JP5345667B2 - スクロール式流体機械 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば空気圧縮機、真空ポンプ等に用いて好適なスクロール式流体機械に関する。
一般に、スクロール式流体機械は、固定スクロールと該固定スクロールに対面して設けられた旋回スクロールとを含んで構成されている。また、固定スクロールと旋回スクロールとは、円板状に形成された鏡板と、該鏡板の内径側から外径側に向け渦巻状に巻回するように該鏡板に軸方向に立設されたラップ部とをそれぞれ備えている。これにより、固定スクロールと旋回スクロールとは、互いのラップ部を重ね合わせることによって複数の圧縮室を画成している。
そして、スクロール式流体機械は、駆動軸によって旋回スクロールを固定スクロールに対し一定の旋回半径をもって旋回運動させることにより、固定スクロールの外径側に設けた吸込口から気体を吸込み、各圧縮室内で順次圧縮し、この圧縮流体を固定スクロールの内径側に設けた吐出口から外部に向けて吐出することができる。
また、スクロール式流体機械には、各ラップ部の周面に複数の突起を形成することにより、各ラップ部間の隙間を小さくして圧縮室の密閉性を高め、圧縮効率を向上するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このとき、複数の突起は、ラップ部の周面に巻回方向(渦巻方向)に間隔をもって設けられると共に、周囲に比べてラップ部の周面から径方向に突出して形成されている。
特開2005−76517号公報
ところで、上述した従来技術によるスクロール式流体機械は、ラップ部の周面に軸方向に延びる複数本の突起を形成することにより、対面するラップ部間から漏れ出る圧縮流体を少なくし、圧縮室の密閉性を高めている。しかし、従来技術では、圧縮機の寸法誤差、組付誤差等によって突起が相手方のラップ部の周面に接触してかじり等が生じ、動力損失、騒音等が増大することがある。
また、ラップ部の周面に軟質な樹脂被膜を設けることによって、該樹脂被膜を突起に馴染ませて、かじり等を防止する構成も知られている。しかし、この場合、樹脂被膜を厚く塗布したときには、ラップ部の周面全体が樹脂被膜に接触してしまい、動力損失、騒音等が増大する傾向がある。一方、樹脂被膜を薄く塗布したときには、突起が樹脂被膜に全く接触しなくなり、突起による圧縮室の密閉性を高める効果が低下するという問題がある。
本発明は上述した従来技術の問題に鑑みなされたもので、本発明の目的は、動力損失を防ぐと共に、圧縮室の密閉性を高めることができるようにしたスクロール式流体機械を提供することにある。
上述した課題を解決するために、請求項1による発明は、鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち一方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とのうち少なくともいずれか一方の周面には、複数本の突起を設け、前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち他方のスクロールのラップ部の前記突起と対向する周面にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し、前記コーティング層を、前記一方のスクロールと前記他方のスクロールが最接近したときの、前記一方のスクロールのラップ部の前記突起と前記他方のスクロールのラップ部のうち前記突起と対向する周面との離間寸法よりも厚く、前記一方のスクロールのラップ部の前記突起が形成される周面のうち前記突起でない部分と前記他方のスクロールのラップ部のうち前記突起と対向する周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴としている。
請求項の発明では、前記コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成としている。
請求項の発明では、前記コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としている。
請求項の発明では、鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面には、複数本の突起を設け、前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面には、周方向にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し、前記コーティング層を、前記固定スクロールと前記旋回スクロールが最接近したときの、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面の前記突起と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面の前記突起でない部分と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴としている。
請求項の発明では、鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、前記固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面には、複数本の突起を設け、前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面には、周方向にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し、前記コーティング層を、前記固定スクロールと前記旋回スクロールが最接近したときの、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面の前記突起と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面の前記突起でない部分と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴としている。
請求項の発明では、前記コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成としている。
請求項の発明では、前記コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としている。
請求項の発明では、前記ラップ部の突起の断面形状は、その頂部と前記周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成し、該凹状曲面を滑らかに結ぶ形状としている。
請求項1の発明によれば、固定スクロールおよび旋回スクロールのうち一方のスクロールのラップ部内周面と外周面とのうち少なくともいずれかの周面には、複数本の突起を設け、固定スクロールまたは旋回スクロールのうち他方のスクロールのラップ部の突起と対向する周面にコーティング材を塗布したコーティング層を形成する構成としている。これにより、コーティング層は対面する相手方のラップ部の突起方のスクロールのラップ部の突起)に接触するから、これによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室の密閉性を高めることができる。また、コーティング層のうち突起と接触しない部分は常に相手方のラップ部に接触しないから、相手方のラップ部に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
さらに、コーティング層のうち相手方のラップ部の突起に接触する部分は、相手方のラップ部の突起に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このため、コーティング層のうち相手方のラップ部の突起に接触する部分は何回も接触することなく相手方のラップ部の突起に馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
