JP5386020B1 - 金型構造及び樹脂成形品の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャビティ部を有する入れ子を、型板との間に断熱材を介して配設した構造にしても、成形上の不具合発生が抑制され金型の長寿命化が図れる金型構造を提供する。
【解決手段】固定型(1)は、固定側入れ子収容部(1R)と、固定側入れ子収容部(1R)に収容された固定側入れ子(50)と、固定側入れ子収容部(1R)と固定側入れ子(50)との間に配置された固定側断熱部材(54a〜54e)と、を有する。可動型(21)は、可動側入れ子収容部(21R)と、可動側入れ子収容部(21R)に収容された可動側入れ子(70)と、可動側入れ子収容部(21R)と可動側入れ子(70)との間に配置された可動側断熱部材(74a〜74e)と、を有する。固定側入れ子(50)及び可動側入れ子(70)は、キャビティの一部を形成するキャビティ部(51)(71)及びキャビティ部(51)(71)の近傍を通る熱媒体流通用の貫通孔(50c)(70c)を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、金型構造及び樹脂成形品の製造方法に係る。
熱可塑性樹脂の射出成形においては、生産性向上のため成形サイクルの短縮(ハイサイクル化)が常に求められている。
ハイサイクル化の実現には、成形の1サイクルにおける、射出成形金型(以下、単に金型とも称する)の昇温及び降温を高効率に行うことが、手立てとして有効である。この昇温及び降温は、金型温度を樹脂充填時には良好な充填のために高く、充填後には樹脂硬化を促進するため低くする必要があることによる。
そこで、金型の可動型及び固定型それぞれにおいて、キャビティ部を有する入れ子を型板に対して装着自在に設け、その入れ子と型板との間に断熱材を配設すると共に、入れ子と型板とを独立に温度制御する技術が検討されている。キャビティ部は、樹脂が充填される成形品形状に対応した空間であるキャビティを形成する部分である。この技術の一例は、特許文献1に射出成形用金型として記載されている。
この断熱材を配設した金型は、大きな体積の型板から、キャビティ部を有する小体積の入れ子を熱的に分離できるので、型板の温度変化が抑制され、金型と外部との間で出入する熱に基づいた入れ子の昇温及び降温の温度制御を、高効率で行うことができる。
特開2009−126001号公報
特許文献1に示されるような、キャビティ部を有する入れ子と、その入れ子が装着される型板と、の間に断熱材を配設した金型で成形を行う場合、型板の温度を、高温で充填される樹脂と接触する入れ子の温度と比較して、低い温度で、かつ温度変化が少なくなるように設定する。逆に言うと、入れ子の温度は、型板の温度よりも高く、変化も大きくなる。
従って、型板の材質と入れ子の材質とが異なる場合は熱膨張率の違いから当然に、また、同じ材質の場合も、成形動作に伴う寸法の変化度合いが、入れ子と型板とで顕著に異なる。
一般的に可動型及び固定型の成形動作、すなわち、型開き及び型締めにおける離接動作のガイドは、可動型の型板に設けられたガイドピンと、固定型の型板に設けられたガイドピンブッシュとの係合に委ねられているので、両型板同士でのかじりは生じ難い。
一方、入れ子は、上述のように成形動作において型板よりも寸法変化が大きいため、その程度によっては、入れ子,断熱材,及び型板の少なくともいずれかに顕著な歪みを生じる可能性がある。
そして、歪みの内在により、寸法精度の悪化等の成形上の不具合発生や、疲労破壊等による金型の短寿命化が懸念される。
また、可動型側の入れ子と固定型側の入れ子との間での位置ずれや寸法ずれが生じて、型締めのときに入れ子同士がかじったり、入れ子同士が衝突して破損するといった成形上の不具合発生が懸念される。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、キャビティ部を有する入れ子を、型板との間に断熱材を介して配設した構造にしても、成形上の不具合発生が抑制され金型の長寿命化が図れる金型構造を提供することにある。
また、金型を、キャビティ部を有する入れ子を、型板に対し間に断熱材を介して配設した金型構造としても、樹脂成形品の成形上の不具合発生が抑制され金型の長寿命化が図れる樹脂成形品の製造方法を提供することにある。
上記の課題を解決するために、本発明は次の構成及び手順を有する。
1) 固定型及び可動型を備え、型締め状態で前記固定型と前記可動型とにより形成されるキャビティの内部に射出成形機からスプルーブッシュを介して樹脂が充填されることにより樹脂成形品を成形する金型構造であって、
前記固定型は、前記射出成形機のノズルが進入するノズル進入孔を有する固定側型板と、前記固定側型板に設けられた固定側入れ子収容部と、前記固定側入れ子収容部に収容された固定側入れ子と、前記固定側入れ子収容部と前記固定側入れ子との間に配置された固定側断熱部材と、を有し、
前記可動型は、可動側型板と、前記可動側型板に設けられた可動側入れ子収容部と、前記可動側入れ子収容部に収容された可動側入れ子と、前記可動側入れ子収容部と前記可動側入れ子との間に配置された可動側断熱部材と、を有し、
前記スプルーブッシュは、前記ノズル進入孔に臨み、かつ前記固定側断熱部材の外側に突出しないように設けられており、
前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、前記キャビティの一部を形成するキャビティ部及び前記キャビティ部の近傍を通る熱媒体流通用の貫通孔を有していることを特徴とする金型構造である。
2) 前記固定側入れ子又は前記可動側入れ子の前記貫通孔に、熱媒体を流通させる中空パイプが嵌入されていることを特徴とする1)に記載の金型構造である。
3) 前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、それぞれ前記固定側入れ子収容部及び前記可動側入れ子収容部に対し、断熱材で形成されたコッターを用いると共に、前記コッターの傾斜面に対応する傾斜面を、前記固定側入れ子収容部及び前記可動側入れ子収容部、又は、前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子に設けて固定される構成としたことを特徴とする1)又は2)に記載の金型構造である。
4) 前記固定型と前記固定側入れ子とが、又は、前記可動型と前記可動側入れ子とが、ボルト及び断熱材で形成され前記ボルトの首下に介在させたワッシャを用いて締結されることを特徴とする1)〜3)のいずれか一つに記載の金型構造である。
