JP5349321B2 - 自動鍵モデル識別システムを有する全自動鍵複製機 - Google Patents

Description

＜関連出願＞
「鍵モデルの識別システム及び識別方法」と題する２００６年１１月２８日に出願された米国仮特許出願６０／８６７，４０３号、及び、「鍵切削機及び鍵複製方法」と題する２００６年１１月３０日に出願された米国仮特許出願６０／８６７，７９６号に基づいて、国内優先権を主張する。これら２つの仮出願の開示は、引用によって援用される。

＜発明の背景＞
―発明の分野―
本発明は、鍵複製の分野を対象としている。より具体的には、本発明は、ほとんど訓練を受けていない操作者であっても扱うことができる自動鍵複製装置及び自動鍵複製方法の分野を対象としている。

―関連技術の説明―
一般的に、合鍵は、２つのクランプと、切削ホイールと、従動器（ｆｏｌｌｏｗｅｒ）と、クリーニングホイールとを備える手動の卓上ツールを用いて、すでにあるマスタ鍵に基づいて切削される。このような従来の鍵切削ツールの概略図を図１に示す。操作の際には、錠前屋、又は少なくともある程度は機械の取り扱いの訓練を受けた人が、マスタ鍵Ａを調べて、目視で又は道具を用いてどのタイプの鍵かの決定を試みる。その後、目視でどのモデルの鍵かの決定を試みて、数多くのいろいろな異なるモデルから対応するキーブランクＢを選択する。そして、マスタ鍵Ａは従動ステーションＣにクランプされ、キーブランクＢは切削ステーションＤにクランプされる。２つのステーションＣ，Ｄは、共通ベースＥに取り付けられている。共通ベースＥは、従動器Ｆ及びカッタＧ（両方ともベースＨに装着されている）と向かい合っている。

そして、ベースＨは、ベースＥに向かって押し下げられる。あるいは、機械のモデルによっては、逆に、ベースＥが、ベースＨに向かって矢印Ｙの方向に上げられる。これにより、カッタＧがキーブランクＢと接触する。鍵は、長手方向の、従動器Ｆ及びカッタＧに対して矢印Ｘの方向に移動される。キーブランクＢ及びマスタ鍵Ａが機械的に結合されている（つまり、同じベースＥにクランプされている）ので、従動器Ｆはマスタ鍵Ａの歯のパターンに沿って進み、同時にカッタＧはキーブランクＢのブランクのブレードに切り込んで、マスタ鍵Ａの歯パターンと同じ構成になるようにブレード材料を切除する。切削が終わると、操作者は両方の鍵を取り外し、回転するクリーニングホイールあるいはブラシ（図示せず）の下に新しく切削された鍵を置き、切削工程で残ったバリやほつれた材料を取り除く。

このプロセスは、潜在的な問題や手違いをはらんでいる。第一に、操作者は、間違ったタイプのキーブランクを選択する可能性がある。それぞれのタイプの鍵（例えばＫｗｉｋｓｅｔ、Ｓｃｈｌａｇｅ、Ｓｅｇａｌ等）は、異なった断面形状を有しているため、間違ったタイプの鍵を用いることによって、錠に正しく入らない鍵となってしまう。第二に、操作者は、正しいタイプの鍵を選択したとしても間違ったモデルを選択するかもしれない。同じタイプの鍵は、例えば、異なる長さの形で売られており、操作者は、間違った長さのキーブランクを選択するかもしれない。さらに、現在、市場に出ている鍵には、多くのモデルが存在する。多くのモデルは、形状と断面において非常に類似している。訓練を受けた専門家でさえ、モデルの識別は、かなり困難であり誤ることもある。数多くのアフターマーケットメーカーは、この問題をさらに深刻にしている。アフターマーケットメーカーは、同じ寸法的特徴を有するように設計されているが実際には相違点を有して製造されているモデルの鍵を生産している。鍵のモデルの識別は、鍵の複製の前に必要である。第三に、操作者は、マスタ鍵をクランプＣに適切に配置調整できないかもしれず、それにより、２個の鍵が決められた位置から外れる可能性がある。また、操作者は、キーブランクを適切に配置調整できない可能性がある。第四に、操作者は、極端に小さい圧力、又は安定しない圧力をベースＥに印加するかもしれず、鍵Ｂが極端に浅く、又は不完全に切削される可能性がある。他の問題も生じるかもしれない。さらに、このような装置は、装置の取り扱いの訓練を受けた人に操作されなければならないので、合鍵は、必ずしも、容易に入手できるとは限らない場合がある。従来の鍵切削機械は、錠前屋、金物店、あるいは一般的には夜遅くまで営業していない商店街に、通常は、設置されている。これらの理由や他の理由から、営業している専門店を必要とせず、また、熟練の職人が機械を操作するのに居合わせていることを必要としない、鍵複製工程の自動化のニーズが長い間感じられていた。

鍵複製工程を自動化するいくつかの試みは、せいぜい部分的に成功しただけであった。Ｃｉｍｉｎｏの特許文献１（米国特許４，８９９，３９１号）、特許文献２（米国特許５，１２７，５３２号）、Ｈｅｒｅｄｉａの特許文献３（米国特許５，３５１，４０９号）、Ｃｒａｓｎｉａｎｓｋｉの特許文献４（米国特許３，９５６，９６８号）、及び、Ｃｏｌｅらの特許文献５（米国特許５，５３８，３７４号）など、いわゆる「自動化された」鍵識別及び／または複製のための装置に関するいくつかの特許が存在する。しかしながら、これらの特許や他の似たような特許において、鍵を複製するのに必要な１つ以上のステップは、依然として手動である。例えば、ある装置及び方法においては、操作者が、依然として、マスタ鍵がどのタイプの鍵かを判断して対応するキーブランクを選択しなければならない。他の（及び／または同じ）装置においては、依然として、マスタ鍵は、手動で配置調整され、手動でクランプされる。これらの従来の装置の多くは、依然として、機械の操作に熟練した職人を必要とする。実際、今日の最も自動化が進んだ鍵複製機械においてさえ、依然として、操作者自身によって行なわれているステップがある。そのステップとは、カスタマ鍵／マスタ鍵の挿入、カスタマ鍵／マスタ鍵の部分的な配置調整、カスタマ鍵のクランプ、カスタマ鍵のモデルの識別、キーブランクの取り出し、キーブランクの挿入、キーブランクの部分的な配置調整、キーブランクのクランプ、機械の起動、カスタマ鍵のクランプを緩めること、カスタマ鍵の取り外し、キーブランクのクランプを緩めること、キーブランクの取り外し、キーブランクのバリの除去、カスタマ鍵の顧客への返還、新しい鍵の顧客への譲渡、顧客に対するサービス料金の請求、である。

したがって、自動販売機で商品を購入して、ＡＴＭから現金を引き出すくらいの簡単な方法で、一般的な消費者が操作することができる全自動鍵識別機及び／または全自動鍵複製機に対する長い間感じられていたニーズは、依然として存在している。

＜発明の要約＞
本発明は、上記のニーズ、及び、長い間感じられていた他のニーズを満たすものである。本発明の一の実施形態においては、マスタ鍵クランプモジュールは、複製される歯パターンを有するマスタ鍵を受けて固定しており、マスタ鍵配置調整モジュールは、マスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能に配置されている。マスタ鍵は、マスタ鍵クランプモジュールの内部で、マスタ鍵配置調整モジュールによって配置調整される。マスタ鍵識別モジュールは、マスタ鍵クランプモジュールに対して固定された関係で配置されるとともに、マスタ鍵クランプモジュールに固定された鍵のタイプを識別する。鍵切削モジュールは、キーブランクカッタを有して配置される。中央位置決めベースは、マスタ鍵配置調整モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう自動的に移動可能であり、鍵切削モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう交互に自動的に移動可能である。中央位置決めベースは、マスタ鍵配置調整モジュールをマスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう移動させるように適合されているとともに、クランプされたマスタ鍵の歯パターンに応じて鍵切削モジュールで切削されるキーブランクを固定するように適合されている。

好ましくは、少なくとも１つのマガジンが複数のキーブランクを収容するように配置されており、中央位置決めベースが、マガジンの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能であるとともに、キーブランクの１つをその少なくとも１つのマガジンから取り出してその取り出したキーブランクを鍵切削モジュールへ移動させるように、適合されている。中央位置決めベースは、好ましくは、キーブランク固定溝と、キーブランク固定溝の少なくとも一方の側にあってキーブランク固定溝に挿入されたキーブランクを固定するように適合されているキーブランククランプと、を備えている。好ましくは、複数のマガジンが配置されており、マガジンのそれぞれは、異なるモデルあるいは色のキーブランクを収容するように適合されている。

