JP5369985B2 - レトルト食品包装用フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品包装用フィルムに関するものであり、さらに詳しくは、基材と積層するフィルムとして、特にレトルト処理に適した食品包装に用いられるフィルムに関するものである。
ヒートシール性を有するフィルムは、食品包装及び繊維包装などの包装用途に広く使用されている。中でも食品包装用途は、食品充填後のレトルト処理を施した後、箱詰め、輸送して店頭販売される形態が近年多くなっており、シール性と耐熱性を兼ね揃えたフィルムが要求されており、ポリプロピレン系フィルムなどが使用されている。
また更には、上述のようなレトルト処理後に、冷凍保存や、冷凍輸送時の落下による袋の破れが問題視されるケースが多く、低温下での破袋強度の向上も要望されている。
上述の要望を解決する方法として、今までいくつもの提案がなされている(例えば、特許文献1〜4参照)。
特開平9−248885号公報 特開2000−143931号公報 特開2000−186159号公報 特開2002−302579号公報
特許文献1には、融点が140〜165℃のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするポリオレフィン50〜80質量%と融点が130〜150℃のプロピレン共重合体50〜20質量%からなる混合樹脂100質量部に対して熱可塑性エラストマー3〜20質量部を配合してなるレトルト用ポリオレフィンフィルムが開示されている
特許文献2には、融点が156〜168℃のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂を主構成成分とするポリオレフィン系重合体に対して、特定量の熱可塑性エラストマーを配合した樹脂組成物からなり、かつ該原料樹脂や得られるフィルムの極限粘度特性を特定範囲になるように設定することにより、耐熱性、安定したヒートシール性、食品衛生性、低温での耐衝撃性、低温での落下時の耐破裂性が優れている食品包装用フィルムが得られることが開示されている
特許文献3には、気相重合法で得られたプロピレン−エチレンブロック共重合体を原料として用いることにより、低温での耐衝撃性、耐ブロッキング性、ヒートシール性が良好なレトルト食品包装用フィルムが得られることが開示されている。
特許文献4には、プロピレン−エチレンブロック共重合体などのポリプロピレン樹脂100重量部と特定の亜リン酸エステル類0.01〜0.5重量部を含有する樹脂組成物を用いることにより、臭気、味覚、衝撃強度に優れる食品包装用成形体を得られることが開示されている。
しかしながら、最近では、より高温での殺菌処理が行なわれるようになり、また、このような高温殺菌後のシール保持性や輸送時における衝撃等の外力に対する耐久性である耐破裂性や耐シール部剥離性に対する要求がより厳しくなってきている。従来のフィルムでは、熱可塑性エラストマーを配合することにより、耐破袋性は向上するがシール強度は十分ではなく、落下時や大きな力がかかったときの耐破袋性という点では十分ではなかったという問題があった。
本発明の目的は、耐熱性、安定したヒートシール性、食品衛生性、低温での落下時あるいは、大きな外力がかかったときの耐破裂性に優れた食品包装用フィルムを提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明の完成に到った。
すなわち、本発明は、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂を主構成成分としたフィルムであって、少なくともフェノール系酸化防止剤、亜リン酸系酸化防止剤およびアクリレート系酸化防止剤を含んでいて、20℃キシレン可溶部が15〜30質量%あること、前記フィルムの落袋破袋の割合が20%以下で、かつレトルト処理後のシール強度が38〜110N/15mmであることを特徴とするレトルト食品包装用フィルムである。
この場合において、20℃キシレン可溶部が5〜20質量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂85〜97質量部と熱可塑性エラストマー3〜15質量部を配合した樹脂組成物からなることが好ましい。
また、この場合において、上記レトルト食品包装用フィルムの横方向のヤング率が430〜750Mpa以上であることが好ましい。
また、この場合において、上記20℃キシレン可溶部が5〜20質量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂95〜97質量部と熱可塑性エラストマー3〜5質量部を配合した樹脂組成物からなることが好ましい。
また、この場合において、上記レトルト食品包装用フィルムの横方向のヤング率が560〜750Mpa以上であることが好ましい。
本発明のレトルト食品包装用フィルムによれば、耐シール性、耐熱性、耐破袋性、食品衛生性に優れ、レトルト処理に適したレトルト食品包装用フィルムとして要求される特性を同時に満足している。
特に、レトルト処理後のシール強度と低温で落下あるいは大きな力がかかったときの耐破袋性が極めて優れているので、レトルト食品の包装袋の構成材料として用いた場合に、優れたレトルト処理に適した特性を有している上に、レトルト処理後の食品の保存や輸送時における包装袋の衝撃等の外力に対する耐久性の信頼性が向上している。従って、食品包装用フィルム、特に、レトルト食品用包装袋の構成材料として好適に用いることができる。
本発明においては、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂を主構成成分としたフィルムであって、20℃キシレン可溶部が15〜30質量%あること、前記フィルムの落袋破袋の割合が20%以下で、かつレトルト処理後のシール強度が38〜110N/15mmであるが好ましい。
上記の落袋破袋性は耐破裂性の尺度であり、該落袋破袋性の数値が低いほど、例えば、輸送時等の衝撃等の包装袋にかかる外力に対する耐久性の信頼性が高くなる。該落袋破袋性が20%以下であることが好ましい。15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。特に5%以下が好ましい。
上記レトルト処理後のシール強度が38N/15mm未満では、例えば、レトルト食品の包装袋用のシーラントフィルムとして用いた場合の保存や輸送時における衝撃等による包装袋に掛かる外力によるシール部剥離によるシール漏れ発生防止に対する信頼性が低下する。上記レトルト処理後のシール強度は高ければ高い方が好ましく、開封性の点から上限は110N/15mmが好ましく、38〜60N/15mmの範囲がより好ましい。
前述したごとく、レトルト食品の包装袋用のシーラントフィルムの耐衝撃性、低温での落下時の耐破裂性を向上させる方法として、ポリプロピレン系フィルムにゴム成分を配合することにより、該ゴム成分により衝撃等の外力のエネルギーを吸収、分散する方法により改善する方法が採られてきている。該方法は、耐衝撃性の改善手段としては有効な方法であるが、ゴム成分とマトリックス成分であるポリプロピレン樹脂との界面の剥離強度が低下するためにシール強度が低下するという課題を有していた。
つまり、フィルム自身が耐衝撃性を有し、かつレトルト処理後も十分なヒートシール強度を有するフィルムはこれまでにはなかった。
