JP5364945B2 - ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜、多孔質フッ素樹脂膜複合体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜、多孔質フッ素樹脂膜複合体及びそれらの製造方法 Download PDF

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本発明は、限外ろ過等に使用可能な平均流量孔径の小さいポリテトラフルオロエチレン多孔質膜及びこのポリテトラフルオロエチレン多孔質膜と多孔質支持体からなる多孔質フッ素樹脂膜複合体に関する。本発明は、又、これらのポリテトラフルオロエチレン多孔質膜及び多孔質フッ素樹脂膜複合体を製造する方法に関する。
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる多孔質膜は、耐薬品性、耐熱性が優れるので、微細な粒子をろ過するフィルター等に用いられている。このPTFEからなる多孔質膜の製造方法としては、例えば、無孔質のPTFE膜を作製しそれを延伸して多孔質化する方法が知られている。そして、無孔質のPTFE膜は、PTFE粉末を液体に分散させたディスパージョンを基体にコーティングし、液体を除去するとともに融点以上に加熱して焼結する方法(キャスティング法)を挙げることができ、例えば、特開平5−32810号公報(特許文献1)等に開示されている。
PTFEからなる多孔質膜が、フィルターに用いられる場合、優れたろ過処理効率(ろ過性、低い流れ抵抗)、高い強度が求められる。又、より微細な粒子のろ過分別を可能とするためには、より微細で均一な孔径を有しかつボイドやクラック等の欠陥を有しないこと等が望まれている。
優れたろ過処理効率のためには、より高い気孔率の膜やより薄い膜が望まれる。一般的には、無孔質PTFE膜の延伸比を増大することにより、得られる多孔質膜の気孔率が増大し又膜厚を減少させる傾向もあるので、延伸比を増大させることによりろ過処理効率を向上させることができる。しかし、延伸比の増大により、気孔径も増大し、微細な粒子のろ過分別ができなくなる。又、膜厚の減少により強度も低下する。
特公表2009−501632号公報(特許文献2)には、このような問題を解決し、小孔径(微細な粒子のろ過分別を可能とすること)及び低い流れ抵抗(優れたろ過処理効率)の両方を提供する薄くて強いろ過膜(段落0011)として、新規なPTFE多孔質膜が開示されており、この膜は、高い強度、低い流れ抵抗(優れたろ過処理効率)を有し微細な粒子のろ過分別を可能とし、これまで達成不可能であってきたろ過性能を有する、(段落0012)と述べられている。
特開平5−32810号公報 特公表2009−501632号公報(段落0012)
しかし、特許文献2に開示されているPTFE多孔質膜の最も小さな平均流量孔径(平均流れ孔径)は55nm(0.055μm)程度であり(図6)、又、特許文献2に開示されている多孔質フッ素樹脂複合体の平均流量孔径は47nm(0.047μm)であり、47nm未満の平均流量孔径を有するPTFE多孔質膜は開示されていない。一方、より微細な孔径を有するPTFE多孔質膜、例えば分子量50000程度のポリエチレングリコールの除去を可能にするような限外ろ過膜も望まれている。分子量50000程度のポリエチレングリコールの除去を可能にするためにはPTFE多孔質膜の平均流量孔径を50nm程度以下とする必要がある。
本発明の課題は、先ず、平均流量孔径が50nm以下のPTFE多孔質膜を提供することにある。
本発明は、又、平均流量孔径が50nm以下のPTFE多孔質膜を含む多孔質フッ素樹脂膜複合体を提供することを課題とする。
本発明は、又、これまで延伸が不可能だった条件でPTFEを延伸する技術により平均流量孔径が50nm以下の孔径の小さいPTFE多孔質膜を製造する方法、及びこのPTFE多孔質膜を有する多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を達成するべく鋭意検討の結果、以下の事実を見出し、この知見に基づき本発明を完成した。
1)延伸を低温度で行う程、又は融解熱量が高いPTFEを用いる程、平均流量孔径が低いPTFE多孔質膜が得られる。
2)延伸を低温度で行う、又は融解熱量が高いPTFEを用いると、延伸加工性が低くなり、破断やピンホール等が起きやすく延伸加工が難しい。
3)しかし、PTFE膜を、延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して延伸することにより、平均流量孔径が50nm以下のPTFE多孔質膜が得られるような低い温度で延伸する場合、又は融解熱量が高いPTFEを用いる場合でも、延伸加工が容易になる。
一般にPTFEは温度が30℃未満にあると硬くかつ破断伸びが小さくなるなど、延伸加工性が低くなる特徴がある。特に薄膜の場合、中でも膜厚が20μm以下の場合は、膜厚のムラが大きくなり、その薄いところが他の部位よりも先に伸びの限界を超えるので、より破断が起きやすく、低温での延伸は難しい。そこで破断伸びが高くなる30℃以上、特に50℃から100℃の間で延伸が行われてきた。