また、コーティング層を、一方のスクロールと他方のスクロールが最接近したときの、一方のスクロールのラップ部の突起と他方のスクロールのラップ部のうち突起と対向する周面との離間寸法よりも厚く、一方のスクロールのラップ部の突起が形成される周面のうち突起でない部分と他方のスクロールのラップ部のうち突起と対向する周面との離間寸法よりも薄く形成した。これにより、コーティング層は対面する相手方のラップ部の突起(一方のスクロールのラップ部の突起)に接触するから、これによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室の密閉性を高めることができる。また、コーティング層のうち突起と接触しない部分は常に相手方のラップ部に接触しないから、相手方のラップ部に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
請求項の発明によれば、コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度(鉛筆法)によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成とした。これにより、コーティング層の付着性を高めることができると共に、コーティング層の割れ、剥離を防止でき、信頼性、耐久性を高めることができる。
請求項の発明によれば、コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としたから、該無機系コーティング材の引っかき硬度を「Hよりも軟らかく」することができると共に、耐おもり落下性を「割れ、はがれのない」状態にすることができる。
請求項の発明によれば、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の内周面には複数本の突起を設け、固定スクロールまたは旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面にはコーティング層を形成し、該コーティング層を、固定スクロールと旋回スクロールが最接近したときの、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の内周面の突起と固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の内周面の突起でない部分と固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成する構成としている。これにより、コーティング層は突起の位置で対面する相手方のラップ部に接触するから、これによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室の密閉性を高めることができる。また、コーティング層は突起でない位置では常に相手方のラップ部に接触しないから、相手方のラップ部に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
さらに、コーティング層は突起の位置で相手方のラップ部に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このため、コーティング層は何回も接触することなく相手方のラップ部の周面に馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
また、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の周面には、複数本の突起を設ける構成としたから、固定スクロールまたは旋回スクロールのラップ部の周面にコーティング層を形成することによって、コーティング層のうちラップ部の突起の部分は相手方のラップ部に向けて突出して相手方のラップ部に接触させることができると共に、コーティング層のうち隣合う突起の間の部分は相手方のラップ部に接触しない構成にすることができる。また、固定スクロールまたは旋回スクロールのラップ部の外周面にコーティング層を形成することによって、コーティング層のうち突起と対向する部分は相手方のラップ部の突起に接触させることができると共に、コーティング層のうち突起以外と対向する部分は相手方のラップ部に接触しない構成にすることができる。
請求項の発明によれば、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面には、複数本の突起を設け、固定スクロールまたは旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面にはコーティング層を形成している。そして、コーティング層を、固定スクロールと旋回スクロールが最接近したときの、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面の突起と固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面の突起でない部分と固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成する構成としている。
これにより、固定スクロールまたは旋回スクロールのラップ部の外周面にコーティング層を形成した場合には、コーティング層のうち突起の部分は対面する相手方のラップ部に接触するから、これによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室の密閉性を高めることができる。また、この場合、コーティング層のうち突起でない部分は常に相手方のラップ部に接触しないから、相手方のラップ部に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
さらに、ラップ部の外周面に形成したコーティング層のうち突起の部分は相手方のラップ部に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このため、コーティング層のうち突起の部分は何回も接触することなく相手方のラップ部の周面に馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
また、固定スクロールおよび旋回スクロールのラップ部の外周面には複数本の突起を設ける構成としたから、固定スクロールまたは旋回スクロールのラップ部の外周面にコーティング層を形成することによって、コーティング層のうちラップ部の突起の部分は旋回スクロールのラップ部に向けて突出して相手方のラップ部に接触させることができると共に、コーティング層のうち隣合う突起の間の部分は相手方のラップ部に接触しない構成にすることができる。
一方、固定スクロールまたは旋回スクロールのラップ部の内周面にコーティング層を形成した場合には、コーティング層のうち相手方のラップ部の突起接触する部分によって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室の密閉性を高めることができる。また、この場合、コーティング層のうち相手方のラップ部に接触しない部分によって相手方のラップ部に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
また、ラップ部の内周面に形成したコーティング層のうち相手方のラップ部の突起接触する部分は、相手方のラップ部の突起に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このため、コーティング層のうち相手方のラップ部の突起が接触する部分は何回も接触することなく相手方のラップ部の突起に馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
請求項の発明によれば、コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度(鉛筆法)によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成とした。これにより、コーティング層の付着性を高めることができると共に、コーティング層の割れ、剥離を防止でき、信頼性、耐久性を高めることができる。
