JP5386848B2 - 圧電磁器 - Google Patents

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Description

本発明は、圧電磁器に関する。
電界を加えると機械的な歪み及び応力を発生する、いわゆる圧電現象を示す圧電磁器が知られている。このような圧電磁器は、アクチュエータや圧電ブザー、発音体、センサなどの各種圧電素子に用いられている。
圧電磁器を利用したアクチュエータは、微量な変位を高精度に得ることができると共に、発生応力が大きい等の特徴を有しており、例えば、精密工作機械や光学装置の位置決めに用いられている。アクチュエータに用いられる圧電磁器としては、優れた圧電性を有するチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が最も多く利用されている。しかし、チタン酸ジルコン酸鉛は鉛を多く含んでいるので、最近では、酸性雨による鉛の溶出など地球環境に及ぼす影響が懸念されている。そこで、チタン酸ジルコン酸鉛に代わる、鉛の量が十分に低減された圧電磁器の材料が求められている。かかる要求に応じて、鉛を含有しない様々な圧電磁器の材料が提案されている。
鉛を含有しない圧電磁器の材料としては、チタン酸バリウム(BaTiO)が知られている。また、このチタン酸バリウムの圧電特性を改善するために、複数のペロブスカイト型化合物を含有させた2成分系や3成分系の材料が提案されている。
例えば、特許文献1及び2では、NaおよびKを含む第1の元素と、NbおよびTaからなる群のうちの少なくともNbを含む第2の元素と、酸素(O)とからなるペロブスカイト型酸化物と、アルカリ土類金属元素を含む第3の元素と、チタン(Ti)を含む第4の元素と、酸素とからなるペロブスカイト型酸化物と、タングステンブロンズ型酸化物とを含有する圧電材料が提案されている。この圧電材料は、比較的大きな変位量を示すものである。
特開2005−179143号公報 特開2005−179144号公報
しかしながら、特許文献1及び2記載の圧電磁器は、従来のチタン酸バリウムやニオブ酸ナトリウムカリウムリチウムの比べて大きな変位量を示すものの、この圧電磁器を構成する焼結体は抵抗がそれ程高くなく、分極電圧を十分に大きくすることができない。このため、チタン酸ジルコン酸鉛に比較して圧電特性が未だ低く、更なる改善が求められている。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、鉛の含有量が十分に低減されるとともに、圧電特性に十分優れた圧電磁器及び当該圧電磁器を備える圧電素子を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明者らは、大きな発生変位量を得ることが可能な組成や微細構造について種々検討を行った。通常、焼結体を十分に分極させるためには、焼結体の結晶粒を大きくすることが必要である。しかしながら、従来は、結晶粒を大きくするために焼成温度を上げると、誘電損失(tanδ)が増大してしまうという問題があった。ところが、本発明者らは、焼結体の焼成雰囲気を特定の条件とすることによって、焼結温度を高くしても、誘電損失(tanδ)の増大を抑制できることを見出した。
すなわち、本発明は、下記一般式(1)で表される主成分と、Cr,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含む副成分とを含有し、副成分をそれぞれCr,Fe,CoO,CuO及びNiOに換算したときに、主成分に対する副成分の含有量が0.05〜1.0質量%である焼結体を備えており、焼結体は、酸素分圧が0.1atm以下の雰囲気中で焼成されたものであり、焼結体の結晶粒の平均粒径が0.9μm以上である圧電磁器を提供する。
a(NaLi)[Nb(1−α)Taα]O−bBa[Nb(1−α)Taα−cABO・・・・(1)
式(1)中、a,b,c,x,y,z,αは、それぞれ、
a+b+c=1、
0≦b≦0.01、
0≦c≦0.1、
0.35≦x≦0.65、
0.35≦y≦0.55、
0≦z≦0.1、及び
0≦α≦0.2を満足する数値であり、
ABOは、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である。
本発明の圧電磁器は、構成元素として鉛を有しない複合酸化物からなる組成物を主成分として含有するため、鉛の含有量が十分に低減されており、環境性に十分に優れている。また、本発明の圧電磁器は、結晶粒の平均粒径が十分に大きいため、優れた圧電特性を有している。本発明者らは、このような効果が得られる理由を以下の通り推察している。すなわち、本発明の圧電磁器に備えられる焼結体は、酸素分圧が低減された雰囲気中で焼成して得られたものであるため、tanδの増大を十分に抑制することができる。このようにtanδの増大を抑制できるようになった理由の一つとして、酸素分圧が低減された雰囲気中で焼成することによって、圧電磁器に含まれる副成分の構成元素である遷移金属の価数のばらつきを抑制することが可能になったためであると推察している。したがって、焼成温度を従来よりも高くして、焼結体の粒径を大きくすることが可能となり、電気抵抗を十分に大きくして十分に分極させることが可能となった。
