JP5357985B2 - プロピレン重合体組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、プロピレン系重合体組成物、該組成物からなるペレット、樹脂用改質剤、熱可塑性樹脂組成物の製造方法、プロピレン系重合体組成物からなる成形体の製造方法、プロピレン系重合体組成物からなる成形体に関し、さらには柔軟性、透明性、耐熱性に優れ、耐ブロッキング性にも優れたプロピレン系重合体組成物、該組成物からなるペレット、前記ペレットからなる樹脂用改質剤、該改質剤を用いた熱可塑性樹脂組成物の製造方法、プロピレン系重合体組成物からなる成形体の製造方法、プロピレン系重合体組成物からなる成形体に関する。
熱可塑性樹脂、特にポリオレフィンは、安価で剛性、耐湿性、および耐熱性に優れているため自動車材料や家電材料など広範囲な用途で使用されている。
一方で環境ホルモン、ダイオキシン等の問題から脱軟質塩ビの動向が強まる中、柔軟性、透明性を有するポリオレフィンが望まれていた。このような状況の中でTPOと称される熱可塑性ポリオレフィン系エラストマーは柔軟性に優れるが透明性が無く、またPPにスチレン系エラストマーを添加した系は、柔軟で透明性を有するがゴム弾性に劣り、高価であるため、用途が限られていた(特許文献1〜4)。
なお、特許文献5には、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体が記載されているが、透明性、柔軟性に優れかつゴム弾性を有する材料については記載されていない。
また、従来よりポリプロピレンは、剛性、耐熱性、透明性などに優れた熱可塑性成形材料として広く利用されている。このポリプロピレンは、柔軟性および耐衝撃性には劣るので、通常ポリプロピレンに軟質ゴム成分を配合している。
本出願人らは、 剛性および耐衝撃性に優れ、かつ、耐摩耗性、ヒートシール性のバランスに優れたポリプロピレン樹脂組成物及びその成形体を提供するため、 エチレン成分単位を1から30モル%、プロピレン成分単位を30〜79モル%、炭素数4〜20のα−オレフィン由来の成分単位を10〜50モル%(ただしエチレン成分単位と炭素数4〜20のα−オレフィンの成分単位との合計量は21から70モル%である)の量で含むプロピレン・αオレフィン共重合体と、ポリプロピレンとを含む熱可塑性樹脂組成物を提案した。
特公昭53−21021号公報 特公昭56−15741号公報 特公昭58−46138号公報 特開平7−149999号公報 特開平3−200813号公報 国際公開2005/103141号パンフレット
しかし、本出願人らの検討によれば、プロピレン・α−オレフィン共重合体を50重量部以上含み、特に、プロピレン・α−オレフィン共重合体がシンジオタクティック構造で、ポリプロピレンがアイソタクティック構造である組成物をペレット化した際、ペレット同士がその粘着性のためくっついて(ブロッキングして)しまうという改良すべき点があることがわかった。
本発明の目的は、柔軟性、透明性、耐熱性に優れ、かつ耐ブロッキング性にも優れるプロピレン系重合体組成物、該組成物からなるペレット、前記ペレットからなる樹脂用改質剤、および熱可塑性樹脂組成物の製造方法、プロピレン系重合体組成物からなり、柔軟性、透明性、耐熱性に優れた成形体を生産性良く製造する方法、プロピレン系重合体組成物からなり、柔軟性、透明性、耐熱性に優れた成形体を提供することにある。
本発明に係るプロピレン系共重合体組成物は、
プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)99〜50重量部と、アイソタクティックプロピレン重合体(B)1〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)と、
(A)と(B)との合計100重量部に対して、
シンジオタクティックポリプロピレン重合体(C) 1〜15重量部
を含んでなり、該共重合体(A)が下記要件(a)を、該共重合体(B)が下記要件(b)を、シンジオタクティックポリプロピレン重合体(C)が下記用件(c)をそれぞれ充足するプロピレン系重合体組成物(X)から構成される。
(a):プロピレンから導かれる構成単位を45〜70モル%、エチレンから導かれる構成単位を3〜15モル%、及び、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる構成単位を20〜45モル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位、エチレンから導かれる構成単位、及び、炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位との合計を100モル%とする)の量で含有し、JIS K−6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(a−1)または(a−2)のいずれか一つ以上を満たす;
(a−1):13C−NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である、
(a−2):135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす、
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
(b):13C−NMRにより測定されるアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)が90%以上であり、プロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該重合体(B)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する、
(c):13C−NMRにより測定されるシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分率)が75%以上でありプロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該重合体(C)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する。
