以下図面について本発明を詳述する。
(1)本発明による距離判定手法
本発明は、準静電界が距離に対して高い分解能を有する準静電界を用いてモーションキャプチャを行う。そこでまず準静電界の性質について説明する。
(1−1)準静電界の性質
電界は、電界発生源からの距離に線形に反比例する放射電界と、電界発生源からの距離の2乗に反比例する誘導電磁界と、電界発生源からの距離の3乗に反比例する準静電界との合成電界として発生している。
これら放射電界、誘導電磁界及び準静電界それぞれの相対的な強度と、距離との関係をグラフ化すると図1に示すような結果となる。但し、図1では、1[MHz]における各電界それぞれの相対的な強度と距離との関係を対数尺度により示している。
図1からも明らかなように、放射電界、誘導電磁界及び準静電界それぞれの相対的な強度が等しくなる距離(以下、これを強度境界点と呼ぶ)が存在する。この場合、強度境界点よりも遠方では放射電界が優位(誘導電磁界や準静電界の強度よりも大きい状態)となり、これに対して強度境界点よりも近傍では準静電界が優位(放射電界や誘導電磁界の強度よりも大きい状態)となる。
ここで、ダイポール(電界発生源)からある距離r[m]だけ隔てた位置での放射電界の強度E
θ,radiation、誘導電磁界の強度E
θ,induction及び準静電界の強度E
θ,quasielectrostaticはそれぞれ次式
として表すことができる。なお、(1)式では、ダイポールにかかる電荷量をq[c]、ダイポールの長さをl[m]、波数をk[1/m]、虚数単位をjとしている。
そして、かかる強度境界点は、放射電界、誘導電磁界及び準静電界の各強度が一致するという条件から、次式
を満たす距離rである。つまり、電界発生源から強度境界点までの距離rは、次式
として表すことができる。
そして、(3)式における波数k[1/m]は、真空中の光速をc[m/s](c=3×10
8)とし、周波数をf[Hz]とすると次式
として表すことができることから、強度境界点は、(3)式に(4)式を代入して整理した次式
として表すことができる。
この(5)式からも分かるように、放射電界及び誘導電磁界に比して強度の大きい状態にある準静電界の空間を広くする場合には周波数が密接に関係しており、低い周波数であるほど、放射電界及び誘導電磁界に比して強度の大きい状態にある準静電界の空間が大きくなる。(即ち、図1に示した強度境界点までの距離は、周波数が低いほど長くなる(つまり右に移ることになる)。これに対して高い周波数であるほど、放射電界及び誘導電磁界に比して強度の大きい状態にある準静電界の空間が狭くなる(即ち、図1に示した強度境界点までの距離は、周波数が高いほど短くなる(つまり左に移ることになる))。
例えば1[MHz]を選定した場合、上述の(5)式によれば、図1において対数尺度で示した距離を真数尺度に置き換えて示す図2からも明らかなように、電界発生源から2[m]地点までの空間における準静電界の強度は、誘導電磁界に比しておよそ13[dB]大きくなる。従ってこの空間内では、誘導電磁界及び放射電界の影響を実質上受けることなく準静電界が検出できるようになる。
(1−2)準静電界を用いた距離判定手法
上述したような準静電界の性質を利用して、例えば図3に示すように、電界発生源から0.01[m]までの範囲(即ち電界発生源からの距離)には1[MHz]でなる周波数を基準周波数として対応付け、また0.01[m]ごとに広くなる範囲には順位低い周波数をそれぞれ対応付けるようにし、当該割り当てた各周波数の合成結果に応じた準静電界を送信機TXから発生するようにしておく。そして、かかる周波数と距離との関係をテーブル(以下、これを周波数距離テーブルと呼ぶ)として予め受信機RXに保持させておく。
この図3において、送信機TXからd[m]の地点に存在する受信機RXは、0.01〜(d−0.01)[m]までの各周波数f1〜f(i−1)[MHz]に応じて振動する準静電界を受信できるが、これに対してd[m]以降の各周波数fi[MHz] 〜fnに対応する準静電界については受信できないこととなる。従ってこの場合、受信機RXは、受信結果に対して例えばFFT(Fast Fourier Transform)等の周波数分析処理を施して受信周波数を検出すれば、当該検出した受信周波数と周波数距離テーブルとを用いて、送信機TXからから自身までの距離(d[m])を決定することができる。
このようにして本発明は距離を決定する際の指標として、電界発生源からの到達距離にそれぞれ対応付けられた複数の周波数の合成結果に応じて振動する準静電界(以下、これを準静電界距離スケールと呼ぶ)を発生し、当該準静電界距離スケールの受信結果(受信周波数)から距離を決定する。
しかしこの場合、高い周波数であるほど準静電界が優位となる空間が狭くなる(即ち、図2について上述した強度境界点が左上に移ることになる)ため、高い周波数に対応する範囲の末端付近では、基準周波数に対応する範囲(距離)における準静電界と誘導電磁界との強度差(13[dB])に比して小さくなってしまうことから、準静電界距離スケールの強度が不安定となり、ひいては距離の決定指標となる準静電界距離スケールの信頼性が損なわれてしまう。
この場合に、1[MHz]の周波数に対応する範囲(電界発生源から0.01[m])での強度に、1[MHz]以上の各周波数にそれぞれ対応する強度境界点の強度が一致するように出力を調整すれば、準静電界距離スケールの強度が安定となるため、距離の決定指標となる準静電界距離スケールの信頼性が確保されることとなる。
また、先に述べたとおり準静電界の強度の変化は距離の3乗に反比例するが、図2に示したグラフからも明らかに分かる。この場合、最も強度変化の小さい各距離(図4では送信機TXから1[m]の距離(最外周)と、図示していないが送信機TXから0.99[m]の距離である)に対応する各周波数(図4では周波数fnと、図示していないが周波数f(n−1)である)の準静電界を受信機TXが識別できるようにすれば、距離の決定指標となる準静電界距離スケールの信頼性がより確保されることとなる。
ここで、かかる準静電界距離スケールを発生するための条件を決定するための手法について説明する。
(1−3)準静電界距離スケールの発生条件
すなわち、電界発生源としての電極に正弦波信号を出力し、当該電極から正弦波信号の周波数に応じて振動する準静電界を発生する場合、当該出力を調整するための係数(以下、これを出力調整係数と呼ぶ)をA
(r)とすると、電極から距離r[m]での準静電界の強度E
(r)は、次式
として表すことができる。
この(6)式の距離rを、強度境界点に関する上述の(5)式に従って変形すると、次式
として表すことができる。
そして、上述したように、1[MHz]の周波数に対応する距離(電極(電界発生源)0.01[m])での強度に、1[MHz]以上の各周波数f
(r)にそれぞれ対応する強度境界点の強度が一致するように、当該周波数f
(r)を決めれば良いことから、次式
が成り立ち、この(8)式を整理すると、次式
となる。
この(9)式を用いて、距離rに対応する周波数f
(r)の正弦波で変化する信号を出力する際の出力係数A
(r)を決定することができる。例えば、電極(電界発生源)から0.01[m]ごとの各距離rにそれぞれ対応する各周波数f
(r)については、次式
と表すことができ、この(10)式の出力係数A
(r)を、上述の(9)式に従って変形すると、次式
となり、この(11)式を整理した次式
を用いて決定することができる。
さらに、最も強度変化の小さい各距離にそれぞれ対応する各周波数の周波数差については、上述したように送信機TXから0.99[m]の距離及び1[m]の距離にそれぞれ対応する各周波数差であるから、次式
のように、各距離(0.99[m]と1[m])をそれぞれ(12)式に代入した結果得られる値を差し引くことによって、当該周波数差の限界値を決定することができる。
