JP5350772B2 - 車両の駆動制御装置及び発進制御方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点を考慮したものであり、クラッチの保護を図りつつクラッチ伝達トルクの制限による発進時の駆動力制限を低減若しくは解除することを課題とする。
また、クラッチ発熱の状態に応じて滑り締結するクラッチを選定して変更する事で、クラッチ発熱の状態に応じて滑り締結している時間を調整可能となる。このため、滑り締結しているクラッチの目標クラッチ締結トルクの制限を、回避若しくは低減することが可能となる。
以上のことから、クラッチの保護を図りつつクラッチ伝達トルクの制限による発進時の駆動力制限を低減若しくは解除することが可能となる。
本実施形態では、車両としてハイブリッド車両を例に挙げて説明するが、エンジンだけ若しくはモータだけで駆動する構成の車両であっても適用可能である。
図1は実施形態の制駆動装置を備える後輪駆動によるハイブリッド車両の概要構成図である。
まず駆動系の構成について説明する。
エンジンEから左右後輪(駆動輪)までのトルク伝達経路の途中に、モータMG及び自動変速機AT(=トランスミッションT/M)を介装する。第2クラッチCL2は、自動変速機AT(=トランスミッションT/M)の一部を構成する。また、エンジンEとモータMGとの間に、第1クラッチCL1を介装する。自動変速機ATは、プロペラシャフトPS、ディファレンシャルDF、及びドライブシャフトDSL、DSRを介して駆動輪に接続する。符号FL、FRは、従動輪としての左右前輪を示す。
上記モータMGは、例えばロータに永久磁石を埋設しステータにステータコイルを巻き付けた同期型モータである。モータMGは、後述するモータコントローラ2からの制御指令に基づき、インバータ3で作り出した三相交流を印加することで制御出来る。このモータMGは、バッテリ4からの電力の供給を受けて回転駆動する電動機として動作することもできる(以下、この状態を「力行」と呼ぶ)。また、モータMGは、ロータが外力により回転している場合には、ステータコイルの両端に起電力を生じさせる発電機として機能してバッテリ4を充電することもできる(以下、この動作状態を「回生」と呼ぶ)。なお、このモータMGのロータは、図外のダンパーを介して自動変速機ATの入力軸に連結する。
上記第2クラッチCL2は、油圧式多板クラッチである。上記第2クラッチCL2は、後述するATコントローラ7からの制御指令に基づき、第2クラッチ油圧ユニット8で作り出した制御油圧により、締結状態若しくは開放状態となる。なお、締結・開放には、滑り締結と滑り開放を含む。
ここで、上記第2クラッチCL2は、専用クラッチとして新たに追加したものではなく、自動変速機ATの各変速段にて締結する複数の摩擦締結要素のうち、いくつかの摩擦締結要素を流用して構成する。
上記ハイブリッド車両の制御系は、図1に示すように、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、インバータ3と、バッテリ4と、第1クラッチコントローラ5と、第1クラッチ油圧ユニット6と、ATコントローラ7と、第2クラッチ油圧ユニット8と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10と、を有する。なお、エンジンコントローラ1と、モータコントローラ2と、第1クラッチコントローラ5と、ATコントローラ7と、ブレーキコントローラ9と、統合コントローラ10とは、互いに情報交換が可能なCAN通信線11を介して接続する。
上記ATコントローラ7は、アクセル開度センサ16と車速センサ17と第2クラッチ油圧センサ18からのセンサ情報を入力する。そして、上記ATコントローラ7は、アクセル開度と車速とに基づき、変速スケジュールを参照して目標変速段を演算し、その演算した目標変速段に基づき変速制御を行う。
車両停止中において、バッテリSOCの低下時であれば、エンジンEを始動して発電を行い、バッテリ4を充電する。そして、バッテリSOCが通常範囲になれば、第1クラッチCL1は締結で第2クラッチCL2は開放のままでエンジンEを停止する。
エンジン発進時には、アクセル開度APとバッテリSOC状態によって、モータMGを連れ回し、力行/発電に切り替える。
モータ走行は、エンジン始動に必要なモータトルクとバッテリ出力を確保し、不足する場合はエンジン走行に移行する。
燃費向上のために、モータ走行と発電上乗せ充電はセットで行う。つまり、モータトルクとバッテリ出力の制約により、走行可能範囲は、低負荷に限定する。
