JP5381139B2 - 電動機 - Google Patents

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Description

本発明は、電動機に関し、詳しくは、固定子の電動機ケースへの固定方法を改善することにより、固定子を形成する電磁鋼板に加わる圧縮応力による磁気特性の劣化を最小限に止めた高い効率を有する電動機に関するものである。
近年、地球温暖化防止のための二酸化炭素排出量の削減への要請や、化石燃料の枯渇化という問題点の影響を受けて、エネルギー消費量を抑制することが強く求められるようになってきている。特に、電力の多くは、電動機によって消費されるため、各種電動機においても、効率を高めることがますます重要視されるようになってきた。そのような背景の中、従来は、電動機の効率向上を目的として、電動機の鉄心材料である電磁鋼板の特性改善、特に鉄損低減に多くの力が注がれてきている。
ところで、高効率電動機の一つとして、ブラシレスDCモータを挙げることができる。このブラシレスDCモータは、電動機の効率を飛躍的に高めた画期的なものであり、大きく分けて内部回転子型(インナーロータ型)と外部回転子型(アウターロータ型)に分けられる。このうち、内部回転子型と呼ばれる電動機は、磁石を配置した円柱状回転子(ロータ)とその外周の固定子(ステータ)と、それを固定するケースとからなるものである。固定子は巻線が施されたティースとヨークとからなり、そのティース間の溝をスロットと呼んでいる。
固定子は、一般に電磁鋼板を所定の形状に打ち抜いた後、これを積層し、かしめや溶接などの方法で固着して作製される。その後、上記積層した固定子のティースに巻線を施した後、ケースに固定される。電動機のケースに固定子を固定するには幾つかの方法があるが、中でも、焼き嵌めによる方法や圧入による方法が多く用いられている。焼き嵌めによる方法は、固定子の外径よりわずかに小さな内径をもつケースを作製し、これを加熱して膨張させてから固定子を嵌め込む方法であり、室温に冷却すると、ケースが収縮して固定子が固定される。一方、圧入による方法は、固定子の外径よりわずかに小さい内径をもつケースを作製し、この内部に固定子を加圧しながら挿入して固着する方法である。
しかしながら、これらの方法で電動機のケースに固定子を固定すると、ケースによって、固定子全体に大きな圧縮応力が加わり、その結果、鉄損が増加して、電動機の効率が大きく低下してしまうという問題がある。また、上記圧縮応力により固定子が変形すると、電動機の信頼性が損なわれるという問題もある。
上記効率低下の主たる原因は、非特許文献1に記載されているように、電磁鋼板に磁路方向に沿って圧縮応力を加えると、鉄損が増大し、透磁率が低下するという、電磁鋼板の鉄損特性が有する応力依存性にあると考えられる。つまり、固定子をケースに固定したことにより、ケースから固定子に加わる圧縮応力によって、鉄心材料である電磁鋼板の鉄損が増加し、透磁率が低下する。その結果、所望の磁束密度を得るためには大きな巻線電流が必要となり、電動機の損失が増加して、電動機の効率が低下するものと解釈される。
このような電動機の特性劣化を最小限に止めるための技術として、特許文献1には、固定子にかかる圧縮応力をできるだけ低減する技術が提案されている。この技術は、スロットの外周側に位置するヨークの外周に切欠き部を設けることで、上記切欠き部が電動機ケースと接触するのを防止し、また、ティースの外周側に位置するヨークに、軸方向に貫通する貫通穴を設けるとともに、上記貫通穴の外周側に位置する前記固定子鉄心に設けたリブの回転方向に対する両端部にR面取りあるいはテーパ状の切欠きを設ける、あるいは上記リブの外周の径を電動機ケースの内径寸法よりも小さくし、または、上記貫通穴が外周側に向けて開放されている場合には、上記貫通穴の内周側側面の形状を略直線状とすることで、高効率かつ信頼性の高い電動機を得ようとするものである。
特開2005−080451号公報
谷良浩ら:「電磁鋼板の応力下における磁気特性の測定」、電気学会マグネティックス研究会資料、MAG−03−191
