以下、本発明の計測パケット作成装置を具現化した実施形態の通信装置1について、図面を参照して説明する。なお、参照する図面は、本発明が採用し得る技術的特徴を説明するために用いられるものである。図面に記載されている装置の構成、各種処理のフローチャート等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
まず、通信システム100について説明する。図1のように、通信システム100は、少なくとも2つの通信装置1を備える。本実施形態の通信システム100は、サーバを介さずに各通信装置が直接的にデータのやり取りを行うピアツーピア型のテレビ会議に用いられる。
通信装置1は、ネットワーク8を介して他の通信装置1と接続可能であり、他の通信装置1との間で各種データの送受信を行う機能を備える。通信装置1は、本発明の計測パケット作成装置としての機能を備えている。通信装置1は、テレビ会議に用いられるデータを互いに送受信する。テレビ会議に用いられるデータとしては、例えば、画像データと、音声データと、文章データ(資料データ)と、テキストデータと、画面のポインタ座標データとが挙げられる。通信装置1は、テレビ会議専用の通信装置であってもよいし、テレビ会議用の通信装置としての機能を含む種々の情報処理を行うパーソナルコンピュータであってもよい。
通信システム100では、計測パケットを用いて通信相手の通信装置1との間で使用可能な帯域が計測される。使用可能な帯域を越える伝送レートで計測パケットが送信されると、例えば、パケットロスと、送信遅延といった問題が生じる。一方、使用可能な帯域を下回る伝送レートで計測パケットが送信されると、使用可能な帯域を十分に活用することができず、通信効率が悪い。従って、各通信装置1は、送信時の伝送レートが使用可能な帯域以下になるように制御する。
通信装置1の電気的構成について説明する。図1のように、通信装置1は、CPU10と、ROM11と、RAM12と、ハードディスクドライブ(以下、「HDD」と言う。)13と、入出力インターフェース19とを備え、それらはバス18を介して接続されている。通信装置1は、さらに、音声入力処理部21と、音声出力処理部22と、映像入力処理部23と、映像出力処理部24と、操作部25と、外部通信I/F26とを備える。
CPU10は、ROM11又はHDD13に記憶されたプログラムに従って、各種処理を実行させる。ROM11と、HDD13とはそれぞれ、通信装置1において実行されるプログラムと、プログラム実行時に参照される初期値とを含む各種情報を記憶している。RAM12は、プログラムで使用される各種の情報を一時的に記憶する。HDD13は、図2を参照して後述するバッファ130を備える。通信装置1は、HDD13の代わりに、EEPROM又はメモリカード等の記憶装置を備えてもよい。
入出力インターフェース19には、音声入力処理部21と、音声出力処理部22と、映像入力処理部23と、映像出力処理部24と、操作部25と、外部通信I/F26とが接続されている。音声入力処理部21は、マイク31によって入力された音声データを処理する。音声出力処理部22は、音声データに基づきスピーカ32に音声を出力させる。映像入力処理部23は、カメラ33からの入力された映像データ(動画像データ)を処理する。映像出力処理部24は、映像データに基づき表示装置34に映像を表示させる。操作部25は、ユーザが通信装置1に各種指示を入力する際に用いられる。外部通信I/F26は、通信装置1とネットワーク8とを接続する。
次に、図2を参照して、HDD13のバッファを説明する。図2では、バッファ130の記憶容量と、バッファ130に記憶されるデータのブロック121から124が概念的に示されている。バッファ130には、データの種類に対応してバッファ101から104が設けられている。バッファ101から104はそれぞれ、データの種類に応じて設定された記憶容量を備え、データを種類ごとに一時的に記憶させる。データの種類は、データが表すコンテンツに基づき決定される。本実施形態では、データの種類として、「Video」と、「資料」と、「Audio」と、「その他」との4種類が設定されている。「Video」には、映像入力処理部23によって作成された映像データが含まれる。「資料」には、文章データが含まれる。「Audio」には、音声入力処理部21によって作成された音声データが含まれる。「その他」には、「Video」と、「資料」と、「Audio」とのいずれにも分類されないその他のデータが含まれる。その他のデータとしては、例えば、各種コマンド等を含むテキストデータと、画面のポインタ座標データとが挙げられる。