) 前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、一方側が凸部、他方側が凹部とされ、互いに係合して型締め動作を案内する係合案内部を有し、
前記係合案内部は、前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子の縁部において各辺に設けられていることを特徴とする1)〜)のいずれか一つに記載の金型構造である。
) 金型のキャビティ内に樹脂を充填して樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
前記金型の構造として1)に記載の金型構造を用い、
温度センサにより前記キャビティ近傍の型温を測定し、
得られた前記型温に基づいて設定した温度及び流量の熱媒体を、前記貫通孔内に供給することにより型温調整をして前記樹脂成形品の成形を行うことを特徴とする樹脂成形品の製造方法である。
) 金型のキャビティ内に樹脂を充填して樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
前記金型の構造として2)〜)のいずれか一つに記載の金型構造を用い、
温度センサにより前記キャビティ近傍の型温を測定し、
得られた前記型温に基づいて設定した温度及び流量の熱媒体を、前記貫通孔に前記中空パイプが嵌入されていない場合には前記貫通孔内に供給し、嵌入されている場合には前記中空パイプ内に供給することにより型温調整をして前記樹脂成形品の成形を行うことを特徴とする樹脂成形品の製造方法である。
) 前記樹脂成形品の品質の良否を判定する品質判定ステップと、
前記熱媒体の前記温度及び流量を一定にした成形で得られた前記樹脂成形品が、前記品質判定ステップで良品と判定される範囲内での成形サイクルの最短値を、前記樹脂成形品の量産成形サイクルとして設定する成形サイクル設定ステップと、
を含むことを特徴とする)又は)記載の樹脂成形品の製造方法である。
本発明の金型構造によれば、キャビティ部を有する入れ子を、型板に対し間に断熱材を介して配設した構造にしても、成形上の不具合発生が抑制され金型の長寿命化が図れる。
また、本発明の樹脂成形品の製造方法によれば、キャビティ部を有する入れ子を、型板に対し間に断熱材を介して配設した構造の射出成形金型を用いても、成形上の不具合発生が抑制され金型の長寿命化が図れる。
本発明の金型構造の実施例を説明するための断面図である。 本発明の金型構造の実施例における固定型側の入れ子体を説明するための斜視図である。 本発明の金型構造の実施例における可動型側の入れ子体を説明するための斜視図である。 本発明の金型構造の実施例における入れ子体の水路部を説明するための断面図である。 本発明の金型構造の実施例における温度制御装置を説明するためのブロック図である。 本発明の金型構造の実施例における変形例の固定型側の入れ子体を説明するための斜視図である。 図6におけるS4−S4断面図である。 本発明の金型構造の実施例における変形例の可動型側の入れ子体を説明するための斜視図である。 本発明の金型構造の実施例における変形例の水路部を説明するための断面図である。 本発明の樹脂成形品の製造方法の実施例を説明するためのフロー図である。 本発明の金型構造の実施例における固定側の入れ子の変形例を説明するための上面図である。 本発明の金型構造の実施例におけるの他の変形例を説明するための模式的断面図である。
本発明の実施の形態における金型構造の実施例を、好ましい実施例及びその変形例により図1〜図12を参照して説明する。
<実施例>
射出成形金型Kは、本発明の金型構造の実施例が適用された例えば2プレートタイプであり、固定型KTと可動型KDとの組で使用される。
まず、図1を参照して射出成形金型Kにおける固定型KT及び可動型KDの概略構成について説明する。
図1(a)は固定型KTにおける主要部である固定側型板1の断面図であり、図1(b)は可動型KDにおける主要部である可動側型板21の断面図である。
固定側型板1には、ガイドピンブッシュ2と、成形機のノズルが進入するノズル進入孔8と、温度調節用の複数の水孔4と、が設けられている。
固定側型板1において可動側型板21と対向するPL面1aの中央部分には、入れ子を収容するための凹部である入れ子収容部1Rが形成されている。
入れ子収容部1Rには、成形品の形状に対応した凹部であるキャビティ部51と、スプルーブッシュ3と、スプルーブッシュ3が挿入されたブッシュ孔52と、温度調節用の水路部53と、を有する入れ子50を含めて構成された入れ子体50Tが、着脱自在に装着されている。
可動側型板21には、固定側型板1のガイドピンブッシュ2に挿通されるガイドピン22と、温度調節用の複数の水孔24と、が設けられている。
可動側型板21において固定側型板1と対向するPL面21aの中央部分には、入れ子を収容するための凹部である入れ子収容部21Rが形成されている。
入れ子収容部21Rには、成形品の形状に対応した凹部であるキャビティ部71と、温度調節用の水路部73と、を有する入れ子70を含めて構成された入れ子体70Tが、着脱自在に装着されている。
固定型KTと可動型KDとは、ガイドピン22がガイドピンブッシュに挿通して組み合わされ、図示しない取り付け板等を介して射出成形機に取り付けられる。
射出成形時には、型締め状態で、射出成形機からスプルーブッシュ3を介し、キャビティ部51とキャビティ部71とにより形成された空間であるキャビティに樹脂が充填され、キャビティの空間形状に対応した成形品を得ることができる。
入れ子体50T及び入れ子体70Tについて、図2及び図3を参照して説明する。
図2は、固定型KTに着脱自在に取り付けられる入れ子体50Tの斜視図であり、図2のS1−S1位置での断面が図1(a)に相当する。
図3は、可動型KDに着脱自在に取り付けられる入れ子体70Tの斜視図であり、図3のS2−S2位置での断面が図1(b)に相当する。
図2に示されるように、入れ子体50Tは、略直方体の入れ子50と、入れ子50の四つの側面にネジ等で取り付けられた断熱板54a〜54dと、入れ子50のパーティングラインPL位置となるPL面50aの反対面(裏面)50b(図4参照)にネジ等で取り付けられた断熱板54eと、断熱板54a,54bの外側にそれぞれネジ等で取り付けられた装着用プレート55a,55bと、を有している。図2において、断熱板54a〜54eは、判別容易のため点描処理してある。
装着用プレート55a,55bは、それぞれ段付き孔56を複数箇所有し、この段付き孔56を利用してボルトにより固定側型板1に対してネジ止めされる。
すなわち、入れ子50は、PL面50a以外の側面及び裏面の全面が、断熱板54a〜54eによって覆われ、入れ子50と固定側型板1との間に断熱板74a〜74eが介在する構造になっている。