又、特に融解熱量が大きく30J/gを超えるような低分子量PTFEでは、更に破断伸びが小さくなるので、部分的に破断伸びを超えてピンホールが生じ、数10%延伸するのみで完全に破断するなど、延伸加工が難しい。
本発明者は、このような延伸加工が難しい条件であっても、延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して延伸することにより、破断やピンホールの発生を防ぐことができ、しかも、この延伸により、平均流量孔径が50nm以下のPTFE多孔質膜が得られることを見出したのである。
本発明はその第1の態様として、平均流量孔径が50nm以下であることを特徴とするPTFE多孔質膜(請求項1)を提供する。このPTFE多孔質膜は、平均流量孔径が50nm以下であるので、分子量50000程度のポリエチレングリコールの限外ろ過による除去を可能にする。このPTFE多孔質膜は、後述の請求項4に記載の方法により得ることができる。
請求項2は、膜厚が20μm以下であることを特徴とする請求項1に記載のPTFE多孔質膜を提供する。このPTFE多孔質膜は、膜厚が20μm以下であるので、ろ過時の流れ抵抗が低く、優れたろ過処理効率が得られる。
本発明はその第2の態様として、平均流量孔径が50nm以下であるPTFE多孔質膜、及び前記PTFE多孔質膜に接着固定され平均流量孔径が50nmより大きい多孔質体からなることを特徴とする多孔質フッ素樹脂膜複合体(請求項3)を提供する。この多孔質フッ素樹脂膜複合体は、後述の請求項7に記載の方法により得ることができる。
この多孔質フッ素樹脂膜複合体では、平均流量孔径が50nm以下であるPTFE多孔質膜が、平均流量孔径が50nmより大きい多孔質体に接着固定され支持されているので、高い強度が得られる。従って、この支持体としての多孔質体については高い機械的強度が望まれる。この支持体(多孔質体)の平均孔径及び気孔率は、平均流量孔径が50nmより大きく、支持体としての機能を奏する限りは、特に制限はないが、優れたろ過処理効率を得る点からは、平均孔径及び気孔率は大きい方が好ましい。
この支持体に用いられるものとしては、連続気孔の多孔質体であればよく、特に制限されない。具体的には、発泡体、不織布、延伸多孔質体等を挙げることができ、それらを構成する材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリイミド系樹脂等を挙げることができる。
本発明はその第3の態様として、平均流量孔径が50nm以下であるPTFE多孔質膜の製造方法であって、
PTFEからなり膜厚が20μm以下の無孔質フィルムを、延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して積層体を得る工程、
前記積層体を延伸する工程、及び
延伸後の前記積層体から前記支持体を除去する工程
からなることを特徴とするPTFE多孔質膜の製造方法(請求項4)を提供する。
この方法では、PTFEからなる無孔質フィルムを延伸することを特徴とし、この特徴により平均流量孔径が50nm以下のPTFE多孔質膜が得られる。融解熱量が30J/gを超えるような低分子量PTFEは、破断伸びが小さく延伸加工が難しく、特に膜厚が20μm以下の薄膜の場合この傾向が顕著であるが、請求項4の方法では、膜を延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して積層体としこの積層体を延伸するので、破断やピンホールの形成等が抑制され均質な延伸が達成される。
ここで用いられる支持体としては、延伸により均質に伸びる特性を有し、無孔質フィルムを接着固定できるものであればよく、特に限定されないが、機械的強度が高く伸びやすいものが好ましい。具体的には、ゴムやその他のエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂等からなるフィルムを挙げることができる。
前記無孔質フィルムを前記支持体に固定する方法としては、接着剤や粘着剤を使用して接着する方法、加熱により融着する方法等を挙げることができる。接着剤や粘着剤として、溶剤可溶性あるいは熱可塑性のフッ素樹脂、フッ素ゴムを使用すれば、フッ素樹脂薄膜の素材そのものの耐熱性や耐薬品性を生かせる用途に使用することができるのでより好ましい。
延伸後、前記積層体より、前記支持体を除去することにより、平均流量孔径が50nm以下、膜厚が20μm以下で欠陥のないPTFE多孔質膜が得られる。前記支持体の除去は、無孔質フィルムと支持体を固定する接着剤や粘着剤を有機溶剤等で軟化又は除去して支持体を剥離する方法、又は加熱や場合により冷却等も行いながら機械的に剥離する方法等により行うことができる。