本発明のプロピレン系共重合体組成物は、柔軟性、透明性、耐熱性に優れ、かつペレットにした場合に、ブロッキングが起こりにくい。本発明に係るプロピレン系共重合体組成物からなるペレットは、成形した場合に柔軟性、透明性、耐熱性に優れ、またブロッキングが起こりにくい。
本発明の樹脂用改質剤は、前記ペレットからなり、他樹脂の改質に用いた場合に、柔軟性などの改質効果が高く、また改質剤と例えば熱可塑性樹脂とを溶融混練する際に、改質剤がブロッキングを起こしにくいため、作業性および生産性が特に優れる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の製造方法においては、前記樹脂用改質剤と熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練するため、柔軟性などの改質効果が高く、また改質剤と例えば熱可塑性樹脂とを溶融混練する際に、改質剤がブロッキングを起こしにくいため、作業性および生産性が特に優れる。
本発明の成形体の製造方法においては、前記ペレットをホッパーを通じて溶融成形機に供給し、次いで溶融成形するにあたり、ペレットがブロッキングを起こしにくいため、ペレットの溶融成形機への供給の点で作業性および生産性に優れる。
本発明の成形体は、前記プロピレン系重合体組成物(X)からなるため、柔軟性、耐熱性、透明性が良好であり、特に透明性が優れる。
以下、本発明に係わるプロピレン系共重合体組成物(X)について具体的に説明する。
[プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)]
本発明で用いられるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は
(a):プロピレンから導かれる構成単位を30〜90モル%の量で含有し、炭素原子数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から選ばれる少なくとも1種のオレフィンから導かれる構成単位を10〜70モル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位と炭素数2〜20のα−オレフィン(プロピレンを除く)から導かれる構成単位との合計を100モル%とする)の量で含有し、JIS K−6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(a−1)または(a−2)のいずれか一つ以上を満たす;
(a−1):13C−NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である、
(a−2):135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす。
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
まず、要件(a−1)について説明する。
(a−1):13C−NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率、トライアッドシンジオタクティシテー)が60%以上、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上であるものであり、rr分率がこの範囲にあるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、シンジオタクティックプロピレン重合体(C)との相溶性が良好であるため好ましい。
(a−1)を満たす重合体は、例えばシンジオタクティックポリプロピレンを製造可能な触媒の存在下でプロピレンとα−オレフィンとを共重合して得ることができ、また例えば後述するような触媒を用いて製造しても良い。
rr分率は、13C−NMRスペクトルにおけるPrr(プロピレン単位が3単位連続してシンジオタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPw (プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式(2)により求められる。
rr分率(%)=100×Prr/Pw …(2)
ここで、mr由来の吸収(プロピレン単位が3単位の内、少なくともシンジオタクティック結合とアイソタクティック結合の両方から由来する吸収、Pmr(吸収強度)の決定に用いる)、rr由来の吸収(プロピレン単位が3単位連続してシンジオタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収、Prr(吸収強度)の決定に用いる)、またはmm由来の吸収(プロピレン単位が3単位連続してアイソタクティック結合した部位における第2単位目のメチル基に由来する吸収、Pmm(吸収強度)の決定に用いる)と、コモノマーに由来する吸収とが重なる場合には、コモノマー成分の寄与を差し引かずそのまま算出する。
具体的には、特開2002−097325号公報の[0018]〜[0031]までに記載された「シンジオタクティシティパラメータ(SP値)」の求め方の記載のうち、[0018]〜[0023]までを行い、第1領域、第2領域、第3領域のシグナルの積算強度から上記式(2)により計算することにより求める。
なお、このrr分率は、以下のようにして測定される。すなわち、試料50mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=5/1の混合溶媒約0.5mlに溶解したものを日本電子製EX−400型NMR測定装置を用い、シングルプロトンパルスデカップリングの測定モードで、パルス幅4.7μs、パルス間隔5.5s、180ppmの観測範囲で、120℃で13C−NMR測定を行なう。積算回数は、10,000回以上とする。
次に要件(a−2)について説明する。
(a−2):本発明で使用するプロピレン・α−オレフィン共重合体(B)は、135
℃デカリン中で測定した極限粘度[η]とJIS K−6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRとが下記の関係式を満たす。
