以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。かかる実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、発明の理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本発明を限定するものではない。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を省略する。
紙文書を電子的に保管する場合、画像読取装置でその紙文書をスキャンし、そのスキャンされた画像データを電子文書として保管する文書保管システムが広く実用化されている。また、利用者は、このように保管された電子文書を表示端末のモニタに表示させ、閲覧することもできる。本実施形態では、このような電子文書を管理する文書管理システムを詳細に説明するが、理解を容易にするため、その電子文書の具体例として、医療機関にて用いられる電子カルテを挙げて説明する。ここで電子文書(電子カルテ)とは、被読取物、例えば紙カルテに記載された文書を画像読取装置でスキャンして電子化した画像データ、および、操作部を通じて入力した文字データのいずれも含んでおり、1の紙カルテに対応するデータを1の電子カルテとする。
医療機関で用いられるカルテとして、近年、管理の容易性や空間占有率の優位性から、紙媒体(紙カルテ)を用いることなく、診察内容を電子的に記入する電子カルテの導入が推進されている。しかし、電子カルテへの診察内容の記入手段が、キーボードや専用のキーパッドを通じた入力に制限されるので、図形や記号を簡単に記入できず、また、できたとしてもそれを参照するため、図形や記号を読み出してモニタに表示するまでにある程度の時間を要し、診察の遅延を招くこともある。また、電子カルテを用いた従来の文書管理システムは莫大な導入費用が必要なので、中小病院を含む医療機関全体に浸透するまでにはまだまだ時間を要する。このような理由から、紙媒体の紙カルテも見直されている。
そこで、本実施形態の文書管理システムでは、導入費用を抑えながら、モニタでの電子カルテの閲覧性を向上し、紙媒体等の資源の有効活用を図ることを目的とする。
(文書管理システム100)
図1は、文書管理システム100の概略的な接続関係を示した説明図である。文書管理システム100は、文書管理サーバ110と、画像読取装置120と、表示端末130と、印刷機140とを含んで構成され、電子文書、特に医療機関における電子カルテを管理する。ここでは、文書管理サーバ110と、画像読取装置120と、表示端末130と、印刷機140とがそれぞれ別体に形成される例を挙げているが、かかる場合に限られず、選択された2以上の装置を一体的に形成することもできる。
文書管理サーバ110は、専用通信回線、インターネット、イントラネット等の通信網102を通じて、画像読取装置120、表示端末130、印刷機140に接続され、画像読取装置120、表示端末130、印刷機140を用いて、文書管理システム100全般を管理する。かかる文書管理サーバ110の詳細な機能に関しては、後ほど詳述する。
画像読取装置120は、スキャナやネットワークスキャナ等で構成され、被読取物(ここでは紙カルテ)の文書記載面に対して照射した光の反射光を受光することで、その記載された内容を画像データとして読み取り、その読み取った画像データを文書管理サーバ110に転送する。転送された画像データは、電子カルテとして文書管理サーバ110に保管される。
表示端末130は、モニタ132と操作部134とを含んで構成され、医師等の利用者が主として電子文書(ここでは電子カルテ)を閲覧するために利用される。モニタ132は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成され、文書管理サーバ110に保管された電子カルテを表示する。操作部134は、操作キーが複数設けられたキーボード、マウス等のポインティングデバイス、十字キー、ジョイスティック、ディスプレイ130の表示面上に設置されたタッチパネル等で構成され、利用者の操作入力を受け付ける。
印刷機140は、プリンタやネットワークプリンタ等で構成され、文書管理サーバ110で保管された電子カルテを紙媒体に印刷する。紙媒体に印刷された紙カルテは、利用者が診察内容を参照するため、または、診察内容を追記するために利用される。かかる印刷機140は、画像読取装置120と一体形成された複合機として構成されてもよい。
文書管理システム100では、まず、新たな患者に対して新規の紙カルテ104とバインダ(図示せず)とが生成される。そして、医師等の利用者によって紙カルテ104に診察内容が記載されると、画像読取装置120でその診察内容を読み取り、紙カルテ104はカルテ庫106に保管される。そして、同一の患者が来院した際には、カルテ庫106から紙カルテ104が抽出され、利用者(医師等)の元に配布される。このとき、利用者は、表示端末130によって、対象の患者に関する過去の診察内容等をモニタ132で閲覧することができる。