上記特性を付与することにより、両特性のバランスが向上し、両特性ともに高いレベルで両立でき、例えば、レトルト食品の包装袋の構成材料として用いた場合に、優れたレトルト処理に適した特性を有している上に、レトルト処理後の食品の保存や輸送時における包装袋の衝撃等の外力による耐破裂性とシール漏れの発生抑制ができので、外力に対する耐久性の信頼性を向上させることができる。
本発明のポリプロピレン系樹脂フィルムは、フィルムの23℃における横方向のヤング率が430Mpa以上であることが好ましい。450Mpa以上がより好ましい。430Mpaではフィルムの取り扱い性が低下するので好ましくない。該対応により、前述した滑剤やアンチブロッキング剤の配合をしないことによるフィルムの取り扱い性の低下を抑制することができる。上限は他の特性とのバランスより750Mpa程度が好ましく、560〜750MPaの範囲が好ましい。
本発明においては、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂を主構成成分としたフィルムにおいて、該フィルムの20℃キシレン可溶部が20〜30質量%であることが好ましく、22〜28質量%がより好ましい。
ここで、20℃キシレン可溶部とは、フィルム中に含まれる主にゴム量を反映している。該フィルムの20℃キシレン可溶部が20質量%未満ではフィルムの耐衝撃性が低下し、該フィルムを用いて得られた包装袋の耐落体破袋性が低下するので好ましくない。逆に、30質量%を超えた場合は、フィルムのシール強度や透明性が低下するので好ましくない。
本発明におけるポリプロピレン系ブロック共重合樹脂は、多量のプロピレンと少量のエチレンとの共重合体成分と、少量のプロピレンと多量のエチレンとの共重合体成分とが、ブロック的に共重合したものであり、それぞれの共重合体ブロックの分子量等は、重合段階で制御される。具体的には、特開2000−186159号公報で示されるように、気相法重合を行っているものを用いるのが好ましい。すなわち、第1工程で実質的に不活性溶剤の存在下にプロピレンを主体とした重合体部分(A成分)を重合し、次いで第2工程を気相中でエチレン含量が20〜50重量%のプロピレンとエチレンとの共重合体部分(B成分)を重合して得られるブロック共重合体が挙げられるが、で限定されるものではない。
上記のフィルムの20℃キシレン可溶部の量を上記範囲にする方法として、上記ポリプロピレン系ブロック共重合体を単独で用いる場合や上記ポリプロピレン系ブロック共重合体と他の熱可塑性エラストマーを混合する場合が挙げられる。
フィルムの20℃キシレン可溶部の量はポリプロピレン系ブロック共重合体のB成分や熱可塑性エラストマー成分の総含有量と相関があり、例えば、上記ポリプロピレン系ブロック共重合体を単独で用いる場合は、ポリプロピレン系ブロック共重合樹脂の20℃キシレン可溶部の量を20〜30質量%にする方法が挙げられる。
このとき、上記ポリプロピレン系ブロック共重合体中のエチレン含有量が同じでも、A成分やB成分中のエチレン−プロピレンの共重合比率により異なるので、適宜調整する必要がある。
上記ポリプロピレン系ブロック共重合樹脂のメルトフローレイト(MFR)は1〜10g/10分が好ましく、2〜7がより好ましい。1g/10分未満では粘度が高すぎてTダイでの押出しが困難であり、逆に、10g/10分を超えた場合は、フィルムのべた付きやフィルムの耐衝撃強度(インパクト強度)が劣るなど問題が生じるからである。
上記ポリプロピレン系ブロック共重合体のゴム成分を主体とする部分の極限粘度[η]CXS とポリプロピレン成分を主体とする部分[η]CXISの差がヒートシール強度に及ぼすパラメーターとして、[η]CXSは、1.8〜3.8(dl/g)の範囲が好ましい。さらに好ましいのは、2.0〜3.0(dl/g)の範囲であるのが好ましい。3.0(dl/g)を超えるとフィッシュアイが発生しやすくなる。一方、1.8(dl/g)以下ではシール強度が著しく低下する。そのときの[η]CXISは、1.0〜3.0(dl/g)の範囲であるのが好ましい。3.0(dl/g)を超えた場合は粘度が高すぎてTダイでの押出しが困難であり、逆に、1.0(dl/g)未満の場合は、フィルムのべた付きやフィルムの耐衝撃強度(インパクト強度)が劣るなど問題が生じるからである。
上記の[η]CXS、[η]CXSは、以下の測定方法で行った値である。
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全に溶解させた後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、これを析出物(CXIS部)と溶液とにろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃で乾燥した後、得られた固形物(20℃キシレン可溶部(CXS))の極限粘度([η])をウベローデ型粘度計を用いて135℃テトラリン中で測定を行った。
一般的に、MFRとフィルム全体の極限粘度ηは相関が取れていることが知られている。フィルムのηを知ることにより使用樹脂のMFRを知ることが出来る。ηは分子量の目安になり、数値が大きいほど分子量が大きく、数値が小さくなると分子量が小さいことを表している。MFRは、分子量の目安であり、数値が小さいほど分子量が大きく、数値が大きくなると分子量が小さくなる。
20℃キシレン可溶部の量を20質量%より高いポリプロピレン系ブロック共重合樹脂は、その取り扱いが困難な場合がある。そこで例えば、20℃キシレン可溶部が5〜20質量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂85〜95質量部と熱可塑性エラストマーを5〜15質量部配合した樹脂組成物を用いることが取り扱い性の点で好ましく、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂の20℃キシレン可溶部7〜18質量部がより好ましく、12〜18質量部がさらに好ましい。
また、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂の配合量は87〜93質量部が、熱可塑性エラストマーの配合量は7〜13質量部がより好ましい。
上記熱可塑性エラストマーとしては、α−オレフィン共重合体樹脂、さらに具体的にはエチレン・α―オレフィン共重合体樹脂、水添ブロック共重合体等が挙げられる。
エチレン・α−オレフィン共重合体樹脂は、メタロセン系触媒を用いてエチレンと炭素数が3以上12以下のα−オレフィンを共重合させたもので、メルトフローレート(MFR)が0.1〜10g/10分、密度が0.820〜0.930g/cm(ASTM D 1505で測定)、GPC法により求めた分子量分布(Mw/Mn)が1.3〜6.0であるものを用いるのが望ましい形態である。
α−オレフィンとは、具体的には炭素−炭素の二重結合がα位にあるアルケンである。アルケンとは、不飽和炭化水素のことで、C2nで表される。例えば。n=3であれば、プロピレンであり、3つの炭素の内、2つの炭素―炭素間は、二重結合を持っており、その二重結合の1つはπ結合、1つはσ結合であり、π結合部分は結合エネルギーが小さいので付加反応を生じやすい。
