JP5385883B2 - ターゲット接合体 - Google Patents

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Description

本発明はスパッタリングターゲットをスパッタ装置に装着するためのスパッタリングターゲットとバッキングプレートをボンディング材を介して接合したターゲット接合体に関するものである。
テレビ、ノートパソコン、その他のモニターの用途で形成される液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を構成する表示装置用薄膜や、光記録分野、半導体分野における配線膜等の形成には、一般にスパッタリング法が採用されている。スパッタリング法とは、基板とスパッタリングターゲット(以後、ターゲット材と称する)との間でプラズマ放電を形成し、該プラズマ放電によりイオン化した気体をターゲット材に衝突させて、該ターゲット材の原子をたたき出し基板上に堆積させて薄膜を作製する方法であり、真空蒸着法やAIP法と異なり、ターゲット材と同じ組成の薄膜を形成できるメリットを有する。
このスパッタリング法に用いる上記ターゲット材としては、一般に長方形状、円盤状等の平板状のものが使用され、該ターゲットは、その冷却や支持を目的にバッキングプレート(支持体)にはんだ等でロウ付けされた状態で用いられるのが一般的である。
ところで上記バッキングプレートは、上述の通り、成膜時に加熱されたターゲットの冷却を目的としていることから、一般に熱伝導率の高い純Cu製、Cu合金製、純Al製またはAl合金製のものが使用されている。一方、上記バッキングプレートに取り付けられるターゲット材は、形成する薄膜に応じた金属材料からなり、例えばAl、Cu、Mo、Ta、Ti、Agなどの金属、またはこれらの合金など、様々な金属材料のものが使用される場合が多い。またターゲット材とバッキングプレートの接合には、熱伝導性と導電性が良好な低融点はんだ(例えばIn系、Sn系等の金属)などのボンディング材を用いたメタルボンディングが一般的に行われている。
メタルボンディングによるターゲット材とバッキングプレートとの接合は、通常、ターゲット材とバッキングプレートの間にボンディング材を配置した後、加熱処理してボンディング材を溶融させてターゲット材とバッキングプレートを融着し、この状態で室温まで冷却することによって、ターゲット材とバッキングプレートとを接合させている。
しかし、ターゲット材とバッキングプレートが異なる金属材料である場合、熱膨張率に差があるため、ボンディング材を溶融させてターゲット材とバッキングプレートを融着した後、室温まで冷却すると、ターゲット材とバッキングプレートの熱膨張後の収縮差や、ボンディング材の凝固収縮によって生じる応力など、加熱処理に起因してターゲット接合体に反りが生じていた。このような反りが生じると、ターゲット接合体をスパッタ装置に取り付けることが困難となったり、ボンディング材にクラックが生じて、ターゲット材が消耗する前にターゲット材とバッキングプレートが分離し、繰り返し成膜できなくなる等といった不具合が発生する原因となっていた。特にターゲット材が大型化すると、前記収縮差が大きくなり、また前記凝固収縮による応力の影響も受けやすくなるため、反りの矯正作業が必要になり、生産性が低下することからターゲット接合体の反りの抑制が求められていた。
ターゲット材とバッキングプレートをロウ付けして得られる積層体の上記問題を解消し得るものとして、例えば特許文献1には、ボンディング材を介してターゲット材とバッキングプレートを接合したものであって、該バッキングプレートに、ボンディング材用の凹陥部を設けると共に、該凹陥部と連通する連通窪み部を該凹陥部の外周壁に形成したものが提案されている。この様な構造とすることで、ボンディング材が凝固収縮する場合でも、ターゲット材の反りが発生しないと示されている。しかし該技術は、ボンディング部(ロウ材)の剥離を問題とするものでなく、またバッキングプレートとして複雑な形状のものを用意しなければならないといった問題がある。
特許文献2には、スパッタリングターゲットよりも熱膨張率の大きな板材と小さな板材をバッキングプレートの片面にそれぞれ配置して一体化すれば、温度変化によるバッキングプレートの反りを防止し、かつ支持するターゲットと同等の熱膨張特性を付与でき、ターゲットの反りや亀裂、ロウ接部の剥がれなどを抑制できると示されている。しかし該技術の場合も、バッキングプレートの構造が複雑となるといったデメリットがある。
また特許文献3には、ターゲットとバッキングプレートをAl合金で形成することで、線膨張率の差を縮めることが提案されている。しかし該技術におけるターゲットとバッキングプレートの組み合わせでは、ターゲットとしてAl−Nd合金が用いられる場合においては、両者の熱膨張率の差が十分に縮められておらず、上記ロウ材の亀裂を確実に抑制することができない。
特許文献4や特許文献5には、Al−Nd合金薄膜のスパッタリングで生じる応力を抑制して、反りの矯正を省略できる支持体として、25〜100℃における平均線膨張係数を制御したAl合金を用いることが提案されている。しかしながら、この支持体を適用できるターゲットは、Al−Nd合金に限定されており、使用対象が限られるという問題があった。