データの種類に応じた記憶容量は、Video、Audio、資料、その他の順に大きく設定されている。図2のように、映像データのブロック121は、バッファ101に記憶される。音声データのブロック122は、バッファ102に記憶される。文章データのブロック123は、バッファ103に記憶される。その他のデータのブロック124は、バッファ104に記憶される。図2では、バッファ101から104において、白色で示す部分は、空き容量を表している。本実施形態では、データはデータブロック単位でバッファ130に記憶される。各データブロックのサイズの目安はデータの種類毎に決まっており、Video、資料、Audio、その他の順にデータサイズが大きい。データはブロック単位でパケットに追加され、パケットに追加されたデータブロックは、バッファ130から削除される。
次に、図3を参照して、本実施形態の通信システム100で用いられる帯域計測方法の概略を説明する。通信システム100で用いられる帯域計測方法は、上記非特許文献1に記載されている公知の方式を改良したものである。なお、本発明を適用できる帯域計測方法は、上記文献に記載されている方式を改良した方法に限られない。パケットの送信間隔及び受信間隔を利用して使用可能な帯域を計測する帯域計測方法であれば、本発明の適用は可能である。
帯域と、通信装置間の伝送レートとを比較するため、帯域を伝送路容量(bps)で表わす。送信側通信装置が送信する伝送レート(伝送速度)とほぼ等しい伝送レートで受信側装置が受信可能な帯域の最大の伝送レートを、使用可能な帯域と呼ぶ。使用可能な帯域は、通信に適した帯域として定義されてもよい。この場合、通信の用途に応じて、使用可能な帯域として、データの送受信する際の遅延の程度が許容量となる帯域の最大の伝送レートとされてもよい。また、送信時の伝送レートとほぼ等しい伝送レートで受信側通信装置が受信可能な帯域の最大の伝送レートよりも小さい所定の伝送レートが使用可能な帯域とされてもよい。
計測パケットを送信する通信装置1を、送信装置と言う。計測パケットを受信する通信装置1を、受信装置と言う。送信時の伝送レートAが使用可能な帯域以下であれば、受信時の伝送レートBは、理論的に送信時の伝送レートAと同一となる。ここで、通信システム100は、送信間隔の期間内に送信される計測パケットのデータサイズが一定のもと、送信間隔を変化させる。送信時の伝送レートAが使用可能な帯域以下である場合、送信時の伝送レートAと、受信時の伝送レートBとは同一となる。したがってこの場合、図3のように、送信時の伝送レートAと、受信時の伝送レートBとの対応関係に基づき、傾きが1である近似直線L1が得られる。一方、送信時の伝送レートAが使用可能な帯域よりも高い場合には、受信時の伝送レートBは送信時の伝送レートAよりも小さくなる。この場合図3のように、送信時の伝送レートAと、受信時の伝送レートBとの対応関係に基づき、傾きが1よりも小さい近似直線L2が得られる。通信システム100は、近似直線L1と近似直線L2とが交差する点(境界点)に対応する送信時の伝送レートA1を、使用可能な帯域として特定する。
次に、図4を参照して通信装置1において実行されるデータ取得処理を説明する。データ取得処理は、通信装置1が起動されている期間、HDD13に記憶されているプログラムに従って、通信装置1のCPU10によって実行される。図4のように、データ取得処理ではまず、終了指示があるか否かが判断される(S1)。S1の終了指示は、例えば、通信装置1の電源をOFFにする指示である。終了指示がある場合(S1:YES)、データ取得処理は終了する。終了指示がない場合(S1:NO)、CPU10は生成データが入力されたか否かを判断する(S2)。本実施形態では、生成データが入力された場合として、マイク31から音声データが入力された場合と、カメラ33から映像データが入力された場合と、操作部25が操作されて文章データ及びその他のデータが入力された場合とのいずれかが想定される。生成データは、例えば、データの種類に応じたブロック単位で入力される。