しかしながら、特許文献1の技術は、電磁鋼板に加わる圧縮応力を緩和しているとはいえ、まだなお圧縮応力が、磁束が通るヨーク部にまで及んでいるため、固定子の鉄損が増加し、電動機の効率が低下するのを免れ得ないという問題点を抱えている。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、固定子のケースへの固定方法を改善し、ケースによって固定子の鉄心に加わる圧縮応力の及ぶ範囲を、ヨーク部の磁気的に影響の少ない領域に限定することにより、電動機全体としての損失劣化が少なく高効率な電動機を提供することにある。
発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ね、以下の知見を得た。
非特許文献1に記載されているように、固定子に圧縮応力が加わった場合に、電動機の効率が低下する主たる原因は、鉄心材料である電磁鋼板が有する鉄損特性の応力依存性にある。したがって、電磁鋼板の磁気特性の劣化を防止するには、圧縮応力を加えないことが最善である。しかし、固定子をケースに固着するには、圧縮応力を加えることは不可避である。そこで、次に考慮しなければならないことは、圧縮応力が加わる範囲を、可能な限り磁束が流れる領域と重ならないようにすることである。
非特許文献1では、電磁鋼板の単板を用いて、長さ方向に一様な圧縮応力を加えながら損失を測定している。そのため、磁束が流れる領域と応力が加わる領域はほぼ一致しているので、圧縮応力が増加するに伴って損失は大きく増加している。また、磁束の流れる方向、つまり、磁化しようとする方向に沿って圧縮応力を加えると、透磁率が低下することから、磁気モーメントは圧縮方向に垂直な方向に配列し易くなる。そこで、圧縮方向に磁化しようとする場合は、より大きい磁界を加えなければ、所望の磁束密度が得られなくなる。すなわち、圧縮応力を加えて損失が劣化する原因の一つは、応力を加えない場合に比べて大きい磁界が必要になるためと考えられる。
以上の結果から、電磁鋼板の圧縮応力による磁気特性の低下を防止するには、磁化される領域、すなわち磁束が流れる領域から、圧縮応力の加わる領域を遠ざけることが重要である。ここで、ティースの周囲に巻かれた巻線の電流によって、また回転子の磁石の磁界によって固定子内部を流れる磁束を、固定子の回転軸に垂直な断面でみると、ティースからヨークに向かって流れる磁束は、ティースのヨークへの付け根の部分で左右に分かれて隣のティースに向かう。そのため、ティースの外周側のヨーク外周側には、磁束密度が低い領域が存在する。したがって、もしこの部分に圧縮応力が加わり、透磁率が低下したとしても、損失に及ぼす影響は小さいことが推測される。
そこで、発明者らは、さらに検討を重ねた結果、固定子の回転軸に垂直な断面において、ティースの外周側に位置するヨークの外周に、スロットの外周側に位置するヨークの外周より外周側に突き出た突起を設け、その突起位置でケースに固着する電動機構造とし、ケースから固定子に加わる圧縮応力の及ぶ領域を、磁束密度が低い領域とほぼ重複させてやれば、固定子を構成する電磁鋼板の損失増加のない、高効率の電動機を実現し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、環状のヨークとそのヨークの内周側にN個のティースを有し、上記各ティースに巻線を施した固定子と、上記固定子の内周に僅かな空隙を介して対向して回転可能に保持された回転子と、上記固定子を固定するケースとからなる電動機において、上記ティースの外周側に位置するヨークの外周かつティースの中心線上に、スロットの外周側に位置するヨークの外周よりも外側に突き出した突起を、固定子の円周方向に等間隔に有し、その突起位置で固定子がケースに固着されてなり、上記固定子の外周にある突起の数が、ティースの数と同数のNまたはティースの数の約数N´で、かつ、上記NまたはN´の数が6〜18であり、ケース外周の回転軸に垂直な断面形状が円形であり、かつケース内周の回転軸に垂直な断面形状が正Nまたは正N´角形であり、固定子外周にある突起が、上記正Nまたは正N´角形の各辺の中央で固着されてなることを特徴とする電動機である。
また、本発明の電動機は、ケース内周の回転軸に垂直な断面形状が正Nまたは正N´角形であり、固定子の回転軸に垂直な断面形状がケースの内周形状と同じ正Nまたは正N´角形で、上記正Nまたは正N´角形の各頂点がケース内周の正Nまたは正N´角形の各辺の中央で固着されてなることを特徴とする