当該文書管理システム100では、利用者は、診察内容を表示端末130を通じて入力することも、紙カルテ104を用いて肉筆で記入することもできる。したがって、利用者は、表示端末130の操作部134への入力を強いられず、紙カルテ104を介して患者等と向き合い、患者の様子を観察しながら紙カルテ104に診察内容を記入することが可能となる。こうして、利用者は、紙カルテ等の既存の診察形式の急な変更を伴うことなく、適切な診察を効率よく実行することが可能となる。以下、文書管理サーバ110の具体的な構成を述べつつ、当該文書管理システム100の動作を説明する。
(文書管理サーバ110)
図2は、文書管理サーバ110の構成を示した機能ブロック図である。文書管理サーバ110は、保持部150と、インターフェース部152と、制御部154とを含んで構成される。
保持部150は、RAM、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(Electrically EPROM)、フラッシュメモリ、HDD(Hard disk drive)等で構成され、各種のデータベースやテーブル、制御部154で用いられるプログラム等を保持する。また、本実施形態において、保持部150は、画像読取装置120によって紙カルテ104から読み取られた、電子文書に相当する複数の電子カルテ210や、各電子カルテ210に付与された文書識別情報212、領域属性情報214を保持する。かかる文書識別情報212および領域属性情報214に関しては後ほど詳述する。
なお、保持部150は、文書管理サーバ110の外部に設けられた記憶装置で構成されてもよく、例えば、外付けのNAS(Network Attached Storage)又は共有ディスク等で構成されてもよい。
インターフェース部152は、USB(Universal Serial Bus)ポート等の外部接続端子を備え、例えば、USB接続ケーブル、Bluetooth(登録商標)、IEEE802.11b/a/g/n等の通信媒体を通じて、画像読取装置120、表示端末130、印刷機140等との相互通信接続を確立する。
制御部154は、中央処理装置(CPU)、プログラム等が格納されたROM、ワークエリアとしてのRAM等を含む半導体集積回路により、文書管理サーバ110全体を制御する。また、制御部154は、半導体集積回路と協働したプログラム処理によって、パラメータ設定部160、電子文書生成部162、判定部164、文書強調部166、電子文書抽出部168、電子文書再配置部170、指標重畳部172、電子文書表示部174、電子文書印刷部176としても機能する。
パラメータ設定部160は、表示端末130の操作部134を通じた利用者入力に基づいて、表示端末130に電子カルテ210を表示する場合の表示端末130に関するパラメータや、印刷機140に電子カルテ210を印刷する場合の印刷機140に関するパラメータを設定する。
かかる表示端末130に関するパラメータとしては、表示画面の大きさ(例えば20インチ)、画素数(例えば1920×1080ドット)、電子カルテ210の表示倍率または電子カルテ210の画面占有率、画像データの縮小率の許容範囲(例えば、80%〜99%)、文字データのポイント変換率の許容範囲(例えば、80%〜99%)等がある。また、印刷機140に関するパラメータとしては、印刷対象(例えばA4サイズの普通紙)、電子カルテ210の印刷倍率または電子カルテ210の印刷面占有率、画像データの縮小率の許容範囲、文字データのポイント変換率の許容範囲等がある。
電子文書生成部162は、画像読取装置120を通じて被読取物である紙カルテ104の文書記載面を読み取り(スキャンし)、他と識別するための文書識別情報212を付与して電子カルテ210を生成する。また、電子文書生成部162は、電子カルテ210を生成する対象の患者が新規の患者にあたる場合、その患者に対するカルテを紐付けするためのバインダも同時に生成する。
このように、紙カルテ104を読み取る際に文書識別情報212を付与する構成により、事後的に文書識別情報を付与する場合と比較して、紙カルテ104とその文書識別情報212とを短時間かつ容易に関連付けることができ、また、利用者は、読み取り後すぐに(リアルタイムに)文書識別情報212を用いて電子化された電子カルテ210を閲覧することが可能となる。
この文書識別情報212としては、まず、インクリメントされた排他的な番号が、その生成順に電子カルテ210に付される。また、文書識別情報212には、カルテ庫106における紙カルテ104の保管先を示す保管先情報、当該紙カルテ104の配送先を示す配送先情報、および、紙カルテ104の廃棄期限を示す破棄期限情報を関連付けてもよい。
