JP5395976B1 - 締めバンド用締付工具および締付方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易且つ小型の構造で製造が容易であり、作業性に優れ、高所や不安定な場所での作業にも対応できるスチール締めバンドの締付工具を提供すること、および空調用の配管とフレキシブルダクトを効率よく接続する被締付体の締付方法を提供すること。
【解決手段】本発明のスチール締めバンド締付工具は、スチール締めバンドの挿入口を有する前端部、シャフト挿入孔を有する一対の側板および背面板を備えた本体部(A)と、中央部にスチール締めバンドを差し込むための開口部を有し、前記側板のそれぞれのシャフト挿入孔を挿通するシャフトと、該シャフトの開口部の両側に立設する一対の円板と、本体部(A)の側板から突出したシャフトの少なくとも一端にシャフトを回転させるための動力供給用接続部からなる回転部(B)を有しており、挿入されたスチール締めバンドを巻きとることによって被締付け部の締め付けが行われる。
【選択図】図1
【解決手段】本発明のスチール締めバンド締付工具は、スチール締めバンドの挿入口を有する前端部、シャフト挿入孔を有する一対の側板および背面板を備えた本体部(A)と、中央部にスチール締めバンドを差し込むための開口部を有し、前記側板のそれぞれのシャフト挿入孔を挿通するシャフトと、該シャフトの開口部の両側に立設する一対の円板と、本体部(A)の側板から突出したシャフトの少なくとも一端にシャフトを回転させるための動力供給用接続部からなる回転部(B)を有しており、挿入されたスチール締めバンドを巻きとることによって被締付け部の締め付けが行われる。
【選択図】図1
Description
本発明は、スチール締めバンドの締付工具に関し、さらに詳しくは、スチール締めバンドの一端部を保持しているバンド保持具に、スチール締めバンドの他端部を差し込み、該他端部を前方に引き出しつつ締め付けを行うためのスチール締めバンド用締付工具および該締付工具を用いる被締付体の締付方法に関する。
近年、空調用の配管とフレキシブルダクトの接合をはじめとする様々な用途で、締めバンドを用いる方法が用いられている。締めバンドとしては、ポリプロピレンやナイロンなどのプラスチック製のものに加えて、最近では、強靭な強度、耐久性などの性能が評価されて、スチール締めバンドが多用されている。例えば、空調用の配管工事において配管同士の接合用にフレキシブルダクトを用いる施工例が普及しているが、この工事においては、締めバンドで締め付けた後で外れ防止のためにビス打ちを行う必要があり、ビス打ちに適した締めバンドとしてもっぱらスチール締めバンドが用いられている。
スチール締めバンドを用いて被締付体を締め付けるに当たっては、工具を用いて締めバンドを前方に送り出すことが必要であり、そのための工具として、特許文献1には、ハンドル操作によって締めバンドを前方に移動させ、それによって締付け力を発生させるハンドル型の工具が記載されている。特許文献1には、ハンドル型にすることによって、従来から公知のピストル型工具に比べて締めバンドを送り出す効率が向上すると記載されている。しかし、ハンドル型の工具は、手動でハンドル操作をしなければならないために作業性に劣っている。
また、非特許文献1には、スチール締めバンド、バンド保持具および専用の締付工具を用いる、空調用の配管と曲げやすい消音用フレキシブルダクトを繋ぐ施工法が記載されている。この方法は、図6(a)に示すようなバンド保持具6を用いて図6(b)および(c)に示すようにして行われる。すなわち、バンド保持具6の底面61にスチール締めバンドの一端(後端)(b1)を折り曲げて係止し、該締めバンドをダクトの被締付部の周囲に回した後、締めバンドをバンド保持具6に通し、次いで、締めバンドの先端(前端)(b2)を締付工具Tにより前方に引き出し、バンド保持具6と締付工具Tとの衝合と締付工具による引き出し力の作用によって締付部位の引き締めを行うものである。引き締め完了後には、バンド保持具6の前端部を支点として締めバンドを上面62の側に折り曲げて係止し、締め付け力の維持に必要な部位(b3)から先の余分な締めバンドは、工具に備えられている切断刃により切断している。
非特許文献1に記載された方法によれば、簡便な作業で配管とダクトを接続することができる。その反面、締付工具が、手動でレバーを押し付けることにより締めバンドを前方に送り出す方式であるため作業効率が必ずしも十分でないうえ、工具の構造が複雑で製造コストが高い、大型で重く作業員の負荷が大きい、高所や不安定な場所での作業には適さないなどといった問題がある。