アクセル踏み込み時のレスポンス向上のために、エンジントルク遅れ分をモータMGによりアシストする。
ブレーキON減速時には、運転者のブレーキ操作に応じた減速力を回生協調ブレーキ制御にて得る。
エンジン走行やモータ走行中における変速時には、加減速中の変速に伴う回転数合わせのために、モータMGを回生/力行させ、トルクコンバータ無しでのスムーズな変速を行う。
駆動制御部本体10Aは、ハイブリッド駆動制御(エンジン制御・モータ制御・第1クラッチ制御・第2クラッチ制御)の全体処理部である。
この駆動制御部本体10Aは、所定のサンプリング周期で実行する。駆動制御部本体10Aは、実行すると先ず、ステップS1で、バッテリSOC、バッテリ入力可能電力、及びアクセル開度に基づき、目標駆動力を演算する。
ステップS3では、ステップS1で演算した目標駆動力及び車速に基づき、モードマップを参照して目標モードを演算する。
ここで、目標モードとしては、「エンジン走行モード」と「電気モータモード(以下、「EVモード」)」とがある。「エンジン走行モード」は、第1クラッチCL1を締結しエンジンEを主たる動力源とするモードである。「EVモード」は、第1クラッチCL1を開放しモータMGを動力源とするモードである。例えば、目標駆動力が大きい領域では、「エンジン走行モード」を選択する。
ステップS5では、「エンジン走行モード」から「EVモード」へのモード遷移か、あるいは、「EVモード」から「エンジン走行モード」へのモード遷移か、を演算する。
ステップS6では、目標クラッチトルク演算部10Cで、第1クラッチCL1の目標クラッチ締結容量と第2クラッチCL2の目標クラッチ締結容量を演算する。
ステップS8では、目標モータトルク演算部10Dで、モータMGの目標モータトルクを演算する。
ステップS9では、エンジンコントローラ1、モータコントローラ2、第1クラッチコントローラ5、ATコントローラ7に対する最終指令値を演算し、復帰する。
まずステップS41では、目標モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。目標モードがエンジン走行モードの場合はステップS42へ移行する。一方、目標モードがエンジン走行モードでない場合には、ステップS45へ移行する。
ステップS43では、エンジン走行モード用目標エンジントルク演算部10Eで、エンジン走行モード中の目標エンジントルクの演算を実施して、復帰する。
ステップS45では、現モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。現モードがエンジン走行モードである場合には、ステップS46へ移行する。一方、現モードがエンジン走行モードでない場合にはステップS47へ移行する。
ステップS46では、EVモード移行時の目標エンジントルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS47では、EV走行モード中の目標エンジントルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS61では、目標モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。目標モードがエンジン走行モードである場合はステップS62へ移行する。一方、目標モードがエンジン走行モードでない場合にはステップS65へ移行する。
ステップS62では、現モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。現モードがエンジン走行モードである場合にはステップS63へ移行する。一方、現モードがエンジン走行モードで無い場合にはステップS64へ移行する。
ステップS64では、エンジン始動時の目標クラッチトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS65では、現モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。現モードがエンジン走行モードである場合にはステップS66へ移行する。一方、現モードがエンジン走行モードで無い場合にはステップS67へ移行する。