請求項の発明によれば、コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としたから、該無機系コーティング材の引っかき硬度を「Hよりも軟らかく」することができると共に、耐おもり落下性を「割れ、はがれのない」状態にすることができる。
請求項の発明によれば、ラップ部の突起の断面形状は、その頂部とラップ部の周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成し、該凹状曲面と頂部との間、および凹状曲面とラップ部の周面との間をいずれも滑らかに結ぶ形状としている。これにより、突起にコーティング材を塗布してコーティング層を形成したときに、該コーティング層に所謂ばり等が生じるのを防ぐことができる。このため、コーティング層の付着性を高めて剥離を防止でき、信頼性、耐久性を向上することができる。

本発明の実施の形態に適用されるスクロール式空気圧縮機を示す縦断面図である。 スクロール式空気圧縮機を図1中の矢示II−II方向からみた横断面図である。 図2中の固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを拡大して示す要部拡大の横断面図である。 図3中の外周突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 固定スクロールの鏡板、ラップ部および外周突起の一部を拡大して示す一部破断の外観斜視図である。 エンドミルを用いてラップ部を加工する状態を示す横断面図である。 実施の形態による固定スクロールのラップ部が旋回スクロールのラップ部の内周面、外周面にそれぞれ最接近した状態を示す要部拡大の横断面図である。 第1の比較例による固定スクロールのラップ部が旋回スクロールのラップ部の内周面、外周面にそれぞれ最接近した状態を示す図7と同様位置の横断面図である。 第2の比較例による固定スクロールのラップ部が旋回スクロールのラップ部の内周面、外周面にそれぞれ最接近した状態を示す図7と同様位置の横断面図である。 第1の変形例による突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 第2の変形例による突起を拡大して示す要部拡大の横断面図である。 第3の変形例による固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを拡大して示す図3と同様位置の横断面図である。 第4の変形例による固定スクロールのラップ部と旋回スクロールのラップ部とを拡大して示す図3と同様位置の横断面図である。 第5の変形例によるスクロール式空気圧縮機を示す図2と同様位置の横断面図である。 第6の変形例によるスクロール式空気圧縮機を示す図2と同様位置の横断面図である。 参考例による固定スクロールのラップ部が旋回スクロールのラップ部の内周面、外周面にそれぞれ最接近した状態を示す要部拡大の横断面図である。
以下、本発明の実施の形態によるスクロール式流体機械を、添付図面に従って詳細に説明する。
まず、図1ないし図7は本発明による実施の形態を示し、本実施の形態では、スクロール式空気圧縮機を例に挙げて述べる。
図中、1はスクロール式空気圧縮機のケーシングで、該ケーシング1は、筒状に形成されると共に、その内部に後述の駆動軸9を回転可能に支持している。
2はケーシング1の端部に取付けられた固定スクロールで、該固定スクロール2は、例えばアルミニウム、その合金等を含んだ金属材料によって形成されている。このとき、固定スクロール2の表面にはアルマイト処理を施してもよい。また、固定スクロール2は、後述する駆動軸9の軸線O1−O1と同軸に配設された略円板状の鏡板3と、該鏡板3の表面に立設された渦巻状のラップ部4と、鏡板3の外径側からラップ部4を取囲むように軸方向に突出した筒部5と、該筒部5から径方向外側に突出したフランジ部6とによって大略構成されている。
ここで、固定スクロール2には、鏡板3の外径側に位置して後述の圧縮室14に空気を吸込む吸込口7が設けられ、鏡板3の中央には圧縮室14で圧縮した空気を外部に吐出する吐出口8が設けられている。
また、ラップ部4は、図2に示す如く、例えばエンドミル等の切削工具を用いて切削加工を行うことにより、内径側(半径方向の内側)が巻始め端となり、外径側(半径方向の外側)が巻終り端となるn巻の渦巻状に形成されている。この場合、ラップ部4の各部位の半径方向の間隔、即ち1巻目と2巻目、2巻目と3巻目、…(n−1)巻目とn巻目との間隔は、図3中に示す径方向間隔寸法Tに設定されている。即ち、(n−1)巻目のラップ部4の外周面4Bとn巻目のラップ部4の内周面4Aとの間は、例えば18mm程度の径方向間隔寸法Tだけ離間している。
また、ラップ部4の内周面4Aは、巻回方向に沿って凹湾曲状をなすと共に、凹凸のない平坦面(平滑面)として形成されている。一方、ラップ部4の外周面4Bには、後述する複数の固定側外周突起15が設けられている。
9はケーシング1に回転可能に設けられた駆動軸で、該駆動軸9は、回転中心となる軸線O1−O1(軸心O1)を有している。また、駆動軸9の端部側は、軸線O1−O1に対して旋回半径δだけ偏心した軸線O2−O2(軸心O2)を有するクランク9Aとなり、該クランク9Aには、旋回軸受10を介して後述の旋回スクロール11が回転可能に取付けられている。
11は固定スクロール2と対向して駆動軸9に設けられた旋回スクロールで、該旋回スクロール11は、例えば固定スクロール2と同様の金属材料等を用いて形成されている。また、旋回スクロール11は、クランク9Aの軸線O2−O2と同軸に配設された円板状の鏡板12と、該鏡板12の表面から軸方向に立設された渦巻状のラップ部13とによって大略構成されている。
ここで、ラップ部13は、図2に示す如く、内径側が巻始め端となり、外径側が巻終り端となる渦巻状に形成されている。このとき、ラップ部13は、ラップ部4の径方向間隔寸法Tを同じ値の径方向間隔寸法をもって形成されている。また、ラップ部13の内周面13Aは、巻回方向に沿って凹湾曲状をなすと共に、凹凸のない平坦面(平滑面)として形成されている。一方、ラップ部13の外周面13Bには、後述する複数の旋回側外周突起16が設けられている。また、ラップ部13は、固定スクロール2のラップ部4に対して例えば180度だけずらして重なり合うように配設され、これらのラップ部4,13の間には複数の圧縮室14が画成されている。
そして、スクロール式空気圧縮機は、駆動軸9のクランク9Aが旋回半径δ分だけ偏心しているため、駆動軸9が回転駆動されると、旋回スクロール11が自転防止機構(図示せず)等により自転を規制された状態で公転し、固定スクロール2に対して旋回半径δの旋回運動を行う。
これにより、空気圧縮機は、吸込口7から外周側の圧縮室14に吸込んだ空気を各圧縮室14内で順次圧縮しつつ、中心側(最内径側)の圧縮室14から吐出口8を介して外部に圧縮空気を吐出する。このとき、各圧縮室14は、ラップ部4,13の外周突起15,16および後述のコーティング層17,18等によって高い密閉状態に保持されるものである。
15は固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに設けられた複数本の突起としての固定側外周突起で、該各固定側外周突起15は、図3ないし図5に示す如く、例えば略三角形の横断面形状を有する突部として形成され、ラップ部4の外周面4Bから径方向外向きに突出すると共に、その軸方向に延びている。
ここで、旋回スクロール11が固定スクロール2に対して旋回運動するときには、その位置に対応する一部の固定側外周突起15とラップ部13の内周面13Aとが最接近し、ラップ部4の外周面4Bに形成された後述の外周側コーティング層17がラップ部13の内周面13Aに接触する。このため、ラップ部4の外周側コーティング層17とラップ部13の内周面13Aとが接触する部位(接触部位)は各圧縮室14内に空気を閉込める閉込み位置となる。そして、固定側外周突起15は、各圧縮室14の閉込み位置でラップ部4の外周面4Bとラップ部13の内周面13Aとの間の隙間を減少させ、これによって各圧縮室14の密閉性を高めるものである。