鍵取り出しモジュールは、キーブランク固定溝とほぼ隣接している中央位置決めベースと係合可能であるとともに、複数のマガジンに沿ってスライド可能に配置されており、中央位置決めベースによってマガジンの選択可能な１つへ向かって移動可能であるように配置されている。鍵取り出しモジュールは、好ましくは、マガジンの１つに収容された最も下にあるキーブランクの後方に配置可能であり、その最も下にあるキーブランクをマガジンから押し出すように適合されている往復可動プッシュロッドを有している。ガイドローラは、マガジンから往復可動プッシュロッドによって押し出されるキーブランクに隣接して配置可能であるとともに、中央位置決めベースが鍵取り出しモジュールと係合する場合に、中央位置決めベースのキーブランク固定溝のほぼ反対側にある。ガイドローラは、好ましくは、マガジンから押し出されるキーブランクを受ける外周案内溝を有する。

取り出しモジュールは、好ましくは、往復可動プッシュロッド及びガイドローラを支持する取り出しベースと、往復可動プッシュロッドから突出するとともに機械的に結合されているカム乗り上げ器と、をさらに備える。鍵支持アームは、取り出しベースにヒンジによって取り付けられるとともにカム乗り上げ器を介して往復可動プッシュロッドにカムによって接続されている。鍵支持アームは、遠端部にブレード支持台を有しており、往復可動プッシュロッドに向かって上方にばね付勢されている。キーブランクがマガジンの１つから取り外される場合に、鍵支持アームが上方に付勢されることにより、ブレード支持台と、抜け出てくるキーブランクのブレードとが接触する。鍵支持アームは、好ましくは、さらに、近端側上昇カム面と、遠端側上昇カム面と、中央部下降カム面と、を備える。カム乗り上げ器が近端側上昇カム面又は遠端側上昇カム面のいずれに乗って進む場合も、カム乗り上げ器は、抜け出てくるキーブランクから離れるように鍵支持アームを下方に押すことにより、抜け出てくるキーブランクのヘッドとブレード支持台との接触を防止する。

マガジンのそれぞれは、マガジンの一端に配置されたほぼ平行な１組の板ばねをさらに備えている。板ばねは、マガジンの内部の最も下にあるキーブランクを、マガジンから取り出す時に案内するように間隔を空けて配置されており、マガジンの底部にある鍵が破損することや偶然出てくることを概ね回避する。

マスタ鍵配置調整モジュールは、好ましくは、往復運動シャフトにばね装着されている配置調整ヘッドを備えている。マスタ鍵配置調整モジュールがマスタ鍵クランプモジュールの近傍にある場合に、マスタ鍵がマスタ鍵クランプモジュールに挿入されていると、配置調整ヘッドは、マスタ鍵と係合可能である。ロッキングスイッチは、好ましくは、往復運動シャフトと係合可能に配置されている。ロッキングスイッチが往復運動シャフトと係合する場合に、シャフトはより大きい力で押されて離れた位置にロックされる。ロッキングスイッチは、好ましくは、回転ロッキングレバーを備えており、回転ロッキングレバーは、マスタ鍵配置調整モジュールのスライド方向にほぼ垂直な方向に沿って、回転ロッキングレバーに対して中央位置決めベースを移動させることによって、往復運動シャフトと係合可能である。マスタ鍵配置調整モジュールは、さらに、マスタ鍵肩部検出スイッチを備える。マスタ鍵がマスタ鍵クランプモジュールに完全に挿入された場合に、挿入されたマスタ鍵の肩部は、マスタ鍵肩部検出スイッチと当接する。配置調整ヘッドは、好ましくは、マスタ鍵がマスタ鍵クランプモジュールに挿入されている場合に、マスタ鍵を収容して案内するように適合されている傾斜案内面を有し、より好ましくは溝を有する。

マスタ鍵クランプモジュールは、好ましくは、マスタ鍵クランプモジュールに挿入されているマスタ鍵を受けて案内する案内路凸部と、さらには、挿入されているマスタ鍵の歯を露出させる開口部と、を備える。

マスタ鍵識別モジュールは、マスタ鍵クランプモジュール内にばね付勢によって配置されるとともに、クランプモジュールに挿入されるマスタ鍵の遠端部に当接可能であるブレード長検出部を有している。また、少なくとも１つのブレード断面検出器は、挿入されるマスタ鍵のブレードと横方向に係合可能に配置されており、所定のタイプの鍵の断面形状に対応する輪郭を有している。ブレード断面検出器がその輪郭に対応するタイプの鍵と係合する場合に、輪郭はブレードとほぼ係合して、マスタ鍵は所定の鍵タイプであると決定される。鍵タイプ照合が決定されて、ブレード長検出部が挿入されるマスタ鍵の長さを決定した場合に、マスタ鍵は特定の鍵のモデルであると決定される。ブレード断面検出器は、挿入されるマスタ鍵の反対側のクランプモジュール内に配置され、それぞれが輪郭を有している少なくとも１組のスライド部を有する。スライド部がその輪郭に対応するタイプの鍵と係合する場合に、スライド部はマスタ鍵ブレードの周囲をほぼ閉塞する。また、スライド部がその輪郭に対応するタイプでない鍵と係合する場合に、スライド部はマスタ鍵ブレードを閉塞しないか、マスタ鍵ブレードの周囲から非常に離れて閉塞する。

好ましくは、複数組のスライド部が配置される。複数組のスライド部のそれぞれは、好ましくは、異なるタイプの鍵にそれぞれ対応する、それぞれ異なる輪郭を有する。

鍵切削モジュールは、好ましくは、例えば、回転クリーニングホイールなどの切削鍵クリーナをさらに有する。キーブランクカッタは、例えば、回転切削ホイールである。キーブランクカッタを完全ではないがほぼ囲んでいる第１筐体が配置されており、第１筐体は切削のためにキーブランクカッタの一部を露出させる第１ウィンドウを有する。切削鍵クリーナを完全ではないがほぼ囲んでいる第２筐体が配置されており、第２筐体はクリーニングのために切削鍵クリーナの一部を露出させる第２ウィンドウを有する。真空源は、第１筐体及び第２筐体と連通しており、キーブランクカッタ及び切削鍵クリーナのほぼ周囲に負圧を生成することにより、キーブランクの切削及びクリーニングの際に生成される残骸をほぼ除去する。可撓性フラップが、第１ウィンドウ及び第２ウィンドウの近い側及び離れた側に（より好ましくは、さらにウィンドウの上部及び底部にも）配置されており、中央位置決めベースがキーブランクを鍵切削モジュールに固定している場合に、中央位置決めベースと係合可能である。ウィンドウの離れた側にあるフラップは、好ましくは、ウィンドウの近い側にあるフラップよりも長い。キーブランクカッタは第１方向に回転可能な切削ホイールを有しており、切削鍵クリーナは第１方向と反対の第２方向に回転可能なクリーニングホイールを有する。

中央位置決めベースは、第１モータ、好ましくはギアボックスモータによってＸ方向に移動可能であり、第２モータ、好ましくは直接駆動式モータによってＹ方向に移動可能である。中央位置決めベースは、好ましくは、固定されるマスタ鍵の歯パターンをトレースする従動器を有する。中央位置決めベースがキーブランクを鍵切削モジュールに固定している場合に、好ましくは、第２モータは、トレースされるマスタ鍵の歯パターンのほぼ瞬間的な高さに応じた可変量の電力が供給される。より好ましくは、従動器がマスタ鍵の歯パターンの上り坂の部分に沿って進んでいるとき、第２モータに供給される電力が低減され、従動器がマスタ鍵歯パターンの下り坂の部分に沿って進んでいるとき、第２モータに供給される電力が増加される。

マスタ鍵配置調整モジュールは、好ましくは、Ｙ方向における第１レールにスライド可能に配置されており、取り出しモジュールは、好ましくは、Ｙ方向における第２レールにスライド可能に配置されている。

他の実施形態においては、本発明は、複製される歯パターンを有するマスタ鍵を受けて固定するように適合されているマスタ鍵クランプモジュールを有する自動鍵複製機である。マスタ鍵配置調整モジュールが、マスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能に配置されており、マスタ鍵はマスタ鍵クランプモジュール内で配置調整モジュールによって配置調整される。鍵切削モジュールが、キーブランクカッタを有して配置されている。中央位置決めベースは、マスタ鍵配置調整モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう自動的に移動可能であり、鍵切削モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう交互に自動的に移動可能である。中央位置決めベースは、マスタ鍵配置調整モジュールをマスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動させるように適合されているとともに、クランプされたマスタ鍵の歯パターンに応じて鍵切削モジュールで切削されるキーブランクを固定するように適合されている。