請求項5は、前記無孔質フィルムを構成するPTFEの融解熱量が32J/g以上であることを特徴とする請求項4に記載のPTFE多孔質膜の製造方法を提供する。無孔質フィルムを構成するPTFEの融解熱量が高い程、延伸して得られるPTFE多孔質膜の平均流量孔径が小さくなる。特に、融解熱量が32J/g以上のPTFEから無孔質フィルムを構成することが好ましい。
請求項6は、前記延伸が、30℃未満の温度で行われることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載のPTFE多孔質膜の製造方法である。延伸温度が低い程、延伸して得られるPTFE多孔質膜の平均流量孔径が小さくなる。特に30℃未満の温度で延伸することが好ましい。従来は、30℃未満の温度での延伸は困難であったが、請求項4の方法では膜を延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して積層体としこの積層体を延伸するので、このような低温でも延伸は可能であり破断やピンホール等の発生は抑制される。
本発明はその第4の態様として、平均流量孔径が50nm以下であるPTFE多孔質膜及び前記PTFE多孔質膜に接着固定され平均流量孔径が50nmより大きい多孔質体からなる多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法であって、
PTFEからなり膜厚が20μm以下の無孔質フィルムを、延伸により均質に伸びる特性を有する多孔質の支持体に固定して積層体を得る工程、及び
前記積層体を延伸する工程からなることを特徴とする多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法(請求項7)を提供する。
ここで用いられる支持体は、延伸により均質に伸びる特性を有する多孔質であり、無孔質フィルムを接着固定できるものであれば特に限定されないが、機械的強度が高く伸び易いものが好ましい。具体的には、ゴムやその他のエラストマー、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、PTFE、PFA等のフッ素系樹脂等からなる多孔質体フィルムを挙げることができる。
前記無孔質フィルムを前記支持体に固定する方法としては、請求項4に記載の方法と同様な方法を採用することができる。
請求項8は、前記無孔質フィルムを構成するPTFEの融解熱量が32J/g以上であることを特徴とする請求項7に記載の多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法を提供する。請求項9は、前記延伸が、30℃未満の温度で行われることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法を提供する。
請求項5及び請求項6の発明の場合と同様に、PTFEの融解熱量が高い程、又、延伸温度が低い程、延伸して得られるPTFE多孔質膜の平均流量孔径が小さくなる。
本発明のPTFE多孔質膜及び多孔質フッ素樹脂膜複合体は、平均流量孔径が50nm以下の孔を有するので、微細な粒子の除去を可能にする。従って、例えば分子量50000程度のポリエチレングリコールの限外ろ過等のためのろ過膜として用いることができる。
又、本発明のPTFE多孔質膜及び多孔質フッ素樹脂膜複合体は、前記の優れたろ過性を示すとともに、耐薬品性や耐熱性にも優れる。膜厚が薄い場合は、優れたろ過処理効率も示す。又、非常に柔軟性に富み、多孔質フッ素樹脂膜複合体の場合は多孔質の支持体により機械的強度等にも優れるので、ハンドリングが容易である。従って、公知の各種の分離膜エレメントの製造に用いることができる。
本発明のPTFE多孔質膜及び多孔質フッ素樹脂膜複合体は、従来のPTFE多孔質膜によるろ過では除去できなかった微細な粒子の除去を可能にする。又、本発明の多孔質フッ素樹脂膜複合体は、機械的強度の点でも優れたものである。このような優れた特性を有するPTFE多孔質膜及び多孔質フッ素樹脂膜複合体は、それぞれ、本発明のPTFE多孔質膜の製造方法及び本発明の多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法により製造することができる。
次に、本発明を実施するための形態を、具体的に説明する。なお、本発明はこの形態や実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない限り他の形態へ変更することができる。
本発明のPTFE多孔質膜の製造方法(請求項4)や多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法(請求項7)に用いられる無孔質フィルムは、PTFEからなる。PTFEとしては、融解熱量が32J/g以上のものが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで、融解熱量とは、室温から245℃まで50℃/分で加熱、10℃/分で365℃まで加熱、350℃まで−10℃/分の速度で冷却、350℃で5分間保持、350℃から330℃まで−10℃/分の速度で冷却、330℃から305℃まで−1℃/分の速度で冷却、−50℃/分の速度で305℃から245℃まで冷却、及び10℃/分の速度で245℃から365℃まで加熱をこの順序で行ったときの、10℃/分の速度で245℃から365℃までの加熱の際の296〜343℃間の吸熱量と定義される。