特開2003−183822号公報 特開平08−246144号公報 特開平10−046327号公報 特開2006−144118号公報 特開2006−144119号公報
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、ターゲット材とバッキングプレートとをボンディング材を介してターゲット接合体とする際の反りの発生を抑制し、さらにはスパッタリング中の温度上昇に起因するターゲット材とバッキングプレートとの剥離や破壊を効果的に防止し、且つ導電性に優れたターゲット接合体を提供することにある。特にターゲット材をバッキングプレートに繰り返し装着するための接合、分離作業の手間を大幅に簡素化し、生産性を向上させる技術を提供することにある。
上記課題を達成し得た本発明とは、スパッタリングターゲットとバッキングプレートがボンディング材を介して接合されてなるターゲット接合体において、前記ボンディング材は、室温から150℃までにおける粘着力S(N/cm)が0.4以上である耐熱性粘着材であり、前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの接合面積に対する前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(A%)が80%以下であると共に、前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(A%)と、単位面積あたりの前記スパッタリングターゲットの自重F(N/cm)との関係が下記(1)式を満たし、且つ前記耐熱性粘着材が貼着していない前記接合面の少なくとも一部に、耐熱性及び導電性を有するスペーサーが介在していることに要旨を有するターゲット接合体である。
1.0≦[(S×A)/F] ・・・(1)
(式中、F:前記スパッタリングターゲットの自重(N/cm)、S:前記耐熱性粘着材の粘着力(N/cm)、A:前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(%))
本発明では、耐熱性粘着材が両面テープであることが好ましく、また上記耐熱性粘着材の210℃における粘着力は、0.02(N/cm)以下であることも好ましい実施態様である。
また本発明では、上記耐熱性スペーサーは、Sn合金であることも好ましい実施態様である。
更に本発明では、上記スパッタリングターゲットは、アルミニウム、銅、モリブデン、チタン、及び銀よりなる群から選択される少なくとも一種、又はその合金からなるものであることも好ましく、また上記バッキングプレートは、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金よりなる群から選択される少なくとも一種であることも好ましい実施態様である。
本発明によればスパッタリングの間、所定の高い粘着力を有する耐熱性粘着材(ボンディング材)を介してターゲット材とバッキングプレートを接合しているため、低融点はんだの融着による接合のように反りが生じるといった問題が生じない。よって従来のような反りの矯正作業は不要であり、さらにはスパッタリング中の温度上昇に起因するターゲット材とバッキングプレートとの剥離や破壊を効果的に防止できる。また本発明のターゲット接合体は導電性のスペーサーを介在させているため優れた導電性を有している。また本発明の好ましい態様によれば、スパッタリング時の温度を超えて加熱すると粘着力を失うような粘着材を使用しているため、ターゲット材とバッキングプレートとの接合・分離を容易に行うことができ、剥離作業の手間を大幅に簡素化できる。
図1は本発明のターゲット接合体の概略説明図(断面図)である。 図2は本発明のバッキングプレートに耐熱性粘着材とスペーサーが設置された状態を示す概略説明図(斜視図)である。 図3は実施例におけるバッキングプレートに耐熱性粘着材とスペーサーが設置された状態を示す概略説明図である。
ターゲット材とバッキングプレートをボンディング材を介してターゲット接合体とする際に、ボンディング材としてInやSnなどの低融点金属を用いた場合、加熱処理して低融点金属を溶融してターゲット材を融着させる必要であり、上記したように加熱処理に起因してターゲット接合体に反りや剥離等の問題が生じることから、本発明者らはこのような問題を解決できるターゲット接合体について鋭意研究を重ねた。その結果、ターゲット材とバッキングプレートがボンディング材を介して接合されたターゲット接合体において、ボンディング材として、スパッタリングするときの一般的なボンディング材到達温度(以下、スパッタリング時のボンディング材温度を単にスパッタリング温度と呼ぶ場合がある)である室温から150℃までにおける粘着力S(N/cm)が0.4以上である耐熱性粘着材を使用すると共に、ターゲット材とバッキングプレートの接合面積に対する耐熱性粘着材を貼着した面積の割合(面積率A%)を80%以下とし、更に耐熱性粘着材を貼着した面積率A(%)、耐熱性粘着材の粘着力S(N/cm)、及び単位面積あたりのターゲット材の自重F(N/cm)との関係が式(1)、すなわち1.0≦[(S×A)/F]となるように調節し、更に耐熱性粘着材が貼着していない接合面の少なくとも一部に、耐熱性スペーサーを介在させることによって、上記問題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