例えば、法的義務等を遵守するために一定期間(5年間等)保管されている紙カルテ104が必要な場合に、利用者は、保管先情報を参照することで、原本である紙カルテ104の保管先を容易に知ることができる。また、スキャンが完了した後の紙カルテ104の保管等を外部の専門業者等へ委託する場合に、利用者は、配送先情報を参照することで、大量の紙カルテ104を効率的に配送することができる。さらに、利用者は、廃棄期限情報により、カルテ庫106に保管されている紙カルテ104の廃棄期限を容易かつ確実に管理することができ、例えば、廃棄期限の超過が報知された紙カルテ104のみを廃棄対象とすることで、カルテ庫106の保管管理を厳格に行うことが可能となる。
また、文書識別情報212として、紙カルテ104の作成者または電子カルテ210の入力者を特定する署名情報(例えば、利用者IDや印影画像など)、および、紙カルテ104を作成した、または電子カルテ210を入力した処理日時を示す処理日時情報(例えば、画像読取時刻、画像処理時刻、原本管理情報の設定時刻、署名情報の設定時刻など)を関連付けてもよい。こうして、文書画像情報を作成または改変した利用者を特定することができ、データの保守性を厳格に管理することが可能となる。
さらに、文書識別情報212には、その電子カルテ210が後述する未記入領域の削除を許容するか否かの情報も含んでいる。かかる許容可否情報において、未記入領域の削除が許容されていない場合、後述する電子文書再配置部170による電子カルテ210の未記入領域への再配置は実行されない。電子カルテ210が例えば手術同意書や医師記入欄等であり、改変が許容されていない場合、その電子カルテ210に関しては未記入領域の削除を禁止することで、原本の再現性を保持し、電子カルテ210の信頼性を確保することができる。
判定部164は、電子文書生成部162が生成した電子カルテ210の未記入領域を判定する。ここで、未記入領域は、文書領域において有効な文書が記入されていない領域をいい、有効な文書が記入されている領域を記入領域とする。文書領域は、フォーマット上で記入対象となる領域をいい、その他の記入対象とならない領域を非文書領域とする。非文書領域220には、文書識別情報212等が予め印刷されており、文書等の事後的な情報入力が基本的に禁止されている。また、本実施形態において、判定部164は、紙カルテ104に事前に印刷された罫線等を文書と区別するため、紙カルテ104に施されたバーコード等によって紙カルテ104のフォーマット情報を取得し、その差分をとることで、事後的に記入された文書のみを抽出する。また、判定部164は、有効な文書の有無を、例えば、紙カルテ104の紙面の色と異なる色を有する画素(有色画素)の有無によって判定する。
判定部164は、未記入領域を判定する際、文書領域と記入領域との差分から未記入領域を判定したり、電子カルテ210の文書領域を1または複数のブロックに細分化して判定したりする。そして、判定部164は、記入領域や未記入領域それぞれに、その領域がいずれの領域であるかを示す領域属性情報214を関連付ける。また、ここでは、判定部164が、電子文書生成部162が生成した電子カルテ210に対して未記入領域を判定しているが、かかるタイミングに限らず、後述する電子文書抽出部168が抽出した電子カルテ210に対して事後的に未記入領域を判定してもよい。
図3および図4は、電子カルテ210中の文書領域218を説明するための説明図である。図3(a)に示すように、電子カルテ210は、画像読取装置120の読み取り対象となる文書領域218と読み取り対象とならない非文書領域220とに分けられる。判定部164は、文書領域218に対して縦方向に有色画素を検索し、有色画素が存在する上限と下限の位置を導出し、その間の領域を、図3(b)に示すように記入領域226として特定する。そして、判定部164は、文書領域218と記入領域226との差分領域を未記入領域228とする。したがって、記入領域226や未記入領域228の大きさは、電子カルテ210の横方向に文書領域218の幅と等しくなり、縦方向に任意の長さとなる。ここでは、記入領域226と未記入領域228とが、有色画素の有無によって単純に分けられるため処理負荷を軽減することが可能となる。
かかる構成により、判定部164は、文書領域218を容易かつ漏れなく、記入領域226と未記入領域228とに分割することができ、後述する電子文書再配置部170は、記入領域226を安定して詰めて再配置することが可能となる。
また、図4の如く、判定部164は、文書領域218を1または複数のブロック222に細分化し、そのブロック222単位で未記入領域228を判定してもよい。かかるブロック222は、文書領域218を所定の規則に従って分割または等分割したものであり、例えば、矩形形状で形成される。図4(a)では、ブロック222が、電子カルテ210の横方向には文書領域218の幅と等しく、縦方向には文書領域218を所定数(例えば4)で等分した大きさで形成されている。かかるブロック222は、文書領域218を上から下に向かって、(1)、(2)、(3)の順で判定される。また、図4(b)の如く、ブロック222を、電子カルテ210の横方向にも文書領域218を所定数(例えば2)で等分した大きさで形成することもできる。かかる図4(b)のブロック222は、文書領域218の左から右に向かって((1)、(2))、さらに上から下に向かって((2)、(3))の順で判定される。判定部164は、このようにして細分化されたブロック222それぞれに有色画素が含まれるか否か判定し、含まれていればそのブロック222を記入領域226とし、含まれていなければ未記入領域228とする。
