JP5396737B2 - エピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
エピタキシャル膜の基板として上記のような低抵抗シリコンウェーハが用いられるのは、このウェーハの強度が高いこと、及びこのウェーハを作り出すインゴットの製造上の優位性による。即ち、エピタキシャルシリコンウェーハはデバイス工程において各種の高温熱処理が実施され、シリコンウェーハに大きな熱応力を与える。このため強度が低い高抵抗シリコンウェーハでは、ウェーハにスリップを生じさせたり、ウェーハが割れたりするけれども、低抵抗シリコンウェーハではこのような強度に関する問題を引き起こさない。またチョクラルスキー法で引上げたボロンが添加されたインゴットから低抵抗シリコンウェーハを作製する場合には、インゴットが有転位化しにくく高品質の単結晶になって歩留まりが高いこと、シードの強度が高く大重量のインゴットを保持することができ、これにより製造コストを高抵抗シリコンウェーハに比較して低減することができる。
本発明の別の目的は、エピタキシャルシリコンウェーハと異なる抵抗率のシリコンウェーハ等とを混在させて熱処理した場合にも、別のシリコンウェーハがボロンで汚染されないエピタキシャルシリコンウェーハ及びその製造方法を提供することにある。
図1(c)に示すように、本発明のエピタキシャルシリコンウェーハ10は、シリコンウェーハ11と、このウェーハ11の表面表層部11b上に形成されたエピタキシャル膜12とを備える。シリコンウェーハ11は、ディスク状のバルク層11aと、バルク層11aの表面及び裏面にそれぞれ位置する表面表層部11b及び裏面表層部11cと、その表面表層部11bと裏面表層部11cとをつなぎバルク層11aのエッジ部表面に位置するエッジ表層部11dとを有する。
このエピタキシャルシリコンウェーハ10の製造方法は、シリコンウェーハ11の準備工程と、熱処理工程と、エピタキシャル膜形成工程とを含む。
図1(a)に示されるシリコンウェーハ11はチョクラルスキー法(CZ法)によって引上げられたインゴットをスライスして作られる。このインゴットには抵抗率30mΩcm以下、好ましくは20mΩcm以下となるようにボロンが添加される。インゴットの抵抗率を30mΩcm以下とするのは、ボロンの過剰な添加による結晶欠陥の発生を防止するためである。抵抗率が30mΩcmとなるようなウェーハ中のボロン濃度は2×1018atoms/cm3であり、抵抗率が20mΩcmとなるようなウェーハ中のボロン濃度は3.2×1018atoms/cm3である。上記濃度範囲でボロンを添加した場合には、インゴットは有転位化しにくく高品質の単結晶になって歩留まりが高く、シードの強度が高く大重量のインゴットを保持することができ、これにより製造コストを高抵抗シリコンウェーハに比較して低減することができる。また上記インゴットには窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加されるか、又は炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加される。窒素と炭素とを同時に上記範囲で添加することが特に望ましい。
熱処理工程で、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3以下に低減させる。バルク層11aのボロン濃度は変化しない。ここで初期状態よりもボロン濃度を低減させる裏面表層部11c及びエッジ表層部11dの各厚さは少なくとも10nm、好ましくは10〜100nmである。
一般に、デバイスメーカーでは、デバイス熱処理前の工程として、エピタキシャルシリコンウェーハの酸化処理、洗浄処理及びエッチング処理などの工程がある。これらの処理によってウェーハの全表面においてその厚さが減少するけれども、この減少する厚さは10nm未満であるので、上記範囲にボロン濃度を低減させた裏面表層部及びエッジ表層部を設けておくことにより、熱処理前に上記工程を経た後でも、デバイス熱処理時にバルク層より低いボロン濃度を有する裏面表層部及びエッジ表層部を確保することができる。なお、デバイス熱処理前の工程で100nmを超えてウェーハ表裏面においてその厚さが減少する場合には、後述するエピタキシャル成長時にウェーハ11の表裏面及びエッジ部にシリコン膜を形成しておくことが好ましい。
(2-1) 気相成長装置における支持ピン押し上げ式熱処理
図2及び図3に示す枚葉式気相成長装置20における熱処理について説明する。この気相成長装置20は上側ドーム21と下側ドーム22とドーム取付体23を有し、これらにより装置20の内部にエピタキシャル膜形成室20aが形成される。上側ドーム21及び下側ドーム22は石英等の透明な材料で形成され、装置20の上方および下方に複数配置されたハロゲンランプ24によりサセプター26及びそのサセプター26に支持されたウェーハ11が加熱されるように構成される。
図4及び図5に示す孔あきサセプター付き気相成長装置における熱処理について説明する。この気相成長装置の構造は上記(2-1)と同一であるけれども、円板状に形成されたサセプター26に代えて、図4及び図5に示すように、複数の貫通孔26cが形成されたサセプター26を用いる。即ち、このサセプター26は、ウェーハ11裏面から放出されるドーパントを排出するための貫通孔26cが座繰り部26aの床面部全域に複数個設けられる。そして、このサセプター26は、座繰り部26aの床面部にウェーハ11をピン支持して昇降を行うための貫通孔26bが周方向3カ所の位置に設けられている。また、座繰り部26aの外周壁部にはウェーハ支持部26dが形成され、このウェーハ支持部26dはウェーハ11のエッジ部に線接触して支持するように外周側から内周側下方に向けて傾斜するように形成される。そして、このウェーハ支持部26dに載置されるウェーハ11は中央部において、ウェーハ11裏面と座繰り部26aの床面部との間に空間が形成されるように載置される。なお、ウェーハ支持部26dは表面部に凹凸部を設けてウェーハ11の外周部を点接触支持するようにしてもよい。
