以下、本発明の棒状構造発光素子、バックライト、照明装置および表示装置を図示の実施の形態により詳細に説明する。
〔第1実施形態〕
図1は本発明の第1実施形態の棒状構造発光素子の模式断面図である。
本第1実施形態の棒状構造発光素子は、断面ほぼ円形の棒状の本体1を備えている。この本体1は、n型GaNからなる第1半導体部2と、この第1半導体部2に接触するp型GaNからなる第2半導体部3とを有しており、この第1半導体部2と第2半導体部3との境界面が発光面4となっている。また、本体1の軸方向の一端面5には凹凸が形成されている。一方、本体1の軸方向の他端面6はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部2の外周面は第2半導体部3の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部2の外周面は第2半導体部3の外周面とほぼ面一になっている。この第2半導体部3は、第1半導体部2に対して本体1の軸方向に並ぶように形成されている。なお、第1半導体部2は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部3は第2導電型半導体の一例である。また、第1半導体部2の外周面は第2半導体部3の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
上記棒状構造発光素子は、次のように製造する。
まず、図2Aに示すように、n型GaNからなる基板11上に、複数の成長穴13,13,…(図2Aでは2つのみ図示)を有するマスク12を形成する。マスク12には、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など第1半導体部2および第2半導体部3に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴13,13,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク12の成長穴13,13,…により露出した基板11上に、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition:有機金属気相成長)装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて、図2Bに示すように、各成長穴13内に第1半導体部2を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNからなる第1半導体部2を成長させる。このとき、マスク12の成長穴13の深さのほぼ半分まで第1半導体部2を成長させる。また、第1半導体部2の直径はマスク12の成長穴13の径で決めることができる。
次に、上記各第1半導体部2上に、p型GaNからなる第2半導体部3Aを形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、図2Cに示すように、マスク12および第2半導体部3A上に複数の微粒子14を形成する。この微粒子14の径は数十nm程度である。また、微粒子14の材料として、例えば金などを用いることができる。
次に、ドライエッチングを行って、図2Dに示すように、棒状の本体1の軸方向の一端面5に凹凸(粗い表面、ギザギザの表面)を形成する。このとき、マスク12aの表面にも凹凸が形成されている。
次に、上記マスク12aの全部を除去して、図2Eに示すように、基板11上に複数の本体1,1,…(図2Eでは2つの図示)のみ残す。マスク12aが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、第1半導体部2および第2半導体部3に影響を与えずにマスク12を容易にエッチングすることができる。
なお、上記成長穴13,13,…を有するマスク12を用いないで、棒状の本体を成長させてもよい。その場合は、基板上に触媒金属(例えばNi)の粒を分散させ、MOCVDにより触媒金属下に棒状ワイヤを成長させる。この棒状ワイヤの成長後、直径数十nmのInNドットを棒状ワイヤの軸方向の一端面にS−K(Stranski-Krastanov)成長により形成して、さらに、ドライエッチングを行って、棒状ワイヤの軸方向の一端面に凹凸を形成する。
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板11を浸した後、超音波(例えば数10KHz)を用いて、基板11を基板平面に沿って振動させる。これにより、基板11上に立設する本体1,1,…の基板11側に近い根元を折り曲げるように、本体1,1,…に対して応力が働いて、本体1,1,…が基板11から分離される。
こうして、n型GaNからなる基板11から分離された微細な棒状構造発光素子を製造することができる。
上記構成の棒状構造発光素子によれば、発光面4から出た光は、図1の矢印で示すように、導波効果によって本体1の軸方向の一端面5へ向かう。この一端面5には凹凸が形成されているので、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、発光面4からの光が本体1の軸方向の一端面5を通過し、効率良く本体1外に出る。
したがって、光を効率良く取り出すことができる微細な棒状構造発光素子を実現できる。この棒状構造発光素子は、基板11から切り離され、基板11と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
図3は比較例の棒状構造発光素子の模式断面図である。
上記比較例の棒状構造発光素子は、本体51の軸方向の一端面55が平坦面である点以外は本第1実施形態の棒状構造発光素子と同じ構成のものである。つまり、本体51は、第2半導体部3とは異なる形状の第2半導体部53を有している。
このような比較例の棒状構造発光素子によれば、発光面54から出た光は、図3の矢印で示すように、導波効果によって本体51の軸方向の一端面55へ向かうが、この一端面55は平坦面であるため、発光面54からの光は本体1の軸方向の一端面5で反射され、発光面54からの光が本体51内に閉じ込められてしまう。
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズであるが、この寸法に限るものでなく、直径が10nmから5μm、より好ましくは100nmから2μmである微細な棒状構造発光素子を製造してもよい。この微細な棒状構造発光素子の長さは、100nmから200μm、より好ましくは1μmから50μmとする。
また、上記棒状構造発光素子は、発光効率が高くて省電力なバックライト、照明装置および表示装置などを実現できる。
また、本第1実施形態の棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、図4Aに示すように、絶縁性基板21の表面上に本体1を配置する。このとき、本体1の軸方向が絶縁性基板21の表面とほぼ平行となるように、本体1の配置を行う。なお、絶縁性基板21は基板の一例である。
次に、図4Bに示すように、例えば蒸着法あるいはスパッタ法で、第1半導体部2にn側コンタクトメタル22を接続し、第2半導体部3にp側コンタクトメタル23を接続して、発光面4(図1参照)で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル23からn側コンタクトメタル22に電流を流すことにより、発光面4から光が放出される。