かかる構成により、判定部164は、文書領域218を容易かつ漏れなく、記入領域226と未記入領域228とに画一的に分割することができ、後述する電子文書再配置部170は、画一化された大きさのブロック単位で記入領域226を安定して詰めて再配置することが可能となる。
続いて、判定部164は、記入領域226や未記入領域228といった各領域に、その領域が、記入領域226と未記入領域228とのいずれに相当するかの情報を含む領域属性情報214を関連付ける。記入領域226は、さらに画像データと文字データとのいずれで構成されているかの情報も付されている。ここで、画像データは、画像読取装置120で読み取られた複数の画素データによって画像(イメージ)を認識させるデータをいい、文字データは、表示端末130の操作部134等を通じて入力された文字(テキスト)によって構成されるデータをいう。また、画像読取装置120で読み取られたデータであっても、光学文字読み取り装置(OCR:Optical Character Reader)等を通じて文字に変換されたデータは文字データとして扱うことができる。
また、判定部164は、対象となる電子カルテ210が時を異にして生成された電子カルテ210の追記にあたる場合、記入領域226が追記されたものであるか否かを判断して、その記入領域226が追加された記入領域226であることを示す情報を領域属性情報214に加える。例えば、判定部164は、読み取った電子カルテ210を細分化してブロック222を生成した後、生成された各ブロック222と、保持部150に保管されている既存の電子カルテ210の各ブロック222とを比較し、記載内容の異なるブロックを抽出する。そして、判定部164は、その異なるブロック222に対して追加された記入領域226であることを示す情報を加える。
かかる構成により、電子カルテ210における既存の診察内容と追加された診察内容とを容易に識別することができ、利用者はその診察内容の差異を容易に把握することが可能となる。
文書強調部166は、細分化した記入領域226の特に画像データに関して、例えば、本出願人により見出された特願2004−332940号(特開2006−148292号公報)を用い、入力された画像データについて文字、絵柄、背景のいずれかの像域であるかを判定して、エッジが強調されるよう画像処理を行う。かかる技術によれば、読み取られた少なくとも1つの画像データに対し、エッジが強調されるよう画像処理を行うので、紙カルテ104を画像読取装置120にて複数回繰り返し読み取った後であっても、利用者が判読可能な文字や画像にて文書画像情報を提供することができる。
電子文書抽出部168は、表示端末130の操作部134を通じた利用者入力に基づいて特定される1または複数の文書識別情報212に対応付けられた電子カルテ210を抽出し、抽出した電子カルテ210を、同じく利用者入力に基づいて指定された所定の順に並び替える。
図5は、電子カルテ210の抽出を促す参照画面230の一例を示した説明図である。利用者は、図5に示す参照画面230を通じて閲覧を所望する電子カルテ210を特定することができる。まず、利用者は、図5の患者番号232に、患者毎に排他的に付与された識別番号を入力する。かかる患者番号232や以下で説明する入力を間違えた場合、クリアボタン234によって初期画面に戻すことができる。
また、利用者は、電子カルテ210の表示範囲を、日付範囲236やカルテ種別238によって絞ることもできる。そして、表示方法として、分類240の項目「時間別」または「種類別」を選択し、そのときに本実施形態で特徴的な「空白を削除する」のチェックボックス242をチェックすることもできる。ここで「時間別」の項目は電子カルテ210を時系列で表示することを指し、「種類別」の項目はカルテの種類毎に表示することを指す。また、「空白を削除する」のチェックボックス242がチェックされると、後述する電子文書再配置部170において未記入領域228の削除が実行される。また、利用者は、選択された分類240の各項目において、さらに、時間的に「新しいカルテを手前に表示する」か「古いカルテを手前に表示する」かの選択欄244や最初に開くページの選択欄246を選択することで、その並び順を変更することができる。このように電子カルテ210の具体的な表示態様を指定した後、表示開始スイッチ248を押下することで、利用者は、電子カルテ210を閲覧することが可能となる。
続いて、電子文書抽出部168は、分類240として選択された「時間別」または「種類別」の各項目において、時間的に「新しいカルテを手前に表示する」か「古いカルテを手前に表示する」の選択欄244で選択された並び順で電子カルテ210を並び替える。