なお、この孔あきサセプター付き気相成長装置における熱処理は、後述するエピタキシャル膜を形成するときに同時に行ってもよい。この場合には、エピタキシャル膜を形成する前の熱処理は不要となる。
図6に急速・急冷加熱型(Rapid Thermal Annealing:RTA)熱処理炉40を示す。この熱処理装置40は加熱炉41を有し、加熱炉41の一側部には搬入口41aが形成され、他側部には搬出口41bが形成される。搬入側及び搬出側にはロボットアーム42が配設され、このロボットアーム42は未熱処理のシリコンウエーハ11を炉内部に搬入し、熱処理済みのシリコンウエーハ11を炉外部に搬出可能に構成される。加熱炉41の内部は、例えば、石英(SiO2 )、炭化ケイ素(SiC)等の耐熱性の高い壁部材44で囲繞されるとともに、その壁部材44の外側にはヒータ素線46aを有する加熱ヒータ46が配設され、その加熱ヒータ46の外側は断熱材47で囲繞される。加熱炉41の下部には、上面側中央部に凹状収納部48aが形成された基台48が配設される。その凹状収納部48aの底面中央部にはシリコンウエーハ11を載置するための固定台49が固定され、凹状収納部48aの底面中央部には第1摺動孔48bが形成される。
図7及び図8に示す縦型の熱処理炉70における熱処理について説明する。この熱処理炉70は、ウェーハ11を水平に支持した状態で処理する縦型炉であって、この熱処理炉70は鉛直方向に延びるSiC製の反応管71と、この反応管71内に所定の間隔をあけて立設されかつSiCにより形成された棒状の複数の支持柱72を備え、複数の支持柱72には長手方向に所定の間隔をあけてウェーハ11の外周縁を遊挿可能な多数の保持具用凹溝74(図8)がそれぞれ形成される。反応管11の外周面は均熱管76を介して筒状のヒータ77により覆われる。支持柱72はベース78及び保温筒79を介してボートキャップ81に立設される。また支持柱72はこの実施の形態では4本であり(図8)、同一半円上に等間隔に設けられる。この支持柱72は熱処理時の高熱により支持柱72自体の変形を防止するため、及びパーティクル等が発生して反応管71内を汚染するのを防止するために、SiCにより形成される。
このエピタキシャル形成工程では、図1(c)に示すように、シリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を形成する。この実施の形態では、図2及び図3に示す気相成長装置20が用いられ、リフトアーム31を昇降ピン29とともに下降させ、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でエピタキシャル膜12が形成される。具体的には、ガス供給口12からSiHCl3等のSiソースを水素ガスで希釈しそれにドーパントを微量混合してなる反応ガスが形成室2内に供給され、供給された反応ガスはウェーハ11の表面を通過してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させる。なお、エピタキシャル膜12を成長させた後の反応バスは、ガス排出口13c,13dより装置20の外部に排出される。
<実施例1>
インゴットをスライスして作られ、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であるシリコンウェーハ11を準備した。このシリコンウェーハ11には窒素が1.5×1013添加され、炭素が1.2×1016atoms/cm3添加されたものを使用した。
熱処理が1075℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例2とした。
熱処理が1200℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例3とした。
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を複数の貫通孔26cが形成された図4及び図5に示すサセプター26に搭載し、このウェーハ11をそのサセプター26に線接触させた状態で支持させた。この状態で昇降ピン29を上昇させることなく第1ガス供給口23aから水素ガスを供給してウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧下、950℃の温度で1分間熱処理を行った。
熱処理が1075℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例5とした。
熱処理が1200℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例6とした。
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を図6に示すRTA型熱処理炉40を用いて熱処理を行った。即ち、加熱炉41に設置された固定台49の各支持突起49c上にシリコンウエーハ11を水平に載置し、熱処理用基板支持具50を垂直上昇させて、リング部材52の内周部にウェーハ11のエッジ部を線接触させて支持させた。その後、昇降体54から水素ガスを吐出して加熱炉41内部にパージし、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガスを接触させながら、大気圧下、950℃の温度で60秒間熱処理を行った。