上記の耐熱性粘着材を用いれば、スパッタリング温度では0.4N/cm以上の高い粘着力を有するため、ターゲット材とバッキングプレートとの強固な接合が維持できる。好ましくは、上記耐熱性粘着材としてスパッタリング温度を超えて加熱すると粘着力が低下するものを用いれば、使用済みターゲットをバッキングプレートから容易に分離できるため、剥離作業を効率的に行なうことができる。
以下、本発明のターゲット接合体について図1を参照しながら説明する。本発明のターゲット接合体1は、ターゲット材2とバッキングプレート3がボンディング材4を介して接合されており、ボンディング材がない非接合部分の少なくとも一部には耐熱性及び導電性を有するスペーサー5(以下、単にスペーサー5という場合がある。)を介在させている。なお、図1では、非接合部分をスペーサー5が覆うように配置されているが、本発明はこれに限定されず、ターゲット接合体に要求される導電性が発揮されるのであれば、非接合部分の全部ではなくその一部にスペーサー5が配置されていても良い。
本発明に用いられるボンディング材4は、ターゲット材2とバッキングプレート3を接合するための耐熱性粘着材であって、具体的には室温から150℃までにおける粘着力Sが、0.4(N/cm)以上有する耐熱性粘着材である。
粘着力Sを0.4(N/cm)以上としたのは、粘着力Sが0.4(N/cm)未満であると、例えばスパッタ装置への取付などの取扱い時やスパッタリング中にターゲット材が自重などで剥離することがあるからである。粘着力Sは好ましくは1.0(N/cm)以上、より好ましくは2.0(N/cm)以上である。また0.4(N/cm)以上の粘着力は、室温(25℃)から150℃までの全ての温度範囲にわたって維持している必要がある。室温下で耐熱性粘着材が0.4(N/cm)以上の粘着性を有していれば、ターゲット材とバッキングプレートを室温で接合できる。また0.4(N/cm)以上の粘着力を150℃まで必要としたのは、スパッタリング時の耐熱性粘着材温度は、通常、室温から最大でも150℃程度であることを考慮したためである。そこで本発明では耐熱性粘着材の粘着力として、スパッタリング時の上限到達温度である150℃での粘着力を0.4(N/cm)以上と規定した。
また耐熱性とは、高温下においてターゲット材とバッキングプレートを接着させた状態を維持できることを指し、スパッタリング中に接着接合が解けて剥離しない性質をいう。
なお、本発明で用いられる耐熱性粘着材は上記特性に加えて、更に210℃での粘着力が0.02(N/cm)以下となるものであることも好ましい。これは上記とは別の観点である、使用済みターゲット材の分離(剥離)しやすさという観点から設定したものである。スパッタリング完了後の使用済みターゲット材は、耐熱性粘着材の粘着力が0.02(N/cm)以下となる温度まで加熱すれば、容易にバッキングプレートから分離できる。
また本発明のようにボンディング材として210℃で粘着力が0.02(N/cm)以下となる耐熱性粘着材を用いた場合は、上記従来の低融点はんだよりも低い加熱温度でターゲット材を容易に分離できるため加熱処理による反りを抑制できる。
本発明に用いられる耐熱性粘着材としては、上記要件を満足するものであれば特に限定されず、例えば熱可塑性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、PET、PBT、PEN等のポリエステル系樹脂、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルなどのアクリル系樹脂など各種耐熱性粘着材を用いることができる。
耐熱性粘着材の形態も特に限定されず、ゲル状粘着材、液状粘着材、フィルム状粘着材等、各種形態の粘着材を使用することができるが、特にフィルム状粘着材は取扱い性に優れているので望ましく、またフィルム状粘着材としてはフィルム両面に粘着性を有する両面テープが望ましい。即ち、耐熱性両面テープであれば、均一な厚さでターゲット材とバッキングプレートを接合できるので、スパッタ面の高さが均一になってスパッタリング中の放電が均一になる。また耐熱性両面テープであれば、スパッタリング中に熱応力が生じても粘着材が滑り変形することで応力を吸収するため、ターゲット接合体の反りが効果的に抑制される。両面テープを用いた場合のテープの幅、厚み、長さは特に限定されず、上記所望の粘着力S(N/cm)を維持できるように適宜調節すればよい。また耐熱性両面テープとしては特に熱剥離シート(特定の温度で粘着力を失う性質を有する粘着材)を用いると、上記した210℃、好ましくは200℃、より好ましくは170℃で0.02(N/cm)以下であれば容易にターゲット材を分離することができるので望ましい。