生成データが入力された場合(S2:YES)、CPU10は、入力された生成データを取得し、取得した生成データをデータの種類に応じたバッファ130に記憶させる(S3)。データの種類は、例えば、データブロックに含まれる情報、又は、生成データを入力した装置(例えば、マイク)に基づき判断される。CPU10は、S3を繰り返し実行することによって、複数種類のデータを取得する。後述するメイン処理では、CPU10は、S3で取得された複数種類のデータの中から、データの種類ごとに設定された優先順に基づき、計測パケットに追加するデータが選択される。このため、S3では、取得された生成データが、データの種類に応じたバッファ130に記憶される。データが入力されていない場合(S2:NO)、処理はS1に戻る。以上のように、CPU10は、データ取得処理を実行する。
次に、図5から図9を参照して、通信装置1が計測パケット作成装置として動作する場合に実行されるメイン処理について説明する。メイン処理は、送信装置と、受信装置との間でデータを送受信する指示が入力されると、HDD13に記憶されているプログラムに従って、通信装置1のCPU10によって実行される。また、説明を簡単にするために、計測パケットには、計測用データと、上記4種類のいずれかに含まれるデータとが含まれるものとする。また、計測パケットには、必要に応じて調整データが含まれる。調整データの詳細は後述する。したがって、データの種類を識別するために追加されるヘッダ等のデータについては、説明を省略する。
図5のように、メイン処理が開始されると、CPU10は、使用可能な帯域を計測する処理を終了させるか否かを判断する(S10)。S10では、ユーザが操作部25を操作して終了指示を通信装置1に入力した場合、又は、他の通信装置1から終了指示が送信された場合に処理を終了させる。計測を終了させる場合には(S10:YES)、メイン処理は終了する。計測を継続させる場合には(S10:NO)、CPU10は、通信経路のMTUを計測し、計測したMTUをMTUPとしてRAM12に記憶させる(S20)。MTUは、最大パケットサイズ(Maximum Transmission Unit)である。最大パケットサイズは、1度に送信可能なパケットの最大のデータサイズである。例えば、MTUの計測結果として1500byteが得られたとする。MTUPは、新たに作成する計測パケットのデータサイズを表す。
次に、CPU10は、RESを算出し、算出したRESをRAM12に記憶させる(S30)。RESは、計測パケットに新たに包含可能なデータのサイズを表す。計測パケットには必ず計測用データが含まれる。計測用データは、使用可能な帯域を計測するのに不可欠なデータである。計測用データは、例えば、受信装置のアドレスと、送信装置のアドレスと、時間データと、シリアル番号とを含む。時間データは、計測パケットの送信間隔を算出する処理に用いられる。シリアル番号は、計測パケットを識別するために用いられる。RESは、(S20で取得されたMTUP)−(計測用データのサイズ)によって算出される。次に、CPU10は、計測パケット作成処理を実行する(S40)。計測パケット作成処理では、後述するように、複数種類のデータの中から選択されたデータを含む計測パケットが作成される。次に、処理はS10に戻る。以上のようにCPU10はメイン処理を実行する。
図6から図9を参照して、図5のS40で実行される計測パケット作成処理の詳細を説明する。図6のように、計測パケット作成処理ではまず、CPU10は、生成データの選択方法を設定し、設定した選択方法をRAM12に記憶する(S110)。本実施形態では、計測パケットに包含される生成データの選択方法として、4種類の選択方法から選択された方法が設定される。図7のように、4種類の選択方法とは、「設定伝送レート」と、「重要度」と、「残量」と、「サイズ」とである。