本発明によれば、固定子を形成する電磁鋼板に加わる圧縮応力の及ぶ領域を比較的磁束密度の低い領域と一致させることにより、固定子の鉄心を構成する電磁鋼板の圧縮応力による鉄損増加を抑制することができるので、損失が小さくかつ効率の高い電動機を提供することができる。さらに、本発明によれば、従来の電動機に比べて、固定子を構成する電磁鋼板の透磁率の低下が抑えられるので、巻線電流の増加による銅損増加を抑制することができる。
焼き嵌め法で、固定子を電動機のケースに固着する方法を説明する図である。 内周が円形のケースに6個の突起を有する外周形状が円形の固定子を固着した電動機を説明する図である。 図2の電動機のケースと固定子の突起(頂点)との固着部分における圧縮応力が加わる領域と磁束の流れを模式的に説明する図である。 内周が円形のケースに外周形状が正12角形の固定子を固着した電動機を説明する図である。 内周が円形のケースに外周形状が正6角形の固定子を固着した電動機を説明する図である。 内周が正6角形のケースに6個の突起を有する外周形状が円形の固定子を固着した電動機を説明する図である。 内周が正6角形のケースに外周形状が正6角形の固定子を固着した電動機を説明する図である。
本発明の電動機は、環状のヨークとそのヨークの内周側にN個のティースを有し、上記各ティースに巻線を施した固定子と、上記固定子の内周に僅かな空隙を介して対向して回転可能に保持された回転子と、上記固定子を固定するケースとからなる電動機であり、その代表的なものとしては、インナーロータ型のブラシレスDCモータを挙げることができる。なお、ブラシレスDCモータでは、その用途により回転子の磁石の極数と固定子のスロットの数の組合せが決められるが、集中巻線の場合は、磁石が4個でティースが6個の4極6スロット、磁石が8個でティースが12個の8極12スロットの組合せが一般的である。
図1は、ティースが12個(12スロット)の従来の電動機において、焼き嵌め法で、ケースに固定子を固定する方法を模式的に示したものであり、(a)は、固定子外径より僅かに小さい内径を有する円筒状ケース1を加熱し、熱膨張によって大きくなったケースの内側に固定子2を嵌め込んだ状態を、(b)は、ケースが冷却し、熱収縮によって固定子が固定された状態を示している。また、圧入法で固定する場合は、ケースを加熱することなく、荷重を加えて固定子2をケース1に嵌め込む方法であるが、いずれの方法においても、固定後の固定子には、圧縮応力が加わった状態となる。そのため、電磁鋼板の鉄損が増加して、電動機の効率が大きく低下してしまう。
そこで、本発明は、上記電動機において、ティースの外周側に位置するヨークの外周かつティースの中心線上に、スロットの外周側に位置するヨークの外周よりも外側に突き出した突起を、固定子の円周方向に等間隔に設け、その突起位置で固定子がケースに固着された構造の電動機を開発した。
図2は、上記電動機において、ティースの数が6個(6スロット)の例を示したものである。この電動機は、電磁鋼板を、回転軸に垂直な断面形状をケースの内周より僅かに小さな円形とし、ティースの外周側に位置するヨークの外周かつティースの中心線上に、外周の円形よりも外側に僅かに突き出した6個の突起を有する形状に打ち抜き、これを複数枚積層して固着して固定子3を作製し、その固定子を、内周形状が円形のケース1に、焼き嵌め法あるいは圧入法で挿入し固着したものである。
上記構成の電動機は、ケースによる圧縮応力は、上記突起部でのみ受け、その他の部分では圧縮応力が小さくなるので、高効率の電動機を得ることができる。
図3は、図2に示した電動機の固定子とケースとの接触部における圧縮応力の及ぶ範囲4と磁束の流れ5を模式的に説明したものである。この図から、励磁過程でティースを流れる磁束は、ティースのヨークへの付け根部において左右に分かれて隣接するティースに流れるため、固定子の突起部分近傍における磁束密度は、ティース部に比べて低くなることがわかる。
一方、ケースから固定子に直接加わる圧縮応力が及ぶ突起近傍部(図3の斜線部分4)では、固定子の回転軸方向(中心方向)に圧縮応力が加わっているため、ティースの中心方向の透磁率が低下する。しかし、圧縮応力が加わっている突起近傍の磁束密度は、上述したように低いため、外周形状が円形で全周面が接触している従来の固定子に比べて、損失の増大が抑えられる。
