JP5346428B2 - 超高圧水銀ランプ - Google Patents

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Description

本発明は、例えば液晶ディスプレイ装置やDMD(デジタルミラーデバイス)を使用したDLP(デジタルライトプロセッサ)などのプロジェクタ装置に使用される超高圧水銀ランプに関する。特に、発光管内に0.15mg/mm以上の水銀が封入され、点灯時の水銀蒸気圧が150気圧以上になる超高圧水銀ランプに関する。
現在、例えば液晶プロジェクタ装置や、DMDを使用したDLPなどに代表される投射型プロジェクタ装置においては、スクリーンに対して均一にしかも十分な演色性をもって画像を照明させることが要求されている。このような要求に対して、小型化および点光源化されたものを光源として用いることが必要とされ、例えば水銀が封入されてなる超高圧水銀ランプが光源として使用されている。
超高圧水銀ランプにおいては、ランプ安定点灯時における水銀蒸気圧が150気圧以上にもなり、このように点灯時における水銀蒸気圧が極めて高いものであることにより、アークの広がりを抑えるとともに、光出力の向上を図ることができる。このような超高圧水銀ランプは、例えば特許文献1、2に示されている。
図1は、超高圧水銀ランプを管軸を含む平面で切断した断面図である。
超高圧水銀ランプ100は、内部空間Sが形成された略球状の発光部11と、発光部11の両端に連続する柱状の封止部12とを有するバルブ10を備えている。内部空間Sには、一対の電極13,14が対向配置されるとともに、発光物質として0.15mg/mm以上の水銀と、ハロゲンサイクルを行なうためのハロゲンガスが封入されている。電極13,14は、一部が封止部12に埋設されるとともに、基端部が給電用の金属箔15の一端に接続されている。金属箔14の他端には、封止部12から外方に突出する外部リード16が接続されている。
ところで、このような超高圧水銀ランプは、点灯時に発光部11内の圧力が極めて高くなるので、図1に示す封止部12においては、封止部12を構成する石英ガラスと、電極13,14および給電用の金属箔15を十分かつ強固に密着させる必要がある。密着性が悪いと、発光部11内の内部空間Sに封入されたハロゲンガスなどの抜けが生じ、またクラック発生の原因にもなるからである。そのため、電極および金属箔を封止して封止部を形成する封止工程においては、例えば2000℃もの高温でバルブとなる石英管を加熱して溶融させ、その状態において、肉厚の石英ガラスを徐々に収縮させて、石英ガラスと電極および金属箔の密着性を高めている。
しかしながら、封止部12を構成する石英ガラスに埋設された電極13,14の径が大きい場合は、封止部12を形成する際にあまりに高温で石英ガラスを焼き込むと、石英ガラスと石英ガラスに比べて厚みの薄い金属箔15との密着性は向上する反面、ランプ点灯時やランプ消灯時において封止部12が破損し易くなる、という不具合が生じる。
この原因としては、高温で石英ガラスを焼き込む際に、封止部12の温度が一気に上昇すると、電極13,14を構成するタングステンと封止部12を構成する石英ガラスとの膨張係数の違いによって、電極13,14と封止部12との間で相対的な膨張量が異なるため、封止部12の電極13,14と当接する部位にクラックが発生するからである。このクラックは、極めて小さなものであるが、ランプ点灯時に内部空間Sが150気圧以上の超高圧状態となることに伴って成長し、やがては封止部12を破損に導く原因となる。
このような理由から、封止部12と当接する部分における電極13,14の径は、例えば1.5mm以上とすることはできない。
また、上記の超高圧水銀ランプの製造工程では、電極13,14をバルブ10に挿入する前段階において、電極13,14に含まれる不純物を放出させるため、例えば電気炉内にて電極13,14に対して熱処理を施している。しかし、この熱処理の温度が高すぎる場合には、電極構成物質(例えばタングステン)が結晶化することによって、電極構成物質の結晶粒界の成長が促進されることになる。