このように、上記本体1の軸方向を絶縁性基板21の表面とほぼ平行にするので、薄型化できる。
図5は、上記発光面4からの光の波長に対する本体1の軸方向の一端面5の凹凸の大きさの比の変化と、本体51の軸方向の一端面55に対する本体1の軸方向の一端面5の反射率の比の変化との関係を示すグラフである。なお、図5において、反射率(凹凸あり)は本体1の軸方向の一端面5の反射率であり、反射率(凹凸なし)は本体51の軸方向の一端面55の反射率である。また、凹凸の大きさとは、本体1の一方の端面5の平均値からのずれの大きさである。つまり、凹凸の大きさとは、本体1の一方の端面5における粗さ曲線の平均線から測定曲線までの偏差の二乗を平均した値の平方根で求める二乗平均粗さを指す。
図5から明らかなように、上記発光面4からの光の波長に対する本体1の軸方向の一端面5の凹凸の大きさの比が0.1以上であると、本体1の軸方向の一端面5での上記光の反射が非常に少なくなるので望ましい。
また、上記発光面4からの光の波長に対する本体1の軸方向の一端面5の凹凸の大きさの比が0.2以上であると、本体1の軸方向の一端面5での上記光の反射が殆ど無くなるのでより望ましい。
本第1実施形態の変形例の棒状構造発光素子としては、図6に示す断面ほぼ円形の棒状の本体61を備えたものがある。この本体61は、n型GaNからなる第1半導体部62と、p型GaNからなる第2半導体部63と、p型InGaNからなる量子井戸層67とを有している。また、本体61の軸方向の一端面65には凹凸が形成されている。一方、本体61の軸方向の他端面66はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部62の外周面は第2半導体部63の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部62の外周面は第2半導体部63の外周面とほぼ面一になっている。この第2半導体部63は、第1半導体部62に対して本体61の軸方向に並ぶように形成されている。そして、第1半導体部62と第2半導体部63との間には量子井戸層67が配置されている。なお、第1半導体部62は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部63は第2導電型半導体の一例であり、量子井戸層67は量子井戸層の一例である。また、第1半導体部62の外周面は第2半導体部63の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
このように、上記第1半導体部62と第2半導体部63との間に量子井戸層67を配置することによって、量子井戸層67の量子閉じ込め効果により発光効率をさらに向上できる。
また、上記本体61を備える棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、絶縁性基板21の表面上に、本体1の軸方向が絶縁性基板21の表面とほぼ平行となるように、本体1を配置して、蒸着法あるいはスパッタ法などで、第1半導体部62にn側コンタクトメタル22を接続し、第2半導体部63にp側コンタクトメタル23を接続して、発光面4で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル23からn側コンタクトメタル22に電流を流せばよい。
また、上記本体61を備える棒状構造発光素子は、第1半導体部2と同様に第1半導体部62を形成した後、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)、アンモニア(NH3)およびトリメチルインジウム(In(CH3)3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いて、量子井戸層67を形成した後、第2半導体部3と同様に第2半導体部63を形成すれば製造することができる。
本第1実施形態の他の変形例の棒状構造発光素子としては、図7に示す断面ほぼ円形の棒状の本体71を備えたものがある。この本体71は、n型GaNからなる第1半導体部72と、p型GaNからなる第2半導体部73とを有している。また、本体71の軸方向の一端面75には凹凸が形成されている。一方、本体71の軸方向の他端面76はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部72の外周面は第2半導体部73の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部72の外周面は第2半導体部73の外周面とほぼ面一になっている。また、第2半導体部73は、第1半導体部72の一端面75側の外周面を覆うように形成されている。つまり、第2半導体部73は、一部が第1半導体部72の一端面75側の端部を同心軸状に覆っている。また、第1半導体部72の一端面75側の軸方向の端面は第2半導体部73で完全に覆われている。なお、第1半導体部72は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部73は第2導電型半導体の一例である。また、第1半導体部72の外周面は第2半導体部73の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
このように、上記第1半導体部72の一端面75側を覆うように、第2半導体部73を形成するので、第1半導体部72と第2半導体部73との接触面積が増え、発光面積を大きくとることができる。
また、上記本体71を備える棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、絶縁性基板21の表面上に、本体71の軸方向が絶縁性基板21の表面とほぼ平行となるように、本体71を配置して、蒸着法あるいはスパッタ法などで、第1半導体部72にn側コンタクトメタル22を接続し、第2半導体部73にp側コンタクトメタル23を接続して、発光面4で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル23からn側コンタクトメタル22に電流を流せばよい。
また、上記本体71を備える棒状構造発光素子の製造方法は、まず、基板上に棒状のn型GaNを形成した後、このn型GaNの先端部の径をエッチングで小さくして、第1半導体部72を形成する。そして、第1半導体部72の先端部を覆うようにp型GaNを形成した後、このp型GaN上に、径が数十nm程度の微粒子を形成して、さらに、ドライエッチングを行って、第2半導体部73を形成する。
また、上記本体71のような本体を備える棒状構造発光素子の製造方法としては、基板上にn型GaN膜を形成した後、基板上に触媒金属(例えばNi)の粒を分散させ、MOCVDにより触媒金属下に棒状のn型GaNワイヤを成長させる。このn型GaNワイヤの成長後、MOCVDにより、n型GaNワイヤの上面(軸方向の一端面)および側面上と、n型GaN膜上とにp型GaN膜を成長する。そして、直径数十nmのInNドットをp型GaN膜の表面にS−K成長により形成して、さらに、ドライエッチングを行って、p型GaN膜の表面に凹凸を形成する。
〔第2実施形態〕
図8は本発明の第2実施形態の棒状構造発光素子の模式断面図である。