このようして決定された上述の各条件に基づいて発生される準静電界距離スケールをグラフ化すると図4に示すような結果となる。但し、図4では、見易くするため、0.01[m]ごとの距離すべてではなく所定の距離(0.01[m],0.2[m],0.4[m],0.6[m],0.8[m],1[m])に対応する準静電界のみを示し、また図4(A)では縦軸(電界強度)を、図4(B)では縦軸(電界強度)及び横軸(距離)を対数尺度により示している。この図4からも明らかなように、準静電界の電界強度を所定の基準である例えば強度境界点に一定となる準静電界距離スケールを発生すれば、周波数によって到達距離を正確に制御することができるようになる。
なお、電界発生電極から0.01[m]間隔ごとの各距離に対応付けられた各周波数の準静電界距離スケールを発生する場合(図3及び図4)について上述したが、どの程度の間隔ごとに準静電界を発生するか否かについては、実際には受信機RX(図3)における性能(受信感度)等を考慮して選定される。この場合、かかる選定結果に基づいて(9)式、(12)式及び(13)式を導いたうえで、信頼性の有する準静電界距離スケールの発生条件として出力調整係数、周波数及び最も強度変化の小さい各距離にそれぞれ対応する各周波数の周波数差がそれぞれ決定される。
以上までの事項をまとめると、本発明は、発生側では、準静電界が距離に対して極めて高い分解能を有することを利用して、複数の周波数にそれぞれ対応する各距離において放射電界及び誘導電磁界に比して大きい強度が得られる準静電界距離スケールを発生し、受信側では、当該準静電界距離スケールの検出結果(検出周波数)と周波数距離テーブルとに基づいて当該発生源からの距離を決定する。そして本発明は、かかる距離判定手法を用いてモーションキャプチャを行うようにする。この場合、動作対象の動きを検出するための資料(準静電界)空間を作る直接的な設備が過大とはならないため、簡易に動きを検出することができることとなる。
(2)本実施の形態
以下、本実施の一形態として第1の実施の形態と、第2の実施の形態とを説明する。
(2−1)第1の実施の形態によるモーションキャプチャシステムの全体構成
図5において、第1の実施の形態によるモーションキャプチャシステム1を示し、準静電界発生装置2と、複数の距離判定装置3(3A〜3G)と、動き検出装置4とによって構成されており、各距離判定装置3A〜3Gと動き検出装置4との間において、例えばIEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11b方式に準拠した無線LAN通信により相互に情報を送受信するようになされている。
準静電界発生装置2は、例えば動作対象としての人体の周囲に設けられており、当該準静電界発生装置2には電界発生源としての電極2A〜2Cが互いに異なる所定位置に配置されている。
そして準静電界発生装置2は、上述の準静電界距離スケール生成手法によって決定された各条件に基づいて、複数の周波数にそれぞれ対応する各距離において放射電界及び誘導電磁界よりも優位な強度が得られるように、同等の準静電界距離スケール(即ち図4で示したような準静電界距離スケール)SKa、SKb、SKcを対応する電界発生電極2A、2B、2Cから単位時間ごとに順次発生するようになされている。
各距離判定装置3A〜3Gは、人体における関節等の所定位置に設けられており、各距離判定装置3A〜3Gの内部メモリには、準静電界発生装置2から発生される準静電界距離スケールSKに対応する周波数距離テーブルが記憶保持されている。因みに、この周波数距離テーブルは、上述したように、複数の周波数にそれぞれ対応する各距離において所定の強度が得られる準静電界(即ち準静電界距離スケールSK)における周波数と距離との関係を表したものである。
そして各距離判定装置3A〜3Gは、準静電界発生装置2から順次発生される準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcを1単位として処理するようになされており、当該準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcの受信結果からその電界強度及び受信周波数を検出し、当該検出した受信周波数から、静電界発生装置2との間の距離を周波数距離テーブルを参照して判定する。
この後、各距離判定装置3A〜3Gは、かかる検出結果(電界強度)及び判定結果(距離)を、動作状態の検出指標の情報(以下、これを状態検出指標情報と呼ぶ)DSa、DSb、DScとして生成し、当該状態検出指標情報DSを動き検出装置4に送信するようになされている。
動き検出装置4は、各距離判定装置3A〜3Gから送信される状態検出指標情報DSごとに処理するようになされている。
この場合、動き検出装置4は、所定位置において人体が基準姿勢の状態のとき、その人体に設けられた各距離判定装置3A〜3Gから送信される状態検出指標情報DS(DSa、DSb、DSc)の電界強度及び距離に基づいて距離判定装置3A〜3Gそれぞれの位置及び角度を算出し、当該位置及び角度の組み合わせを基準姿勢状態情報(初期設定値)として内部メモリに記憶保持する初期処理を実行する。
この状態において動き検出装置4は、各距離判定装置3A〜3Gから送信される状態検出指標情報DS(DSa、DSb、DSc)の電界強度及び距離に基づいて初期処理の場合と同様にして算出した位置及び角度について、基準姿勢状態情報の対応する位置及び角度との変化量(即ち動作量)を算出する。
そして動き検出装置4は、この変化量と基準姿勢状態情報とに基づいて所定の画像処理を実行して、基準姿勢から所定動作後の動作姿勢の状態を画像情報(以下、これを動作状態画像情報と呼ぶ)として生成し、これを例えば外部の表示部(図示せず)に出力表示する。
このようにしてモーションキャプチャシステム1は、所定空間内での動作対象たる人体の動きを検出し、この検出結果を例えば視覚的情報として提供することができるようになされている。
なお、このモーションキャプチャシステム1では、各距離判定装置3A〜3Gごとに固有の識別IDを割り当て、当該識別IDに基づいて距離判定装置3A〜3Gに起因する各種情報に対する処理を実行するようになされている。
また、このモーションキャプチャシステム1では、準静電界発生装置2から発生する準静電界(準静電界距離スケールSK)については、通常の無線LANで用いられる周波数帯域よりも十分に低い周波数を用いるとともに、放射電界及び誘導電磁界よりも優位な強度が得られるようにしているため、当該無線LANとの混信を確実に回避することができるようになされている。
(2−2)準静電界発生装置の構成
図6に示すように、準静電界発生装置2は、互いに異なる低周波数からなる複数の正弦波信号を生成する信号生成源21を有し、この信号生成源21から与えられる各正弦波信号を合成部22を介して合成する。
そして準静電界発生装置2は、かかる合成部22での合成結果に対してID(IDentifier)変調部23で所定の変調処理を施し、当該変調結果を準静電界距離スケール発生用の信号(以下、これを距離判定用信号と呼ぶ)DWとして出力調整部24を介して電界発生電極2A、2B又は2Cに出力する。
ここで、信号生成源21における各正弦波信号の周波数は、予め上述の(12)式及び(13)式に従って算出された値にそれぞれ設定されている。また出力調整部24においては、予め上述の(9)式に従って算出された出力係数が設定されており、ID変調部23から与えられる距離判定用信号DWの各正弦波周波数に対応する出力係数で出力調整するようになされている。
従って、準静電界発生装置2は、図3及び図4について上述したように、距離判定用信号DWの各正弦波周波数に応じて振動する準静電界を、距離の決定指標となる信頼性の高い準静電界スケールSK(図5)として電界発生電極2A、2B又は2Cから発生することができるようになされている。