以上のように、上記のような超高圧水銀ランプにおいては、電極13,14の径を1.5mm以上に太くすることはできない。さらに、従来は上記の熱処理において、結晶粒界の成長については全く考慮されていなかったことから、電極13,14中に存在する電極構成物質の結晶粒界の成長が過剰に促進されて、電極径に比して電極構成物質の結晶粒界が大きいものとなる場合があった。このような場合、電極構成物質の結晶粒界面における強度が低下するため、例えば超高圧水銀ランプを製造する工程において電極13,14をバルブ10内に挿入する際、或いは超高圧水銀ランプの使用時等において、電極13,14に対して振動が加わると、電極構成物質の結晶粒界面を起点として電極折れが発生する、という問題が生じていた。
特開平2−148561号公報 特開平6−52830号公報
以上から、本発明は、電極構成物質の結晶粒界面を起点とした電極折れが生じることを抑制するとともに、信頼性の高い超高圧水銀ランプを提供することを目的とする。
本願の請求項1の発明は、
内部空間を有する発光部と、発光部の両端に連続する封止部とを有する発光管を備え、前記内部空間内に一対の電極が対向配置されるとともに0.15mg/mm以上の水銀が封入された超高圧水銀ランプにおいて、
前記電極は、最小径部の径をdとし、当該最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面において、電極中心軸と直交する直線が横切る電極構成物質の結晶粒界の個数をnとしたとき、d×n≧1.73の関係を満たすことにより、上記の課題を解決する。
電極折れの生じ易さは、電極の封止部に埋設された箇所における最小径部(以下、単に最小径部ともいう)の径と、最小径部を電極の長手方向に切断した断面において電極中心軸と直交する直線に交わる結晶粒界(以下、単に結晶粒界ともいう)の個数によって決まる。
すなわち、最も電極折れの発生し易い部位である最小径部が太い場合には、結晶粒界の個数は少なくても電極折れが抑制される。当然のことながら、最小径部が太い場合において、結晶粒界の個数が多ければ、さらに確実に電極折れを抑制することができる。但し、前述したように、電極径は、例えば1.5mmよりも太くできないことから、最小径部を大きくするには限界がある。
一方、超高圧水銀ランプの設計により最小径部が小さくならざるを得ない場合であっても、結晶粒界の個数が多ければ、電極折れを抑制することができる。
従って、超高圧水銀ランプ、特に電極の仕様に応じて、最小径部の大きさと、結晶粒界の個数との関係を最適に規定することにより、電極折れの発生を確実に抑制することができる。最小径部の径dと結晶粒界の個数nとの関係をd×n≧1.73と規定しているのは、本発明者らが後述の実験結果を検証したところ、電極折れが生じなかった電極サンプルは全てd×n≧1.73の関係を満たしていたからである。
さらに、本願の請求項2の発明は、前記電極が、前記内部空間に突出する電極前方部が純度99.99%以上のタングステン材からなることを特徴とする。
これによれば、上記の電極折れを防止できることに加え、電極のうち内部空間に突出する部分である電極前方部に含有される不純物の量が極めて少なくなる。そのため、不純物が発光部の内壁に付着することにより、発光部に黒化が生じる、という不具合の発生を確実に防止することができる。さらには、タングステン材に含まれる代表的な不純物である、カリウム等の含有量が少ないことから、環境面に対する負荷も小さい、という利点を有する。
さらに、本願の請求項3の発明は、前記電極が、前記電極前方部と、電極後方部と、が接合されてなることを特徴とする。
本願の請求項3の発明の技術的意義を以下に説明する。
電極の内部空間に突出する電極前方部を高いタングステン純度を有する材料で構成するのが望ましいことは、上記したとおりである。しかしながら、電極全体を99.99%以上もの高い純度を有するタングステン材で構成すると、次のような点で好ましくない。
タングステン材の熱処理は、タングステン材中に含まれる不純物を予め除去する目的でなされるが、通常は、タングステン材を加熱炉中に配置して行うため、タングステン材の全体が加熱されることになる。そして、99.99%以上もの高純度を有するタングステン材は、純度の低い(不純物の含有量の多い)タングステン材よりも熱処理時に結晶粒界が成長し易い。そのため、電極全体を高い純度を有するタングステン材で構成した場合は、電極全体に渡って結晶粒界が成長して結晶粒界の個数が少なくなる。従って、電極前方部に含有される不純物の量が少なくなるという点では良いのであるが、電極の最小径部の結晶粒界が成長して最小径部に存在する結晶粒界の個数が少ないものとなり、前述した電極折れの問題を解決することができない。
