JP5351418B2 - A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法 - Google Patents

A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法 Download PDF

Info

Publication number
JP5351418B2
JP5351418B2 JP2007551981A JP2007551981A JP5351418B2 JP 5351418 B2 JP5351418 B2 JP 5351418B2 JP 2007551981 A JP2007551981 A JP 2007551981A JP 2007551981 A JP2007551981 A JP 2007551981A JP 5351418 B2 JP5351418 B2 JP 5351418B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antibody
influenza
virus
membrane carrier
subtype
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007551981A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2007074812A1 (ja
Inventor
靖治 難波
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
BL KK
Original Assignee
BL KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by BL KK filed Critical BL KK
Priority to JP2007551981A priority Critical patent/JP5351418B2/ja
Publication of JPWO2007074812A1 publication Critical patent/JPWO2007074812A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5351418B2 publication Critical patent/JP5351418B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N33/00Investigating or analysing materials by specific methods not covered by groups G01N1/00 - G01N31/00
    • G01N33/48Biological material, e.g. blood, urine; Haemocytometers
    • G01N33/50Chemical analysis of biological material, e.g. blood, urine; Testing involving biospecific ligand binding methods; Immunological testing
    • G01N33/53Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor
    • G01N33/569Immunoassay; Biospecific binding assay; Materials therefor for microorganisms, e.g. protozoa, bacteria, viruses
    • G01N33/56983Viruses
    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N2333/00Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature
    • G01N2333/005Assays involving biological materials from specific organisms or of a specific nature from viruses
    • G01N2333/08RNA viruses
    • G01N2333/11Orthomyxoviridae, e.g. influenza virus

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Urology & Nephrology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Hematology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Analytical Chemistry (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Tropical Medicine & Parasitology (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Pathology (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)