この無孔質フィルムとしては、優れたろ過処理能力を得るために薄い方が好ましいが、又、ボイドやクラック等の欠陥が少ないものが好ましい。
ボイドやクラック等の欠陥が少ないとの特徴は、ガーレー秒により表すことができるが、具体的には、ガーレー秒が300秒以上のものが好ましく、より好ましくは1000秒以上、さらに好ましくは5000秒以上である。ここでガーレー秒とは、JIS−P8117等記載されている透気度(空気の透過量)を表す数値で、具体的には、100mlの空気が645cmの面積を通過する時間(秒)を表す。薄膜が欠陥を有する場合は、その欠陥を通って空気が透過するのでガーレー秒は小さくなるが、欠陥が少なくなるに従って空気が透過しにくくなりガーレー秒は増大する。
膜厚が20μm以下であって、ボイドやクラック等の欠陥が少ない無孔質フィルムは、平滑な箔上に、PTFE粉末を分散媒中に分散したフッ素樹脂ディスパージョンを塗布した後、該分散媒の乾燥、PTFEの焼結を行い、その後、この平滑な箔を除去する方法により製造することができる。フッ素樹脂ディスパージョンの分散媒としては、通常、水等の水性媒体が用いられる。
平滑な箔とは、この製造方法においてフッ素樹脂ディスパージョンと接する側の表面に孔や凹凸が観測されない平滑なフィルムである。平滑な箔の厚さの範囲は特に限定されないが、基体上に塗布したフッ素樹脂ディスパージョン上に気泡が入らないように被せる操作が容易に行われるような柔軟性を有する厚さであって、除去が困難とならない厚さが望ましい。薄膜の形成後、平滑な箔の除去が行われるが、除去の方法としては、平滑な箔が金属箔の場合は酸等により溶解除去する方法が例示される。
金属箔は、フッ素樹脂ディスパージョン上に気泡が入らないように被せる操作が容易に行われるような柔軟性を有し、薄膜の形成後酸等による溶解除去が容易であるので、平滑な箔として好ましい。金属箔の中でもアルミ箔は、柔軟性及び溶解除去の容易さ、さらには入手の容易さの点で特に好適である。
分散媒の乾燥は、分散媒の沸点に近い温度又は沸点以上に加熱することにより行うことができる。乾燥によりPTFE粉末からなる皮膜が形成されるが、この皮膜を、フッ素樹脂の融点以上に加熱して焼結することによりPTFEの無孔質フィルムを得ることができる。乾燥と焼結の加熱を同一工程で行ってもよい。
ボイドやクラック等の欠陥を低減する効果は、前記PTFE粉末に、高濃度条件でゲル化する水溶性ポリマーを添加することにより向上する。この水溶性ポリマーとしては、アニオン性、カチオン性よりもノニオン性のものが好ましく、又、分子量は1万以上が好ましい。該水溶性ポリマーとしては、具体的には、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、デンプン、アガロース等を挙げることができる。
表面凹凸やピンホールなどの欠陥の発生を抑制するためには、陰イオン性界面活性剤を0.5mg/ml以上加えることも好ましい。より好ましく2.5mg/ml以上である。陰イオン性の界面活性剤としては、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・カルボン酸塩などのカルボン酸型、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・スルホン酸塩などの硫酸エステル型、ポリオキシエチレン・アルキルエーテル・リン酸塩などのリン酸エステル型等の界面活性剤を挙げることができる。
本発明の多孔質フッ素樹脂膜複合体において、多孔質体の支持体は1枚であってもよいが、多孔質体の支持体2枚でその間に平均流量孔径が50nm以下であることを特徴とするPTFE多孔質膜が挟まれていてもよい。
実施例、参考例において示されている各物性値の測定方法を以下に示す。
[0.055粒子捕集率の測定方法]
外形0.055μmの真球状ポリスチレン粒子ラテックス(JSR社製 標準粒子用ラテックス STADEX SC0055−D 固形分1%)を純水で100倍に希釈(固形分0.01%)し、この液を試験液とする。サンプル(PTFE多孔質膜)をφ47mmのディスク状に打ち抜いて、イソプロパノールを含浸した後、ろ過ホルダーに固定し差圧0.42kgf/cmで前記試験液32mlをろ過した。試験液とろ過液の標準粒子濃度を、分光光度計(島津製作所社製 UV−160)を用いて測定した。0.055粒子捕集率とは、この測定値を用い以下の式より求めた値である。
捕集率={1−(ろ過液の標準粒子濃度)/(試験液の標準粒子濃度)}×100[%]
[平均流量孔径の測定方法]