さらに、非特許文献2には、梱包物をスチール締めバンドで引き締める際に使用する大型のドラム巻き取り式引締機が記載されている(図は省略)。この引締機は、梱包物を周回させたスチール締めバンドを回転ドラムにセットし、引き締めレバーを操作することによってスチール締めバンドを巻き取り、引き締めを行う方式のものである。しかし、この引締機は、組み立て住宅、橋梁、鋼材重機、鋼材コイルなどの分野で、強力な引き締め力が必要な梱包に使用されるものであって、重量が5Kg以上と非常に重く、空調工事のような高所や不安定な場所での作業にはまったく適さないものであった。
株式会社深川製作所総合カタログ「ダクト部材」(平成25年6月1日検索)インターネット<URL:http://www.ductnet.com/catalog.php?page=177http://www.ductnet.com/catalog.php?page=177>
札場産業株式会社カタログ「帯鉄手動式結束機」(平成25年6月1日検索)インターネット<URL:http://www.fudaba-sangyo.com/tejime.htmhttp://www.fudaba-sangyo.com/tejime.htm>
本発明は、上記のごとき背景技術の問題点を解決しようとするものであり、その主たる目的は、簡易且つ小型の構造で製造が容易であり、電動工具を利用可能にすることで作業性を向上した、高所や不安定な場所での作業にも対応できるスチール締めバンドの締付工具を提供することにある。また、他の目的は、空調用の配管とフレキシブルダクトを効率よく繋ぎ込む施工法に適した被締付体の締付方法を提供することにある。
本発明者は、従来から知られているハンドル型やレバー型の工具に代えて、電動工具の使用が可能な構造の工具を開発すべく鋭意検討の結果、スチール締めバンドをシャフトによって巻き取る方式が作業性の点で優れており、巻き取ったスチール締めバンドはシャフトを逆回転することにより取り外すことが可能であり、また、空調用の配管と消音用ダクトの繋ぎ込みの場合には、設置場所が人目につかない所がほとんどであるため、余分な締めバンドを切断する必要がないことに着目して、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、第一に、スチール締めバンドの挿入口を有する前端部、後記回転部(B)のシャフトを通すためのシャフト挿入孔を有する一対の側板および背面板を備えた本体部(A)と、挿入されたスチール締めバンドを巻きとることによって被締付け部の締め付けを行うための回転自在な回転部(B)を有しており、該回転部(B)は、中央部にスチール締めバンドを差し込むための少なくともひとつの開口部を有し、前記側板のそれぞれのシャフト挿入孔を挿通するシャフトと、該シャフトの開口部の両側に立設する一対の円板と、本体部(A)の側板から突出したシャフトの少なくとも一端にシャフトを回転させるための動力供給用接続部を備えているスチール締めバンド用締付工具が提供される。
また、第二に、スチール締めバンドの一端を該スチール締めバンドを挿通可能なバンド保持具で保持し、該スチール締めバンドを被締付体の締付部位の周囲に回して、その他端を前記バンド保持具に挿通した後、該他端を前方向に引くことにより被締付体を締め付ける締付方法において、スチール締めバンドの他端を、前記のスチール締めバンド用締付工具のスチール締めバンド挿入口を介してシャフトの締めバンド差込用開口部に挿入し、本体部(A)の前端部の先端とバンド保持具との衝合および回転部(B)のシャフトの回転による締めバンドの巻きとりにより締付部位を締め付け、締め付け完了後に本体部(A)の前端部の先端を支点としてスチール締めバンドを折り返し、次いで、回転部(B)のシャフトを反転させることによりスチール締めバンドを締付工具から取りはずす被締付体の締付方法が提供される。
本発明のスチール締めバンド締付工具は、簡易且つ小型の構造であるため製造が容易であり、安価に製造することができる。また、シャフトの回転による巻き取り方式であり、且つ電動工具が利用できるため、締めバンドを引き締める際の作業性に優れている。さらに、小型軽量であるため、作業員の負荷が軽減するうえ高所や不安定な場所での作業にも適している。また、本発明の被締付体の締付方法によれば、作業員の負荷が軽減し、高所や不安定な場所でも効率よく被締付体を締め付けることができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、図1〜図6を参照して説明する。なお、それぞれの図は、発明を説明するためのものであり、各構成要素の寸法を正確に表すものではない。
