におけるウェーハにおけるの強度低下を、この窒素と炭素を添加することによりウェーハの強度を向上させ、熱処理によるウェーハ強度低下を解消させることができる。
本発明のエピタキシャルシリコンウェーハの製造工程を示す図である。 気相成長装置によりエピタキシャル膜を形成している状態を示す図である。 気相成長装置によりウェーハを熱処理している状態を示す図である。 気相成長装置に用いられる貫通孔が形成されたサセプターの平面図である。 そのサセプターの断面図である。 RTA熱処理炉の構造を示す構成図である。 縦型熱処理炉の構造を示す構成図である。 図7のB−B線断面図である。
符号の説明
10 エピタキシャルシリコンウェーハ
11 シリコンウェーハ
11a バルク層
11b 表面表層部
11c 裏面表層部
11d エッジ表層部
12 エピタキシャル膜
20 気相成長装置
26 サセプター
26c 貫通孔
40 RTA熱処理炉
70 縦型熱処理炉

Claims (7)

  1. ディスク状のバルク層と、前記バルク層の表面及び裏面にそれぞれ位置する表面表層部及び裏面表層部と、前記表面表層部と前記裏面表層部とをつなぎ前記バルク層のエッジ部表面に位置するエッジ表層部とを有し、かつウェーハ全体の抵抗率が30mΩcm以下となるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であるシリコンウェーハを準備する工程と、
    気相成長装置において、前記シリコンウェーハを支持する昇降ピンを上昇させて、前記シリコンウェーハを中空に支持した状態で、ガス供給口から供給される水素ガスを、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及び前記エッジ表層部に接触させ、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及前記エッジ表層部におけるボロン濃度をそれぞれ前記バルク層のボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満に低減させる熱処理を行う工程と、
    前記気相成長装置において前記熱処理に続いて、前記昇降ピンを下降させて、前記シリコンウェーハの前記表面表層部上にエピタキシャル膜を形成する工程と
    を含むエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。
  2. 前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及前記エッジ表層部の各厚さが少なくとも10nmである請求項記載の製造方法。
  3. 前記熱処理が、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及前記エッジ表層部に対して水素ガスを接触させながら、大気圧又はそれ以下の圧力下、950〜1200℃の温度で30秒〜2時間行われる請求項又は記載の製造方法。
  4. 前記熱処理前の前記シリコンウェーハに窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加された請求項ないしいずれか1項に記載の製造方法。
  5. 前記熱処理前の前記シリコンウェーハに炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加された請求項ないしいずれか1項に記載の製造方法。
  6. 前記気相成長装置が前記シリコンウェーハを支持するための表面から裏面に貫通する複数の貫通孔が形成された円板状のサセプターを有する請求項ないしいずれか1項に記載の製造方法。
  7. 請求項1ないし6いずれか1項に記載の製造方法により製造されたボロン濃度を低減させる前記裏面表層部及び前記エッジ表層部の各厚さが10〜100nmであるエピタキシャルシリコンウェーハ。
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