Description

本発明は、A型インフルエンザウイルス感染のうち、A型インフルエンザウイルスH5亜型感染を検出することができる検出法、詳しくは、サンドイッチ式免疫測定法、特に、イムノクロマトグラフィー測定法およびイムノクロマトグラフィー測定装置に関するものであり、高病原性鳥インフルエンザウイルスなどのインフルエンザウイルスH5亜型の感染、特に、ヒトにおけるインフルエンザウイルスH5N1亜型感染を迅速かつ簡便に診断するために有用な検出法に関する。
高病原性鳥インフルエンザは、鶏などに高致死性の病原性を示すインフルエンザウイルスによる感染症で、家きんペストとも呼ばれ、わが国では家畜伝染病予防法の法定伝染病に指定されており、世界獣医事務局(OIE)ではリストA疾病として掲げられている。
今までに高病原性鳥インフルエンザを引き起こしたインフルエンザウイルスはインフルエンザA型ウイルスのH5亜型及びH7亜型のみである。これらの亜型が総て強毒性であるわけではないが、わが国では、強毒性及び弱毒性であるかにかかわらずこれらの亜型に家畜が感染した場合、すべて屠殺処分することとされている。
また人への鳥インフルエンザ感染はH5亜型、H7亜型およびH9亜型の感染が報告されている。このうちインフルエンザウイルスが原因で死亡者が報告されているのはH5N1亜型のみである。H5N1亜型感染は重篤な肺炎を引き起こし、死に至ることが報告されている。
H5N1亜型による高病原性鳥インフルエンザは、1997年に香港で流行し、さらに、2003年から現在までアジアの数カ国で大流行し、人への感染及び死亡例も報告された。
現在、H5N1亜型の人への感染は世界規模で問題となっており、H1N1亜型、H3N2亜型に続く新型インフルエンザとして世界規模で警戒されている。
2005年11月17日のWHOの報告によると、ヒトのインフルエンザH5N1亜型感染確定症例数は130例であり、内死亡者は67例である。2004年12月以降、ヒトへの感染確定症例数は急激に増加し、死亡例数も増加している。H5N1ウイルスに感染後の死亡率は51.3%(67/130)である。
上記からも明らかなように、H5N1亜型の人への感染が現実となりつつある現在、H5N1亜型感染を迅速に発見することは、大規模なインフルエンザ感染拡大を防ぐ上で重要な課題である。また迅速に診断することは治療においても重要である。
鳥における高病原性鳥インフルエンザ診断は、現状では、ウイルス感染が疑われる病鳥から気管スワブまたはクロアカスワブ(総***腔スワブ)を採取し、これを発育鶏卵に接種して培養した後、ウイルスを分離する方法により行われている。しかし、この方法は、結果が得られるまでに数日を要し、迅速に結果が求められない点で不利である。また、近年開発された遺伝子検査(PCR法、LAMP法)を用いることにより、結果を得るまでに要する時間は大幅に短縮されるが、かかる遺伝子検査には特別な機器及び技術を要するため、養鶏現場等で検査を行うことは出来ない。
インフルエンザウイルスはヒト上気道、下気道などに感染し、1〜2日の潜伏期をおいた後、発熱(38〜39℃)と共に頭痛、腰痛、筋肉痛、全身倦怠、消化器症状などを引き起こす。インフルエンザで最も問題となる合併症は高齢者の肺炎と小児の脳炎・脳症で、特に小児の脳炎・脳症は高熱、意識障害、痙攣を特徴とし、極めて予後が悪いうえに初発症状から中枢神経系症状の発現及び死に至る期間が極めて短いので、迅速な診断と処置が必要である。
従来は、上記のような臨床症状のみでインフルエンザ様疾患として診断されることが多かったが、近年、インフルエンザウイルス抗原を迅速に検出するキットが開発され普及し始めたことから、インフルエンザウイルス感染症として早期に診断することが可能となってきた。このような迅速診断キットとしては、酵素免疫法(EIA)やイムノクロマトグラフィー測定法を原理として用いたものが挙げられ、A型インフルエンザウイルスのみを検出するもの、A型とB型をまとめて検出するもの、A型とB型をそれぞれ検出するものなどがある。
しかしながら現在行われているインフルエンザ抗原検査はA型ウイルス全てに共通な核タンパク(ヌクレオプロテイン)に対する抗体を使用している。そのためインフルエンザA型ウイルスであるH5亜型感染とH1N1またはH3N2亜型感染との鑑別診断ができない。
H5N1亜型感染は重篤な肺炎を引き起こし、且つ死亡率が非常に高い。初期診断時にH5亜型感染を鑑別診断することは、患者に対する治療方針を立てる上でも重要である。さらに新たな感染を防ぐために患者を早期に隔離するなどの処置を講ずることができ、更なるH5N1亜型感染の拡大を防ぐ上でも重要である。
また、近年開発された遺伝子検査(PCR法、LAMP法)を用いることにより、H5N1亜型を鑑別して検出することは可能であるが特別な機器及び技術を要するため簡便な方法ではない。
特表2004-509648号公報 特開平11-108932号公報 特開2001-215228号公報 Hinshaw VSら,「Specific antibody responses and generation of antigenic variants in chickens immunized against a virulent avian influenza virus」,Avian Dis. 1990, 34(1): 80-6 Kaverin NVら,「Structure of antigenic sites on the haemagglutinin molecule of H5 avian influenza virus and phenotypic variation escape mutants」,J. Gen. Virol. 2002, 83(pt10): 2497-505
このように、インフルエンザウイルスは感染が速く、発見が遅れると広い範囲にわたって急速に蔓延するので、感染をできる限り早期に、且つ、迅速に発見する必要がある。特にA型インフルエンザウイルスH5N1亜型は重篤な肺炎を引き起こし、死亡率も高い。しかしながら、現在のところ、A型インフルエンザウイルスH5亜型は従来のインフルエンザウイルス抗原検出試薬では他のA型インフルエンザウイルス感染と鑑別して検出することはできない。
本発明の目的は、A型インフルエンザウイルスH5亜型を迅速かつ簡便に鑑別診断できる検出試薬、及びそれを用いた検出法、とりわけ、サンドイッチ式免疫測定法、特に、イムノクロマトグラフィー測定法およびイムノクロマトグラフィー測定装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、インフルエンザウイルスH5亜型を免疫原としてマウスを免疫して該ウイルスのヘマグルチニン(HA)蛋白に対して特異的に反応する抗体を取得することに成功し、当該抗体を免疫測定法、特にサンドイッチ式免疫測定法、とりわけイムノクロマトグラフィー測定法で使用することにより、インフルエンザウイルスH5亜型を特異的に検出し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体を用いた第一の免疫測定と、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体を用いた第二の免疫測定とを併用してなることを特徴とするA型インフルエンザウイルスH5亜型の検出法が提供される。
この検出法における免疫測定法としては、特に限定されるものではないが、サンドイッチ式免疫測定法、とりわけELISA(Enzyme−linked immunosorbent assay)法、イムノクロマトグラフィー測定法などが好ましい。
したがって、本発明の上記検出法の好ましい実施形態によれば、前記免疫測定法は、前記第一の抗体とこの第一の抗体が反応する抗原に対して反応する第三の抗体とを用いたサンドイッチ式免疫測定法、及び/又は、前記第二の抗体と該第二の抗体が反応する抗原に対して反応する第四の抗体とを用いたサンドイッチ式免疫測定法から構成される。これらのサンドイッチ式免疫測定法は、前記第一の抗体および第二または第四の抗体を担体に固定して実施すると好都合である。この場合、担体として膜担体を使用すると、イムノクロマトグラフィー測定法を実施することができる。
したがって、本発明の更に他の局面によれば、全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体、及び、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体をそれぞれ予め所定位置に固定せしめて形成された第一及び第二の捕捉部位を備える膜担体を用意し、前記第一の抗体が反応する抗原に対して反応する第三の抗体と被験試料との第一の混合液、及び、前記第二の抗体が反応する抗原に対して反応する第四の抗体と前記被験試料との第二の混合液を、それぞれ第一及び第二の捕捉部位に向けて前記膜担体にてクロマト展開せしめるか、または、第三の抗体と第四の抗体と被験試料との混合液を前記捕捉部位の双方に向けて前記膜担体にてクロマト展開せしめ、前記第一の捕捉部位における第一の抗体との反応が陽性であることをもってA型インフルエンザウイルスを検出し、さらに第二の捕捉部位における第二の抗体との反応が陽性であることをもってA型インフルエンザウイルスH5亜型を検出できるようにしたことを特徴とするイムノクロマトグラフィー測定法が提供される。
また、本発明の更に他の局面によれば、全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体と、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体と、前記第一の抗体が反応する抗原に対して反応する第三の抗体と、前記第二の抗体が反応する抗原に対して反応する第四の抗体と、膜担体とを少なくとも備え、前記第一及び第二の抗体はそれぞれ予め膜担体の所定位置に固定されて第一及び第二の捕捉部位を形成し、前記第三及び第四の抗体は適当な標識物質で標識され、かつ、前記第三及び第四の抗体は前記捕捉部位の双方から離隔した位置からそれぞれ第一及び第二の捕捉部位に向けて前記膜担体にてクロマト展開可能なように用意されてなるA型インフルエンザウイルスH5亜型検出用イムノクロマトグラフィー測定装置が提供される。
前記膜担体は、第一の捕捉部位と第二の捕捉部位とを互いに離隔させて備えてなる単一の膜担体からなるものであってもよく、または、第一の抗体が固定された第一の膜担体と、第二の抗体が固定された第二の膜担体とからなるものであってもよいが、後者の方が反応特異性に優れているので好ましい。後者の場合、第三の抗体は第一の膜担体上に用意しておき、第四の抗体は第二の膜担体上に用意しておくと、それぞれの膜担体に被験試料を注入するだけで測定が行えるので好都合である。第三及び第四の抗体は、それぞれ、第一及び第二の膜担体上に配置された含浸部材に含浸させて用意しておくと好都合である。別法として、第一及び第二の膜担体の双方に連接した単一の含浸部材を設け、該含浸部材に第三の抗体及び第四の抗体を一緒に含浸させておいてもよい。第一の膜担体及び前記第二の膜担体は何れも細長形状すなわち帯状形状を備えることが好ましく、この場合、本発明の測定装置は、所謂イムノクロマト法テストストリップの形態として提供することができる。
本発明の検出法及び測定方法において、第一の免疫測定は、キャピリア(登録商標)FluA+B(株式会社タウンズ製)などの市販のA型及びB型インフルエンザ鑑別測定用のイムノクロマト法テストストリップまたはキットを用いて実施でき、上記第一の膜担体としてかかる市販のテストストリップまたはキットを使用しても良い。この場合、第二の免疫測定のために、上記第二の膜担体のみを入手すれば、本発明の検出法及び測定方法を実施することができる。
本発明で使用する上記第一の抗体は、全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応するであればよいが、好ましくは、インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体である。第一の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。
ポリクローナル抗体は、例えば、配列番号6に記載されるアミノ酸配列をコードするDNA配列のうち、エピトープを構成するアミノ酸残基を含む部分に対応するDNA断片をクローニングし、当該クローン化遺伝子を大腸菌などの宿主で遺伝子工学的に発現させて発現蛋白を抽出および精製し、この精製蛋白を抗原として常法に従って動物を免疫し、その抗血清から取得することができる。
モノクローナル抗体は、例えば、上記と同様に得られた精製蛋白を抗原としてマウスのような動物を免疫したのち、この免疫された動物の脾臓細胞とミエローマ細胞とを細胞融合して得られた融合細胞をHAT含有培地でセレクトした後に増殖せしめ、増殖せしめた株を前記のようにして得られた精製蛋白を使用して、たとえば、酵素標識免疫法などにより選別することで、取得することができる。また、モノクローナル抗体として、公知のイムノクロマト法テストストリップにおいて用いられているA型インフルエンザウイルスの核タンパクに対するモノクローナル抗体を用いてもよい。
本発明で使用する上記第二の抗体は、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する抗体であり、好ましくは、A型インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白に対する抗体である。第二の抗体は、ポリクローナル抗体であっても、モノクローナル抗体であってもよいが、反応特異性の観点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。例えば、インフルエンザウイルスH5N1型(A/Hong Kong/156/97(H5N1)))のヘマグルチニン蛋白の全アミノ酸配列は、配列番号7に示されるとおり公知である(Science 279 (5349), 393-396 (1998))。したがって、第二の抗体は、かかるA型インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白の全アミノ酸配列からエピトープを構成する領域を選択してDNAをクローニングして発現させ、抽出、精製した精製蛋白を免疫原として第一の抗体に関して上述したと同様の方法で得ることができる。