1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
より好ましくは
1.80×MFR(-0.20)≦[η]≦2.50×MFR(-0.19)
この関係式を充足するプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、シンジオタクティックプロピレン重合体(C)との相溶性が良好であるため好ましい。
(a−2)を満たすプロピレン・α−オレフィン共重合体は、従来のアイソタクティッ
クプロピレン系共重合体に比べて同一[η]で大きなMFRを示す。
これはMacromolecules 31、1335−1340(1998)にも記載のようにアイソタクティックプロピレンの絡み合い点間分子量(論文ではMe=6900(g/mol)と報告されている)と、シンジオタクティックプロピレンの絡み合い点間分子量(論文ではMe=2170(g/mol)と報告されている)との違いに起因する。即ち、同一[η]ではシンジオ構造を持つことにより、アイソ構造を有する材料に対して絡み合い点が多くなり、MFRが大きくなると考えられる。
上記式は、特許文献WO2006/123759号の図3により、アイソタクチック構造のものと区別出来ることがわかる。
以上のように(a−1)および(a−2)の内いずれか1つ以上を満たす(A)プロピレン・α−オレフィン共重合体は、アイソタクティック構造を有するプロピレン・α−オレフィン共重合体とは異なった立体規則性を有したポリマーであり、シンジオタクティック構造を有するものと考えられる。
本発明で用いられるプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、プロピレンから導かれる構成単位を30〜80モル%、エチレンから導かれる構成単位を0〜20モル%の量含み、炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位を20〜50モル%の量含むことが好ましく、α−オレフィンとしてはブテン、オクテンから選ばれることが望ましい。中でも1−ブテンであることが特に好ましい。
なおプロピレンから導かれる構成単位とエチレンから導かれる構成単位と炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位との合計を100モル%とする。本発明では炭素数4〜20のα−オレフィンは2種以上使用されても良い。
本発明で用いられる好ましいプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、プロピレンから導かれる繰返し単位を、30〜80モル%、好ましくは40〜80モル%、より好ましくは45〜70モル%、エチレンから導かれる繰返し単位を0〜20モル%、好ましくは、0〜18モル%、より好ましくは3〜15モル%、α−オレフィンから導かれる繰返し単位を10〜50モル%、好ましくは15〜50モル%、より好ましくは20〜45モル%の割合で含有している。
このプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、ヤングモジュラスが好ましくは150MPa以下、より好ましくは100MPa以下、さらに好ましくは50MPa以下である。
また前記弾性率は、共重合体(A)をプレス成形した後、後述する実施例の方法で引っ張り試験を行うことにより求めることができる。成形条件は、190℃の温度で予熱後、2分間加圧(100kg/cm2 )して成形したのち、20℃で加圧(100kg/cm2 )冷却することにより1mm厚のシートを作製することで行なう。
このようなプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、135℃デカリン中で測定した極限粘度[η]が、通常0.01〜10dl/g、好ましくは0.5〜10dl/g、さらに好ましくは1〜8dl/gの範囲にあることが望ましい。
上記式を満たすプロピレン・α−オレフィン共重合体(A)は、例えばシンジオタクティックプロピレンを製造可能な触媒でプロピレンとα−オレフィンとを共重合して得ることができ、また例えば国際公開2005/103141号パンフレットに記載の方法、例えば同パンフレットの[0053](14ページ)〜[0064](16ページ)に記載の方法、または国際公開2006/123759号パンフレットに記載の方法、例えば同公報の、[0241](55ページ)〜[0342](84ページ)に記載の方法などにより、プロピレンから導かれる繰り返し単位が30〜80モル%、エチレンから導かれる繰り返し単位が0〜20モル%、α−オレフィンから導かれる繰り返し単位が10〜50モル%となるようにプロピレンとエチレンとα−オレフィンを共重合させて得られる。
[アイソタクティックポリプロピレン(B)]
本発明で用いられるアイソタクティックプロピレン系重合体(B)は、NMR法により測定したアイソタクティックペンタッド分率が90%以上、好ましくは95%以上のポリプロピレンである。アイソタクティックペンタッド分率の上限はとくにはないが、例えば100%以下、通常99%以下である。
アイソタクティックペンタッド分率(mmmm)は、13C−NMRを使用して測定される分子鎖中のペンタッド単位でのアイソタクティック連鎖の存在割合を示しており、プロピレンモノマー単位が5個連続してメソ結合した連鎖の中心にあるプロピレンモノマー単位の分率である。具体的には、13C−NMRスペクトルで観測されるメチル炭素領域の全吸収ピーク中に占めるmmmmピークの分率として算出される値である。
なお、このアイソタクティックペンタッド分率(mmmm)は、以下のようにして測定される。
mmmm分率は、13C−NMRスペクトルにおけるPmmmm(プロピレン単位が5単位連続してアイソタクティック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPW(プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式により求められる。
mmmm分率=Pmmmm/PW