また、スプルーブッシュ3は、断熱板54eに対して外方に突出しないように設けられている。これにより、スプルーブッシュ3に形成された樹脂通路であるスプルー3aも断熱板54eから突出せず、パーティング側以外が断熱板54a〜54eにほぼ囲まれた状態となるので、スプルー3a内の樹脂の温度変動が小さくなる。
この例において、断熱板54a〜54e及び入れ子50と固定側型板1とはボルト等で締結されていない。また、装着用プレート55a,55bは、外側面が、奥側から表面側(PL面50a側)に向かうに従い外方へ張り出すように傾斜した平形の楔状に形成されており、所謂コッターとして機能している。
入れ子50の縁部には、各辺毎に、PL面50aから突出した係合リブ57a〜57dが設けられている。実施例において、係合リブ57a〜57dは、断面形状が矩形とされ、先端部の内側となる稜線には所謂C面取りされた面取り部57a1〜57d1が形成されている。
図2に示された例では、一対の係合リブ57b,57dは、入れ子50の対向する辺の全長にわたり設けられている。また、他の一対の係合リブ57a,57cは、概ねキャビティ部51が形成されている範囲に設けられている。
入れ子30及び入れ子50、並びに、固定側型板1及び可動側型板21は、樹脂の射出成形用として一般的な金型材料で形成されている。例えば、日立金属株式会社製の「HPM−PRO(登録商標)」<熱膨張係数:13.3x10―6/℃(20〜300℃),ヤング率:200GPa>である。
入れ子体50Tには、対向する一対の側面(図2においては左下側と右上側との面)を貫いて、水路部53を構成する貫通路53aが形成されている。貫通路53aは、装着用プレート55a,断熱板54a,入れ子50,及び断熱板54cを貫いて形成されている。
この例において、貫通路53aは、センター振り分けで平行に一対形成されている。
一方、図3に示されるように、可動型KDに取り付けられる入れ子体70Tは、略直方体の入れ子70と、入れ子70の四つの側面にネジ等で取り付けられた断熱板74a〜74dと、入れ子70のパーティングラインPL位置となるPL面70aの反対面(裏面)70b(図示せず)にネジ等で取り付けられた断熱板74eと、断熱板74a,74bの外側にそれぞれネジ等で取り付けられた装着用プレート75a,75bと、を有している。図3において、断熱板74a〜74eは、判別容易のため点描処理してある。
装着用プレート75a,75bは、それぞれ段付き孔76を複数箇所有し、この段付き孔76を利用してボルトにより可動側型板21に対してネジ止めされる。
すなわち、入れ子70は、PL面70a以外の側面及び裏面の全面が、断熱板74a〜74eによって覆われ、入れ子70と可動側型板21との間に断熱板74a〜74eが介在する構造になっている。
この例では、断熱板74a〜74eと可動側型板21とはボルトで締結されていない。また、装着用プレート75a,75bは、外側面が、奥側から表面側(PL面70a側)に向かうに従い外方へ張り出すように傾斜した平形の楔状に形成されており、所謂コッターとして機能している。
入れ子70の縁部には、各辺毎に、PL面70aから窪んだ係合凹部77a〜77dが設けられている。実施例において、係合凹部77a〜77dは、断面形状が矩形とされ、開口部の内側となる稜線には、所謂C面取りされた面取り部77a1〜77d1が形成されている。
金型Kの型締め動作において、係合凹部77a〜77dには、係合リブ57a〜57dがそれぞれガタなく嵌り込むようになっている。例えば、係合凹部77aには係合リブ57aが嵌り込み、係合凹部77bには係合リブ57bが嵌り込む。
入れ子体70Tには、対向する一対の側面(図3においては左右の面)を貫いて、水路部73を構成する貫通路73aが形成されている。
すなわち、貫通路73aは、装着用プレート75a,断熱板74a,入れ子70,及び断熱板74cを貫いて形成されている。
この例において、貫通路73aは、センター振り分けで平行に一対形成されている。
断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eは、一般的な市販の断熱材を加工して適用することができる。例えば、酸化アルミ二ウムや炭化ケイ素などを主成分とする無機化合物の断熱材である。
具体例としては、菱電化成株式会社製の「ミオレックス(登録商標),PMX−561」や、アスザック株式会社製の「アルシーマL(商標)」がある。
この断熱材の選定においては、熱膨張率が、入れ子50及び入れ子70、並びに、固定側型板1及び可動側型板21(以下、型板側材と称する。)の材料の熱膨張率よりも小さいものを選定する。
型板側材を「HPM−PRO」とした場合、断熱材の具体例におけるPMX−561は、熱膨張率が9.0x10−6/℃であり、型板側材よりも小さいので好適である。
また、断熱材のヤング率が、型板側材のヤング率よりも小さくなるように、型板側材と断熱材との組み合わせを選定するとよい。
断熱材の具体例における「アルシーマL」は、熱膨張率が2.1x10−6/℃(常温〜800℃),ヤング率;115GPaであるから、型板側材を「HPM−PRO」とした組み合わせは好適な例の一つとなる。
上述した構成において、係合リブ57a〜57dの面取り部57a1〜57d1と、係合凹部77a〜77dの面取り部77a1〜77d1とは、固定型KTと可動型KDとが組み合わされたときに互いに対応する位置に設けられている。
これにより、金型Kの型締め動作のときに、係合リブ57a〜57dと係合凹部77a〜77dは、係合案内部KAとして互いにガイドし合って係合が進行するので、型締め動作が極めてスムースに行われ、かじりや衝突が生じる虞はほとんどない。
また、係合リブ57a〜57dは、キャビティ部51が形成された部材と同じ部材(入れ子50)に設けられ、係合凹部77a〜77dは、キャビティ部71が形成された部材と同じ部材(入れ子70)に設けられているので、異なる部材に形成されている場合に懸念される熱膨張率の違いに起因するかじりや入れ子同士の衝突を有効に防止することができる。
また、型締め動作の際の、キャビティ部51とキャビティ部71との位置決めが、各キャビティ部51,71の至近位置でなされるので、寸法のずれ等が生じ難く、成形品を高精度に成形することができる。
また、断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eの熱膨張率が、型板側材の熱膨張率よりも小さいので、断熱板を設けない場合と比較して、固定側型板1及び可動側型板21に対して入れ子50,70側から加えられるそれらの膨張に起因する力を、断熱板の厚さに応じた分だけ低減することができる。