また、本発明では、上記耐熱性粘着材として市販品の粘着材を用いることもできる。粘着材の粘着力は、一般にJIS Z0237に基づき測定され(被接着対象はアルミ板)、市販品の粘着力(カタログ記載の値)は、上記JIS規格の値が掲載されている。本発明では、カタログ記載の粘着力がおおむね、2N/20mm〜15N/20mmのものであれば、本発明で規定する粘着力を満足する。本発明で使用可能な市販品としては、例えば 3M製 スコッチSHR−19、日東電工製 リバアルファ31950E、リバクリーン、5000NSなどの両面粘着材が挙げられる。
なお、本発明において耐熱性粘着材の粘着力S(N/cm)は、以下のようにして算出される。まず、ターゲット材(20mm×20mm×厚み10mm)とバッキングプレート(20mm×20mm×厚み10mm)の表面を平行研磨(鏡面仕上げ)して脱脂洗浄した後、バッキングプレートの接合面に耐熱性粘着材を貼着し(面積率は100%)、その上にターゲット材を積層させ、更に5kgf(49N)の錘を載せて1分間保持してターゲット接合体を作製する。続いてターゲット接合体を引張試験機(インストロン社製万能試験機5882型、クロスヘッドスピード6mm/分)によって剥離強度を測定する。具体的にはターゲット接合体の接合面に垂直方向の引張荷重をかけてターゲット材とバッキングプレートが剥離する最大荷重を測定し、この最大荷重値を接合面積(4cm)で除した値を剥離強度とする。剥離強度を4回測定し、その平均を室温における耐熱性粘着材の粘着力とする。150℃における粘着力は、上記のようにして作製したターゲット接合体を150℃で10分間保持した後、上記と同様にして剥離強度を測定し、その平均を求めることによって得られる。実際には、使用するターゲット材およびバッキングプレートごとに上記の測定を行なう。後記する実施例では、ターゲット材として種々のAl合金を用い、バッキングプレートとして純Cuを用いたときの結果を示している。またターゲット接合体を加熱して特定の温度の粘着力を測定する場合は、当該特定温度で10分間保持してから上記測定を行うものとする。
本発明では室温、及び150℃(150℃で10分間保持してから測定する)で測定した粘着力が0.4(N/cm2)以上であれば、耐熱性粘着材の粘着力は室温から150℃まで0.4(N/cm2)以上有するものとする。耐熱性粘着材の粘着力は温度が上昇するにつれ低下する傾向にあるため、150℃の温度にて本発明で規定する値(0.4以上)になっていれば、当然のことながら、150℃未満〜室温の間における粘着力も0.4N/cm2以上となるからである。
本発明では上記耐熱性粘着材を使ってターゲット材とバッキングプレートを接合させているが、ターゲット材とバッキングプレートの接合面積(I)に対する耐熱性粘着材を貼着した面積(II)の割合(面積率A%=[耐熱性粘着材貼着面積(II)/接合面積(I)]×100)は、80%以下であることが必要である。面積率Aを80%以下としたのは、耐熱性粘着材を貼着した面積の割合が高くなると、ターゲット接合体の導電性が悪化し、スパッタリング中にチャージが生じる恐れがあるからである。好ましい面積率Aは60%以下、より好ましくは20%以下である。なお、耐熱性粘着材の面積率Aの下限は後記する式(1)を満たすように制御すればよい。
本発明においてターゲット材とバッキングプレートの接合面積とは、ターゲット材とバッキングプレートを接合させた際に、両者が重なり合っている部分の面積をいう。
本発明においては式(1)、すなわち、1.0≦[(S×A)/F](以下、単に式(1)ということがある。)となるように、上記式(1)の各値(自重F、粘着力S、面積率A)を調節するとすることによって、粘着力不足によってターゲット接合体の取扱い時やスパッタリング中に、ターゲット材がバッキングプレートから剥離するのを抑制できる。好ましくは上記式(1)が1.5以上となるようにすることが望ましい。
本発明では上記したように導電性の観点から耐熱性粘着材4の面積率Aを80%以下となるように規定している。すなわち、接合面は全て耐熱性粘着材4で貼着されておらず、最大でも接合面全体の80面積%で貼着されており、残りの部分の少なくとも一部はスペーサー5が介在する。スペーサー5をターゲット材2とバッキングプレート3の接合面に設置することによって、ターゲット材2からバッキングプレート3への導電性を高めることができる。
まず、スペーサー5に要求される耐熱性とは、スパッタリング中にスペーサーが溶融しない性質をいう。次に導電性とは、電気を通す性質であるが、本発明では特にスペーサー5を設置することによってターゲット接合体1の導電率が向上できる性質を有するものが望ましく、ターゲット接合体1の導電率が向上しているとは、後記実施例に記載の測定方法に従ってターゲット材2とバッキングプレート3を耐熱性粘着材4と該耐熱性粘着材4の貼着部分以外に設置したスペーサー5を介在させて作製したターゲット接合体1の電気抵抗を測定し(測定温度は室温)、該測定値が100mΩ以下であれば導電性が確保されているとする。
なお、本発明において溶融温度とは、室温から1℃/sの昇温速度で対象物質を加熱した場合に、当該物質から液相が生じた温度をいう。