このような理由から、別々に用意した電極前方部と電極後方部とを接合することにより、電極の最小径部に存在する結晶粒界の個数が多いものでありながら、突出部に含有される不純物の量を少なくすることができる。
さらに、本願の請求項4の発明は、前記電極前方部と、前記電極後方部とが、レーザーにより接合されてなることを特徴とする。
レーザーを使用することにより、電極前方部と電極後方部とを容易に接合することができる。
さらに、本願の請求項5の発明は、超高圧水銀ランプ用の電極であって、電極の最小径部の径をdとし、当該最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面において、電極中心軸と直交する直線が横切る電極構成物質の結晶粒界の個数をnとしたとき、d×n≧1.73の関係を満たすことを特徴とする。
これにより、電極の最小径部に存在する結晶粒界の個数が多いため、電極自体の機械的強度が高いものとなり、電極折れが生じる不具合を抑制することができる。
さらに、本願の請求項6の発明は、前記電極が、99.99%以上の純度を有する電極前方部と、電極後方部と、が接合されてなることを特徴とする。
これにより、電極折れの不具合を抑制できることに加え、電極前方部における不純物含有量を低減することができる。
さらに、本願の請求項7の発明によれば、前記電極は、電極前方部と、電極後方部とが、レーザーにより接合されてなることを特徴とする。
レーザーを使用することにより、電極前方部と電極後方部とを容易に接合することができる。
さらに、本願の請求項8の発明によれば、超高圧水銀ランプ用の電極の製造方法であって、前記電極前方部を熱処理する工程と、前記電極後方部を熱処理する工程と、電極前方部と電極後方部とを対接させた状態で、電極前方部と電極後方部との接合されるべき箇所をレーザーによって溶融させ電極前方部と電極後方部とを接合する工程と、を含むことを特徴とする。
本願の請求項8の発明の技術的意義を以下に説明する。
99.99%以上の高純度を有する電極前方部については、熱処理を施して結晶粒界を成長させることにより、電極前方部に含有される不純物を予め放出させ、不純物の含有量を少ないものとする。
一方、電極後方部については、結晶粒界が成長しにくいように純度が低めのタングステン材を用いる、或いは、高純度のタングステン材を用いても結晶粒界が成長しにくい条件で熱処理を施す。
このように、別々に熱処理が施された電極前方部と電極後方部とを対接させた状態で、電極前方部と電極後方部との接合されるべき箇所をレーザーにより溶融させて、電極前方部と電極後方部とを接合するため、電極後方部に存在する結晶粒界の個数が多いものでありながら、電極前方部に含有される不純物の量の少ない電極を容易に製造することができる。
本発明によれば、電極の機械的強度が高いため、超高圧水銀ランプの製造時、或いは超高圧水銀ランプの使用時において、電極折れの不具合が生じる、という問題を確実に解消するができる。
図1は、本発明に係る超高圧水銀ランプの概略構成を示す長手方向の断面図である。
超高圧水銀ランプ1は、石英ガラスからなり、略球状の発光部11と、発光部11の両端に連続する円柱状の封止部12とからなるバルブ10を備えている。発光部11の内部空間Sには、発光物質として0.15mg/mm以上の水銀と、主としてハロゲンサイクルを行なうための、例えば2×10−4μmol/mm〜7×10−3μmol/mmの臭素などのハロゲンガスと、始動性改善のための、5kPa以上のアルゴンなどの希ガスが封入されている。また、発光部11の内部空間Sには、タングステンからなる一対の電極13および14が各々の先端が対向して配置されている。電極13および14の基端部は、封止部12に埋設されモリブデンからなる給電用の金属箔15の一端に接続されている。金属箔15の他端には、モリブデンからなり、一部が封止部12から外方に突出する外部リード16の一端が接続されている。
このような超高圧水銀ランプ1は、両端の外部リード16に不図示の給電装置が接続され、電極13および14に給電されることによって、電極13および14間で絶縁破壊して電極間に放電アークが形成され、発光部11から可視光を含む光線が発光部11の外方に放射される。
図2は、電極近傍における拡大断面図を示す。一方の電極13は、電極前方部131と電極後方部132とが、例えばレーザーによって接合されている。