これにより、固定側型板1及び可動側型板21の内部応力やそれに伴う歪みを低減することができる。
また、断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eの材料を、ヤング率が型板側材のヤング率よりも小さいものにすることにより、入れ子50,70の膨張の変形が、断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eの収縮により吸収される。
従って、固定型KT及び可動型KD全体の内部応力やそれに伴う歪みを良好に低減することができる。
この場合、断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eは、型板側材よりも変形し易くなっており、クッション材としての機能を有するものとしてみることができる。すなわち、型板側材と同じ材料で形成された入れ子50,70は、断熱板54a〜54e,74a〜74eにより弾性的に支持されているとみなすことができる。
これにより、係合リブ57a〜57dと係合凹部77a〜77dとの係合に際し、入れ子50と入れ子70との係合案内が無理なく行われるので、型締め動作が更にスムースに行われる。
入れ子体50T,70Tに設けられる水路部53,73について、入れ子体50Tの水路部53を代表とし、図4(a),(b)を参照して説明する。
図4(a)は、図2におけるS3−S3位置での入れ子体50Tの断面図に基づいて水路部53を形成する手順を説明するための模式的断面図である。
図4(b)は、形成された水路部53を説明するための模式的断面図である。
図4(a)において、入れ子50には予め貫通孔50cを、キャビティ部51の近傍に所定の内径Daで形成しておく。また、断熱板54a,54c及び装着用プレート55aには、それぞれ貫通孔50cと同心となるように内径Daに等しい内径Dbで貫通孔55a1,54a1,50c,及び54c1を形成しておく。
入れ子50に断熱板54a,54c,及び装着用プレート55a等を組み付けて入れ子体50Tとすると、貫通孔55a1,54a1,50c,及び54c1が同心で連通した貫通路53aが構成される。
入れ子体50Tを、固定側型板1に設けられた入れ子収容部1Rに収めると、貫通路53aは、それに対応して固定側型板1に設けられた貫通孔1hと同心で連通する。
この状態で、貫通孔1h及び貫通路53aに、中空のパイプ58を挿通(貫くように嵌入)する。パイプ58は、例えば銅製のものを用いるとよい。貫通孔50cは、その内径Daがパイプ58の外径Ddと同じになるよう高精度に形成しておく。
これにより、貫通孔50cの内面とパイプ58の外周面との間で良好な熱交換が行われる。また、貫通孔50cの内面とパイプ58の外周面との間にシリコングリスを介在させて、熱交換効率を更に向上させてもよい。
図4(b)において、貫通路53aに挿通したパイプ58の両端部を継手(図示せず)を介して外部に通じる配管と接続する。
入れ子体70Tにおいても同様に貫通孔70cを含む貫通路73aを構成し、貫通路73aに中空のパイプ78を挿通する。
水路部53,73は、金型の強度上支障がない範囲においてそれぞれキャビティ部51,71にできるだけ近い位置に設けるのが好ましい。
パイプ58,78には、温度調節装置91により制御された所定の温度及び量の熱媒体(例えば水)が供給され、入れ子50,70の温度が調節される。
入れ子体50Tには、キャビティ部51の表面近傍に温度センサの検出部SN5が取り付けられている。同様に、入れ子体70Tには、キャビティ部71の表面近傍に温度センサの検出部SN7が取り付けられている(図1及び図5参照)。
図5に示されるように、外部の温度調節装置91は、検出部SN5,SN7から出力された温度情報に基づき、固定側型板1及び可動側型板21、並びに、入れ子50及び入れ子70の温度が予め設定された目標温度になるよう、水孔4及び水孔24、並びに、水路部53及び水路部73に流す流体(例えば水)の温度及び量を、それぞれ独立に制御する。
具体的には、固定側型板1の水孔4には、温度調節装置91の固定側型板温調部91aにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、可動側型板21の水孔24には、温度調節装置91の可動側型板温調部91bにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体50Tの水路部53におけるパイプ58には、固定側入れ子体温調部91cにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体70Tの水路部73におけるパイプ78には、可動側入れ子体温調部91dにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
各温調機91a〜91dの制御は、金型Kの温度を統括的に制御する温度制御部91SGによりそれぞれが連携するように制御される。
温度制御部91SGは、金型Kで射出成形が行われるときには、射出成形機の動作を制御する動作制御部SGと協同し、射出成形機の動作と金型Kの温度との連携的制御を担う。
<変形例>
金型Kは、上述の2プレートタイプに限定されず、例えば3プレートタイプであってもよい。3プレートタイプは、金型Kの開閉動作に伴ってスプルーランナーが分離され、多数個取りが容易な構造であるから、成形品が小物の場合に好適な構造である。
そこで、変形例として、3プレートタイプの多数個取りとした場合の入れ子の例について詳述する。
図6は、3プレートタイプの固定側型板1Aに着脱自在に取り付けられる入れ子体60Tの斜視図であり、図7は、図6におけるS4−S4位置での断面図である。図6に示された入れ子体60Tには、温度調節用の配管類が取り付けられている。
図8は、3プレートタイプの可動型型板に着脱自在に取り付けられる入れ子体80Tの斜視図である。
図9(a)は、図6におけるS4−S4位置での入れ子体60Tの断面図に基づいて水路部63を形成する手順を説明するための模式的断面図である。
図9(b)は、形成された水路部53を説明するための模式的断面図である。
この入れ子体60T,80Tは、小物成形品を6個取りするものであって、単部品に対応した2個取りの駒60K,80Kが3列にて、入れ子体60T,80Tにそれぞれ着脱自在とされている。