本発明に用いられる耐熱性及び導電性を有するスペーサー5は、少なくともスパッタリング中に溶融せず(好ましいスペーサーの溶融温度は170℃以上、より好ましくは200℃以上、更に好ましくは210℃以上)、またスパッタリング中のチャージを防止できる程度の導電性(例えば導電率が8×10/m・Ω以上、より好ましくは10×10/m・Ω以上)を有する物質が望ましい。更にスペーサー5は、スパッタリング中にターゲット材2の過熱を防止する観点からはターゲット材2からバッキングプレート3に熱を伝える性質(熱伝導性)も兼備していることが好ましく、これらの要件をすべて満足するものとして例えば金属、より好ましくターゲット材2よりも熱伝導性の高い性質を有し、上記耐熱性及び導電性も満足する金属を用いることが望ましい。このような性質を有する金属としては、例えばIn合金、Sn合金、アルミニウム、各種アルミニウム合金、銅、各種銅合金が例示され、特にSn合金がよく、具体的にはSn−Cu−Ag合金(例えば実施例で使用したSn−3原子%Ag−0.5原子%Cu)などが例示される。もっともターゲット材2やバッキングプレート3の種類、スパッタリング条件などによって要求される特性が異なるため、具体的なスペーサー5の性質は使用状況に応じて適宜選択すればよい。
スペーサー5のサイズや形状についても特に限定されず、所望のサイズ、形状のものを用いればよい。例えば上記特性を有する金属テープや金属箔、従来公知の低融点はんだ材料、スチールウールのようにファインワイヤを任意の形状に束ねたものなどが例示される。
本発明に用いられるスペーサー5は、ターゲット材2とバッキングプレート3の接合面の耐熱性粘着材4が貼着していない箇所に設置することが望ましく、またスペーサー5の設置面積率が高くなるに従ってターゲット接合体1の熱伝導性や導電性も向上することから、ターゲット材2とバッキングプレート3の接合面積から粘着材の貼着面積を除した面積の任意の部分の少なくとも一部、より好ましくは全部に設置してもよい。またターゲット接合体1における均一な導電性や熱伝導性を確保する観点からスペーサー5は均一に分散させて設置することが望ましい。
更にスペーサー5はターゲット材2とバッキングプレート3の双方に接するように設置することが導電性、熱伝導性向上の観点からは望ましい。したがって本発明のターゲット接合体1においては、耐熱性粘着材4とスペーサー5の双方がターゲット材2とバッキングプレート3に接するように、上記耐熱性粘着材4とスペーサー5の厚みを適宜調節することが望ましい。
スペーサー5の固定方法も特に限定されず、従来公知の粘着材、接着剤等を用いてもよいし、或いはスペーサー5を囲うように上記耐熱性粘着材4を設置して、該囲んだ枠内で耐熱性スペーサー5を保持してもよい。なお、粘着材や接着剤等でスペーサー5を固定させた場合、スペーサー5は粘着材や接着剤を介してターゲット材2と接することになるが、通常、固定に使用する程度の粘着材や接着剤の使用量であれば、導電性に与える影響は軽微であり、また例えば耐熱性を有しないか、極めて低い耐熱性を有する粘着材や接着剤を用いてスペーサー5を固定しておけば、スパッタリング中の温度上昇によって粘着材や接着剤が溶融して、スペーサー5とターゲット材2、バッキングプレート3とを直接接触させることができる。
本発明で使用されるターゲット材2としては特に限定されず、所望の組成のターゲット材を使用することができ、例えばアルミニウム、銅、モリブデン、チタン、及び銀、またはその合金よりなる群から選択される少なくとも一種を含むターゲット材を使用することができ、また例えば各種記録媒体用薄膜や半導体等の配線膜や画素電極(ITO、IZO、IGZOなど)などの形成に用いる各種スパッタリングターゲットを使用できる。
本発明で使用されるバッキングプレート3も特に限定されず、各種公知のバッキングプレートを用いることができる。例えば耐熱性、導電性、熱伝導性に優れたバッキングプレートとして、銅、各種銅合金、アルミニウム、各種アルミニウム合金よりなる群から選択される少なくとも一種を含むバッキングプレートが用いられる。またバッキングプレートには冷却水水路等の冷却手段などが設けられていてもよい。
本発明においては、バッキングプレート3やターゲット材2は用途に応じて所望の形状、サイズのものを用いることができ、またバッキングプレート3とターゲット材2は同じ材質であってもよく、あるいは異なる材質であってもよい。
以下、本発明のターゲット接合体の製造方法を説明するが本発明のターゲット接合体の製造方法は以下に限定されず、適宜変更を加えて本発明のターゲット接合体を製造することもできる。
上記本発明のターゲット接合体1は常温下で製造できるが、常温での製造に限定されず、耐熱性粘着材が0.4(N/cm)以上の粘着力を有する温度下(例えば−20℃〜150℃)であればよい。
ターゲット材2及びバッキングプレート3は上記耐熱性粘着材(ボンディング材)4を介して接合されるが、ターゲット材2及びバッキングプレート3の表面(好ましくは両面)を予め平行研磨して鏡面仕上げすることが望ましく、更に脱脂洗浄することが望ましい。
ターゲット材2および/またはバッキングプレート3の接合面側に耐熱性粘着材4を貼着するが、この際、耐熱性粘着材4はターゲット材2とバッキングプレート3の両方に貼着させる。