また、各外周突起15は、図3に示す如く、ラップ部4の巻回方向(長さ方向)に間隔をもって配置されている。この場合、隣合う外周突起15の巻回方向の間隔寸法Pは、ラップ部4の内径側で狭く(例えば3mm程度)、外径側で広く(例えば7mm程度)なっている。このように、隣合う外周突起15の間隔寸法Pを、内径側で狭く(小さく)することにより、対面するラップ部13の曲率半径が小さく曲がりが急な部位に対しても、圧縮室14の密閉性を高めることができる。
さらに、固定側外周突起15は、図4に示す横断面からみると、突出端に位置する狭幅な頂部15Aと、該頂部15Aとラップ部4の外周面4Bとを滑らかにつなぐ左,右の裾野となる凹状曲面15Bとによって形成されている。この場合、頂部15Aは、例えば0〜2mm程度、好ましくは0.1〜0.3mm程度の幅寸法Wをもって狭幅に形成されている。
また、固定側外周突起15は、例えば40μm程度の突出寸法tだけラップ部4の外周面4Bから径方向外側に突出している。このとき、ラップ部4を切削加工するエンドミルの直径寸法Dは、図6に示す如く、ラップ部4の径方向間隔寸法Tから固定側外周突起15の突出寸法tを差し引いた値よりも小さな値(D<(T−t))に設定される。このため、各凹状曲面15Bの曲率半径寸法Rは、エンドミルの半径寸法(D/2)以上の値(R≧(D/2))に設定される。なお、生産性、加工性を考慮すると、各凹状曲面15Bの曲率半径寸法Rは、エンドミルの半径寸法(D/2)よりも大きい値に設定するのが好ましい。
一方、16は旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bに設けられた複数本の突起としての旋回側外周突起で、該各旋回側外周突起16は、各圧縮室14の閉込み位置で固定スクロール2のラップ部4の内周面4Aに形成された後述の内周側コーティング層18に接触することにより、ラップ部4の内周面4Aとラップ部13の外周面13Bとの間の隙間を減少させるものである。
そして、旋回側外周突起16は、固定側外周突起15とほぼ同様に、例えば略三角形の横断面形状を有し、ラップ部13の巻回方向に非等間隔となる間隔Pをもって配置されている。また、旋回側外周突起16は、頂部16Aと凹状曲面16Bとを有し、固定側外周突起15とほぼ等しい形状、寸法(突出寸法t、幅寸法W、曲率半径寸法R等)をもって形成されている。また、隣合う外周突起16の巻回方向の間隔寸法Pは、ラップ部13の内径側で狭く、外径側で広くなっている。
なお、外周突起15,16は、ラップ部4,13の巻回方向の全長に設ける構成としたが、例えばラップ部4,13の巻回方向の全長のうち、最も内径側となる巻始め端から半巻き程度の部位を除いた外周面4B,13Bに形成してもよい。このラップ部4,13の外周面4B,13Bで巻始め端から半巻き程度の部位は、曲率半径が最も小さく、また熱による寸法変化も小さいことから、各外周突起15,16を設けなくても十分に圧縮室14を密閉できるためであり、この部位は平坦面として形成される。
また、ラップ部4,13の巻回方向の全長のうち、外径側に位置する略1巻分の部位を除いた外周面4B,13Bに外周突起15,16を形成してもよい。この場合、ラップ部4,13の外径側に位置する略1巻分の部位はインボリュート曲線に沿った内周面4A,13A、外周面4B,13Bを形成する。これにより、最も外径側の圧縮開始位置における圧縮室14のシール性を良好に保持できる。また、外周突起15,16の接触に伴う騒音が吸込口7から漏れるときでも、この騒音を低減することができる。
17は固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに設けられた外周側コーティング層で、該外周側コーティング層17は、図1ないし図3に示す如く、ラップ部4の外周面4Bに対して巻回方向に連続してコーティング材を塗布することによって形成されている。また、ラップ部4の外周面4Bには固定側外周突起15が形成されているから、外周側コーティング層17のうち外周突起15を覆う部分は、径方向外側に突出する。
このとき、外周側コーティング層17のコーティング材は、例えば日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度(鉛筆法)によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料が使用される。具体的には、コーティング材は、例えばバインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材が使用される。なお、圧縮室14内には圧縮熱が生じるから、外周側コーティング層17は高温に加熱される可能性がある。このため、コーティング材は、長期間に亘る加熱後であっても、前記引っかき硬度と耐おもり落下性の条件を満たすような耐熱性材料を用いるのが好ましい。
ここで、固定スクロール2のラップ部4の固定側外周突起15が旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに最接近したとき、最接近位置でのラップ部4の外周面4Bとラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法をA1とし、固定側外周突起15とラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法をB1とする。このとき、外周側コーティング層17の厚さ寸法C1は、図7に示すように、以下の数1の関係を満たすように設定されている。
Figure 0005345667
具体的には、離間寸法A1を80μm程度に設定すると共に、離間寸法B1を40μm程度に設定したときに、外周側コーティング層17の厚さ寸法C1は、これら離間寸法A1,B1の間の値として、例えば60μm程度に設定されている。
これにより、外周側コーティング層17のうち固定側外周突起15の先端に位置する部位は、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに接触する。一方、隣合う固定側外周突起15の間の部分は、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aとは接触しない。また、外周側コーティング層17のうちラップ部13の内周面13Aと接触する部分は、容易に変形して厚さが減少するように調整され、ラップ部13の内周面13Aに馴染む。
この結果、外周側コーティング層17は、固定側外周突起15に位置して旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aと接触して層の厚さが調整される突起面側接触部17Aと、隣合う固定側外周突起15の間に位置して旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aと常に接触しない突起面側非接触部17Bとを有するものである。
18は固定スクロール2のラップ部4の内周面4Aに設けられた内周側コーティング層で、該内周側コーティング層18は、ラップ部4の内周面4Aに対して巻回方向に連続してコーティング材を塗布することによって形成されている。これにより、内周側コーティング層18は、ラップ部4の内周面4Aに沿って平坦状に形成されている。
このとき、内周側コーティング層18のコーティング材は、例えば外周側コーティング層17と同じ材料を用いて形成される。このため、内周側コーティング層18のコーティング材も、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度(鉛筆法)によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料が使用される。
ここで、旋回スクロール11のラップ部13の旋回側外周突起16が固定スクロール2のラップ部4の内周面4Aに最接近したとき、最接近位置でのラップ部13の外周面13Bとラップ部4の内周面4Aとの間の離間寸法をA2とし、旋回側外周突起16とラップ部4の内周面4Aとの間の離間寸法をB2とする。このとき、内周側コーティング層18の厚さ寸法C2は、以下の数2の関係を満たすように設定されている。