本第2実施形態の棒状構造発光素子は、断面ほぼ円形の棒状の本体201を備えている。この本体201は、n型GaAsからなる第1半導体部202と、この第1半導体部202に接触するp型GaAsからなる第2半導体部203とを有しており、この第1半導体部202と第2半導体部203との境界面が発光面204となっている。また、本体201の軸方向の一端面205には凸部208が形成されている。一方、本体201の軸方向の他端面206はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部202の外周面は第2半導体部203の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部202の外周面は第2半導体部203の外周面とほぼ面一になっている。この第2半導体部203は、第1半導体部202に対して本体201の軸方向に並ぶように形成されている。なお、第1半導体部202は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部203は第2導電型半導体の一例である。また、第1半導体部202の外周面は第2半導体部203の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
上記凸部208は第2半導体部203の一部であり、p型GaAsからなっている。また、凸部208の高さH1は、発光面204から出る光の波長の1/10以上に設定されている。なお、上記凸部208の高さH1は、発光面204から出る光の波長の1/5以上に設定してもよい。
上記棒状構造発光素子は、次のように製造する。
まず、図9Aに示すように、n型GaAsからなる基板211上に、複数の成長穴213,213,…(図9Aでは2つのみ図示)を有するマスク212を形成する。マスク212には、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など第1半導体部202および第2半導体部203に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴213,213,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク212の成長穴213,213,…により露出した基板211上に、MOCVD装置を用いて、n型GaAsを結晶成長させて、図9Bに示すように、各成長穴213内に第1半導体部202を形成する。より詳しくは、MOVPE装置の温度を750℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)とAsH3を使用し、n型不純物としてシラン(SiH3)を供給することによりSiを不純物としたn型GaAsからなる第1半導体部202を成長させる。このとき、マスク212の成長穴213の深さのほぼ半分まで第1半導体部202を成長させる。また、第1半導体部202の直径はマスク212の成長穴213の径で決めることができる。
次に、上記各第1半導体部202上に、p型GaAsからなる第2半導体部203Aを形成する。より詳しくは、MOVPE装置の温度を750℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)とAsH3を使用し、p型不純物供給用にTMZnを用いることによってを亜鉛(Zn)を不純物とするp型GaAsを成長させることができる。
次に、上記マスク212の一部を除去して、図9Cに示すように、第2半導体部203の基板211側とは反対側の端部をマスク212aから露出させる。マスク212aが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、第1半導体部202および第2半導体部203Aに影響を与えずにマスク212の一部を容易にエッチングすることができる。
次に、上記第2半導体部203の基板211側とは反対側の端部に対して例えば等方性エッチングを行って、図9Dに示すように、凸部208を形成する。この等方性エッチングは、例えば、硫酸と過酸化水素水と水との混合液を用いて行える。
次に、上記マスク212aの全部を除去して、図9Eに示すように、基板211上に複数の本体201,201,…(図9Eでは2つの図示)のみ残す。マスク212aが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、第1半導体部202および第2半導体部203に影響を与えずにマスク212を容易にエッチングすることができる。
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板211を浸した後、超音波(例えば数10KHz)を用いて、基板211を基板平面に沿って振動させる。これにより、基板211上に立設する本体201,201,…の基板211側に近い根元を折り曲げるように、本体201,201,…に対して応力が働いて、本体201,201,…が基板211から分離される。
こうして、n型GaAsからなる基板211から分離された微細な棒状構造発光素子を製造することができる。
上記構成の棒状構造発光素子によれば、発光面204から出た光は、導波効果によって本体201の軸方向の一端面205へ向かう。この一端面205には凸部208が形成されているので、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、発光面204からの光が本体201の軸方向の一端面205を通過し、効率良く本体201外に出る。
したがって、光を効率良く取り出すことができる微細な棒状構造発光素子を実現できる。この棒状構造発光素子は、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
もし、上記本体201の軸方向の一端面205が平らであったなら、発光面204からの光はその一端面205で反射されるため、本体201の外部に光が殆ど出なくなる。
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズであるが、この寸法に限るものでなく、直径が10nmから5μm、より好ましくは100nmから2μmである微細な棒状構造発光素子を製造してもよい。この微細な棒状構造発光素子の長さは、100nmから200μm、より好ましくは1μmから50μmとする。
また、上記凸部208の高さH1が発光面204から出る光の波長の1/10以上であるので、凸部208が形成された一端面205での上記光の反射を非常に少なくすることができる。
また、本第2実施形態の棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、図10Aに示すように、絶縁性基板221の表面上に本体201を配置する。このとき、本体201の軸方向が絶縁性基板221の表面とほぼ平行となるように、本体201の配置を行う。なお、絶縁性基板221は基板の一例である。
次に、図10Bに示すように、例えば蒸着法あるいはスパッタ法で、第1半導体部202にn側コンタクトメタル222を接続し、第2半導体部203にp側コンタクトメタル223を接続して、発光面204で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル223からn側コンタクトメタル222に電流を流すことにより、発光面204から光が放出される。
このように、上記本体201の軸方向を絶縁性基板221の表面とほぼ平行にするので、薄型化できる。