熱処理が1075℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例8とした。
熱処理が1200℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例9とした。
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を図7に示す縦型炉70を用いて熱処理を行った。即ち、このウェーハ11を縦型炉70の4本の支持柱72の同一水平面内に位置する4つの保持具用凹溝74の下部水平面に載せて水平に支持させた。そして熱処理炉70を稼働し、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dに対して水素ガスを接触させながら、大気圧下の圧力で、950℃の温度で30分間熱処理を行った。
熱処理が1075℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例11とした。
熱処理が1200℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例12とした。
熱処理が900℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例1とした。
熱処理が1250℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例2とした。
熱処理が900℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例3とした。
熱処理が1250℃の温度で1分間行われたことを除いて実施例4と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例4とした。
熱処理が900℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例5とした。
熱処理が1250℃の温度で60秒間行われたことを除いて実施例7と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例6とした。
熱処理が900℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例7とした。
熱処理が1250℃の温度で30分間行われたことを除いて実施例10と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例8とした。
実施例1と同一のシリコンウェーハ11を準備した。このウェーハ11を複数の貫通孔26cが形成されかつウェーハ支持部がほぼ平坦に形成された従来のサセプターに周囲を面接触させた状態で搭載した。この状態で図2に示す気相成長装置20を用いて第1ガス供給口23aから水素ガスを供給してウェーハ11に水素ガスを接触させながら大気圧下、950℃の温度で1分間熱処理を行った。
次に、図2に示すようにウェーハ11がサセプター上に配置された状態でガス供給口12から反応ガスを形成室20a内に供給してシリコンウェーハ11の表面表層部11b上にエピタキシャル膜12を成長させた。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例9とした。
実施例1〜12及び比較例1〜9におけるエピタキシャルシリコンウェーハにおけるウェーハの熱処理前と熱処理後におけるバルク層、裏面表層部及びエッジ表層部の各ボロン濃度をSIMSにより測定した。
その後、エピ膜を形成したそれぞれのエピタキシャルシリコンウェーハをデバイス熱処理に模してAr雰囲気中1150℃で90分間熱処理したときの参照ウェーハへのボロン転写量をn型10Ωcmのシリコンウェーハを用いて測定した。この測定はSIMSによって行った。なお、参照ウェーハの熱処理前のボロン濃度は3.6×1018atoms/cm3であった。
これらの結果を表1に示す。
表1から明らかなように、熱処理が950〜1200℃の温度範囲内である実施例1〜12では、熱処理後のそれぞれシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度をそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満にすることができているのに対して、熱処理温度が950℃未満である比較例1,3,5,7では、熱処理後のそれぞれシリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度を2×1018atoms/cm3未満にすることができないことが判る。また、熱処理温度が1200℃を越える比較例2,4,6,8では、シリコンウェーハ11の裏面表層部11c及びエッジ表層部11dにおけるボロン濃度がそれぞれバルク層11aのボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満になるものの、熱処理温度が高いため、ウェーハにスリップ転位が発生してしまう問題がある。
<実施例13>