4種類の選択方法はそれぞれ、計測パケットに含ませるデータの優先順位をデータの種類ごとに設定している。「設定伝送レート」は、データの種類ごとに設定された伝送レートが高い種類のデータを優先して取得する選択方法である。「設定伝送レート」は、計測対象帯域が広帯域(例えば、100kbps以上の帯域)である場合に設定可能な選択方法である。設定伝送レートは、単位時間当たりの、受信装置に送信すべきデータのデータサイズを表す。単位時間当たりに生成されるデータサイズが大きいデータほど、設定伝送レートは大きく設定されている。選択方法として「設定伝送レート」が設定された場合、優先順位は、高い順にVideo、資料、Audio、その他と設定される。
「重要度」は、データの種類ごとに設定された優先順位が高い種類のデータを優先して取得する選択方法である。本実施形態の通信装置1は、テレビ会議に使用されるため、テレビ会議の進行に不可欠な音声と、資料とに高い重要度が設定されている。具体的には、重要度は、高い順に、Audio、資料、Video、その他と設定されている。
「残量」は、データの種類ごとに設定された記憶容量に対するバッファの残量が小さい種類のデータを優先して取得する選択方法である。データの種類ごとに設定された記憶容量に対するバッファの残量に応じた優先順位は、処理実行時のバッファの残量に基づき設定される。「サイズ」は、データの種類ごと設定されたデータブロックのサイズの大きい種類のデータを優先して取得する選択方法である。選択方法として「サイズ」が設定された場合、優先順位は、「設定伝送レート」と同様である。
図6のS110では、ユーザの指示又は初期設定に応じて、上記4種類の選択方法のいずれかが設定される。次に、S110で設定された選択方法が「設定伝送レート」である場合(S120:YES)、CPU10は、計測対象帯域が閾値R以上の帯域であるか否かを判断する(S150)。計測対象帯域は、現在の使用可能な帯域が含まれると予想される帯域であって、計測の対象となる帯域である。計測対象帯域は、公知の方法を用いて設定されればよい。閾値Rは、計測対象帯域が「設定伝送レート」を実行するのに適した帯域であるか否かを考慮して定められる。閾値R以上の帯域は、少なくとも広帯域と判断される帯域であることが好ましい。計測対象帯域が閾値R未満である場合には(S150:NO)、処理はS110に戻り、CPU10は「設定伝送レート」以外の選択方法を設定する(S110)。計測対象帯域が閾値R以上である場合には(S150:YES)、CPU10は、データの種類ごとの優先順位に、図7の「設定伝送レート」に対応する優先順位を設定し、設定した優先順位をRAM12に記憶させる(S160)。
S110で設定された選択方法が「重要度」である場合(S120:NO,S130:YES)、CPU10は、データの種類ごとの優先順位に、図7の「重要度」に対応する優先順位を設定し、設定した優先順位をRAM12に記憶させる(S170)。S110で設定された選択方法が「残量」である場合(S120:NO,S130:NO,S140:YES)、CPU10は、データの種類ごとの優先順位に、データごとに設定された記憶容量に対するバッファの残量が小さい順に、各データの種類に優先順位を設定し、設定した優先順位をRAM12に記憶させる(S180)。データごとに設定された記憶容量は、予めHDD13に設定されている。バッファの残量は、公知の方法を用いて取得される。図2のように、バッファ130に各データのブロック121から124が記憶されている場合、優先順位が高い順に、Audio、資料、Video、その他と設定される。S110で設定された選択方法が「サイズ」である場合(S120:NO,S130:NO,S140:NO)、CPU10は、データの種類ごとの優先順位に、図7の「サイズ」に対応する優先順位を設定し、設定した優先順位をRAM12に記憶させる(S190)。
S160と、S170と、S180と、S190とのいずれかの次に、CPU10は、i番目の優先順位のデータの種類を設定し、設定したデータの種類をRAM12に記憶させる(S210)。iの初期値は1である。iはS210が繰り返し実行されるごとにインクリメントされる。S110で設定された選択方法が「設定伝送レート」であり、iが1である場合には、データの種類として「Video」が設定される。次に、CPU10は、RAM12に記憶されたRESが、S210で設定されたデータの種類に対応するデータブロックのサイズ以上であるか否かを判断する(S220)。RESの初期値は、図5のS30で算出された値であり、後述するように計測パケットに生成データが追加されるごとに更新される(S250)。