細孔分布測定器(パームポロメータ CFP−1500A:Porous Materials,Inc製)により、液体として、GALWICK(プロピレン,1,1,2,3,3,3酸化ヘキサフッ酸(Porous Materials,Inc製)を用いて、測定した。具体的には、次のようにして求められる。先ず、膜に加えられる差圧と膜を透過する空気流量との関係を、膜が乾燥している場合と膜が液体で濡れている場合について測定し、得られたグラフをそれぞれ、乾き曲線及び濡れ曲線とする。乾き曲線の流量を1/2とした曲線と、濡れ曲線との交点における差圧をP(Pa)とする。次の式により、平均流量孔径を求める。
平均流量孔径d(μm)=cγ/P
ここで、cは定数で2860であり、γは液体の表面張力(dynes/cm)である。
[融解熱量の測定方法]
PTFEのサンプルを10mgから20mgを採り、必要に応じてアルミセルに封止する。ここで、PTFEは可能な限り収縮変形できるようにフリーな状態に保つことが重要であるので、セルを潰さないか潰し切らないようにする。
このサンプルについて、以下の条件で加熱や冷却を行う。
室温から245℃まで50℃/分で加熱、その後10℃/分で365℃まで加熱する(第一ステップ)。
次に−10℃/分の速度で350℃まで冷却し、350℃で5分間保持する。次に−10℃/分の速度で350℃から330℃まで、−1℃/分の速度で330℃から305℃まで冷却する(第二ステップ)。PTFEの分子量が小さいほど結晶化が促進されやすく、第二ステップでの発熱量が大きくなる傾向がある。次に−50℃/分の速度で305℃から245℃まで冷却する。
次に10℃/分の速度で245℃から365℃まで加熱する(第三ステップ)。
0.5sec/回でサンプリングタイムを行い、島津製作所社製熱流束示差走査熱量計DSC−50を使用し吸熱カーブ、発熱カーブを求める。この吸熱、発熱カーブより、吸熱量及び発熱量を求めることができるが、融解熱量は296℃から343℃の区間の吸熱量を積分して求めた値である。
[IPAバブリングポイントの測定方法]
サンプル(PTFE多孔質膜又は多孔質フッ素樹脂膜複合体)をイソプロピルアルコールに含浸し、管壁の孔内をイソプロピルアルコールで充満した後、一方の面より徐々に空気圧を負荷したときに、初めて気泡が反対面より出てくるときの圧力を、IPAバブリングポイントとした。
実施例1
日東電工社製PTFEフィルム(No.920UL、膜厚20μm)に電子線を照射し、融解熱量を42J/gに調整した。この膜を370℃で5分間加熱した後、315℃で8時間加熱した。この膜は加熱前よりも長さ方向に収縮し、膜厚は約50μmに増大した。この膜を圧延ロールにて膜厚を13μmに加工した。この膜を幅50mmの住友スリーエム社製PTFEテープ(スコッチ5490)に挟んで固定した。
次にテープの幅方向に3倍延伸した。これを溶剤(MEK)に付けてPTFEテープから膜を分離し取り出した。次に、この膜を、延伸方向とPTFEテープの長さ方向が一致するように前記と同様なPTFEテープに挟んで固定した。これをテープの幅方向に2倍に延伸し、その後溶剤(MEK)に付けてPTFEテープから膜(PTFE多孔質膜)を分離した。このPTFE多孔質膜の延伸後の厚さは9μmだった。又このPTFE多孔質膜の、ガーレー秒は120秒、IPAバブリングポイントは549kPa、0.055粒子捕集率は75%であった。
実施例2
[フッ素樹脂ディスパージョンの調整]
融解熱量が50J/gのPTFEディスパージョン30J(三井デュポンフロロケミカル社製)とMFAラテックス、及びPFAディスパージョン920HPとを用いて、MFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)及びPFA/(PTFE+MFA+PFA)(体積比)が各2%であるフッ素樹脂ディスパージョンを調整し、更に分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度3mg/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王製20T)を10mg/mlとなるように添加してフッ素樹脂ディスパージョンを調整した。
[試験体の作製]
厚さ50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、フッ素樹脂ディスパージョンを滴下した後、日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフト(商品名:ステンレスファインシャフトSNSF型、外径20mm)を滑らすようにしてフッ素樹脂ディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばした。
この箔を、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、340℃で1時間加熱の各工程を経た後、自然冷却し、アルミ箔上に固定されたフッ素樹脂薄膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜)を形成させた。フッ素樹脂薄膜が形成される前後のアルミ箔の単位面積当たりの重量差とフッ素樹脂の真比重(2.25g/cm)より算出したフッ素樹脂薄膜の平均厚さは約3μmであった。
