JP5344799B2 - 表面多孔構造体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
(1)厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、前記窪みの内面が金属酸化物で被覆されていることを特徴とする表面多孔構造体であって、
前記窪みの大きさが10nm以上50μm以下である、表面多孔構造体。
(2)前記窪みが当該表面多孔構造体の表面に規則的に並んでいる(1)に記載の表面多孔構造体が好ましい。
(3)前記金属酸化物が、珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有するものである、(1)または(2)に記載の表面多孔構造体が好ましい。
(4)前記有機重合体が、水と混和可能な溶媒に可溶である、(1)乃至(3)のいずれか一つに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(5)前記金属酸化物がゾル−ゲル反応により製造されるものである、(1)乃至(4)のいずれか一つに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(6)前記金属酸化物が金属アルコキシドのゾル−ゲル反応により製造されるものである、(1)乃至(5)のいずれか一つに記載の表面多孔構造体が好ましい。
(7)少なくとも(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれか一つに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(A)金属酸化物の原料溶液と、触媒を含んでいてもよい水を混合して調製して、ゾル−ゲル反応させる工程、
(B)有機重合体溶液を調製する工程、
(C)(A)工程から得られた溶液と(B)工程から得られた溶液を混合する工程、
(D)(C)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔シートを形成する工程。
(8)少なくとも(E)〜(G)の工程を経ることを特徴とする、(1)乃至(6)のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(E)有機重合体溶液を調製する工程、
(F)(E)工程で得られた溶液中に、金属酸化物の原料と、触媒を含んでいてもよい水を混合してゾル−ゲル反応をおこなう工程、
(G)(F)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔シートを形成する工程。
(9)(C)工程において、更に、混合溶液中の前記金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように前記水を添加混合することを特徴とする、(7)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(10)(F)工程において、前記ゾル−ゲル反応を行う前および/または後に、(E)工程で得られた溶液中の前記金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように更に前記水を添加混合することを特徴とする、(8)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(11)(D)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、(9)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
(12)(G)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で溶媒を蒸発させることを特徴とする、(10)に記載の表面多孔構造体の製造方法が好ましい。
本発明に用いる有機重合体は、水あるいは水と混和可能な溶媒に溶解性を有するものであれば特に制限を受けるものではない。有機重合体の中でも樹脂が好ましく、例示すると、ポリオレフィン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリエーテルケトン系樹脂(ポリエーテルエーテルケトン類を含む)、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリアラミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエチレングリコール系樹脂、セルロース誘導体(セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類)、シリコーン樹脂、ポリアセタール樹脂などから選ばれる樹脂である。これらは2種以上の樹脂を混合して使用しても良い。これらの樹脂の中でも、ポリアクリレート系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂が、表面多孔構造形成能に優れる点で好ましく用いられる。
本発明で溶媒として使用される溶剤は有機重合体を溶解できる溶剤であり、かつ水と混和可能な溶剤である。水、水と混和できる有機溶剤、水と混和できる有機溶剤と水の混合物、のいずれかから選ばれる。水と混和できる溶剤とは、溶剤に対して水を0.1重量%以上混合しても分離しないものをいう。水と混和できる溶剤と水の混合物の場合、水を溶剤に対して0.1重量%以上添加しても分離を起こさなければ好適に使用することができる。水を0.1重量%以上含むことにより、ゾル−ゲル反応を円滑に進行させることができるのみならず、表面に金属酸化物を析出させることができるようになる。具体的に用いることのできる有機溶剤は前述の条件を満たすものであれば特に制限されるものではなく、使用する有機重合体の種類により異なるが、例示すると、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド(DMSO)、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブなどが挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合したものや、水と混合して用いても良い。
本発明に用いられる金属酸化物は、ゾル−ゲル法を用いて作製できるものであれば特に制限はされず、例えば、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P13、P20)に紹介されている金属、例えばリチウム、ナトリウム、銅、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ホウ素、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、珪素、ゲルマニウム、鉛、リン、アンチモン、バナジウム、タンタル、タングステン、ランタン、ネオジム、チタン、ジルコニウムから選ばれる1種以上の金属を含有してなる金属酸化物を例として挙げることができ、好ましくは、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有してなる金属酸化物が原料の多様性の点から好ましい。用いる金属を変えることで、表面多孔シートの化学的性質(溶解度、耐薬品性、吸着能、生体親和性、接触角など)、物理的性質(密度、強度、硬度、耐熱性など)、電気的特性、光学的特性(透明性、屈折率、反射率など)等を制御することができるため、用途に応じた金属種を選ぶことで最適な表面多孔シートを得ることができる。