Figure 0005345667
具体的には、離間寸法A2を80μm程度に設定すると共に、離間寸法B2を40μm程度に設定したときに、内周側コーティング層18の厚さ寸法C2は、例えば60μm程度に設定されている。
これにより、内周側コーティング層18は、旋回スクロール11のラップ部13の旋回側外周突起16に接触するものの、ラップ部13の外周面13Bとは接触しない。また、内周側コーティング層18のうち旋回側外周突起16と接触する部分は、容易に窪んだ形状に変形して厚さが減少するように調整され、旋回側外周突起16に馴染む。
この結果、内周側コーティング層18は、旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bに設けた旋回側外周突起16と接触して層の厚さが調整される平坦面側接触部18Aと、旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bと常に接触しない平坦面側非接触部18Bとを有するものである。
次に、コーティング層17,18の厚さ寸法C1,C2について詳細に検討する。
まず、図8に示す第1の比較例では、外周側コーティング層21の厚さ寸法C11は、最接近位置での固定側外周突起15とラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法B1よりも小さい値に設定している。また、第1の比較例では、内周側コーティング層22の厚さ寸法C21も、最接近位置での旋回側外周突起16とラップ部4の内周面4Aとの間の離間寸法B2よりも小さい値に設定している。第1の比較例の場合、外周側コーティング層21は常にラップ部13の内周面13Aに接触せず、内周側コーティング層22も常にラップ部13の外周面13Bに接触しない。このため、コーティング層21,22とラップ部13との間の隙間が生じるから、該隙間から圧縮空気が漏洩し、圧縮効率が低下する傾向がある。
一方、図9に示す第2の比較例では、外周側コーティング層23の厚さ寸法C12は、最接近位置でのラップ部4の外周面4Bとラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法A1よりも大きい値に設定している。また、第2の比較例では、内周側コーティング層24の厚さ寸法C22も、最接近位置でのラップ部4の内周面4Aとラップ部13の外周面13Bとの間の離間寸法A2よりも大きい値に設定している。第2の比較例の場合、外周側コーティング層23は、固定側外周突起15に位置する部分がラップ部13の内周面13Aに接触するのに加えて、隣合う外周突起15間に位置する部分もラップ部13の内周面13Aに接触する。同様に、内周側コーティング層24も、旋回側外周突起16と接触するのに加えて、隣合う外周突起16間に位置するラップ部13の外周面13Bに接触する。このため、コーティング層23,24とラップ部13との接触面積が増加し、動力損失や騒音が増大する傾向がある。
これに対し、本実施の形態では、図7に示す如く、外周側コーティング層17の厚さ寸法C1は、最接近位置での固定側外周突起15とラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法B1よりも大きく、ラップ部4の外周面4Bとラップ部13の内周面13Aとの間の離間寸法A1よりも小さい値に設定している(B1<C1<A1)。
このため、外周側コーティング層17は、ラップ部13の内周面13Aに接触する突起面側接触部17Aと、ラップ部13の内周面13Aと常に接触しない突起面側非接触部17Bとを有する。これにより、外周側コーティング層17の突起面側接触部17Aは対面する旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに接触するから、第1の比較例に比べて、突起面側接触部17Aによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室14の密閉性を高めることができる。また、外周側コーティング層17の突起面側非接触部17Bは常に旋回スクロール11のラップ部13に接触しないから、第2の比較例に比べて、相手方のラップ部13に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
同様に、内周側コーティング層18の厚さ寸法C2は、最接近位置での旋回側外周突起16とラップ部4の内周面4Aとの間の離間寸法B2よりも大きく、ラップ部4の内周面4Aとラップ部13の外周面13Bとの間の離間寸法A2よりも小さい値に設定している(B2<C2<A2)。このため、内周側コーティング層18も、外周側コーティング層17と同様に、平坦面側接触部18Aと平坦面側非接触部18Bとを有するから、圧縮室14の密閉性を高めつつ、動力損失等を低減することができる。
次に、コーティング層17,18のコーティング材について詳細に検討する。コーティング材として以下の表1に示す試料1〜6を用いた場合について、それぞれ耐おもり落下性、初期なじみ、引っかき硬度を調べた。
Figure 0005345667
なお、耐おもり落下性は、圧縮機に組付ける初期状態に加えて、加熱後の状態についても評価した。このとき、加熱後の耐おもり落下性は、ラップ部4と同一材料の板材にコーティング材を塗布した試料片を形成した後に、この試料片を270℃、0.7MPaの雰囲気中に500時間、1500時間、3000時間それぞれ放置し、各時間経過後の試料片について日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性の試験を行うことによって評価した。また、初期なじみは、固定スクロール2のラップ部4に塗布したコーティング材(コーティング層17,18)が旋回スクロール11のラップ部13と馴染むまでの間に、圧縮機に生じる振動の大小によって評価した。さらに、各試料1〜6は、初期状態でのコーティング材の付着性、密着性を向上させるために、ラップ部4に塗布した後に加熱処理等を施した構成を含むものである。
表1の結果より、試料1(住鉱潤滑剤株式会社製のドライコート6500(脱Sb))を用いた場合には、コーティング材を塗布した初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。また、3000時間加熱後の耐おもり落下性も、割れ、はがれがなく、耐熱性も良好となった。さらに、初期なじみも、大きな振動が生じることがなく、良好となった。このとき、試料1の引っかき硬度は6B以下であり、Hよりも軟らかかった。このため、試料1は、ラップ部4に対する密着性に優れ、耐熱性を有すると共に、相手方のラップ部13に馴染み易く、コーティング層17,18に好適であることが分かった。
試料2(STT株式会社製のゾルベスト300(+))を用いた場合には、初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。また、3000時間加熱後の耐おもり落下性も、割れ、はがれがなく、耐熱性も良好となった。また、初期なじみは、大きな振動が生じることがなく、良好となった。このとき、試料2の引っかき硬度は6B以下であった。このため、試料2も、ラップ部4に対する密着性に優れ、耐熱性を有すると共に、相手方のラップ部13に馴染み易く、コーティング層17,18に好適であることが分かった。
試料3(東レ・ダウコーニング株式会社製のモリコートD−321R)を用いた場合には、初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。一方、加熱後の耐おもり落下性は、1500時間加熱後の試験で割れ、はがれが生じてしまい、耐熱性が劣ることが分かった。また、初期なじみは、大きな振動が生じることがなく、良好となった。このとき、試料3の引っかき硬度は6B以下であり、Hよりも軟らかかった。このように、試料3は、相手方のラップ部13に馴染み易い。しかし、試料3は、初期状態の耐おもり落下性は満足するものの、耐熱性が劣るために、高温、高圧条件での長期間の使用は難しい。このため、試料3は、コーティング層17,18に適用し難いことが分かった。