図6および図7は、電子文書抽出部168の並び替え動作を説明するための説明図である。仮に、電子文書抽出部168が、文書識別情報212に対応付けられた、図6(a)に示すような複数の電子カルテ210を抽出したとする。ここで、電子カルテ210の上部250に位置する数値は当該電子カルテ210が作成された日付を、下部252に位置するアルファベットは当該電子カルテ210の種類(例えば、A=経過録、B=胃カメラ、C=心電図、D=細菌検査)を示す。ここでは、電子カルテ210の種類のうちAは未記入領域228の削除が可能であるが、B、C、Dは削除が許容されていないとする。
例えば、カルテ種別238として「すべて(すべての種類)」が選択され、分類240として「時間別」が選択され、選択欄244で「古いカルテを手前に表示する」が選択され、予めインデックスが付与される設定になっていると、図6(b)に示すように、電子カルテ210は時系列かつ時間的に昇順となるように電子カルテ210が並び替えられる。このとき、インデックスが付与される設定になっているので、電子カルテ210が作成された日付に基づいて、月の変わり目には次に表示される電子カルテ210の作成月254がインデックスとして示される。
また、電子文書抽出部168が、図6(a)同様図7(a)に示すような複数の電子カルテ210を抽出した場合において、カルテ種別238として「すべて」が選択され、分類240として「種類別」が選択され、選択欄244で「古いカルテを手前に表示する」が選択され、予めインデックスが付与される設定になっていると、図7(b)に示すように、電子カルテ210は種類毎にかつ時間的に昇順となるように電子カルテ210が並び替えられる。このときも、インデックスが付与される設定になっているので、電子カルテ210の種類に基づいて、種類が異なる境界には次に表示される種類256がインデックスとして示される。
電子文書再配置部170は、図5を用いて説明した参照画面230における「空白を削除する」のチェックボックス242がチェックされ、かつ、並び替えられた電子カルテ210中の任意の電子カルテ210に、判定部164により判定された未記入領域228が含まれる場合、その未記入領域228を削除し、これらの電子文書の記入領域(同電子カルテ210の次の記入領域および次順以降の電子カルテ210の記入領域)を順次詰めて再配置する。ここで「詰める」とは、並び替えられた電子カルテ210中のすべての未記入領域228がなくなるまで、未記入領域228に次の記入領域226を上書きし、結果的に未記入領域228の分だけ電子カルテ210全体の文書が短くなることをいう。
図8および図9は、電子文書再配置部170の動作を説明するための説明図である。例えば、図8のように2つの電子カルテ210a、210bがあり、電子文書抽出部168によって電子カルテ210a、210bの順(古いカルテを手前に表示する)に並べ替えられたとする。ここで、電子文書再配置部170は、表示順が若い電子カルテ210aの文書領域218中のすべての領域に関する領域属性情報214を参照し、その電子カルテ210aに未記入領域228が存在するか否か判断する。電子カルテ210aに未記入領域228が存在する場合、電子文書再配置部170は、その未記入領域228を削除し、記入領域226aの後に、次順以降の電子カルテ210bの記入領域226bを順次詰めて再配置する。こうして結合(マージ)された電子カルテ210cが生成される。
ここで、電子カルテ210cの非文書領域220cは、結合される複数の電子カルテ210の先頭の電子カルテ(ここでは電子カルテ210a)の非文書領域220aが用いられ、被結合記入領域のみを有する電子カルテ(ここでは電子カルテ210b)の非文書領域220bは削除されることとなる。したがって、結合された電子カルテ210cの非文書領域220cには、結合される電子カルテ210に共通な、患者氏名、患者番号等の情報のみを表示し、個別なカルテIDやバーコードは削除される。
図8においては、未記入領域228が電子カルテ210の端部(下端)にある場合を説明したが、未記入領域228が電子カルテ210の端部にない場合、即ち、電子カルテ210の中央付近にある場合、電子文書再配置部170は、未記入領域228を削除し、同電子カルテ210中の次の記入領域226を詰めた後、次順以降の電子カルテ210の記入領域226を順次詰めて再配置する。
ここで、図4(b)の如く、画面横方向にも分割された二次元の記入領域226中に未記入領域228がある場合、電子文書再配置部170は、その配列順を保ちつつ、電子カルテ210の記入領域226を図4(b)に示した順に詰めて再配置する。
また、図7(b)に示したように、電子文書抽出部168によって、種類毎にかつ時間的に昇順となるように並び替えられた電子カルテ210は、電子文書再配置部170によって未記入領域228が削除され、図9のようにその全体量が削減される。ただし、インデックスが付与される設定になっている場合、インデックスとしての種類256を跨る再配置は行わないとする。また、電子カルテ210の種類のうちB、C、Dに関しては未記入領域228の削除が許容されていないので、後述するように電子カルテ210の改変を行わない。