他の実施形態においては、本発明は、マスタ鍵が挿入されて固定されるとともに鍵受け案内路を有する鍵クランプと、鍵受け案内路にほぼ垂直な方向に沿って鍵クランプの内部で移動可能に配置されるとともに挿入されるマスタ鍵のブレードと横方向に係合可能である少なくとも１つのブレード断面検出器と、を有するマスタ鍵のタイプを自動的に決定する装置である。断面検出器は、所定のタイプの鍵の断面形状に対応する輪郭を有する。ブレード断面検出器がその輪郭に対応するタイプの鍵と係合する場合に、輪郭はブレードとほぼ係合し、そのマスタ鍵は所定の鍵タイプであると決定される。

他の実施形態においては、本発明は、マスタ鍵が挿入されて固定されるとともに鍵受け案内路を有する鍵クランプを有する、複製されるマスタ鍵を自動的に配置調整する装置である。鍵受け案内路の近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能である配置調整ベースが配置されている。配置調整ヘッドは、鍵受けゲートウェイに対してほぼ垂直に往復運動シャフトに装着されるとともに、位置調整ベースから離れた位置にばね付勢されている。マスタ鍵配置調整モジュールがマスタ鍵クランプモジュールの近傍にある場合に、マスタ鍵がマスタ鍵クランプモジュールに挿入されていると、配置調整ヘッドはマスタ鍵と係合可能である。マスタ鍵肩部検出スイッチは、配置調整ベースに配置されている。マスタ鍵が鍵クランプに完全に挿入されたとき、マスタ鍵の肩部はマスタ鍵肩部検出スイッチに当接することにより、マスタ鍵が完全に挿入されたことを示す。

他の実施形態においては、本発明は、マスタ鍵を複製するためにあらかじめ選択された複数のキーブランクからキーブランクを取り出すシステムである。少なくとも１つのマガジンは、複数のキーブランクを収容する。ベースは、マガジンの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能である。ベースは、キーブランク固定溝と、キーブランク固定溝の少なくとも一方の側にあってマガジンからキーブランク固定溝に挿入されたキーブランクを固定するように適合されているキーブランククランプと、を備えている。鍵取り出しモジュールは、キーブランク固定溝にほぼ隣接している移動可能なベースと係合可能であるとともに、移動可能なベースによってマガジンへと移動可能に配置されている。鍵取り出しモジュールは、マガジンの１つに収容された最も下にあるキーブランクの後方に配置可能であり、その最も下にあるキーブランクをマガジンから押し出すように適合されている往復可動プッシュロッドを有している。

本発明は、また、マスタ鍵を複製する完全自動化方法を含んでいる。クランプベースの案内路に挿入されたマスタ鍵を、挿入されたマスタ鍵の外側に面している歯側を押し下げることによって配置調整する。案内路にマスタ鍵が完全に挿入されたことを検出する。ブレードの軸にほぼ垂直な方向に、クランプベースに向かってブレードにロッキング力を印加する。マスタ鍵にロッキング力を印加するステップを受けさせながら、マスタ鍵をクランプする。鍵の複数の物理的なパラメータを決定することによって、クランプされているマスタ鍵のモデルを識別する。従動器を有する移動可能なベースに切削されるキーブランクを固定する。固定されるキーブランクを、切削ホイールなどの鍵カッタに対して押し付けると同時に、マスタ鍵の歯パターンに対して移動可能なベースの従動器を押し付ける。

好ましくは、複数のキーブランクが少なくとも１つのマガジンに収容されており、より好ましくは、複数のマガジンが、それぞれ、異なるタイプ、モデルあるいは色のキーブランクを収容している。識別するステップにおいて決定された物理的なパラメータに基づいて、特定のマガジンからキーブランクを自動的に選択し取り出すことが可能になる。好ましくは、マガジンの最も下にあるキーブランクを押して、その最も下にあるキーブランクをキーブランク受け溝へ案内することによって、マガジンから１つのキーブランクを取り出す。好ましくは、鍵が完全に挿入されたことを検出するステップが、配置調整ベースに対するマスタ鍵の肩部の当接を検出するステップをさらに有している。

好ましくは、マスタ鍵を識別するステップは、挿入されたマスタ鍵の長さを検知するステップと、挿入されたマスタ鍵のブレードの断面形状を検出するステップと、をさらに有する。断面形状を検出するステップは、好ましくは、少なくとも１組のスライド部で挿入されたマスタ鍵のブレードの周囲を閉塞するよう試みるステップであって、その１組のスライド部はあるモデル／タイプの鍵の輪郭を有しているステップをさらに有する。試みるステップが成功し、スライド部がブレードの周囲をほぼ閉塞した場合に、挿入されたマスタ鍵はスライド部の輪郭を有するタイプであると決定される。好ましくは、それぞれの組が異なるタイプの鍵に対応する異なる輪郭を供給される複数組のスライド部が配置される。

好ましくは、真空源は、キーブランクカッタのほぼ周囲に配置されており、固定されたキーブランクの切削の際に生成される残骸をほぼすべて除去する。さらに、回転クリーニングホイールなどの切削鍵クリーナが配置される。そして、真空源は、切削鍵クリーナのほぼ周囲に配置されており、固定された切削キーブランクのクリーニングの際に生成されるほぼすべての残骸を除去する。キーブランクカッタは、好ましくは、固定されたキーブランクを切削しながら第１方向に回転する。そして、好ましくは、固定されて切削されたキーブランクを切削キーブランククリーナに当てながら、切削鍵クリーナは、第１方向と反対の第２方向に回転する。

本発明の方法における押し付けるステップは、従動器と接触するマスタ鍵の歯パターンのほぼ瞬間的な高さに応じて、押し付けるステップのためのトルクを生成するためのモータに供給される電力の量を変化させるステップをさらに有する。より具体的には、従動器がマスタ鍵の歯パターンの上り坂の部分に沿って進んでいる場合に、電力を低減し、従動器がマスタ鍵の歯パターンの下り坂の部分に沿って進んでいる場合に、電力を増加する。

他の実施形態においては、本発明は、溝に挿入されたマスタ鍵を挿入されたマスタ鍵の外側に面している側の歯を押し下げることによって配置調整するステップと、溝にマスタ鍵が完全に挿入されたことを検出するステップと、マスタ鍵のブレードにロッキング力を印加するステップと、このように配置調整されたマスタ鍵をクランプするステップと、少なくとも１つのマガジンに収容される複数のキーブランクからキーブランクを取り出すステップと、従動器を有する可動ベースに切削されるキーブランクを固定するステップと、切削ホイールなどのキーブランクカッタに対して固定されるキーブランクを同時に押し付けながらマスタ鍵の歯パターンに対して移動可能なベースの従動器を押し付けるステップと、を備える、マスタ鍵を複製する自動化方法である。

他の実施形態においては、本発明は、第１ベースのクランプの内部にマスタ鍵を配置調整するステップと、このように配置調整されたマスタ鍵をクランプするステップと、従動器を有する第２のベースに切削されるキーブランクを固定するステップであって、キーブランクと従動器とが互いに相対的に固定されているステップと、キーブランクをキーブランクカッタと同時に係合させながら第２ベースの従動器をマスタ鍵の歯パターンと係合させるステップと、を備える、マスタ鍵を複製する自動化方法である。

他の実施形態においては、本発明は、複製される歯パターンを有するマスタ鍵を受けて固定するように適合されているマスタ鍵クランプモジュールを有する全自動鍵複製機である。マスタ鍵配置調整モジュールは、マスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能に配置されている。マスタ鍵は、マスタ鍵クランプモジュール内で配置調整モジュールによって配置調整される。マスタ鍵識別モジュールは、マスタ鍵クランプモジュールに対して固定された関係で配置されるとともに、マスタ鍵クランプモジュールに固定された鍵のタイプを識別する。鍵切削モジュールは、回転切削ホイールなどのキーブランクカッタを有して配置されている。中央位置決めベースは、鍵切削モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう自動的に移動可能であり、クランプされたマスタ鍵の歯パターンに応じて鍵切削モジュールで切削されるキーブランクを固定する。