かかる構成に加えて、準静電界発生装置2の出力制御部25は、出力調整部24から出力される距離判定用信号DWの出力先を単位時間ごとに順次切替制御するとともに、当該出力先の電界発生電極2A、2B又は2Cに対応付けられた固有のID(以下、これを発生場所識別IDと呼ぶ)を用いて変調処理を行うようにID変調部23を制御する。
従って、準静電界発生装置2は、例えば図7に示すように、発生場所識別IDによって識別された距離判定用信号DWa、距離判定用信号DWb、距離判定用信号DWcを、対応する電界発生電極2A、2B、2C(図5)から、単位時間ごとに時分割的に静電界スケールSKa、SKb、SKc(図5)として発生することができるようになされている。
この場合、準静電界発生装置2は、準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcを受信する各距離判定装置3A〜3Gに対して、いずれの電界発生電極2A、2B、2Cから発生されたものであるかを認識させ、当該距離判定装置3で誤った距離が判定されるといった事態等を未然に防止することができるようになされている。
このようにして準静電界発生装置2は、各電界発生電極2A〜2Cから準静電界距離スケールSKa〜SKcを発生することができるようになされている。
(2−3)距離判定装置の構成
各距離判定装置3A〜3Gは、それぞれ同一の構成であるため、ここでは人体の頭部に設けられた距離判定装置3Aの構成についてのみ説明する。
図8に示すように、距離判定装置3Aは、互いに直交するx軸方向の受信電極30A及び30B、y軸方向の受信電極30C及び30D、z軸方向の受信電極30E及び30Fからなるプローブ部30(図9)を有し、当該プローブ部30には、これら3軸の成分別の電界強度を計測する電位計測部31(図8)が接続される。
電位計測部31は、3軸の受信電極間A−B、C−D、E−Fにおける電位差VA−B、VC−D、VE−Fを対応する電位計31A、31B、31Cにより計測し、この計測結果を信号(以下、これを電位差信号と呼ぶ)S31a、S31b、S31cとしてA/D変換部32及び復調部33に送出する。
A/D変換部32は、電位差信号S31A、S31B、S31Cを対応するADC(Analog Digital Converter)32A、32B、32Cを介して電位差データD32A、D32B、D32Cとして生成し、当該電位差データD32a、D32b、D32cを距離変換部34に送出する。
一方、復調部33は、電位差信号S31A、S31B、S31Cに対して所定の復調処理を施すことにより準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcに重畳された発生場所識別IDD33(図7)を抽出し、これを距離変換部34に送出する。
この発生場所識別IDD33は、準静電界発生装置2から単位時間ごとに順次発生される準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcから抽出されたものであるため、A/D変換部32から与えられる電位差データD32がいずれの電界発生電極2A、2B、2C(図5)から発生された準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcに基づく計測結果であるかを表す情報となる。
距離変換部34は、かかる発生場所識別IDD33に基づいて、電界発生電極2A、2B、2Cから順次発生される準静電界距離スケールSK、SKb、SKcを1単位として、図9に示す処理手順に従って距離判定処理を実行する。
すなわち距離変換部34は、ADC32A、32B、32Cから与えられる電位差データD32a、D32b、D32cの電位差V
A−B、V
C−D、V
E−Fと、予め設定された3軸の受信電極間A−B、C−D、E−Fの距離dとを用いて、次式
に従ってx軸成分の電界強度Ex、y軸成分の電界強度Ey、z軸成分の電界強度Ezを算出し(図10:ステップSP1)、これら算出結果を用いて、次式
に従って合成するようにして、このとき位置するプローブ部30(図9)での電界強度Eを算出する(図10:ステップSP2)。
次いで距離変換部34は、この電界強度Eに対して、FFT処理を施すことにより周波数別の電界強度を算出するようにして受信周波数を検出し(図10:ステップSP3)、当該検出した受信周波数に対応する電界発生電極2A、2B又は2Cとの間の距離を、図4について上述した場合と同様に周波数距離テーブルを参照して判定する(図10:ステップSP4)。
そして距離変換部34は、この判定結果(距離)と、x軸の電界強度Ex、y軸の電界強度Ey及びz軸の電界強度Ezとを、このとき復調部33から与えられる発生場所識別IDD33が第1の発生場所識別ID(図7)であった場合には状態検出指標情報DSaとして生成する(図10:ステップSP5)。
なお、距離変換部34は、かかる発生場所識別IDが第2の発生場所識別ID(図7)であった場合には状態検出指標情報DSbとして、また発生場所識別IDが第3の発生場所識別ID(図7)であった場合には状態検出指標情報DScとして生成するようになされている。
ここで、人体の比誘電率は空気の比誘電率に比して格段に大きいため、図11に示すシミュレーション結果からも明らかなように、人体の所定部位の距離判定装置3A、3B、……又は3G(図11(A)中の黒丸)における電界強度(|E|=1.224e+001[V/m])は、当該人体の存在によりひずみが生じてしまうため、その分だけ、人体が存在しない場合における同一位置(図11(B)中の黒丸)での電界強度(|E|=2.479e+001[V/m])に比して小さくなる。このことは、距離変換部34において周波数距離テーブルに基づいて判定された距離が実際の距離よりも大きくなってしまうことを意味する。
この場合、図12に示すように、距離変換部34が準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcの受信結果から決定した距離ra、rb、rcは、そのうち1つだけが実際の距離Ra、Rb、Rcに比して大きくなることはありえず、それぞれ同程度の誤差が生じることとなる。
そこで距離変換部34は、かかる誤差の平均値を予め設定しておき、静電界距離スケールSKa、SKb、SKcの受信結果から距離r
a、r
b、r
cを決定した段階で、当該平均値をeとすると、次式
に従って距離R
a、R
b、R
cに補正する。これにより距離変換部34は、動作状態(位置及び角度)の検出指標として信頼性の高い状態検出指標情報DSa、DSb、DScを生成することができるようになされている。この後、距離変換部34は、かかる状態検出指標情報DSa、DSb、DScを無線LAN通信部35を介して動き検出装置4に送信する。
このようにして距離判定装置3A(3B〜3G)は、準静電界発生装置2から発生される準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcの受信結果に基づいて、電界強度及び距離を状態検出指標情報DSa、DSb、DScとして動き検出装置4に送信することができるようになされている。
(2−4)動き検出装置の構成
動き検出装置4は、各距離判定装置3A〜3Gごとに処理するが、当該処理は同一の内容であるため、ここでは距離判定装置3Aの処理内容についてのみ具体的に説明する。
図13に示すように、動き検出装置4は、距離判定装置3Aから送信される状態検出指標情報DS(DSa、DSb、DSc)を無線LAN通信部41を介して受信し、これを位置算出部42及び角度算出部43に送出する。
位置算出部42は、この状態検出指標情報DS(DSa、DSb、DSc)に基づいて、図14に示すように、電界発生用電極2A、2B、2Cを中心とした各半径Ra、Rb、Rcの球の球面の交点、すなわち距離検出装置3Aにおけるプローブ部30の中心CNT(図9)を算出する。