通常、複合酸化物を主成分とする圧電磁器用の材料は、複合酸化物を構成する酸素イオンや金属イオンの飛散を防止するために、酸素分圧を空気よりも下げて焼成することは行われていなかった。このため、むしろ酸素分圧が高い雰囲気で焼成することが好ましいと考えられていた。ところが、本発明では、上記一般式(1)で表わされる主成分と特定の副成分とを所定の比率で含有する特定の組成とすることにより、酸素分圧を空気より低くして焼成しても、複合酸化物の結晶構造は損なわれずに、圧電特性を大幅に向上させることが可能となった。
本発明では、焼結体が、1150〜1300℃で焼成されたものである。これによって、焼結が十分に進行し、圧電特性を一層向上することができる。
本発明は、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有するペロブスカイト型酸化物と、ナトリウム化合物、カリウム化合物、ニオブ化合物及びバリウム化合物からなる必須成分、並びにリチウム化合物及び/又はタンタル化合物からなる任意成分を含む原料組成物と、構成元素としてCr,Fe,Co,CuまたはNiを有する少なくとも一種の化合物を含有する添加物と、を混合して混合物を調製する混合工程と、混合物を750〜1100℃で仮焼した後、成形し、酸素分圧が0.1atm以下の雰囲気中で焼成して、下記一般式(1)で表される主成分とCr,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含む副成分とを含有し、副成分をそれぞれCr,Fe,CoO,CuO及びNiOに換算したときに、主成分に対する副成分の含有量が0.05〜1.0質量%である焼結体を得る焼成工程と、焼結体に分極処理を施して圧電磁器を得る分極処理工程と、を有する、圧電磁器の製造方法を提供する。
本発明の圧電磁器の製造方法では、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有するペロブスカイト型酸化物と、他の原料、すなわち、(NaLi)[Nb(1−α)Taα]OとBa[Nb(1−α)Taαと副成分の原料、すなわち上記添加物とを混合して焼結させている。これによって、主成分として上記一般式(1)で表される組成物と、副成分として特定の金属化合物とを含有する焼結体を得ることができる。このような組成を有する焼結体は、圧電磁器として好適に用いられるものであるが、本発明の製造方法では、当該焼結体を酸素分圧が低減された雰囲気中で焼成して調製している。このため、空気中で焼成する場合に比べて、tanδの増大を十分に抑制することができる。
このようにtanδの増大を抑制できるようになった理由の一つとして、酸素分圧が低減された雰囲気中で焼成することによって、添加物の構成元素である遷移金属の価数の変動を抑制することが可能になったためであると推察している。したがって、本発明の圧電磁器の製造方法では、焼結体を得るための焼成温度範囲を十分に広くすることができる。また、焼成温度を従来よりも高くして、焼結体の粒成長を促進し、粒径を大きくすることによって、電気抵抗を大きくして十分に分極させることができる。このため、本発明の圧電磁器の製造方法によれば、圧電特性に十分優れる圧電磁器を製造することができる。
本発明の圧電磁器の製造方法では、添加物が、Cr 、F,CoO,CuO及びNiOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。これによって、得られる圧電磁器の圧電特性を一層向上することができる。
本発明の圧電磁器の製造方法では、原料組成物に必須成分または任意成分として含まれるナトリウム化合物、カリウム化合物、ニオブ化合物、バリウム化合物、リチウム化合物、及びタンタル化合物が、酸化物、炭酸塩、シュウ酸塩、または水酸化物であることが好ましい。このような化合物を用いることによって、得られる焼結体に、不純物である未反応成分が残存することを十分に抑制することができる。また、焼成時に円滑に反応が進行するため、焼成時間を短縮することができる。
本発明ではまた、上述の圧電磁器を備える圧電素子を提供する。この圧電素子は、例えば、複数の電極と、複数の電極の間に設けられた上述の圧電磁器と、を備える圧電素子であってもよい。また、電極と上述の圧電磁器とが交互に積層された素体と、該素体を挟むように該素体の両端面にそれぞれ設けられ、電極と電気的に接続されている一対の端子電極と、を備える圧電素子を提供する。このような圧電素子は、上記特徴を有する圧電磁器を備えるため、環境性に優れ且つ圧電特性にも十分に優れている。
本発明によれば、鉛の含有量が十分に低減されるとともに、十分優れた圧電特性を有する圧電磁器、及び当該圧電磁器を備える圧電素子を提供することができる。
以下、場合により図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、図面の説明において、同一又は同等の要素には同一符号を用い、重複する説明を省略する。