本発明で使用する好ましい第二の抗体は、配列番号7に示されるヘマグルチニン蛋白のアミノ酸配列の168番目のアミノ酸を含むエピトープを認識する抗体、特にモノクローナル抗体(以下、「モノクローナル抗体AA168」ともいう)である。このエピトープは、上記アミノ酸配列の168番目のアミノ酸残基を含むその前後の数個のアミノ酸残基から構成されるものと考えられ、通常、当該168番目のアミノ酸残基を中心とする6〜10個のアミノ酸残基から構成されると考えられる。
しかしながら、当該モノクローナル抗体AA168は、蛍光抗体法によれば、インフルエンザウイルスH5弱毒株に対して全般的に反応するが、A/tn/S.Africa/61、A/swan/Shima/449/83 (24a5b)、A/HongKong/156/97、A/HongKong/483/97、 A/duck/Yokohama/aq-10/2003 及びA/chicken/Yamaguchi/7/04からなる群より選ばれた強毒株の少なくとも1つには反応しないか又は弱毒株に対するよりも反応性が弱い。
したがって、本発明で使用する他の好ましい第二の抗体は、インフルエンザウイルスH5亜型であるA/tn/S.Africa/61、A/swan/Shima/449/83 (24a5b)、A/HongKong/156/97、A/HongKong/483/97、 A/duck/Yokohama/aq-10/2003 及びA/chicken/Yamaguchi/7/04の全てに対して反応するモノクローナル抗体(以下、「モノクローナル抗体WS」ともいう)である。モノクローナル抗体WSは、蛍光抗体法によれば、上記強毒株の全てに対して強く反応する点で、モノクローナル抗体AA168と明確に区別されるものであり、モノクローナル抗体AA168と異なるエピトープを認識するものと考えられる。モノクローナル抗体WSは、広範囲の強毒株及び弱毒株に対して反応するので、インフルエンザウイルスH5亜型を広く検出するのに好適であり、とりわけ、強毒株の検出用に好適である。
なお、モノクローナル抗体AA168及びモノクローナル抗体WSの何れも、インフルエンザウイルスH5亜型以外のインフルエンザウイルスとは反応しないものであり、したがって、インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白に対して特異的に反応する抗体である。
本発明において、イムノクロマトグラフィー測定法などのサンドイッチ式免疫測定法で使用する第三の抗体は、第一の抗体が反応する抗原に対して反応する抗体であればよく、該抗原が第一の抗体に対するエピトープを複数備えている場合には第一の抗体と同一の抗体であってもよく、該抗原が他のエピトープを備えている場合には第一の抗体以外の抗体であってもよい。
本発明において、イムノクロマトグラフィー測定法などのサンドイッチ式免疫測定法で使用する第四の抗体は、第二の抗体が反応する抗原に対して反応する抗体であればよく、該抗原が第二の抗体に対するエピトープを複数備えている場合には第二の抗体と同一の抗体であってもよく、該抗原が他のエピトープを備えている場合には第二の抗体以外の抗体であってもよい。
また、第三及び第四の抗体は、それぞれ、モノクローナル抗体でもポリクローナル抗体でもよいが、反応特異性の点から、モノクローナル抗体であることが好ましい。
現在のところ、A型インフルエンザウイルス亜型としてH(ヘマグルチニン)蛋白については16種類、N(ノイラミダーゼ)蛋白については9種の亜型が知られており、理論上は16×9=144種の亜型が考えられるが、一般的には、このうち、H1〜15亜型の代表例に対して反応する抗体が「全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する抗体」と理解されている。したがって、本明細書において、「全てのA型インフルエンザウイルス亜型」とは、現在知られているH1〜15亜型の代表例を意味し、具体的には、本明細書の後記表3に挙げられた株を意味する。また、A型インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体は、B型及びC型インフルエンザウイルスの何れの核タンパクとも交差反応性を示さないものであり、同様に、本発明の第一の抗体も、B型及びC型インフルエンザウイルスの何れの核タンパクとも交差反応性を示さないものである。
また、本明細書において、「抗体との反応が陽性」とは、抗原が抗体と抗原抗体反応することを意味する。
本発明によれば、A型インフルエンザウイルス感染という結果だけでなく、更に進んでA型インフルエンザウイルスH5亜型の感染が特定できるので、ヒト、鳥等のA型インフルエンザウイルスH5亜型による感染症の診断に広く適用できる。特にヒトの場合、現在ヒトへの感染が確認されているのはH5N1亜型のみであるので、H5N1亜型感染の早期の発見、予防、治療に貢献することができる。
本発明の好ましい実施形態によれば、第一の抗体としてA型インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体が使用され、第二の抗体としてA型インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白に対する抗体が使用される。この実施形態では、第一の抗体と第二の抗体の検出対象が異なるため、互いの検出感度に影響を及ぼすことがなく、特異性の高い結果を得ることができる。
また、本発明のイムノクロマトグラフィー測定法およびイムノクロマトグラフィー測定装置によれば、特殊な機器及び熟練した技術を必要とすることなく、病院、養鶏現場等において簡便かつ迅速にインフルエンザウイルスH5亜型の検出及び該ウイルスによる感染を診断することが可能となる。
本発明のイムノクロマトグラフィー測定法を実施するために使用できる測定装置は、公知のイムノクロマト法テストストリップの構成に準拠して容易に実施できる。以下、その具体例を図面に基づいて説明する。
(1)単一のイムノクロマト法テストストリップを用いる実施形態
イムノクロマト法テストストリップの具体例としては、例えば図1に示されるテストストリップ10が挙げられる。図1において、数字1は粘着シート、2は含浸部材、3は膜担体、4は捕捉部位、5は吸収用部材、6は試料添加用部材を示している。
図示の例では、膜担体3は、幅5mm、長さ36mmの細長い帯状のニトロセルロース製メンブレンフィルターからなり、同幅の粘着シート1の中程に貼り付けられている。膜担体3には、そのクロマト展開始点側、すなわち図1の左側(以下「上流側」と記す。なお、その逆の側、すなわち図1におけるクロマト展開方向側すなわち右側は以下「下流側」と記す。)の末端から下流側に7.5mmの位置に第一の抗体が固定され、第三の抗体とA型インフルエンザウイルスの核タンパク等のウイルス抗原との複合体を捕捉するための第一の捕捉部位41aが形成されている。さらに、膜担体3の上流側の末端から下流側に10.5mmの位置に第二の抗体が固定され、第四の抗体とH5亜型のヘマグルチニン蛋白等のウイルス抗原との複合体を捕捉するための第二の捕捉部位41bが形成されている。さらに、膜担体3の上流側の末端から下流側に15.0mmの位置に所謂コントロールライン42が設けられている。このコントロールライン42は、分析対象物質の存否に係わらず反応が行われたことを確認するためのものであり、通常、前記第三及び/又は第四の抗体と免疫学的に特異的に結合する物質(分析対象物質を除く)を膜担体3に固定化することによって形成することができる。例えば、第三及び/又は第四の抗体としてマウス抗体を用いた場合は、該マウス抗体に対する抗体を用いることができる。
図1の装置では、膜担体3は、ニトロセルロース製メンブレンフィルターを用いているが、被験試料に含まれる分析対象物質をクロマト展開可能で、かつ、捕捉部位4を形成する抗体を固定可能なものであれば、いかなるものであってもよく、他のセルロース類膜、ナイロン膜、ガラス繊維膜なども使用できる。
図1の装置において、第一の抗体としては、全てのA型インフルエンザウイルス亜型の核タンパクに対して反応するモノクローナル抗体を用いることが好ましい。第二の抗体としては、H5亜型に対して特異的に反応するモノクローナル抗体を用いることが好ましい。
図1の装置において、第三の抗体は、第一の抗体が反応する抗原に反応する抗体であり、好ましくは、全てのA型インフルエンザウイルス亜型の核タンパクに対して反応する抗体であり、多くの場合、第一の抗体と同一の抗体を用いることができる。また、第四の抗体は、第二の抗体が反応する抗原に反応する抗体であり、例えば、全てのA型インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白に対して反応するモノクローナル抗体を用いることができる。多くの場合、第四の抗体は、第二の抗体と同一の抗体とすることができる。
第三及び第四の抗体は、イムノクロマト法テストストリップ10とは別体の適当な容器内で、被験試料及び展開溶媒と混合して混合液とした後、この混合液を図示のイムノクロマト法テストストリップ10の試料添加用部材6に注入して膜担体3をクロマト展開させてもよい。しかし、被験試料と展開溶媒とを混合して調製した混合液を試料添加用部材6に注入した時、第三及び第四の抗体が、該混合液と混合して膜担体3へクロマト展開されるように、イムノクロマト法テストストリップ10と一体化して配置しておくことが好ましい。このために、図1の装置では、第三及び第四の抗体は、適当な標識物質で予め標識された状態で、膜担体3の上流側の端部に連接した含浸部材2に含浸させてイムノクロマト法テストストリップ10の一部を構成している。すなわち、第三及び第四の抗体は、含浸部材2に混合状態で含浸されている。なお、本明細書において、標識された状態の第三の抗体及び/又は第四の抗体を標識抗体と称することがある。
図示の例では、含浸部材2として、5mm×15mmの帯状のガラス繊維不織布を用いているが、これに限定されるものではなく、例えば、セルロース類布(濾紙、ニトロセルロース膜等)、ポリエチレン、ポリプロピレン等の多孔質プラスチック布類なども使用できる。
第三及び第四の抗体の標識物質としては、使用可能なものであればいかなる物質であってもよく、呈色標識物質、酵素標識物質、放射線標識物質などが挙げられる。
このうち、捕捉部位4での色の変化を肉眼で観察することにより迅速かつ簡便に判定できる点から、呈色標識物質を用いることが好ましい。
呈色標識物質としては、金コロイド、白金コロイド等の金属コロイドの他、赤色および青色などのそれぞれの顔料で着色されたポリスチレンラテックスなどの合成ラテックスや、天然ゴムラテックスなどのラテックスが挙げられ、このうち、金コロイドなどの金属コロイドが特に好ましい。
含浸部材2は、標識抗体の懸濁液を前記ガラス繊維不織布等の部材に含浸せしめ、これを乾燥させることなどによって作製できる。
イムノクロマト法テストストリップ10は、図1に示されるように、膜担体3を粘着シート1の中程に貼着し、該膜担体3の上流側の末端の上に、含浸部材2の下流側の末端を重ね合わせて連接するとともに、この含浸部材2の上流側部分を粘着シート1に貼着して作成できる。
さらに、図1の装置では、含浸部材2の上面に試料添加用部材6の下流側部分を載置するとともに、該試料添加用部材6の上流側部分を粘着シート1に貼着しており、また、膜担体3の下流側部分の上面に吸収用部材5の上流側部分を載置するとともに、該吸収用部材5の下流側部分を粘着シート1に貼着せしめてイムノクロマト法テストストリップ10を構成している。
試料添加用部材6としては、例えば、多孔質ポリエチレンおよび多孔質ポリプロピレンなどのような多孔質合成樹脂のシートまたはフィルム、ならびに、濾紙および綿布などのようなセルロース製の紙または織布もしくは不織布を用いることができる。
吸収用部材5は、液体をすみやかに吸収、保持できる材質のものであればよく、綿布、濾紙、およびポリエチレン、ポリプロピレン等からなる多孔質プラスチック不織布等を挙げることができるが、特に濾紙が最適である。
図1のイムノクロマト法テストストリップ10は、そのまま、ディップスティック形式の測定装置として用いることもでき、別法としては、適当なプラスチックシートで裏打ち又はサンドイッチしたディップスティック形式の測定装置として提供してもよい。好ましくは、図1のイムノクロマト法テストストリップ10は、試料添加用部材6と捕捉部位4の上方にそれぞれ被験試料注入部と判定部が開口された適当なプラスチック製ケース内に収容された測定装置として提供される。上述のとおり、本発明において、第三及び第四の抗体は、イムノクロマト法テストストリップ10とは別体の適当な容器内で、被験試料及び展開溶媒と混合して混合液とした後、この混合液をイムノクロマト法テストストリップ10の試料添加用部材6に注入して膜担体3をクロマト展開させてもよいので、イムノクロマト法テストストリップ10をケース内に収容させた場合、第三及び第四の抗体は、含浸部材2に含浸させてケース内に収容してもよいし、また、該ケースとは別体の適当な容器内に収容してケース外に収容しておいてもよい。
かくして、A型インフルエンザウイルスH5亜型感染が疑われる患者の生体試料などからなる被験試料を必要に応じて適当な展開溶媒と混合してクロマト展開可能な混合液を得た後、当該混合液を図1に示されるイムノクロマト法テストストリップ10の試料添加用部材6上に注入すると、該混合液は、該試料添加用部材6を通過して含浸部材2において、標識抗体と混合する。
その際、該混合液中にA型インフルエンザウイルスH5亜型が存在すれば、抗原抗体反応により該H5亜型ウイルスのウイルス抗原と第三の抗体との複合体、及び、該ウイルス抗原と第四の抗体との複合体が形成される。
これらの複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて捕捉部位4に到達し、第一の捕捉部位41aに固定された第一の抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈するとともに、第二の捕捉部位41bに固定された第二の抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈する。これに対し、該混合液中にH5亜型以外のA型インフルエンザウイルスが存在すれば、第一の捕捉部位41aのみにおいて陽性の結果が示され、第二の捕捉部位41bにおいては陰性の結果が示される。したがって、第一及び第二の捕捉部位の結果を総合することで、H5亜型の感染か、H5亜型以外のA型インフルエンザウイルスの感染かを鑑別判定できる。