水添ブロック共重合体とは、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主成分とする重合体ブロックAと少なくとも1個の水素添加された共役ジエン化合物を主成分とする共重合体ブロックBとからなる構造を有しており、例えばA−B−A、B−A−B−A、B−A−B−A−Bおよびこれらの混合物等からなる水添ブロック共重合体である。そして、該水添ブロック共重合体としては、ビニル芳香族化合物を10〜40質量%含むものを用いることができる。
該水添ブロック共重合体を構成するビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等を用いることができ、特にスチレンが好ましい。また、水素添加された共役ジエン化合物を構成する水添前の共役ジエン化合物としては、例えばブタジエン、イソプレン、1−3ペンタジエンを用いることができ、特にブタジエンが好ましい。ビニル芳香族化合物−共役ジエン化合物ブロック共重合体の共役ジエン化合物に基づく脂肪族2重結合の80%、好ましくは90%以上水素添加し、オレフィン系化合物重合体ブロックBとしたものが好ましい。代表的な共重合体例としてスチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体を挙げることができ、スチレンの共重合量としては、10〜30重量%のものが好ましい。透明性の点からは、10〜20重量%のものが好ましい。
上記熱可塑性エラストマーのメルトフローレイト(MFR)は、低温での耐衝撃性の点で5g/10分以下が好ましく、好適には0.2〜5g/10分である。
上記熱可塑性エラストマーのメルトフローレイト(MFR)と上記ポリプロピレン系ブロック共重合樹脂のメルトフローレイト(MFR)の差は、均一な混練とフィッシュアイ防止の点で0。1〜7が好ましく、好適には1〜4である。
また、上記熱可塑性エラストマーの極限粘度(η)とは、均シール強度保持とインパクト強度保持、落袋強度の観点からの点で1.0〜5.0が好ましく、好適には1.2〜3.0である。
上記熱可塑性エラストマーの極限粘度(η)と上記ポリプロピレン系ブロック共重合樹脂の極限粘度(η)の差は、均一な混練とフィッシュアイ防止の点で1.0〜5.0が好ましく、好適には1.0〜3.0である。
本発明においては、低分子量物のブリードや透明性の点でエチレン・α−オレフィン共重合体樹脂の利用が好ましい。
以上の特性を付与する方法は限定されないが、フィルムを構成するポリプロピレン系樹脂の組成および酸化防止剤の配合組成を最適化する方法が好ましい実施態様であり、その一つとして、少なくともフェノール系、亜リン酸系およびアクリレート系の3種の酸化防止剤を含んでなることが好ましい。このときの酸化防止剤の総量は1500〜3500が好ましい。
それぞれの酸化防止剤の働きは以下の通りである。アクリレート系酸化防止剤は、押出し機内で、「RH」を熱・せん断により発生したラジカル「R・」を捕捉して「RH」に戻す働きがある。フェノール系酸化防止剤は、1次酸化防止剤といわれており、「R・」が酸素(O2)と結びつき「ROO・」となったラジカルを捕捉して「ROOH」にする働きがある。亜リン酸系は、分子内にフェノール系酸化防止剤の部分とリン酸系酸化防止剤の部分を持っており、フェノール系酸化防止剤の働きをしながらリン系酸化防止剤の働きをするという優れた性能を持っている。
亜リン酸系酸化防止剤とは、下記一般式(I)で示される亜リン酸エステル類が挙げられる。
Figure 0005369985
一般式(I)で表される亜リン酸エステル類において、置換基R、R、R及びRはそれぞれ独立に水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素原子数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を表す。
ここで、炭素原子数1〜8のアルキル基の代表例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられ、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基の代表例としては、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられ、炭素原子数6〜12のアルキルシクロアルキル基の代表例としては、例えば1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられ、炭素原子数7〜12のアラルキル基の代表例としては、例えばベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
、R、Rとして、好ましくは炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基、炭素原子数6〜12のアルキルシクロアルキル基である。なかでも、R、Rとして、より好ましくはt−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基、1−メチルシクロヘキシル基である。
として、より好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素原子数1〜5のアルキル基であり、更に好ましくはメチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基である。
として、好ましくは水素原子、炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基であり、より好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素原子数1〜5のアルキル基である。
置換基Rは、水素原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基を表すが、炭素原子数1〜8のアルキル基としては、例えば前記と同様のアルキル基が挙げられる。好ましくは水素原子又は炭素原子数1〜5のアルキル基であり、より好ましくは水素原子又はメチル基である。
また置換基Xは、nが0である場合、二つのフェノキシ基骨格を有する基が直接結合していることを表し、nが1である場合、硫黄原子又は炭素原子数1〜8のアルキル基もしくは炭素原子数5〜8のシクロアルキル基が置換していることもあるメチレン基を表す。ここで、メチレン基に置換している炭素原子数1〜8のアルキル基、炭素原子数5〜8のシクロアルキル基としては、それぞれ前記と同様のアルキル基、シクロアルキル基が挙げられる。置換基Xとして、好ましくはnが0であり、二つのフェノキシ基骨格を有する基が直接結合していること、または、nが1であり、メチレン基又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等が置換したメチレン基である。
また置換基Aは、炭素原子数2〜8のアルキレン基又は*−CO(R)m−基(Rは炭素数1〜8のアルキレン基を、*は酸素原子との結合部位であることを示し、mは0または1である。)を表す。
ここで、炭素原子数2〜8のアルキレン基の代表例としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。また*−COR−基における*は、カルボニル基がホスファイト基の酸素原子と結合する部分であることを示す。Rにおける、炭素原子数1〜8のアルキレン基の代表例としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられる。*−CO(R)m−基として好ましくは、mが0である*−CO−基、または、mが1でありRとしてはエチレンである*−CO(CHCH)−基である。
