JP5387248B2 - 半導体酸化物薄膜 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体酸化物薄膜に関する。
液晶表示装置や薄膜エレクトロルミネッセンスおよび有機EL表示装置等において、薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)のチャンネル層や透明電極用の透明薄膜として、従来、主として、アモルファスシリコン膜が使用されてきた。
しかし、近年、この透明薄膜として、In−Ga−Zn系複合酸化物(IGZO)を主成分とする非晶質(アモルファス)半導体膜(IGZO膜)が、アモルファスシリコン膜よりもキャリアの移動度が大きいという利点から注目されている(たとえば、特許文献1)。
特開2008−199005号公報
上記特許文献1に開示のIGZO膜などの半導体酸化物において、ターゲット表面に発生するノジュールを抑制するとともに、半導体酸化物の特性を向上することが望まれている。
したがって、本発明は、ノジュールの発生を抑制し、かつ特性を向上する半導体酸化物薄膜を提供することである。
本発明の半導体酸化物薄膜は、非結晶質の半導体酸化物であって、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)、酸素(O)および窒素(N)を含み、Nの濃度は、1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下であり、Inの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比が0.30以上0.66以下であり、スパッタリング法により製造される
本発明者は、ターゲット表面に発生するノジュールを抑制するために鋭意研究した結果、上記比が0.3以上となるようにInの濃度を高くすることでノジュールの発生を抑制できることを見い出した。しかし、Inの濃度が高くなると、ノジュールの抑制には効果があるが、キャリア濃度が高くなり、所望のオンオフ比を達成できない場合がある。そこで、本発明者はInによるキャリア濃度の増加を抑制するために鋭意研究した結果、Nでキャリア電子をトラップすることで、Inによるキャリア濃度の増加をさらに抑制できることもさらに見い出した。上記比を0.66以下とすることによりInのキャリア濃度が高くなりすぎず、かつNの濃度を1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下とすることにより、Nでキャリア電子をトラップすることでInによるキャリア濃度の増加を抑制できる。したがって、オンオフ比などの特性を向上することができる。以上より、ノジュールの発生を抑制し、かつ特性を向上する半導体酸化物薄膜を実現することができる。
以上説明したように、本発明の半導体酸化物薄膜によれば、ノジュールの発生を抑制でき、かつ特性を向上することができる。
以下、発明の実施の形態について詳細に説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態における半導体酸化物は、In、Ga、Zn、OおよびNを含む。半導体酸化物は、In、Ga、Zn、OおよびNを主成分とし、残部が不可避的不純物であることが好ましい。
半導体酸化物において、Inの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比(Inの濃度/(Inの濃度+Gaの濃度+Znの濃度))が0.30以上0.66以下であることが好ましく、0.36以上0.55以下であることがより好ましい。比が0.30以上の場合、ノジュールを抑制できる。比が0.36以上の場合、ノジュールをより抑制できる。比が0.66以下の場合、キャリア濃度が高くなりすぎないので、TFTなどに用いる場合には、オンオフ比を向上できる。つまり、ゲート電圧が低くてもオフにすることができるのでTFTに好適に用いることができる。比が0.55以下の場合、オンオフ比をより向上できる。
ここで、上記Inの濃度、Gaの濃度、およびZnの濃度は、RBS(ラザフォード後方散乱分光法)により測定される値(単位:atom%)である。上記比は、測定されたそれぞれの濃度の値から算出される値である。