図1は本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。圧電素子20は、圧電磁器1と、この圧電磁器1の対向する一対の面上にそれぞれ設けられた一対の電極2,3とを備えている。
圧電磁器1は、例えば、厚さ方向、すなわち一対の電極2,3が対向する方向に分極されており、電極2,3を介して電圧が印加されることにより、厚み方向に縦振動および径方向に広がり振動することができる。電極2,3は、例えば、金(Au)などの金属によりそれぞれ構成されている。電極2,3には、ワイヤなどを介して外部電源と電気的に接続することができる(図示しない)。
圧電磁器1は、焼結体から構成されるものである。当該焼結体は、上記一般式(1)で表される主成分を含有する。当該主成分は、Nb及びアルカリ金属元素を構成元素とする第1のペロブスカイト型酸化物、Nb及びTaを構成元素とするタングステンブロンズ型酸化物、並びにアルカリ土類金属を構成元素とする、第1のペロブスカイト型酸化物とは異なる第2のペロブスカイト型酸化物を含有する。
焼結体の主成分は、3種類の複合酸化物の固溶体で構成されており、具体的には、下記一般式(2)で表される第1のペロブスカイト型酸化物と、下記一般式(3)で表されるタングステンブロンズ型酸化物と、下記一般式(4)で表される第2のペロブスカイト型酸化物とから構成される。
(NaLi)[Nb(1−α)Taα]O・・・(2)
Ba[Nb(1−α)Taα・・・(3)
ABO・・・(4)
一般式(2)及び(3)中、x,y,z,αは、それぞれ、0.35≦x≦0.65、0.35≦y≦0.55、0≦z≦0.1、0≦α≦0.2、をそれぞれ満足する数値を示す。第2のペロブスカイト酸化物は、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する。
焼結体の主成分における、一般式(2)、(3)、(4)の各化合物のモル比は、一般式(2)、(3)、(4)の各化合物の総量に対して、式(2)の第1のペロブスカイト型酸化物が0.89〜0.97、式(3)のタングステンブロンズ型酸化物が0〜0.01、式(4)の第2のペロブスカイト型酸化物が0〜0.1であることが好ましい。また、当該モル比は、一般式(2)、(3)、(4)の各化合物の総量に対して、式(2)の第1のペロブスカイト型酸化物が0.92〜0.97、式(3)のタングステンブロンズ型酸化物が0.002〜0.003、式(4)の第2のペロブスカイト型酸化物が0.03〜0.07であることがより好ましい。
焼結体は、副成分として、クロム酸化物、マンガン酸化物、鉄酸化物、コバルト酸化物、銅酸化物及びニッケル酸化物からなる群より選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有することが好ましい。焼結体は、これらの酸化物以外、または酸化物の代わりに、酸化物とは異なるCr,Mn,Fe,Co,CuまたはNi元素を有する化合物を含有してもよい。副成分として上記の酸化物を含有することによって、一層十分に優れた圧電特性を有する圧電磁器とすることができる。
焼結体の主成分の含有量は、一層優れた圧電特性を得る観点から、焼結体全体に対して95質量%以上であることが好ましく、98質量%以上であることがより好ましく、99質量%以上であることがさらに好ましい。焼結体は、主成分全体に対して、副成分を酸化物に換算して合計で0.05〜1.0質量%含有する。副成分の含有量が、0.05質量%未満の場合、優れた圧電特性が得られない。一方、当該含有量が1.0質量%を超える場合も、優れた圧電特性が得られない。なお、副成分は、焼結体中に粒状で存在していても、主成分の粒子に固溶していてもよい。
上記一般式(2)、(3)、(4)で表されるそれぞれの化合物は、焼結体中において、互いに固溶していることが好ましい。これによって、圧電特性のばらつきを十分に抑制することができる。
圧電磁器1の組成は、蛍光X線分析、X線回折、ICP発光分光分析によって特定することができる。これらの分析は、市販の分析装置を用いて、通常の方法によって行うことができる。
焼結体を構成する結晶粒の平均粒径は、0.9μm以上であり、2μm以上であることが好ましく、4μm以上であることがより好ましい。一般的には、平均粒径が大きいほど、圧電特性は向上する傾向がある。しかし、平均粒径が過剰に大きくなると、空孔が生じ易くなって相対密度が低下する傾向がある。かかる観点から、平均粒径の上限は50μm以下であることが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることがさらに好ましい。
焼結体の平均粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)で焼結体の表面または断面を観察することによって測定することができる。本実施形態の平均粒径は、5000倍に拡大された表面または断面画像において、ランダムに150個の粒子を抽出し、それらの平均値を算出することによって求めることができる。