Y、Zは、そのいずれかの一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば前記と同様のアルキル基が挙げられ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えばアルキル部分が前記の炭素数1〜8のアルキルと同様のアルキルであるアルコキシ基が挙げられる又炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えばアラルキル部分が前記炭素数7〜12のアラルキルと同様のアラルキルであるアラルキルオキシ基が挙げられる。
上記一般式(I)で示される亜リン酸エステル類が2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンであることが好ましい。住友化学株式会社製スミライザーGP(登録商標)の使用が好ましい。
本発明における上記の亜リン酸エステル類の配合量は前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して100〜1000ppmの範囲が好ましい。200〜800ppmがより好ましく、300〜700ppmがさらに好ましい。
本発明のアクリレート系酸化防止剤とは、分子内にアクリレート残基を含むフェノール誘導体を有する酸化防止剤であり、下記(II)式で示される構造よりなるものが挙げられる。
Figure 0005369985
式(II)において、Rは炭素原子数1〜5個からなるアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、2,2−ジメチルプロピル基等が挙げられる。好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはエチル基である。
式(II)において、Rは炭素原子数1〜8個からなるアルキル基であり、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等が挙げられる。好ましくはメチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であり、より好ましくはt−ペンチル基である。
式(II)において、Rは水素原子または炭素原子数1〜8個のアルキル基であり、例えば水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、オクチル基等が挙げられる。好ましくは水素原子又はメチル基であり、より好ましくはメチル基である。
また、式(II)において、Rは水素原子又はメチル基である。好ましくは水素原子である。
上記アクリレート化合物としては、例えば、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)ブチル]フェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)プロピル]フェニルアクリレート、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
好ましくは、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレート及び2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートである。
上記アクリレート化合物としては、市販のものから適宜選択して使用することができる。例えば、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレートである住友化学株式会社製スミライザーGM(登録商標)、2,4−ジ−t−アミル−6−[1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル]フェニルアクリレートである住友化学株式会社製スミライザーGS(登録商標)等を挙げることができる。特に、スミライザーGS(登録商標)の使用が好ましい。
本発明における上記アクリレート系酸化防止剤の配合量は前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して100〜1000ppmの範囲が好ましい。200〜800ppmがより好ましく、300〜700ppmがさらに好ましい。
本発明において使用するフェノール系酸化防止剤とは、分子内にフェノール誘導体を有する酸化防止剤であり、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−アミル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−t−オクチル−4−n−プロピルフェノール、2,6−ジシクロヘキシル−4−n−オクチルフェノール、2−イソプロピル−4−メチル−6−t−ブチルフェノール、2−t−ブチル−2−エチル−6−t−オクチルフェノール、2−イソブチル−4−エチル−6−t−ヘキシルフェノール、2−シクロヘキシル−4−n−ブチル−6−イソプロピルフェノール、dl−α−トコフェロール、t−ブチルヒドロキノン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス[6−(1−メチルシクロヘキシル)−p−クレゾール]、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデンビス(2−t−ブチル−4−メチルフェノール)、
2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、トリス(4−t−ブチル−2,6−ジメチル−3−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4−ビス(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)テレフタレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、2,2−ビス[4−(2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル等が挙げられる。
好ましくは、β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸ステアリルエステル、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、dl−α−トコフェロール、トリス(2,6−ジメチル−3−ヒドロキシ−4−t−ブチルベンジル)イソシアヌレート、トリス[(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イソシアヌレート、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−{β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカンである。