図１は、従来の手動鍵複製機の概略図である。 図２Ａ及びＢは、本発明に係る鍵複製機の概略図である。 図３Ａ及びＢは、本発明に係る全自動鍵複製機の図式的概略図である。 図４Ａ乃至Ｇは、本発明に係る自動マスタ鍵配置調整システムの概略図である。図４Ｈ及びＩは、本発明に係るマスタ鍵クランプモジュールを有する、図４Ａ乃至Ｇの鍵配置調整システムの概略図である。 図５は、本発明に係るマスタ鍵配置調整モジュールの上面立面図である。 図６Ａは、典型的な鍵の側面立面図である。図６Ｂ乃至Ｄは、異なるタイプの鍵の、図６Ａの断面線に沿った断面図の典型例である。 図７Ａ乃至Ｄは、それぞれ、本発明に係る自動鍵識別システムの前面立面概略図、側面立面概略図、及び、２つの上面立面概略図である。 図８Ａ及びＢは、それぞれ、スライド部のタイプと対応している同じタイプの鍵ブレードの周囲で開いている、及び、ほぼ閉塞している、本発明に係る１組のスライド部の前面断面概略図である。 図９は、スライド部のタイプと対応していない異なるタイプの鍵ブレードの周囲を閉塞できない、本発明に係る図８のスライド部の前面断面概略図である。 図１０は、本発明に係る鍵識別モジュールの展開斜視図である。 図１１Ａ及びＢは、本発明に係る鍵クランプモジュールと関連する鍵識別モジュールの斜視図である。 図１２Ａ乃至Ｃは、それぞれ、本発明に係る鍵取り出しモジュールの右側、左側、及び、上面立面図である。 図１３Ａは、キーブランクをマガジンから取り外し、キーブランクをキーブランク固定溝へ案内する、図１２に示される本発明に係る鍵取り出しモジュールの上面斜視図である。図１３Ｂは、本発明に係る中央位置決めベースの固定溝に固定され、切削される途中のキーブランクの上面斜視図である。 図１４は、わかりやすくするために切削ホイール及びブラシを除いて示した、鍵切削モジュールの展開斜視図である。 図１５は、本発明に係る、完成した合鍵を取り外す機構の拡大斜視図である。 図１６Ａ及びＢは、それぞれ、本発明に係る中央位置決めベースの上面斜視図、及び、上面立面図である。図１６Ｃは、対応する側面立面図である。 図１７Ａは、本発明に係る全自動鍵複製機の展開斜視図である。図１７Ｂは、図１７Ａで示される円１７Ｂで特定される細部の拡大図である。 図１８は、本発明に係るキーブランクマガジンの下側からの斜視図である。

＜発明の実施形態の詳細な説明＞
次に、図２乃至図１８を参照して本発明を説明する。念頭に入れておきたいことは、これらの図は、実際は例示的なものであり、添付した特許請求の範囲によって定義される発明の範囲を限定するものではないことである。

鍵の複製には、モデル及び歯のパターンを決定するためにマスタ鍵を解析すること、そして、対応する歯をキーブランクに形成することが必要である。一般的には、マスタ鍵とキーブランクをしっかりと保持することが必要である。図１及び上述の文言に示されるように、既存の鍵複製機械は、マスタ鍵とキーブランクとを互いに固定して、ある決められた特定の方法で向きを合わせて配置調整することによって、この処理を実現する。鍵が固定されると、既存の機械は、以下の複製手順のいずれか１つを行なう。（１）鍵は、互いに相対的に固定されたままの状態で、固定されたトレーサ及び固定されたカッタに沿って一斉に移動される、あるいは（２）鍵は、互いに相対的に固定されるとともに、機械に対して相対的に固定されたままの状態で、トレーサ及びカッタが鍵に沿って一斉に移動される。どちらの場合でも、鍵は互いに相対的に固定されたままの状態であり、トレーサ及びカッタは互いに固定されたままの状態である。

一般的には、鍵の装填位置は互いに相対的に近接しており、概ね同じ配置にある。このことは、操作者が両方の鍵を機械に装填することが必要であるという事実、及び、鍵の装填位置が互いに近接しており同じ配置構成を有すると操作者にとってよりユーザフレンドリかつより直感的であるという事実に基づいていると思われる。

このような構成は、自動化プロセスにとっては難しい。発明者らは、全自動化プロセスのためには、消費者がドアを開けるときと同じやり方で、消費者がマスタ鍵をスロットに挿入し、鍵のヘッドが常に機械から突出している状態で、挿入点において鍵を複製することが望ましいことを発見した。消費者は、鍵などの個人の所有物が機械へ完全に引き込まれて、少しの間でも見えなくなると不安になる。さらに、認識できない鍵あるいは異物を自動装置の挿入スロットに挿入して、それらが完全に内部へ引き込まれてしまった場合に、鍵／異物を排出しようとする際に重大な問題が起こり、挿入された鍵／異物及び機械自体の両方が損傷する潜在的な可能性がある。

この課題に対する１つの解決法を、図２Ａ及びＢに大まかに示す。ここで、マスタ鍵Ａ及びキーブランクＢは、従来のシステムでのように、互いに相対的に固定されていない。むしろ、２つの基本ユニット１０及び２０が配置される。ユニット１０は、トレーサすなわち従動器１２と、キーブランククランプ１４と、を有する。ユニット１０の反対側には、ユニット２０が配置されており、従動器１２の反対側にあるマスタ鍵クランプ２２と、キーブランククランプ１４の反対側にあるカッタ２４と、を有している。ユニット２０のマスタ鍵Ａ及び鍵カッタ２４は固定された位置にあり、一方、ユニット１０はＸ方向及びＹ方向に移動可能である。この構成は、従来の鍵複製と比較して、キーブランクＢ及びカッタ２４の向きを変えることを必要とする。本実施形態においては、キーブランクＢはマスタ鍵Ａと向かい合っており、マスタ鍵Ａとは反対方向から装填される。カッタ２４は、マスタ鍵Ａに面するように角度がつけられたエッジを有している。ユニット１０は、横向きの矢印によって示されるＸ方向に移動する手段を有する。複製の際には、垂直下方の矢印によって示される負のＹ方向に、力が印加される。トレーサすなわち従動器１２及びキーブランクＢは、オリジナルの鍵Ａ及びカッタ２４に沿って移動し、これにより、キーブランクＢにマスタ鍵の歯パターンを複製する。図２Ｂは、輪郭の一部がキーブランクＢに既に形成されている、動作中のシステムを示している。

本発明は、少なくとも以下の理由で、全自動鍵複製機によく適している。第一に、本発明は、マスタ鍵が固定された位置のままであることを可能にしているため、工程開始前あるいは複製中における配置調整の失敗をもたらすおそれのある、ユーザによる意図的あるいは非意図的な移動を防ぐことができる。次に、本発明は、カッタとその部品が固定されたままの状態である、機械的に好ましい状況を可能にする。また、キーブランクが容易に「裏」側から装填されることを可能にする。これは操作者にとっては従来のセッティングにおいては不都合かもしれないが、移動及び動作のための空間を必要とする自動装填システムにはよく適している。（決して他にないわけではないが、）最後に、このようなキーブランクの向きは、キーブランクを裏側から装填する自動化システムにもよく適している。装填システムが後ろ側に配置されるので、本発明では、ブレードを先に装填することができる。

このように後ろ側に配置され、ブレードを先に装填するシステムの１つを、最初に概念的に図３Ａ及び３Ｂを参照して、次いでより具体的かつ詳細に図４乃至図１８を参照して、以下に説明する。図３は、全自動鍵複製機４０の全体的な概略図を示す。主要な構成要素は、マスタ鍵配置調整モジュール５０、マスタ鍵クランプモジュール１００、マスタ鍵識別モジュール１３０、キーブランク取り出しモジュール１５０、鍵切削モジュール２００、中央位置決めベース２５０である。中央位置決めベース２５０は、いくつかの他のモジュールの間で移動可能であり、他のモジュールのいずれか２つと係合することができ、これにより、システムの固定された構成要素と相互作用できる。対象を１次元あるいは２次元で移動させるあらゆる従来の機構、例えば、コンピュータ、ＰＬＣあるいは同様の制御デバイスによって走行される１組のエンコードモータ（１つはＸ方向、１つのＹ方向）によって、ベース２５０が駆動される。ベース２５０の駆動移動を、実線の矢印によって示す。可動であるが自立的に移動できない他の構成要素が、ベース２５０と係合した結果（あるいは他の手段を介して）、移動する場合に、そのような移動経路を点線の矢印によって示す。

本発明における最初のステップｉでは、配置調整モジュール５０をクランプモジュール１００に近接する位置へ移動させることで、（ステップ０で）挿入されたマスタ鍵Ａを適切に配置調整する。配置調整モジュール５０が、挿入されたマスタ鍵を（以下に説明する例示的な配置調整方法などで）適切に配置調整する。そして、配置調整が完了すると、クランプモジュール１００が、マスタ鍵Ａをクランプすることによって、マスタ鍵Ａを固定する。マスタ鍵が配置調整されて固定されると、マスタ鍵識別モジュール１３０は、マスタ鍵がどのタイプ及びモデルの鍵かを判断することで、適切なキーブランクが選択可能となる。