NMR測定は、例えば次のようにして行われる。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX−500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行なう。積算回数は、10,000回以上とする。
アイソタクティックポリプロピレンとしては、プロピレンから導かれる構成単位とプロピレン以外の単量体から導かれる構成単位との合計を100モル%とした場合に、プロピレンから導かれる構成単位は90モル%を超える量でかつ100モル%以下、好ましくは91モル%以上100モル%以下の量含み、プロピレン以外の単量体から導かれる構成単位を0モル%以上10モル%未満、好ましくは0モル%以上9モル%以下の量含む例を挙げることができる。プロピレン以外の単量体は、全量が炭素数2〜20のα−オレフィン(但しプロピレンを除く)であることが好ましい。
具体的にはプロピレン単独重合体またはプロピレンとプロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとの共重合体を挙げることができる。ここでアイソタクティックポリプロピレン中の、プロピレンから導かれる構成単位とプロピレン以外の単量体から導かれる構成単位との合計を100モル%とした場合に、プロピレンから導かれる構成単位は90モル%を超える量でかつ100モル%以下、好ましくは91モル%以上100モル%以下の量存在している。
ここで、プロピレン以外の炭素原子数が2〜20のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられ、エチレンまたは炭素原子数が4〜10のα−オレフィンが好ましい。これらのα−オレフィンは、プロピレンとランダム共重合体を形成してもよく、ブロック共重合体を形成してもよい。これらのα−オレフィンから導かれる構成単位は、ポリプロピレン中に10モル%未満、好ましくは9モル%以下の割合で含んでいてもよい。
アイソタクティックポリプロピレンは、ASTM D 1238に準拠して230℃、荷重2.16kgで測定されるメルトフローレート(MFR)が0.01〜1000g/10分、好ましくは0.05〜500g/10分の範囲にあることが望ましい。
用いるアイソタクティックプロピレン系重合体(B)は、DSCのピーク温度から求めた融点(2つ以上のピーク温度が観測される場合、最も低いピーク温度を融点とする)が130℃以上、さらに好ましくは、150℃以上であれば、組成物の耐熱性を低下させることがないため、好ましい。融点の上限はとくにはないが、通常170℃以下である。
このようなアイソタクティックポリプロピレンは、例えば(a)マグネシウム、チタン、ハロゲンおよび電子供与体を必須成分として含有する固体触媒成分、(b)有機アルミニウム化合物、および(c)電子供与体からなるチーグラー触媒系を用いて重合することにより製造することができる。またメタロセン触媒を用いても同様に得ることができる。
[シンジオタクティックポリプロピレン(C)]
シンジオタクティックポリプロピレン(C)は、13CNMRにより測定されるシンジオタックティックペンタッド分率(rrrr、ペンタッドシンジオタクティシテー)が75%以上であるものであり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上である。また上限は特にないが例えば100%以下、通常は99%以下である。この範囲にあるものは耐熱性、成形性に優れ、結晶性のポリプロピレンとしての特性が良好で好ましい。
なお、このシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr)は、以下のようにして測定される。rrrr分率は、13C−NMRスペクトルにおけるPrrrr(プロピレン単位が5単位連続してシンジオタクティック結合した部位における第3単位目のメチル基に由来する吸収強度)およびPW (プロピレン単位の全メチル基に由来する吸収強度)の吸収強度から下記式(1)により求められる。
rrrr分率=Prrrr/PW (1)
NMR測定は、たとえば次のようにして行われる。すなわち、試料0.35gをヘキサクロロブタジエン2.0mlに加熱溶解させる。この溶液をグラスフィルター(G2)で濾過した後、重水素化ベンゼン0.5mlを加え、内径10mmのNMRチューブに装入する。そして日本電子製GX−500型NMR測定装置を用い、120℃で13C−NMR測定を行なう。積算回数は、10,000回以上とする。
シンジオタクティックポリプロピレン(C)は、少量例えば、10モル%未満、好ましくは9モル%以下、より好ましくは5モル%以下の量でプロピレン以外の単量体由来の構成単位を有していても良い。プロピレン以外の単量体としては、炭素数2〜20のα−オレフィン(例えば、エチレン、炭素数4以上のα−オレフィン等)が挙げられる。
このようなシンジオタクティックポリプロピレン(C)の製造法としては、特に制限はないが、例えば例えば国際公開2006−123759号パンフレットに記載の方法、例えば同号パンフレットの[0111](24ページ)〜[0234](54ページ)に記載してある製造法を例示することができる。
また、シンジオタクティックプロピレン系重合体(C)のメルトフローインデックス(MFI、190℃、2.16kg荷重)は、0.001〜1000g/10分、好ましくは0.01〜500g/10分であることが望ましい。MFIがこのような範囲にあると、良好な流動性を示し、このシンジオタクティックプロピレン系重合体(C)を他の成分と配合し易く、また得られた組成物から機械的強度に優れた成形品が得られる傾向がある。
このようなシンジオタクティックプロピレン系重合体(C)は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)と アイソタクティックプロピレン重合体(B)の合計100重量部に対して1〜15重量部、好ましくは3〜10重量部、より好ましくは5〜10重量部含まれる。シンジオタクティックプロピレン系重合体(C)がこの範囲にあると、ペレットのブロッキングを抑制することが出来、また柔軟性を保つことができる。
また、用いるシンジオタクティックプロピレン系重合体(C)は、DSCのピーク温度から求めた融点(2つ以上のピーク温度が観測される場合、最も低いピーク温度を融点とする)が125℃以上、さらに好ましくは、145℃以上であれば、組成物の耐熱性を低下させることがないため、好ましい。融点の上限はとくにはないが、通常165℃以下である。