但し、加熱の条件(温度、圧力)が緩和されれば、試料3でも長期間に亘る耐久性を確保できる可能性がある。このため、吐出圧力が低く、圧縮室14内の温度が低い(例えば150℃程度)圧縮機であれば、試料3でも、コーティング層17,18に適用できるものと考えられる。
試料4(パーカー加工株式会社製のデフリックコートMC−52WB)を用いた場合には、初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。また、3000時間加熱後の耐おもり落下性も、割れ、はがれがなく、耐熱性も良好となった。さらに、初期なじみも、大きな振動が生じることがなく、良好となった。このとき、試料4の引っかき硬度はFであり、Hよりも軟らかかった。このため、試料4は、ラップ部4に対する密着性に優れ、耐熱性を有すると共に、相手方のラップ部13に馴染み易く、コーティング層17,18に適用可能であることが分かった。
試料5(東洋ドライループ株式会社製のドライループA)を用いた場合には、初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。また、3000時間加熱後の耐おもり落下性も、割れ、はがれがなく、耐熱性も良好となった。但し、初期なじみは、大きな振動が生じてしまい、馴染み難いことが分かった。このとき、試料5の引っかき硬度はHであった。このように、試料5は、ラップ部4に対する密着性に優れ、耐熱性を有する。しかし、試料5は、初期なじみが劣るため、圧縮機の運転初期に大きな振動を生じると共に、長期間に亘ってコーティング材の摩耗が生じる。このため、試料5は、コーティング層17,18に適用できないことが分かった。
試料6(株式会社川邑研究所製のデフリックコートHMB−2G)を用いた場合には、初期状態の耐おもり落下性は、割れ、はがれがなく、良好な状態となった。一方、加熱後の耐おもり落下性は、500時間加熱後の試験で割れ、はがれが生じてしまい、耐熱性が劣ることが分かった。また、初期なじみは、大きな振動が生じてしまい、馴染み難いことが分かった。このとき、試料6の引っかき硬度は3H以上であり、H以上に硬かった。このように、試料6は、初期状態ではラップ部4に対する密着性を有するものの、耐熱性が劣るため、高温、高圧条件の下では耐久性が短いという問題がある。また、試料6は、初期なじみが劣るため、圧縮機の運転初期に大きな振動を生じると共に、長期間に亘ってコーティング材の摩耗が生じる。このため、試料6は、コーティング層17,18に適用できないことが分かった。
以上の結果から、コーティング層17,18に用いるコーティング材としては、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料が適していることが分かった。また、これらの引っかき硬度および耐おもり落下性の条件を満足するためには、コーティング材としては、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いるのが好ましいことが分かった。
本実施の形態によるスクロール式空気圧縮機は、上述したような構成を有するもので、次に、このスクロール式空気圧縮機の動作について説明する。
まず、電動モータ等の駆動源(図示せず)により駆動軸9を回転駆動すると、旋回スクロール11は、自転防止機構によって自転が防止された状態で、駆動軸9の軸線O1−O1を中心として旋回半径δの旋回運動を行ない、固定スクロール2のラップ部4と旋回スクロール11のラップ部13間に画成される圧縮室14は連続的に縮小する。これにより、固定スクロール2の吸込口7から吸込んだ空気は各圧縮室14で順次圧縮しつつ、固定スクロール2の吐出口8から圧縮空気として外部のタンク(図示せず)に向け吐出することができる。
また、旋回スクロール11が固定スクロール2に対して旋回運動するときには、外周側コーティング層17の突起面側接触部17Aは、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに接触すると共に、内周側コーティング層18の平坦面側接触部18Aは、旋回スクロール11のラップ部13の外周突起16に接触する。このため、各コーティング層17,18が旋回スクロール11に接触する接触部位は各圧縮室14内に空気を閉込める閉込み位置となる。
そして、外周側コーティング層17の接触部17Aは、各圧縮室14の閉込み位置でラップ部4の外周面4Bとラップ部13の内周面13Aとの間の隙間を減少させる。また、内周側コーティング層18の接触部18Aは、各圧縮室14の閉込み位置でラップ部13の外周面13Bとラップ部4の内周面4Aとの間の隙間を減少させる。これにより、コーティング層17,18は各圧縮室14の密閉性を高めることができる。
然るに、本実施の形態では、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bには突起面側接触部17Aと突起面側非接触部17Bとを有する外周側コーティング層17を形成したから、外周側コーティング層17の突起面側接触部17Aは対面する旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに接触する。このため、外周側コーティング層17がラップ部13の内周面13Aに接触しない場合に比べて、突起面側接触部17Aによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室14の密閉性を高めることができる。また、外周側コーティング層17の突起面側非接触部17Bは常に旋回スクロール11のラップ部13に接触しないから、突起面側非接触部17Bを設けない場合に比べて、相手方のラップ部13に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
特に、外周側コーティング層17の突起面側接触部17Aはラップ部4の外周突起15に形成したから、突起面側接触部17Aをラップ部4の外周突起15に倣って突起状に形成することができる。このため、突起面側接触部17Aは、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aに接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。この結果、突起面側接触部17Aは何回も接触することなく相手方のラップ部13の内周面13Aに馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
また、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bには、巻回方向に間隔をもって軸方向に延びる複数本の外周突起15を設ける構成としたから、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに外周側コーティング層17を形成することによって、ラップ部4の外周突起15の位置に旋回スクロール11のラップ部13に向けて突出した突起面側接触部17Aを設けることができると共に、隣合う突起の間に突起面側非接触部17Bを形成することができる。
一方、固定スクロール2のラップ部4の内周面4Aには平坦面側接触部18Aと平坦面側非接触部18Bとを有する内周側コーティング層18を形成したから、内周側コーティング層18の平坦面側接触部18Aは旋回スクロール11のラップ部13の外周突起16に接触する。このため、平坦面側接触部18Aによって圧縮空気の漏洩を防止でき、圧縮室14の密閉性を高めることができる。また、内周側コーティング層18の平坦面側非接触部18Bは常に旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bに接触しないから、平坦面側非接触部18Bを設けない場合に比べて、旋回スクロール11のラップ部13に対する接触面積を減少させることができ、動力損失や騒音を低下させることができる。