具体的には、予め設定された電界発生用電極2A、2B、2Cの座標を(x
A,y
A,z
A)、(x
B,y
B,z
B)、(x
C,y
C,z
C)とし、プローブ部30の中心CNT(図9)の座標を(x,y,z)とすると、状態検出指標情報DSa、DSb、DScの距離は半径R
a、R
b、R
c(図14)であることから、次式
に従って、プローブ部30における中心CNTの位置(x,y,z)を算出することができる。なお、この(17)式に従って算出される値は2つ存在するが、このうち一方の値については、当該位置(x,y,z)とは明らかに異なるため、位置算出部42では、なんら問題なく、他方の値を中心CNTの位置(x,y,z)として採用することができる。
そして位置算出部42は、かかる(17)式に従って算出した位置(x,y,z)を位置データD43として動作状態算出部44に送出する。
角度算出部43は、無線LAN通信部41から与えられる状態検出指標情報DSa、DSb、DScの電界強度Ex、Ey、Ezの各値の相違から、プローブ部30(図9)における角度を算出し、これを角度データD43として動作状態算出部44に送出する。
具体的には、図9に示した電極の向きを基準として、プローブ部30での水平角をαとし、仰角をβとすると、かかる電界強度Ex、Ey、Ezは、次式
の関係式として表すことができ、当該関係式を水平角α、仰角βについて解くと、次式
として表すことができる。
従って、角度算出部43は、かかる(19)式により、状態検出指標情報DSa、DSb、DScの電界強度Ex、Ey、Ezの各値の相違から、プローブ部30(図9)における角度(水平角α、仰角β)を算出することができるようになされている。
動作状態算出部44は、位置算出部42から与えられる位置データD43の位置(x,y,z)について、初期処理により内部メモリに予め記憶保持しておいた基準姿勢状態情報(距離判定装置3A〜3Gそれぞれの位置及び角度の組み合わせ)のうち対応する位置との変化量(即ち動作量)を算出する。
そして動作状態算出部44は、角度算出部43から与えられる角度データD43の角度(水平角α、仰角β)についても、基準姿勢状態情報のうち対応する角度との変化量(即ち動作量)を算出する。
同様に動作状態算出部44は、距離判定装置3Aとほぼ同時期に各距離判定装置3B〜3Gからそれぞれ送信される状態検出指標情報DSa、DSb、DScに基づいて算出した距離判定装置3B〜3Gごとの位置及び角度についても、基準姿勢状態情報のうち対応する位置及び角度との変化量(即ち動作量)を算出する。
この後、動作状態算出部44は、これら距離判定装置3A〜3Gそれぞれの位置及び角度の変化量(即ち動作量)に基づいて所定の画像処理を実行し、基準姿勢から所定動作後の動作姿勢の状態を動作状態画像情報を生成し、これを例えば外部の表示部(図示せず)に出力表示するようになされている。
かかる構成に加えてこの動作状態算出部44は、基準姿勢状態情報に対する変化量(動作量)を算出する前に、距離判定装置3A〜3Gそれぞれの位置データD43に基づいて、当該距離検出装置3A〜3G相互間の直線距離を算出し、これら直線距離を、基準姿勢状態情報における距離判定装置3A〜3Gそれぞれの位置(初期設定値)に基づいて予め算出された対応する距離検出装置3A〜3G相互間の直線距離(以下、これを基準距離と呼ぶ)と比較し、その比較結果が所定の上限閾値から下限閾値の範囲内であるか否かを決定するようになされている。
この直線距離及び基準距離は、所定位置に設けられた距離判定装置3A〜3G相互間の距離であるため、人体そのものは伸縮自在ではないことから本来一致する値となる。従って、直線距離と基準距離との比較結果(差異)が上限閾値から下限閾値の範囲内でなかった場合には、所定部位に設けられた距離判定装置3A〜3G相互間の距離が伸縮していることとなり、何らかの原因によりこのとき距離判定装置3について算出した位置が誤算出されていることを意味する。
従って動作状態算出部44は、比較結果が所定の上限閾値から下限閾値の範囲内でなかった場合には、当該範囲内でなかった直線距離に対応する距離判定装置3の位置を、当該範囲内となるように補正した後、動作状態画像情報を生成するようになされている。これにより動作状態算出部44は、動作状態画像情報の出力表示結果を視覚的に違和感のない状態で提供することができるようになされている。
ここで、かかる動き検出装置4の動作状態検出処理は、図15に示す動作状態検出処理手順に従って実行される。
すなわち動き検出装置4は、この動き検出処理手順RT2(図15(A))の開始ステップSP10から入り、次のサブルーチンSRTのステップSP21(図15(B))において各距離検出装置3A〜3Gからそれぞれ送信される状態検出指標情報DSa、DSb、DScを受信することにより取得し、ステップSP22において当該状態検出指標情報DSa、DSb、DScの距離に基づいて距離検出装置3A〜3Gごとにプローブ部30の中心CNT(図9)位置を算出し、ステップSP23において当該状態検出指標情報DSa、DSb、DScの3軸分の電界強度に基づいて距離検出装置3A〜3Gごとに角度を算出する。
そして動き検出装置4は、ステップSP24において、ステップSP22及びステップSP23でそれぞれ算出した位置及び角度の組み合わせを基準姿勢状態情報(初期設定値)として保持し、ステップSP25において各距離検出装置3A〜3G相互間の直線距離を基準距離として保持する。
この後、動き検出装置4は、メインルーチンである動き検出処理手順RT2のステップSP11(図15(A))に移って通常の処理を実行するようになされており、このステップSP11から続くステップSP12及びステップSP13を経て、上述のステップSP21〜SP23と同様にして距離検出装置3A〜3Gごとに位置及び角度を算出する。
そして動き検出装置4は、ステップSP14において、このとき算出した距離検出装置3A〜3Gごとの位置を必要に応じて補正し、ステップSP15において、距離検出装置3A〜3Gの位置及び角度それぞれについて、サブルーチンSRTで内部メモリに記憶保持した基準姿勢状態情報の対応する位置及び角度との変化量(即ち動作量)を算出することにより、各距離検出装置3A〜3Gが配置された人体の動作状態を動作状態画像情報として生成し、これを外部の表示部(図示せず)に出力表示した後にステップSP11に戻って上述の処理を繰り返すようになされている。
このようにして動き検出装置4は、距離判定装置3A(3B〜3G)から送信される状態検出指標情報DSa、DSb、DScに基づいて、当該距離判定装置3A(3B〜3G)が配置された部位の位置及び角度から動きを検出することができるようになされている。
この場合、動き検出装置4は、位置のみならず角度をも考慮して動きを検出していることにより、例えば人体がその頭部位置を変えることなく回っていた場合であっても、当該頭部に配置された距離検出装置3の状態検出指標情報DSに基づいて検出することができ、また例えば所定の関節位置が変わることなく、その関節の曲がっていた(又は伸ばされた)場合であっても、当該関節に配置された距離検出装置3の状態検出指標情報DSに基づいて検出することができるようになされている。
(2−5)第1の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、モーションキャプチャシステム1は、識別指標である発生場所識別IDによって区別された準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcを、準静電界発生装置2の3つの電極2A、2B、2Cから単位時間ごとに順次発生する。
この状態においてモーションキャプチャシステム1は、動作対象(人体)に設けられた距離判定装置3A〜3Gごとに、準静電界距離スケールSKa、SKb、SKcの受信周波数に基づいて電極2A、2B、2Cまでの距離をそれぞれ判定し、当該判定した各距離を状態検出指標情報DSa、DSb、DScとして動き検出装置4に通知する。