[プロピレン系重合体組成物]
本発明のプロピレン系共重合体組成物(X)は、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A) 99〜50重量部、好ましくは、90〜60重量部、より好ましくは85〜70重量部とアイソタクティックプロピレン重合体(B) 1〜50重量部、好ましくは、10〜40重量部、より好ましくは、15〜30重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)と、シンジオタクティックプロピレン重合体(C) 1〜15重量部、好ましくは、3〜12重量部、より好ましくは、5〜10重量部から構成される。
各成分を上記のような割合で含む組成物をペレットとした場合、ペレット同士のブロッキングを抑制することが出来る。また上記のような組成物は柔軟性、透明性、耐熱性、にも優れ、他樹脂の改質にも好適に用いられる。
本発明のプロピレン系重合体組成物(X)は、(A)、(B)、(C)の合計100重量部に対し、例えば0.0001〜10重量部の他の樹脂成分(熱可塑性樹脂などの成分)を含んでも良いが、樹脂成分としては実質的に(A)、(B)、(C)の3成分のみからなる態様がより好ましい。他の樹脂成分が添加されていない場合には、透明性、柔軟性に特に優れ、後述する熱可塑性樹脂の改質にあたって、改質効果が高い。
また、本発明のプロピレン系重合体組成物(X)には、(A)、(B)、(C)、任意に用いられる樹脂成分の他に、以下のような添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲内で含んでいても良い。添加剤の含有量には特に制限はないが、具体的には(A)(B)(C)の合計100重量部に対し、例えば0.0001〜1重量部の量の添加剤を含んでも良い。
本発明のプロピレン系共重合体組成物(X)に含んでいても良い添加剤を例示すると以下のとおりである;軟化剤、粘着付与剤、耐候性安定剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、スリップ防止剤、アンチブロッキング剤、防曇剤、滑剤、顔料、染料、可塑剤、架橋剤、架橋助剤、老化防止剤、塩酸吸収剤、酸化防止剤等。
[プロピレン系重合体組成物(X)からなるペレット]
本発明のペレットは、プロピレン系重合体組成物(X)からなる。
本発明のペレットの形状としては、球状、円柱状、レンズ状、立方体状を例示することが出来る。これらは、既知のペレット化の方法により製造でき、たとえば、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)とアイソタクティックプロピレン重合体(B)、シンジオタクティックプロピレン重合体(C)を均一に溶融混合し、押出機にて押出した後、ホットカットやストランドカットすることで、球状、円柱状、レンズ状のペレットが得られる。この場合、カットは水中、空気などの気流中いずれで実施しても良い。立方体状のペレットは例えば均一混合した後ロール等でシート状に成形し、シートペレタイズ機を使用することで得られる。大きさとしては、ペレットの最長部分の長さが3cm以下が好ましい。これを超える大きさのペレットの場合、軽量誤差が大きくなる場合がある。
プロピレン系重合体組成物(X)からなるペレットは、そのペレット表面に炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、ステアリン酸およびポリオレフィンパウダーのうちの一種または二種以上が打粉されているものであっても良い。この場合は、互着を更に抑え、あるいはサイロなどから取り出す際のペレットのブリッジ現象抑制の観点から好ましい。打粉量はペレットのサイズ、形状に応じて必要量添加すればよいが通常、樹脂組成物ペレット100重量部に対して0.05〜3重量部添加する。
打粉されるパウダーの量は、前記プロピレン系重合体組成物(X)に含まれていても良い添加剤の量とは区別して考えるものとする。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)、該組成物からなるペレットまたは該ペレットからなる樹脂用改質剤は、例えば公知の任意の方法を採用して製造することができ、たとえば、プロピレン・α−オレフィン共重合体(A) 99〜50重量部と、アイソタクティックプロピレン系重合体(B) 1〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)と、(A)と(B)との合計100重量部に対し、シンジオタクティックプロピレン重合体(C) 1〜15重量部および所望により添加される他成分を、押出機、ニーダー等を用いて一括で溶融混練することにより得られる。そしてペレタイザー等を用いペレット化することで、本発明のペレットが得られる。
[成形体]
本発明の改質剤と熱可塑性樹脂(D)とを混練する際、本発明の改質剤を用いることで、べたつき(粘着性)が抑制され、ペレットの扱い、改質操作が容易になるため好ましい。本発明で用いられる熱可塑性樹脂(D)は、その目的によって、熱可塑性樹脂として弾性率が高い樹脂(熱可塑性樹脂(D−a))と低い樹脂(熱可塑性樹脂(D−b))とを適宜使い分けることができる。
熱可塑性樹脂(D−a)
本発明に係る熱可塑性樹脂(D)としては、弾性率が800MPa以上、好ましくは1000MPa以上である熱可塑性樹脂(D−a)を用いることができる。前記熱可塑性樹脂(D−a)の弾性率の上限は特に制限はないが例えば5000MPa以下である。このような熱可塑性樹脂としてはたとえばポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステルおよびポリアセタールなどの結晶性熱可塑性樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキサイドなどの非熱可塑性樹脂が用いられる。
熱可塑性樹脂(D−b)