次に、920HPを蒸留水で4倍の容積に薄めたPFAディスパージョンに、更に分子量200万のポリエチレンオキサイドを濃度3mg/ml、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミン(花王社製20T)を10mg/mlとなるように添加し、4倍希釈のPFAディスパージョンを調整した。
アルミ箔上に固定されたフッ素樹脂薄膜をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、この4倍希釈のPFAディスパージョンを滴下した後、前記と同じ日本ベアリング(株)製のステンレス鋼製のスライドシャフトを滑らすようにして4倍希釈のPFAディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばしながら、水分が乾燥しない間に、孔径0.45μm、厚さ80μmの延伸PTFE多孔質体(住友電工ファインポリマー社製、商品名:ボアフロンFP−045−80)(IPA−BP:150kPa、気孔率:70%、ガーレー秒:9.1秒)を被せた。その後、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、320℃で1時間加熱、317.5℃で8時間加熱の各工程を経た後、自然冷却して、延伸PTFE多孔質体上に、PTFEよりも融点の低い熱可塑性のPFAにより、PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜が接着され、更にその上にアルミ箔が固定された複合体を得た。次いで、アルミ箔を塩酸によって溶解除去して、試験体(無孔質PTFE膜の積層体)を得た。
この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが浸透するような穴はなく、この試験体は、エタノールが浸透しない無孔質PTFE膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜)を含む積層体であることが示された。
[延伸]
次に、この試験体を、引張試験機を用いて温度25℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率200%)で幅方向に延伸した後、更に同じ引張試験機で温度25℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率60%)で幅方向と直交する方向へ延伸し多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は80秒であった。IPAバブリングポイントは1180kPaであった。平均流量孔径は0.027μmであった。
実施例3
実施例2と同条件でフッ素樹脂ディスパージョンの調整及び試験体の作製を行い、試験体(無孔質PTFE膜の積層体)を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴はなく、この試験体は、エタノールが浸透しない無孔質PTFE膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜)を含む積層体であることが示された。
次に、この試験体を、引張試験機を用いて温度15℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率200%)で幅方向に延伸した後、更に同じ引張試験機で温度15℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率60%)で幅方向と直交する方向へ延伸し多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は360秒であった。IPAバブリングポイントは測定限界の3000kPaであった。平均流量孔径は測定限界の0.015μm以下であった。
参考例1
日東電工社製PTFEフィルム膜厚20μm(No.920UL)に電子線を照射し、融解熱量を42J/gに調整した。この膜を370℃で5分間加熱した後、315℃で8時間加熱した。この膜は加熱前よりも長さ方向に収縮し、膜厚は約50μmに増大した。この膜を圧延ロールにて膜厚を13μmに加工した。次にこの膜について、60℃で延伸を試みたところ、2倍に満たない延伸倍率で破断した。
実施例1では、参考例1と同じ膜をPTFEテープ(スコッチ5490)に挟んで固定した後延伸しているが、この場合は、縦3倍、横2倍の延伸を行えた。この実施例1及び参考例1の結果の比較より、延伸が困難なPTFE膜、延伸条件であっても、このPTFE膜を延伸により均質に伸びる特性を有する支持体(PTFEテープ:スコッチ5490)に固定して延伸すれば、延伸が可能となることが示されている。
参考例2
実施例2と同様にしてフッ素樹脂ディスパージョンを調整した。