半導体酸化物のN濃度は、1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下である。1×1020atom/cc以上の場合、キャリア電子をトラップできるのでInによるキャリア濃度が高くなりすぎることを抑制できる。また、本発明者は、Nを含むことによりノジュールをさらに抑制でき、特にN濃度が1×1020atom/cc以上であれば、効果的にノジュールを抑制できることも見い出した。このため、Inによるキャリア濃度が高くなりすぎることを抑制するとともに、Nによりノジュール発生をさらに抑制できる。キャリア濃度が高くなりすぎることを抑制できると、オンオフ比などの低下を抑制できるので、TFTとしての特性の劣化を抑制することができる。一方、Nの濃度が1×1022atom/cc以下の場合、ノジュールを抑制できるとともに、Nによるキャリア電子をトラップしすぎることを抑制できるので、キャリア濃度が低くなりすぎること、または絶縁になることを抑制できる。キャリア濃度が低くなりすぎること、および絶縁になることを抑制できると、電子移動度などの低下を抑制できるので、TFTとしての特性の劣化を抑制することができる。
ここで、上記Nの濃度は、SIMSで測定される値であり、単位体積当たりの原子の数を意味する。
また、半導体酸化物は非結晶質である。さらに上記特性を有しているので、半導体酸化物は、TFTのチャンネル層や、透明電極用の透明薄膜などに用いることが好ましい。
続いて、本実施の形態における半導体酸化物の製造方法について説明する。本実施の形態では、結晶質の半導体酸化物であって、In、Ga、Zn、OおよびNを含み、たとえば1×1020atom/cc以上1×1023atom/ccの濃度のNを有し、かつInの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比がたとえば0.28以上0.60以下であるターゲットを用いたスパッタリング法により半導体酸化物を製造している。
まず、上記ターゲットを準備する。準備するターゲットのNの濃度は、たとえば1×1020atom/cc以上1×1023atom/ccであり、好ましくは3×1020atom/cc以上8×1022atom/cc以下である。また、準備するターゲットのInの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比は、たとえば0.20以上0.65以下であり、好ましくは0.28以上0.60以下である。このようなターゲットは、たとえば以下のようにして製造することにより得られる。
具体的には、始めにターゲットの原料を準備する。原料粉末には酸化インジウム(In23)、酸化ガリウム(Ga23)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ガリウム(GaN)、窒化インジウム(InN)などを用いることができる。原料粉末の純度は、99.99%以上の高純度であることが好ましい。
次に、原料粉末を混合する。原料粉末の混合には乾式、湿式の何れの混合方式を用いてもよい。具体的には、通常のボールミルや遊星ボールミルを用いて混合される。また、湿式の混合方式により混合を行なった場合の乾燥には自然乾燥やスプレードライヤ等の乾燥方怯が好ましく用いられる。
次に、混合した原料粉末を焼成(仮焼)する。焼成温度は、原料粉末にGaNまたはInNを含んでいる場合には、たとえば500℃以上700℃以下であり、GaNまたはInNを含んでいない場合にはたとえば1000℃以上1200℃以下である。
次に、焼成した仮焼粉体を焼結する。焼結の雰囲気については、大気雰囲気、窒素を含む雰囲気、アンモニア(NH3)および/またはアルゴン(Ar)を含む雰囲気などが好ましく用いられる。焼結温度は、たとえば1500℃以上1700℃以下である。また、焼結時のZnOの蒸発を抑制するため加圧ガス中の焼結、ホットプレス焼結、HIP(熱間静水圧処理)焼結、CIP(冷間静水圧処理)焼結などを用いてもよい。なお、過剰な酸素(O)を含む雰囲気中で焼結するとターゲットに充分な導電性が得られない恐れがある。
以上の工程を実施することにより、上述したようなN濃度およびInの比を有する導電性酸化物であるターゲットを製造することができる。このようなターゲットの製造方法においてNを導入する方法としては、原料粉末のGaN量を増加すること、焼結雰囲気圧力を増加すること、雰囲気ガスにN2、または、NH3および/またはArの雰囲気とすることなどが挙げられる。特に、半導体酸化物の窒素量を多く導入して製造する場合、NH3およびAr雰囲気ガスにすることが有効である。