ステップS66では、EVモード移行時の目標クラッチトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS67では、EV走行モード中の目標クラッチトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS81は、目標モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。目標モードがエンジン走行モードである場合にはステップS82へ移行する。一方、目標モードがエンジン走行モードで無い場合にはステップS85へ移行する。
ステップS82では、現モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。現モードがエンジン走行モードである場合にはステップS83へ移行する。一方、現モードがエンジン走行モードで無い場合にはステップS84へ移行する。
ステップS84では、エンジン始動時の目標モータトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS85では、現モードがエンジン走行モードであるか否かを判定する。現モードがエンジン走行モードである場合はステップS86へ移行する。現モードがエンジン走行モードで無い場合にはステップS87へ移行する。
ステップS86では、EVモード移行時の目標モータトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS87では、EV走行モード中の目標モータトルクの演算を実施し、復帰する。
ステップS43−1では、車速≦判定閾値、かつ、要求駆動力≦0、かつ、アクセル開度>0との条件を満足するか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS43−3へ移行する。条件を満足しない場合にはステップS43−2へ移行する。
ステップS43−3では、アクセル開度に応じた設定回転数を目標エンジン回転数として設定し、ステップS43−4へ移行する。
ステップS43−5では、(回生可能バッテリ電力÷目標エンジン回転数×モータ効率)の式により求めた値を、バッテリ入力可能トルクとして設定し、ステップS43−6へ移行する。
ステップS43−7では、ステップS43−5で求められたバッテリ入力可能トルクが、ステップS43−6で求めた目標回転数エンジントルク未満か否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS43−8へ移行する。条件を満足しない場合にはステップS43−9へ移行する。
ステップS43−8では、目標エンジントルクにバッテリ入力可能トルクを代入し、復帰する。
ステップS43−9では、目標エンジントルクに目標回転数エンジントルクを代入し、復帰する。
ステップS63−1では、車速≦判定閾値、かつ、要求駆動力≦0、かつ、アクセル開度>0の条件を満足するか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS63−2へ移行する。条件を満足しない場合にはステップS63−3へ移行する。なお、ステップS43−1と同様に、車速≦判定閾値、かつ、要求駆動力≦0という判定に代え、インヒビタースイッチ24によりNレンジ位置の選択判定を行っても良い。
ステップS63−3では、変速機AT中のクラッチ滑り処理中が否かを判定する。ここでは、車速がクラッチL/U車速以下か否かで判定する。車速がクラッチL/U車速以下の場合には、クラッチ滑り処理中と判定してステップS63−4へ移行する。クラッチ滑り処理中でない場合ステップS63−9へ移行する。
ここで、目標エンジン回転数は、バッテリ入力状態によってモータトルクを回生できる範囲内で設定する、アクセル開度に応じた回転数である。更に、目標エンジン回転数は、第2クラッチCL2の締結によるエンジン回転数低下でアイドル回転数を下回らない回転数である。
ステップS63−6では、滑り締結処理部10Hで、変速機ATの滑り締結処理を演算して、復帰する。
ステップS63−9では、通常のエンジン走行中における目標第2クラッチ締結トルクの演算を実施し、終了へ移行する。
先ず、ステップS100で、1速での、第2クラッチCL2の滑り処理中か否かを判定する。第2クラッチCL2の滑り処理中の場合には、ステップS120に移行する。第2クラッチCL2の滑り処理中でない場合にはステップS210に移行する。
第2クラッチCL2の発熱量(Q1)は、次の式で求める。
Q1 = Tc ×ω×Δt
但し、
Tc:第2クラッチCL2の伝達トルク(クラッチ端)
ω:第2クラッチCL2のスリップ回転(クラッチ端)