入れ子体60Tは、図6及び図7に示されるように、二つのキャビティ部61を有する3個の駒60Kを並設して装着可能な直方体の空間を形成する駒装着部60sを有し、外形が概ね直方体を呈する入れ子60と、入れ子60の四つの側面にそれぞれネジ等で取り付けられた断熱板64a〜64dと、入れ子60のパーティングラインPL位置となるPL面60aの反対面(裏面)60bにネジ等で取り付けられた断熱板64eと、断熱板64a,64bの外側にそれぞれネジ等で取り付けられた装着用プレート65a,65bと、入れ子60に対して断熱板64eを挟んで固定された強度維持用のプレート69と、を有している。図6において、断熱板64a〜64dは、判別容易のため点描処理してある。
装着用プレート65a,65bは、それぞれ段付き孔66を複数箇所有し、この段付き孔66を利用してボルトにより固定側型板に対してネジ止めされる。
すなわち、入れ子60は、PL面60a以外の側面及び裏面の全面が、断熱板64a〜64eによって覆われている。それによって、入れ子60と入れ子60の外側で隣接している部材との間に断熱板64a〜64eが介在する構造になっている。
この例では、断熱板64a〜64eと固定側型板1Aとはボルトで締結されていない。また、装着用プレート65a,65bは、外側面が、奥側から表面側(PL面60a側)に向かうに従い外方へ張り出すように傾斜した平形の楔状に形成されており、所謂コッターとして機能している。
入れ子60の縁部には、各辺毎に、PL面60aから突出した係合リブ67a〜67dが設けられている。
係合リブ67a〜67dは、断面形状が矩形とされ、先端部の内側となる稜線には所謂C面取りされた面取り部67a1〜67d1が形成されている。
プレート69には、温度調節用の水路となる水孔69aが複数形成されている。各水孔69aには、水管69bが直接に接続される。
また、入れ子体60Tにおける入れ子60の対向する一対の側面(図6においては左側と右側との面)を貫いて、温度調節用の水路部63を構成する貫通路63aが形成されている。貫通路63aは、装着用プレート65b,断熱板64b,入れ子60,及び断熱板64dを貫いて形成されている。
この貫通路63aは、図7に示されるように、駒60Kを貫くように形成されていてもよい。
可動型KDの可動側型板に取り付けられる入れ子体80Tは、入れ子体60Tと概ね同様に、二つのキャビティ部81を有する3個の駒80Kを並設して装着可能な直方体の空間を形成する駒装着部80sを有する入れ子80と、入れ子80の四つの側面にネジ等で取り付けられた断熱板84a〜84dと、入れ子80のパーティングラインPL位置となるPL面80aの反対面(裏面)にネジ等で取り付けられた断熱板64e(図示せず)と、断熱板84a,84bの外側にそれぞれネジ等で取り付けられた装着用プレート85a,85bと、入れ子80に対して断熱板84eを挟んで固定された強度維持用のプレート89と、を有している。図8において、断熱板84a〜84dは、判別容易のため点描処理してある。
装着用プレート85a,85bは、それぞれ段付き孔86を複数箇所有し、この段付き孔86を利用してボルトにより可動側型板側の部材に対してネジ止めされる。
すなわち、入れ子80は、PL面80a以外の側面及び裏面の全面が、断熱板84a〜84eによって覆われている。それによって、入れ子80と入れ子の外側で接触している部材との間に断熱板84a〜84eが介在する構造になっている。
この例では、断熱板84a〜84eと可動側型板とはボルトで締結されていない。また、装着用プレート85a,85bは、外側面が、奥側から表面側(PL面80a側)に向かうに従い外方へ張り出すように傾斜した平形の楔状に形成されており、所謂コッターとして機能している。
入れ子80の縁部には、各辺毎に、PL面80aから窪んだ係合凹部87a〜87dが設けられている。
係合凹部87a〜87dは、断面形状が矩形とされ、開口側の内側稜線には所謂C面取りされた面取り部87a1〜87d1が形成されている。
金型Kの型締め動作において、係合凹部87a〜87dには、係合リブ67a〜67dがそれぞれガタなく嵌り込むようになっている。
プレート89には、温度調節用の水路となる水孔89aが複数形成されている。各水孔89aには、水管89bが直接的に接続される。
また、入れ子体80Tにおける入れ子80の対向する一対の側面(図8においては左右の面)を貫いて、水路部83を構成する貫通路83aが形成されている。
すなわち、貫通路83aは、装着用プレート85b,断熱板84b,入れ子80,及び断熱板84dを貫いて形成されている。
貫通路83aは、貫通路63aと同様に、駒80Kを貫くように形成されていてもよい。
貫通路63a,83aが駒60K,80Kを貫く場合の水路部63,83について、入れ子体60Tの水路部63を代表とし、図9(a),(b)を参照して説明する。
図9(a)は、図6におけるS5−S5位置での入れ子体60Tの断面に基づいて水路部63を形成する手順を説明するための模式的断面図である。
図8(b)は、形成された水路部63を説明するための模式的断面図である。
図8(a)において、入れ子60及び各駒60Kには、同心となる貫通孔60c,60Kcを、入れ子60又及び各駒60Kの近傍に、所定の内径Deで予め形成しておく。また、断熱板64b,64d及び装着用プレート65bには、それぞれ貫通孔60c,60Kcと同心となるように内径Dcよりも大きい内径Dfで貫通孔64d1,64b1,65b1を形成しておく。
入れ子60に断熱板64d,64b,及び装着用プレート65bを組み付けて入れ子体60Tとすると、貫通孔64d1,60c,60Kc,64b1,及び65b1が同心で連通した貫通路63aが構成される。
入れ子体60Tを、固定側型板1Aに設けられた入れ子収容部1ARに収めると、貫通路63aは、それに対応して固定側型板1Aに設けられた貫通孔1Ahと同心で連通する。
図8(b)に示されるように、この状態で、貫通孔1Ah及び貫通路53aに中空のパイプ68を挿通(貫くように嵌入)する。パイプ68は、例えば銅製のものを用いるとよい。貫通孔50c及び複数の貫通孔60Kcは、それらの内径Deがパイプ68の外形Dgと同じになるよう高精度に形成しておく。
これにより、貫通孔60c及び複数の貫通孔60Kcの内面とパイプ68の外周面との間で良好な熱交換が行われる。また、貫通孔60c及び複数の貫通孔60Kcの内面とパイプ68の外周面との間にシリコングリスを介在させて、熱交換効率をより向上させてもよい。
図9(b)において、貫通路63aに挿通したパイプ68の両端部を継手(図示せず)を介して外部に通じる配管と接続する。
入れ子体80Tにおいても同様に貫通路83aを構成し、貫通路83aにパイプ88を挿通させてもよい。
水路部63,83は、金型の強度上支障がない範囲においてそれぞれキャビティ部61,81にできるだけ近い位置に設けるのが好ましい。
パイプ68,88には、温度調節装置91Aにより制御された所定の温度及び量の熱媒体(例えば水)が供給され、入れ子60,80の温度が調節される。