耐熱性粘着材4の貼着箇所は特に限定されないが、ターゲット接合体1の剥離強度が均一となるように貼着することが望ましく、例えば図2に示すようにバッキングプレート3の接合面周辺(図示しないターゲット材2と重なり合う部分)に沿って接合部分からはみ出さないようにして耐熱性粘着材4を上記面積率の範囲内(80%以下)で貼着させることが好ましい。また、図2に示すようにスペーサー5の設置箇所を囲うように耐熱性粘着材4を貼着しておけば、スペーサー5が固定されるため、取扱い性がよい。
耐熱性粘着材4をバッキングプレート3に貼着させた後、耐熱性粘着材4が貼着していない接合面の少なくとも一部に、スペーサー5を介在させる。スペーサー5は、ターゲット接合体1の導電性及び熱伝導性を向上させる観点からは、接合面にできるだけ均一分散させて設置することが望ましい。
スペーサー5を所望の位置に設置した後、ターゲット材2とバッキングプレート3を接合させればよい。
本発明ではターゲット材2とバッキングプレート3の接合は常温で行えばよく、両者を接合した後に、荷重を付加することによって耐熱性粘着材4による接合を強固にしている。具体的な付加荷重は特に限定されず、ターゲット材2とバッキングプレート3が耐熱性粘着材4によって十分に圧着される程度の荷重と時間を考慮して決定すればよく、例えば10N/cm以上の荷重を60秒以上加えるのがよい。
上記のように荷重を付加して得られたターゲット接合体1はスパッタ装置に設置する等の取扱い時や設置後のスパッタリング中の温度上昇によってターゲット材が剥離したり、或いは反りが生じることがない。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
実施例1
(ターゲット接合体)
ターゲット材として、表1に示す組成のAl合金スパッタリングターゲット(サイズ:幅2cm×縦2cm、厚みは表1参照)を用いた。またバッキングプレートとして純銅(サイズ:幅2cm×縦2cm×厚み1cm)を用いた。ターゲット材とバッキングプレート材の表面(両面)を平行研磨して鏡面仕上げした後、脱脂洗浄した。その後、バッキングプレートの上に耐熱性粘着材(ボンディング材)として耐熱性両面テープ(アクリル系接合テープ、住友3M社製Y−4913:厚さ0.2mm)を表1記載の面積率(面積率A%)となるように貼付する窓枠外周部を粘着テープで張り合わせ、中心部を正方形状の非接合面とし、そこにスペーサーを配置した(図3参照)。この場合のターゲット材とバッキングプレートの接合面積は4(2cm×2cm)cmである。更にバッキングプレートの上に上記耐熱性両面テープを貼り付けていない残りの接合部分(非接合面)についてスペーサーとしてSnはんだボール(Sn-3Ag−0.5Cu:千住金属製SMICスパークルボール、0.2mmφ、溶融温度217℃、導電率9×106/m・K:1000個)を分散させて設置し、上記非接合面の一部を覆うようにした(No.16はスペーサーなし)。続いて、耐熱性粘着材と耐熱性スペーサーが設置されているバッキングプレートの接合面側にターゲット材の接合面側を積層させた後、ターゲット材の上に表1(接合荷重)に示す重さの錘を載せ、その状態を表1(接合保持時間)に示す時間保持してから、錘を除去してターゲット接合体とした。なお、上記工程は全て室温(25℃)下で行った。
(単位面積あたりのターゲット材の自重F)
各試験に用いたターゲット材の質量を測定し、単位面積あたりの質量を算出し、自重F(N/cm)とした。
(耐熱性粘着材の粘着力S)
耐熱性粘着材の粘着力S(N/cm2)は、まず表1記載のターゲット材(20mm×20mm×厚み10mm)とCuバッキングプレート(20mm×20mm×厚み10mm)の表面を平行研磨(鏡面仕上げ)して脱脂洗浄した後、バッキングプレートの接合面に耐熱性粘着材を貼着し(面積率は100%)、その上にターゲット材を積層させ、更に5kgf(49N)の錘を載せて1分間保持してターゲット接合体を作製した。続いてターゲット接合体を引張試験機(インストロン社製万能試験機5882型、クロスヘッドスピード6mm/分)によって剥離強度を測定した。具体的にはターゲット接合体の接合面に垂直方向の引張荷重をかけてターゲット材とバッキングプレートが剥離する最大荷重を測定し、この最大荷重値を接合面積(400mm2)で除した値を剥離強度とした。剥離強度は4回測定し、その平均を耐熱性粘着材の粘着力Sとした。本実施例では室温、及び150℃、210℃で粘着力を測定したが、150℃、210℃で粘着力を測定する際は、接合体とした後に夫々の温度で10分間保持してから試験を行った。室温及び150℃での粘着力が0.4(N/cm2)以上であれば、耐熱性粘着材の粘着力は室温から150℃まで0.4(N/cm2)以上有するものとし、合格と評価した。熱剥離シートを使用したものは、さらに210℃での粘着力が0.02N/cm以下になるものを合格とした。
(式(1)の値)
式(1)の値は、1.0≦[(S×A)/F]によって求めた(式中、F:ターゲット材の自重(N/cm2)、S:耐熱性粘着材の粘着力(N/cm2)、A:耐熱性粘着材を貼着した面積率(%))。なお、耐熱性粘着材の粘着力Sは150℃での粘着力を採用した。