上記第2実施形態では、n型GaAsに対してp型GaAsが軸方向に並ぶように微細な棒状構造発光素子を製造したが、n型GaAsに対してp型GaAsの一部が径方向に並ぶように微細な棒状構造発光素子を製造してもよい。
〔第3実施形態〕
図11は本発明の第3実施形態の棒状構造発光素子の模式断面図である。
本第3実施形態の棒状構造発光素子は、断面ほぼ円形の棒状の本体301を備えている。この本体301は、p型GaNからなる第1半導体部302と、この第1半導体部302に接触するn型GaNからなる第2半導体部303とを有しており、この第1半導体部302と第2半導体部303との境界面が発光面304となっている。また、本体301の軸方向の一端面305には凹部309が形成されている。一方、本体301の軸方向の他端面306はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部302の外周面は第2半導体部303の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部302の外周面は第2半導体部303の外周面とほぼ面一になっている。この第2半導体部303は、第1半導体部302に対して本体301の軸方向に並ぶように形成されている。なお、第1半導体部302は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部303は第2導電型半導体の一例である。また、第1半導体部302の外周面は第2半導体部303の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
上記凹部309の深さDは、発光面304から出る光の波長の1/10以上に設定されている。なお、上記凹部309の深さDは、発光面304から出る光の波長の1/5以上に設定してもよい。
上記棒状構造発光素子は、次のように製造する。
まず、図12Aに示すように、サファイアからなる基板311上に、複数の成長穴313,313,…(図12Aでは2つのみ図示)を有するマスク312を形成する。マスク312には、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など第1半導体部302および第2半導体部303に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴313,313,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク312の成長穴313,313,…により露出した基板311上に、MOCVD装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて、図12Bに示すように、各成長穴313内に第2半導体部303Aを形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNからなる第2半導体部303Aを成長させる。このとき、マスク312の成長穴313の深さのほぼ半分まで第2半導体部303Aを成長させる。また、第2半導体部303Aの直径はマスク312の成長穴313の径で決めることができる。
次に、上記各第2半導体部303A上に、p型GaNからなる第1半導体部302を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、上記マスク312の全部を除去して、図12Cに示す状態にする。マスク312aが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、第1半導体部302および第2半導体部303Aに影響を与えずにマスク312の全部を容易にエッチングすることができる。
次に、上記基板311に対して例えば等方性エッチングを行って、図12Dに示す基板311aを得る。この基板311aは第2半導体部303Aの径よりも小径の接続部を有し、第2半導体部303Aはその接続部に接続されている。
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板311aを浸した後、超音波(例えば数10KHz)を用いて、基板311を基板平面に沿って振動させる。これにより、第2半導体部303A,303A,…の基板311a側に近い根元に対して応力が働いて、第2半導体部303A,303A,…のそれぞれの一部を基板311aの接続部に残し、第2半導体部303A,303A,…のそれぞれの残りが基板311aから離間する。つまり、図12Eに示すように、基板311aから複数の本体301,301,…(図12Eでは2つのみ図示)が分離する。
こうして、n型GaNからなる基板311から分離された微細な棒状構造発光素子を製造することができる。
上記構成の棒状構造発光素子によれば、発光面304から出た光は、導波効果によって本体301の軸方向の一端面305へ向かう。この一端面305には凹部309が形成されているので、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、発光面304からの光は、本体301の軸方向の一端面305を通過して、効率良く本体301外に出る。
したがって、光を効率良く取り出すことができる微細な棒状構造発光素子を実現できる。この棒状構造発光素子は、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
もし、上記本体301の軸方向の一端面305が平らであったなら、発光面304からの光はその一端面305で反射されるため、本体301の外部に光が殆ど出なくなる。
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズであるが、この寸法に限るものでなく、直径が10nmから5μm、より好ましくは100nmから2μmである微細な棒状構造発光素子を製造してもよい。この微細な棒状構造発光素子の長さは、100nmから200μm、より好ましくは1μmから50μmとする。
また、上記凹部309の深さDが発光面304から出る光の波長の1/10以上であるので、凹部309が形成された一端面305での上記光の反射を非常に少なくすることができる。
また、本第3実施形態の棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、図13Aに示すように、絶縁性基板321の表面上に本体301を配置する。このとき、本体301の軸方向が絶縁性基板321の表面とほぼ平行となるように、本体301の配置を行う。なお、絶縁性基板321は基板の一例である。
次に、図13Bに示すように、例えば蒸着法あるいはスパッタ法で、第2半導体部303にn側コンタクトメタル322を接続し、第1半導体部302にp側コンタクトメタル323を接続して、発光面304で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル323からn側コンタクトメタル322に電流を流すことにより、発光面304から光が放出される。
このように、上記本体301の軸方向を絶縁性基板321の表面とほぼ平行にするので、薄型化できる。
〔第4実施形態〕
図14は本発明の第4実施形態の棒状構造発光素子の模式断面図である。