<スチール締めバンド用締付工具>
図1に示すように、本発明のスチール締めバンド用締付工具1は、本体部(A)2と回転部(B)4で構成されている。本体部(A)2は、スチール締めバンドの挿入口12を有する前端部11、回転部(B)4のシャフト41を嵌め込むためのシャフト挿入孔16、17を有する左右の側板13、14および背面板15を備えている。
図1に示すように、本発明のスチール締めバンド用締付工具1は、本体部(A)2と回転部(B)4で構成されている。本体部(A)2は、スチール締めバンドの挿入口12を有する前端部11、回転部(B)4のシャフト41を嵌め込むためのシャフト挿入孔16、17を有する左右の側板13、14および背面板15を備えている。
この実施態様においては、スチール締めバンド用締付工具1の前端部11は、上板18、下板19、側板20、21で構成されており、その先端にスチール締めバンドの先端を差し込むための挿入口12を有している。前端部11は、挿入口12に向かって側板の高さが漸減する先細りの形状であり、また、挿入口12の中心点cを通り、挿入口12に垂直な中心線Lを規準にして左右および上下に対称形状である。先細りの構造とすることによって、前端部11の先端が保持具と衝合する際の角度調整の自由度が広がり、スチール締めバンドを直線状に引っ張ることが可能になるうえ、工具の軽量化にも寄与する。
挿入口12は、締めバンドが差し込めるように締めバンドの断面積を上回る開口面積を有している。また、引き締め力を発揮させるためには、前端部11の先端22と後述するスチール締めバンドの保持具との衝合が必要になるため、保持具が挿入口12の中に引き込まれないような大きさにしている。スチール締めバンドのサイズは、通常、幅10〜25mm、厚み0.3〜0.6mmであり、保持具のサイズは、通常、幅15〜40mm、高さ5〜10mmであるから、挿入口12のサイズは、スチール締めバンドが挿入でき、且つ保持具が引き込まれない範囲で適宜選択することができる。通常は、幅20〜30mm、高さ4〜8mmである。
本体部(A)2を構成する両側の側板13、14は、ほぼ中心部に回転部(B)4のシャフト41を嵌め込むためのシャフト挿入孔16、17を有している。この実施態様においては、シャフト挿入孔16、17は、側板の外面において補強用メタルリング45、46によって補強されている。補強用メタルリングを取り付けることによって、シャフトの回転が円滑になり、また、側板の強度が向上する。シャフト挿入孔の大きさは、通常、10〜20mmφであり、補強用メタルリングの大きさは、通常、シャフト挿入孔の径の1.5〜2倍である。補強用メタルリングは、側板にシャフト挿入孔を穿った後で、溶接などの常法にしたがって取り付けることができる。
本体部(A)2を構成する背面板15は、両側の側板13、14と一体化していればよく、通常は、両側の側板13、14と同一の高さを有している。図1に示す実施態様では、背面板15のほぼ中心部に、作業員が工具を携帯し易いように吊り下げ用孔23が穿たれている。
一方、回転部(B)4は、シャフト41と一対の円板42、43で構成されている。シャフト41の中央部には、回転軸に沿ってスチール締めバンドを差し込むための開口部44が設けられている。一対の円板42、43は、開口部44の両端部と側板13、14との間でシャフト41に対して垂直に取り付けられている。シャフト41は、本体部(A)2のシャフト挿入孔16、17に嵌めこまれており、両側板を突き出ているシャフト41の一方の端部には、動力供給用接続部47が設けられている。他方の端部は、動力供給用接続部47と同様にしてもよいが、通常は、手動工具でシャフトの回転を可能にする手動工具操作部48とする。
シャフト41は、通常、棒状の鋼材であり、モールドを用いて所望の形状に成形される。図4に示す実施態様では、シャフトの中央部49が、その両側よりも太くなるように段差をもって成形されている。段差を設けることによって、一対の円板を取付ける作業が容易になるほか、シャフトの径が大きくなるため強度が向上し、締めバンドの巻取りの効率も向上する。