(剥離強度試験)
実施例で作製した各種ターゲット接合体1を上記「耐熱性粘着材の粘着力S」と同様にして引張試験機にて、接合面に対して垂直方向の引張荷重をかけてターゲット材とバッキングプレートが剥離にいたる最大荷重を求めて、接合面積で除した値を求めた。上記試験を4回行い、その平均値を剥離強度とした。なお、各試験は室温、150℃、210℃での引張試験を行った。
室温及び、150℃での剥離強度は単位面積あたりの該当ターゲット自重以上を合格とした。熱剥離シートを使用した表2ではさらに210℃での剥離強度が0(N/cm)または剥離状態にあるものを合格と評価した。結果を表1(粘着テープでの剥離強度)、表2(熱剥離テープでの剥離強度)に示す。なお、試験前にターゲット接合体からターゲット材が剥離していた場合は、「剥離」と記載し、剥離強度は測定しなかった。
(導電性<電気抵抗>)
導電性は、上記作製した各ターゲット接合体(試験片:面積率等の接合条件等は各表参照)を四端子法にて電気抵抗を測定した。測定箇所は試験片の対角線上の中央(交点)と、中央から1/4位置2箇所(異なる対角線上の2箇所)の計3箇所を測定して平均を求め、電気抵抗として表記した。測定装置は日置電機製 3541抵抗計を用い、室温、大気下で測定した。電気抵抗率が100mΩ以下であれば、導電性に優れていると評価した。
(接合体の反りの有無)
バッキングプレートとターゲット材を接合した後のターゲット接合体(試験片)の反りの測定も行った。各試験片のサイズを幅30mm×縦30mm(接合面積9cm)とした以外は上記ターゲット接合体と同様にして試験片を作成して、反り量を測定し、反りの有無を評価した。
反り量の測定は試験片の一方の角を水平板の上に固定し、該固定角の対角線上にある試験片の角の浮き上量をマイクロメータで測定し、対角長に対する浮き上がり量の比を求めた。比が1/100未満のものを反りなしと評価し、合格と判定した。
結果を表1に示す。
Figure 0005385883
表1に示す様に、本発明の要件を満たすNo.1〜7、9〜14は剥離強度、導電性に優れていた。特にバッキングプレートの接合面側にターゲット材の接合面側を積層させた後、ターゲット材の上に錘を載せ、その状態の保持時間を100秒以上としたNo.3はNo.2と比べて、同じくNo.13はNo.12と比べて、150℃下での剥離強度が一層高くなる傾向を示し、保持時間を長くすることで、ターゲット材とバッキングプレートの圧着による剥離強度向上効果が高まったものと予測される。
一方、耐熱性粘着材の面積率A(%)が80%を超えたNo.8とNo.15は導電性が悪かった。具体的には耐熱性粘着材の面積率Aのみが異なるNo.1、2、4〜8を比べると、面積率Aが高くなるに従って導電性は悪化する傾向を示し、面積率A(%)が80%を超えると導電性が悪くなった。同様に面積率Aのみが異なるNo.9〜12、14、15においても上記と同様の傾向を示した。もっとも耐熱性スペーサーを設置しなかったNo.16は、面積率A(%)が低くても導電性が劣っていた。
実施例2
(ターゲット接合体)
上記実施例1と同様にしてターゲット接合体を作製し、各特性を調べた。具体的にはターゲット材として、表2に示す純Alスパッタリングターゲット(サイズ:幅2cm×縦2cm×厚み1.5cm)を用いた。またバッキングプレートとして実施例1と同じ純銅を用いた。ターゲット材とバッキングプレート材の表面を研磨、洗浄した後、バッキングプレートの上に耐熱性粘着材(ポリエステル系熱剥離タイプ接合テープ(日東電工製 リバアルファ31950E、厚さ0.1mm))を表2記載の面積率(ボンディング材面積率A%)となるように実施例1と同様にして貼着すると共に、耐熱性スペーサーとして実施例1と同じSnはんだボール(1000個)を実施例1と同様にして設置した。続いて、耐熱性粘着材と耐熱性スペーサーが設置されているバッキングプレートの接合面側にターゲット材の接合面側を載置して積層させた後、ターゲット材の上に錘を載せて49N/cmの荷重を加えて表2(接合保持時間)に示す時間保持してから、錘を除去してターゲット接合体とした。なお、上記工程はいずれも室温(25℃)で行った。
作製した各ターゲット接合体の剥離強度、導電率、反り量を実施例1と同じ基準で測定した。結果を表2に示す。
Figure 0005385883
表2に示す様に、本発明の要件を満たすNo.19〜22、24〜27は、剥離強度、導電率、反り量共に優れており、また210℃でターゲット材とバッキングプレートの分離が容易であった。
一方、耐熱性粘着材の面積率A(%)が80%を超えたNo.28は導電性が悪かった。具体的には耐熱性粘着材の面積率Aのみが異なるNo.24〜28を比べると、面積率Aが高くなるに従って導電性は悪化する傾向を示し、面積率A(%)が80%を超えるNo.28は導電性が悪くなった。
また式(1)の値を満たさないNo.18とNo.23は150℃でターゲット材が剥離してしまった。
実施例3
(ターゲット接合体)