次に、ステップｉｉにおいて、中央位置決めベース２５０は、配置調整モジュール５０から係合されなくなり、キーブランク取り出しモジュール１５０と係合するように移動する。ステップｉｉｉにおいて、点線で示されるように、中央位置決めベース２５０が配置調整モジュール５０から係合されなくなる前に、中央位置決めベース２５０は、配置調整モジュール５０を、クランプモジュール１００の内部に固定されたマスタ鍵の邪魔にならないように移動させる。配置調整モジュールは、好ましくは、ばね付勢され、中央位置決めベース２５０が配置調整モジュールから係合されなくなった後も、邪魔にならない状態のままにおかれる。取り出しモジュールは、複数のキーブランクを収容する１つ以上のマガジン１９０に沿って移動可能である。中央位置決めベース２５０は、ステップｉｖにおいて、取り出しモジュール１５０を適切なマガジン１９０へと移動させる。そして、取り出しモジュール１５０は、適切なマガジン１９０からキーブランクを取り出し、キーブランクをベース２５０のキーブランククランプ２７０へ案内して固定する。

ステップｖにおいて、中央位置決めベース２５０は、鍵切削モジュール２００及びマスタ鍵クランプモジュール１００の両方へ移動する。これは、配置調整モジュール５０が邪魔にならないよう前もって（スプリング力あるいは他の機構によって）移動されているので可能である。キーブランククランプ２７０に配置されたキーブランクは、鍵切削モジュール２００と係合するよう移動されて、クランプモジュール１００におけるマスタ鍵Ａの歯パターンに応じて切削される。好ましい実施形態においては、ステップｖｉにおいて、中央位置決めベース２５０が鍵切削モジュール２００及び鍵クランプモジュール１００に沿って移動される（図３Ｂ参照）場合に、中央位置決めベース２５０は、マスタ鍵の歯パターンをトレースする、すなわちマスタ鍵の歯パターンに沿って追従する従動器２９０を有する。

図４及び図５で、配置調整モジュール５０をより詳細に説明する。モジュール５０は、往復運動ロッド５４が装着されるメインベース５２を有する。ロッド５４の遠端部は配置調整ヘッド５６に装着される。ロッド５４（したがってヘッド５６）は、ばね５８によって離れた位置に延ばされた状態となっている（例えば、図４Ａ及びＢ参照）。配置調整ヘッド５６は、好ましくは、マスタ鍵Ａをマスタ鍵クランプモジュール１００へ挿入して収容するための角度がつけられた、すなわち傾斜した案内面５７を有する。鍵Ａが挿入されると、ブレードは、傾斜した案内面５７に沿って、好ましくはヘッド５６の下側の溝内を容易に進むことで、配置調整ヘッド５６と並んで移動して、ヘッド５６を上向きの正のＹ方向にわずかに押し出す。マスタ鍵肩部検出スイッチ６０は、デバイス４０の外壁、すなわちハウジング４００に最も近い配置調整ヘッド５２上に配置される（例えば、図４Ａ及びＢ参照）。マスタ鍵Ａが完全に挿入されると（図４Ｄ参照）、鍵の肩部は、肩部検出スイッチ６０と当接して、鍵が完全に挿入されて配置調整プロセスが開始可能であることをシステムに示す。

図５によく示されているように、配置調整モジュール５０は、好ましくは、中央位置決めベース２５０の動作によって、レール５１に沿って移動可能である。好ましい実施形態において、配置調整モジュール５０は、中央位置決めベース２５０に配置された係合ハブ２６０を受けるように適合されている係合ハブ受け器５５を有している。中央位置決めベース２５０は、好ましくは、配置調整モジュール５０をクランプモジュール１００の邪魔にならないよう移動させるように用いられ、また、ばね５３は、好ましくは、中央位置決めベース２５０が係合ハブ２６０を係合ハブ受け器５５から係合しないようにする場合に、配置調整モジュール５０をクランプモジュール１００の邪魔にならない状態にしておく（例えば、もし機械４０が押されるかぶつけられた場合に、配置調整モジュールがばね５３によって制限されていなかったとすると、レール５１を転げ落ちることがあり得る）ように配置される。

ロッキングスイッチ又はロッキングレバー６２は、配置調整ベース５２上に往復運動ロッド５４の近端部と係合可能に配置される（図５参照）。好ましくは、ロッキングレバー６２は、配置調整ベース５２に回転可能に装着される。中央位置決めベース２５０の係合ハブ２６０が完全にしっかりとハブ受け器５５と係合するとき、中央位置決めベース２５０のエッジがロッキングレバー６２と当接することで、ロッキングレバー６２を押圧してシャフト５４とロック係合させる。これにより、ロッド５４に対する「ロッキング力」が発生し、その結果、配置調整ヘッド５６が離れた位置に固定された状態となる。好ましくは、力を伝達するように、そして中央位置決めベース２５０と配置調整モジュール５０との間の完全な面対面接触を防止するように、強力なばね６４が配置される。中央位置決めベース２５０と配置調整モジュール５０との間の完全な面対面接触は、時間が経過するにつれ、中央位置決めベースが配置調整モジュール５０に効果的にぶつかることによって、鍵が作成される度に、いずれかの構成要素に損傷を与えるおそれがある。ばね６４は、配置調整ヘッド５６の位置を強固にするために大きな圧縮力を提供して、ある程度の柔軟性すなわち遊びを与えることで、マスタ鍵Ａの歯の高さの変化を吸収する。

配置調整モジュール５０の動作は以下のとおりである。図４Ａにおいて、配置調整モジュール５０は、クランプモジュール１００から離れたところから、好ましくはばね５３の受動動作によって、動作を始める。顧客が注文プロセスを開始するとき、中央位置決めベース２５０及びそれの係合ハブ２６０は、ハブ受け器５５と既に係合状態にある。顧客が鍵を挿入する前に、中央位置決めベース２５０は、配置調整モジュールを、図４Ｂに示されるマスタ鍵クランプモジュール１００とちょうど反対側の位置へ移動させる。そして、顧客は、スロットＳに顧客の鍵を挿入するように指示される。図４Ｃにおいて、顧客は鍵を挿入している。鍵の挿入は、正のＸ方向に行われる。鍵Ａがばね１３４の付勢力に抗して挿入されるとき、鍵長さセンサ１３２（以下に説明するマスタ鍵識別モジュール１３０の一部）が、正のＸ方向に押される。長さセンサ１３２は、鍵長さを測定する。ばね５８の付勢力によって、配置調整ヘッド５６は、鍵のブレードを案内し、鍵移動を限定し、鍵のブレードをクランプ（以下に説明）に向かって負のＹ方向に押し下げることによって鍵ブレードを緩く配置調整する。

図４Ｄにおいて、マスタ鍵Ａは完全に挿入されており、鍵肩部Ａ１は肩部スイッチ６０と係合している。肩部スイッチ６０が係合したときに、マスタ鍵Ａは許容長さであると長さセンサ１３２が判断した場合、中央位置決めベース２５０は、図４Ｅに示されるように、配置調整モジュール５０を負のＹ方向の下方に移動させる。これにより、肩部Ａ１のちょうど前方、及び、配置調整ヘッド５６の下に、力が印加される。配置調整ヘッド５６は、ばね５８の弾力性により、依然としてある程度の遊びがある。次に、中央位置決めベース２５０は、負のＸ方向に少し移動して、中央位置決めベース２５０をばね６４と係合させて力をロッキングレバー６２に生成し、それによって、力をロッド５４に（したがって配置調整ヘッド５６に）伝達し、追加的な力を鍵Ａに印加する（図４Ｆ参照）。このロックキング力は、マスタ鍵への最終配置調整を行う。

このとき、完全配置調整シーケンスの後に、鍵は定位置へクランプされる。中央位置決めベース２５０は、配置調整モジュール５０を「邪魔しない」位置に戻して、配置調整モジュール５０と係合されなくなる。図４Ｇに示されるように、ばね５３は、モジュール５０をクランプモジュール１００から離れるように、正のＹ方向に保持する。

マスタ鍵クランプモジュール１００は、図４Ｈ及びＩによく示されている。モジュール１００は、それぞれ近い側及び離れた側にあるクランプあご１０４Ａ及びＢを有するクランプベース１０２を有している。マスタ鍵Ａのブレードの先端が近い側のクランプあご１０４Ａと離れた側のクランプあご１０４Ｂとの間を通過する際に、マスタ鍵Ａが挿入時に誤って配置調整されないことを保証するため、案内路部１１０が近い側のクランプあご１０４Ａと離れた側のクランプあご１０４Ｂとの間に装着されている。案内路部１１０は、好ましくは、凸部１１２と、挿入された鍵Ａを受ける中央案内路１１４と、を有している。以下に明らかにする理由により、隣接する凸部の間には識別スロット１１６が配置されている。案内路部１１０は、好ましくは、クランプベース１０２の２つの部分の一方にのみ装着される。

上述したように、配置調整モジュールが鍵の配置調整を完了すると、クランプベース１０２の２つの部分がともに移動して鍵を定位置にロックする。クランプベース１０２の両方の部分が鍵Ａをクランプするように移動する必要はない。一方の部分が固定されて、他方の部分が一方に合うように移動する。