次に、成膜を行なう。成膜工程では、準備したターゲットを用いて、たとえばスパッタリング法により半導体酸化物を形成する。具体的には、まず、冷却材を有する基板ホルダーに基板を配置する。この基板に対向するように準備したターゲットを配置する。
その後、真空引きをして、プレスパッタを行なう。プレスパッタは、基板とターゲットとの間にシャッターを入れた状態で、スパッタリング放電を起こし、ターゲット表面のクリーニングを行なう。
次に、たとえば0.1Pa以上10Pa以下の圧力まで、Arガスおよび/またはN2ガスを導入する。この状態でスパッタリングを行ない、基板上に半導体酸化物を形成する。
以上の工程を実施することにより、本実施の形態における半導体酸化物を製造することができる。
以上説明したように、本実施の形態における半導体酸化物は、非結晶質の半導体酸化物であって、In、Ga、Zn、OおよびNを含み、Nの濃度は、1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下であり、Inの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比が0.30以上0.66以下であることを特徴とする。
本発明者は、ターゲット表面に発生するノジュールを抑制するために鋭意研究した結果、上記比が0.30以上となるようにInの濃度を高くすることでノジュールの発生を抑制できることを見い出した。ノジュールは異常放電の原因となり、異常放電が発生すると、半導体酸化物内に粗大粒子が混入してしまい、電子移動度が悪化してしまう。また、ターゲットを用いたDCスパッタで半導体酸化物が成膜される場合には、成膜中において電気が流れにくく、半導体酸化物をそもそも実現することができない。しかし、本実施の形態の半導体酸化物は、Inを上記比になるように高濃度含んでいるので、ノジュールを抑制することができる。このため、異常放電を抑制できるので、電子移動度を向上できるなど、半導体酸化物の特性を向上することができる。
Inの濃度が高くなると、ノジュールの抑制には効果があるが、キャリア濃度が高くなり、所望のオンオフ比を達成できない場合がある。そこで、本発明者はInによるキャリア濃度の増加を抑制するために鋭意研究した結果、Nでキャリア電子をトラップすることで、Inによるキャリア濃度の増加をさらに抑制できることもさらに見い出した。上記比を0.66以下とすることによりInのキャリア濃度が高くなりすぎず、かつNの濃度を1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下とすることにより、Nでキャリア電子をトラップすることでInによるキャリア濃度の増加を抑制できる。したがって、オンオフ比などの特性を向上することができる。さらに、Nの濃度を1×1022atom/cc以下とすることにより、キャリア濃度が低くなりすぎることを抑制でき、半導体を維持できる。以上より、ノジュールの発生を抑制し、かつ特性を向上する半導体酸化物を実現することができる。
(実施の形態2)
本実施の形態における半導体酸化物は、実施の形態1の半導体酸化物と同様であるので、その説明は繰り返さない。
本実施の形態における半導体酸化物の製造方法は、基本的には実施の形態1における半導体酸化物の製造方法と同様の構成を備えているが、Nを含まないターゲットを用い、半導体酸化物の形成時(成膜時)に所定圧力の窒素ガスを導入した点において異なる。
具体的には、ターゲットを準備する工程では、たとえば、Nを含まない原料粉末を準備し、雰囲気ガスにNを取り込みにくいガス(たとえば大気など酸素を含むガス)を用いる。
半導体酸化物の形成(成膜)工程については、プレスパッタ工程まで、実施の形態1と同様である。それ以降の工程について、以下に説明する。プレスパッタ後に、Nを含むガスを導入する。このガスは、N2のみでもよく、Arなどをさらに含んでいてもよい。N2とArとを含んでいる場合には、窒素量(つまり、N2流量/(Ar流量+N2流量))はたとえば5%以上15%以下とし、圧力を0.05Pa以上10Pa以下、好ましくは0.08Pa以上8Pa以下にする。このような条件で、所定の厚みになるように、半導体酸化物を成膜する。
以上の工程を実施することにより、本実施の形態における半導体酸化物を製造することができる。本実施の形態における半導体酸化物の製造方法においてNを導入する方法としては、成膜圧力を変化させることで調整できる。特に、半導体酸化物が窒素量を多く含有する場合には、成膜圧力をたとえば3Pa以上に高くすることが有効である。