入れ子体60Tには、キャビティ部61の表面近傍に温度センサの検出部SN6(図5参照)が取り付けられている。同様に、入れ子体80Tには、キャビティ部81の表面近傍に温度センサの検出部SN8(図5参照)が取り付けられている。
図5に示されるように、外部の温度調節装置91Aは、検出部SN6,SN8から出力された温度情報に基づき、固定側型板(図示せず),入れ子60,可動側型板(図示せず),及び入れ子80の温度が予め設定された目標温度になるよう、水孔69a,89a及び水路部63,83などに流す流体の温度及び量を、それぞれ独立に制御する。
具体的には、固定側型板の水孔には、温度調節装置91の固定側型板温調部91Aaにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、可動側型板の水孔には、温度調節装置91の可動側型板温調部91Abにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体60Tの水路部63におけるパイプ68には、固定側入れ子体温調部91Acにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体80Tの水路部83におけるパイプ88には、可動側入れ子体温調部91Adにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体60Tの水孔69aには、固定側入れ子体温調部91Ae(破線)により温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
また、入れ子体80Tの水孔89aには、可動側入れ子体温調部91Afにより温度及び量が制御された熱媒体(例えば水)が循環供給される。
各温調機91Aa〜91Afの制御は、金型Kの温度を統括的に制御する温度制御部91ASGによりそれぞれが連携するように制御される。
温度制御部91ASGは、金型Kで射出成形が行われるときには、射出成形機の動作を制御する動作制御部SGと協同し、射出成形機の動作と金型Kの温度との連携的制御を担う。
上述の変形例は、実施例と同様の効果を奏する。
すなわち、金型Kの型締め動作のときに、係合案内部KAとして係合凹部87a〜87dでに係合リブ67a〜67dがそれぞれガタなく嵌り込む。それぞれに面取り部が形成されていることもあり、互いにガイドし合って係合が進行するので、型締め動作が極めてスムースに行われ、かじりや衝突が生じる虞はほどんどない。
また、各係合リブと各係合凹部及び各凹部とは、キャビティ部61,81が形成された部材と同じ材質の部材(入れ子60,80)に設けられているので、異なる材質の部材やそれを間に挟んで組み立てられている場合に懸念される熱膨張率の違いに起因するかじりや入れ子同士の衝突を有効に防止することができる。
また、型締めの際の、キャビティ部61とキャビティ部81との位置決めがそれらの至近位置でなされるので、寸法のずれ等が生じ難く、成形品を極めて高精度に形成することができる。
また、断熱板64a〜64e及び断熱板84a〜84eの材料を、実施例と同じ材料にし、駒60K及び駒80Kの材質を実施例の型板側材の材質と同じにすると共に、型板側材及び駒の材質と、断熱材の材質と、の組み合わせも実施例の場合と同じにするとよい。
これにより、固定側型板1及び可動側型板21の内部応力を低減することができる。また、係合リブ67a〜67dと係合凹部87a〜87dとの係合などの係合に際し、案内が無理なく行われ、型締め動作が更にスムースに行われる。
上述の実施例及び変形例によれば、例えば、キャビティ部51及び水路部53に代表されるように、キャビティ部近傍の、キャビティ部に極めて近い位置に温度調節用の水路部53を設けることができる。また、製品を多数個取りするために、複数の駒を用いた金型構造の場合でも、パイプ68,88を用いることで複数の駒60K,80Kを貫通する水路を配設することができる。
これにより、入れ子や駒のキャビティ部の温度調節をより厳密に行うことができ、無駄な熱が生じ難いので、金型の温度調節効率が向上する。
また、各キャビティ部の至近位置に水路を設けることで、入れ子及び駒の奥行き寸法を短くすることができる。これにより、入れ子50,60,70,80及び駒60K,80Kの体積をより小さくすることができ、入れ子若しくは駒を、僅かな量の熱の付与又は僅かな量の熱の除去で所望の温度にすることができる。換言するならば、温度の昇降を極めて高速で制御することができる。これにより、成形サイクルの短い成形を行うことができる。
このように、キャビティ部の至近位置に水路部を設けた構成の場合、成形動作においてそのサイクルを徐々に短くしていくと、あるサイクルタイム以下で、水路部に供給する水の温度と量を変化させずに一定としても、樹脂充填時のキャビティ内に射出される樹脂からの熱の供給による昇温と、樹脂充填後の水路部を流れる水及び外部放熱による降温と、のバランスがとれて、成形品が良品と判定される良好な成形を継続して行うことが可能になることが明らかになった。
それは、例えば、6個取りの各成形品サイズが体積換算で10〜20mm角の立方体程度であって、射出樹脂温度が340℃〜360℃、キャビティ部の表面温度が80〜140℃、で良品成形可能な場合に、供給する水の温及び量を調節することで可能となる。例えば、一対の水路のパイプに循環供給する水を、水温70℃,20L/分の一定にすることで、サイクルタイムを約30%短縮しても安定成形が可能になった。
この射出成形方法を実現する具体的手順の一例を、フロー図である図10を参照して説明する。
この手順は、量産前の成形条件出しの出順であって、詳しくは、サイクルタイムCT、並びに、熱媒体の温度及び流量の条件組Jを設定するものである。
図10のフローにおいては、サイクルタイムをCT(I)秒 (ただし、Iは正の整数)で示し、CT(I)>CT(I+1)とする。
また、熱媒体の温度及び流量の条件組JをJ(K) (ただし、Kは正の整数)とする。Kの違いにより条件組の違いを示す。
まず、予め設定した第1番目の条件で成形する。すなわち、I=1,K=1とし(Step1)、CT(1),J(1)の条件で成形する(Step2)。
得られた成形品を、品質判定手順に基づいて良否判定する(Step3)。
(Step3)の良否判定で、不良と判定された場合(No)、条件組Jを次番目の条件に変更(Step4)する。
そして、次番目が予め設定した上限値N(Nは正の整数)に達しているか否かを判定する(Step5)。
上限値Nに達した場合(Yes)は、CT1の設定に無理があるので再設定として手順遂行を中止する(Step6)。