RESがデータサイズ以上の場合(S220:YES)、S210で設定された種類のデータを計測パケットに追加しても、計測パケットのデータサイズは、S20で設定されたMTUPを超えない。したがって、CPU10は、S210で設定された種類のデータがバッファ130に記憶されている否かを判断する(S230)。データがバッファ130に記憶されていれば(S230:YES)、CPU10は、S210で設定された種類のデータのブロックを取得して、取得したデータのブロックを作成中の計測パケットに追加する(S240)。
図2のように、バッファ101から103のように、バッファにデータの種類が同じであるデータブロックが複数記憶されている場合、CPU10は、例えば、生成順序が古い順にデータブロックを取得し、取得したデータブロックは計測パケットに追加する。S240で追加されるデータブロックの数は、計測パケットのデータサイズを超えない範囲で設定されればよい。次に、RES=RES−(S240で取得された生成データのデータサイズ)に従ってRESを更新して、更新したRESをRAM12に記憶させる(S250)。次に、処理はS220に戻る。
RESがデータサイズより小さい場合(S220:NO)、又はS230でデータがない場合(S230:NO)の次に、CPU10はS260の処理を実行する。S260では、CPU10は、全てのデータの種類がS210で設定されたか否かを判断する(S260)。S210で設定されていない種類がある場合(S260:NO)、CPU10は、iをインクリメントする。処理はS210に戻る。全ての種類が設定された場合(S260:YES)、CPU10は、RESが0よりも大きいか否かを判断する(S270)。RESが0よりも大きい場合(S270:YES)、CPU10は、調整データを作成し、作成した調整データを作成中の計測パケットに追加する(S280)。調整データは、計測パケットのデータサイズがS30で設定されたMTUPとなるように調整するためのデータである。CPU10は、調整データのサイズがRESと等しくなるように、調整データを作成する。RESが0である場合(S270:NO)、又はS280の次に、計測パケット作成処理は終了し、処理は図5のメイン処理に戻る。
上述のメイン処理で作成される計測パケットの一例を図8及び図9を参照して説明する。具体例として、図2のようにバッファ130に各データのブロック121から124が記憶されている場合を想定する。図8の計測パケット210と、図9の計測パケット220とはそれぞれ、データサイズがMTUPに調整されている。図8及び図9図中、データは、左から順にパケットに追加されたものとする。計測用データ131以外のデータは、左側に配置されているデータの種類ほど、選択方法に応じてデータの種類ごとに設定された優先順位が高い。
図6のS110で、選択方法として「設定伝送レート」又は「サイズ」が設定された場合、例えば、図8のように複数種類のデータを含む計測パケット210が作成される。計測パケット210は、計測用データ131と、映像データのブロック121と、文章データのブロック123と、音声データのブロック122と、その他のデータのブロック124とがこの順で計測パケットに追加されている。選択方法として「重要度」又は「残量」が設定された場合、例えば、図9のように複数種類のデータを含む計測パケット220が作成される。計測パケット220は、計測用データ131と、音声データのブロック122と、文章データのブロック123と、その他のデータのブロック124とがこの順で計測パケットに追加されている。計測パケット220には、映像データのブロック121は含まれない。これは、S220においてRESよりもデータサイズが大きいと判断されるからである(S220:NO)。計測パケット220は、調整データ141を含む。これは、S270において、RESが0よりも大きいと判断されたからである。