大径の電極前方部131は、他方の電極14からの電子衝突を受ける部分であって、発光部11の内部空間Sに、他方の電極14に対向して配置されている。電極前方部131に接合された円柱状の電極後方部132は、バルブの中心軸と概ね一致するよう封止部12に埋設され、封止部12に埋設された金属箔15にその基端部が、例えばスポット溶接により接続されている。
以下において、「埋設」とは、電極後方部132が封止部12の内周面に当接している状態、および、電極後方部132と封止部12の内周面との間に微小空隙が介在している状態の両方を意味する。
他方の電極14は、先端が尖頭状の軸部142の先端近傍にコイル状の始動補助部141が取付けられて構成されている。電極14は、バルブの中心軸と概ね一致するように、コイル状の始動補助部141および軸部142の一部が発光部11の内部空間Sに配置され、軸部142の大部分が封止部12に埋設されている。コイル状の始動補助部141を設けることにより、点灯始動時において始動補助部141が容易に昇温するため、容易に始動させることができる。
電極の「最小径部」とは、図2に示すように、軸部131および電極後方部132が円柱形状を有して長手方向において外径が均一である場合には、任意の箇所のことをいう。なお、一方の電極13が図3に示すような形状を有する場合には、図3(a)に示すd、図3(b)に示すdが最小径部の径となる。
上記のような本発明に係る超高圧水銀ランプの仕様の一例を示すと以下のとおりである。
バルブ10は、全長が10.8mm、発光部11の最大外径が12.0mm、封止部12の最大外径が7.6mmである。一方の電極13は、全長が13.5mm、電極前方部131の最大外径が3.0mm、電極後方部132の最大外径が0.8mm、電極後方部132の封止部12への埋設長が6.0mmである。他方の電極14は、全長が11.0mm、軸部142の最大外径が1.3mm、軸部142の封止部12への埋設長が5.0mmである。金属箔15は、全長が14.0mm、厚みが20μmである。ランプ点灯電力は270W〜300Wである。
以下に、本発明の電極の製造方法について説明する。図4は、本発明の電極の製造方法を説明するための図である。
(イ)
電極前方部となる、99.99%以上の純度を有するタングステン材131´を用意する。このタングステン材を加熱炉内に配置し、所定の処理条件で熱処理を行う。これにより、タングステン材中に存在する結晶粒界が成長して、結晶粒界の個数が少ないものとなるため、元々タングステン材中に含有されている不純物が少ないものとなる。
熱処理条件の一例を挙げると、昇温速度40℃/分で2200℃まで昇温させ、この状態で、2時間保持した。
(ロ)
電極後方部となる、99.0%程度の純度を有するタングステン材132´を用意する。このタングステン材を加熱炉内に配置して所定の処理条件で熱処理を行うことにより、タングステン材中に含有される不純物をタングステン材中からある程度放出させつつ、電極後方部に存在する結晶粒界の個数を最適に制御する。
熱処理条件の一例を挙げると、昇温速度40℃/分で2200℃まで昇温させ、この状態で、2時間保持した。
(ハ)
上記の熱処理を経た電極前方部となるタングステン材131´および電極後方部となるタングステン材132´の各々の端面を対接させた状態で、電極前方部となるタングステン材と電極後方部となるタングステン材との接合されるべき箇所に対し、レーザーを照射する。これにより、両タングステン材131´,132´が溶融して接合部133が形成され、電極13が形成される。
レーザーの照射条件の一例を挙げると、YAGレーザーを用いる場合には、レーザー光の照射照度が72J、照射時間が90msecである。
以上のような電極の製造方法によれば、99.99%以上の純度を有するタングステン材を使用するため、電極前方部131の結晶粒界の成長が促進されて、電極前方部131に含有される不純物の量が少ないものとなり、さらには、電極13の最小径部を含む電極後方部132の結晶粒界が過剰に成長することがなく、電極後方部に存在する結晶粒界の個数を多くした電極13を製造することができる。そのため、電極折れが生じやすい部位である、電極の最小径部の機械的強度が高いものとなることから、電極折れが生じる不具合を抑制することができる。