なお、本実施の形態では、Nを含まないターゲットを用いて製造する方法を説明したが、Nを含むターゲットを用いて製造してもよい。
また、実施の形態1および2における半導体酸化物の製造方法では、ターゲットを製造することを説明したが、入手可能なターゲットを用いて、成膜工程において成膜条件を調整することにより半導体酸化物を製造してもよい。
また、実施の形態1および2では、半導体酸化物をスパッタリング法により製造したが、特にこれに限定されず、他の方法で製造してもよい。
本実施例では、半導体酸化物としてのIGZO膜を種々作製し、IZGO膜の特性を調べた。
(実施例1)
1.材料粉末の粉砕混合
In23(純度99.99%、BET比表面積5m2/g)、Ga23(純度99.99%、BET比表面積11m2/g)、およびZnO(純度99.99%、BET比表面積4m2/g)の各粉末を、ボールミル装置を用いて3時間粉砕混合した。なお、分散媒には水を用いた。粉砕混合後スプレードライヤで乾燥した。
2.焼成(仮焼)
次に、得られた混合粉末をアルミナ製ルツボに入れ、大気雰囲気中、1100℃で5時間仮焼を行ない、仮焼粉体を得た。
3.成形および焼結
次に、得られた仮焼粉体をCIPにより加圧成形し、直径100mm、厚さ約9mmの円板状の成形体を得た。得られた成形体を1気圧のN2雰囲気中、1550℃で12時間焼結して焼結体を得た。得られた焼結体は、直径が80mmに収縮(厚さは約7mm)していた。
4.ターゲットの作製
次に、得られた焼結体を直径76.2mm、厚さ5.0mmに加工して実施例1のターゲットとした。
5.IGZO膜の成膜
次に、実施例1のターゲットを用いて、以下のように膜を形成した。成膜は、DCマグネトロンスパッタ法を用いた。スパッタ電源はDCを用いた。ターゲットサイズは、直径76.2mm、厚み5mmであり、直径3インチの平面がスパッタ面であった。
まず、水冷してある基板ホルダーに25mm×25mm×0.6mmの合成石英ガラスをセットした。実施例1のターゲットを、基板に対向する形でセットした。基板とターゲットとの距離は、40mmであった。セット完了後、1×10-4Pa程度まで真空引きを行なった。次に、ターゲットのプレスパッタを行なった。基板とターゲットとの間にシャッターを入れた状態で、Arガスを1Paまで導入し、30Wの直流電力を印加することで、スパッタリング放電を起こし、10分間ターゲット表面のクリーニング(プレスパッタ)を行なった。
次に、スパッタ圧力として0.4PaまでArガスを導入した。スパッタ電力を50Wとし、IGZOの膜厚が200nmになるまで成膜を続けた。基板ホルダーには、特にバイアス電圧は印加しておらず、水冷されているのみであった。このようにして、実施例1のIGZO膜を製造した。
(実施例2)
実施例2のIGZO膜は、基本的には実施例1のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、ターゲットの焼結については、得られた成形体を2気圧のNH3およびAr雰囲気中で焼結した。
(実施例3)
実施例3のIGZO膜は、基本的には実施例1のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。
(実施例4)
実施例4のIGZO膜は、基本的には実施例1のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、ターゲットの焼結については、得られた成形体を2気圧の雰囲気中で焼結した。
(実施例5)
実施例5のIGZO膜は、基本的には実施例1のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットおよびIGZO膜の成膜について異なっていた。具体的には、以下の通りである。
実施例5のターゲットは、基本的には実施例1と同様に製造したが、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した点、および成形体を1気圧の大気中で焼結した点において異なっていた。実施例5のターゲットの製造において、Nを含む材料粉末を用いず、かつ焼結時にNを取り込めるガスを供給しなかったので、実施例5のターゲットにはNが含まれていなかった。