さらに、固定子の外周形状が円形で突起がない場合、固定子のヨーク部分には、ケースによって中心方向に向かう圧縮応力が加わる他に周方向にも圧縮応力が加わるため、2方向からの応力を受けることになる。しかし、本発明の固定子のように、固定子外周の突起でケースに固着する場合、ティースの外周側以外に位置するヨーク部分(スロットの外周側に位置するヨーク部分)の外周とケースとの間に空隙があるため、ケースからの圧縮応力を受けない。そのため、このヨーク部分における鉄損の増大を緩和できると考えられる。したがって、本発明の技術は、ヨーク部の周長が長く、圧縮応力の悪影響を大きく受けるインナーロータ型の電動機に適用するのが好適であると言える。
ここで、本発明の電動機におけるティースの数Nと固定子に設ける突起の数との関係について説明する。
固定子の外周形状に設ける突起の数は、ティースの数が6〜18個である固定子の場合には、ティースの数と同じN個(N:6〜18)の突起を設けることが好ましい。Nの6未満では、突起の数が少な過ぎて、ケースに固着される固定力に乏しく、一方、Nが18を超えると、ケースから圧縮応力を受ける領域が多くなり過ぎで、本発明の効果が得られなくなるだけでなく、固定子の外周形状が複雑になり、加工が難しくなるからである。
なお、ティースの数が多い場合、例えば、12〜36個のような固定子の場合には、突起を設ける数をティースの数の約数N´として、ティースの数よりも減らしてもよい。例えば、ティースの数が36個である場合、突起を設ける位置を1つ置き、2つ置き、3つ置きあるいは5つ置きとして、突起の数N´を18個、12個、9個あるいは6個としてもよい。この場合、突起の数をティースの数Nと同数とする場合よりも、圧縮応力を受ける割合を減らすことができるので、より本発明の効果を享受することができる。ただし、この場合でも、上述したのと同じ理由で、突起の数N´は、6〜18の範囲とするのが好ましい。
また、固定子の突起を含めた外周形状の径、すなわち、固定子に外接する円の直径は、電動機のケースの内周径より僅かに大きいことが必要であり、このときの重なり代は、焼き嵌め条件や圧入条件、突起の数等によっても異なるが、20〜200μmの範囲にあるのが好ましい。重なり代が20μmより少ないと、固定子とケースの固着力が十分ではなく、一方、200μmを超えると、圧入する際に大きな荷重を必要としたり、固定子の突起が損傷したり、電磁鋼板が屈曲したりするおそれがあるからである。
また、上記固定子に設ける突起は、ケースの内周面に点で接すると、大きな固定力が得られず安定しないため、突起の頂点にはRを付けることが好ましい。このRの大きさは、固定子の外周の半径以下で、かつ、ティースの最小幅の1/2以上であるのが好ましい。Rが固定子の外周の半径であるならば、突起を形成することができない。一方、ティースの最小幅の1/2以上のRであれば、固着に要する最小限の面積を確保するには十分であると考えられるからである。
次に、本発明の他に例について説明する。
上記図2では、固定子の外周形状が円形で、突起を有する例の電動機について説明したが、本発明の電動機は、上記固定子の回転軸に垂直な断面形状が、正Nまたは正N´角形で、その正NまたはN´角形の各頂点を上記突起とするものであってもよい。
図4は、図1と同じティースが12個(12スロット)の電動機であって、外周形状がティースの数と同じ正12角形の固定子6を、図5は、外周形状がティースの数と同じ正6角形の固定子7を、ケース1に焼き嵌め法あるいは圧入法で固着した電動機の例を示したものである。これらの電動機では、正多角形の各頂点が、固定子の突起として機能し、その部分でのみケースと接しているので、固定子に加わる圧縮応力の及ぶ領域を少ない範囲に限定できる。したがって、この場合にも、高効率の電動機を得ることができる。