次に、図1に示す圧電磁器1及び圧電素子20の製造方法について以下に説明する。本実施形態の圧電磁器1の製造方法は、第2のペロブスカイト型酸化物を調製する準備工程と、該第2のペロブスカイト型酸化物と、ナトリウム化合物、カリウム化合物、ニオブ化合物及びバリウム化合物を含有する必須成分、並びにリチウム化合物及び/又はタンタル化合物を含有する任意成分を含む原料組成物と、Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含有する添加物と、を混合して混合物を調製する混合工程と、該混合物を仮焼して造粒し、造粒粉を得る仮焼工程と、造粒粉を成形して酸素分圧が2.1×10−1atm未満の雰囲気中で焼成して、上記一般式(1)で表される組成物とCr,Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の金属化合物とを含有し、組成物全体に対する該金属化合物全体の含有量が0.05〜1.0質量%である焼結体を得る焼成工程と、焼結体に分極処理を施して圧電磁器を得る分極処理工程と、を有する。以下、各工程について詳細に説明する。
準備工程では、上記一般式(4)で表される第2のペロブスカイト型酸化物を調製する。一般式(4)におけるA及びBの元素を含む原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合したのち、乾燥させ、1000〜1300℃で2〜4時間焼成することにより、ABOで表される複合酸化物(第2のペロブスカイト型酸化物)を調製する。第2のペロブスカイト型酸化物は、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する。
混合工程では、まず、圧電磁器1の主成分の原料となる原料組成物を準備する。原料組成物は、構成元素としてNaを含有するナトリウム化合物、構成元素としてKを含有するカリウム化合物、構成元素としてNbを含有するニオブ化合物、及び構成元素としてBaを含有するバリウム化合物を必須成分として含有する。また、該原料組成物は、構成元素としてLiを含有するリチウム化合物、及び/又は構成元素としてTaを含有するタンタル化合物を、任意成分として含有していてもよい。原料組成物に含まれる上述の各化合物としては、入手が容易な粉末状の酸化物を用いることができる。酸化物以外に、例えば炭酸塩またはシュウ酸塩のように、焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
上記原料組成物とは別に、構成元素としてCrを有するCr化合物、構成元素としてMnを有するMn化合物、構成元素としてFeを有するFe化合物、構成元素としてCoを有するCo化合物、構成元素としてCuを有するCu化合物、及び構成元素としてNiを有するNi化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有する添加物を準備する。添加物は、圧電磁器の副成分となり得るものであり、Cr、MnCO、Fe,CoO,CuO及びNiOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。このような化合物を用いることによって、得られる圧電磁器の圧電特性を一層向上させることができる。
上述の通り調製した、原料組成物及び第2のペロブスカイト型酸化物を、十分に乾燥させたのち、上記一般式(1)の組成となるような比率で、主成分の各原料を秤量する。また、この主成分の各原料に応じて生成する上記一般式(1)の組成物の総量に対し、副成分の含有量が上述の酸化物にそれぞれ換算して合計で0.05〜1.0質量%となるように副成分の原料である添加物を秤量する。
秤量した後、主成分の各原料と副成分の原料(添加物)とを、ボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合して混合物を調製する。
準備工程で、上記一般式(4)で表される第2のペロブスカイト型酸化物を作製した後に、当該第2のペロブスカイト型酸化物と他の主成分の原料及び添加物とを混合する理由は以下の通りである。第2のペロブスカイト型化合物の原料と、他の主成分の原料及び添加物とを混合して後述の仮焼を行うと、第2のペロブスカイト型化合物が生成せず、目的とする上記一般式(1)で表される主成分が得られないからである。
仮焼工程では、混合工程で得られた混合物を乾燥し、プレス成形して、空気雰囲気下、750〜1100℃で1〜4時間仮焼する。これによって、上記一般式(1)で表されるような組成物と、Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の金属化合物を含有する仮焼物が得られる。この仮焼物を、例えば、ボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に粉砕し、再び乾燥して、バインダを加えて造粒する。
焼結工程では、造粒粉を一軸プレス成形機や静水圧成形機(CIP)などを用いてプレス成形して成形体を得る。その後、例えば、この成形体を加熱して脱バインダを行い、1150〜1300℃で2〜10時間焼成することによって、焼結体を得ることができる。焼成の際の雰囲気は、空気よりも酸素分圧を低くする必要があり(0.21atm未満)、酸素分圧を0.1atm以下とすることが好ましく、3×10−6atm以下とすることがより好ましい。焼成の際の雰囲気は、例えばNやArなどの不活性ガス雰囲気とすることが好ましい。