Δt:2π/60(秒)
である。
クラッチの伝達トルク
= {(変速機ATへの入力軸トルク)−(変速機ATのフリクショントルク)}
×トルク分担比
ここで、トルク分担比とは、入力軸のトルクに対して、対象とするクラッチ自体に掛かるトルクの比率である。
クラッチのスリップ回転
={(変速機ATの入力軸回転)−(変速機ATの出力軸回転)×(ギア比) }
×回転数比
ここで、回転数比とは、トルク分担比の逆数である。
ステップS140では、アップ変速指令を出力する。具体的には2速への変速指令を出力する。
ステップS160では、変速中に変速機ATの出力トルクが一定となるように、下記式のように、変速機ATの入力トルクに対し、変速によるギヤ比差分の上乗せトルクΔTinを算出する。
ΔTin=((Tin×Gz)−(Tin×Gn))/Gn
ここで
ΔTin:アップ変速時上乗せトルク
Tin:変速機ATの入力トルクトルク
Gz変速前ギヤ比
Gn:変速後ギヤ比
である。
ステップS180では、スリップ対象のクラッチのクラッチ温度Q2を下記式で計算して求める。
Q2 =Tc×ω×Δt
一方、第2クラッチCL2での滑り処理でないと判定してステップS210に移行すると、第2クラッチCL2の放熱量Q1Cを算出して、ステップS220に移行する。第2クラッチCL2の放熱量Q1Cは、第2クラッチCL2での滑りクラッチを停止してからの時間で推定すれば良い。
ステップS230では、2速での、スリップ対象クラッチのクラッチ締結トルクを、目標エンジン回転数に基づき、マップを参照して、演算して設定する。そして、ステップS180に移行する。
ステップS240では、変速段をダウンする変速指令を出力する。具体的には、2速から1速への変速指令を出力する。
ステップS240では、上乗せトルクΔTinをゼロにして、復帰する。
ステップS83にて実行するエンジン走行モード中の目標モータトルクの演算処理である。
ステップS83−1では、車速≦判定閾値、かつ、要求駆動力≦0、かつ、アクセル開度>0の条件を満足するか否かを判定する。条件を満足する場合にはステップS83−2へ移行する。条件を満足しない場合にはステップS83−5へ移行する。なお、ステップS43−1と同様に、車速≦判定閾値、かつ、要求駆動力≦0という判定に代え、インヒビタースイッチ24によりNレンジ位置の選択判定を行っても良い。
ステップS83−3では、バッテリ入力可能トルクの範囲内で、PIフィードバック制御により目標エンジン回転数を維持するトルクを、目標モータトルク(回生トルク)として設定し、復帰する。
ステップS83−5では、変速機ATでのクラッチスリップ制御中か否かを判定する。クラッチスリップ制御中の場合はステップS83−6へ移行する。クラッチスリップ制御中でない場合はステップS83−7へ移行する。
つまり、第2クラッチCL2が滑り締結状態での目標モータトルクとして、目標回転数エンジントルクとの差で表すことが出来る第2クラッチCL2への入力トルクが、(目標第2クラッチ締結トルク+スリップ分トルク)となるように設定する。
ステップS83−8では、(駆動力分−第1クラッチCL1の伝達分)の式により得られたトルクを、目標モータトルクとして設定し、復帰する。
つまり、第1クラッチCL1を介して伝達されるエンジントルクとモータトルクとの和が、駆動力に一致するように目標モータトルクが設定する。
[アクセル踏み込み待機時]
運転者のアクセル踏み込み操作により、エンジントルクを発生させながらのNレンジ待機時の制御を行う。このとき、エンジントルク制御は、ステップS43−1→ステップS43−3→ステップS43−4→ステップS43−5→ステップS43−6へと処理を行う。このとき、ステップS43−3において、アクセル開度に応じた設定回転数を目標エンジン回転数として設定する。ステップS43−4において、回生可能バッテリ電力を設定する。ステップS43−5において、目標エンジン回転数と回生可能バッテリ電力に基づきバッテリ入力可能トルクを設定する。ステップS43−6において、目標エンジン回転数とアクセル開度に基づき目標回転数エンジントルクを設定する。そして、バッテリ入力回転数トルク<目標回転数エンジントルクの場合は、ステップS43−8へ進み、バッテリ入力回転数トルクを目標エンジントルクとする。一方、バッテリ入力回転数トルク≧目標回転数エンジントルクの場合は、ステップS43−9へ進み、目標回転数エンジントルクを目標エンジントルクとする。