マスタ鍵識別モジュール１３０は、図６乃至１１によく示されている。識別モジュール１３０の１つの部分は、既に説明している。図４に示す鍵長さセンサ１３２がそれである。マスタ鍵Ａが完全に挿入されると（肩部スイッチ６０によって検出されると）、鍵の長さが、ばね付勢されている長さセンサ１３２によって決定される。鍵の長さは情報の１つであるが、どのタイプの鍵が挿入されたかは判断されない。図６に示すように、マスタ鍵Ａのブレード（図６Ａ）は、図６Ｂ乃至Ｄに示されるいくつかの異なる断面形状の１つを有するであろう。図６Ｂは、第１の断面形状Ａ′を示し、図６Ｃは第２の断面形状Ａ′′を示し、図６Ｄは第３の断面形状Ａ′′′を示している。鍵がどの輪郭を有するかを決定することによって、それがどのタイプの鍵であるかを効果的に決定できる。

図７は、マスタ鍵識別モジュール１３０のその他の部分を示す。スライド部１４０がそれである。スライド部１４０は、案内路部１１０に配置される識別スロット１１６（図４Ｈ乃至Ｉ参照）を通って、鍵へ向かうように及び鍵から離れるようにスライド可能である（図７）。図７に示すように、４組のスライド１４０Ａ〜Ｄが配置されている。それぞれのスライド１４０は、鍵の特定のモデルの一方の側の断面形状Ａ′−Ａ′′′に対応する、あるいは同様な輪郭１４２を有する。鍵のそれぞれの識別可能なモデルは、１組のスライド１４０であって、それぞれが鍵の側面に対応する輪郭を有する１組のスライド１４０を有する。したがって、スライドが完全に閉じられると、スライドはその特定のタイプに対応する鍵穴の形状の穴を形成する。いくつかの組のスライド１４０を、それぞれのシステムに配置することができ、これにより、いくつかのタイプの鍵を識別することができる。それぞれのスライドが開いた位置、完全に閉じた位置あるいは過度に閉じた位置にあるときを識別する手段が与えられる。そのような手段として、光学スイッチあるいは電子接触スイッチが挙げられる。スライドには、ばね、モータあるいはソレノイドなどの前後移動手段が与えられる。システムの好ましいデフォルトの位置は、スライドを開いた位置にしておく。

図１０は、本発明の配置調整システムのより詳細な実施形態を示す。わかりやすさと簡略化のために、左側の部分のみを示す。スライド部１４０Ａ〜Ｃは、異なるタイプの鍵に対応する輪郭１４２Ａ乃至Ｃを、それぞれ有する。例えば、輪郭１４２Ａは、Ｓｃｈｌａｇｅの鍵に対応でき、輪郭１４２Ｂは、Ｋｗｉｋｓｅｔの鍵に対応でき、輪郭１４２Ｃは、Ｗｅｉｓｅｒの鍵に対応できる。他の鍵タイプは、他の対応する輪郭によって識別できる。スライド部には、ばね１４４Ａ乃至Ｃによるばね付勢が与えられており、ハウジング１４６に向かうように及びハウジング１４６から離れるようにスライド可能である。スライド部の近端部には、光センサフラグ１４８Ａ乃至Ｃが配置される。センサフラグの位置は、アイソレーションフォイル１４５におけるウィンドウを通じて、光学認識プリント回路基板１４７によって読みこまれる。

スライド部の動作は、図８、９及び１１によく示されている。それぞれのスライド部１４０は、最初に鍵Ａから離れて配置され、そして、マスタ鍵Ａの周囲を閉塞するように移動される。図９に示されるように、鍵の輪郭がスライド部１４０の輪郭に対応しないとき、したがって、スライドが完全に閉じた位置に達する前にスライド部１４０と鍵との間で接触が起きる場合には、光学スイッチはそのスライドに対して作動しない。１組のスライドの一方でも作動しないスイッチがある場合には、サンプル鍵がスライドの組の輪郭と同じタイプでないと結論される。マスタ鍵との早すぎる接触が起きず、スライド部１４０が鍵のブレードをほぼ取り囲む場合には、光学スイッチがそのスライドに対して作動する。スライダの組の両方のスイッチが作動する場合には、サンプル鍵の断面がそのスライドの外形穴と適合できる（図８Ｂ参照）と結論される。

図１１Ａは、スライド部１４０Ａ乃至Ｃが開いた位置にあるときの、クランプモジュール１００にクランプされたマスタ鍵Ａを示している。図１１Ｂは、スライド部１４０Ａ乃至Ｃが鍵の周囲を閉塞しているときの、クランプされた同じマスタ鍵Ａを示している。

スライドは、好ましくは、硬化鋼などの薄くて強固な材料で形成されている。このような薄い材料は、いくつかのスライダの列を１つのシステムに配置することを可能にする。

ある所定の数のスライドの組が、スライドの組よりも多くの鍵のモデルを識別することができる場合もありえる。例えば、特定のシステムにおいてモデルの組み合わせを検討した結果、特定のスライドの輪郭が他の複数のスライドに代用できることが結論されることがありえる。さらに、ある場合には、異なるスライドのＯＮ−ＯＦＦスイッチの異なる組み合わせを用いてモデルを判断することができることもありえる。そのような構成では、システムにおけるスライドの量を低減できる。

また、スライドの組が閉じた位置にあるとき互いに接触しないように設計できることを述べておくことは重要であろう。閉じているか、又は閉じていないかの状況を決定するのではなく、位置を決定するように、スイッチを配置することもできる。

他の実施形態においては、スライドの代わりにピンを効果的な位置に配置して、鍵タイプを決定することもできる。

図１２及び１３は、キーブランク取り出しモジュール１５０の細部を示している。モジュール１５０は、モータ１５４が装着される取り出しベース１５２を有する（図１２Ａ）。モータ１５４は、ラックギア１５６と噛み合って係合するギア１５５を有する（図１２Ｂ）。スライダ１５８は、ラックギア１５６と機械的に結合されるか、あるいはラックギア１５６に取り付けられる。また、プッシュロッド１５９は、スライダ１５８に取り付けられるか、あるいはスライダ１５８と機械的に結合される。したがって、モータ１５４の動作により、プッシュロッド１５９が移動する。取り出しモジュール１５０は、マガジン１９０に収容された最も下にあるキーブランクの下方かつ後方に配置されており、これにより、モータ１５４がプッシュロッド１５９を移動させると、プッシュロッド１５９は、キーブランクＢをマガジン１９０から中央位置決めベース２５０のキーブランククランプ２７０内へと押し出す（図１３Ａ〜Ｂ参照）。ガイドローラ１７０は、ブラケット１７２を介してベース１５２へ取り付けられている。キーブランクがマガジンから取り出されるとき、キーブランクのブレードはガイドローラ１７０に沿って進む。ガイドローラ１７０には、好ましくは、キーブランクの適切な案内及び配置調整を保証する外周路、すなわち溝１７４が配置される。

キーブランクがマガジンから取り出されてブランククランプ２７０内へと配置される際に、キーブランクを適切に配置調整することは重要である。しかしながら、鍵のブレードの幅は比較的狭く、ブレード終端のヘッドはより広いので、鍵が取り出される際に鍵を案内及び支持することはより難しくなる。一の実施形態においては、ブレード支持台１６２を有する鍵支持アーム１６０が、取り出しベース１５２に取り付けられて配置されている。好ましい実施形態においては、ブレード支持台１６２は、鍵のブレードが回転、縦揺れ、又は偏揺れしないように設計された垂直案内壁１６２Ａを有する。しかしながら、鍵ヘッドがブレード支持台１６２をまさに通り過ぎようとしている場合には、鍵ヘッドが案内壁１６２Ａの間の空間より広いので、ブレード支持台１６２は邪魔にならないよう移動されなければならない。

図１２Ｂは、鍵支持アーム１６０及びブレード支持台１６２を接近してくる鍵ヘッドの邪魔にならないように移動させる機構の一の実施形態をよく示している。鍵支持アーム１６０は、ピン１６１のところで回動可能にベース１５２に取り付けられている。アーム１６０は、ばね（図示せず）によって上向きに付勢されている。スライダ１５８には、鍵支持アーム１６０の上面に沿って進むカム乗り上げ器１５７が配置される。鍵支持アーム１６０の上面は、近端側上昇カム面１６３と、中央降下カム面１６５と、遠端側上昇カム面１６７と、を有している。勾配部１６４，１６６が、セクション間の移動をスムーズにするために、降下中央カム面１６５のどちらの側にも配置されている。カム乗り上げ器１５７が近端側上昇カム面１６３あるいは遠端側上昇カム面１６７のいずれかに沿って進む場合に、カム乗り上げ器１５７は、鍵支持アーム１６０を抜け出てくるキーブランクから離れるように下方に押すことで、抜け出てくるキーブランクＢとブレード支持台１６２との接触を防止する。キーブランクを取り出して、キーブランクと係合するように及び係合しないように鍵支持アーム１６０を移動させるためには、１つのモータ１５４のみが必要である。