[試験体の作製]
厚さ50μmのアルミ箔をガラス平板の上に皺がないように広げて固定し、フッ素樹脂ディスパージョンを滴下した後、日本ベアリング社製のステンレス鋼製のスライドシャフト(商品名:ステンレスファインシャフトSNSF型、外径20mm)を転がすようにしてフッ素樹脂ディスパージョンをアルミ箔一面に均一になるように伸ばした。
この箔を、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、340℃で1時間加熱、317.5℃で8時間加熱の各工程を経た後、自然冷却し、アルミ箔上に固定されたフッ素樹脂薄膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜)を形成させた。フッ素樹脂薄膜が形成される前後のアルミ箔の単位面積当たりの重量差とフッ素樹脂の真比重(2.25g/cm)より算出したフッ素樹脂薄膜の平均厚さは約3μmであった。次いで、アルミ箔を塩酸によって溶解除去して、試験体(無孔質PTFE膜)を得た。
[延伸]
この試験体について、引張試験機を用いて延伸を試みたが、薄すぎて皺になりやすい等取扱が難しい上、チャックで破れる等、均質に延伸することは出来なかった。
参考例2の試験体は、実施例2のフッ素樹脂薄膜(PTFEを主体とする無孔質フッ素樹脂薄膜)と同条件で作製されたものであるが、参考例2では、延伸PTFE多孔質体との積層体を形成せずに、無孔質PTFE膜のみについて延伸を試みており、上記のように均質に延伸することは出来なかった。一方、実施例2では延伸PTFE多孔質体との積層体とした後延伸を試みており、均質な延伸が達成されている。この結果より、PTFE薄膜はそのままでは延伸困難であるが、延伸により均質に伸びる特性を有する多孔質の支持体(延伸PTFE多孔質体等)に固定して延伸すれば、延伸が可能となることが示されている。
比較例1
実施例2と同条件でフッ素樹脂ディスパージョンの調整及び試験体の作製を行い、試験体(無孔質PTFE膜の積層体)を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴はなく、この試験体はエタノールが浸透しない無孔質PTFE膜を含む積層体であることが示された。
次に、この試験体を、引張試験機を用いて温度60℃、チャック間55mm、ストローク165mm(延伸率200%)で幅方向に延伸した後、更に同じ引張試験機で温度60℃、チャック間55mm、ストローク88mm(延伸率60%)で幅方向と直交する方向へ延伸し、多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は21秒であった。IPAバブリングポイントは745kPaであった。平均流量孔径は0.055μm以下であった。
実施例2、実施例3及び比較例1の結果の比較より、延伸温度が低い程、平均流量孔径の小さいPTFE多孔質膜が得られることが示されている。又、延伸時の温度が30℃未満である実施例2(25℃)、実施例3(15℃)では、平均流量孔径が50nm以下であるPTFE多孔質膜(すなわち、本発明のPTFE多孔質膜)が得られているが、延伸時の温度が60℃である比較例1では平均流量孔径は55nmであり、本発明のPTFE多孔質膜は得られないことが示されている。
実施例4
延伸PTFE多孔質体上に、PFAによりフッ素樹脂薄膜が接着され更にその上にアルミ箔が固定された複合体を得るための乾燥、加熱の工程において、80℃で60分間乾燥、250℃で1時間加熱、320℃で1時間加熱の後に行われる317.5℃での加熱時間を0.5時間とした以外は、実施例2と同条件でフッ素樹脂ディスパージョンの調整及び試験体の作製を行い、試験体を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴はなく、エタノールが浸透しない無孔質PTFE膜(フッ素樹脂薄膜)を含む積層体であることが示された。
次に、テンター式横軸延伸機(延伸ゾーン長1.5m)を用いて温度35℃、入口チャック間230mm、出口552mm、ラインスピード6.3/分で延伸を行い、多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は48秒、IPAバブリングポイントは1180kPa、平均流量径は0.0485μmであった。
実施例5
実施例4と同条件でフッ素樹脂ディスパージョンの調整及び試験体の作製を行い、試験体を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴はなくエタノールが浸透しない無孔質PTFE膜を含む積層体であることが示された。
次に、テンター式横軸延伸機(延伸ゾーン長1.5m)を用いて温度24℃、入口チャック間230mm、出口552mm、ラインスピード6.3/分で延伸を行い、多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は378秒、平均流量径は測定限界の0.015μm以下であった。