本実施形態の棒状構造発光素子は、断面ほぼ円形の棒状の本体401を備えている。この本体401は、p型GaNからなる第1半導体部402と、この第1半導体部402に接触するn型GaNからなる第2半導体部403とを有しており、この第1半導体部402と第2半導体部403との境界面が発光面404となっている。また、本体401の軸方向の一端面405には凸部408が形成されている。一方、本体401の軸方向の他端面406はほぼ平坦な面である。また、第1半導体部402の外周面は第2半導体部403の外周面と滑らかに連続している。つまり、第1半導体部402の外周面は第2半導体部403の外周面とほぼ面一になっている。この第2半導体部403は、第1半導体部402に対して本体401の軸方向に並ぶように形成されている。なお、第1半導体部402は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部403は第2導電型半導体の一例である。また、第1半導体部402の外周面は第2半導体部403の外周面に対して段差を有するように形成してもよい。
上記凸部408はSiからなっている。また、凸部408の高さH2は、発光面404から出る光の波長の1/10以上に設定されている。なお、上記凸部408の高さH2は、発光面404から出る光の波長の1/5以上に設定してもよい。
上記棒状構造発光素子は、次のように製造する。
まず、図15Aに示すように、Siからなる基板411上に、複数の成長穴413,413,…(図15Aでは2つのみ図示)を有するマスク412を形成する。マスク412には、酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)など第1半導体部402および第2半導体部403に対して選択的にエッチング可能な材料を用いる。成長穴413,413,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク412の成長穴413,413,…により露出した基板411上に、MOCVD装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて、図15Bに示すように、各成長穴413内に第2半導体部403を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNからなる第2半導体部403を成長させる。このとき、マスク412の成長穴413の深さのほぼ半分まで第2半導体部403を成長させる。また、第2半導体部403の直径はマスク412の成長穴413の径で決めることができる。
次に、上記各第2半導体部403上に、p型GaNからなる第1半導体部402を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、上記マスク412の全部を除去して、図15Cに示す状態にする。マスク412aが酸化シリコン(SiO2)あるいは窒化シリコン(Si3N4)で構成されている場合、フッ酸(HF)を含んだ溶液を用いることにより、第1半導体部402および第2半導体部403Aに影響を与えずにマスク412の全部を容易にエッチングすることができる。
次に、上記基板411に対して例えば等方性エッチングを行って、図15Dに示す基板411aを得る。この基板411aは第2半導体部403の径よりも小径の接続部を有し、第2半導体部403はその接続部に接続されている。
次に、イソプロピルアルコール(IPA)水溶液中に基板411aを浸した後、超音波(例えば数10KHz)を用いて、基板411を基板平面に沿って振動させる。これにより、基板411aの接続部に対して応力が働いて、その接続部の大部分が第2半導体部403と共に基板411aから離間する。つまり、基板411aから、図15Eに示すように、複数の本体401,401,…(図15Eでは2つのみ図示)が分離する。
こうして、n型GaNからなる基板411から分離された微細な棒状構造発光素子を製造することができる。
上記構成の棒状構造発光素子によれば、発光面404から出た光は、導波効果によって本体401の軸方向の一端面405へ向かう。この一端面405には凸部408が形成されているので、マイクロオーダーサイズやナノオーダーサイズの微細な棒状構造発光素子であっても、発光面404からの光が本体401の軸方向の一端面405を通過し、効率良く本体401外に出る。
したがって、光を効率良く取り出すことができる微細な棒状構造発光素子を実現できる。この棒状構造発光素子は、基板と一体でないので、装置への実装の自由度が高い。
もし、上記本体401の軸方向の一端面405が平らであったなら、発光面404からの光はその一端面405で反射されるため、本体401の外部に光が殆ど出なくなる。
ここで、微細な棒状構造発光素子とは、例えば直径が1μmで長さ10μmのマイクロオーダーサイズであるが、この寸法に限るものでなく、直径が10nmから5μm、より好ましくは100nmから2μmである微細な棒状構造発光素子を製造してもよい。この微細な棒状構造発光素子の長さは、100nmから200μm、より好ましくは1μmから50μmとする。
また、上記凸部408の高さH1が発光面404から出る光の波長の1/10以上であるので、凸部408が形成された一端面405での上記光の反射を非常に少なくすることができる。
また、上記凸部408の材質が第2半導体部403の材質と異なるので、本体401を削ったり、本体401にダメージを与えることなく、本体401の軸方向の一端面405に凸部408を形成して、その一端面405での反射を低減できる。
また、本実施形態の棒状構造発光素子から光を取り出す場合、例えば、図16Aに示すように、絶縁性基板421の表面上に本体401を配置する。このとき、本体401の軸方向が絶縁性基板421の表面とほぼ平行となるように、本体401の配置を行う。なお、絶縁性基板421は基板の一例である。
次に、図16Bに示すように、例えば蒸着法あるいはスパッタ法で、第1半導体部402にp側コンタクトメタル423を接続し、第2半導体部403にn側コンタクトメタル422を接続して、発光面404で電子と正孔の再結合が起きるようにp側コンタクトメタル423からn側コンタクトメタル422に電流を流すことにより、発光面404から光が放出される。
このように、上記本体401の軸方向を絶縁性基板421の表面とほぼ平行にするので、薄型化できる。
〔第5実施形態〕
次に、本発明の第5実施形態の棒状構造発光素子を備えたバックライト、照明装置および表示装置について説明する。この第5実施形態では、上記第1〜第4実施形態に記載の棒状構造発光素子を絶縁性基板に配列する。この棒状構造発光素子の配列は、本出願人が特願2007−102848(特開2008−260073号公報)で出願した「微細構造体の配列方法及び微細構造体を配列した基板、並びに集積回路装置及び表示素子」の発明の技術を用いて行う。
図23は本第5実施形態のバックライト、照明装置および表示装置に用いる絶縁性基板の平面図を示している。図23に示すように、絶縁性基板550の表面に、金属電極551,552を形成している。絶縁性基板550はガラス、セラミック、酸化アルミニウム、樹脂のような絶縁体、またはシリコンのような半導体表面にシリコン酸化膜を形成し、表面が絶縁性を有するような基板である。ガラス基板を用いる場合は、表面にシリコン酸化膜、シリコン窒化膜のような下地絶縁膜を形成するのが望ましい。
上記金属電極551,552は、印刷技術を利用して所望の電極形状に形成している。なお、金属膜および感光体膜を一様に積層し、所望の電極パターンを露光し、エッチングして形成してもよい。
図23では省略されているが、金属電極551,552には外部から電位を与えられるように、パッドを形成している。この金属電極551,552が対向する部分(配列領域)に棒状構造発光素子を配列する。図23では、棒状構造発光素子を配列する配列領域が2×2個配列されているが、任意の個数を配列してよい。