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が0.5×1015添加され、炭素が4.2×1017atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを実施例13とした。
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が0.4×1013添加され、炭素が4.1×1015atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例10とした。
準備したシリコンウェーハ11は、ウェーハ全体の抵抗率が30mΩcmとなるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であって、窒素が1.8×1015添加され、炭素が5.7×1017atoms/cm3添加されたものを使用した。このことを除いて実施例1と同一の手順でエピタキシャルシリコンウェーハを得た。このようにして得られたエピタキシャルシリコンウェーハを比較例11とした。
実施例1及び13並びに比較例10及び13におけるエピタキシャルシリコンウェーハの強度を測定した。強度の測定は、ビッカース硬度計における四角錐状の先端をウェーハの裏面に押し付けてその裏面に四角錐状に凹んだ圧痕を付け、その圧痕の対角線における長さ(パンチングアウト転位の移動距離)を光学顕微鏡で測定することにより強度を求めた。この結果を表2に示す。
表2から明らかなように、窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加され、炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加された実施例1及び13におけるシリコンウェーハのパンチングアウト転位の移動距離は短く、その強度が高いことが判る。これに対して窒素濃度が低い比較例10のパンチングアウト転位の移動距離は長く、強度が弱いことが判る。また、比較例11のウェーハの強度は高いものの、窒素濃度及び炭素濃度が高すぎるため、窒素、炭素を起因とした結晶欠陥がエピタキシャル層内に発生する問題がある。従って、上記範囲の窒素と炭素を添加することによりウェーハの強度が向上できることが判る。このため、熱処理の実施によってウェーハの表層部のボロン濃度や酸素濃度を低下する本発明におけるウェーハにおけるの強度低下を、この窒素と炭素を添加することによりウェーハの強度を向上させ、熱処理によるウェーハ強度低下を解消させることができる。
11 シリコンウェーハ
11a バルク層
11b 表面表層部
11c 裏面表層部
11d エッジ表層部
12 エピタキシャル膜
20 気相成長装置
26 サセプター
26c 貫通孔
40 RTA熱処理炉
70 縦型熱処理炉
Claims (7)
- ディスク状のバルク層と、前記バルク層の表面及び裏面にそれぞれ位置する表面表層部及び裏面表層部と、前記表面表層部と前記裏面表層部とをつなぎ前記バルク層のエッジ部表面に位置するエッジ表層部とを有し、かつウェーハ全体の抵抗率が30mΩcm以下となるようにボロンが添加されかつ酸素濃度が8×1017〜16×1017atoms/cm3(旧ASTM)であるシリコンウェーハを準備する工程と、
気相成長装置において、前記シリコンウェーハを支持する昇降ピンを上昇させて、前記シリコンウェーハを中空に支持した状態で、ガス供給口から供給される水素ガスを、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及び前記エッジ表層部に接触させ、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及び前記エッジ表層部におけるボロン濃度をそれぞれ前記バルク層のボロン濃度よりも低い2×1018atoms/cm3未満に低減させる熱処理を行う工程と、
前記気相成長装置において前記熱処理に続いて、前記昇降ピンを下降させて、前記シリコンウェーハの前記表面表層部上にエピタキシャル膜を形成する工程と
を含むエピタキシャルシリコンウェーハの製造方法。 - 前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及び前記エッジ表層部の各厚さが少なくとも10nmである請求項1記載の製造方法。
- 前記熱処理が、前記シリコンウェーハの前記裏面表層部及び前記エッジ表層部に対して水素ガスを接触させながら、大気圧又はそれ以下の圧力下、950〜1200℃の温度で30秒〜2時間行われる請求項1又は2記載の製造方法。
- 前記熱処理前の前記シリコンウェーハに窒素が1×1013〜1×1015atoms/cm3の範囲で添加された請求項1ないし3いずれか1項に記載の製造方法。
- 前記熱処理前の前記シリコンウェーハに炭素が5×1015〜5×1017atoms/cm3の範囲で添加された請求項1ないし4いずれか1項に記載の製造方法。
- 前記気相成長装置が、前記シリコンウェーハを支持するための表面から裏面に貫通する複数の貫通孔が形成された円板状のサセプターを有する請求項1ないし5いずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1ないし6いずれか1項に記載の製造方法により製造されたボロン濃度を低減させる前記裏面表層部及び前記エッジ表層部の各厚さが10〜100nmであるエピタキシャルシリコンウェーハ。
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