実施例5の成膜方法は、プレスパッタ工程まで、実施例1と同様であった。それ以降の工程について、以下に説明する。プレスパッタ後に、N2およびArを導入した。窒素量(=N2流量/(Ar流量+N2流量))は10%とし、圧力を0.08Paにした。その後、スパッタ電力を50WとしてIGZO膜の膜厚が200nmになるまで成膜を続けた。基板ホルダーは、特にバイアス電圧は印加しておらず、水冷されているのみであった。
(実施例6)
実施例6のIGZO膜は、基本的には実施例5のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットおよびIGZO膜の成膜について異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、成膜については、スパッタ圧力を0.4Paとした。
(実施例7)
実施例7のIGZO膜は、基本的には実施例5のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットおよびIGZO膜の成膜について異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、成膜については、スパッタ圧力を3Paとした。
(実施例8)
実施例8のIGZO膜は、基本的には実施例5のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットおよびIGZO膜の成膜について異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、成膜については、スパッタ圧力を8Paとした。
(比較例1)
比較例1のIGZO膜は、基本的には実施例1と同様に製造したが、成形体を1気圧の大気中で焼結したターゲットを用いた点において異なっていた。比較例1では、Nを含まないターゲットを用いて、Nを取り込むことのできない雰囲気でIGZO膜を形成したので、比較例1のIGZO膜にはNは含まれていなかった。
(比較例2)
比較例2のIGZO膜は、基本的には実施例1と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。具体的には、以下の通りである。
1.材料粉末の粉砕混合
In23(純度99.99%、BET比表面積5m2/g)、Ga23(純度99.99%、BET比表面積11m2/g)、ZnO(純度99.99%、BET比表面積4m2/g)、およびGaN(純度99.99%、BET比表面積2m2/g)の各粉末を、ボールミル装置を用いて3時間粉砕混合した。なお、分散媒には水を用いた。粉砕混合後スプレードライヤで乾燥した。
2.焼成(仮焼)
次に、得られた混合粉末をアルミナ製ルツボに入れ、大気雰囲気中、600℃で5時間仮焼を行ない、仮焼粉体を得た。
3.成形および焼結
次に、得られた仮焼粉体を一軸加圧成形により加圧成形し、直径100mm、厚さ約9mmの円板状の成形体を得た。得られた成形体を1気圧のAr雰囲気中、1550℃で12時間焼結して焼結体を得た。得られた焼結体は、直径が80mmに収縮(厚さは約7mm)していた。
4.ターゲットの作製
次に、得られた焼結体を直径76.2mm、厚さ5.0mmに加工して比較例2のターゲットとした。
(比較例3)
比較例3のIGZO膜は、基本的には比較例2と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、InNをさらに混合するために、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、焼結については、得られた成形体を6気圧のN2雰囲気中で焼結した。
(比較例4)
比較例4のIGZO膜は、基本的には比較例2と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、焼結については、得られた成形体を1気圧のN2雰囲気中で焼結した。
(比較例5)
比較例5のIGZO膜は、基本的には比較例2のIGZO膜と同様に製造したが、準備したターゲットにおいて異なっていた。ターゲットの材料粉末については、準備した材料粉末のモル比を変更して、ターゲットの組成が下記の表1の記載になるように各材料粉末を準備した。また、焼結については、得られた成形体を1気圧のNH3およびAr雰囲気中で焼結した。
(測定方法)
実施例1〜8および比較例1〜5のターゲットの焼結体およびIGZO膜について、X線回折測定、以下の条件でのRBSによるIn、Ga、およびZnの組成分析、およびSIMSによるNの定量測定を実施した。その結果を下記の表1に示す。