開口部44は、締めバンドの差し込みが可能で、且つ、シャフト41を回転するときに締めバンドの巻きとりが可能となるような開口面積と深さを有している。開口部44は、締めバンドの差し込みの便宜上、中央部49よりも横長に形成されているが、締めバンドの差し込みが可能であれば、必ずしもこの形状でなくともよい。また、開口部44は、シャフト41を貫通するように設けてもよいが、その場合には、差し込んだスチール締めバンドの先端がシャフト41の反対側に飛び出し、締めバンドの巻き込みを阻害したり、作業員の指を傷つける懸念があるため、通常は、貫通せずにシャフト41に穿った溝の形状になっている。溝の形状の場合には、図4(b)に示すように、シャフトの中心線を基準にして対象となる位置に2つ目の開口部44aを設けることが好ましい。このようにすると、シャフトのどちら側でもスチール締めバンドを挿入することができる。
一対の円板42、42は、手指の操作でスチール締めバンドの巻きとりや取り外しを行うためのものであり、スチール締めバンドを開口部44に差し込み、電動工具で巻き込み操作を始める前段階や、引締め操作が完了してスチール締めバンドを取り外すときに使用される。一対の円板42、43は、手指による操作がしやすいように、本体部2の側板13、14の高さよりも大きな直径とし、厚みは、通常、2〜4mm程度とする。
シャフト41の一端に設けられる動力供給用接続部47は、シャフト41を回転するための動力源(たとえば空調用配管の設置工事において一般的に使用される電動工具)と接続するための構造を有しており、通常は、断面形状が六角形の雌型構造である。
シャフト41の他端は、前記の動力供給用接続部47と同様の構造であってもよいが、この実施態様では、電動工具を使用できないときでも作業ができるように、手動工具でシャフトの回転を可能にする手動工具操作部48としている。手動工具操作部48の代表的な構造は、ボルトの頭部のような六角形の雄型構造である。
本発明のスチール締めバンド用締付工具1の寸法や重量は、作業員が手軽に操作できる範囲で適宜選定することができる。たとえば、本体部(A)の全長を約10cm、回転部(B)の円板の径を約5cm、回転部(B)のシャフトの長さを約6cmにすると、全重量で300g以下の小型、且つ軽量のスチール締めバンド用締付工具にすることができる。
<スチール締めバンド用締付工具の製造法>
上記実施態様のスチール締めバンド用締付工具は、図5に示すようにして製造することができる。まず、本体部(A)の前端部の上面18、前端部の側板20、メタルリング45によって補強されたシャフト挿入孔16を有する側板13および背面板15を備えた本体用部材(a1)と、本体部(A)の前端部の下面18、前端部の側板21、メタルリング46によって補強されたシャフト挿入孔17を有する側板14を備えた本体用部材(a2)を用意し、ふたつの部材を向かい合わせに配置する。
上記実施態様のスチール締めバンド用締付工具は、図5に示すようにして製造することができる。まず、本体部(A)の前端部の上面18、前端部の側板20、メタルリング45によって補強されたシャフト挿入孔16を有する側板13および背面板15を備えた本体用部材(a1)と、本体部(A)の前端部の下面18、前端部の側板21、メタルリング46によって補強されたシャフト挿入孔17を有する側板14を備えた本体用部材(a2)を用意し、ふたつの部材を向かい合わせに配置する。
次いで、本体用部材(a1)および本体用部材(a2)のシャフト挿入孔16、17に、中心部にスチール締めバンドを差し込む開口部44を有し、少なくとも一端に動力供給用接続部47を備えるシャフト41と、該シャフトに嵌めこんだ一対の円板42、43を備えた回転部用部材(b)を嵌め込む。一対の円板42、43は、シャフトの中央部49の直径が太くなっているため、中央方向への移動が制限され、開口部の両端と両側板の間に仮止めされる。その状態で、本体用部材(a1)と(a2)の突合せ部の接合と、仮止めされた一対の円板とシャフトの接合を、溶接などの常法にしたがって行うことによってスチール締めバンド用締付工具が完成する。
また、図1および図5に示す締付工具の本体部(A)は、挿入口12の中心点cを通り、挿入口12に垂直な中心線Lを規準にして左右および上下に対称となる形状に設計されている。そこで、図1に示す中心線Lを規準にして左右に二分割した形状の本体用部材(a3)を用いることによって、部品点数を減らすことができる。すなわち、この本体用部材(a3)を上下に反転して本体用部材(a4)とし、この2つの部材を向き合わせに突き合わせると、両者は長手方向、厚み方向ともに対称形であるから突き合わせ面は完全に一致し本体部(A)の形状ができる。その後は、図5に示す方法と同様にしてスチール締めバンド用締付工具を得ることができる。