従って、以上のような製造方法によって得られる電極を組み込んだ超高圧水銀ランプにおいては、電極13の最小径部の機械的強度が十分に高いため、例えば超高圧水銀ランプを製造する工程で電極13をバルブ10内に挿入する際、或いは、超高圧水銀ランプの点灯時に、電極13に電極折れが生じることが確実に防止される。
しかも、発光部11の内部空間Sに突出している電極前方部131に含有される不純物が極めて少ないものであるため、内部空間Sに不純物が放出されて内部空間Sでのハロゲンサイクルが阻害されることにより、発光部11の内壁に黒化が生じる、という問題の発生を確実に防止することができる。
本発明の超高圧水銀ランプによれば、電極の最小径部(図2に示す例では電極後方部132)の径dと、最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面において、電極中心軸と直交する直線が結晶粒界を横切る個数nと、の関係で表されるd×nが1.73以上に規定されていることにより、電極の最小径部における機械的強度が十分なものとなるため、電極折れの問題を確実に解決することができる。この効果は、以下に説明する実験によって確認されている。
以下に、本発明の効果を確認するために行なった実験について説明する。実験に供するため、図2に示す電極13の構成に基づいて、実験用のサンプル電極を300個作製した。サンプル電極は、タングステン製であり、全長13.5mm、最大外径3.0mmで統一し、最小径部の径dを0.3mm、0.4mm、0.6mm、0.8mm、1.0mm、1.2mmの6種類とし、6種類のそれぞれについて熱処理方法を変えて、最小径部の長手方向の断面において電極中心軸と直交する直線が横切る結晶粒界の個数nが1、3、5、7、9個の5種類となるようにした。すなわち、300本のサンプル電極の内訳は、最小径部の径dと結晶粒界の個数nとの組合せが30種類有り、それぞれの組合せが10個ずつになっている。
ここで、結晶粒界の個数nをカウントする方法を以下に図5を用いて説明する。図5は、電極の最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面を顕微鏡で拡大した図を示す。
図5に示す実線部分で囲まれた領域Xが1つの結晶粒界を示す。結晶粒界の個数は、電極の最小径部における断面を研磨して結晶面を露出させて写真に撮り、写真上で断面での電極中心軸Lに直交する直線Mを引いて、この直線Mと交わる実線Xで示す結晶粒界の個数nを数えた。なお、図5に示すように、電極の稜線Rと実線Xで囲まれた領域Yも1つの結晶粒界としてカウントした。
図5において、直線M上の数字は、直線Mが横切る結晶粒界Xの個数を示しており、図5に示す例では結晶粒界の個数を9個とカウントする。
図6は、上記サンプル電極の全てについて行なった実験方法を説明するための概略図である。固定用冶具51には、サンプル電極の最小径部の径とほぼ同じ大きさに形成された有底孔52が形成されている。この有底孔にサンプル電極13´の最小径部132´を嵌め込むことにより、サンプル電極13´を大地と垂直方向に固定した状態で、サンプル電極13´の側方から荷重付加手段53を用いて5kgfの負荷を加え、サンプル電極13´の破損の有無を目視で確認した。5kgfの負荷を加えた理由は、本発明者らの経験上、本発明に係る超高圧水銀ランプに使用される電極が5kgfの負荷に耐え得るのであれば、電極折れが生じることはない、と予想されるからである。
Figure 0005346428
表1において、「○」は、10個のサンプル電極中、電極折れが1個も生じなかったことを示し、「△」は、10個のサンプル電極中、電極折れが1〜2個生じたことを示し、「×」は、10個のサンプル電極中、電極折れが3個以上生じたことを示す。
表1によれば、サンプル電極13´の最小径部132´の径dが1.2mmの場合には、最小径部132´を電極軸を含む平面で切断した断面において、電極軸と直交する直線が横切る結晶粒界の個数nが1つであっても、電極折れが生じないことが確認された。これにより、最小径部132´の径dが1.2mm以上の場合には、結晶粒界の個数nが1つであっても電極折れが生じないと予想される。最小径部132´の径dが0.6mm以上である場合には、結晶粒界の個数nが3つ以上であれば、電極折れが生じないことが確認された。最小径部132´の径dが0.4mmの場合には、結晶粒界の個数nが7つ以上、最小径部132´の径dが0.3mmの場合には、結晶粒界の個数nが9つ以上で、電極折れが生じないことが確認された。