本発明で用いられるフェノール系酸化防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、イルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、イルガノックス1330(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、イルガノックス3114(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、イルガノックス1425WL(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
これらの中で、分子量の異なる2種のフェノール系酸化防止剤を併用するとことが好ましい。該組み合わせは限定されないが、例えばイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、分子量1178)と、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、分子量531)の2種を組み合わせて用いるのが好ましい。該組み合わせにより本発明の効果がより顕著に発現される理由は定かでないが、例えば、分子量が1000以下の酸化防止剤を併用することで、ゴム成分との馴染みが向上してゴム成分の劣化が抑制され、該ゴム成分により形成される島の円形度が高くなり、結果としてシール強度の向上に繋がると推察している。
本発明における上記フェノール系酸化防止剤の配合量は前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して500〜5000ppmの範囲が好ましい。1000〜4000ppmがより好ましく、1500〜3000ppmがさらに好ましい。特に2000〜3000ppmが好ましい。
本発明においては、上記3種の酸化防止剤系にさらに、亜リン酸系以外のもう一種のリン酸系の酸化防止剤を併用するのがより好ましい実施態様である。
本発明において用いられるもう1種のリン系酸化防止剤の具体例としては、例えば、分子中に3価のリン原子を含有し、そのリン原子が少なくとも1つのP−O−C結合を有する熱安定剤が挙げられる。例えば、トリブチルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリラウリルホスファイト、トリステアリルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリクレジルホスファイト、トリシクロヘキシルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリラウリルチオホスファイト、トリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト、トリス(イソデシル)ホスファイト、トリス(トリデシル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(ブトキシエチル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、トリス[4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)]ホスファイト、トリス(1,3−ジ−ステアロイルオキシイソプロピル)ホスファイト、2−エチルヘキシルジフェニルホスファイト、デシルジフェニルホスファイト、フェニルジ−2−エチルヘキシルホスファイト、フェニルジデシルホスファイト、フェニルジイソデシルホスファイト、フェニルジ(トリデシル)ホスファイト、ジフェニルノニルホスファイト、ジフェニルイソオクチルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ジフェニルモノ(トリデシル)ホスファイト、ジブチルハイドロゲンホスファイト、4,4’−イソプロピリデンジフェノールアルキル(C12〜C15)ホスファイト、4,4’―ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル)ジ−トリデシルホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、2,2’−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルフォスファイト、4,4’−イソプロピリデンビス(2−t−ブチルフェノール)・ジ(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ジ(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジフェニルペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル・4,4’−イソプロピリデンジフェノール・ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、フェニル−ビスフェノールAペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルジプロピレングリコールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフエニル)ブタンジホスファイト、テトラ(C12〜C15混合アルキル)―4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、テトラ(トリデシル)−4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)ジホスファイト、テトラキス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、テトラキス(2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイト、ビス(オクチルフェニル)・ビス[4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)]・1,6−ヘキサンジオールジホスファイト、水素化−4,4’−イソプロピリデンジフェノールポリホスファイト、9、10−ジ−ヒドロ−9−オキサ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイド、2−[{2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)−ジオキサホスフェフィン−6−イル}オキシ]−N,N−ビス〔2−[{2,4,8,10−テトラキス(1,1−ジメチルエチル)ジベンゾ(D,F)(1,3,2)−ジオキサホスフェフィン−6−イル}オキシ]エチル〕エタンアミン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、3,4,5,6−テトラベンゾ−1,2−オキサホスファン−2−オキシド等が挙げられる。
好ましくは、ペンタエリスリトール骨格を有さないものであり、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、トリス(3,5−ジ−t―ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)・エチルフォスファイト、テトラキス(2−メチル−4,6−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスフォナイトである。