上限値Nに達していない場合(No)は、(Step2)へ戻り成形を実行する。
(Step3)の良否判定で、良品と判定された場合(Yes)、更なるサイクルタイムの短縮のため、次番目の条件に変更し(Step7)、成形を行う(Step8)。
得られた成形品を、品質判定手順に基づいて良否判定する(Step9)。
(Step9)の良否判定で良品と判定された場合(Yes)、サイクルタイムを次番目として更なる短縮を図るべく(Step7)へ戻り実行する。
(Step9)の良否判定で不良と判定された場合(No)、条件組Jを次番目の条件に変更する(Step10)。
そして、次番目が予め設定した上限値Nに達しているか否かを判定する(Step11)。
上限値Nに達していない場合(No)、(Step8)へ戻り成形を実行する。
上限値Nに達した場合(Yes)は、成形品が良品と判定された最後の条件、すなわち、CT(I−1),J(N−1)を量産の成形条件として採用し、設定する(Step12)。
この手順は、まず、サイクルタイムを予め設定した第1のサイクルタイムとし、事前の試し成形における温度センサの検出部SN6,SN8で測定したキャビティ部近傍の温度に基づき、温度調節装置91Aによって熱媒体(例えば水)の温度及び流量を一定とした第1の条件組を設定し、成形を行う。
次に、その成形で得られた成形品が、品質判定ステップで良品と判定される範囲内で成形サイクルを徐々に短縮して成形を行い、良品が得られなくなったサイクルタイムで、今度は熱媒体の温度及び流量の組み合わせを異ならせた別の条件組で、良品が得られるか否かを試みる。この試みは、上限をNとした異なるN個の条件組まで実行を試みる。
最終的に、N個の条件替えで良品が得られなくなったら、その直前の、良品が得られたサイクルタイムと条件組とを、量産条件として採用し、設定する、というものである。
この手順を含む射出成形方法によれば、金型の温度を昇降させるための外部からの加熱と冷却とを交互に行うことなく、常に一定冷却することで安定した成形が可能である。その結果、成形サイクルを顕著に高速化できる。
本発明の実施例及び変形例は、上述した構成及び手順に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において別の変形例としてよい。
断熱板54a〜54e及び断熱板74a〜74eは、その内のいずれか又はすべてについて、材料の断熱材としてガラス繊維を含むものを使用してもよい。
この場合、断熱板を、その長手方向がガラス繊維の配向方向となるように形成する。これにより、優れた断熱性能を確保しつつ断熱板の厚さ方向の変形し易さが維持され、断熱板によって入れ子50,70の膨張を良好に吸収することができる。
温度調節のための熱媒体の流路である水路部53,63,73,83及び水孔4,24,69a,89aに供給される熱媒体は水(熱水を含む)に限定されない。水以外の油等の液体や気体であってもよい。
例えば、装着用プレート55a,55bは、入れ子収容部1Rの内側面に対応した外側面が傾斜面となっており、所謂コッターとして機能する。このコッターの機能を、装着用プレート55aではなく、その反対側の断熱板54cに付与する等の変形例としてよい。
この変形例の内の三つの例について、実施例の入れ子体50Tを代表として図11(a)〜(c)を参照して説明する。
図11(a)〜(c)は、入れ子体50Tを図2における上方から見た上面図である。
図11(a)に示された変形例は、断熱板54aの外側面54a1がPL面50aに近づくほど内側に向く傾斜面とされ、装着用プレート55aの断熱板54aに対向する対向面55a2が同様の傾斜面された構造である。
この構造において、入れ子体50Tは、入れ子収容部1R(図11には不図示)に納められた後、装着用プレート55aがコッターとして、段付き孔56を利用してボルト締結されることにより固定側型板1に固定される。
図11(b)に示された変形例は、装着用プレート55aは不使用とし、断熱板54aの外側面54a1がPL面50aに近づくほど外側に向く傾斜面とされると共に断熱板54aに段付き孔56が設けられ、外側面54a1に対応する入れ子収容部1Rの内側面が同様の傾斜面とされた構造である。
この構造において、入れ子体50Tは、入れ子収容部1Rに納められた後、断熱板54aがコッターとして、段付き孔56を利用してボルト締結されることにより固定側型板1に固定される。
図11(c)に示された変形例は、装着用プレート55aは不使用とし、断熱板54aの内側面54a2がPL面50aに近づくほど内側に向く傾斜面とされると共に断熱板54aに段付き孔56が設けられ、内側面54a2に対応する入れ子50の外側面50dが同様の傾斜面とされた構造である。
この構造において、入れ子体50Tは、入れ子収容部1Rに納められた後、断熱板54aがコッターとして、段付き孔56を利用してボルト締結されることにより固定側型板1に固定される。
この構造により、入れ子体50Tの入れ子収容部1Rへの固定において、断熱板54a〜54e及び入れ子50と固定側型板1とはボルトで締結されずに固定される。
従って、入れ子50の熱が、ボルトを介して固定側型板1へ逃げることがなく、入れ子50の温度変化が抑制される。
これにより入れ子50の寸法が安定し、成型上の不具合発生が抑制される。
これらの構造は、他の入れ子体60T,70T,80Tにおいても同様に適用でき、同様に温度変化の抑制及びそれに伴う寸法安定化が図れて成形上の不具合発生が抑制される。
入れ子体50Tの入れ子収容部1Rへの固定において、断熱板54a〜54e又は入れ子50と固定側型板1とをボルトで締結する場合は、締結においてボルトの首下に介在させるワッシャを、断熱材で形成したものにするとよい。
これにより、入れ子体50T側の熱が固定側型板1へ逃げる熱量を抑制することができる。
このワッシャの利用構造の例は図12に模式的断面図として示される。
図12には、固定側型板101と、固定側型板101に設けられた入れ子収容部101Rと、入れ子収容部101Rに収容された入れ子体150Tと、入れ子体150Tを固定するボルト102及びその首下に介在されたワッシャ103と、が記載されている。
入れ子体150Tは、入れ子50とその五つの側面に対し固定側型板101との間に配設された断熱板(図12では断熱板154a〜154cのみ図示)と、を有している。
ボルト102は、固定側型板101に設けられた段付き孔101aを利用して入れ子150に設けられた雌ねじ部150aに螺合し、固定側型板101と入れ子体150Tとを締結している。
ワッシャ103は、断熱材で形成され、段付き孔101aの大径孔部においてボルト102の首下部分に介在している。