上記実施例1と同様にしてターゲット接合体を作製し、各特性を調べた。具体的にはターゲット材として、純Cuスパッタリングターゲット(サイズ:幅2cm×縦2cm×厚み2.1cm、単位面積あたりの自重F=0.18(N/cm))を用いた。またバッキングプレートとして実施例1と同じ純銅製のバッキングプレートを用いた。ターゲット材とバッキングプレート材の表面を研磨、洗浄した後、バッキングプレートの上に耐熱性粘着材(ポリエステル系熱剥離タイプ接合テープ、日東電工製 リバアルファ31950E、厚さ0.1mm)を用いて表3記載の面積率(面積率A%)となるように実施例1と同様にして貼付した。なお、耐熱性粘着材の室温での粘着力は1.8(N/cm)、150℃での粘着力は0.6(N/cm)、210℃での粘着力は0(N/cm)であった。耐熱性スペーサーとして実施例1と同じSnはんだボール(1000個)を実施例1と同様にして設置した。続いて、耐熱性粘着材と耐熱性スペーサーが設置されているバッキングプレートの接合面側にターゲット材の接合面側を載置して積層させた後、ターゲット材の上に錘を載せ49(N/cm)の荷重を加え、その状態を120秒保持してから、錘を除去してターゲット接合体とした。なお、上記工程はいずれも室温(25℃)で行った。
作製した各ターゲット接合体の剥離強度、導電率、及び反り量を実施例1と同じ基準で測定した。結果を表3に示す。
Figure 0005385883
表3に示す様に、本発明の要件を満たすNo.1、2は、剥離強度、導電率、反り量共に優れており、また210℃でターゲット材とバッキングプレートの分離が容易であった。
一方、式(1)の値を満たさないNo.3は150℃でターゲット材が剥離してしまった。
(ターゲット接合体)
上記実施例1と同様にしてターゲット接合体を作製し、各特性を調べた。具体的にはターゲット材として、表4に示す純Alスパッタリングターゲット(サイズ:幅2cm×縦2cm×厚み1.5cm)を用いた。またバッキングプレートとして実施例1と同じ純銅を用いた。ターゲット材とバッキングプレート材の表面を研磨、洗浄した後、バッキングプレートの上に耐熱性粘着材(アクリル系熱両面接着テープ(日東電工製 5000NS、厚さ0.16mm))を表4記載の面積率(面積率A%)となるように実施例1と同様にして貼着すると共に、耐熱性スペーサーとして純銅箔(厚さ0.15mm)を非接合面全面に設置した(純銅箔のサイズは非接合面積と同一)。続いて、耐熱性粘着材と耐熱性スペーサーが設置されているバッキングプレートの接合面側にターゲット材の接合面側を載置して積層させた後、ターゲット材の上に錘を載せて49N/cmの荷重を加えて120秒保持(接合保持時間)してから、錘を除去してターゲット接合体とした。なお、上記工程はいずれも室温(25℃)で行った。
作製した各ターゲット接合体の剥離強度、導電率を実施例1と同じ基準で測定した。結果を表4に示す。
Figure 0005385883
表4に示す様に、本発明の要件を満たすNo.1〜5は、剥離強度、導電率共に優れていた。
一方、耐熱性粘着材の面積率A(%)が80%を超えたNo.6は導電性が悪かった。
1 ターゲット接合体
2 ターゲット材
3 バッキングプレート
4 耐熱性粘着材(ボンディング材)
5 耐熱性スペーサー

Claims (6)

  1. スパッタリングターゲットとバッキングプレートがボンディング材を介して接合されてなるターゲット接合体において、
    前記ボンディング材は、室温から150℃までにおける粘着力S(N/cm)が0.4以上である耐熱性粘着材であり、
    前記スパッタリングターゲットと前記バッキングプレートの接合面積に対する前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(A%)が80%以下であると共に、
    前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(A%)と、単位面積あたりの前記スパッタリングターゲットの自重F(N/cm)との関係が下記(1)式を満たし、且つ前記耐熱性粘着材が貼着していない前記接合面の少なくとも一部に、耐熱性及び導電性を有するスペーサーが介在していることを特徴とするターゲット接合体。
    1.0≦[(S×A)/F] ・・・(1)
    (式中、F:前記スパッタリングターゲットの自重(N/cm)、S:前記耐熱性粘着材の粘着力(N/cm)、A:前記耐熱性粘着材を貼着した面積率(%))
  2. 前記耐熱性粘着材が両面テープである請求項1に記載のターゲット接合体。
  3. 前記耐熱性粘着材の210℃における粘着力は、0.02(N/cm)以下である請求項1または2に記載のターゲット接合体。
  4. 前記耐熱性スペーサーは、Sn合金である請求項1〜3のいずれかに記載のターゲット接合体。
  5. 前記スパッタリングターゲットは、アルミニウム、銅、モリブデン、チタン、及び銀よりなる群から選択される少なくとも一種、又はその合金からなるものである請求項1〜4のいずれかに記載のターゲット接合体。
  6. 前記バッキングプレートは、銅、銅合金、アルミニウム、及びアルミニウム合金よりなる群から選択される少なくとも一種である請求項1〜5のいずれかに記載のターゲット接合体。
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