本発明で用いられるリン系酸化防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えば、イルガフォス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、イルガフォス38(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)、GSY−P101(吉富ファインケミカル株式会社製)、ウルトラノックス641(ジーイー・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)等が挙げられる。
本発明における上記リン系酸化防止剤の配合量は前記した全ポリプロピレン系樹脂組成物に対して500〜5000ppmの範囲が好ましい。1000〜4000ppmがより好ましく、1500〜3000ppmがさらに好ましい。
上記リン系酸化防止剤は、1次酸化防止剤で「ROOH」にするが、まだ不安定でそれに「RH」が作用して「R・+ROOH」とラジカルを発生させやすいので、「ROOH」を安定な「ROH」に変えて不活性化させる働きがあり、その相乗効果が発現される。
また、上記4種の酸化防止剤に加えて、例えば、硫黄系酸化防止剤等の他の構造の酸化防止剤をさらに併用してもよい。
本発明で用いられる上記酸化防止剤や他の添加剤を配合したポリプロピレン系樹脂組成物の調製方法は、例えば、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等の混練機を用いて加熱溶融混練する方法、一軸又は二軸押出機等を用いて加熱溶融混練する方法等が挙げられる。また、各種の樹脂ペレットをドライブレンドしてもよい。該組成物の調製方法においては、該酸化防止剤や結晶核剤はそれぞれの粉末を直接添加してもよいし、予め前記したポリプロピレン系樹脂に混合したマスターバッチとして添加してもよい。マスターバッチとして添加する場合は添加剤別に調製しても、2種以上を混合して調製してもよい。また、上記添加剤が配合された市販樹脂をうまく組み合わせて実施してもよい。また、上記組成物は予め製膜工程に供給する組成物を調製しておき製膜用の押し出し機に供給してもよいし、該組成物を構成する成分を該製膜用の押し出し機に供給して調製して製膜してもよい。
本発明の押出フィルムは、Tダイ法、またはインフレーション法等の公知の方法によって製膜された未延伸フィルムであり、フィルムの厚みは特に限定しないが、1〜500μmであるのが一般的であり、好ましい厚みのものが必要に応じ選択される。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を押出フィルムとして利用するための製膜条件としては、例えば、Tダイ法の場合、冷却ロール温度60〜90℃で行うのが好ましい。65〜85℃がより好ましい。冷却ロール温度が60℃未満では、得られるフィルムの剛性が低下するので好ましくない。逆に、90℃を超えた場合は、冷却ロールのタッチロールマークが発生するので好ましくない。また、透明性が低下することもある。
前述した耐破袋性やシール強度は、製膜の押し出し工程における原料樹脂組成物の混練の度合いの影響を受ける。混練の度合いを強くするとゴム成分の球状の分散度がよくなる反面、かつゴム成分を含めた樹脂の劣化が促進され、前述した耐破袋性やシール強度に悪影響を及ぼす。特に、シール強度に対して大きく影響する。従って、本発明においては、製膜の押し出し工程での過度の混練は避けるのが好ましい。
本発明においては、下記の押し出し条件で実施するのが好ましい。
押し出し工程温度:230〜280℃、押し出し機スクリューのスクリュー長/スクリュー径:20〜70、押し出し機スクリュー回転数:30〜60rpm、ダイスへの供給圧力10〜16Mpa、押し出し機出口圧力:29〜36Mpa。
本発明の押出フィルムを通常工業的に採用されている方法によってコロナ放電処理、或いは火炎処理等の表面処理を施すこともできる。
本発明においては、上記のレトルト食品包袋要フィルムを二軸延伸ポリエステルフィルムおよびアルミニウム箔よりなる積層体として用いることが好ましい。
該構成により、レトルトカレーに代表されるレトルト食品の包装材料として好適に用いることができる。
本発明の上記上記レトルト食品包袋要フィルムは、ポリアミド二軸延伸フィルム等のフィルムとの積層体として用いることもできる。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は、もとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で適宜変更を加えて実施することも可能であり、それらは、いずれも本発明の技術的範囲に含まれる。
尚、本明細書中で採用した測定、評価方法は次の通りである。
1、メルトフローレート[MFR]
JIS K7210に従い、条件−14の方法(荷重2.16kg、温度230℃)で測定した。
2、融点
プロピレン系共重合体(C)約6mgを秤量し、セイコ−電子工業株式会社製の示差走査熱量計(タイプ5200)を用いて、昇温速度;10℃/分で200℃まで昇温し、200℃で5分間保持した後、降温速度;100℃/分で0℃まで冷却し、再度、昇温速度;10℃/分で0℃〜200℃まで昇温したときの融解曲線を測定し、かかる融解曲線から、JIS−K−7121 9.1 の方法に習い、融解曲線から最も高温側にある溶融ピークの頂点の温度を融点した。
3、20℃におけるキシレン可溶部の比率(質量%)
試料5gを沸騰キシレン500mlに完全溶融した後、20℃に降温し、4時間以上放置した。その後、析出物と溶液にろ別し、ろ液を乾固して減圧下70℃にて乾燥した。得られた乾燥物の質量から20℃キシレン可溶部量を測定し、その比率を求めた。
4、エチレン含有量
高分子ハンドブック(1995年、紀伊国屋書店発行)の616ページに記載されている方法により13C−NMR法で測定した。
5、ヘーズ値
JIS−K−6714に準拠し、東洋精機製作所製の「ヘーズテスターJ」を用いて測定した。
6、レトルト処理後のシール強度
上記方法でレトルト処理した水充填袋のシール部を縦方向に50mm横方向に15mm巾にカットして、JIS K7127−1989に準拠し、試験速度H:200mm/分の速度でシール強度を測定する。袋の横側をそれぞれn=5で測定し、その平均値で表示した。測定装置としては、株式会社東洋ボールドウイン製万能引張試験機 TENSILON/STM−T−50BTを用いる。
7.耐落袋破袋性の評価
あらかじめ、12μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製E5100)のコロナ処理面(48mN/m以上)にポリエステル系接着剤を塗布して、該塗布面に6.5μmのアルミ箔(住軽アルミ箔株式会社製、食品包装用(レトルト用途))を積層することにより貼りあわせて、40℃で5日間エージングしたものを準備しておく。
上記積層体のアルミ箔面にポリエステル系接着剤を塗布して、該塗布面にコロナ処理(濡れ張力48mN/m以上)をした評価用の厚み70μmのポリプロピレン系樹脂フィルムのコロナ面がポリエステル系接着剤表面を接触するように貼り合せて、40℃で5日間エージングしてラミネートフイルムを得た。