図18は図23のXVIII−XVIII線から見た模式断面図である。
まず、図18に示すように、絶縁性基板550上に、棒状構造発光素子560を含んだイソプロピルアルコール(IPA)561を薄く塗布する。IPA561の他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、メタノール、エタノール、アセトン、またはそれらの混合物でもよい。あるいは、IPA561は、他の有機物からなる液体、水などを用いることができる。
ただし、液体を通じて金属電極551,552間に大きな電流が流れてしまうと、金属電極551,552間に所望の電圧差を印加できなくなってしまう。そのような場合には、金属電極551,552を覆うように、絶縁性基板550表面全体に、10nm〜30nm程度の絶縁膜をコーティングすればよい。
上記棒状構造発光素子560を含むIPA561を塗布する厚さは、次に棒状構造発光素子560を配列する工程で、棒状構造発光素子560が配列できるよう、液体中で棒状構造発光素子560が移動できる厚さである。したがって、IPA561を塗布する厚さは、棒状構造発光素子560の太さ以上であり、例えば、数μm〜数mmである。塗布する厚さは薄すぎると、棒状構造発光素子560が移動し難くなり、厚すぎると、液体を乾燥する時間が長くなる。また、IPAの量に対して、棒状構造発光素子560の量は、1×104本/cm3〜1×107本/cm3が好ましい。
上記棒状構造発光素子560を含むIPA561を塗布するために、棒状構造発光素子560を配列させる金属電極の外周囲に枠を形成し、その枠内に棒状構造発光素子560を含むIPA561を所望の厚さになるように充填してもよい。しかしながら、棒状構造発光素子560を含むIPA561が粘性を有する場合は、枠を必要とせずに、所望の厚さに塗布することが可能である。
IPAやエチレングリコール、プロピレングリコール、…、またはそれらの混合物、あるいは、他の有機物からなる液体、または水などの液体は、棒状構造発光素子560の配列工程のためには粘性が低いほど望ましく、また加熱により蒸発しやすい方が望ましい。
次に、金属電極551,552間に電位差を与える。この第5実施形態では、1Vの電位差とするのが適当であった。金属電極551,552の電位差は、0.1〜10Vを印加することができるが、0.1V以下では棒状構造発光素子560の配列が悪くなり、10V以上では金属電極間の絶縁が問題になり始める。したがって、1〜5Vが好ましく、更には1V程度とするのが好ましい。
図19は上記棒状構造発光素子560が金属電極551,552上に配列する原理を示している。図19に示すように、金属電極551に電位VLを印加し、金属電極552に電位VR(VL<VR)を印加すると、金属電極551には負電荷が誘起され、金属電極552には正電荷が誘起される。そこに棒状構造発光素子560が接近すると、棒状構造発光素子560において、金属電極551に近い側に正電荷が誘起され、金属電極552に近い側に負電荷が誘起される。この棒状構造発光素子560に電荷が誘起されるのは静電誘導による。すなわち、電界中に置かれた棒状構造発光素子560は、内部の電界が0となるまで表面に電荷が誘起されることによる。その結果、各電極と棒状構造発光素子560との間に静電力により引力が働き、棒状構造発光素子560は、金属電極551,552間に生じる電気力線に沿うと共に、各棒状構造発光素子560に誘起された電荷がほぼ等しいので、電荷による反発力により、ほぼ等間隔に一定方向に規則正しく配列する。しかしながら、例えば、第1実施形態の図1に示す棒状構造発光素子では、凹凸が形成された一端面5の向きは一定にならず、ランダムになる(第1実施形態の変形例や他の実施形態の棒状構造発光素子でも同様)。
以上のように、上記棒状構造発光素子560が金属電極551,552間に発生した外部電場により、棒状構造発光素子560に電荷を発生させ、電荷の引力により金属電極551,552に棒状構造発光素子560を吸着させるので、棒状構造発光素子560の大きさは、液体中で移動可能な大きさであることが必要である。したがって、棒状構造発光素子560の大きさは、液体の塗布量(厚さ)により変化する。液体の塗布量が少ない場合は、棒状構造発光素子560はナノオーダーサイズでなければならないが、液体の塗布量が多い場合は、マイクロオーダーサイズであってもかまわない。
上記棒状構造発光素子560が電気的に中性ではなく、正または負に帯電している場合は、金属電極551,552間に静的な電位差(DC)を与えるだけでは、棒状構造発光素子560を安定して配列することができない。例えば、棒状構造発光素子560が正味として正に帯電した場合は、正電荷が誘起されている金属電極552との引力が相対的に弱くなる。そのため、棒状構造発光素子560の配列が非対象になる。
そのような場合は、図20に示すように、金属電極551,552間にAC電圧を印加することが好ましい。図20においては、金属電極552に基準電位を、金属電極551には振幅VPPL/2のAC電圧を印加している。こうすることにより、棒状構造発光素子560が帯電している場合でも、配列を対象に保つことができる。なお、この場合の金属電極552に与える交流電圧の周波数は、10Hz〜1MHzとするのが好ましく、50Hz〜1kHzとするのが最も配列が安定し、より好ましい。さらに、金属電極551,552間に印加するAC電圧は、正弦波に限らず、矩形波、三角波、ノコギリ波など、周期的に変動するものであればよい。なお、VPPLは1V程度とするのが好ましかった。
次に、上記金属電極551,552上に、棒状構造発光素子560を配列させた後、絶縁性基板550を加熱することにより、液体を蒸発させて乾燥させ、棒状構造発光素子560を金属電極551,552間の電気力線に沿って等間隔に配列させて固着させる。
図21は上記棒状構造発光素子560を配列した絶縁性基板550の平面図を示している。この棒状構造発光素子560を配列した絶縁性基板550を、液晶表示装置などのバックライトに用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力なバックライトを実現することができる。また、この棒状構造発光素子560を配列した絶縁性基板550を照明装置として用いることにより、薄型化と軽量化が可能でかつ発光効率が高く省電力な照明装置を実現することができる。
また、図22は上記棒状構造発光素子560を配列した絶縁性基板を用いた表示装置の平面図を示している。図22に示すように、表示装置500は、絶縁性基板510上に、表示部501、論理回路部502、論理回路部503、論理回路部504および論理回路部505を備える構成となっている。上記表示部501には、マトリックス状に配置された画素に棒状構造発光素子560を配列している。
図23は上記表示装置500の表示部501の要部の回路図を示しており、上記表示装置500の表示部501は、図23に示すように、互いに交差する複数の走査信号線GL(図23では1本のみを示す)と複数のデータ信号線SL(図23では1本のみを示す)とを備えており、隣接する2本の走査信号線GLと隣接する2本のデータ信号線SLとで包囲された部分に、画素がマトリクス状に配置されている。この画素は、ゲートが走査信号線GLに接続され、ソースがデータ信号線SLに接続されたスイッチング素子Q1と、そのスイッチング素子Q1のドレインにゲートが接続されたスイッチング素子Q2と、上記スイッチング素子Q2のゲートに一端が接続された画素容量Cと、上記スイッチング素子Q2により駆動される複数の発光ダイオードD1〜Dn(棒状構造発光素子560)とを有している。