そしてモーションキャプチャシステム1は、距離判定装置3A〜3Gごとに、当該距離判定装置3により通知される状態検出指標情報DSa、DSb、DScの各距離に基づいて位置を算出し、当該算出した位置と予め保持された基準位置との変化量を動作対象の動き量として検出する。
従って、このモーションキャプチャシステム1では、準静電界を用いているため、動作対象の動きを検出する際に従来の光学式のようにビデオカメラを要することなく、また従来の磁気式のように動く範囲に応じて巨大な磁場発生コイルや動作空間を囲む巨大な励磁コイルを要することもなく、さらに従来の機械式のように動作対象を拘束することもなく動きを検出することができる。これに加えて、このモーションキャプチャシステム1では、距離に対して高い分解能を有する準静電界を用いて動きを検出しているため、当該距離判定装置3A〜3Gにより距離を高精度に判定することができ、ひいては動作対象の動き量を高精度に検出することができる。
またこのモーションキャプチャシステム1では、準静電界発生装置2を照明などに組み込むことができるため(後述する)、準静電界発生装置2を設けることに起因して利用空間が制約されることもなく、設備の物理的な大型化をも回避することができる。
以上の構成によれば、識別指標によって区別された複数周波数からなる準静電界を少なくとも2以上の電界発生源から発生し、動作対象において受信された当該準静電界の受信周波数に基づく距離からその距離判定装置の位置を算出し、当該算出した位置と予め保持された基準位置との変化量を動作対象の動き量として検出するようにしたことにより、距離に対して高い分解能を有する準静電界を用いている分、従来方式に比して過大な設備を要することなく精度よく動きを検出することができ、かくして動作対象の動きを簡易に検出することができる。
(2−6)他の実施の形態
なお上述の第1の実施の形態においては、識別指標によって区別された複数周波数からなる準静電界を少なくとも2以上の電界発生源から発生する準静電界発生装置(準静電界発生手段)として、3つの電極2A、2B、2Cから動作対象に設けられた複数の受信対象(距離判定装置3A〜3G)に対して単位時間ごとに順次準静電界距離スケールを発生するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、互いに位置の異なる2つの電界発生源から複数の受信対象(距離判定装置3A〜3G)に対して単位時間ごとに順次準静電界距離スケールを発生するようにしても良い。この場合、上述の第1の実施の形態の場合と同様にして、動作対象の動きを2次元的に検出することができる。
またこの場合、互いに位置の異なる2つの電界発生源を設けなくとも、例えば、1つの電界発生源を移動自在に設け、単位時間ごとに互いに異なる所定の発生位置に順次移動して発生するようにしても良い。
またこの場合、少なくとも互いに位置の異なる2つの電界発生源から準静電界距離スケールを発生していれば、単位時間ごとに順次発生せずに同時期に常時発生するようにしても良く、また複数の受信対象(距離判定装置3A〜3G)に対して発生せずに1つの受信対象に対して発生するようにしても良い。このようにしても上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
さらにこの場合、識別指標によって区別された複数周波数からなる準静電界を、当該複数周波数にそれぞれ対応する各距離において所定の強度が得られるように準静電界距離スケールとして発生するようにしたが、当該準静電界距離スケールの発生条件に従って準静電界を発生する必要はなく、他の手法による条件に従って準静電界を発生しても良く、あるいは、単に、互いに異なる複数の周波数からなる準静電界を発生するようにしても良い。このようにしても上述の第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また上述の第1の実施の形態においては、少なくとも2以上の発生位置から発生される、識別指標によって区別された複数周波数からなる準静電界を受信する受信手段として、3軸方向における成分別電界強度を取得し、当該取得した成分別電界強度から受信周波数を検出するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば単に1つの平板電極から得られる電界強度から受信周波数を検出するようにしても良い。この場合、モーションキャプチャシステム1では、角度を検出できないものの、位置については上述の第1の実施の形態とほぼ同様の効果を得ることができる。
またこの場合、受信手段の受信手法として、図9に示したプローブ部30、電位計測部31及びA/D変換部32を順次介して得られる3軸方向の各電位差に基づいて、距離判定部34が3軸方向における成分別電界強度を算出し、プローブ部30(図9)での電界強度を算出し、当該電界強度からFFT処理により受信周波数を検出するようにしたが、この他種々の手法により受信周波数を検出するようにしても良い。
さらに上述の第1の実施の形態においては準静電界の受信周波数に基づいて各発生位置までの距離をそれぞれ判定する判定手段として、周波数距離テーブルを参照して判定するようにしたが、本発明はこれに限らず、この他種々の手法により判定することができる。
またこの場合、準静電界の受信周波数に基づいて各発生位置までの距離をそれぞれ判定した際に、当該判定した各距離について、動作対象に起因して生じる成分別の電界強度の歪みに相当する距離分を補正する手法として、予め設定された当該歪み分の固定の平均値を差し引くことにより補正するようにしたが、本発明はこれに限らず、動作対象の種類、体重や体脂肪率等の項目別に対応する平均値を選択的に設定して差し引くことにより補正するようにしても良く、あるいは平均値に代わるこの他種々の値を歪み分を補正する補正値として予め設定するようにしても良い。
さらに上述の第1の実施の形態においては、判定結果である各距離を自身の位置指標として通知する通知手段として、無線LAN通信により通知するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該無線LAN通信に代えて、この他の通信手法により通知するようにしても良い。
(3)第2の実施の形態
(3−1)シミュレーション
第2の実施の形態においては、蛍光灯等のインバータ式照明装置から準静電界を発生し、当該準静電界内に存在する人体の当該装置に対する指差し(以下、これを指差動作と呼ぶ)に応じた準静電界の変動(電位変化)を検出し、当該結果に基づいて蛍光灯の照光状態を制御しようとするものである。
まず、かかる準静電界の変動についてのシミュレーション結果を図16〜図18に示す。図16(A)は、シミュレーションの各種条件を示したものであり、当該条件として(I)天井CE及び床FLがグランドであって当該床FLからの高さ2[m]の部屋RMであり、(II)床FLからの高さ1.8[m]の位置に準静電界を発生する発生手段SOを配置し、(III)当該発生手段SOの近く(床FLからの高さ1.75[m]の位置)に準静電界の変動(電位変化)を検出する検出手段DTを配置しているものと仮定している。
そしてかかる条件下において、発生手段の下に人体HBが存在しない場合(図16(B))と、存在する場合(図17及び図18)とにおける部屋RM内の電位パターンをシミュレーションしたものである。但し、この場合の人体HBは身長が1.6[m]であり、比誘電率が50の直方体として扱っており、また床材の厚さ及び靴底の厚さ分を考慮して、人体HBは床FLから0.05[m]浮いている状態として扱っている。
かかるシミュレーション結果は、人体HBが存在しない場合(図16(B))には、検出手段DTでの検出結果が約41[V]であり、人体HBが発生手段SOの真下に存在する場合(図17(A))には、検出手段DTでの検出結果が約33[V]であった。