このように電子カルテ210の記入状態を領域単位で把握し、未記入領域228の有無に応じて順を保ちつつ記入領域226を詰めて電子カルテ210を再配置する構成により、読み取った画像の不要な未記入領域を排除した連続性の高い電子カルテ210を生成することができる。
また、上述したように連続性が高まった電子カルテ210を、表示端末130のモニタ132に表示すると、一度に表示できる情報量が増えるので、複数の電子カルテ210の関係、例えば電子カルテ210が生成された経緯やその時間的な流れを総括的に把握することができ、利用者の思考過程と親和性の高い表示が可能となり、また、複数の電子カルテ210を同時に比較することができるので記載内容の相違(変化)を迅速に把握することが可能となる。
さらに、モニタ132上で複数の電子カルテ210の関係を把握できれば、印刷の必要性も少なくなり、本来印刷されていた印刷物に関する資源の有効活用、紙カルテ104の保管、紙カルテ104の廃棄等に関わるコスト削減および時間効率の向上を図ることができる。さらに、閲覧すべき電子カルテ210の全体量を削減できるので、電子カルテ210の差し替え等の操作性向上を図ることも可能となる。
ところで、電子文書再配置部170は、未記入領域228が存在していたとしても、その未記入領域228に詰めるべき次の記入領域226の大きさが大きすぎて、未記入領域228を詰めることができないと判断した場合、未記入領域228を削除しても結合が行われず、そのままでは電子カルテ210の著しい閲覧性向上を見込むことができない。そこで、電子文書再配置部170は、記入領域226の再配置において、記入領域226が電子カルテ210の文書領域218に収容されない場合、記入領域226を所定範囲内の縮小率で縮小する。
図10は、電子文書再配置部170による縮小動作を示した説明図である。ここでは、図8同様、電子カルテ210aの未記入領域228に電子カルテ210dの記入領域226dを詰めることを試みるが、記入領域226dが未記入領域228より大きいため、そのままでは詰めることができない。そこで、電子文書再配置部170は、記入領域226dを所定範囲(80%〜100%)内の縮小率、例えば90%で縮小し、その縮小した記入領域226d’を電子カルテ210aの未記入領域228に詰めて再配置する。こうして結合(マージ)された電子カルテ210eが生成される。
かかる構成により所定範囲内の縮小率で記入領域226を縮小するだけで、本来詰めることができない記入領域226を詰めて再配置することができるので、表示端末130のモニタ132に一度に表示する情報量を増やして、閲覧性のさらなる向上を図ることが可能となる。
また、領域属性情報214に、画像データまたは文字データのいずれで構成されているかの情報が含まれている場合、電子文書再配置部170は、記入領域226を縮小するとき、領域属性情報214に基づいて、記入領域226が画像データであれば、記入領域226の画像を画像縮小アルゴリズムを適用して例えば90%の大きさに縮小し、記入領域226が文字データであれば、記入領域226の各文字をポイント変換、例えば、12ポイントから10.5ポイントに縮小する。
こうして、画像データはその画像縮小アルゴリズムにより適切に縮小できる。また、文字データに関しては、一般にポイント変換されたフォントが準備されているので、画像縮小アルゴリズムより軽い処理負荷で文字の縮小ができ、総合的な負荷軽減と処理の短縮化を図ることが可能となる。
また、電子文書再配置部170は、表示端末130の操作部134を通じて、クリック等により選択された電子カルテ210中の記入領域226が事前に縮小されたものであれば、縮小前の大きさに戻して記入領域226を再配置する。例えば、結合された図10の電子カルテ210eの記入領域226d’をクリックすると、記入領域226dは原本の大きさに戻り、電子カルテ210eは、再度、電子カルテ210aおよび電子カルテ210dに分離される。
かかる構成により、記入領域226が縮小された電子カルテ210を通じて複数の電子カルテ210同士の関係を統括的に把握した後、必要な記入領域226のみ通常の大きさで視認することができ、閲覧性と視認性の両効果をバランスよく得ることが可能となる。
ここでは、電子文書再配置部170によって、記入領域226を縮小し、また、元の大きさに戻す構成を説明したが、かかる場合に限らず、記入領域226を拡大して再配置し、それをクリックして元の大きさで視認することもできる。
さらに、文書識別情報212に、その電子カルテ210が未記入領域228の削除を許容するか否かの情報が含まれている場合、電子文書再配置部170は、文書識別情報212に基づいて、未記入領域228の削除が許容されていない電子カルテ210に対しては未記入領域228への再配置を実行しないとすることができる。例えば、図9を用いて説明したように、診察日や種類によって、A(経過録)は、未記入領域228の削除を行うことができるが、他のB(胃カメラ)、C(心電図)、D(細菌検査)に関しては、未記入領域228の削除を行わない。
