JP5357601B2 - タービン用翼 - Google Patents
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Description
しかしながら、サーペンタイン流路のUターン部(反転部)では、上流側の冷却通路と下流側の冷却通路とを仕切る隔壁の先端部における下流側の冷却通路を形成する面の近傍、および、Uターン部の隅部(角部)に流体(冷却媒体)の剥離が生じ、圧力損失が増大するとともに、冷却性能が低下してしまうといった問題点があった。
本発明に係るタービン用翼は、翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度から10度までの範囲内に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が1から3までの範囲内に設定されているとともに、前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が2から3までの範囲内に設定されている。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、膨出部を設けたことによる隔壁の肉厚の増加を最小限にすることができるので、膨出部の熱容量を小さくでき、膨出部を設けたことによるホットスポットの発生を低減させることができる。また、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、第1の連通路の一端に位置する第1の開口が、第1の連通路の他端に位置する第2の開口よりも翼先端に近いので、動翼が回転することによってはたらく翼根部から翼先端方向への遠心力により生じるポンピング効果によって、下流側に位置する冷却通路を形成し第2の開口を有する直線部の表面に沿って流れる冷却媒体の一部が第1の連通路を介して、すなわち、第2の開口から第1の連通路に流入して第1の連通路を通った後、第1の開口から流出して、上流側に位置する冷却通路内に導かれ(吸い出され)ることになるので、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、Uターン部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
また、本発明に係るタービン用翼によれば、リブの先端部、すなわち、Uターン部の隅部(角部)に、一方のサーペンタイン流路から他方のサーペンタイン流路へ、または他方のサーペンタイン流路から一方のサーペンタイン流路への冷却媒体の流れが第2の連通路を介して形成されることになるので、Uターン部の隅部におけるホットスポットの発生を低減させることができると共に、ホットスポットを冷却するために冷却媒体量を増やす必要性が軽減され、冷却性能をさらに向上させることができる。また、Uターン部の隅部における剥離および圧力損失をさらに低減させることができ、冷却性能をさらに向上させることができる。
また、タービン用翼の内部を通過してタービン用翼を冷却した冷却媒体(蒸気等)を回収するタイプのガスタービンでは、タービン用翼における圧力損失が低減することにより、コンバインド・サイクル効率が向上することになる。
図1は本実施形態に係るタービン用翼の縦断面図、図2は図1の要部を拡大した図、図3は図1の要部を拡大した図であって、図2と同様の図、図4は本実施形態に係るタービン用翼を用いて行った実験の結果を示す図表である。
図1に示すように、膨出部33は、Uターン部15に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路5b内に向かって突出する膨らみであり、膨出部34は、Uターン部17に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路6b内に向かって突出する膨らみである。
膨出部33と膨出部34とは、図1において左右対称を成す同一の構成要素からなるものであるので、以下、膨出部34のみを説明する。
半円部35の上流端は、冷却通路6aに面する隔壁32の一面32aの下流端と接続され、半円部35の下流端は、直線部36の上流端と接続されており、直線部36の下流端は、冷却通路6bに面する隔壁32の他面32bの上流端と接続されている。
また、半円部35および直線部36は、A2/A1=0.4〜1.8、A3/A1=0.4〜1.0、L2/L1=1.0〜1.5、およびL3/L1=0.6〜1.0となるように形成されている。ここで、A1およびL1は図3中に符号101で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間の距離)、A2およびL2は図3中に符号102で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の頂点と、この頂点に対向する面38との間の距離)、A3およびL3は図3中に符号103で示す場所の流路断面積および流路幅(半円部35の下流端と、この下流端に対向する面39との間の距離)である。
図4からθ=5°、R/T=2のときに圧力損失係数が最も小さくなり、R/T=2,3のとき、すなわち、半円部35のRが大きいときには、θを小さくすると圧力損失係数が小さくなることがわかる。
ここで、圧力損失係数は、ΔP/((1/2)×ρ×V2)であらわすことができる。なお、ΔPは、半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間を通過する流体(本実験では室温の空気)の圧力P1(図3参照)と、直線部36の下流端よりも下流側に位置する隔壁32の他面32bと、この他面32bに対向する面39との間を通過する流体の圧力P2(図3参照)との差(P1−P2)である。また、ρは、空気の粘性計数、Vは半円部35の上流端と、この上流端に対向する面37との間を通過する流体の速度である。
図5は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、図2および図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼51は、直線部36の裏側(背側)に位置する隔壁32の一面32aに、断面視円弧状の凹み(窪み)52が設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
また、凹み52の上流端および下流端における接線と、隔壁32の一面32aとの成す角度θ2は、おおよそ5°以下になるように、すなわち、凹み52の上流端および下流端に剥離が生じないように設定されている。
図6は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、図2および図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼61は、隔壁32を貫通して上流側に位置する冷却通路6aと下流側に位置する冷却通路6bとを連通し、隔壁32の上流側に位置する冷却通路6aを形成する表面32aに第1の開口63を有し、直線部36の表面に第2の開口64を有する第1の連通路62を少なくとも一つ以上備え、第1の開口63が第2の開口64よりも翼先端の近くに位置しているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
なお、中心軸線と流体の向きとが成す角度は鋭角に限定されるものではなく、第1の開口63が第2の開口64よりも翼先端の近くに位置しておれば、直角でも鈍角でも構わない。