以上のように、CPU10はメイン処理を実行する。メイン処理に従って作成された計測パケットは、送信装置によって所定のタイミングで受信装置に送信される。計測パケットを受信した受信装置では、計測パケットの受信間隔と、送信間隔とを用いた前述の帯域計測方法に従って、使用可能な帯域が計測される。
図4のS3は本発明の「データ取得工程」に相当し、S3を実行するCPU10は、本発明の「データ取得手段」として機能する。図6のS240は、本発明の「組合せ作成工程」に相当し、S240を実行するCPU10は本発明の「組合せ作成手段」として機能する。図6の計測パケット作成処理は、本発明の「パケット作成工程」に相当し、計測パケット作成処理を実行するCPU10は、本発明のパケット作成手段として機能する。図5のS160を実行するCPU10は、本発明の第1設定手段として機能する。S170を実行するCPU10は、本発明の重要度取得手段として機能する。S190の処理を実行するCPU10は、本発明の第2設定手段として機能する。バッファ130は、本発明の記憶手段に相当する。
一般的に、一定時間に生成されるデータのサイズは、データの種類ごとに異なる。したがって、通信装置1のように、複数種類のデータの少なくとも一部を組み合わせて、組合せデータを作成することによって、1種類のデータを用いて組合せデータを作成する場合に比べ、組合せデータに含ませるデータのサイズを調整しやすい。このため、通信装置1によれば、生成データの通信効率を考慮して生成データを計測パケットに含ませることができる。上記実施形態のメイン処理では、データブロックの数とサイズとを含む条件によっては、計測用データと、計測用データ以外の1種類のデータとを含む計測パケットが作成されることもある。さらに、通信装置1は、調整データを用いて計測パケットのデータサイズを調整しているので(S280)、送信装置において計測対象帯域に応じた所定の伝送レートとなるように送信間隔を決定する処理が容易である。
計測パケットに生成データを含ませて送信される場合、単位時間当たりに送信される計測パケットのデータサイズは、計測対象帯域に応じて異なる。広帯域側の帯域を計測する場合の単位時間当たりに送信される計測パケットのデータサイズは、狭帯域側の帯域を計測する場合に比べ大きい。したがって、広帯域側の帯域を計測する場合に、選択方法として「設定伝送レート」が設定された場合には(S120:YES)、通信装置1は、計測対象帯域に応じて設定された優先度の高い種類のデータから順に計測パケットに含ませることができる。より具体的には、通信装置1は、計測対象帯域が広帯域である場合には(S150:YES)、設定伝送レートが大きいデータを優先して計測パケットに含ませることによって、生成データ率が小さくなる可能性を低減させることができる。このため、通信装置1によれば、生成データの通信効率を一層考慮した生成データを計測パケットに含ませることができる。
また、選択方法として重要度が設定された場合(S130:YES)、通信装置1は、重要度の高い生成データを優先して計測パケットに含ませることができる。このため、例えば、生成データの一部しか計測パケットに含ませることができないような場合に、重要度の高い生成データが優先して送信されることになるため、生成データを送受信するユーザの利便性を向上させることができる。上記実施形態の通信装置1は、テレビ会議システムで使用されることが想定されている。このため、例えば、重要度が高い、音声データと、資料データとが優先して送信されることによって、通信装置1は、テレビ会議の進行に不可欠なデータを遅延なく送受信することができる。
選択方法として「残量」が設定された場合(S140:YES)、通信装置1は、受信側の通信装置に送信していないデータによって、記憶手段の記憶容量が一杯になり、データ取得手段によって取得されたデータがオーバーフローする事態が発生する可能性を低減させることができる。選択方法として「サイズ」が設定された場合(S140:NO)、通信装置1は、大きさの大きいデータを優先して組合せデータを作成するため、できるだけ少ない数のデータブロック数で、所定の大きさに近い大きさを有する組合せデータを作成することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加えられてもよい。例えば、以下の(A)から(D)の変形が適宜加えられてもよい。