なお、上記の例のように、固定子の外周形状が正N角形である場合も、円形の場合と同様、固定子の外周形状の最大径は、電動機のケースの内周径より僅かに大きいことが必要であり、この重なり代は、20〜200μmの範囲であるのが好ましい。また、固定子の正多角形の頂点がケースの内面に点で接すると、大きな固定力が得られず安定しないため、各頂点には前述した程度の僅かのRを付けることが好ましい。さらに、ティースの数が多い場合には、正N´角形(N´:ティースの数の約数)として、ティースの数より減らしてもよい。この場合にも、突起の数N´は、6〜18の範囲とする、即ち、固定子の外周形状は正6角形〜正18角形の範囲とするのが好ましい。N(N´)が6未満では、固定子の外周とケース内周との間の空隙が大きくなり、出力の割に電動機が大きくなるので好ましくない。一方、N(N´)が18を超えると、加工が難しくなる他、固定子の外周形状が円形に近くなって本発明の効果が得られなくなるからである。
さらに、上記説明においては、固定子の外周形状について説明してきたが、本発明の電動機は、ケース内周の回転軸に垂直な断面形状を、円形でなく、正Nまたは正N´角形とし、固定子外周にある突起が、上記正Nまたは正N´角形の各辺の中央で固着された構造のものであってもよい。この構造の電動機は、振動や騒音が少ないという特徴を有する。
その理由は、電動機が駆動されるときには、ティースの巻線が施された部分には、正逆の電流が交互に流れる。そのため、ティースは、反転する磁界を受けるが、この際、回転子に埋め込まれた磁石との間に吸引・反発力が生じて、ティースを構成する電磁鋼板は径方向に振動を起こし、この振動がケースに伝わって電動機が振動や騒音を発生する。このような振動や騒音を抑制するには、固定子を固着する位置のケースの厚みを厚くし、剛性を高めることが有効であるからである。
例えば、図6に示したように、回転軸に垂直な断面の外周が円形で、内周を正6角形に刳り抜いたような形状を有するケース8に、回転軸に垂直な断面の外周形状をケースの内周より僅かに小さい円形とし、ティースの外周側に位置するヨークの外周かつティースの中心線上に、外周の円形よりも外側に突き出した6個の突起を有する形状の固定子3を、上記6個の突起がケース内周の正6角形の各辺中央位置になるよう固着した電動機である。この電動機では、ケースによる圧縮応力は、上記突起部でのみ受け、その他の部分では圧縮応力を受けないので、高効率の電動機を得ることができるだけでなく、突起が接する部分のケースの剛性が高いので、電動機が発する振動や騒音を抑制することができる。
さらに、ケースの内周形状が正多角形である場合においても、固定子の外周形状は円形である必要はなく、ケースの内周形状と同じ正多角形としてもよい。例えば、図7は、ケース内周を正6角形とし、その正6角形の各辺の中央において、同じく正6角形である固定子7の頂点と接している電動機の例を示したものである。
なお、電動機の振動や騒音は、ケースの固定方法にも依存するため、電動機をボルト締め等で固定するときの取付位置は、固定子が接しているケースの外周位置に設けるのが、騒音や振動の抑制には効果的である。
なお、このようにケース内周形状が正多角形である場合においても、固定子の外周に外接する円の半径は、電動機ケースの内周に内接する円の半径より20〜200μm大きくし、重なり代を設けておくのが好ましく、また、正N角形の固定子外周の各頂点には、前述した程度の僅かのRを付けることが好ましい。
以上説明したように、本発明は、単に固定子を電動機のケースに焼き嵌めや圧入して固定することにより固定子が受ける圧縮応力に起因した鉄心の磁気特性の劣化を低減するだけでなく、電動機の構造そのものを見直すことにより、固定子の鉄心の磁気特性を積極的に向上させて、鉄心の磁気特性を、素材が有する本来の磁気特性に限りなく近づけることを主眼とするものであると言える。
8極12スロット(ティース)、集中巻きのブラシレスDCモータ(埋め込み磁石型、インナーロータ型)用の固定子として、厚みが0.5mmの電磁鋼板を、回転軸に垂直な断面の外周形状が正12角形で、その外接円の直径が156mmφ、内周円の直径が91mmφ、ヨーク内径の直径が140mmφで、ティース幅が7mmである形状に打ち抜き、これを30枚積層して固着し、上記固着したティース部をボビンで覆い、その上に巻線を施した固定子を作製した。なお、固定子外周の正12角形の各頂点には、Rが20mmの丸みを付けた。また、上記電動機のケースとして、回転軸に垂直な断面の外径が180mmφで、内径が155.92mmφである円筒形状のケースをアルミ合金で作製した。このときの、固定子外径とケース内周との重なり代は40μmである。