また人体HBが発生手段SOの真下ではなく横(左側)にずれた位置に存在する場合(図17(B))には、当該人体HBに対して近いほう(左側)の検出手段DTが約31[V]であり、当該人体HBに対して遠いほう(右側)の検出手段DTが約37[V]であった。さらに発生手段SOの真下に存在する人体HBが指差動作(図中、人体HBにおいて細い部分に相当する)をした場合(図18)には、検出手段DTが約36[V]であった。
一方、図示はしていないが、発生手段SOの真下で座っていた人体HBが立ち上がった場合、発生手段SOの真下で座っていた人体HBが指差動作した場合については双方ともに検出手段DTの電位が同等であった。
かかるシミュレーション結果によれば、人体が発生手段SOの下に立っている状態から指差動作をした場合における検出手段DTでの電位変化の検出結果から人体HBの遠近や指差動作の有無を検出することができるのが分かる。ただし、人体HBの遠近や指差動作の有無を検出するには、発生手段SO及び検出手段DTの配置位置や環境あるいは人体HBの身長などの各種条件(以下、これを検出条件と呼ぶ)に応じて変わるため、当該検出条件に応じた閾値を設定する必要がある。
(3−2)第2の実施の形態によるモーションキャプチャ照明装置の全体構成
図19は、第2の実施の形態によるモーションキャプチャ用のインバータ式照明装置(以下、これをモーションキャプチャ照明装置と呼ぶ)51を示したものである。
このモーションキャプチャ照明装置51は、照明灯52から照明傘53を介して所定の範囲(以下、これを照光範囲と呼ぶ)内を照光するとともに、当該照光範囲に準静電界を発生する。そしてモーションキャプチャ照明装置51は、受信電極54及び55を介して得られる電位変化から、照明傘53の近傍に設けられた照明範囲内に入ってきた人体及び当該人体の指差動作を検出し、この検出結果に基づいて照光状態を制御する。
従って、このモーションキャプチャ照明装置51は、物理的なスイッチを要することなく指差動作により照光状態をオン又はオフすることができるため、その分だけユーザの煩雑さを簡易化することができるようになされている。
(3−3)モーションキャプチャ照明装置の構成
図20に示すように、モーションキャプチャ照明装置51は、照明灯52(図19)を点灯する照明部61、準静電界発生用の信号を重畳する変調回路62、当該モーションキャプチャ照明装置51全体の制御を司る制御部63及び受信部64によって構成される。
この照明部61のドライブ回路61Aは、調光回路61Cから与えられる電圧調整信号S61に応じて交流電圧の電圧レベルを可変し、当該電圧レベルを可変した交流電圧を変調回路62を介して圧電トランス61Bに送出する。
圧電トランス61Bは、ドライブ回路61Aから与えられる交流電圧を昇圧し、当該昇圧した交流電圧を駆動用高電圧として印加対象の電極(以下、これを印加電極と呼ぶ)CRaに印加する。
冷陰極線管CRは、駆動用高電圧に基づいてアースに接続されたアース電極CRbとの間で発光し、照明灯52(図19)を照光する。この結果、この照明灯52(図19)から照明傘53(図19)を介して照光範囲内が照光されることとなる。
調光回路61Cは、冷陰極線管CRの印加電極CRaに印加される電圧レベルに応じて電圧調整信号S61を生成し、これをドライブ回路61Aにフィードバックして、冷陰極線管CRの印加電極CRaに一定の交流電圧が印加されるように調整する。
このように照明部61は、冷陰極管CRに所定電圧を与えるようにして照明灯52(図19)から照明傘53(図19)を介して照光範囲内を照光するようになされている。
ここで、変調回路62は、所定の周波数からなる準静電界発生用信号S62に対して、ドライブ回路61Aから与えられる交流電圧に重畳する変調処理を施すようになされている。
この場合、準静電界発生用信号S62が重畳された交流電圧(以下、これを信号重畳電圧と呼ぶ)は、圧電トランス61Bを介して昇圧され、冷陰極線管CRの印加電極CRaに印加される。この結果、照光範囲内を照光と同時に、当該準静電界発生用信号S62の周波数に応じて振動する準静電界が、印加電極CRaを中心として周囲等方に発生することとなる。
このようにモーションキャプチャ照明装置51においては、冷陰極線管CRの発光用の駆動高電圧を準静電界の発生用として共用することにより、簡易な構成で準静電界を発生することができるようになされている。これに加えて、照明灯52(図19)の点灯用である冷陰極線管CRの印加電極CRaをも準静電界の発生用としても共用することにより、より簡易な構成で準静電界を発生することができるようになされている。
またこの実施の形態の場合、モーションキャプチャ照明装置51においては、印加電極CRaから周囲等方に発生する準静電界を制限するシールドフレームとしても機能するように、照明傘53(図19)の材質等を選定している。これによりモーションキャプチャ照明装置51は、照光範囲内と同等の範囲内に準静電界を発生することができるようになされている。
さらにこの実施の形態の場合、モーションキャプチャ照明装置51では、図3及び図4を用いて準静電界の周波数と距離との関係について上述したように、準静電界発生用信号S62の周波数として、照光範囲(冷陰極線管CRからの距離)に対応する周波数、かつ、圧電トランス61Bによって昇圧された駆動用高電圧の周波数(一般に、およそ100[kHz]である)よりも低い周波数が選定されている。
これによりモーションキャプチャ照明装置51は、放射電界及び誘導電磁界の強度よりも優位な強度の準静電界を照光範囲内に発生することができるようになされている。
一方、受信部64は、照光範囲内における準静電界の電位を、受信電極54、55に対応するアンプ64A、64B及びADC64C、64Dを順次介して電位データD64a、D64bとして制御部63に送出する。
この制御部63には、照光範囲内に存在する人体が指差動作を行ったことを検出するための閾値として、上限閾値及び下限閾値が設定されており、制御部63は、受信部64から与えられている電位データD64a、D64bにおける双方の電位が、上限閾値と下限閾値との間にある場合に、照明範囲内に存在する人体が指差動作を行ったことを検出する。
具体的に先に述べたシミュレーションを例にとれば、電位データD64a、D64bにおける双方の電位が例えば37[V]の上限閾値と35[V]の下限閾値との間にある場合、このことは、図18に示したように、照明灯52(図19)のほぼ真下に存在する人体が指差動作を行っている最中であることを意味しており、この場合に、制御部63は、照光範囲内に存在する人体が指差動作を行ったことを検出する。
そして制御部63は、この検出時にドライブ回路61Aが動作していた場合には当該動作を停止するように制御し、これに対して当該検出時にドライブ回路61Aが動作していなかった場合には当該動作を開始するように制御する。
このようにしてモーションキャプチャ照明装置51は、照明範囲内に存在する人体が当該装置51を指差した場合における電位変化を検出し、この検出結果に基づいて照光状態(オンオフ)を制御することができるようになされている。
(3−4)第2の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、モーションキャプチャ照明装置51は、放射電界及び誘導電磁界に比して優位な強度の準静電界を発生し、当該準静電界内の所定位置に設けられた2つの受信電極54、55から検出される電位を測定する。
そしてモーションキャプチャ照明装置51は、これら受信電極54、55位置での電位変化として、当該双方の位置での電位変化が上限閾値と下限閾値との間にある場合に、照明範囲内に存在する人体が指差動作を行ったことを検出し、この検出結果に基づいて照光状態(オンオフ)を制御する。