上記棒状構造発光素子560のpnの極性は、一方に揃っておらず、ランダムに配列されている。このため、駆動時は交流電圧により駆動されて、異なる極性の棒状構造発光素子560が交互に発光することになる。
また、上記表示装置の製造方法によれば、独立した電位が夫々与えられる2つの電極551,552を単位とする配列領域が形成された絶縁性基板550を作成し、その絶縁性基板550上にナノオーダーサイズまたはマイクロオーダーサイズの棒状構造発光素子560を含んだ液体を塗布する。その後、2つの電極551,552に独立した電圧を夫々印加して、微細な棒状構造発光素子560を2つの電極551,552により規定される位置に配列させる。これにより、上記棒状構造発光素子560を所定の絶縁性基板550上に容易に配列させることができる。
また、上記表示装置の製造方法では、使用する半導体の量を少なくできると共に、薄型化と軽量化が可能な表示装置を製造することができる。また、棒状構造発光素子560は、半導体層で覆われた半導体コアの全周から光が放出されることにより発光領域が広くなるので、発光効率が高く省電力な表示装置を実現することができる。
上記第1,第3,第4実施形態では、第1半導体部2,62,72,302,402と第2半導体部3,63,73,303,403とに、GaNを母材とする半導体を用いたが、GaAs,AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInPなどを母材とする半導体を用いた発光素子に本発明を適用してもよい。また、第1半導体部の導電型をn型とし、第2半導体部の導電型をp型とした棒状構造発光素子に本発明を適用してもよいし、第1半導体部の導電型をp型とし、第2半導体部の導電型をn型とした棒状構造発光素子に本発明を適用してもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、断面がほぼ円形の本体1,61,71,201,301,401を備えた棒状構造発光素子について説明したが、これに限らず、本発明の棒状構造発光素子の本体の断面は、楕円、または、三角形などの他の多角形状などであってもよい。
また、上記第1〜第4実施形態において、本体1,61,71,201,301,401の直径は500nm以上かつ50μm以下が好ましく、直径が数10nm〜数100nmの本体を備える棒状構造発光素子に比べて、本体1,61,71,201,301,401の直径のばらつきを抑えることができ、発光面積すなわち発光特性のばらつきを低減でき、歩留まりを向上できる。
また、上記第1〜第4実施形態において、本体1,61,71,201,301,401の軸方向の一端面5,65,75,205,305,405と同様に、本体1,61,71,201,301,401の軸方向の他端面にも凹部または凸部を形成してもよい。つまり、軸方向の両端面に凹部または凸部が形成された本体を備える棒状構造発光素子を、本発明の一実施形態の棒状構造発光素子としてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態の製造方法において、MOCVD装置に換えて、MBE(分子線エピタキシャル)装置などの他の結晶成長装置を用いてもよい。また、成長穴を有するマスクを用いて第1,第2半導体部を基板上に結晶成長させたが、基板上に金属種を配置して、金属種から第1,第2半導体部を結晶成長させてもよい。
また、上記第1〜第4実施形態では、超音波を用いて、第1,第2半導体部を基板から切り離したが、これに限らず、切断工具を用いて、第1,第2半導体部を基板から機械的に折り曲げることによって切り離してもよい。この場合、簡単な方法で基板上に設けられた微細な複数の棒状構造発光素子を短時間で切り離すことができる。
また、上記第5実施形態では、絶縁性基板550の表面に形成された2つの金属電極551,552に電位差を与えて、金属電極551,552間に棒状構造発光素子560を配列させたが、これに限らず、絶縁性基板の表面に形成された2つの電極間に、第3の電極を形成し、3つの電極に独立した電圧を夫々印加して、棒状構造発光素子を電極により規定される位置に配列させてもよい。
また、上記第5実施形態では、棒状構造発光素子を備えた表示装置について説明したが、これに限らず、本発明の棒状構造発光素子の製造方法により製造された棒状構造発光素子をバックライトや照明装置などの他の装置に適用してもよい。
また、上記第2実施形態では、第1半導体部202と第2半導体部203とにGaAsを母材とする半導体を用いたが、AlGaAs,GaAsP,InGaN,AlGaN,GaP,ZnSe,AlGaInP,GaNなどを母材とする半導体を用いた発光素子に本発明を適用してもよい。また、第1半導体部の導電型をn型とし、第2半導体部の導電型をp型とした棒状構造発光素子に本発明を適用してもよいし、第1半導体部の導電型をp型とし、第2半導体部の導電型をn型とした棒状構造発光素子に本発明を適用してもよい。
上記第1,第2実施形態では、基板11,211から微細な棒状構造発光素子を分離した後、基板21,221の表面上に、本体1,61,71,201の軸方向が基板21,221と平行となるように微細な棒状構造発光素子を配置して、さらに、n側コンタクトメタル22およびp側コンタクトメタル23を形成したが、基板11,211から微細な棒状構造発光素子を分離させずに、コンタクトメタルを形成してもよい。
以下、基板から微細な棒状構造発光素子を分離させずに、コンタクトメタルを形成する場合の一例について説明する。
まず、図24Aに示すように、Siからなる基板1011を準備する。この基板1011には、必要に応じて、洗浄剤や純水などで基板洗浄を行ったり、マーキングなどの基板加工を行ったりしてもよい。
次に、上記基板1011にイオン注入を行って、図24Bに示すように、n型Siからなる下地層1131を基板1111の表面部に形成する。
次に、図24Cに示すように、下地層1131上に、複数の成長穴1113,1113,…(図24Cでは1つのみ図示)を有するマスク1112を形成する。マスク1112の材料としては、後述の第2半導体部1103Aに対して選択的にエッチング可能な絶縁体を用いる。成長穴1113,1113,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク1112の成長穴1113,1113,…により露出した下地層1131上に、MOCVD装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて、図24Dに示すように、各成長穴1113内に第1半導体部1102を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNからなる第1半導体部1102を成長させる。この第1半導体部1102の直径はマスク1112の成長穴1113の径で決めることができる。
次に、上記各第1半導体部1102上に、p型GaNからなる第2半導体部1103Aを形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、CMP(Chemical Mechanical Polishing:化学機械研磨)で平坦化処理を行って、図24Eに示すように、マスク1112aの表面を第2半導体部1103Aの表面とほぼ面一にする。