取り出しモジュール１５０は、中央位置決めベース２５０の係合ハブ２６２を受けるための係合ハブ受け器１８０（図１２Ｃ、図１３Ｂ）を有する。取り出しモジュール１５０は、中央位置決めベース２５０によって移動されるとき、レール１７５（図１３Ａ参照）に沿ってスライド可能である。レール１７５は、好ましくは、マガジンラック１９２に配置されたマガジン１９０の下側を走っている。中央位置決めベース２５０は、キーブランクを受けてクランプすると、図１３Ｂに示されるように、取り出しモジュール１５０から係合されなくなり、鍵切削モジュール２００へ移動する。

図１８に示すように、マガジン１９０の底部は、好ましくは、いくつかの機能を提供する１組の板ばね１９４を有している。第一に、板ばね１９４は、取り出しモジュール１５０の補助なしに、最も下にあるキーブランクがスロット１９６からスライドして抜け出ることを防止するのに役立つ。第二に、１組の板ばね１９４は、間隔をあけて配置されており、これにより、鍵のブレードに対する案内路として機能する。キーブランクが押し出されるとき、板ばね１９４は、鍵のヘッドによって単純に下方へ押されて、キーブランクのヘッドがばねの上方を通過するまで、ブレードを真っ直ぐにしておく。鍵がマガジンから完全に取り出されると、板ばね１９４は次の鍵を固定する位置へカチッと戻る。

鍵切削モジュール２００は、図１４及び１７Ｂによく示されている。切削ホイールハウジング２０２及びクリーニングホイールハウジング２０４は、それぞれ、切削ホイール２２２（図１７Ｂ）及びクリーニングブラシ／ホイール２２４（図１７Ｂ）の大部分を囲んで配置されている。ハウジング２０２及び２０４は、メイン真空ハウジング２０６によって真空源２０８と接続されている。切削及びクリーニングプロセスによって生じる残骸を除去する方法を提供することは非常に重要である。金属の削りくずが装置の内部に拡散した場合に、相当数の可動部品に障害が生じる可能性があるからである。

ハウジング２０２及び２０４は、切削ホイール２２２及びクリーニングホイール２２４を完全には囲まない。さもないと、切削及びクリーニングが不可能になるからである。ウィンドウ２０３及び２０５が、ハウジング２０２及び２０４にそれぞれ配置されている。切削及びクリーニングプロセスを妨げることなく、処理されているキーブランクの周囲の真空状態による負圧の集中を最大限にするために（したがって、残骸の除去を最大限にするために）、可撓性フラップ２１０、２１２及び２１４がウィンドウ２０３及び２０５を囲んで配置されている。フラップ２１０（離れた側のフラップ）は、近い側のフラップ２１２よりも長い。これにより、中央位置決めベース２５０が切削及びクリーニングホイールと係合するように移動することが可能となり、クリーニング／切削ホイールでフラップを不注意で折り返してしまうことがない。すなわち、最初に、中央位置決めベース２５０は、離れた側のフラップ２１０に向かって移動して、近い側のフラップ２１２をクリアしながら離れた側のフラップ２１０を邪魔にならないように押し出す。その後、中央位置決めベース２５０は、切削／クリーニングホイールに近づくことができ、近い側のフラップ２１２を邪魔にならないように押す。

好ましい実施形態において、切削ホイール２２２及びクリーニングホイール２２４は、モータ２３２に取り付けられた駆動ベルト２３０によって駆動される同じ回転軸２２６上に配置される。モータ２３２は、可逆式であり、キーブランクがクリーニングホイールでクリーニングされる前には逆転される。回転可能なシャフト２２６は、まず、切削の際に一方の方向に回転され、その後、クリーニングの際に他方の方向に回転される。これにより、クリーニングホイール２２４は、新たに切削された合鍵の後端から生じる返りやバリを除去することができる。バリや残骸は、一般に、新しく切削された鍵の後端からぶら下がる。モータ２３２（したがって、駆動ベルト２３０及びクリーニングホイール２２４）の方向の逆転によって、合鍵を上下逆さまに回転する必要はなく、不要な材料を後端から除去するためにブランククランプ２７０から合鍵を取り外す必要もない。

合鍵が完成して、機械４０から合鍵を取り出そうとする際に、中央位置決めベース２５０は、鍵を図１５に示される取り外しベース３００の下に移動させる。取り外しベース３００は、ピン３０２を有する。合鍵Ｂ′が配置されると、ピン３０２は、完成した合鍵Ｂ′の穴の中に突き出す。ピン３０２は合鍵Ｂ′の穴と係合し、ブランククランプ２７０は鍵Ｂ′を固定する力を解除して、中央位置決めベース２５０はベース３００から離れるように移動する。ピン３０２が合鍵Ｂ′の穴の中に突き出しているので、鍵はスライドしてブランククランプ２７０から外れ、取り出しシュート又はトレイ内を降下する（図示せず）。

本発明における上述した数多くのモジュール及び機能の原動機は、中央位置決めベース２５０であり、それ自体は図１６Ａ乃至Ｃに示されている。上述したように、ベース２５０は、ハブ受け器５５，１８０において、マスタ鍵配置調整モジュール５０及びキーブランク取り出しモジュール１５０とそれぞれ係合する２つの係合ハブ２６０，２６２（図１６Ｃ参照）を有する。中央位置決めベース２５０は、また、キーブランククランプ２７０を有している。キーブランククランプ２７０は、モータ２７２と、鍵の有無を検出する鍵センサ２７４と、挿入されるキーブランクＢを固定するあご２７６と、を有する。キーブランクＢが鍵切削ホイール２２２で切削される際に、従動器先端２９０は、マスタ鍵クランプモジュール１００に固定されたマスタ鍵Ａの歯パターンに沿ってトレースする。

図１７Ａによく示されているように、中央位置決めベース２５０は、好ましくは、２つのレール、すなわちＸ軸レール２６４及びＹ軸レール２６６に沿って移動可能である。好ましくは、２つの独立したモータがＸ方向及びＹ方向におけるそれぞれの移動のために配置される。Ｘ方向モータ（Ｘモータ）は、好ましくは、ギアボックスモータである。また、Ｙ方向モータ（Ｙモータ）は、好ましくは、直接駆動式モータである。Ｙモータは、中央位置決めベース２５０をＹ方向に沿って前後に移動させるだけでなく、小さい力で中央位置決めベース２５０の固定位置を保持し、切削及びクリーニングプロセスの動作の際に圧力をキーブランクへ与えるためにも用いることができる。実際に、切削ステップの際に、Ｙモータには、トレースされるマスタ鍵の歯パターンのほぼ瞬間的な高さに応じた可変量の電力が供給される。これにより、十分な圧力下にある中央位置決めベース２５０の内部の遊び、撓み又は摩擦が、ベース２５０のひずみを引き起こすことがないため、機械加工されているキーブランク及びマスタ鍵の歯パターンをトレースしている従動器２９０の配置調整が失敗しない。好ましくは、従動器２９０がマスタ鍵の歯パターンの上り坂の部分に沿って進んでいる場合に、Ｙモータに与えられる電力が低減され、従動器がマスタ鍵歯パターンの下り坂の部分に沿って進んでいる場合に、Ｙモータに与えられる電力が増加される。好ましい実施形態においては、マスタ鍵の歯形の上り坂をトレースする際のＹモータの電力が、マスタ鍵の歯形の下り坂をトレースする際のＹモータの電力の約７０％となっている。

本発明は、上述の説明に限定されない。例えば、配置調整モジュール及び識別モジュールは、好ましくは、複製されるマスタ鍵を配置調整及び識別するために用いられる。しかし、これらのモジュールは、切削されるキーブランクを配置調整及び識別するために用いられることもできる。また、上述した例示的な実施形態は、Ｘ−Ｙ面において、すなわち２次元的に、いくつかのモジュール間で移動可能な中央位置決めベースを示した。しかしながら、種々のモジュールを垂直に「積み重ね」て、中央位置決めベースを垂直な面（例えばＹ−Ｚ面）、又は２次元的の代わりに３次元的に移動させることも考えられる。