従って、このモーションキャプチャ照明装置51では、物理的なスイッチを要することなく指差動作により照光状態をオン又はオフすることができるため、その分だけユーザの煩雑さを簡易化することができる。
この場合、このモーションキャプチャ照明装置51では、距離に対して高い分解能を有する準静電界を用いている分、第1の実施の形態の場合と同様に、従来方式に比して過大な設備を要することなく精度よく動きを検出することができる。これに加えて、このモーションキャプチャ照明装置51では、冷陰極線管CRの発光用の駆動高電圧を準静電界の発生用として共用することにより、上述の第1の実施の形態のように準静電界発生装置2(図5)自体の物理的な構成を回避して小型化を図るとともに利用空間の増大を図ることができる。
以上の構成によれば、放射電界及び誘導電磁界に比して優位な強度の準静電界を発生し、当該準静電界内における受信電極54、55位置での電位変化に基づいて指差動作を検出し、当該検出結果に基づいて照光状態(オンオフ)を制御するようにしたことにより、上述の第1の実施の形態の効果に加えて、物理的なスイッチを要することなく指差動作により照光状態をオン又はオフすることができるためその分だけユーザの煩雑さを簡易化することができる。
(4)第3の実施の形態
(4−1)第3の実施の形態によるモーションキャプチャ表示装置の全体構成
図21において、このモーションキャプチャ表示装置101は、バックライトに冷陰極線管(図示せず)を有し、当該冷陰極線管に対する発光用駆動電圧を準静電界発生用としても用いて、液晶表示パネルPNの点灯と同時に当該表示パネルPNから準静電界を発生するようになされている。
この状態においてモーションキャプチャ表示装置101は、液晶表示パネルPN側を前面とする筺体KTの四隅に設けられた各受信電極102〜105を介して得られる電位変化パターンから人体の腕の動作を検出し、当該検出した動作に予め対応付けられた処理として、例えば電源のオンオフや音量の増減等を実行するようになされている。
従って、このモーションキャプチャ表示装置101では、ユーザの腕の動作を、あたかもリモートコントローラからの操作入力として対応する処理を実行することができるため、当該リモートコントローラを要しない分だけユーザの煩雑さを簡易化することができるようになされている。
(4−2)モーションキャプチャ表示装置の構成
図20との対応部分に同一符号を付した図22に示すように、このモーションキャプチャ表示装置101では、制御部110がモーションキャプチャ照明装置51の制御部63(図20)とは処理内容が異なる点と、受信部111の内部構成がモーションキャプチャ照明装置51の受信部64(図20)に比して受信電極の数に対応して増加している点とを除いて、当該モーションキャプチャ照明装置51(図20)と同一構成でなる。
すなわち照明部61は、液晶表示パネルPNの背後に配置された冷陰極管CRに所定電圧を与えるようにして液晶表示パネルPNを点灯するとともに、当該表示装置101から所定距離までをユーザの動きを検出するための範囲(以下、これを動き検出範囲と呼ぶ)とする準静電界を、当該冷陰極管CRを中心として周囲等方に発生する。
この場合、モーションキャプチャ表示装置101では、モーションキャプチャ照明装置51の場合と同様に、変調回路62を介して重畳する準静電界発生用信号S62の周波数として動き検出範囲(当該表示装置101からの距離)に対応する周波数、かつ、圧電トランス112によって昇圧された駆動用高電圧の周波数(一般に、およそ100 [kHz]である)よりも低い周波数が選定されている。
これによりモーションキャプチャ表示装置101は、印加電極CRaを中心とした動き検出範囲内において、放射電界及び誘導電磁界の強度よりも優位な強度の準静電界を発生することができるようになされている。
一方、各受信部111は、動き検出範囲の電位を、受信電極102、103、104、105に対応するアンプ111A、111B、111C、111D及びADC111E、111F、111G、111Hを順次介して電位データD111a、D111b、D111c、D111dとして制御部110に送出する。
制御部110は、各受信部111からそれぞれ与えられる電位データD111a〜D111dに基づいて、動き検出目的範囲内に存在する人体における腕の所定の動きに対応する電位変化のパターンを検出し、当該検出結果に予め対応付けられた制御対象を制御する制御処理を実行するようになされている。
具体的に電位変化パターンとしては、図23に示すように、腕を液晶表示パネルPNの右上に近づけたときには、当該右上の受信電極102(図21)に対応する電位データD111a(図22)の電位は最も低くなる(図23(A)における〔1〕)。そしてかかる状態時の腕を直下していった場合、当該腕が受信電極103(図21)に近くなるほど、これに応じて受信電極102に対応する電位データD111aの電位は低くなっていくとともに、当該受信電極103に対応する電位データD111b(図22)の電位は高くなっていく(図23(A)における〔2〕)。また腕を液晶表示パネルPNの右下で静止しているときには、当該右下の受信電極103に対応する電位データD111b(図22)の電位は低い状態で維持する(図23(A)における〔3〕)。
従って、制御部110には、腕を液晶表示パネルPNの右上に近づけてから右下に直下している際の動作に対応する電位変化パターン(図23(B)におけるt1〜t2)を音量ダウンの動作検出用として設定しておくとともに、引き続き右下で腕を静止している動作に対応する時間(図23(B)におけるt2〜t3)だけ音声増幅部(図示せず)の増幅度を小さくするように設定しておくようにする。
同様にして、制御部110には、図24(A)に示すように、腕を液晶表示パネルPNの右下に近づけたときから右上に直上している際の動作に対応する電位変化パターン(図24(A)におけるt1〜t2)を音量アップの動作検出用として設定しておくとともに、引き続き右上で腕を静止している動作に対応する時間(図24(A)におけるt2〜t3)だけ音声増幅部(図示せず)の増幅度を大きくするように設定しておくようにする。
また同様にして、図24(B)に示すように、腕を液晶表示パネルPNの左下に近づけて略平行に右下に移動している際の動作に対応する電位変化パターン(図24(B)におけるt1〜t2)をチャンネル(テレビ番組)変更の動作検出用として設定しておくとともに、引き続き右下で腕を静止している動作に対応する時間(図24(B)におけるt2〜t3)だけチャンネル切替部(図示せず)のチャンネルを順次変更するように設定しておくようにする。
また同様にして、図24(C)に示すように、腕を液晶表示パネルPNの右下から右上、左上、左下を経由して回転させる動作に対応する電位変化パターンを電源オンオフ検出用として予め設定しておき、このときドライブ回路61Aが動作していなかった場合には当該動作を開始し、これに対して動作していた場合には当該動作を停止するように設定しておくようにする。
この場合、制御部110は、受信部111からそれぞれ与えられる電位データD111a〜D111dの電位を測定し(図25:ステップSP31)、当該測定結果が予め設定された電位変化パターン(図23及び図24)と一致するか否かを判定し(図25:ステップSP32)、当該一致する肯定結果が得られるまで電位データD111a〜D111dの電位を測定し続ける。
そして制御部110は、肯定結果が得られた場合、このとき判定した電位変化パターンに対応付けられた制御処理(以下、これを対応制御処理と呼ぶ)を実行し(図25:サブルーチンSRT2)、その後再び電位データD111a〜D111dの電位の測定を開始するようになされている。