次に、図24Fに示すように、マスク1112および第2半導体部1103A上に複数の微粒子1114を形成する。この微粒子1114の径は数十nm程度である。また、微粒子1114の材料として、例えば金などを用いることができる。
次に、ドライエッチングを行って、図24Gに示すように、各第1半導体部1102上にp型GaNからなる第2半導体部1103を形成する。これにより、基板1111から分離されていない微細な棒状構造発光素子が複数得られる。この微細な棒状構造発光素子の断面ほぼ円形の棒状の本体1101は、第1半導体部1102および第2半導体部1103で構成されている。本体1101の軸方向は基板1111の表面に対してほぼ垂直になっている。そして、本体1101の軸方向の一端面1105には1つの凹部が形成されている。また、マスク1112bの表面には凹凸が形成されている。なお、本体1101の軸方向の一端面1105に凹凸を形成してもよい。また、第1半導体部1102は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部1103は第2導電型半導体の一例である。
次に、上記マスク1112bの表面部をウェットエッチングで除去して、図24Hに示すように、マスク1112cの表面に対して第2半導体部1103が突出する。このとき、第2半導体部1103の外周面のほぼ全部が露出している。一方、第1半導体部1102の外周面はマスク1112cで覆われて一部も露出していない。
次に、図24Iに示すように、蒸着法あるいはスパッタ法で、第2半導体部1103を覆うようにp側コンタクトメタル1132を形成する。
次に、上記p側コンタクトメタル1132の一部を除去して、図24Jに示すように、2半導体部1103の外周面に接続されたp側コンタクトメタル1132aが得られる。このとき、本体1101の軸方向の一端面1105は、p側コンタクトメタル1132aで覆われていなくて露出している。
最後に、図示しないが、下地層1131の表面の一部を露出させて、この表面の一部にn側コンタクトメタルを接続する。
このように形成したp側コンタクトメタル1132aからn側コンタクトメタルに電流、を流すことにより、発光面1104から光が放出される。そして、発光面1104からの光が本体1101の軸方向の一端面1105を通過し、効率良く本体1101外に出る。
したがって、上記基板1111に立設した微細な棒状構造発光素子であっても、光を効率良く取り出すことができる。
また、上記第1〜第4実施形態において、本体の軸方向の一端面と本体の軸方向の他端面との少なくとも一方を電極で形成すると共に、その電極に凹部および凸部の少なくとも一方を形成するようにしてもよい。この場合、上記電極は本体の一部を構成する。
以下、微細な棒状構造発光素子が備える本体の軸方向の一端面を電極で形成し、この電極に凹凸を形成する場合の一例について説明する。
まず、図25Aに示すように、Siからなる基板2011を準備する。この基板2011には、必要に応じて、洗浄剤や純水などで基板洗浄を行ったり、マーキングなどの基板加工を行ったりしてもよい。
次に、上記基板2011にイオン注入を行って、図25Bに示すように、n型Siからなる下地層2131を基板2111の表面部に形成する。
次に、図25Cに示すように、下地層2131上に、複数の成長穴2113,2113,…(図25Cでは1つのみ図示)を有するマスク2112を形成する。マスク2112の材料としては、下地層2131と後述の第1半導体部2102とに対して選択的にエッチング可能な絶縁体を用いる。成長穴2113,2113,…の形成は、通常の半導体プロセスに使用する公知のリソグラフィー法とドライエッチング法が利用できる。
次に、上記マスク2112の成長穴2113,2113,…により露出した下地層2131上に、MOCVD装置を用いて、n型GaNを結晶成長させて、図25Dに示すように、各成長穴2113内に第1半導体部2102を形成する。より詳しくは、MOCVD装置の温度を950℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を使用し、n型不純物供給用にシラン(SiH3)を、さらにキャリアガスとして水素(H3)を供給することによって、Siを不純物としたn型GaNからなる第1半導体部2102を成長させる。この第1半導体部2102の直径はマスク2112の成長穴2113の径で決めることができる。
次に、上記マスク2112を選択的に除去して、図25Eに示すように、第1半導体部2102の外周面を露出させる。
次に、図25Fに示すように、第1半導体部2102を覆うように、p型GaNからなる第2半導体部2103を成長させる。より詳しくは、MOCVD装置の温度を960℃程度に設定し、成長ガスとしてトリメチルガリウム(TMG)およびアンモニア(NH3)を、p型不純物供給用にビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2Mg)を用いることによってマグネシウム(Mg)を不純物とするp型GaNを成長させることができる。
次に、図25Gに示すように、第2半導体部2103上に、ITO(錫添加酸化インジウム)からなるp側コンタクトメタル2132を形成する。これにより、第2半導体部2103はp側コンタクトメタル2132によって覆われる。
次に、図25Hに示すように、p側コンタクトメタル2132上に、酸化膜からなる絶縁層2133を形成する。
次に、CMPで平坦化処理を行って、図25Iに示すように、絶縁層2133aの表面をp側コンタクトメタル2132の表面とほぼ面一にする。
次に、図25Jに示すように、絶縁層2133aおよびp側コンタクトメタル2132上に複数の微粒子2114を形成する。この微粒子2114の径は数十nm程度である。また、微粒子2114の材料として、例えば金などを用いることができる。
次に、ドライエッチングを行って、図25Kに示すように、絶縁層2133aおよびp側コンタクトメタル2132の表面に凹凸を形成する。これにより、基板2111に一体に形成された微細な棒状構造発光素子が複数得られる。この微細な棒状構造発光素子の断面ほぼ円形の棒状の本体2101は、第1半導体部2102と、第2半導体部2103の一部と、p側コンタクトメタル2132の一部とで構成されている。本体2101の軸方向は基板2111の表面に対してほぼ垂直になっている。そして、本体2101の軸方向の一端面2105には凹凸が形成されている。なお、本体2101の軸方向の一端面2105に1つの凹部または1つの凸部を形成してもよい。また、第1半導体部2102は第1導電型半導体の一例であり、第2半導体部2103は第2導電型半導体の一例である。
最後に、図示しないが、下地層2131の表面の一部を露出させて、この表面の一部にn側コンタクトメタルを接続する。
このように形成したp側コンタクトメタル2132aからn側コンタクトメタルに電流、を流すことにより、発光面2104から光が放出される。そして、発光面2104からの光が本体2101の軸方向の一端面2105を通過し、効率良く本体2101外に出る。
本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明は上記第1〜第5実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々変更して実施することができる。