<被締付体の締付方法>
上記実施態様のスチール締めバンド用締付工具を用いる被締付体の締付は、以下のようにして行われる。まず、最初に、図6(b)に示すように、スチール締めバンドの一端(後端)b1をバンド保持具6に通して下方に折り曲げ、バンド保持具の底面61に係止する。スチール締めバンドは、一般に市販されているスチール製のものを使用することができる。また、バンド保持具は、スチール締めバンドを2回挿通するだけの開口を有し、且つスチール締めバンドを底面の後端部および上面の前端部で係止することにより締め付け力を維持できるだけの強度を有するものであればよく、図6(a)に示すような上面の一部が長手方向に欠損しているものでも、欠損のない形状のものであってもよい。
上記実施態様のスチール締めバンド用締付工具を用いる被締付体の締付は、以下のようにして行われる。まず、最初に、図6(b)に示すように、スチール締めバンドの一端(後端)b1をバンド保持具6に通して下方に折り曲げ、バンド保持具の底面61に係止する。スチール締めバンドは、一般に市販されているスチール製のものを使用することができる。また、バンド保持具は、スチール締めバンドを2回挿通するだけの開口を有し、且つスチール締めバンドを底面の後端部および上面の前端部で係止することにより締め付け力を維持できるだけの強度を有するものであればよく、図6(a)に示すような上面の一部が長手方向に欠損しているものでも、欠損のない形状のものであってもよい。
次いで、スチール締めバンドの他端(前端)を被締付体(図示せず)の周囲を回してからバンド保持具6に挿通した後、スチール締めバンド用締付工具1(図6(b)ではTと表記)のスチール締めバンド挿入口12を通してシャフト41の締めバンド差込口44に差し込む。次いで、シャフト41を電動または手動により回転させて、締めバンドを巻きとる。巻きとりが進むにつれて締付工具1のスチール締めバンド挿入口12とバンド保持具6との距離が狭まり、やがて両者は衝合する。その後、さらにシャフト41を回転させて締めバンドを巻きとることにより引締めが進行する。所望の締め付け状態に至った段階でシャフト41の回転を停止し、工具1の前端部の先端22(すなわち、保持具6の上面62の前端)を支点としてスチール締めバンドを上面62側に折り返すことにより、被締付体の締付を固定する。その後、スチール締めバンド用締付工具1のシャフト41を、巻きとりのときとは逆の方向に回転させることにより、スチール締めバンドを工具から取り外す。余分なスチール締めバンドは、必要に応じて適宜切断してもよいが、被締付体が屋根裏や人目につかない場所に設置される場合には、そのまま残しておくこともできる。
かかる本発明の被締付体の締付方法は、空調用工事において、フレキシブルダクトを用いて金属製配管を接続する施工法に好適な方法である。この施工法では、所望の角度に変形したフレキシブルダクトの両側に2つの配管を挿入し、配管とダクトが重なり合っている両側の所望の部位で、上記の締付方法にしたがって締付が行われる。この場合、フレキシブルダクトは曲げやすい形状に成形されているので、配管同士の接続を所望の角度で行うことができる。また、空調用配管は人目につかない場所に設置されることが多いので、そのような場合には、締付の固定に必要のない余分なスチール締めバンドをそのまま残しておくことができる。締付完了後には、通常、バンドの外れ防止のためにスチール締めバンドの上からビス打ちが行われる。なお、フレキシブルダクトは、一般に空調工事用に使用されているものであればいずれでもよく、たとえば、アルミニウム製、グラスウール製、合成樹脂製などのものが例示される。
<他の実施態様>
以上、図1〜6を参照しながら本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明はこの実施態様に限定されるものではなく、本発明の効果を本質的に損なわない限り、様々な設計変更が可能である。たとえば、本体部(A)は必ずしも左右対称の形状でなくてもよく、本体部(A)を構成する前端部11、側板13、14および背面板15の厚みが同じでなくてもよい。また、前端部11および背面板15の一部が、それぞれのその他の部分よりも厚くなっていてもよい。
以上、図1〜6を参照しながら本発明の好適な実施態様について説明したが、本発明はこの実施態様に限定されるものではなく、本発明の効果を本質的に損なわない限り、様々な設計変更が可能である。たとえば、本体部(A)は必ずしも左右対称の形状でなくてもよく、本体部(A)を構成する前端部11、側板13、14および背面板15の厚みが同じでなくてもよい。また、前端部11および背面板15の一部が、それぞれのその他の部分よりも厚くなっていてもよい。