陽性か陰性かの判定は、標識物質として金コロイドなどの呈色標識物質が使用されていれば、当該呈色標識物質の集積により第一及び第二の捕捉部位41a,41bが発色するので、直ちに、判定することができる。
被験試料としては、特に制限はないが、例えば、クロアカスワブ、気管スワブ、糞便、鼻腔吸引液、鼻腔ぬぐい液および咽頭ぬぐい液、血液(全血でも、血清でも、血漿でもよい)、唾液、尿、臓器乳剤等が挙げられる。被験試料は、展開溶媒などの適当な希釈液で希釈して膜担体に注入してもよい。
なお、全血を被験試料として用いるときで、特に標識抗体の標識物質として金コロイドなどの呈色標識物質が用いられる場合、前記試料添加用部材に血球捕捉膜部材を配置しておくことが好ましい。血球捕捉膜部材は、前記含浸部材と前記試料添加用部材との間に積層することが好ましい。これにより、赤血球が膜担体に展開されるのが阻止されるので、膜担体の捕捉部位における呈色標識の集積の確認が容易になる。血球捕捉膜部材としては、カルボキシメチルセルロース膜が用いられ、具体的には、アドバンテック東洋株式会社から販売されているイオン交換濾紙CM(商品名)や、ワットマンジャパン株式会社から販売されているイオン交換セルロースペーパーなどを用いることができる。
(2)2つのイムノクロマト法テストストリップを用いる実施形態
図2の装置は、2本のイムノクロマト法テストストリップ10及び20からなるイムノクロマトグラフィー測定装置である。各イムノクロマト法テストストリップ10及び20は、捕捉部位4及び標識抗体の構成を除いて図1のイムノクロマト法テストストリップ10の構成と同様である。図2のイムノクロマト法テストストリップ10は、膜担体3の上流側の末端から7.5mmの位置に第一の抗体が固定され、第三の抗体と分析対象物質との複合体を捕捉するための第一の捕捉部位41aが形成されている点は図1と同様であるが、膜担体3の上流側の末端から10.5mmの位置に抗B型インフルエンザウイルス抗体が固定され、B型インフルエンザウイルスを検出する捕捉部位41bが設けられている点で図1と異なる。そして、イムノクロマト法テストストリップ10の含浸部材2には、標識された第三の抗体及び標識された抗B型インフルエンザウイルス抗体が、混合状態で標識抗体として含浸されている。ここで、第三の抗体として、多くの場合、第一の抗体と同様の抗体が使用できる。抗B型インフルエンザウイルス抗体としては、公知のイムノクロマトグラフィー測定装置に使用されている抗体が使用できる。
図2のイムノクロマト法テストストリップ20は、膜担体3の上流側の末端から9.0mmの位置に第二の抗体が固定され、第四の抗体と分析対象物質との複合体を捕捉するための第二の捕捉部位41cが形成されている点で図1のイムノクロマト法テストストリップ10と異なる。そして、イムノクロマト法テストストリップ20の含浸部材2には、標識された第四の抗体が、標識抗体として含浸されている。ここで、第四の抗体として、多くの場合、第二の抗体と同様の抗体を使用できる。
かくして、図1を参照して上記したと同様の方法で被験試料を含む混合液を得た後、当該混合液を図2に示されるイムノクロマト法テストストリップ10及び20のそれぞれの試料添加用部材6上に注入すると、該混合液は、該試料添加用部材6を通過して含浸部材2において、標識抗体と混合する。
その際、該混合液中にA型インフルエンザウイルスH5亜型が存在すれば、イムノクロマト法テストストリップ10においては、抗原抗体反応により該H5亜型ウイルス抗原と第三の抗体との複合体が形成される。この複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて捕捉部位41に到達し、第一の捕捉部位41aに固定された第一の抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈するが、捕捉部位41bに固定された抗B型インフルエンザウイルス抗体には捕捉されず陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、該H5亜型ウイルス抗原と第四の抗体との複合体が形成され、該複合体は膜担体3中をクロマト展開されて第二の捕捉部位41cに到達し、そこに固定された第二の抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈する。
これに対し、該混合液中にH5亜型以外のA型インフルエンザウイルスが存在すれば、イムノクロマト法テストストリップ10においては、抗原抗体反応によりそのウイルス抗原と第三の抗体との複合体が形成される。この複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて捕捉部位4に到達し、第一の捕捉部位41aに固定された第一の抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈するが、捕捉部位41bに固定された抗B型インフルエンザウイルス抗体には捕捉されず陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、該ウイルス抗原と第四の抗体との複合体は形成されず、両者はそれぞれ単独に膜担体3中をクロマト展開されて第二の捕捉部位41cに到達するが、そこに固定された第二の抗体に捕捉されず、陰性の結果を呈する。
また、該混合液中にB型インフルエンザウイルスが存在すれば、イムノクロマト法テストストリップ10においては、抗原抗体反応によりそのウイルス抗原と抗B型インフルエンザウイルス抗体との複合体が形成される。この複合体は、膜担体3中をクロマト展開されて捕捉部位4に到達し、捕捉部位41bに固定された抗B型インフルエンザウイルス抗体と抗原抗体反応して捕捉され陽性の結果を呈するが、第一の捕捉部位41aに固定された第一の抗体には捕捉されず陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、該ウイルス抗原と第四の抗体との複合体が形成されず、両者はそれぞれ単独に膜担体3中をクロマト展開されて第二の捕捉部位41cに到達するが、そこに固定された第二の抗体に捕捉されず陰性の結果を呈する。
したがって、第一の捕捉部位41a、第二の捕捉部位41c及び捕捉部位41bにおける結果をもって、H5亜型の感染か、H5亜型以外のA型インフルエンザウイルスの感染か、B型インフルエンザウイルスの感染かを鑑別判定できる。
図2の装置は、2つのイムノクロマト法テストストリップ10及び20を少なくとも備えていればよく、2つのストリップが1つのケースに収容されたものであっても、各ストリップが数本ずつ各ケースに収容され、使用時に1つずつ取り出して使用するような形態のものであってもよい。前者の場合、1つのケース中に、イムノクロマト法テストストリップ10及び20の両膜担体の含浸部材を互いに所定の間隔をおいて離隔させ、両膜担体を相互に並行して配置させた一体製品としてもよい。
なお、図2のイムノクロマト法テストストリップ10としては、キャピリア(登録商標)FluA+B(株式会社タウンズ製)などの市販のA型及びB型インフルエンザ鑑別測定用のイムノクロマト法テストストリップまたはキットをそのまま用いることもできる。したがって、かかる市販のテストストリップまたはキットと併用して本発明の検出法又は測定法を実施できるように、図2のイムノクロマト法テストストリップ20のみを単品で供給することもできる。
図3の装置は、イムノクロマト法テストストリップ10及び20が共通する単一の含浸部材2及び試料添加用部材6を備える以外、図2の構成と同様の構成を備えている。すなわち、イムノクロマト法テストストリップ10及び20の両膜担体3は、互いに隣接してほぼ平行に配置され、上流側の末端に幅広の(幅約12mm)の単一の含浸部材2が両膜単体3にまたがって連接されている。この含浸部材2には、それぞれ標識された第三の抗体と第四の抗体と抗B型インフルエンザウイルス抗体とが混合状態で、上記と同様にクロマト展開可能なように含浸されている。
かくして、図2を参照して上記したと同様の方法で被験試料を含む混合液を得た後、当該混合液を図3に示されるイムノクロマト法テストストリップ10及び20に共通の試料添加用部材6上に注入すると、該混合液は、該試料添加用部材6を通過して含浸部材2において、標識抗体と混合する。
その際、該混合液中にA型インフルエンザウイルスH5亜型が存在すれば、イムノクロマト法テストストリップ10においては、図2と同様に第一の捕捉部位41aにおいて陽性の結果を呈し、捕捉部位41bでは陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、該H5亜型ウイルス抗原と標識抗体との複合体が、第二の捕捉部位41cに固定された第二の抗体に捕捉されて陽性の結果を呈する。
該混合液中にH5亜型以外のA型インフルエンザウイルスが存在すれば、図2と同様に、イムノクロマト法テストストリップ10においては、第一の捕捉部位41で陽性の結果を呈するが、捕捉部位41bでは陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、該ウイルス抗原と標識抗体との複合体が形成されないため、両者は単独に膜担体3中をクロマト展開されて第二の捕捉部位41cに到達するが、そこに固定された第二の抗体に捕捉されず、陰性の結果を呈する。
また、該混合液中にB型インフルエンザウイルスが存在すれば、図2と同様に、イムノクロマト法テストストリップ10においては、捕捉部位41bで陽性の結果を呈するが、第一の捕捉部位41aで陰性の結果を呈する。イムノクロマト法テストストリップ20においては、図2と同様に、第二の捕捉部位41cにおいて陰性の結果を呈する。
したがって、前記第一の捕捉部位41a、第二の捕捉部位41c及び捕捉部位41bにおける結果をもって、H5亜型の感染か、H5亜型以外のA型インフルエンザウイルスの感染か、B型インフルエンザウイルスの感染かを鑑別判定できる。
図3の装置は、適当なケースに収容した形態のものであってもよい。
図4の装置は、イムノクロマト法テストストリップ10及び20が共通する単一の粘着シート1及び単一の試料添加用部材6を備える以外、図2の構成と同様の構成を備えている。すなわち、イムノクロマト法テストストリップ10及び20の両膜担体3は、相互に反対向きにほぼ一直線状に配置されている。具体的には、イムノクロマト法テストストリップ10及び20は、両者の含浸部材2の上流側端部が適当な間隔をおいて相互に対向するようにすなわち反対方向に一直線上に配置されており、単一の試料添加用部材6が両含浸部材2の間にまたがって連接するように配置されている。別法として、イムノクロマト法テストストリップ10及び20の両膜担体が互いに角度を為して延在するように、放射方向に配置してもよい。
かくして、図2を参照して上記したと同様の方法で被験試料を含む混合液を得た後、当該混合液を図4に示されるイムノクロマト法テストストリップ10及び20に共通の試料添加用部材6上に注入すると、該混合液は、該試料添加用部材6を通過して両テストストリップ10及び20の含浸部材2において、標識抗体と混合する。そして、図2と同様に、前記第一の捕捉部位41a、第二の捕捉部位41c及び捕捉部位41bにおける結果をもって、H5亜型の感染か、H5亜型以外のA型インフルエンザウイルスの感染か、B型インフルエンザウイルスの感染かを鑑別判定できる。
図4の装置は、適当なケースに収容した形態のものであってもよい。
図4の装置の変形として、粘着シート1及び試料添加用部材6の他に、含浸部材2をテストストリップ10及び20に共通のものとしてもよい。この場合、図3の態様に準じて標識抗体を含浸部材に含浸させることができる。
図4の装置は、上記被験試料を含む混合液がテストストリップ10及び20に均等に浸透するので、測定感度が向上するため好都合である。
下記の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
実施例1(A型およびB型インフルエンザウイルスの組換え核タンパク(NP)遺伝子のクローニング)
インフルエンザウイルスA型であるA/Puerto Rico/8/34(H1N1)およびインフルエンザウイルスB型であるB/Lee/40を発育鶏卵に接種し、培養した。数日後に漿尿液を採取しウイルスを得た。このウイルスにRNA抽出試薬(TRIzol Reagent, Invitrogen)を加え、それぞれのウイルスRNAを抽出した。抽出したRNAから逆転写反応を行いNP遺伝子のcDNAを作製した。逆転写反応に用いたプライマーとしてUni 12 Primer : 5’-AGCAAAAGCAGG-3’(配列番号1)を用いた。
得られたA/Puerto Rico/8/34およびB/Lee/40のNP遺伝子cDNAよりポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いてNP遺伝子を増幅した。プライマーとしてA/Puerto Rico/8/34においては、sense primer: 5’-GGAATTCCATATGGCGTCCCAAGGCACC-3’(配列番号2)およびantisense primer: 5’-CCGCTCGAGTTAATTGTCGTACTCCTCTGC-3’(配列番号3)を用いた。またB/Lee/40においては、sense primer: 5’-CGGGATCCATATGTCCAACATGGATATTG-3’(配列番号4)およびantisense primer: 5’-CCGCTCGAGTTAATAATCGAGGTCATCATA-3’(配列番号5)を用いた。用いたプライマーはベクターpET15bに組み込むためにupper primerとlower primerにそれぞれNde IとXho Iサイトを付加した。
得られたPCR産物の一部をDNA電気泳動で増幅を確認した後、それぞれの増幅産物を制限酵素NdeIおよびXbaIにて切断し、同じ制限酵素で切断したベクターpET15bに挿入した。
実施例2(組換え核タンパク(NP蛋白)の発現と精製)
目的遺伝子が挿入された実施例1のベクターpET15bでE.coli BL21CodonPlusを形質転換し、アンピシリン選択培地上で培養し、コロニーを得た。アンピシリン(100μg/ml)とクロラムフェニコール(25μg/ml)を含むL-Broth中にて一晩培養を行った後、アンピシリン(100μg/ml)を含むL-brothに培養液を加えた。37℃にて3時間の培養を行った後、1 M IPTGを最終濃度1 mMになるように添加し組換えNP蛋白の発現を誘導した。IPTGによるタンパク質の発現はSDS-PAGEにて確認した。