さらに、いくつかのモジュールは固定されており、他のモジュールは移動可能であると説明した。しかしながら、ほとんどの場合、モジュール間の移動がほぼ同様に相対的である限り、その逆のケースも同様に当てはまる。例えば、キーブランク取り出しモジュールは、好ましい実施形態においては、固定マガジンの列に沿って移動可能であると説明した。しかしながら、固定された取り出しモジュールと係合するよう適切なマガジンが選択的に移動可能である場合に、固定された取り出しモジュール及び移動可能な一群のマガジンを例えば回転ラック上に配置することも本発明の範囲内であろう。他の代替案として、中央位置決めベースの動作に対して受動的に移動可能であると示された他のどのモジュール（例えばマスタ鍵配置調整モジュールやキーブランク取り出しモジュール）に、それ自身独立した移動のための専用のモータを配置することもできる。

同様に、好ましい実施形態においては、鍵切削ホイール及び鍵クリーニングホイールは、両方向に回転できる単一のシャフトによる同軸上にあると示した。しかし、２つの独立した回転エレメントを、１つは鍵カッタに、１つは切削鍵クリーナに配置することも本発明の範囲内である。本発明は、また、鍵切削ホイールあるいは鍵クリーニングホイールそれ自体のいずれの使用にも限定されていない。その代りに、現在知られているあるいは将来開発されるであろう、キーブランクを切削するための、又は切削鍵をクリーニングするための他のデバイスを用いることもできる。

他の変更として、鍵識別モジュールが、鍵長さ、ブレード断面形状及び／または歯パターンを含むマスタ鍵のパラメータのいずれかを検出する光学のデバイス、あるいは電子走査デバイスを有することもできる。

本発明のある特定の実施形態を説明してきたが、念頭に入れておくべきことは、本発明は上記の説明あるいは添付の例示的な図面に限定されないことである。より正確に言えば、本発明の範囲は、添付した特許請求の範囲、及び、当業者が認識できるようなあらゆる均等物によって定義される。

米国特許４，８９９，３９１号 米国特許５，１２７，５３２号 米国特許５，３５１，４０９号 米国特許３，９５６，９６８号 米国特許５，５３８，３７４号

Claims (15)

1. 複製される歯パターンを有するマスタ鍵を受けて固定するように適合されているマスタ鍵クランプモジュールと、
   前記マスタ鍵クランプモジュールの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能に配置され、前記マスタ鍵クランプモジュールの内部の前記マスタ鍵を配置調整するマスタ鍵配置調整モジュールと、
   キーブランクカッタを有する鍵切削モジュールと、
   前記鍵切削モジュールと係合するよう及び係合から外れるよう自動的に移動可能であり、クランプされたマスタ鍵の歯パターンに応じて前記鍵切削モジュールで切削されるキーブランクを固定するように適合されている中央位置決めベースと、
   を備え、
   前記中央位置決めベースは、クランプされた前記マスタ鍵に対して移動可能である、
   全自動鍵複製機。
2. 前記マスタ鍵クランプモジュールに対して固定された関係で配置され、前記マスタ鍵クランプモジュールに固定された鍵のタイプを識別するように適合されているマスタ鍵識別モジュールを備える、
   請求項１に記載の全自動鍵複製機。
3. 適切に配置された前記マスタ鍵が鍵受け案内路に完全に挿入されたことを検出するマスタ鍵検出器をさらに備え、
   前記マスタ鍵クランプモジュールは、前記マスタ鍵を受ける前記鍵受け案内路を有する、
   請求項１または２に記載の全自動鍵複製機。
4. 前記鍵切削モジュールに対して前記キーブランクが適切に配置されることを確実にするために、前記中央位置決めベースに挿入されたキーブランクを係合するガイドを備える、
   請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
5. マスタ鍵が挿入され固定されるとともに、鍵受け案内路を有する鍵クランプと、
   前記鍵受け案内路に対して略垂直方向に、前記鍵クランプの内部で移動可能に配置されるとともに、挿入された前記マスタ鍵のブレードの側面と係合可能であり、所定のタイプの鍵の断面形状に対応する輪郭を有する、少なくとも１つのブレード断面検出器と、
   を備え、
   前記ブレード断面検出器が前記輪郭に対応するタイプの鍵と係合する場合に、前記輪郭は前記ブレードと略係合して、前記マスタ鍵は所定の鍵タイプであると決定される、
   請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
6. 前記マスタ鍵クランプモジュールは鍵受け案内路を有する、請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機であって、
   マスタ鍵が挿入され固定されるとともに、前記鍵受け案内路を有する鍵クランプと、
   前記鍵受け案内路の近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能である配置調整ベースと、
   前記鍵受け案内路に対して略垂直方向に往復運動シャフトに装着されるとともに、前記配置調整ベースから離れた位置にばね付勢され、前記マスタ鍵配置調整モジュールが前記マスタ鍵クランプモジュールの近傍にある場合に、前記マスタ鍵が前記マスタ鍵クランプモジュールに挿入されていると前記マスタ鍵と係合可能である配置調整ヘッドと、
   前記配置調整ベースに配置されるマスタ鍵肩部検出スイッチと、
   を備え、
   前記マスタ鍵が前記鍵クランプに完全に挿入された場合に、前記マスタ鍵の肩部は、前記マスタ鍵肩部検出スイッチに当接することにより、前記マスタ鍵が完全に挿入されたことを示す、
   全自動鍵複製機。
7. 複数のキーブランクを収容する少なくとも１つのマガジンと、
   前記マガジンの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能であり、キーブランク固定溝と、前記キーブランク固定溝の少なくとも一方の側にあって前記マガジンから前記キーブランク固定溝に挿入されたキーブランクを固定するように適合されているキーブランククランプと、を有するベースと、
   前記キーブランク固定溝と略隣接している移動可能な前記ベースと係合可能であり、前記マガジンの１つに収容された最も下にあるキーブランクの後方に配置可能であり、前記最も下にあるキーブランクを前記マガジンから押し出すように適合されている往復可動プッシュロッドを有する鍵取り出しモジュールと、
   を備える、
   請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
8. マスタ鍵肩部検出スイッチを備え、
   前記マスタ鍵が前記マスタ鍵クランプモジュールに完全に挿入された場合に、挿入された前記マスタ鍵の肩部は、前記マスタ鍵肩部検出スイッチと当接する、
   請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
9. 前記鍵切削モジュールは、
   切削鍵クリーナと、
   前記キーブランクカッタを完全ではないが略包囲しているとともに、前記キーブランクカッタの一部を切削のために露出させる第１ウィンドウを有する第１筐体と、
   前記切削鍵クリーナを完全ではないが略包囲しているとともに、前記切削鍵クリーナの一部をクリーニングのために露出させる第２ウィンドウを有する第２筐体と、
   前記第１筐体及び前記第２筐体と連通するとともに、前記キーブランクカッタ及び前記切削鍵クリーナの略周囲に負圧を生成することによりキーブランクの切削及びキーブランクのクリーニングの際に生成される残骸を略除去する真空源と、
   をさらに備える、
   請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
10. 前記キーブランクカッタは、第１方向に回転可能な切削ホイールを有し、
    前記第１方向と反対方向の第２方向に回転可能なクリーニングホイールを有する切削鍵クリーナを備える、
    請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
11. 複数のキーブランクを収容する少なくとも１つのマガジンを備え、
    前記中央位置決めベースは、前記マガジンの近傍へ向かうよう及び近傍から離れるよう移動可能であるとともに、前記キーブランクの１つを前記少なくとも１つのマガジンから取り出して、取り出された前記キーブランクを前記鍵切削モジュールへ移動させるように適合されている、
    請求項１から３のいずれか１項に記載の全自動鍵複製機。
12. クランプベースの案内路に挿入されたマスタ鍵を、挿入された前記マスタ鍵の外側に面している歯側を押し下げることによって、配置調整するステップと、
    前記案内路に前記マスタ鍵が完全に挿入されたことを検出するステップと、
    前記マスタ鍵のブレードの軸に対して略垂直方向に、前記クランプベースに向かって前記ブレードにロッキング力を加えるステップと、
    前記マスタ鍵が前記ロッキング力を加えるステップを受けると同時に、前記マスタ鍵をクランプするステップと、
    従動器を有する移動可能なベースに切削されるキーブランクを固定するステップと、
    固定された前記キーブランクを鍵カッタに対して押し付けると同時に、前記マスタ鍵の歯パターンに対して前記移動可能なベースの前記従動器を押し付けるステップと、
    を備える、
    マスタ鍵を複製する完全自動化方法。
13. 鍵の複数の物理的なパラメータを決定することによって、どのモデルのマスタ鍵がクランプされているかを識別するステップを備える、
    請求項１２に記載のマスタ鍵を複製する完全自動化方法。
14. 少なくとも１つのマガジンに収容される複数のキーブランクからキーブランクを取り出すステップを備える、
    請求項１２に記載のマスタ鍵を複製する完全自動化方法。
15. 前記キーブランクと前記従動器とが互いに相対的に固定されているステップを備える、
    請求項１２に記載のマスタ鍵を複製する完全自動化方法。
    

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