焼成温度が1350℃を超える場合、酸素分圧が低い雰囲気下で焼成して、十分に粒径を大きくしても、電気抵抗が小さくなる傾向がある。焼成温度は、一層十分優れた圧電特性を備える圧電磁器を得る観点から、1200〜1300℃とすることが好ましく、1250〜1300℃とすることがより好ましい。
分極処理工程では、得られた焼結体を、必要に応じて加工して所望の形状を形成した後、焼結体を挟むようにして焼結体の一対の面上に電極2,3をそれぞれ設け、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行う。これにより、図1に示す圧電磁器1、及び圧電磁器1と、該圧電磁器1を挟むように設けられた一対の電極2,3とを備える圧電素子20を得ることができる。電極2,3は、銀などのペーストを塗布した後、乾燥し、焼成することによって形成することができる。
次に、本発明の圧電素子の別の実施形態について説明する。
図2は本発明の圧電素子の別の実施形態を示す一側面図である。図2に示す積層型の圧電素子である積層型圧電素子10は、直方体状の積層体11と、この積層体11の対向する端面にそれぞれ形成された一対の端子電極17A,17Bとを備えている。
積層体11は、圧電体層12を介して内部電極層(電極層)13A,13Bを交互に積層してなる素体14と、この素体14をその積層方向の両端面側(図中上下方向)から挟み込むように設けられた一対の保護層15及び16とから構成される。素体14においては、圧電体層12と内部電極層13A,13Bとが交互に積層されている。
圧電体層12は、圧電磁器で構成される層である。圧電磁器としては、上述の圧電素子20に備えられる圧電磁器1と同様のものを用いることができる。
圧電体層12の1層当たりの厚さは、任意に設定することができるが、例えば1〜100μmにすることができる。
内部電極層13A,13Bはそれぞれ平行となるように設けられている。内部電極層13Aは、一方の端部が積層体11における端子電極17Aが形成された端面に露出するように形成されている。また、内部電極層13Bは、一方の端部が積層体11における端子電極17Bが形成された端面に露出するように形成されている。さらに、内部電極層13Aと内部電極13Bとは、これらの大部分が積層方向に重なり合うように配置されている。そして、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体層12の活性領域18は、内部電極13A,13Bに電圧を印加したときに積層方向に伸縮(変位)する活性部分となる。一方、内部電極13A,13B間に挟まれていない領域19は不活性部分である。
内部電極層13A,13Bの材質としては、例えば、Au,Pt,Pd,Ni,CuまたはAgなどの金属、あるいはこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など)が用いられる。
保護層15,16は、セラミックスから構成され、圧電磁器で構成される層であることが好ましい。この保護層15,16を形成する圧電磁器としては、圧電体層12と同様のものが挙げられる。保護層15,16及び圧電体層12を構成する圧電磁器は、同じであっても異なっていてもよい。
端子電極17A,17Bは、これらが設けられている端面において、当該端面に露出している内部電極13A,13Bの端部とそれぞれ接している。これにより、端子電極17A,17Bは、内部電極13A,13Bとそれぞれ電気的に接続される。この端子電極17A,17Bは、Ag、Au、Cu等を主成分とする導電材料から構成することができる。端子電極17A,17Bの厚さは、用途や積層型圧電素子のサイズ等によって適宜設定されるが、例えば10〜50μmにすることができる。
次に積層型圧電素子10の製造方法について説明する。圧電体層12は圧電磁器により構成される。この圧電磁器は、上記一般式(1)で表される主成分と、Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含む副成分とを含有し、副成分をそれぞれCr,MnO,Fe,CoO,CuO及びNiOに換算したときに、主成分に対する副成分の合計含有量が0.05〜1.0質量%である焼結体からなる。
積層型圧電素子10の製造方法においては、まず、出発原料として、圧電体層12を形成するための圧電磁器の原料化合物や、その他の添加成分等の出発原料を用意する。具体的には、圧電体層22を構成する圧電磁器の主成分となる複合酸化物の原料として、例えば、構成元素としてナトリウム,カリウム,リチウム,ニオブ,タンタル及びバリウムを有するそれぞれの酸化物粉末を準備する。これら主成分の原料としては、酸化物ではなく、炭酸塩またはシュウ酸塩のように、焼成により酸化物となるものを用いてもよい。
上記の原料とは別に、上記一般式(4)に示す第2のペロブスカイト型酸化物を調整する。第2のペロブスカイト型酸化物は、例えば、A及びB元素をそれぞれ含む原料をボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合したのち、乾燥させ、1000℃〜1300℃で2時間〜4時間焼成することにより、調製することができる。