実施例6
融解熱量が50J/gのPTFEディスパージョン30J(三井デュポンフロロケミカル社製)の代わりに、融解熱量が29.5J/gのPTFEディスパージョンAD911(旭硝子社製)を用いた以外は、実施例4と同条件でフッ素樹脂ディスパージョンの調整及び試験体の作製を行い、試験体を得た。この試験体のガーレー秒は5000秒以上でPTFE薄膜側から室温でエタノールを接触させてみたが、浸透するような穴はなく、エタノールが浸透しない無孔質PTFE膜を含む積層体であることが示された。
次に、テンター式横軸延伸機(延伸ゾーン長1.5m)を用いて温度24℃、入口チャック間230mm、出口552mm、ラインスピード6.3/分で延伸を行い、多孔質フッ素樹脂膜複合体を得た。この多孔質フッ素樹脂膜複合体のガーレー秒は688秒、平均流量径は測定限界の0.015μm以下であった。
[ポリエチレングリコールろ過性評価]
評価方法
蒸留水にポリエチレングリコール(和光純薬社製ポリエチレングリコール粉末;平均分子量5万)を濃度2%となるように溶解し、これを試験液とする。
前記の実施例4で得られた多孔質フッ素樹脂膜複合体、実施例6で得られた多孔質フッ素樹脂膜複合体、及び市販のPTFEメンブレン(住友電工ファインポリマー社製ポアフロンHP−010−30、公称孔径100nm、前記ナノメンブレンと同様にして測定した平均流量孔径121nm、バブルポイント185kPa、ガーレー秒23秒)を分離膜サンプルとした。それぞれの分離膜サンプルについて、前記の試験液を用い、以下に示す手順によりポリエチレングリコールろ過性評価を行った。
1)それぞれの分離膜サンプルを、φ47mmのディスク状に打ち抜いて、イソプロパノールに含浸する。
2)次に、ダイキン工業社製のフッ素系界面活性剤DSN403Nを蒸留水に溶解して濃度0.1%とした水溶液(以降リンス液という)に3分間浸した後、蒸留水に1分間浸けて洗浄する。
3)洗浄後の膜をフィルターホルダーに取付けた後、前記試験液20mlをろ過した。
4)試験液及びろ過液について、波長220nmの吸光度を測定し、下記の式によりPEGの除去利率を算出した。
PEGの除去率={1−(ろ過液の吸光度/試験液の吸光度)}×100[%]
評価結果
HP−010−30を用いた場合の除去率は24%、実施例4の多孔質フッ素樹脂膜複合体を用いた場合の除去率は80%、実施例6の多孔質フッ素樹脂膜複合体を用いた場合の除去率は100%であった。この結果より、本発明の多孔質フッ素樹脂膜複合体は、公知のPTFEメンブレンより、分子量50000程度のポリエチレングリコールのような微細粒子の除去効果が優れていることが示された。又、本発明の多孔質フッ素樹脂膜複合体の中では、実施例4より低い温度で延伸がされた実施例6の方が、分子量50000程度のポリエチレングリコールのような微細粒子の除去効果が優れていることが示された。

Claims (4)

  1. 平均流量孔径が50nm以下であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法であって、
    ポリテトラフルオロエチレンからなり膜厚が20μm以下であって、ガーレー秒が5000秒以上である無孔質フィルムを、延伸により均質に伸びる特性を有する支持体に固定して積層体を得る工程、
    前記積層体を、30℃未満の温度で延伸する工程、及び
    延伸後の前記積層体から前記支持体を除去する工程
    からなることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  2. 前記無孔質フィルムを構成するポリテトラフルオロエチレンの融解熱量が32J/g以上であることを特徴とする請求項1に記載のポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の製造方法。
  3. 平均流量孔径が50nm以下であるポリテトラフルオロエチレン多孔質膜及び前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜に接着固定され平均流量孔径が50nmより大きい多孔質体からなる多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法であって、
    ポリテトラフルオロエチレンからなり膜厚が20μm以下であって、ガーレー秒が5000秒以上である無孔質フィルムを、延伸により均質に伸びる特性を有する多孔質の支持体に固定し、積層体を得る工程、及び
    前記積層体を、30℃未満の温度で延伸する工程からなることを特徴とする多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法。
  4. 前記無孔質フィルムを構成するポリテトラフルオロエチレンの融解熱量が32J/g以上であることを特徴とする請求項3に記載の多孔質フッ素樹脂膜複合体の製造方法。
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