電子カルテ210が、上述したB(胃カメラ)、C(心電図)、D(細菌検査)の他、例えば手術同意書や医師記入欄等であり改変が許容されていない場合、その電子カルテ210に関して未記入領域228の削除を禁止することで、原本の再現性を保持し、電子カルテ210の信頼性を確保することができる。
また、電子文書再配置部170は、電子カルテ210の再配置によっては保持部150に保持された電子カルテ210を改変(上書き)しない。したがって、電子文書再配置部170が再配置した1または複数の電子カルテ210は、表示もしくは印刷にのみ用いられるか、または、原本とは別データとして保持部150に保管される。
かかる構成により、電子カルテ210の空白部分(未記入領域228)も含む原本性を確実に維持しつつ、閲覧性を向上することができる。また、電子カルテ210の改変を禁止することで、不正な改竄や誤った処理から原本の電子カルテ210を守ることが可能となる。
さらに、電子文書再配置部170は、領域属性情報214にその記入領域226が追加された記入領域226であることを示す情報が付されていた場合、その記入領域226以外の過去の電子カルテ210と重複する記入領域226を削除することができる。かかる構成により、複数の電子カルテ210に重複して記載されている記入領域226を1つに纏めることが可能となり、さらなる閲覧性の向上を図ることができる。
指標重畳部172は、再配置前の電子カルテ210間の区切りを示す指標データを、再配置された電子カルテ210に重畳する。ここで、指標データは、例えば、文書領域218を横断する罫線(境界線)や記号(マーク)である。
上述したように、文書管理サーバ110では、記入領域226をその順を保ちつつ詰めて電子カルテ210を再配置している。しかし、単に記入領域226を詰めてしまうと、その記入領域226が同一の電子カルテ210に記載されたものか異なる電子カルテ210に記載されたものか特定できなくなってしまう。ここでは、電子カルテ210間の区切り位置に指標データを重畳することで、利用者は、その記入領域226がどのような単位で電子カルテ210に記載されているかを把握することができる。
電子文書表示部174は、参照画面230における「空白を削除する」のチェックボックス242がチェックされていれば、電子文書再配置部170によって再配置された電子カルテ210を表示端末130に表示させ、チェックされていなければ、再配置前の原本の電子カルテを表示端末130に表示させる。このとき、電子文書表示部174は、文書識別情報212におけるその電子カルテ210を識別するパラメータもOSD(On Screen Display)として画面に表示することもできる。
また、電子文書表示部174は、表示すべき再配置後の電子カルテ210がモニタ132の表示領域に収容されない場合、さらに所定の縮小率で記入領域226を縮小し、電子カルテ210全体をモニタ132に収容してもよい。
本実施形態では、電子文書再配置部170によって電子カルテ210が一度に再配置される実施例を説明したが、1画面分の電子カルテ210のみ再配置して表示端末130に表示し、操作部134を通じた利用者入力に基づき画像の次ページの閲覧が指示されてはじめて次の電子カルテ210に関する再配置を行うこともできる。こうすることで、処理負荷を分散することが可能となる。
電子文書印刷部176は、表示端末130の操作部134を通じた利用者入力に基づく印刷指示に応じて再配置された電子カルテ210を印刷機140に印刷させる。かかる電子文書印刷部176は、その結果物が印刷物であること以外、電子文書表示部174と同様に機能する。したがって、電子文書再配置部170によって再配置された電子カルテ210を、電子文書表示部174によるモニタ132への表示と同様の態様で印刷することができる。
このように印刷物に一度に印刷する情報量を増やすことで、複数の電子カルテ210の関係、例えば電子カルテ210が生成された経緯やその時間的な流れを総括的に把握することができ、また、複数の電子カルテ210を同時に比較することができるので記載内容の相違(変化)を迅速に把握することが可能となる。こうして未記入領域(空白部分)が削除される分、印刷による資源の有効利用を図ることができ、保管、廃棄等に関わるコスト削減および時間効率の向上を図ることができる。また、印刷量が削減されることで印刷時間の短縮化も図ることができ、時間効率の向上が可能となる。
以上、説明した文書管理サーバ110によって、モニタ132での閲覧性を向上し、資源の有効活用を図ることが可能となる。また、コンピュータを文書管理サーバ110として機能させる文書管理プログラムや、その文書管理プログラムを記憶した、コンピュータで読み取り可能なフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、EPROM、EEPROM、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disk)、BD(Blu-ray Disc)等の記憶媒体も提供される。ここで、プログラムは、任意の言語や記述方法にて記述されたデータ処理方法をいう。