また、上記の原料とは別に、Cr、Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含有する添加物を準備する。添加物は、圧電磁器の副成分となり得るものであり、Cr、MnCO、Fe,CoO,CuO及びNiOからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することが好ましい。これによって、得られる圧電磁器の圧電特性を一層向上させることができる。
次いで、主成分の各原料及び副成分の原料を十分に乾燥させたのち、上記一般式(1)の組成となるような比率で主成分の原料を秤量する。また、副成分の原料を、上記一般式(1)で表される主成分に対して、酸化物に換算した副成分の合計の含有量が0.05〜1.0質量%となるように秤量する。そして、秤量した主成分の各原料及び副成分の原料を、ボールミルなどにより有機溶媒中または水中で十分に混合する。
その後、この混合物を乾燥し、例えば750〜1100℃の温度で1〜4時間の加熱処理を施す仮焼を行う。これにより、上記一般式(1)で表される組成物と、Cr,Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含む仮焼物が得られる。
この仮焼物をボールミル等により湿式粉砕した後、これを乾燥させて造粒粉を得る。続いて、この造粒粉に、有機バインダ、有機溶剤、有機可塑剤等を加えてボールミル等により20時間程度の混合を行い、圧電体ペーストを得る。
この圧電体ペーストを、例えばドクターブレード法によって、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のベースフィルム上等に塗布して、圧電体層12を形成するための圧電体グリーンシートを得る。この圧電体グリーンシートは、上記一般式(1)で表される組成物と、Cr、Mn,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物と、バインダとを主に含有する。
その後、圧電体グリーンシート上に、スクリーン印刷法等により内部電極13A,13B形成用の電極ペーストを塗布し、この電極ペーストからなる電極ペースト層を形成する。こうして、圧電体グリーンシート上に電極ペースト層を備える積層用シートを得る。この際、電極ペースト層は、上述した内部電極13A及び13Bの形状が得られるようなパターンでそれぞれ形成する。
ここで、電極ペースト層を形成するための電極ペーストは、例えば、Au,Pt,Pd,Ni,CuまたはAgなどの金属、あるいはこれらの金属を2種以上含有する合金(Ag−Pd合金など)、バインダ及び有機溶剤を含むものである。バインダ及び有機溶剤としては、公知のものが適用できる。電極ペースト中の金属の合計含有量は、40質量%以上とすることが好ましく、50〜60質量%とすることがより好ましい。
次に、積層用シートを、電極ペースト層と圧電体グリーンシートとが交互に配置されるように複数重ねるとともに、この積層構造の積層方向の両端面の表面上に、更に圧電体グリーンシートを複数層ずつ積層する。こうして得られた積層体を、適宜加熱しながら積層方向に加圧し、更に必要に応じて所望のサイズに切断することで、積層体グリーン(積層体)を得ることができる。
その後、この積層体グリーンを、安定化ジルコニアセッター等に載置した後、大気雰囲気中で加熱することにより、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層中に含まれるバインダや有機溶剤を除去する脱脂処理を行う。
それから、脱バインダ後の積層体グリーンに対し、酸素分圧が0.21atm未満の雰囲気下で、例えば1150〜1300℃で2〜10時間の加熱を行う焼成処理(本焼成)を行い、積層体11を得る。この本焼成処理において、圧電体グリーンシート及び電極ペースト層が一体焼成され、電極ペースト層から内部電極13A,13Bが形成され、内部電極13A,13B間に挟まれた圧電体グリーンシートから圧電体層12が形成される。また、積層体グリーンの積層方向の両端面上に積層された圧電体グリーンシートから、保護層15,16がそれぞれ形成される。
本実施形態では、空気よりも酸素分圧が低い雰囲気下で本焼成を行っているので、焼成温度を上げても、誘電損失の上昇を十分に抑制することができる。このため、焼成温度を高めにして焼成することによって焼結体の粒成長を促進し、粒径の大きい粒子を有する焼結体を得ることができる。このような焼結体は、電気抵抗が十分に大きいため、後述する分極処理において、十分大きな分極電圧をかけることができ、圧電特性に十分に優れる圧電磁器とすることができる。
次に、得られた積層体11の積層方向に平行であり互いに対向している端面(内部電極13A,13Bの端部が露出している端面)に、端子電極17A,17Bをそれぞれ焼き付ける。具体的には、端子電極17A,17Bを構成する金属、有機バインダ等を含む端子電極形成用のペーストを積層体11の上記端面に塗布した後、これを焼成することで、端子電極17A,17Bが形成される。このようにして、図1に示す構造を有する積層型圧電素子10が得られる。なお、端子電極17A,17Bは、上記の焼付けのほか、スパッタリング、蒸着、無電解めっき等の方法によっても形成することができる。