遠心分離により回収した菌体を可溶化バッファーに懸濁させた。さらにPMSFおよびリゾチーム処理を行い完全に溶菌させた。得られた溶液の遠心上清から組換えNP蛋白をNi-NTA樹脂を用いたカラムに通し精製した。この精製蛋白をPBSに対して透析し、目的の組換えNP蛋白とした。
実施例3(モノクローナル抗体の作製)
実施例2で得られたA型インフルエンザウイルス組換えNP蛋白(FluA NP)およびB型インフルエンザウイルス組換えNP蛋白(FluB NP)を抗原として、FluA NPおよびFluB NPに対するモノクローナル抗体(抗FluA NP抗体および抗FluB NP抗体)を作出した。モノクローナル抗体の作出は常法に従って行った。それぞれ100μgの組換えNP蛋白と等量のAdjuvant Complete Freund(Difco)を混合して、マウス(BALB/c、5週齢、日本SLC)に3回免疫し、その脾臓細胞を細胞融合に用いた。
細胞融合には、マウスの骨髄腫細胞であるSp2/0-Ag14細胞(Shulmanら、1978)を用いた。細胞の培養には、Dulbecco’s Modified Eagle Medium(Gibco)にL-グルタミン0.3mg/ml、ペニシリンGカリウム100単位/ml、硫酸ストレプトマイシン100μg/ml、Gentacin 40μg/mlを添加し(DMEM)、これに牛胎児血清(JRH)を10%となるように加えた培養液を用いた。
細胞融合は、免疫マウスの脾臓細胞とSp2/0-Ag14細胞を混合し、そこにPolyethylene glycol solution(Sigma)を添加することにより行った。細胞融合はHAT-DMEM(0.1mM Sodium Hypoxanthine、0.4μM Aminopeterinおよび0.016mM Tymidine(Gibco)を含む血清加DMEM)で培養し、抗FluA NP抗体のスクリーニングには、不活化したInfluenza Virus, Type A (H1N1)を固相化したプレートを用いた酵素結合抗体法(ELISA)により培養上清中の抗体産生を確認した。また抗FluB NP抗体のスクリーニングには不活化したInfluenza B virusを固相化したプレートを用い、同様の方法にて培養上清中の抗体産生を確認した。
抗体産生陽性の細胞をHT-DMEM[0.1mM Sodium Hypoxanthineおよび0.016mM Thymidine(Gibco)を含む血清加DMEM]で培養し、さらに血清加DMEMで培養を続けた。ELISA法により抗体産生能の高い細胞を選択しクローニングした。クローニングした細胞は、2,6,10,14-Tetramethylpentadecane(Sigma)を接種しておいたマウス(BALB/c、リタイア、日本SLC)に腹腔内接種し、腹水を採取した。さらに、常法によりプロテインG吸着体を用いたIgG精製を行い、モノクローナル抗体を得た。作出したモノクローナル抗体のアイソタイプは、Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Reagents(Sigma)を用いてELISAで同定した。
最終的にFluA NPに対するモノクローナル抗体産生細胞3クローンF/169、B/347及びF/211が得られた。このうち、抗体産生細胞F/211は、A型インフルエンザウイルスH5N1亜型に対して反応しないため、以下、抗体産生細胞F/169及びB/347を用いた。FluB NPに対するモノクローナル抗体産生細胞が4クローン得られ、以下、F/171のみを用いた。
実施例4(抗インフルエンザウイルスH5亜型モノクローナル抗体の作出)
インフルエンザウイルスH5亜型であるA/duck/Pennsylvania/10128/84(H5N2)株を11日齢の孵化鶏卵の羊膜腔に接種し、培養した。数日後に羊水を採取しウイルスを得た。
得られたウイルスを抗原として、当該ウイルスに対するモノクローナル抗体を作出した。モノクローナル抗体の作出は常法に従っておこなった。
すなわち、100μgのウイルス抗原と等量のAdjuvant Complete Freund (Difco)を混合して、マウス(BALB/c、5週齢、日本SLC)に3回免疫し、その脾臓細胞を細胞融合に用いた。細胞融合には、マウスの骨髄腫細胞であるSp2/0-Ag14細胞(Shulmanら、1978)を用いた。
得られた融合細胞をHAT含有培地でセレクトした後に増殖せしめ、増殖せしめた融合細胞から、インフルエンザウイルスH5亜型の上記株と反応するモノクローナル抗体産生細胞を最終的に15クローン得た。
作出した15クローンのモノクローナル抗体と各種インフルエンザウイルスH5亜型との反応性を蛍光抗体法により確認し、結果を表1に示した。なお、蛍光抗体法は下記手順に従った。
蛍光抗体法
イヌ腎臓由来株化細胞(Madin-Darby canine kidney cell : MDCK細胞)を用いて蛍光抗体法を行った。MDCK細胞の培養にはイーグル最小必須培地(日水製薬)に56℃で30分間加熱非動化した10% Bovine calf serum(Roche)、0.3mg/ml L-グルタミン、100単位/mLペニシリンGカリウム、100μg/ml硫酸ストレプトマイシンを加えた後、炭酸水素ナトリウムでpHを調整した培地を用いた。
蛍光抗体法はOffice International Des Epizooties (2000)の方法に従った。Lab-Tek II Chamber Slide System (Nunc)に単層を形成させたMDCK細胞に104 TCID50/mlでウイルスを接種し、35℃で8時間培養後、培養上清を除去し、感染細胞をPBSで1回洗浄した。細胞を20分間100%冷アセトン(和光純薬)に浸し固定した後、乾燥させた。モノクローナル抗体を含むマウス腹水、もしくは培養上清を抗体希釈液(1% BSA及び0.05% Tween20を含むPBS)で800倍に希釈し、これを1次抗体液として添加し、室温で1時間反応させた。PBSで1回洗浄後、抗体希釈液で1000倍に希釈したFluerescence-conjugated Goat IgG Fraction to Mouse IgG (ICN Biomedicals)を2次抗体液として添加し、室温で1時間反応させた。PBSで1回洗浄後、細胞を封入剤(Glycerol for fluerescence microscopy (Merck) と0.5M 炭酸重炭酸バッファー(pH9.5)を比率3:1で混合したもの)で封入した後、蛍光顕微鏡(Axiovert 200, ZEISS)を用い、FITC Filter (Chroma) で観察した。判定は目視により核および細胞質に緑色の特異的な細胞内蛍光を確認することで陽性(+)と判定した。
Figure 0005351418
表1において、A/duck/Mi/54/76 (H5N3)、A/duck/HongKong/342/78 (H5N2)、A/duck/HongKong/698/79 (H5N3)、A/duck/Pennsylvania/10128/84 (H5N2)、A/swan/Hokkaido/4/96 (H5N3)、A/swan/Hokkaido/51/96 (H5N3)、A/swan/Hok/kaido/67/96 (H5N3)、A/duck/Hokkaido/69/00 (H5N3)、A/duck/Hokkaido/447/00 (H5N3)、A/duck/Mongolia/54/01 (H5N2)、A/duck/Mongolia/500/01 (H5N3)、A/duck/Mongolia/596/01 (H5N3)及びA/duck/Hokkaido/84/02 (H5N3)の13種はインフルエンザウイルスH5弱毒株であり、A/tn/S.Africa/61 (H5N3)、A/swan/Shima/449/83 (24a5b) (H5N3)、A/HongKong/156/97 (H5N1)、A/HongKong/483/97 (H5N1)、 A/duck/Yokohama/aq-10/2003 (H5N1) 及びA/chicken/Yamaguchi/7/04 (H5N1)の6種はインフルエンザウイルスH5強毒株である。
なお、表1において、A/duck/Mongolia/500/01(H5N3)及びA/duck/Mongolia/596/01(H5N3)は、それぞれ、A/duck/Mongolia/3/01(H5N3)及びA/duck/Mongolia/10/01(H5N3)と同等であることが知られている。
表1から、クローンNo.25, 40, 48, 64, A25, B168及びD31は、上記蛍光抗体法において、表1に示される13種の弱毒株及び6種の強毒株の全てに対して反応するものであることがわかる。これに対し、クローンNo.145, B220, 3, A27, B9, A310 B29及びB59は、上記蛍光抗体法において、表1に示される13種の弱毒株の全てに対して反応するが、6種の強毒株の少なくとも一つに対しては反応しないか又は弱毒株よりも反応性が低いことがわかる。
表1に示した15クローンより12種のクローンNo.3, A27, B29, 25, 40, 48, A25, 64, D31, B9, A310及びB168を選定し(なお、3種のクローンNo.3、A27及びB29については、以下、それぞれ、クローン3/3、A27/1及びB29/1と表記する)、これら12種のクローンのアイソタイプ及びA/duck/Pennsylvania/10128/84(H5N2)株を固相化抗原に用いたELISA法における力価を調べ、その結果を表2に示した。なお、表2中、Mabはクローンの種類を示し、Isotypeはモノクローナル抗体のイムノグロブリンアイソタイプを示し、ELISA titerはA/duck/Pennsylvania/10128/84(H5N2)株に対するELISA法による力価を示す。作出したモノクローナル抗体のアイソタイプは、Mouse Monoclonal Antibody Isotyping Reagents(Sigma)を用いてELISAで同定した。
Figure 0005351418
また、上記選定した12種のクローンについて、インフルエンザウイルスH5亜型以外のインフルエンザウイルスとの反応性をELISA法により確認し、結果を表3に示した。なお、表3の結果は12種のクローンに共通である。
Figure 0005351418
表3から明らかなように、上記12種のクローンはインフルエンザウイルスH5亜型以外のインフルエンザウイルスとは反応せず、したがって、インフルエンザウイルスH5亜型と特異的に反応するものであることがわかった。
また、上記クローンのうち、クローン3/3、A27/1及びB29/1から得られたモノクローナル抗体とA/duck/Pennsylvania/10128/84(H5N2)株とを混合して11日齢の孵化鶏卵の羊膜腔に接種し、培養し、数日後に羊水を採取しウイルスを得た。得られたウイルスは、上記モノクローナル抗体の選択圧がかかっているため、上記モノクローナル抗体が結合する部位に変異を生じている可能性が高い。
そこで、得られたウイルスのヘマグルチニン遺伝子をシークエンスし、そのアミノ酸配列を配列番号7の配列と比較したところ、前者のアミノ酸配列は、配列番号7のアミノ酸配列の168番目のアミノ酸残基が変異していることがわかった。
したがって、上記3種のクローン3/3、A27/1及びB29/1は、インフルエンザウイルスH5亜型のヘマグルチニン蛋白に特異的に結合するものであり、さらには、配列番号7の168番目のアミノ酸残基を含むエピトープを認識するものであることが示された。
実施例5(イムノクロマトグラフィー測定装置の作製)
(1)抗FluA NP抗体、抗FluB NP抗体および抗H5抗体の調製
実施例3で得られた抗FluA NP抗体産生細胞F/169およびB/347のそれぞれを、マウス腹腔に接種し、抗FluA NP抗体を含んだ腹水を得た。また、実施例3で得られた抗FluB NP抗体産生クローンF/171をマウス腹腔に接種し、抗FluB NP抗体を含んだ腹水を得た。さらに実施例4で得られた12種の抗H5抗体産生細胞のそれぞれを、マウス腹腔に接種し、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する抗体(以下、「抗H5抗体」)を含んだ腹水を得た。さらに、常法によりプロテインG吸着体を用いたIgG精製を行い、それぞれの抗体を得た。
(2)金コロイド溶液の調製
加熱によって沸騰させた超純水99mlに、1%(v/w)塩化金酸水溶液1mlを加え、さらに、その1分後に1%(v/w)クエン酸ナトリウム水溶液1.5mlを加えて加熱し5分間沸騰させた後、室温に放置して冷却した。次いで、この溶液に200mM炭酸カリウム水溶液を加えてpH9.0に調製し、これに超純水を加えて全量を100mlとして金コロイド溶液を得た。
(3)金コロイド標識抗体溶液の調製
上記(1)にて得られた抗体産生細胞B347由来の抗FluA NP抗体(以下、抗FluA NP抗体B347)、抗体産生細胞F/171由来の抗FluB NP抗体(以下、抗FluB NP抗体F/171)および12種の抗体産生細胞由来の抗H5抗体を下記の手順でそれぞれ金コロイド標識した。
抗FluA NP抗体の蛋白換算重量3μgと上記(2)の金コロイド溶液1mlとを混合し、室温で2分間静置してこの抗体のことごとくを金コロイド粒子表面に結合させた後、金コロイド溶液における最終濃度が1%になるように10%BSA水溶液を加え、この金コロイド粒子の残余の表面をことごとくこのBSAでブロックして、金コロイド標識抗FluA NP抗体溶液を調製した。この溶液を遠心分離(5600XG、30分間)して金コロイド標識抗体を沈殿せしめ、上清液を除いて金コロイド標識抗体を得た。この金コロイド標識抗体を10%サッカロース・1%BSA・0.5%トリトン(Triton)-X100を含有する50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4)に懸濁して金コロイド標識抗FluA NP抗体溶液を調製した。また抗FluB NP抗体の蛋白換算重量1μgを上記方法にて金コロイド粒子表面に結合させ金コロイド標識抗FluB NP抗体溶液を調製した。さらに抗H5抗体の蛋白換算重量1μgを上記方法にて金コロイド粒子表面に結合させ金コロイド標識抗H5抗体溶液を調製した。