実際上、制御部110は、図23(B)に示した電位変化パターンを得た場合(腕を液晶表示パネルPNの右上に近づけてから右下に直下した場合)には、対応制御処理として音量逓減処理を実行するようになされており(図26)、当該電位変化パターンを得た時点(図23(B)では時刻t2)での電位データD111bの電位(受信電極103(図21)を介して得られる電位)が、液晶表示パネルPNの右下で腕を静止している状態にあるとみなし得る程度の電位変化範囲内であるか否かを判定し(図26:ステップSP41)、当該範囲内にない否定結果が得られるまで音声増幅部(図示せず)の増幅度を順次小さくするようになされている(図26:ステップSP42)。
また制御部110は、図24(A)に示した電位変化パターンを得た場合(腕を液晶表示パネルPNの右下に近づけてから右上に直上した場合)には、対応制御処理として音量逓増処理を実行するようになされており(図27)、当該電位変化パターンを得た時点(図24(A)では時刻t2)での電位データD111aの電位(受信電極102(図21)を介して得られる電位)が、液晶表示パネルPNの右上で腕を静止している状態にあるとみなし得る程度の電位変化範囲内であるか否かを判定し(図27:ステップSP51)、当該範囲内にない否定結果が得られるまで音声増幅部(図示せず)の増幅度を順次大きくするようになされている(図27:ステップSP52)。
また制御部110は、図24(B)に示した電位変化パターンを得た場合(腕を液晶表示パネルPNの左下に近づけて略平行に右下に移動した場合)には、対応制御処理としてチャンネル変更処理を実行するようになされており(図28)、当該電位変化パターンを得た時点(図24(B)では時刻t2)での電位データD111bの電位(受信電極103(図21)を介して得られる電位)が、液晶表示パネルPNの右下で腕を静止している状態にあるとみなし得る程度の電位変化範囲内であるか否かを判定し(図28:ステップSP61)、当該範囲内にない否定結果が得られるまでチャンネル切替部(図示せず)のチャンネルを1チャンネル分だけ順次繰り上げるようにして変更するようになされている(図28:ステップSP62)。
また制御部110は、図24(C)に示した電位変化パターンを得た場合(腕を液晶表示パネルPNの右下から右上、左上、左下を経由して回転させた場合)には、対応制御処理としてドライブ回路切替処理を実行するようになされており、当該電位変化パターンを得た時点でドライブ回路61A(図22)が動作していなかった場合には、当該ドライブ回路61A(図22)の動作を開始することにより、液晶表示パネルPNを点灯させるとともに冷陰極管CR(図22)を中心として周囲等方に準静電界を発生させる。
これに対して制御部110は、図24(C)に示した電位変化パターンを得た時点でドライブ回路61A(図22)が動作していた場合には、当該当該ドライブ回路61A(図22)の動作を停止することにより、液晶表示パネルPNを消灯させるとともに準静電界の発生を停止させるようになされている。
このようにして制御部110は、予め設定されている電位変化パターンに、各受信部111からそれぞれ与えられる電位データD111a〜D111dの電位変化パターンが一致した場合には、当該電位変化パターンに対応付けられた制御対象(音声増幅部、チャンネル切替部又はドライブ回路61A)を制御することができるようになされている。
(4−3)第3の実施の形態の動作及び効果
以上の構成において、モーションキャプチャ表示装置101は、放射電界及び誘導電磁界に比して優位な強度の準静電界を発生し、当該準静電界内の所定位置に設けられた4つの受信電極102、103、104、105から検出される電位を測定する。
そしてモーションキャプチャ表示装置101は、これら受信電極102、103、104、105それぞれの位置での電位変化が予め設定された電位変化パターン(図23(B)、図24(A)、(B)におけるt1〜t2及び図25)であった場合に、対応付けられた動作が行われたことを検出し、この検出結果に基づいて対応する制御対象を制御する。
従って、このモーションキャプチャ表示装置101では、ユーザの腕の動作を、あたかもリモートコントローラからの操作入力として対応する処理を実行することができるため、当該リモートコントローラを要しない分だけユーザの煩雑さを簡易化することができる。
この場合、このモーションキャプチャ表示装置101では、上述の第2の実施の形態の場合と同様に、距離に対して高い分解能を有する準静電界を用いている分、従来方式に比して過大な設備を要することなく精度よく動きを検出することができる。これに加えて、冷陰極線管CRの発光用の駆動高電圧を準静電界の発生用として共用することにより、上述の第1の実施の形態のように準静電界発生装置2(図5)自体の物理的な構成を回避して小型化を図るとともに利用空間の増大を図ることができる。
以上の構成によれば、放射電界及び誘導電磁界に比して優位な強度の準静電界を発生し、当該準静電界内における受信電極102、103、104、105それぞれの位置での電位変化に基づいて動作対象の所定の動きを検出し、当該検出した動きに対応付けられた処理を実行するようにしたことにより、上述の第2の実施の形態の同様の効果を得ることができるとともに、ユーザの腕の動作を、あたかもリモートコントローラからの操作入力として対応する処理を実行することができるため、当該リモートコントローラを要しない分だけユーザの煩雑さを簡易化することができる。
(5)他の実施の形態
なお上述の第2の実施の形態においては、冷陰極線管CRを用いたインバータ式照明装置から準静電界を発生するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、熱陰極線管を用いたインバータ式照明装置から準静電界を発生するようにしても良い。この場合、上述の第2の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
また上述の第2及び第3の実施の形態においては、放射電界及び誘導電磁界に比して優位な強度の準静電界を発生する準静電界発生手段として、照明部61に変調回路62を組み込むことにより照明機能と共用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば上述の第1の実施の形態における準静電界発生装置2を、照明傘53(図19)又は液晶表示パネルPN(図21)の近傍に別途独自に設けるようにしても良い。
またこの場合、かかる準静電界の発生範囲(第2の実施の形態では照明範囲に相当し、第3の実施の形態では動き検出範囲に相当する)を固定にしたが、本発明はこれに限らず、可変にするようにしても良い。この場合、使用状況等に対応させて適応的に発生範囲を変更して動作対象の動きを検出することができる。
また上述の第2及び第3の実施の形態においては、準静電界内における少なくとも2以上の位置での電位変化に基づいて、準静電界内における動作対象の所定の動きを検出し、当該検出した動きに対応付けられた処理を実行する制御手段として、当該各位置での電位変化の組み合わせによって得られるパターンを、準静電界内における動作対象の所定の動きとして検出し、当該検出した動きに対応付けられた処理を実行するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該各位置での個々の電位変化によって得られるパターンを、準静電界内における動作対象の所定の動きとして検出し、当該検出した動きに対応付けられた処理を実行するようにしても良い。
さらに上述の第2及び第3の実施の形態においては、モーションキャプチャ照明装置51及びモーションキャプチャ表示装置101に本発明を適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばパーソナルコンピュータ等、この他種々の電子機器に本発明を適用することができる。
この場合、動きに対応付けられた処理としては、上述の第2及び第3の実施の形態では、照明のオンオフ及び表示装置に関する内容であったが、適用する電子機器の処理内容に応じて適宜変更することができる。