そして、例えば、この積層型圧電素子10に対し、室温〜120℃の環境下、端子電極17A,17B間に電界強度が2〜5kV/mm程度となるように10〜30分間程度電圧を印加する分極処理を行うことで、圧電アクチュエータとして機能する積層型圧電素子10を得ることができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
参考例1−1〜1−12、比較例1−1〜1−3)
<圧電素子の作製>
以下の手順で図1に示すような圧電素子20を作製した。まず、炭酸ナトリウム(NaCO)粉末、炭酸カリウム(KCO)粉末、炭酸リチウム(LiCO)粉末、酸化ニオブ(Nb)粉末、酸化タンタル(Ta)粉末、炭酸ストロンチウム(SrCO)粉末、酸化ジルコニウム(ZrO)粉末および炭酸バリウム(BaCO3 )粉末を準備した。また、副成分の原料(添加物)として、炭酸マンガン(MnCO)粉末を用意した。これらの原料を十分に乾燥させたのち、圧電磁器の主成分となる複合酸化物の組成が下記式(5)となるように各原料を秤量した。
0.9475(Na0.570.38Li0.05)(Nb0.9Ta0.1)O−0.0025Ba(Nb0.9Ta0.1−0.05SrZrO・・・(5)
そして、MnCO粉末を、上記式(5)の組成物全体に対し、MnOに換算して0.5質量%となるように秤量した。
上述の通り秤量した炭酸ストロンチウム(SrCO)粉末と酸化ジルコニウム(ZrO)粉末とをボールミルを用いて水中で十分に混合した後、乾燥させ、1000〜1300℃で2〜4時間焼成することにより、SrZrO(第2のペロブスカイト型酸化物)を調製した。
この第2のペロブスカイト型酸化物と、上述の通り秤量した炭酸ナトリウム(NaCO)粉末、炭酸カリウム(KCO)粉末、炭酸リチウム(LiCO)粉末、酸化ニオブ(Nb)粉末、酸化タンタル(Ta)粉末、及び炭酸マンガン(MnCO)粉末とを、ボールミルを用いて、エタノール中で十分に混合した後、乾燥させ、プレス成形して、750〜1100℃で1〜4時間仮焼した。
混合物を仮焼したのち、この仮焼物をボールミルを用いてエタノール中で十分に粉砕し、再び乾燥して、バインダ(PVA)溶液を加えて造粒した。得られた造粒粉を、一軸プレス成形機を用いてプレス成形し、成形体を得た。その後、この成形体を600℃に加熱して脱バインダを行い、表1に示す焼成温度で1〜4時間焼成して、焼結体を得た。なお、焼成雰囲気は、市販の窒素ガスと酸素ガスと空気との混合比率を調整することにより、表1に示す酸素分圧とした(全圧=大気圧)。
得られた焼結体に、導電性ペーストを塗布し、乾燥後焼成して、電極2,3を設けた。その後、加熱したシリコーンオイル中で電界を印加して分極処理を行い、圧電磁器1を備える圧電素子20を得た(図1)。
<圧電特性の評価>
得られた圧電素子20を24時間放置したのち、電気抵抗と、圧電特性として誘電損失(tanδ)、比誘電率(εr)及び圧電d定数(d33)とを測定した。電気抵抗はデジタル超高抵抗計(ADVANTEST社製、商品名:R8340A)を用いて測定した。比誘電率(εr)及び誘電損失(tanδ)は、インピーダンスアナライザー(アジレント・テクノロジー社製、商品名:HP4294A)を用いて、周波数1kHzで測定した。圧電d定数(d33)はd33メータ(Institute of Acoustics Academia Sinica社製、商品名:ZJ−4B)を用いて測定した。測定結果を表1に示す。
<微細構造と組成の評価>
得られた圧電磁器1の微細構造を走査型電子顕微鏡(SEM)の観察を行った(倍率5000倍)。そして、画面上に映し出された粒子をランダムに150個抽出して、粒径を測定し、その平均値を平均粒径として求めた。測定結果を表1に示す。
Figure 0005386848
参考例2−1〜2−5、比較例2−1〜2−5)
圧電磁器の主成分の組成が下記式(6)となるように各原料を秤量して用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表2記載の条件としたこと以外は、参考例1−5と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表2に示す。
(1−b−c)(Na0.570.38Li0.05)(Nb0.9Ta0.1)O−bBa(Nb0.9Ta0.1)−cSrZrO・・・(6)
なお、上記式(6)中、b及びcは、表2に記載の数値を示す。
Figure 0005386848
参考例3−1〜3−6、比較例3−1〜3−6)
圧電磁器の主成分の組成が下記式(7)となるように各原料を秤量して用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表3記載の条件としたこと以外は、参考例1−5と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
0.9475(NaLi)(Nb0.9Ta0.1)O−0.0025Ba(Nb0.9Ta0.1)−0.05SrZrO・・・(7)