(4)イムノクロマトグラフィー測定装置の作製
図4に示されるイムノクロマト法テストストリップを下記の手順で作製した。
(4-1)膜担体の第一の捕捉部位の形成
幅5mm、長さ36mmの細長い帯状のニトロセルロース膜を膜担体3として用意した。
抗FluA NP抗体B347、1.0mg/mlが含有されてなる溶液0.5μlを、この膜担体3における上流側の末端から5.0mmの位置にライン状に塗布して、これを室温で乾燥させ、A型インフルエンザウイルス抗原と標識抗体との複合体の捕捉部位41a(第一の捕捉部位)を形成した。また、抗FluB NP抗体F/171、1.0mg/mlが含有されてなる溶液0.5μlを、この膜担体3の上流側の末端から8.0mmの位置にライン状に塗布して、これを室温で乾燥し、B型インフルエンザウイルス抗原と標識抗体との複合体の捕捉部位41bを形成した。
(4-2)膜担体の第二の捕捉部位の形成
上記(4-1)で用いた膜担体と同様の膜担体3をもう一つ用意した。
上記(1)で得られた抗H5抗体1.0mg/mlが含有されてなる溶液0.5μlを、この膜担体3の上流側の末端から5.0mmの位置にライン状に塗布して、これを室温で乾燥し、インフルエンザウイルスH5亜型と標識抗体との複合体の捕捉部位41c(第二の捕捉部位)とした。
(4-3)金コロイド標識抗体含浸部材の作製
5mmX15mmの帯状のガラス繊維不織布に、上記(3)で得られた金コロイド標識抗FluA NP抗体溶液および金コロイド標識抗FluB NP抗体溶液を混合した溶液37.5μlを含浸せしめ、これを室温で乾燥させて金コロイド標識抗FluA NP抗体および抗FluB NP抗体含浸部材とした。また別の5mmX15mmの帯状のガラス繊維不織布に、上記(3)で得られた金コロイド標識抗H5抗体溶液37.5μlを含浸せしめ、これを室温で乾燥させて金コロイド標識抗H5抗体含浸部材とした。前者の標識抗体含浸部材をテストストリップ10の含浸部材2として用い、後者の標識抗体含浸部材をテストストリップ20の含浸部材2として用い、上記(4−1)で得られた膜担体をテストストリップ10の膜担体3として用い、上記(4−2)で得られた膜担体をテストストリップ20の膜担体3として用い、その他、各テストストリップの試料添加用部材6として綿布を、吸収用部材5として濾紙を用いて、図4と同様の配置のイムノクロマトグラフィー測定装置を作製した。
実施例6(インフルエンザウイルスH5亜型に対する反応性試験)
実施例5にて作製したイムノクロマトグラフィー測定装置(第二の捕捉部位に固定する抗H5抗体としてB29/1を用い、金コロイド標識抗体の抗H5抗体としてA27/1を用いた)を使用し、インフルエンザウイルスH5亜型に対する反応性試験を実施した。試験は、インフルエンザウイルスH5亜型、A/duck/Miyagi/54/76 (H5N3)、A/duck/Hong Kong/342/78 (H5N2)、A/duck/Hong Kong/698/79、A/swan/Hokkaido/4/96 (H5N3)、A/swan/Hokkaido/67/96 (H5N3)、A/swan/Hokkaido/51/96 (H5N3)、A/duck/Hokkaido/69/00 (H5N3)、A/duck/Hokkaido/447/00 (H5N3)、A/duck/Mongolia/54/01 (H5N2)、A/duck/Mongolia/596/00 (H5N3)、A/duck/Mongolia/500/01 (H5N3)、A/duck/Hokkaido/84/02 (H5N3)を検体希釈液にて調製し被験試料とした。そして、被験試料100μlを実施例5にて得られたイムノクロマトグラフィー測定装置の試料添加用部材6にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第二の捕捉部位41cで捕捉されたウイルス抗原と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉量を肉眼で観察した。捕捉量は、その量に比例して増減する赤紫色の呈色度合いを肉眼で、−(着色なし)、±(微弱な着色)、+(明確な着色)、++(より明確な着色)、+++(顕著な着色)の5段階に区分して判定した。結果を表4に示した。
Figure 0005351418
表4から明らかなように試験に供したインフルエンザウイルスH5亜型に対して高い反応性を示した。よってインフルエンザウイルスH5亜型を検出できることがわかった。
実施例7(A型インフルエンザウイルス各種亜型との反応性試験)
実施例5にて作製したイムノクロマトグラフィー測定装置(インフルエンザA型およびB型判定部位とH5亜型判定部位を有するイムノクロマトキットで、第二の捕捉部位に固定する抗H5抗体としてB29/1を用い、金コロイド標識抗体の抗H5抗体としてA27/1を用いた)を使用し、A型インフルエンザウイルス15種類の亜型に対する反応性試験を実施した。試験はインフルエンザウイルスA型を発育鶏卵にて増殖させ得た漿尿液を用い、検体希釈液で調製して被験試料とした。そして、被験試料150μlを実施例5で得られたイムノクロマトグラフィー測定装置の試料添加用部材6にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第一の捕捉部位41aおよび第二の捕捉部位41cで捕捉されたウイルス抗原と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉量を肉眼で観察した。捕捉量は実施例6と同様の基準にて判定した。
なお、A型インフルエンザウイルス亜型として、A/duck/Tottori/723/80 (H1N1)、A/duck/Hokkaido/17/01 (H2N2)、A/duck/Mongolia/4/03 (H3N8)、A/duck/Czech/56 (H4N6)、A/duck/Pennsylvania/10128/83 (H5N2)、A/Hong Kong/156/97 (H5N1)、A/Hong Kong/483/97 (H5N1)、A/turey/Massachusetts/3740/65 (H6N2)、A/seal/Massachusetts/1/80 (H7N7)、A/turey/Ontario/67 (H8N4)、A/turey/Wisconsin/66 (H9N2)、A/chicken/Germany/N/49 (H10N7)、A/duck/England/56 (H11N6)、A/duck/Alberta/60/76 (H12N5)、A/gull/Maryland/704/77 (H13N6)、A/mallard/Astrakhan/263/82 (H14N5)、A/duck/Australia/341/83 (H15N8)を試験に供した。結果を表5に示す。
表5から明らかなように、第一の捕捉部位41aにおいては試験に供したウイルス株全てにおいて顕著な呈色が確認された。また、捕捉部位41bにおいてはいずれのウイルス亜型においても呈色は見られなかった。一方、第二の捕捉部位41cにおいては試験に供したH5株においてのみ明らかな呈色が確認され、他の亜型においては呈色は確認されなかった。従って、本発明の実施例5記載のイムノクロマトグラフィー測定装置は、核タンパクを検出する第一の捕捉部位41aにおいては全てのインフルエンザウイルスA型に対して反応性を示し、ヘマグルチニン蛋白を検出する第二の捕捉部位41cにおいてはインフルエンザウイルスH5亜型に対してのみ反応することが示された。両捕捉部位41a及び41cの判定部位を総合することにより、インフルエンザウイルスH5亜型を高い特異性で確実に検出することが可能となった。
Figure 0005351418
実施例8(モノクローナル抗体AA168を用いたインフルエンザウイルスH5弱毒株検出)
実施例5にて作製したイムノクロマトグラフィー測定装置において、第二の捕捉部位に固定する抗H5抗体及び金コロイド標識抗体の抗H5抗体として表6記載の組合せを用いた全5種類の測定装置を用意した。
そして、A/duck/Pennsylvania/10128/84(H5N2)株(HA価:512)を検体希釈液で希釈して2.5μg/mLに調整し、被験試料とした。そして、被験試料100μlを上記測定装置のテストストリップの試料添加用部材6にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第二の捕捉部位41cで捕捉されたA/duck/Pennsylvania/10128/84 (H5N2)株と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉量を肉眼で観察した。捕捉量は、その量に比例して増減する赤紫色の呈色度合いを肉眼で、−(着色なし)、±(微弱な着色)、+(明確な着色)、++(顕著な着色)の4段階(但し、wは弱めを示す)に区分して判定した。対照として、検体希釈液100μlを同様にクロマト展開し呈色度合いを観察した。その結果を表6に示した。
Figure 0005351418
表6から明らかなように、表6の何れの組合せの場合でも、インフルエンザウイルスH5亜型を検出できることがわかった。
実施例9(各種抗H5抗体を用いた反応性試験)
実施例5にて作製したイムノクロマトグラフィー測定装置において、第二の捕捉部位に固定する抗H5抗体及び金コロイド標識抗体の抗H5抗体として表7記載の組合せを用いた全144種類の測定装置を用意した。なお、表7中、第二の捕捉部位に固定された抗体はメンブレン固相化抗体と表記している。
インフルエンザウイルスH5強毒株であるA/Chicken/Yamaguchi/7/04(H5N1)株(HA価:1024HA)を検体希釈液で625倍に希釈して被験試料とした。そして、被験試料100μlを上記測定装置のテストストリップの試料添加用部材6にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第二の捕捉部位41cで捕捉されたA/Chicken/Yamaguchi/7/04(H5N1)株と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉量を肉眼で観察した。捕捉量は、その量に比例して増減する赤紫色の呈色度合いを肉眼で−(着色なし)、±(微弱な着色)、+(明確な着色)の3段階に区分して判定した。対照として、検体希釈液100μlを同様にクロマト展開し呈色度合いを観察した。その結果を表7に示した。
Figure 0005351418
表7から明らかなように、クローン64, A25, 25, 48の4種がインフルエンザウイルスH5強毒株の検出に好適であることがわかった。なお、クローンA27及びA310については、表1の結果において少なくとも1つのインフルエンザウイルスH5強毒株に対して反応しないので、インフルエンザウイルスH5強毒株の検出には好ましくないと思われる。
実施例10(モノクローナル抗体WSを用いたインフルエンザウイルスH5強毒株検出)
実施例5にて作製したイムノクロマトグラフィー測定装置(第二の捕捉部位に固定する抗H5抗体としてNo.64を用い、金コロイド標識抗体の抗H5抗体としてNo.64を用いた)を使用し、インフルエンザウイルスH5強毒株に対する反応性試験を実施した。インフルエンザウイルスH5亜型の原液として、A/Vietnam/1194/04 (H5N1)、A/Chicken/Suphanburi/1/04 (H5N1)、A/Chicken/Yamaguchi/7/04 (H5N1)、A/Whooperswan/Mongolia/3/05 (H5N1)、A/HongKong/483/97 (H5N1)、 A/Chicken/Ibaraki/1/05 (H5N2) 及びA/Swan/Hokkaido/51/96 (H5N3)を用い、対照としてA/Chicken/Italy/99 (H7N1) 及びA/Chicken/Netherlands/03 (H7N7)を用いた。
そして、被験試料100μlを上記測定装置のテストストリップの試料添加用部材6にマイクロピペットで滴下してクロマト展開し、室温で15分放置後、第一の捕捉部位41a及び第二の捕捉部位41cで捕捉された各ウイルス株と金コロイド標識抗体との複合体の捕捉量を肉眼で観察した。捕捉量は、その量に比例して増減する赤紫色の呈色度合いを肉眼で−(着色なし)、±(微弱な着色)、+(明確な着色)、++(より明確な着色)、+++(顕著な着色)の5段階に区分して判定した。
結果を表8に示した。表8から明らかなように、両抗H5抗体としてNo.64を用いたイムノクロマトキットは、対照としたインフルエンザウイルスH7亜型に対しては反応性を示さなかったが、インフルエンザウイルスH5強毒株及び弱毒株と良好に反応し、とりわけ、インフルエンザウイルスH5強毒株の検出に好適であることが示された。
Figure 0005351418
本発明は、全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体、及び、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体を用い、第一の抗体との反応が陽性で且つ第二の抗体との反応が陽性である抗原を免疫測定法によって検出することからなるA型インフルエンザウイルスH5亜型の検出法、特に、サンドイッチ式免疫測定法、イムノクロマトグラフィー測定法および測定装置を提供するものであり、インフルエンザウイルスH5亜型に属するウイルスを特異的に簡単な方法で迅速に検出できるので、当該ウイルスに起因するヒト、鳥等の疾病を迅速かつ簡便に診断するために有用である。
aは1本のイムノクロマト法テストストリップから構成された本発明のイムノクロマトグラフィー測定装置の具体例を示す平面図、bはaで示された装置の縦断面図。 2本のイムノクロマト法テストストリップから構成された本発明のイムノクロマトグラフィー測定装置の具体例を示す平面図。 2本のイムノクロマト法テストストリップから構成された本発明のイムノクロマトグラフィー測定装置の他の具体例を示す平面図。 aは2本のイムノクロマト法テストストリップから構成された本発明のイムノクロマトグラフィー測定装置の更に別の具体例を示す平面図、bはaで示された装置の縦断面図。
符号の説明
1 粘着シート
2 含浸部材
3 膜担体
4 捕捉部位
42 コントロールライン
5 吸収用部材
6 試料添加用部材
10 イムノクロマト法テストストリップ
20 イムノクロマト法テストストリップ