また、内周側コーティング層18の平坦面側接触部18Aは、旋回スクロール11のラップ部13の外周突起16に接触するから、平坦面側接触部18Aは、旋回スクロール11のラップ部13の外周突起16に接触したときに、容易につぶれたり、摩耗することができる。このため、平坦面側接触部18Aは何回も接触することなく旋回スクロール11のラップ部13の外周突起16に馴染ませることができるから、動力損失を軽減し、また損傷、騒音、かじり等の発生を防止でき、耐久性、信頼性を向上することができる。
さらに、コーティング層17,18は固定スクロール2のラップ部4の周面4A,4Bに設ける構成としたから、コーティング層17,18を形成する工程を固定スクロール2のみに実施すればよく、固定スクロール2と旋回スクロール11との両方にコーティング層を設けた場合に比べて、生産性を高めることができる。また、旋回スクロール11は、クランク9A、自転防止機構等が取付けられているのに対し、固定スクロール2はケーシング1に取付けられている。このため、旋回スクロール11に比べて、固定スクロール2の取付け、取外しは容易に行うことができる。従って、例えば圧縮機の使用に伴ってコーティング層17,18が大きく摩耗した場合には、固定スクロール2を取外して、コーティング層17,18を再度形成するか、新しいコーティング層17,18が設けられた別個の固定スクロール2に交換すればよく、圧縮機のメンテナンス性を高めることができる。
また、コーティング層17,18のコーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度(鉛筆法)によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成とした。これにより、ラップ部4に対するコーティング層17,18の密着性を高めることができると共に、コーティング層17,18の割れ、剥離を防止でき、信頼性、耐久性を高めることができる。
さらに、ラップ部4,13の外周突起15,16の断面形状は、その頂部15A,16Aとラップ部4,13の外周面4B,13Bとをつなぐ裾野を凹状曲面15B,16Bとして形成している。このとき、該外周突起15,16の凹状曲面15B,16Bの曲率半径寸法Rは切削工具(エンドミル)の半径寸法(D/2)とほぼ同じ値からそれ以上に設定できるから、ラップ部4,13を加工する切削工具を用いて外周突起15,16を切削加工することができる。従って、ラップ部15,16と一緒に突起を加工することができるから、生産性を高めることができる。
また、外周突起15,16はラップ部4,13の外周面4B,13Bに設ける構成としたから、例えばラップ部4,13の内周面4A,13Aに突起を設ける場合に比べて、隣合う外周突起15,16の間隔を広く確保することができ、外周突起15,16の加工性を高めることができる。特に、ラップ部4,13の内径側では隣合う外周突起15,16の間隔が狭くなる。このため、ラップ部4,13の内径側では、本実施の形態のように外周面4B,13Bに突起15,16を設けた場合と、内周面4A,13Aに突起を設けた場合とでは、加工性の差異が大きくなる。
なお、前記実施の形態では、外周突起15,16は、狭幅な平坦面を有する頂部15A,16Aと、左,右の裾野となる凹状曲面15B,16Bとを備え、略台形状の横断面をなす構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図10に示す第1の変形例のように、突起31は、先端が尖った頂部31Aと、裾野となる凹状曲面31Bとを備え、先端が尖った山形状の横断面をなす構成としてもよい。
また、図11に示す第2の変形例のように、突起32は、先端が凸状曲面を有する頂部32Aと、裾野となる凹状曲面32Bとを備え、先端が凸湾曲した山形状の横断面をなす構成としてもよい。この場合、突起32の横断面形状は、凹状曲面32Bと頂部32Aとの間、および凹状曲面32Bとラップ部4,13の外周面4B,13Bとの間をいずれも滑らかに結ぶ形状としている。これにより、突起32にコーティング材を塗布してコーティング層を形成したときに、該コーティング層に所謂ばり等が生じるのを防ぐことができる。このため、コーティング層の付着性を高めて剥離を防止でき、信頼性、耐久性を向上することができる。
さらに、前記実施の形態では、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに外周側コーティング層17を形成すると共に、ラップ部4の内周面4Aに内周側コーティング層18を形成する構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図12に示す第3の変形例のように、旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bに外周側コーティング層33を形成すると共に、ラップ部13の内周面13Aに内周側コーティング層34を形成する構成としてもよい。この場合、外周側コーティング層33は、実施の形態による外周側コーティング層17と同様に、突起面側接触部33Aと突起面側非接触部33Bとを有する。また、内周側コーティング層34は、実施の形態による内周側コーティング層18と同様に、平坦面側接触部34Aと平坦面側非接触部34Bとを有するものである。
また、図13に示す第4の変形例のように、各スクロール4,11のラップ部4,13の外周面4B,13Bに外周側コーティング層35,36を形成する構成としてもよい。この場合、外周側コーティング層35,36は、実施の形態による外周側コーティング層17と同様に、突起面側接触部35A,36Aと突起面側非接触部35B,36Bとを有するものである。
さらに、前記実施の形態では、各スクロール2,11のラップ部4,13の外周面4B,13Bに外周突起15,16を設ける構成とした。しかし、本発明はこれに限らず、例えば図14に示す第5の変形例のように、各スクロール2,11のラップ部4,13の内周面4A,13Aに内周突起37,38を設ける構成とした。この場合、例えば固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに外周側コーティング層39を形成すると共に、ラップ部4の内周面4Aに内周側コーティング層40を形成する。このとき、外周側コーティング層39は、内周突起38と接触する平坦面側接触部39Aと、隣合う平坦面側接触部39A間に位置してラップ部13の内周面13Aに接触しない平坦面側非接触部39Bとを有する。また、内周側コーティング層40は、ラップ部13の外周面13Bと接触する突起面側接触部40Aと、隣合う突起面側接触部40A間に位置してラップ部13の外周面13Bと接触しない平坦面側非接触部40Bとを有するものである。
なお、第5の変形例では、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aと外周面13Bにコーティング層を設ける構成としてもよく、各スクロール2,11のラップ部4,13の内周面4A,13Aにコーティング層を設ける構成としてもよい。
また、図15に示す第6の変形例のように、旋回スクロール11のラップ部13には突起を設けず、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに外周突起41を設けると共に、ラップ部4の内周面4Aに内周突起42を設ける構成としてよい。この場合、例えば固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bに外周側コーティング層43を形成すると共に、ラップ部4の内周面4Aに内周側コーティング層44を形成する。このとき、外周側コーティング層43は、実施の形態による外周側コーティング層17と同様に、突起面側接触部43Aと突起面側非接触部43Bとを有する。また、内周側コーティング層44は、ラップ部13の外周面13Bと接触する突起面側接触部44Aと、隣合う突起面側接触部44A間に位置してラップ部13の外周面13Bと接触しない平坦面側非接触部44Bとを有するものである。