また、アクセル踏み込みNレンジ待機時の制御のうち、モータトルク制御では、バッテリ入力回転数トルク≦目標エンジントルクの場合は、図8の処理において、ステップS83−1→ステップS83−2→ステップS83−3へと処理を実行する。このとき、ステップS83−3において、バッテリ入力可能トルクの範囲内で、PIフィードバック制御により目標エンジン回転数を維持するトルクを、目標モータトルクとして設定する。一方、バッテリ入力回転数トルク>目標エンジントルクの場合は、図8の処理において、ステップS83−1→ステップS83−2→ステップS83−4へと処理を実行する。このとき、ステップS83−4において、目標エンジントルクの範囲内で、PIフィードバック制御により目標エンジン回転数を維持するトルクを、目標モータトルクとして設定する。
ここで、シフトポジションがNのときのクラッチトルク容量は、第1クラッチCL1は完全締結状態であり、第2クラッチCL2は開放状態である。なお、シフトポジションがNのときの駆動力は駆動力がゼロに維持される。
さらに、モータMGに接続するバッテリ4への入力可能電力に基づくバッテリ入力可能トルクを制限値とし、目標エンジントルクと目標モータトルクを設定するようにしているため、可能な限りバッテリ4への充電を行いながらも、過充電を確実に防止することができる。
次に、N→Dセレクトによる発進開始の制御について説明する。
エンジントルク制御は、ステップS43−1→ステップS43−2へと処理が実行する。このとき、ステップS43−2において、アクセル開度に応じた駆動力要求に対しモータトルクを考慮した目標エンジントルクに設定する。
また、滑りクラッチ制御では、ステップS63−1→ステップS63−3→ステップS63−4→ステップS63−5へと処理が実行する。このとき、ステップS63−4において、アクセル開度に応じた設定回転数を目標エンジン回転数として設定する。ステップS63−5において、目標エンジン回転数によりマップで設定されるクラッチトルクを、目標第2クラッチ締結トルクとして設定する。
またこのとき、モータトルク制御は、ステップS83−1→ステップS83−5→ステップS83−6→ステップS83−7へと処理を実行する。このとき、ステップS83−6において、目標回転数エンジントルクとの差であらわされる第2クラッチCL2への入力トルクが、(目標第2クラッチ締結トルク+スリップ分トルク)となるように目標モータトルクを設定する。更に、変速スケジュールに関係なくシフトアップして2速にした場合には、上乗せトルクΔTin分だけ目標モータトルクを増大補正する。これによって、変速による、変速機ATの出力トルクの変動を抑える。
このように、N→Dセレクトによる発進開始の検出から発進制御が終了するまでの間は、適宜変速段を変更しつつ、目標エンジントルクを、モータトルクを考慮しながら駆動力要求を満たすトルクに設定する。また、目標第2クラッチ締結トルクを、アクセル開度に応じた目標エンジン回転数を維持する第2クラッチ締結トルクとする。さらに、目標モータトルクを、第2クラッチCL2への入力トルクが、目標第2クラッチ締結トルクによる伝達トルク分と第2クラッチCL2の滑り分トルクとを加算したトルクとなるように制御する。このとき、変速機ATの変速に応じて目標モータトルクを補正する。
エンジン走行モード用目標エンジントルク演算部10E、エンジン走行モード用目標クラッチトルク演算部10F、エンジン走行モード用目標モータトルク演算部10Gは、発進制御手段を構成する。
ステップS120、S180は、クラッチ温度推定手段を構成する。ステップS130〜S170,S200は、クラッチ変更手段を構成する。ステップS83−7は、目標駆動トルク補正手段を構成する。
(1)発進制御手段は、車両の発進要求を検出すると、上記駆動源の駆動トルクを発進用の目標駆動トルクに制御すると共に、変速機ATの一部を構成する第1のクラッチを滑り締結に制御することで、駆動源の駆動トルクを駆動輪に伝達する。クラッチ温度推定手段が、上記第1のクラッチの温度を推定する。クラッチ変更手段は、上記クラッチ温度推定手段が推定したクラッチ温度が所定保護温度以上と判定すると、滑り締結するクラッチを変更する。
また、滑り締結するクラッチの滑り締結時間を自由に設定できるためクラッチ伝達トルクの制限も小さいか無い。
この結果、クラッチの保護を図りつつ、クラッチ伝達トルクの制限による発進時の駆動力制限を低減若しくは解除することが可能となる。