なお、上記式(7)中、x、y及びzは、表3に記載の数値を示す。
Figure 0005386848
参考例4−1〜4−2、比較例4−1〜4−3)
圧電磁器の主成分の組成が下記式(8)となるように各原料を秤量して用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表4記載の条件としたこと以外は、参考例1−9と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表4に示す。
0.9475(Na0.570.38Li0.05)(Nb1−αTaα)O−0.0025Ba(Nb0.9Ta0.1)−0.05SrZrO・・・(8)
なお、上記式(8)中、αは、表4に記載の数値を示す。
Figure 0005386848
参考例5−1〜5−3、比較例5−1〜5−4)
MnCO粉末を、上記式(5)で表される主成分全体に対し、MnOに換算して表5に記載の含有量となるように秤量して用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表5記載の条件としたこと以外は、参考例1−5と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表5に示す。
Figure 0005386848
参考例6−1〜6−5、比較例6−1〜6−2)
上記式(5)で表される主成分のうち、第2のペロブスカイト型酸化物としてSrZrOに代えて、表6に記載の化合物を用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表6記載の条件としたこと以外は、参考例1−5と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表6に示す。なお、CaTiOは、CaCO粉末とTiO粉末を、CaZrOはCaCO粉末とZrO粉末を、SrTiOはSrCO粉末とTiO粉末を、BaTiOはBaCO粉末とTiO粉末を、BaZrOはBaCO粉末とZrO粉末を、CaZrOはCaCO粉末とZrO粉末を、それぞれ用いて、第2のペロブスカイト型酸化物を調製した。調製方法は、参考例1−1におけるSrZrOの調製と同様とした。
Figure 0005386848
(実施例7−1〜7−、比較例7−1〜7−2)
副成分の原料である添加物として、MnCOの代わりに表7に示す化合物の粉末を用いたこと、及び焼結体作製時の焼成温度及び焼成雰囲気の酸素分圧を表7記載の条件としたこと以外は参考例1−9と同様にして圧電素子を作製し、評価を行った。結果を表7に示す。添加物として、MnCOを用いた場合に、誘電損失を低く維持しつつ圧電定数を一層向上させることができた。
Figure 0005386848
表1〜7に示す結果から、各実施例の圧電磁器は、電気抵抗が高く、誘電損失が十分に低く抑制されていた。また、電気機械結合係数、比誘電率及び圧電定数の全ての特性を高水準な値にできることが分かった。
<組成の評価>
上述の通り調製した各圧電磁器うち、いくつかを選んで、圧電磁器の組成を蛍光X線分析(EDX)で確認した。結果を表8に示す。EDXによる組成分析の結果、焼結後の圧電磁器の組成は、原料の配合組成とほぼ一致していることが確認された。この結果から、空気よりも酸素分圧が低い条件下で焼成しても、酸素イオンや金属イオンの消失は発生していないことが確認された。
Figure 0005386848
本発明の圧電素子の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の圧電素子の別の実施形態を示す一側面図である。
符号の説明
1…圧電磁器、2,3…電極、10…積層型圧電素子、11…積層体、12…圧電体層、13A,13B…内部電極、14…素体、15,16…保護層、17A,17B…端子電極、18…活性領域、19…不活性領域、20…圧電素子。

Claims (1)

  1. 下記一般式(1)で表される主成分と、Cr,Fe,Co,CuまたはNiを構成元素とする少なくとも一種の化合物を含む副成分とを含有し、前記副成分をそれぞれCr,Fe,CoO,CuO及びNiOに換算したときに、前記主成分に対する前記副成分の含有量が0.05〜1.0質量%である焼結体を備えており、
    a(NaLi)[Nb(1−α)Taα]O−bBa[Nb(1−α)Taα−cABO・・・・(1)
    [式中、a,b,c,x,y,z,αは、それぞれ、
    a+b+c=1、
    0≦b≦0.01、
    0≦c≦0.1、
    0.35≦x≦0.65、
    0.35≦y≦0.55、
    0≦z≦0.1、及び
    0≦α≦0.2を満足する数値であり、
    ABOは、CaTiO,CaZrO,SrTiO,SrZrO,BaTiO,及びBaZrOからなる群より選ばれる少なくとも一つの化合物である。]
    前記焼結体は、酸素分圧が0.1atm以下の雰囲気中で、1150〜1300℃で焼成されたものであり、
    前記焼結体の結晶粒の平均粒径が0.9μm以上である圧電磁器。
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