本発明に係る熱可塑性樹脂(D)としては、弾性率が0.5MPa以上、800MPa未満、好ましくは700MPa未満である熱可塑性樹脂(D−b)を用いることもでき、たとえばポリオレフィン、軟質塩ビ、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリウレタンエラストマーが用いられる。
溶融混合を行う温度は、プロピレン系重合体組成物(X)の融点以上、かつ熱可塑性樹脂の融点以上の温度であればどの温度でも構わないが、プロピレン系重合体組成物の熱安定性を考慮し、170〜240℃、好ましくは180〜230℃の温度範囲、さらに好ましくは190〜220℃の温度範囲であることが望ましい。また、溶融混合を行う時間は、30秒〜1時間の間が好ましい。
この溶融混合を行う装置としては、一軸押出機、二軸押出機、プラストミル、ニーダーなどの溶融混練機が挙げられる。
この中でも、フィード量を自在に変化させることができる装置を有する二軸押出機で行うのが好ましい。このような装置を用いるとフィード量を加減することにより、滞留時間を制御することができ好ましい。
溶融混練機に前記樹脂用質剤と前記熱可塑性樹脂を供給するにあたっては、例えば樹脂用改質剤と熱可塑性樹脂とをドライブレンドしたのち、供給装置、例えばホッパーに投入し、ホッパーを通じて溶融混練機に供給して溶融混練を行っても良いし、樹脂用改質剤と熱可塑性樹脂とを別々の供給装置から溶融混練機に供給して溶融混練を行ってもよい。
これらの混合は、プロピレン系樹脂組成物(X)と熱可塑性樹脂以外に、安定剤の存在下でおこなわれても良い。安定剤は、プロピレン系樹脂組成物(X)や熱可塑性樹脂に、あらかじめ含有していてもよく、溶融混合の際に、添加しても構わない。安定剤としては、耐熱安定剤、耐候安定剤などの安定剤を用いることが出来る。
本発明に係るプロピレン系重合体組成物(X)、該組成物からなるペレットは、耐熱性、透明性、柔軟性に優れ、なかでも特に透明性に優れており、それ自体でも従来公知のポリオレフィン用途に広く用いることができ、例えば組成物(X)をたとえばシート、未延伸または延伸フィルム、パイプ、電線被覆、フィラメント、他の種々形状の成形体に成形して利用することができる。
成形体としては具体的には、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得られる成形体が挙げられる。
以下に数例挙げて成形体を説明する。
本発明に係る成形体がたとえば押出成形あるいは射出成形体である場合、その形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシート、フィルム(未延伸)、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、表皮材、自動車内外層材、建築資材などが好ましい。
プロピレン系重合体組成物を押出成形、射出成形する際には、従来公知の押出装置、射出装置および成形条件を採用することができる。また押し出し成形の際、電子線やγ線にて架橋処理を行なうこともできる。
本発明のペレットを例えばホッパーを通じて溶融成形機に供給し、ついで、溶融成形する際には、ペレットのべたつき(粘着性)が抑制されることでホッパーでのペレット同士のブロッキングの発生、それが原因でおこるブリッジの発生を抑制することができ、好ましい。なおホッパーとは、溶融成形機の溶融混練が行われる部分(例えばシリンダーなど)に樹脂原料を供給するために該樹脂原料を投入する口であり、通常漏斗状の形をしている(プラスチックエージ社「実用プラスチック用語辞典」1989年改訂第3版、638ページ)。
本発明に係る熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィンが用いられる用途に広く用いることができ、例えば組成物(X)をたとえばシート、未延伸または延伸フィルム、パイプ、電線被覆、フィラメント、他の種々形状の成形体に成形して利用することができる。
成形体としては具体的には、押出成形、射出成形、インフレーション成形、ブロー成形、押出ブロー成形、射出ブロー成形、プレス成形、真空成形、カレンダー成形、発泡成形などの公知の熱成形方法により得られる成形体が挙げられる。
以下に数例挙げて成形体を説明する。
本発明に係る成形体がたとえば押出成形あるいは射出成形体である場合、その形状および製品種類は特に限定されないが、たとえばシート、フィルム(未延伸)、パイプ、ホース、電線被覆、フィラメントなどが挙げられ、特にシート、表皮材、自動車内外層材、建築資材などが好ましい。
プロピレン系重合体組成物を押出成形、射出成形する際には、従来公知の押出装置、射出装置および成形条件を採用することができる。また押し出し成形の際、電子線やγ線にて架橋処理を行なうこともできる。
以下、本発明について実施例に基づいてさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例によりなんら限定されるものではない。
[ポリマー中のエチレン、プロピレン、α−オレフィン含量]
(A)成分中のエチレン、プロピレン、α−オレフィン含量は以下のようにして測定される。すなわち、試料50mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化ベンゼン=5/1の混合溶媒約0.5mlに溶解したものを日本電子製EX−400型NMR測定装置を用い、シングルプロトンパルスデカップリングの測定モードで、パルス幅4.7μs、パルス間隔5.5s、180ppmの観測範囲で、120℃で13C−NMR測定を行なう。積算回数は、10,000回以上とする。
得られた13C−NMRスペクトルにより、エチレン、プロピレン、α−オレフィンの組成を定量化した。また(B)成分については、前記mmmm値の測定方法と同じ方法で測定した。また(C)成分については、前記rrrr値の測定方法と同じ方法で測定した。
[極限粘度[η]]
デカリン溶媒を用いて、135℃で測定した値である。すなわち重合パウダー、ペレットまたは樹脂塊約20mgをデカリン15mlに溶解し、135℃のオイルバス中で比粘度ηspを測定した。このデカリン溶液にデカリン溶媒を5ml追加して希釈後、同様にして比粘度ηspを測定する。この希釈操作をさらに2回繰り返し、濃度(C)を0に外挿した時のηsp/0の値を極限粘度として求めた(下式参照)。
[η]=lim(ηsp/C) (C→0)