Claims (17)

  1. 全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体を用いた第一の免疫測定と、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体を用いた第二の免疫測定とを併用してなり、第一の抗体がA型インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体であり、第二の抗体が、配列番号7に示されるヘマグルチニン蛋白のアミノ酸配列の168番目のアミノ酸を含むエピトープを認識するモノクローナル抗体であることを特徴とするA型インフルエンザウイルスH5亜型の検出法。
  2. 第一の免疫測定及び/又は第二の免疫測定がサンドイッチ式免疫測定である請求項に記載の検出法。
  3. 全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体、及び、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体をそれぞれ予め所定位置に固定せしめて形成された第一及び第二の捕捉部位を備える膜担体を用意し、前記第一の抗体が反応する抗原に対して反応する第三の抗体と被験試料との第一の混合液、及び、前記第二の抗体が反応する抗原に対して反応する第四の抗体と前記被験試料との第二の混合液を、それぞれ第一及び第二の捕捉部位に向けて前記膜担体にてクロマト展開せしめるか、または、第三の抗体と第四の抗体と被験試料との混合液を前記捕捉部位の双方に向けて前記膜担体にてクロマト展開せしめ、前記第一の捕捉部位における第一の抗体との反応が陽性であることをもってA型インフルエンザウイルスを検出し、さらに第二の捕捉部位における第二の抗体との反応が陽性であることをもってA型インフルエンザウイルスH5亜型を検出できるようにしたイムノクロマトグラフィー測定法であって、第一の抗体がA型インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体であり、第二の抗体が、配列番号7に示されるヘマグルチニン蛋白のアミノ酸配列の168番目のアミノ酸を含むエピトープを認識するモノクローナル抗体であることを特徴とするイムノクロマトグラフィー測定法。
  4. 前記第三及び第四の抗体は金属コロイドまたはラテックスで標識されている請求項に記載の測定法。
  5. 前記膜担体がニトロセルロース膜である請求項に記載の測定法。
  6. 全てのA型インフルエンザウイルス亜型に対して反応する第一の抗体と、A型インフルエンザウイルスH5亜型に対して特異的に反応する第二の抗体と、前記第一の抗体が反応する抗原に対して反応する第三の抗体と、前記第二の抗体が反応する抗原に対して反応する第四の抗体と、膜担体とを少なくとも備え、前記第一及び第二の抗体はそれぞれ予め膜担体の所定位置に固定されて第一及び第二の捕捉部位を形成し、前記第三及び第四の抗体は適当な標識物質で標識され、かつ、前記第三及び第四の抗体は前記捕捉部位の双方から離隔した位置からそれぞれ第一及び第二の捕捉部位に向けて前記膜担体にてクロマト展開可能なように用意されてなるイムノクロマトグラフィー測定装置であって、第一の抗体がA型インフルエンザウイルスの核タンパクに対する抗体であり、第二の抗体が、配列番号7に示されるヘマグルチニン蛋白のアミノ酸配列の168番目のアミノ酸を含むエピトープを認識するモノクローナル抗体であることを特徴とするA型インフルエンザウイルスH5亜型検出用イムノクロマトグラフィー測定装置。
  7. 前記膜担体は、第一の捕捉部位と第二の捕捉部位とを互いに離隔させて備えてなる単一の膜担体からなる請求項に記載の測定装置。
  8. 前記膜担体は、第一の抗体が固定された第一の膜担体と、第二の抗体が固定された第二の膜担体とからなる請求項に記載の測定装置。
  9. 前記第三の抗体は前記第一の膜担体上に用意されており、前記第四の抗体は前記第二の膜担体上に用意されている請求項に記載の測定装置。
  10. 前記第三及び第四の抗体は、それぞれ、前記第一及び第二の膜担体上に配置された含浸部材に含浸されて用意されている請求項に記載の測定装置。
  11. 前記第一の膜担体及び前記第二の膜担体は何れも細長形状を備え、両膜担体の含浸部材を互いに所定の間隔をおいて離隔させて相互に並行して配置されている請求項10に記載の測定装置。
  12. 前記第一の膜担体及び前記第二の膜担体は何れも細長形状を備え、両膜担体の含浸部材を互いに所定の間隔をおいて離隔させて放射方向に又は反対方向に配置されている請求項10に記載の測定装置。
  13. 第一及び第二の膜担体の双方に連接した含浸部材を備え、該含浸部材には第三の抗体及び第四の抗体が含浸されている請求項に記載の測定装置。
  14. 前記第三及び第四の抗体は金属コロイドまたはラテックスで標識されている請求項に記載の測定装置。
  15. 前記膜担体がニトロセルロース膜である請求項14に記載の測定装置。
  16. 前記膜担体はケース内に収容されてなる請求項に記載の測定装置。
  17. 前記第三の抗体及び/又は第四の抗体はケース外又はケース内に収容されている請求項16に記載の測定装置。
JP2007551981A 2005-12-26 2006-12-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法 Active JP5351418B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007551981A JP5351418B2 (ja) 2005-12-26 2006-12-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005373585 2005-12-26
JP2005373585 2005-12-26
JP2007551981A JP5351418B2 (ja) 2005-12-26 2006-12-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法
PCT/JP2006/325887 WO2007074812A1 (ja) 2005-12-26 2006-12-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法