ワッシャ103の材料となる断熱材の種類は限定されるものではなく、例えば、酸化アルミ二ウムや炭化ケイ素などを主成分とする無機化合物である。
1,1A,101 固定側型板、 1a,21a PL面
1R,21R,101R 入れ子収容部
1h 貫通孔
2 ガイドピンブッシュ、 3 スプルーブッシュ、 3a スプルー
8 ノズル進入孔、 52 ブッシュ孔
51,61,71,81 キャビティ部
21 可動側型板、 22 ガイドピン
50,60,70,80,150 入れ子、
50a,60a,70a,80a PL面、
50b,60b,70b 反対面(裏面)
50c,54a1,54c1,55a1,60c,60Kc,64b1,64d1,65b1,70c 貫通孔
50T,60T,70T,80T,150T 入れ子体
53,63,73,83 水路部
53a,63a,73a,83a 貫通路
54a〜54e,64a〜64e,74a〜74d,84a〜84d,154a〜154c 断熱板
54a1 外側面, 54a2 内側面
55a,55b,65a,65b,75a,75b,85a,85b 装着用プレート
55a1 対向面
56,66,76,86,101a 段付き孔
57a〜57d,67a〜67d,87b,87d 係合リブ
57a1〜57d1,67a1〜67d1,77a1〜77d1,87b1,87d1 面取り部
58,68,78,88 パイプ
60K,80K 駒、 60s,80s 駒装着部
69,89 プレート
4,24,69a,89a 水孔、 69b,89b 水管
77a〜77d,87a,87c 係合凹部
91,91A 温度調節装置
91a,91Aa 固定側型板温調部
91b,91Ab 可動側型板温調部
91c,91Ac,91Ae 固定側入れ子体温調部
91d,91Ad,91Af 可動側入れ子体温調部
91SG,91ASG,SG 制御部
102 ボルト, 103 ワッシャ
CT サイクルタイム
SN5〜SN8 (温度センサの)検出部
Da〜Df 内径、 Dd,Dg 外径、 J 条件組
KA 係合案内部
K 射出成形金型(金型)、 KD 可動型、 KT 固定型

Claims (8)

  1. 固定型及び可動型を備え、型締め状態で前記固定型と前記可動型とにより形成されるキャビティの内部に射出成形機からスプルーブッシュを介して樹脂が充填されることにより樹脂成形品を成形する金型構造であって、
    前記固定型は、前記射出成形機のノズルが進入するノズル進入孔を有する固定側型板と、前記固定側型板に設けられた固定側入れ子収容部と、前記固定側入れ子収容部に収容された固定側入れ子と、前記固定側入れ子収容部と前記固定側入れ子との間に配置された固定側断熱部材と、を有し、
    前記可動型は、可動側型板と、前記可動側型板に設けられた可動側入れ子収容部と、前記可動側入れ子収容部に収容された可動側入れ子と、前記可動側入れ子収容部と前記可動側入れ子との間に配置された可動側断熱部材と、を有し、
    前記スプルーブッシュは、前記ノズル進入孔に臨み、かつ前記固定側断熱部材の外側に突出しないように設けられており、
    前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、前記キャビティの一部を形成するキャビティ部及び前記キャビティ部の近傍を通る熱媒体流通用の貫通孔を有していることを特徴とする金型構造。
  2. 前記固定側入れ子又は前記可動側入れ子の前記貫通孔に、熱媒体を流通させる中空パイプが嵌入されていることを特徴とする請求項1に記載の金型構造。
  3. 前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、それぞれ前記固定側入れ子収容部及び前記可動側入れ子収容部に対し、断熱材で形成されたコッターを用いると共に、前記コッターの傾斜面に対応する傾斜面を、前記固定側入れ子収容部及び前記可動側入れ子収容部、又は、前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子に設けて固定される構成としたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の金型構造。
  4. 前記固定型と前記固定側入れ子とが、又は、前記可動型と前記可動側入れ子とが、ボルト及び断熱材で形成され前記ボルトの首下に介在させたワッシャを用いて締結されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の金型構造。
  5. 前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子は、一方側が凸部、他方側が凹部とされ、互いに係合して型締め動作を案内する係合案内部を有し、
    前記係合案内部は、前記固定側入れ子及び前記可動側入れ子の縁部において各辺に設けられていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の金型構造。
  6. 金型のキャビティ内に樹脂を充填して樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
    前記金型の構造として請求項1記載の金型構造を用い、
    温度センサにより前記キャビティ近傍の型温を測定し、
    得られた前記型温に基づいて設定した温度及び流量の熱媒体を、前記貫通孔内に供給することにより型温調整をして前記樹脂成形品の成形を行うことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  7. 金型のキャビティ内に樹脂を充填して樹脂成形品を製造する樹脂成形品の製造方法であって、
    前記金型の構造として請求項2〜のいずれか1項に記載の金型構造を用い、
    温度センサにより前記キャビティ近傍の型温を測定し、
    得られた前記型温に基づいて設定した温度及び流量の熱媒体を、前記貫通孔に前記中空パイプが嵌入されていない場合には前記貫通孔内に供給し、嵌入されている場合には前記中空パイプ内に供給することにより型温調整をして前記樹脂成形品の成形を行うことを特徴とする樹脂成形品の製造方法。
  8. 前記樹脂成形品の品質の良否を判定する品質判定ステップと、
    前記熱媒体の前記温度及び流量を一定にした成形で得られた前記樹脂成形品が、前記品質判定ステップで良品と判定される範囲内での成形サイクルの最短値を、前記樹脂成形品の量産成形サイクルとして設定する成形サイクル設定ステップと、
    を含むことを特徴とする請求項又は請求項記載の樹脂成形品の製造方法。
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