[MFR]
各成分のMFRは、JIS K−6721に準拠して、230℃で2.16kgの荷重にて測定した。
[(C)成分の融点(Tm)]
パーキンエルマー社製DSC Pyris1またはDSC7を用い、以下のように測定した。すなわち窒素雰囲気下(20ml/min)、約5mgの試料を(i)200℃まで昇温し、10分間200℃で保持した後、(ii)10℃/分で30℃まで冷却した。次いで(iii)30℃で5分間保持した後、10℃/分で200℃まで昇温させた。この(iii)の時の結晶溶融ピークのピーク頂点から融点を算出した。
[引張り弾性率]
1mm厚プレスシートより、JIS K6301に準拠して、JIS3号ダンベル用オーダーンベルにより打ち抜き、評価試料に供した。試料は、スパン間:30mm、引張り速度30mm/minで23℃にて測定した。
[内部ヘイズ(%)]
厚さ1mmの試験片を用いて、日本電色工業(株)製のデジタル濁度計「NDH−20D」にて測定した。
[TMA測定による軟化温度]
JIS K7196に準拠し、厚さ1mmの試験片を用いて、昇温速度5℃/minで1.8mmφの平面圧子に2Kgf/cm2の圧力をかけ、TMA曲線より、軟化温度(℃)を求めた。
[ブロッキング試験]
140mm×100mmのポリエチレン袋に120gのサンプルを入れ、荷重5kg、50℃で7日間、40℃で7日間置いた時の、ペレットのほぐれ性を確認。容易にほぐすことが出来れば、ブロッキングなし、簡単にほぐすことが出来なければ、ブロッキングあり、として評価を行なった。
[合成例1]
(プロピレン・ブテン・エチレン共重合体の合成)(A−1)
充分に窒素置換した2000mlの重合装置に、500mlの乾燥ヘキサン、1−ブテン240gとトリイソブチルアルミニウム(1.0mmol)を常温で仕込んだ後、重合装置内温を35℃に昇温し、プロピレンで0.6MPaに加圧し、次いでエチレンで0.62MPaに加圧した。
その後、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドと、メチルアルミノキサンのトルエン溶液(東ソー・ファインケム社製)とを、Zr/Al比(モル比)が1/300となるように接触させて、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル)フルオレニルジルコニウムジクロライドとメチルアルミノキサンとを含むトルエン溶液を調整し、次いでこの溶液から、ジルコニウムが0.005mmol、アルミニウムが1.5mmol含む量の溶液を抜き取って重合器内に添加し、内温35℃、エチレン圧0.62MPaを保ちながら5分間重合し、20mlのメタノールを添加し重合を停止した。脱圧後、2Lのメタノール中で重合溶液からポリマーを析出し、真空下130℃、12時間乾燥した。得られたポリマーは、39.2gであった。また、ポリマーの組成は、プロピレン含量が67.9mol%、エチレン含量が5.1mol%、1−ブテン含量が27.0mol%であり、極限粘度[η]が2.1dl/gであった。
[合成例2]
(プロピレン・ブテン・エチレン共重合体の合成)(A−2)
プロピレンで5.4MPaに加圧した以外は合成例2と同様の方法で重合を行った。得られたポリマーは、82.6gであった。また、ポリマーの組成は、プロピレン含量が61.3mol%、エチレン含量が10.3mol%、1−ブテン含量が28.4mol%であり、極限粘度[η]が2.3dl/gであった。
[合成例3]
(シンジオタクティックポリプロピレンの合成)(C−1)
充分に窒素置換した内容量500mlのガラス製オートクレーブにトルエン250mlを装入し、プロピレンを150リットル/時間の量で流通させ、25℃で20分間保持させておいた。一方、充分に窒素置換した内容量30mlの枝付きフラスコにマグネチックスターラーを入れ、これにメチルアルミノキサンのトルエン溶液(Al=1.53mol/l)を5.00mmol、次いでジベンジルメチレン(シクロペンタジエニル)(3,6−ジ−tert−ブチルフルオレニル)ジルコニウムジクロリドのトルエン溶液5.0μmolを加え、20分間攪拌した。この溶液を、プロピレンを流通させておいたガラス製オートクレーブのトルエンに加え、重合を開始した。プロピレンガスを150リットル/時間の量で連続的に供給し、常圧下、25℃で45分間重合を行った後、少量のメタノールを添加し重合を停止した。ポリマー溶液を大過剰のメタノールに加え、ポリマーを析出させ、80℃で12時間、減圧乾燥を行った結果、ポリマー2.38gが得られた。重合活性は0.63kg−PP/mmol−Zr・hrであり、得られたポリマーの[η]は1.9dl/g、Tm1=152℃、Tm2=158℃であり、rrrr=93.5%であった。
[(B)成分、(C)成分]
他の成分の詳細は以下のとおりである。
プロピレン系重合体(B−1)
プライムポリマー社製アイソタクティックポリプロピレン(商品名F102W、MFR=2.1g/10分、mmmm=96%以上)。
プロピレン系重合体(B−2)
プライムポリマー社製アイソタクティックポリプロピレン(商品名B205、MFR=1.2g/10分、mmmm=96%以上)。
プロピレン系重合体(C−2)
Total社製シンジオタクティックポリプロピレン(商品名:Finaplas1471、MFR=5.0g/10分、rrrr=75%)。
Figure 0005357985
[実施例1]
上記合成例1で得られたシンジオタクチックプロピレン・ブテン・エチレン共重合体(A−1)80重量部にアイソタクティックプロピレン系重合体(B−1)20重量部と上記合成例3で得られたシンジオタクチックホモポリプロピレン(C−1)5重量部、チバスペシャリティーケミカル社製Irganox 1010;テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン0.002重量部とを添加し、押出機による溶融混練によりプロピレン系重合体組成物のペレットを得た。
所定の方法でブロッキング試験を行なった。ブロッキングしなかった。また、各種物性を測定した。結果を表2に示す。
[実施例2]
上記実施例1で、シンジオタクティックプロピレン系重合体(C−1)の添加量を10重量部とした以外は、実施例1と同様に、ペレタイズした。また、ブロッキング試験、および各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例3]