この結果、変速してギヤ比が変わっても、変速機ATの出力トルクの変動を抑えることが出来る。この結果、変速機ATの出力トルクの変動による違和感を抑えることが可能となる。例えば変速機ATの出力トルク低下は、運転者の意図しない加速感の停滞が発生するが、このことを防止できる為、運転者への違和感を低減出来る。
例えば、通常アップ変速後の変速段では複数のクラッチを締結している。このため、一つのクラッチの発熱量がクラッチ焼け防止の閾値を越えたとしても、必要に応じて別のクラッチに切り替えることで、発熱したクラッチを変速機ATの油潤滑で冷却し、同じ変速段でクラッチ磨耗を防止できる。
モータの目標駆動トルクを補正することで、変速に対する変速機ATの出力トルクの変動を応答良く抑えることが出来る。
(1)上記実施形態では、エンジン及びモータが駆動源を構成する場合を例示した。モータのトルクだけ若しくはエンジンのトルクだけで発進させる場合でも、クラッチを滑り締結制御する構成であれば適用可能である。
(2)上記実施形態では、滑り締結クラッチの変更の際に、2速まで変速する場合を例示しているが3速以上に変速処理をしても良い。また、1速中で、滑り締結クラッチの変更を行っても良い。
2 モータコントローラ
5 クラッチコントローラ
7 ATコントローラ
10 統合コントローラ
10A 駆動制御部本体
10B 目標エンジントルク演算部
10C 目標クラッチトルク演算部
10D 目標モータトルク演算部
10E エンジン走行モード用目標エンジントルク演算部
10F エンジン走行モード用目標クラッチトルク演算部
10G エンジン走行モード用目標モータトルク演算部
10H 締結処理部
16 アクセル開度センサ
17 車速センサ
AT 変速機
CL1 第1クラッチ
CL2 第2クラッチ
E エンジン
MG モータ
Q1C 放熱量
Q1L 所定温度
Q2 クラッチ温度
Q2L 所定温度
ΔTin 上乗せトルク
Claims (4)
- 駆動源からの駆動トルクを変速機を介して駆動輪に伝達可能となっている車両の駆動制御装置であって、
車両の発進要求を検出すると、上記駆動源の駆動トルクを目標駆動トルクに制御すると共に、上記変速機の一部を構成する第1のクラッチを滑り締結に制御することで、上記駆動源の駆動トルクを駆動輪に伝達する発進制御手段と、
上記第1のクラッチの温度を推定するクラッチ温度推定手段と、
上記駆動源の駆動トルクを目標駆動トルクに制御中に、上記クラッチ温度推定手段が推定したクラッチ温度が所定温度以上と判定すると、変速スケジュールに関係なく、ギア比を変更してシフトアップする指令であるアップ変速指令を出力し、上記変速機内のクラッチのうち、上記第1のクラッチとは異なるアップ変速後のクラッチを選定し、選定したクラッチを滑り締結することでアップ変速を終了するクラッチ変更手段と、
上記クラッチ変更手段が上記アップ変速指令を出力するのに同期して、変速による上記変速機の出力トルクの変化分に応じて上記目標駆動トルクを増大する目標駆動トルク補正手段と
を備えることを特徴とする車両の駆動制御装置。 - 上記クラッチ変更手段が滑り締結するクラッチを第1のクラッチから選定によって変更した後の当該滑り締結しているクラッチのクラッチ温度が所定温度以上になったと推定すると、同一の変速段のまま、滑り締結するクラッチを切り替えることを特徴とする請求項1に記載した車両の駆動制御装置。
- エンジンから駆動輪までのトルク伝達経路に変速機を介装すると共にエンジンと変速機との間のトルク伝達経路にモータを介装すると共に、上記エンジン及びモータを上記駆動源とし、
上記目標駆動トルク補正手段は、モータの目標駆動トルクを補正することを特徴とする請求項1に記載した車両の制駆動制御装置。 - 車両発進要求を検出すると、駆動源の駆動トルクを目標駆動トルクに制御すると共に、変速機の一部を構成する第1のクラッチを滑り締結に制御することで、上記駆動源の駆動トルクを上記変速機を介して駆動輪に伝達し、
上記駆動源の駆動トルクを目標駆動トルクに制御中に、上記第1のクラッチの温度が所定保護温度以上と判定すると、変速スケジュールに関係なく、ギア比を変更してシフトアップする指令であるアップ変速指令を出力し、上記変速機内のクラッチのうち、上記第1のクラッチとは異なるアップ変速後のクラッチを選定し、選定したクラッチを滑り締結することでアップ変速を終了し、
上記アップ変速指令を出力するのに同期して、変速による上記変速機の出力トルクの変化分に応じて上記目標駆動トルクを増大することを特徴とする車両の発進制御方法。
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