上記のラミネートフイルムの作製に用いられるポリエステル系接着剤および該触媒は、どちらもが、東洋モートン株式会社製、TM590、CAT56である。どちらも、以下の方法で塗布した。
TM590:15kg、CAT56:2.4kg、酢酸エチル25.3kgを混合し十分攪拌して均一な液体とし、ザーンカップ#3で12.7秒に合せる。(不揮発分25%相当)該液を用いて、株式会社武蔵野機械設計事務所社製1000コ−テングテストマシーンUCT−2500を使い、100l×90μm/inchのグラビアロールで塗布、80℃乾燥させ、固形分が3g/mになるように塗布する。
上記方法で調製したラミネートフイルムを西部機械株式会社製 テストシーラー(品番:特注品、LOT:A56430、DATE:670670)を用いて以下の条件で製袋した。
あらかじめ、270℃にバーの温度が達してから、空打ちを30回以上実施して、下バーを加温しておく、シール温度:270℃×2kg×1秒後、冷却バー:水温×2kg×1秒で行う。シールを打った後に次のシールを打つ間に必ず空打ちを1回実施してから行う。そのように実施し、130mm×165mm(シール巾:5mm)の3方をシールした袋を作製した。
該袋に水を200g入れて、東静電気株式会社製(TOSPACK V‐602G‐2型)を使い真空度90%、シール時間2秒、冷却時間1秒の条件でインパルスシールを行い全面シールされた水充填袋を作る。
該水充填袋を、株式会社日阪製作所製熱水レトルト処理機(RCS‐60SPXTG)で、0.2MPaの圧力、120℃で、30分処理(条件:昇温30℃⇒120℃:10分、120℃:30分、冷却120⇒30℃:10分)してレトルト処理を実施した。該レトルト処理を施した水充填袋を、縦方向160mm×横方向130mm×厚さ方向20mmの化粧箱に詰め、更に、該化粧箱を縦方向1箱、横方向3箱、奥行方向12箱の集積箱に集積梱包した。これを、5℃で24時間以上保管した後に、室温下で1.6mの高さ(コンクリート床面から集積梱包した箱の底部まで)から、化粧箱の縦方向を落下方向とし、天地を交互に変え連続して10回落下させ、破れる袋の割合を求める。n=3で実施し、平均値で表示する。
評価基準は、次の通りとした。
◎:破れた袋の割合が10%以下のもの、
○:破れた袋の割合が11〜20%のもの
×:破れた袋の割合が20%を超えるもの
8.レトルト処理後のシール強度
上記方法でレトルト処理した水充填袋のシール部を縦方向に50mm横方向に15mm巾にカットして、JIS K7127−1989に準拠し、試験速度H:200mm/分の速度でシール強度を測定する。袋の横側をそれぞれn=5で測定し、その平均値で表示した測定装置としては、株式会社東洋ボールドウイン製万能引張試験機 TENSILON/STM−T−50BTを用いる。
9.ヤング率
JIS K7127に準拠し、サンプル形状は1号形試験片に準拠したもの(サンプル長さ200mm、サンプル幅15mm、チャック間距離100mm)を用い、クロスヘッド速度500mm/分の条件にてMD方向(フィルム長手方向)について23℃にて測定した。
(実施例1)
リン系酸化防止剤としてイルガフォス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.05質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)0.20質量%を含有したエチレン含有量が7質量%で、20℃キシレン可溶部が15質量%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=3.0g/10分、住友化学株式会社製WFS5293−22)86質量部、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製)を0.05質量%含有するエチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)12質量部、エチレン量4質量%のポリプロピレンランダム共重合体樹脂に亜リン酸エステル系酸化防止剤であるスミライザーGP(住友化学株式会社製)を5質量%配合したマスターバッチ樹脂(住友化学株式会社製MA180、MFR=10g/分)1質量部およびエチレン量4質量%のポリプロピレンランダム共重合体樹脂にアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学株式会社社製)を5質量%配合したマスターバッチ樹脂(住友化学株式会社製MA181、MFR=10g/分)1質量部をTダイ製膜機にて溶融押出しを行い、冷却ロール温度55℃で厚み70μmの未延伸フィルムを得た。押し出し機スクリューはL/D=29の単層タイプ。押し出し機の回転数は、55回転/分、ダイスは、フレキシブル、ハンガーコートタイプで、ダイス幅:4550mmの単層ダイを使用した。押出し機の温度設定は、ホッパー入り口側:230℃、押出し機出口側:235℃、ダイスの温度設定は、240℃、押し出し機出口とダイスとの間にろ過面積1703cm2,開口率23%(4mmφ×3116個 392cm2)に#20メッシュ(金網)#50メッシュ(金網)、NF−13D(ナスロンフィルター13D)、#150メッシュ(金網)#100メッシュ(金網)(いずれも日本精線株式会社製)それぞれ各1枚を組み合わせたフィルターを設置し原料樹脂組成物のろ過を実施した。冷却ロール温度(チルロール)温度は、55℃に設定し、70μmのフィルムを得た。そのフィルムをボビンに巻いた状態で、30℃×24時間ミルスタンドに置いてエージング後、加工及び評価を実施した。
その結果を表1に示す。
本実施例で得られた食品包装用フィルムは、表1に示したいずれの特性も良好であり高品質であった。
(比較例1)
実施例1の方法において、エチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)の配合を取り止め、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂配合量を98質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例1の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本比較例1で得られた食品包装用フィルムは耐落袋破袋性が劣り低品質であった。
(比較例2)
実施例1の方法において、エチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)の配合量を20質量部とし、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂配合量を78質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例2の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本比較例2で得られた食品包装用フィルムはエラストマー量が多いので、20℃キシレン可溶部量も増えて、耐落袋破袋性は向上するがシール強度に寄与するポリプロピレン量が減るので、レトルト処理後のシール強度が低く低品質であった。
(比較例3)