そのような形状の具体例としては、本体部(A)用の2つの部材を前端部11および背面板15の部分で重ね合わせて本体部(A)の形状を作り、重ね合わせた部分をスポット溶接で接合することにより本体部(A)とする形状が挙げられる。この場合は、重ね合わせた部分が、前端部11および背面板15の重ね合わせのない部分よりも厚いものとなる。このような製法に従うと、通常の溶接で接合する場合に比較して効率よく本体部(A)を得ることができる。
本発明のスチール締めバンド用締付工具は、簡易且つ小型の構造であるため安価に製造することができ、電動工具が利用できるため作業性に優れ、さらに、作業員の負荷が少なく高所や不安定な場所での作業にも適している。また、本発明の被締付体の締付方法によれば、作業員の負荷が減少し、高所や不安定な場所でも効率よく被締付体を締め付けることができる。
1 スチール締めバンド用締付工具
2 本体部(A)
4 回転部(B)
6 保持具
11 前端部
12 挿入口
13、14 側板
15 背面板
16、17 シャフト挿入孔
41 シャフト
42、43 円板
44、44a 開口部
47 動力供給用接続部
48 手動工具操作部
2 本体部(A)
4 回転部(B)
6 保持具
11 前端部
12 挿入口
13、14 側板
15 背面板
16、17 シャフト挿入孔
41 シャフト
42、43 円板
44、44a 開口部
47 動力供給用接続部
48 手動工具操作部
Claims (9)
- スチール締めバンドの挿入口を有する前端部、後記回転部(B)のシャフトを通すためのシャフト挿入孔を有する一対の側板および背面板を備えた本体部(A)と、
挿入されたスチール締めバンドを巻きとることによって被締付け部の締め付けを行うための回転自在な回転部(B)を有しており、
該回転部(B)は、
中央部にスチール締めバンドを差し込むための少なくともひとつの開口部を有し、前記側板のそれぞれのシャフト挿入孔を挿通するシャフトと、
該シャフトの開口部の両側、且つ、前記本体部(A)の一対の側板の内側に立設する、前記側板の高さよりも大きな直径を有する一対の円板と、
本体部(A)の側板から突出したシャフトの少なくとも一端にシャフトを回転させるための動力供給用接続部を備えることを特徴とする
スチール締めバンド用締付工具。
- 側板のシャフト挿入孔の周囲が、側板外面に取り付けられたメタルリングによって補強されている請求項1記載のスチール締めバンド用締付工具。
- 前端部の長手方向の断面形状が、先端に向かって先細りの形状である請求項1または2記載のスチール締めバンド用締付工具。
- シャフトが、その中央部に太径部を有し、シャフトの開口部が溝形状を有するものである請求項1〜3のいずれかに記載のスチール締めバンド用締付工具。
- シャフトの開口部が、シャフトの両側に設けられている請求項1〜4のいずれかに記載のスチール締めバンド用締付工具。
- シャフトの一端が、シャフトを手動工具で回転させるための手動工具操作部である請求項1~5のいずれかに記載のスチール締めバンド用締付工具。
- 本体部(A)が、その長手方向に沿って左右および上下に対称形である請求項1〜6のいずれかに記載のスチール締めバンド用締付工具。
- スチール締めバンドの一端を該スチール締めバンドを挿通可能なバンド保持具で保持し、該スチール締めバンドを被締付体の締付部位の周囲に回して、その他端を前記保持具により前方向に引くことによって被締付体を締め付ける締付方法において、
スチール締めバンドの他端を、請求項1〜7のいずれかに記載のスチール締めバンド用締付工具のスチール締めバンド挿入口を介してシャフトの締めバンド差込用開口部に挿入し、
本体部(A)の前端部の先端と保持具との衝合および回転部(B)のシャフトの回転による締めバンドの巻きとりにより締付部位を締め付け、
締め付け完了後に本体部(A)の前端部の先端を支点としてスチール締めバンドを折り返し、
次いで、回転部(B)のシャフトを反転させることによりスチール締めバンドを締付工具から取りはずすことを特徴とする被締付体の締付方法。 - 被締付体が、空調用配管とフレキシブルダクトの接続部である請求項8記載の被締付体の締付方法。
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