RBSの条件は、MCA分解能2.4kev/ch、エネルギー分解能23keV、入射イオン4He++、入射エネルギー2.3MeV、入射角度0°、試料電流2nA、入射ビーム径2mm、試料回転0°、照射量60μ/C、チャンバー真空炉6.7×10-5、検出器の散乱角160deg、アパチャ径8mmで測定した。SIMSは、ZnOにNをイオン注入した標準片を用いてNを定量した。
また、実施例1〜8および比較例1〜5のIGZO膜について、ノジュール数を以下の方法により測定した。60時間の成膜後、実施例1〜8および比較例1〜5のターゲット表面を5倍のルーペを使って目視にて観察した。そして、5cm×5cm範囲のノジュール量を計測し、単位面積あたりの個数を換算した。その結果を下記の表1に示す。
また、実施例1〜8および比較例1〜5のIGZO膜のキャリア濃度および電子移動度をHall効果測定機を用いてヴァンデルパウ法により測定した。温度は室温下、磁場強度は0.5T、印加電圧は20mVとした。その結果を表1に示す。
Figure 0005387248
なお、上記表1におけるターゲットの原料とは、In23、Ga23、およびZnO以外に追加した原料を記載している。つまり、実施例1〜8および比較例1〜5のターゲットの原料は、In23、Ga23、およびZnOを含んでいた。
(測定結果)
X線回折測定の結果、実施例1〜8および比較例1〜5のIGZO膜は、非結晶質であることがわかった。このため、TFTのチャンネル層や、透明電極用の透明薄膜などに用いることができることがわかった。また、実施例1〜8および比較例1〜5のターゲットの焼結体は、結晶質であることがわかった。
表1に示すように、実施例1〜8のIGZO膜において、ノジュール発生量は4個/cm2以下であり、ノジュール発生量を低減できるとともに、キャリア濃度は7×1015個/cm2以上8×1018個/cm2以下であった。このため、絶縁性にならず、かつ電子移動度を向上できた。
一方、In濃度が低く、かつNを含まなかった比較例1は、ノジュール発生量が多く、電子移動度が低かった。
N濃度が1×1020atom/cc未満の比較例2は、ノジュール発生量を抑制できたものの、Nによるキャリア電子のトラップが少なかったため、キャリア濃度が高くなりすぎた。本発明者はキャリア濃度が8×1019atom/cm2以上の場合、オンオフ比が低下するという知見を得ている。このため、比較例2では、IGZO膜の特性が劣化する。
N濃度が1×1022atom/ccを超えた比較例3は、ノジュール発生量を抑制できたものの、Nによるキャリア電子のトラップが多すぎたため、キャリア濃度が極めて低く、電子移動度も極めて低く、絶縁体と判断した。
In濃度が低い(比が0.30未満の)比較例4は、ノジュール発生量が多く、キャリア濃度が低かった。このため、電子移動度が低かった。
In濃度が高い(比が0.66を超えた)比較例5は、ノジュール発生量を抑制できたものの、Nによるキャリアのトラップが不足して、キャリア濃度が高くなった。このため、比較例2と同様、比較例5のIGZO膜の特性は劣化する。
以上より、本実施例によれば、Nの濃度が1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下であり、Inの濃度とGaの濃度とZnの濃度との合計の濃度に対するInの濃度の比が0.30以上0.66以下であることにより、半導体酸化物のノジュールを効果的に低減でき、かつ特性を向上することが確認できた。
以上のように本発明の実施の形態および実施例について説明を行なったが、各実施の形態および実施例の特徴を適宜組み合わせることも当初から予定している。また、今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した実施の形態ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

Claims (1)

  1. 非結晶質の半導体酸化物であって、
    インジウム、ガリウム、亜鉛、酸素および窒素を含み、
    前記窒素の濃度は、1×1020atom/cc以上1×1022atom/cc以下であり、
    前記インジウムの濃度と前記ガリウムの濃度と前記亜鉛の濃度との合計の濃度に対する前記インジウムの濃度の比が0.30以上0.66以下であり、
    スパッタリング法により製造される、半導体酸化物薄膜
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