Related Child Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013093233A Division JP5849065B2 (ja) 2005-12-26 2013-04-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2007074812A1 JPWO2007074812A1 (ja) 2009-06-04
JP5351418B2 true JP5351418B2 (ja) 2013-11-27

Family

ID=38218032

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007551981A Active JP5351418B2 (ja) 2005-12-26 2006-12-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法
JP2013093233A Active JP5849065B2 (ja) 2005-12-26 2013-04-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法

Family Applications After (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013093233A Active JP5849065B2 (ja) 2005-12-26 2013-04-26 A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP5351418B2 (ja)
WO (1) WO2007074812A1 (ja)

Families Citing this family (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5490725B2 (ja) * 2008-02-05 2014-05-14 テマセック・ライフ・サイエンシズ・ラボラトリー・リミテッド H5亜型インフルエンザウイルスの普遍的な検出のための結合タンパク質およびエピトープブロッキングelisa
CN101990575B (zh) * 2008-03-28 2015-06-17 国立大学法人北海道大学 抗h5亚型a型流感病毒血凝素单克隆抗体
JP2010085126A (ja) * 2008-09-29 2010-04-15 Adtec Kk 狂犬病ウイルス中和抗体価判定具および狂犬病ウイルス中和抗体価の測定方法
JP2010261912A (ja) * 2009-05-11 2010-11-18 Bl:Kk ヒトインフルエンザウイルスh3亜型の免疫学的検出法
CN102360013B (zh) * 2011-04-26 2014-01-01 四川农业大学 用于检测鸭瘟病毒抗体的elisa试剂盒及抗体检测方法
JP2013087069A (ja) * 2011-10-17 2013-05-13 Toyobo Co Ltd H5亜型インフルエンザウイルスを特異的に認識するモノクローナル抗体
CN102645538B (zh) * 2012-03-28 2014-05-07 广西壮族自治区兽医研究所 H5亚型禽流感病毒抗体的ha抗原表位胶体金快速检测试纸条
JP5469783B1 (ja) * 2013-09-26 2014-04-16 株式会社 富山研究所 薬剤耐性インフルエンザウイルス検出キット
CN103869067B (zh) * 2014-04-01 2015-12-02 开封市疾病预防控制中心 一种甲型流感病毒胶体金诊断检测试纸及其制备方法
KR101587645B1 (ko) * 2014-07-08 2016-01-22 주식회사 녹십자엠에스 멀티 인플루엔자 검출용 키트 및 이를 이용하여 인플루엔자를 검출하는 방법
EP3368901A1 (en) * 2015-10-29 2018-09-05 Thomas Bruderer Subtractive immunoassay method and lateral flow immunochromatography assay strip for performing the method
JP2018058812A (ja) * 2016-06-01 2018-04-12 パナソニックIpマネジメント株式会社 インフルエンザウィルス核内蛋白質に結合する抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法
JP2021004177A (ja) 2017-09-12 2021-01-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 インフルエンザウイルス核内蛋白質に結合する抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法
WO2019054198A1 (ja) 2017-09-12 2019-03-21 パナソニックIpマネジメント株式会社 インフルエンザウイルス核内蛋白質に結合する抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法
WO2019058903A1 (ja) 2017-09-20 2019-03-28 帝人株式会社 クロマトグラフィー媒体用基材、クロマトグラフィー媒体及びイムノクロマトグラフ用ストリップ
JP7308477B2 (ja) * 2019-03-11 2023-07-14 パナソニックIpマネジメント株式会社 抗体、複合体、それを用いた検出装置及び検出方法
CN116693675B (zh) * 2023-07-31 2023-10-20 南京佰抗生物科技有限公司 抗甲型流感病毒核衣壳蛋白的单克隆抗体组合物及应用

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005007697A1 (ja) * 2003-07-23 2005-01-27 Fujirebio Inc. 抗インフルエンザa型ウイルスモノクローナル抗体及び該抗体を用いる免疫測定器具

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004509648A (ja) * 2000-10-05 2004-04-02 ホンコン ディーエヌエー チップス リミティド 非病原性又は病原性インフルエンザaサブタイプh5ウイルス検出キット

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005007697A1 (ja) * 2003-07-23 2005-01-27 Fujirebio Inc. 抗インフルエンザa型ウイルスモノクローナル抗体及び該抗体を用いる免疫測定器具

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6012040678; J Virol Vol.63, No.8, Page.3453-3458, 1989 *

Also Published As

Publication number Publication date
JP5849065B2 (ja) 2016-01-27
JP2013174607A (ja) 2013-09-05
WO2007074812A1 (ja) 2007-07-05
JPWO2007074812A1 (ja) 2009-06-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5849065B2 (ja) A型インフルエンザウイルスh5亜型の検出法
JP5432453B2 (ja) A型インフルエンザウイルス強毒株の検出法
AU2008297594B2 (en) Monoclonal antibodies specific to hemagglutinin and neuraminidase from influenza virus H5-subtype or N1-subtype and uses thereof
US9115188B2 (en) Monoclonal antibodies specific to hemagglutinin from influenza virus H5-subtype and uses thereof
AU2007353481B2 (en) H5 subtype-specific binding proteins useful for H5 avian influenza diagnosis and surveillance
JP5435844B2 (ja) インフルエンザウイルスh5亜型の免疫検出法
JP5827701B2 (ja) インフルエンザウイルスh5亜型の免疫検出法
JP2010261912A (ja) ヒトインフルエンザウイルスh3亜型の免疫学的検出法
JP2011069800A (ja) ヒトインフルエンザウイルスh1亜型の免疫学的鑑別検出法
JP2006067979A (ja) インフルエンザa型ウイルスの免疫検出法
JP6824026B2 (ja) インフルエンザウイルスh5亜型の免疫検出法
AU2013224734A1 (en) Monoclonal antibodies specific to hemagglutinin and neuraminidase from influenza virus h5-subtype or n1-subtype and uses thereof

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080512

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091021

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120828

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121025

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130426

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130813

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130823

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5351418

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250