また、この文書管理プログラムは、文書管理サーバ110に通信網102を介して接続された任意のアプリケーションプログラムサーバに記憶されていてもよく、必要に応じてその全部または一部をダウンロードすることもできる。
(文書管理方法)
次に、上述した文書管理サーバ110を用いて、文書の管理を行う文書管理方法を説明する。図11および図12は、文書管理方法の全体的な流れを示したフローチャートである。
パラメータ設定部160によって表示端末130や印刷機140に関するパラメータが設定された文書管理サーバ110において、まず、電子文書生成部162は、画像読取装置120を通じて紙カルテ104を読み取り(S300)、他の紙カルテ104と識別するための文書識別情報212を付与して電子カルテ210を生成する(S302)。
そして、判定部164は、読み取られた電子カルテ210の文書領域218を1または複数のブロック222に細分化し(S304)、細分化したブロック222が未記入領域228に相当するか否か判定して、未記入領域228と記入領域226とに置き換え、領域属性情報214を関連付ける(S306)。文書強調部166は、細分化した記入領域226の特に画像データに関して、その画像データのエッジが強調されるよう画像処理を行い(S308)、その電子カルテ210を保持部150に保持させる(S310)。
また、表示端末130の操作部134を通じて電子カルテ210の閲覧が指示されると、図12の如く、電子文書抽出部168は、利用者入力に基づいて特定される1または複数の文書識別情報212に対応付けられた電子カルテ210を抽出し(S312)、抽出した1または複数の電子カルテ210を所定の順に並び替える(S314)。
電子文書再配置部170は、並び替えられた電子カルテ210から順次1の電子カルテ210を抽出し(S316)、その中に未記入領域228が含まれるか否かを判断して(S318)、未記入領域228が含まれている場合(S318のYES)、同電子カルテ210の次の記入領域226または次順以降の電子カルテ210の記入領域226がその未記入領域228に収容されるか否か判断する(S320)。ここで、未記入領域228に収容することができると判断した場合(S320のYES)、電子文書再配置部170は、未記入領域228を削除し、同電子カルテ210の次の記入領域226および次順以降の電子カルテ210の記入領域226を順次詰めて再配置する(S322)。
また、未記入領域228に収容されなかった場合(S320のNO)、同電子カルテ210の次の記入領域226または次順以降の電子カルテ210の記入領域226を所定範囲内の縮小率で縮小することで未記入領域228に収容できるか否か判断し(S324)、収容できると判断した場合(S324のYES)、電子文書再配置部170は、未記入領域228を削除し、同電子カルテ210の次の記入領域226または次順以降の電子カルテ210の記入領域226を縮小して(S326)、順次詰めて再配置する(S322)。
一方、記入領域226を縮小したとしても収容できないと判断した場合(S324のNO)、または、未記入領域228が含まれていないと判断した場合(S318のNO)、電子文書再配置部170は、かかる電子カルテ210に関する再配置を行わない。そして、電子文書抽出部168によって抽出されたすべての電子カルテ210に対して当該処理が行われたか否かが判断され(S328)、すべてが終了していなければ(S328のNO)、未記入領域抽出処理(S316)からを繰り返し、すべてが終了していれば(S328のYES)、指標重畳部172が、再配置された電子カルテ210にその区切りを示す指標データを重畳して(S330)、電子文書表示部174は、再配置された電子カルテ210を表示端末130に表示させる(S332)。
また、表示端末130の操作部134を通じた利用者入力に基づいて電子カルテ210の印刷が指示された場合(S334のYES)、電子文書印刷部176は、表示端末の操作部を通じた印刷指示に応じて印刷機に再配置された電子カルテ210を印刷させる(S336)。
かかる文書管理方法によっても、モニタ132での閲覧性を向上し、資源の有効活用を図ることが可能となる。
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
例えば、上述した実施形態においては、文書管理システム100を文書管理サーバ110、画像読取装置120、表示端末130、印刷機140で構成し、それぞれに機能部が配されているが、かかる構成に限らず、その機能部の全部または一部が各装置に分散されていたり、複数の機能部が統合されている場合も本実施形態に含まれる。
なお、本明細書の文書管理方法における各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。