次いで、上記ケースを200℃に加熱して熱膨張させてから、上記固定子を挿入し、その後、ケースを冷却して焼き嵌め、本発明例の電動機Aを作製した。
また、比較例として、回転軸に垂直な断面形状が円形で、外径が156mmφであり、他は上記寸法と同一の形状、寸法の固定子を、上記と同様にして作製し、上記と同じアルミ合金製ケースに上記と同じ条件で焼き嵌め、電動機Bを作製した。
これらA,Bの2つの電動機について、モータ回転数:1500rpm、トルク:5Nmの条件でモータ効率を測定したところ、発明例の電動機Aは91%、比較例の電動機Bは89%であった。
実施例1と同じ8極12スロット(ティース)、集中巻きのブラシレスDCモータ(埋め込み磁石型、インナーロータ型)用の固定子として、実施例1と同じ寸法で、各頂点のRのみを40mmに変更した固定子を作製した。また、上記電動機のケースとして、回転軸に垂直な断面の外径が185mmφの円形であり、内周が正12角形で、その内接円の直径が155.86mmφである円筒状のケースをアルミ合金で作製した。
次いで、上記ケースを200℃に加熱して熱膨張させてから、上記固定子を挿入し、ケース冷却して焼き嵌め、本発明例の電動機Cを作製した。このときの、焼き嵌めの際の固定子とケースの重なり代は最大で70μmであった。
このようにして作製した電動機Cについて、実施例1と同じ条件で、モータ効率を測定したところ、92%であった。
実施例1と同じ8極12スロット(ティース)、集中巻きのブラシレスDCモータ(埋め込み磁石型、インナーロータ型)用の固定子として、実施例1と同じ寸法で、外周形状が156mmφの円形で、各ティースの中心線上でかつヨーク外周部に高さ2mmの12個の突起を有する固定子を作製した。なお、上記突起の頂点にはヨーク内周円とティースの中心線の交点を中心に10mmのRを付与した。また、上記電動機のケースとして、回転軸に垂直な断面の外径が180mmφで、内周の直径が159.88mmφである円筒状のケースをアルミ合金で作製した。
次いで、上記ケースを200℃に加熱して熱膨張させてから、上記固定子を挿入し、ケース冷却して焼き嵌め、本発明例の電動機Dを作製した。このときの、焼き嵌めの際の固定子とケースの重なり代は最大で60μmであった。
このようにして作製した電動機Dについて、実施例1と同じ条件で、モータ効率を測定したところ、93%であった。
本発明の技術は、ブラシレスDCモータにおいてのみならず、電磁鋼板を用いる電動機、例えば、誘導式電動機やスイッチトリラクタンスモータにおいても有効である。
1:内周形状が円形のケース
2:外周形状が円形の固定子
3:外周形状が円形で6個の突起を有する固定子
4:ケースからの圧縮応力が及ぶ領域
5:固定子内の磁束の流れ
6:外周形状が正12角形で12個の突起を有する固定子
7:外周形状が正12角形で6個の突起を有する固定子
8:内周形状が正6角形であるケース

Claims (2)

  1. 環状のヨークとそのヨークの内周側にN個のティースを有し、上記各ティースに巻線を施した固定子と、上記固定子の内周に僅かな空隙を介して対向して回転可能に保持された回転子と、上記固定子を固定するケースとからなる電動機において、上記ティースの外周側に位置するヨークの外周かつティースの中心線上に、スロットの外周側に位置するヨークの外周よりも外側に突き出した突起を、固定子の円周方向に等間隔に有し、その突起位置で固定子がケースに固着されてなり、上記固定子の外周にある突起の数が、ティースの数と同数のNまたはティースの数の約数N´で、かつ、上記NまたはN´の数が6〜18であり、ケース外周の回転軸に垂直な断面形状が円形であり、かつケース内周の回転軸に垂直な断面形状が正Nまたは正N´角形であり、固定子外周にある突起が、上記正Nまたは正N´角形の各辺の中央で固着されてなることを特徴とする電動機。
  2. ケース内周の回転軸に垂直な断面形状が正Nまたは正N´角形であり、固定子の回転軸に垂直な断面形状がケースの内周形状と同じ正Nまたは正N´角形で、上記正Nまたは正N´角形の各頂点がケース内周の正Nまたは正N´角形の各辺の中央で固着されてなることを特徴とする請求項1に記載の電動機。
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