なお、第6の変形例では、固定スクロール2のラップ部4の内周面4Aのコーティング層44に代えて、旋回スクロール11のラップ部13の外周面13Bにコーティング層を設ける構成としてもよい。また、固定スクロール2のラップ部4の外周面4Bのコーティング層43に代えて、旋回スクロール11のラップ部13の内周面13Aにコーティング層を設ける構成としてもよい。
さらに、第6の変形例では、固定スクロール2のラップ部4の2つの周面4A,4Bに突起41,42を設ける構成としたが、固定スクロール2に代えて旋回スクロール11のラップ部13の2つの周面13A,13Bに突起を設ける構成としてもよい。この場合、旋回スクロール11のラップ部13の2つの周面13A,13Bにコーティング層を形成してもよく、周面13A,13Bのうちいずれか一方にコーティング層を形成すると共に、他方の周面と対面する固定スクロール2のラップ部3の周面にコーティング層を形成する構成としてもよい。
また、前記実施の形態では、ラップ部4に設けた突起15を覆ってコーティング層17を形成し、突起15の位置に突起面側接触部17Aを設ける構成とした。図16に示す参考例では、ラップ部4の外周面4Bは突起を省いた平坦面によって形成すると共に、外周側コーティング層45自体に径方向外側に突出して相手方のラップ部13の内周面13Aに接触する複数の突起面側接触部45Aを設け、隣合う突起面側接触部45A間にラップ部13の内周面13Aに接触しない突起面側非接触部45Bを設ける構成としている

また、前記実施の形態では、ケーシング1に固定された固定スクロール2に対して旋回スクロール11を旋回動作させるスクロール式空気圧縮機を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば特開平9−133087号公報に示すように、互いに対向して配置された2つのスクロールをそれぞれ回転駆動する全系回転式スクロール流体機械等に適用してもよい。
さらに、前記実施の形態では、スクロール式流体機械としてスクロール式空気圧縮機に適用した場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限らず、冷媒を圧縮する冷媒圧縮機等の他のスクロール式流体機械に適用してもよい。
1 ケーシング
2 固定スクロール
3,12 鏡板
4,13 ラップ部
4A,13A 内周面
4B,13B 外周面
9 駆動軸
11 旋回スクロール
14 圧縮室
15,16,41 外周突起
15A,16A,31A,32A 頂部
15B,16B,31B,32B 凹状曲面
17,33,35,36,39,43,45 外周側コーティング層
17A,33A,35A,36A,40A,43A,44A,45A 突起面側接触部
17B,33B,35B,36B,40B,43B,44A,45B 突起面側非接触部
18,34,40,44 内周側コーティング層
18A,34A,39A 平坦面側接触部
18B,34B,39B 平坦面側非接触部
31,32 突起
37,38,42 内周突起

Claims (8)

  1. 鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、
    前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち一方のスクロールのラップ部の内周面と外周面とのうち少なくともいずれか一方の周面には、複数本の突起を設け、
    前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち他方のスクロールのラップ部の前記突起と対向する周面にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し
    前記コーティング層を、前記一方のスクロールと前記他方のスクロールが最接近したときの、前記一方のスクロールのラップ部の前記突起と前記他方のスクロールのラップ部のうち前記突起と対向する周面との離間寸法よりも厚く、前記一方のスクロールのラップ部の前記突起が形成される周面のうち前記突起でない部分と前記他方のスクロールのラップ部のうち前記突起と対向する周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴とするスクロール式流体機械。
  2. 前記コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成としてなる請求項1に記載のスクロール式流体機械。
  3. 前記コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としてなる請求項に記載のスクロール式流体機械。
  4. 鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、
    前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面には、複数本の突起を設け、
    前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面には、周方向にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し、
    前記コーティング層を、前記固定スクロールと前記旋回スクロールが最接近したときの、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面の前記突起と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面の前記突起でない部分と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の内周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴とするスクロール式流体機械。
  5. 鏡板に渦巻状に巻回されたラップ部が設けられ、ケーシングに固定された固定スクロールと、前記固定スクロールに対向して設けられ、鏡板に前記固定スクロールのラップ部と重なり合って複数の圧縮室を形成するように渦巻状のラップ部が設けられた旋回スクロールとを備え、
    前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面には、複数本の突起を設け、
    前記固定スクロールまたは前記旋回スクロールのうち少なくとも一方のスクロールのラップ部の内周面または外周面には、周方向にコーティング材を塗布したコーティング層を形成し、
    前記コーティング層を、前記固定スクロールと前記旋回スクロールが最接近したときの、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面の前記突起と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも厚く、前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面の前記突起でない部分と前記固定スクロールおよび前記旋回スクロールのラップ部の外周面と対向するラップ部の周面との離間寸法よりも薄く形成したことを特徴とするスクロール式流体機械。
  6. 前記コーティング材は、日本工業規格JISK5600−5−4に規定する引っかき硬度によって「Hよりも軟らかく」、かつ日本工業規格JISK5600−5−3に規定する耐おもり落下性によって「割れ、はがれのない」材料を用いる構成としてなる請求項またはに記載のスクロール式流体機械。
  7. 前記コーティング材は、バインダにチタネートまたはケイ酸塩ガラスを含み、固体潤滑材にグラファイト、窒化硼素または二硫化モリブデンを含む無機系コーティング材を用いる構成としてなる請求項に記載のスクロール式流体機械。
  8. 前記ラップ部の突起の断面形状は、その頂部と前記ラップ部の周面とをつなぐ裾野を凹状曲面として形成し、該凹状曲面を滑らかに結ぶ形状としてなる請求項1,2,3,4,5,6またはに記載のスクロール式流体機械。
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