上記実施例1で、シンジオタクティックプロピレン系重合体を(C−2)に変更した以外は、実施例1と同様に、ペレタイズした。また、ブロッキング試験、および各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例4]
上記実施例2で、シンジオタクティックプロピレン系重合体を(C−2)に変更した以外は、実施例2と同様に、ペレタイズした。また、ブロッキング試験、および各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例5]
上記実施例3で、アイソタクティックプロピレン系重合体を(B−2)に変更した以外は、実施例3と同様に、ペレタイズした。また、ブロッキング試験、および各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[実施例6]
上記実施例5で、シンジオタクティックプロピレン系重合体(C−2)の添加量を10重量部とした以外は、実施例5と同様に、ペレタイズした。また、ブロッキング試験、および各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例1]
上記実施例1で、合成例3で得られたシンジオタクティックプロピレン系重合体(C−1)5重量部を添加しなかった以外は、実施例1と同様に行なった。ブロッキングした。また、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例2]
上記実施例5で加えたシンジオタクティックプロピレン系重合体(C−2)5重量部を添加しなかった以外は、実施例5と同様に行なった。ブロッキングした。また、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
[比較例3]
上記実施例5において、添加したシンジオタクティックプロピレン重合体(C−2)をアイソタクティックポリプロピレン重合体(B−2)に変えた以外は、実施例1と同様にペレタイズした。ブロッキングが発生した。また、各種物性測定を行った。結果を表2に示す。
Figure 0005357985
[実施例7]
実施例5で得られたペレット62.5重量部と、アイソタクティックポリプロピレン(B−1)37.5重量部と耐熱安定剤として、Irganox 1010;テトラキス(メチレン−3(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)メタン(チバスペシャリティーケミカル社製)を0.004重量部ドライブレンドし、30mmφニ軸押出機(プラスチック工学研究所製)のホッパーから供給し、シリンダ温度200℃の条件で混合し、ペレットを得た。ホッパーでのブロッキングは発生しなかった。得られたペレットをプレスシート化して以下の物性測定を行なった。
引張弾性率は、100MPa、内部ヘイズは、22%、TMAによる軟化温度は、159℃であった。

Claims (7)

  1. プロピレン・α−オレフィン共重合体(A)99〜50重量部と、
    アイソタクティックプロピレン重合体(B)1〜50重量部(ただし、(A)と(B)との合計を100重量部とする)と、(A)と(B)との合計100重量部に対し、
    シンジオタクティックプロピレン重合体(C)1〜15重量部
    を含んでなり、該共重合体(A)が下記要件(a)を、該共重合体(B)が下記要件(b)を、シンジオタクティックポリプロピレン重合体(C)が下記件(c)をそれぞれ充足するプロピレン系重合体組成物(X);
    (a):プロピレンから導かれる構成単位を45〜70モル%、エチレンから導かれる構成単位を3〜15モル%、及び、炭素数4〜20のα−オレフィンから選ばれる少なくとも1種のα−オレフィンから導かれる構成単位を20〜45モル%(ただし、プロピレンから導かれる構成単位、エチレンから導かれる構成単位、及び、炭素数4〜20のα−オレフィンから導かれる構成単位との合計を100モル%とする)の量で含有し、JIS K−6721に準拠して230℃、2.16kg荷重にて測定したMFRが0.01〜100g/10分の範囲にあり、かつ下記要件(a−1)または(a−2)のいずれか一つ以上を満たす;
    (a−1):13C−NMR法により測定したシンジオタクティックトライアッド分率(rr分率)が60%以上である、
    (a−2):135℃デカリン中で測定した極限粘度[η](dL/g)と前記MFR(g/10分、230℃、2.16kg荷重)とが下記の関係式を満たす、
    1.50×MFR(-0.20)≦[η]≦2.65×MFR(-0.20)
    (b):13C−NMRにより測定されるアイソタクティックペンタッド分率(mmmm分率)が90%以上であり、プロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該重合体(B)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する、
    (c):13C−NMRにより測定されるシンジオタクティックペンタッド分率(rrrr分率)が75%以上でありプロピレンから導かれる構成単位を90モル%(ただし、該重合体(C)中の構成単位の全量を100モル%とする。)を超える量で含有する。
  2. シンジオタクティックプロピレン重合体(C)が、DSCで測定した融点が145℃以上であることを特徴とする請求項1記載のプロピレン系重合体組成物(X)。
  3. 請求項1または2に記載のプロピレン系重合体組成物(X)からなるペレット。
  4. 請求項1または2に記載のペレットからなる樹脂用改質剤。
  5. 請求項4に記載の樹脂用改質剤と熱可塑性樹脂(D)とを溶融混練する熱可塑性樹脂組成物の製造方法。
  6. 請求項3に記載のペレットをホッパーを通じて溶融成形機に供給し、次いで溶融成形する成形体の製造方法。
  7. 請求項1または2に記載のプロピレン系重合体組成物(X)からなる成形体。
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