実施例1の方法において、エチレン量4質量%のポリプロピレンランダム共重合体樹脂(融点142℃)に亜リン酸エステル系酸化防止剤であるスミライザーGP(住友化学株式会社製)を配合したマスターバッチ樹脂(住友化学株式会社製MA180、MFR=10g/分)およびアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学株式会社製)を配合したマスターバッチ樹脂(住友化学株式会社製MA181、MFR=10g/分)の配合を取り止めブロック共重合ポリプロピレン樹脂配合量を88質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例3の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本比較例3で得られた食品包装用フィルムは後添加の酸化防止剤がないので樹脂が劣化し、シール強度に寄与するポリプロピレンの表面積量が減るのでレトルト処理後のシール強度が低く低品質であった。また、耐ブロッキング性も実施例1で得られた食品包装用フィルムよりも劣っていた。
(比較例4)
実施例1の方法において、押し出し機スクリュー回転数は75rpmに変更する以外は、実施例1と同様の方法で比較例4の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本比較例4で得られた食品包装用フィルムは酸化防止剤を添加しているものの、シェア劣化がひどく、シール強度に寄与するポリプロピレンの表面積量が減るのでレトルト処理後のシール強度が低く低品質であった。また、耐ブロッキング性も実施例1で得られた食品包装用フィルムよりも劣っていた。
(実施例2)
実施例1の方法において、ブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=3.0g/10分、住友化学株式会社製WFS5293−22)をリン系酸化防止剤としてイルガフォス168(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.05質量%およびフェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製)を0.25質量%を含有したエチレン量5%、20℃キシレン可溶部が10質量%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(WFS5293−26:住友化学株式会社製、MFR=3.1g/10分)に代え、該配合割合を81質量部とし、かつエチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)の配合量を17質量部に変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施例2の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本実施例2で得られた食品包装用フィルムは、実施例1で得られた食品包装用フィルムと同等の特性を有しており高品質であった。
(実施例3、4、5)
実施例1の方法において、エチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)の配合量をそれぞれ7、9、および14質量部として、総樹脂量が100質量部になるようにブロック共重合ポリプロピレン樹脂の配合量を変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施例3〜5の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
これらの実施例で得られた食品包装用フィルムは、実施例1で得られた食品包装用フィルムと同様に耐落袋破袋性およびレトルト処理後のシール強度の両方が優れており高品質であった。
(実施例6)
フェノール系酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、分子量1178)を0.15質量%、スミライザーGP(住友化学株式会社製)を0.05質量%を含有したエチレン含有量が7質量%で、20℃キシレン可溶部が15質量%のブロック共重合ポリプロピレン樹脂(MFR=3.0g/10分、住友化学株式会社製WFS5293−39)89.4質量%、イルガノックス1076(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製、分子量531)を0.05質量%含有するエチレン・プロピレン共重合体樹脂系の熱可塑性エラストマー(MFR=0.7g/10分、三井化学株式会社製、P0680)10質量%、エチレン量4質量%のポリプロピレンランダム共重合体樹脂にアクリレート系酸化防止剤であるスミライザーGS(住友化学株式会社製)を5質量%配合したマスターバッチ樹脂(住友化学株式会社製MA181、MFR:10g/10分)0.6質量部にする以外は、実施例1と同様の方法で実施例6の食品包装用フィルムを得た。その結果を表1に示す。
本実施例6で得られた食品包装用フィルムは、実施例1で得られた食品包装用フィルムより若干レトルト処理後のシール強度が劣るが耐落袋破袋性およびレトルト処理後のシール強度が両立しており高品質であった。
Figure 0005369985
本発明のレトルト食品包装用フィルムによれば、シール性、耐熱性、耐破袋性、食品衛生性に優れ、レトルト処理に適したレトルト食品包装用フィルムとして要求される特性を同時に満足している。特に、レトルト処理後の耐破袋性とシール強度と低温での落下時あるいは大きな外力がかかったときの耐破袋性が優れているので、レトルト食品の包装袋の構成材料として用いた場合に、優れたレトルト処理に適した特性を有している上に、レトルト処理後の食品の保存や輸送時における包装袋の衝撃等の外力に対する耐久性の信頼性が向上している。従って、食品包装用フィルム、特に、レトルト食品用包装袋の構成材料として好適に用いることができるので、産業界に寄与することが大である。

Claims (4)

  1. プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするフィルムであって、少なくともフェノール系酸化防止剤、亜リン酸系酸化防止剤およびアクリレート系酸化防止剤を含んでいて、20℃キシレン可溶部が15〜30質量%あること、前記フィルムの落袋破袋の割合が20%以下で、かつレトルト処理後のシール強度が38〜110N/15mmであることを特徴とするレトルト食品包装用フィルム。
  2. 20℃キシレン可溶部が5〜20質量%のプロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とするブロックポリオレフィン樹脂85〜97質量部と熱可塑性エラストマー3〜15質量部を配合した樹脂組成物からなることを特徴とする請求項1に記載のレトルト食品包装用フィルム。
  3. 上記レトルト食品包装用フィルムの横方向のヤング率が430〜750Mpa以上であることを特徴とする請求項1または2に記載のレトルト食品包装用フィルム。
  4. 上記レトルト性食品包装用フィルムの横方向のヤング率が560〜750Mpa以上であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のレトルト性食品包装用フィルム。
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