図7は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、図2および図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼71は、半円部35および直線部36の表面に、ディンプル72が少なくとも一つ以上設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
図8は本実施形態に係るタービン用翼の要部を拡大した図であって、図2および図3と同様の図である。
本実施形態に係るタービン用翼81は、サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブ82の先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路83が少なくとも一つ以上設けられているという点で上述した第1実施形態のものと異なる。その他の構成要素については前述した第1実施形態のものと同じであるので、ここではそれら構成要素についての説明は省略する。
なお、前述した第1実施形態と同一の部材には同一の符号を付している。
例えば、第2実施形態と第3実施形態とを組み合わせて実施したり、第2実施形態または第3実施形態と第4実施形態とを組み合わせて実施したり、第2実施形態から第4実施形態のいずれかと第5実施形態とを組み合わせて実施することもできる。
また、本発明は翼先端側(チップ側)に位置するUターン部15,17においてのみ適用され得るものではなく、翼根元側(ハブ側)に位置するUターン部16,18においても適用することができる。
さらに、上述した実施形態では、タービン部における動翼(例えば、1段動翼)に適用したものを一具体例として説明したが、本発明はタービン部における動翼(例えば、1段動翼)のみに適用され得るものではなく、その他の段の動翼にも適用することができる。
さらにまた上述した第1実施形態、第2実施形態、第4実施形態、および第5実施形態については、タービン部における静翼にも適用することができる。
5a 冷却通路
5b 冷却通路
6a 冷却通路
6b 冷却通路
15 Uターン部
17 Uターン部
31 隔壁
32 隔壁
32a 一面(表面)
32b 他面(表面)
33 膨出部
34 膨出部
35 半円部
36 直線部
51 タービン用翼
52 凹み
61 タービン用翼
62 第1の連通路
63 第1の開口
64 第2の開口
71 タービン用翼
72 ディンプル
81 タービン用翼
82 リブ
83 第2の連通路
85 隅部
86 隅部
Claims (10)
- 翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、
前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、
前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度から10度までの範囲内に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が1から3までの範囲内に設定されているとともに、
前記隔壁の、前記直線部よりも下流側に位置する冷却通路を形成する表面と、前記直線部の表面との成す角度が5度に設定され、前記半円部の半径を前記隔壁の前記膨出部を含まない部分の板厚で除した値が2から3までの範囲内に設定されていることを特徴とするタービン用翼。 - 翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、
前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、
前記直線部の背側に位置して、前記隔壁の、前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に、断面視円弧状の凹みが設けられていることを特徴とするタービン用翼。 - 翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、
前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、
前記隔壁を貫通して前記上流側に位置する冷却通路と前記下流側に位置する冷却通路とを連通し、前記隔壁の前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に第1の開口を有し、前記直線部の表面に第2の開口を有する第1の連通路を少なくとも一つ以上備え、前記第1の開口が前記第2の開口よりも翼先端の近くに位置することを特徴とするタービン用翼。 - 翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、
前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、
前記半円部および前記直線部の表面に、ディンプルが少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とするタービン用翼。 - 翼根部から供給された冷却媒体を翼の内部に導くサーペンタイン流路を備えたタービン用翼であって、
前記サーペンタイン流路のUターン部よりも上流側に位置する冷却通路と、下流側に位置する冷却通路とを仕切る隔壁の先端部に、前記Uターン部に向かって突出する半円部と、下流側に位置する冷却通路内に向かって突出するとともに、下流側に位置する冷却通路の流路断面積および流路幅を徐々に増加させる直線部とを有してなる膨出部を備え、
前記サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブの先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路が少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とするタービン用翼。 - 前記直線部の背側に位置して、前記隔壁の、前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に、断面視円弧状の凹みが設けられていることを特徴とする請求項1,3,4,5のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記隔壁を貫通して前記上流側に位置する冷却通路と前記下流側に位置する冷却通路とを連通し、前記隔壁の前記上流側に位置する冷却通路を形成する表面に第1の開口を有し、前記直線部の表面に第2の開口を有する第1の連通路を少なくとも一つ以上備え、前記第1の開口が前記第2の開口よりも翼先端の近くに位置することを特徴とする請求項1,2,4,5,6のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記半円部および前記直線部の表面に、ディンプルが少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とする請求項1,2,3,5,6,7のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 前記サーペンタイン流路を2系統以上備え、互いに隣接した一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを仕切るリブの先端部に、一方のサーペンタイン流路と他方のサーペンタイン流路とを連通する第2の連通路が少なくとも一つ以上設けられていることを特徴とする請求項1,2,3,4,6,7,8のいずれか一項に記載のタービン用翼。
- 請求項1から9のいずれか一項に記載のタービン用翼を備えていることを特徴とするガスタービン。
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