(A)上記実施形態では、計測パケット作成装置としての機能を備えた通信装置1を例示したが、これに限定されない。例えば、本発明の計測パケット作成装置は、計測パケットを作成する専用機に適用されてもよいし、計測パケットを含む複数種類のパケットを送信する送信装置に適用されてもよい。本発明の計測パケット作成装置が、計測パケットを作成する専用機に適用された場合、計測パケットに含まれる生成データは、計測パケット作成装置において生成されてもよいし、計測パケット作成装置とは別の装置において生成されてもよい。生成データが計測パケット作成装置とは別の装置において生成される場合、生成データはネットワーク等を介して別の装置から取得されればよい。また、計測パケット作成装置が作成した計測パケットは、送信装置に送信されればよい。
(B)通信装置1がテレビ会議に用いられる場合を例示したがこれに限定されず、例えば、ストリーミング配信に利用されてもよい。また、データの種類として、Audioと、資料と、Videoと、その他との4種類を例示したが、データの種類は複数であればよい。例えば、ストリーミング配信に適用される場合、データの種類として、Audioと、Videoとが設定されてもよい。データブロックのサイズは、変更してよい。例えば、データの種類毎に異なっていたが、一部が同じであってもよい。また同じデータの種類のデータブロック間でデータサイズが異なっていてもよい。
(C)計測パケット作成処理は適宜変更可能である。例えば、以下の(C−1)から(C−4)変形が加えられてよい。
(C−1)上記実施形態では、4種類の選択方法のいずれかが設定可能であったが、設定可能な選択方法の数及び種類は適宜変更可能である。例えば、上述の「設定伝送レート」と、「重要度」と、「残量」と、「サイズ」とのいずれかが設定可能であってもよい。また例えば4種類の選択方法とは別の方法、例えば、データの種類に応じ優先順位を決定せずに、データの生成順序に従って、計測パケットに含ませるデータが取得されてもよい。また各選択方法において、データの種類に設定された優先順位は変更可能である。
(C−2)計測パケット作成装置は、計測対象帯域に応じて選択方法を自動的に切り替えてもよい。この場合、例えば、図10に示すフローチャートに従って、計測パケット作成処理が実行されればいい。図10において、図6の計測パケット作成処理と同様の処理を行う場合には、同じステップ番号を付与している。図10のように、変形例の計測パケット作成処理では、C110からS140と、S180と、S190との処理は実行されない。変形例の計測パケット作成処理では、CPU10は、S150で、計測パケット作成装置は、計測対象帯域が閾値R以上だった場合に(S150:YES)、選択方法として「設定伝送レート」を設定する(S160)。計測対象帯域が閾値Rより小さい場合に(S150:NO)、CPU10は選択方法として「設定伝送レート」とは別の方法(例えば、「重要度」)を自動的に設定する(S170)。その他の処理は、図6の計測パケット作成処理と同様であるので説明を省略する。このようにすれば、計測対象帯域に適した優先順位が自動的に設定される。
(C−3)上記実施形態では、計測パケットのデータサイズが目標値となるように作成されたが、データサイズが目標値を含む所定範囲となるように作成されてもよい。目標値と所定範囲とのそれぞれは、使用可能な帯域の計測精度を考慮して適宜定められればよい。例えば、目標値にMTUが設定される場合、所定範囲の上限は目標値とし、所定範囲の下限は、使用可能な帯域の計測精度を考慮して適宜定められてもよい。より具体的には、例えば、目標値に0.95を乗じた値が所定範囲の下限とされてもよい。また例えば、目標値から所定値(50byteなど)が差し引かれた値が下限とされてもよい。
(C−4)計測パケットに、生成データを追加する手順は変更可能である。例えば、CPU10は、データサイズが所定値となる複数種類の生成データの組合せを作成した後に、作成した複数種類の生成データの組合せをまとめて計測パケットに追加してもよい。