そして、最小径部132´の径dと結晶粒界の個数nとの関係で表されるd×nが1.73以上である場合には、電極折れが生じないことが確認された。一方、d×nが1.73未満である場合には、10個のサンプル電極中の少なくとも1個に電極折れが生じることが確認された。
従って、d×nが1.73以上となるような電極を用いることで、超高圧水銀ランプの製造時、或いは超高圧水銀ランプの点灯使用時において、電極折れが生じることを確実に防止することができる。
以上、本発明の超高圧水銀ランプの実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはなく、以下のような実施形態とすることもできる。
本発明は、一方の電極および他方の電極の両方に適用することもできるし、何れか一方の電極にのみ適用することもできる。
本発明は、必ずしも、電極の最小径部に存在する結晶粒界の個数を多くし、かつ、電極前方部を99.99%以上の純度を有するタングステン材で構成する必要はない。すなわち、電極折れの問題のみを重点的に解決したいような場合には、電極前方部を99.99%未満の純度を有するタングステン材で構成することもできる。
本発明は、必ずしも、電極全体を99.99%以上の純度を有するタングステン材で構成することを排除するものではない。すなわち、高純度のタングステン材は結晶粒界が成長し易いものであるが、熱処理方法を工夫することにより、電極の最小径部に存在する結晶粒界の個数が所定の個数となるよう制御することは可能である。例えば、1つのタングステン材に対し、炉室内において場所的な温度分布を設けることが可能な加熱炉を用い、電極の最小径部については、結晶粒界を過剰に成長させない条件で熱処理を施し、電極前方部については、結晶粒界を成長させる条件で熱処理を施すこともできる。
本発明は、電極の形成方法については、2つのタングステン材をレーザーで接合する方法に限られない。例えば、電極前方部となる何れか一方のタングステン材に形成した有底穴に対し、電極後方部となる他方のタングステン材を圧入することによって、2つのタングステン材を接合することもできる。
本発明は、電極の形成方法は、必ずしも2つの別部材を接合することに限定されない。すなわち、3つ以上の電極構成部材を接合することにより、電極を形成することもできる。
本発明は、直流点灯方式の超高圧水銀ランプ或いは交流点灯方式の超高圧水銀ランプの何れにも適用することができる。
本発明の超高圧水銀ランプの長手方向の断面図である。 図1の電極近傍の拡大図である。 本発明に係る電極の他の構造を示す長手方向の断面図である。 本発明の電極の製造方法を説明するための図である。 電極の最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面を顕微鏡で拡大した図を示す。 本発明の効果を確認する実験について説明するための概略図である。
符号の説明
1 超高圧水銀ランプ
10 バルブ
11 発光部
12 封止部
13 一方の電極
131 電極前方部
132 電極後方部
14 他方の電極
141 始動補助部
142 軸部
15 金属箔
16 外部リード
S 内部空間

Claims (4)

  1. 内部空間を有する発光部と、発光部の両端に連続する封止部とを有するバルブを備え、前記内部空間内に一対の電極が対向配置されるとともに0.15mg/mm以上の水銀が封入された超高圧水銀ランプにおいて、
    前記電極は、電極前方部と、該電極前方部よりも小径であって前記封止部内まで伸びる電極後方部とより構成され、
    前記電極後方部の最小径部の径をd(mm)とし、当該最小径部を電極中心軸を含む平面で切断した断面において、電極中心軸と直交する直線が横切る電極構成物質の結晶粒界の個数をnとしたとき、d×n1.94の関係を満たすことを特徴とする超高圧水銀ランプ。
  2. 前記電極は、前記内部空間に突出する電極前方部が、99.99%以上の純度を有するタングステン材からなることを特徴とする請求項1に記載の超高圧水銀ランプ。
  3. 前記電極は、前記電極前方部と、電極後方部と、が接合されてなることを特徴とする請求項2に記載の超高圧水銀ランプ。
  4. 前記電極前方部と、前記電極後方部とが、レーザーにより接合されてなることを特徴とする請求項3に記載の超高圧水銀ランプ。
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