本発明において、表面多孔シート中の金属酸化物の含有量は、表面多孔構造体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上70質量部以下、より好ましくは0.1質量部以上50質量部以下である。70質量部以上にすると、シートの強度を損なうことがある。また、0.1質量部以下であると窪みの数が少なくなり、表面多孔構造体として用いることができなくなる。ここでいう金属酸化物の含有量とは、表面多孔構造体の有機成分を空気中800℃で焼成後に残る灰分量を指す。
ゾル−ゲル法を用いて作製できる金属酸化物の原料としては、「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P17)に紹介されている金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、これらを加水分解、重縮合して得られる部分加水分解重縮合化合物を用いても良い。
ゾル−ゲル反応をさせる際には、加水分解・重縮合反応を促進させる目的で下記に示すような加水分解・重合反応の触媒となりうるものを加えても良い。ゾル−ゲル反応の加水分解・重合反応の触媒として使用されるものは、「最新ゾル−ゲル法による機能性薄膜作製技術」(平島碩著、株式会社総合技術センター、P29)や「ゾル−ゲル法の科学」(作花済夫著、アグネ承風社、P154)等に記載されている一般的なゾル−ゲル反応で用いられる触媒である。例えば、酸触媒では塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、蓚酸、酒石酸、トルエンスルホン酸等の無機および有機酸類、アルカリ触媒では、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシドなどの4級アンモニウム水酸化物、アンモニア、トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ピリジン、ピペリジン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのアミン類、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシラン類などが挙げられる。その他にも、有機スズ化合物、チタニウムテトライソプロポキシド、ジイソプロポキシチタニウムビスアセチルアセトナート、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリスエチルアセトナート、トリメトキシボランなどの金属アルコキシド等を使用することができる。
ゾル−ゲル反応をさせる際、好ましい水の添加量は、金属酸化物の原料となる金属アルコキシド、金属アセチルアセトネート、金属カルボキシレート、金属硝酸塩、金属オキシ塩化物、金属塩化物など1モルに対して、40モル当量以下であり、より好ましくは10モル当量以下であり、さらに好ましくは5モル当量以下である。なお、有機重合体溶液中に始めから含まれている水や、大気中の水によっても、ゾル−ゲル反応は進行するため、水を添加しなくても良い場合もある。また、溶媒として水を用いる場合にはこの限りではない。また、後述するように、塗布溶液中の水を金属酸化物1重量部に対して1重量部以上10重量部以下含まれるようにする場合には、あらかじめゾル−ゲル反応の際に相当量の水を添加しておいても良い。
本発明において、好ましいゾル−ゲル反応の反応濃度、温度、時間は、使用する有機重合体の種類や分子量、それぞれの条件が相互に関わるため一概には言えない。すなわち、有機重合体の分子量が高い場合や、反応濃度の高い場合に、反応温度を高く設定したり、反応時間を長くし過ぎたりすると、加水分解、重縮合反応に伴って反応生成物の分子量が上がり、高粘度化やゲル化する可能性がある。従って、通常の好ましい反応濃度は、概ね溶液中の固形分の重量%濃度で1%以上50%以下であり、5%以上30%以下がより好ましい。また、反応温度は反応時間にもよるが通常0℃以上150℃以下であり、好ましくは1℃以上100℃以下、より好ましくは20℃以上60℃以下であり、反応時間は1時間以上50時間程度が好ましい。
本発明においては、金属酸化物をゾル−ゲル反応により調製するが、金属酸化物の原料溶液をゾル−ゲル反応させた後に有機重合体溶液と混合してさらにゾル−ゲル反応を行う方法((A)〜(C)工程をおこなう方法)と、有機重合体溶液中で金属酸化物の原料をゾル−ゲル反応させる方法((E)〜(F)工程をおこなう方法)の2つの方法に大別される。
本発明においては、表面多孔構造体作製(工程1:有機重合体と金属酸化物の溶液調整)で作製した金属酸化物と有機重合体の複合溶液から溶媒を蒸発させることにより、有機重合体と金属酸化物を含む表面多孔構造体を作製する((D)及び(G)工程)。この過程で有機重合体と金属酸化物の相分離が起こり、表面多孔構造が形成されるため、溶液を膜状にする製造条件や溶媒を蒸発させる乾燥条件が得られる表面多孔構造体の表面構造に大きく影響する。
本発明における表面多孔構造体の表面には、表面多孔構造体の厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが複数あり、窪みの内面が金属酸化物で被覆されている。窪みは互いに接することなく並んでおり、規則的に並んでいるものが好ましい。
窪みの大きさは上述の通り、溶液中の水分量や乾燥条件などにより変化し、概ね大きさが10nm以上50μm以下であり、好ましくは10nm以上30μmであり、さらに好ましくは10nm以上25μm以下の範囲にある。本発明でいう窪みの大きさとは、表面多孔構造体の表面における窪みの幅の最大値をいう。例えば図1の点Aと点Bの距離が窪みの大きさである。窪みの形状、大きさ、窪みと窪みの間隔は、光学顕微鏡、透過電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)観察によって確認できる。窪みの形状の確認は、サンプル断面のTEM観察、SEM観察が好ましい。窪みの大きさ、窪みと窪みの間隔は、デジタル顕微鏡等の光学顕微鏡が簡便な観察に好ましく使用される。窪みの大きさ、窪みと窪みの間隔が1μm未満の場合は、AFM、TEM,SEMでの観察が好ましい。窪みの大きさは、100個の窪みから無作為に選んだ窪み30個の大きさの平均値とする。
本発明の表面多孔構造体は、その目的に応じて他のいかなる成分、例えば、紫外線吸収剤、架橋剤、増粘剤、充填剤、増感剤、可塑剤、光重合開始剤、モノマー、オリゴマー、安定剤、湿潤剤、流動剤、顔料、染料、接着促進剤、反応触媒、脱水剤などを含有しても構わない。
本発明による表面多孔構造体は、表面に微細孔が規則的に配列した従来技術の構造体と同様に、分離膜、マイクロリアクター、細胞培養基材、微小電極デバイス、フォトニック結晶などに応用可能である。従来の微細孔構造体に比べて、本発明は窪み内部が金属酸化物で被覆されている特徴を持つことから、本発明の用途は上記の例示的に列挙した用途に限定されるものではなく、化学的性質(溶解度、耐薬品性、吸着能、生体親和性、接触角など)、物理・熱的性質(密度、強度、硬度、耐熱性など)、電気的特性、光学的特性(透明性、屈折率、反射率など)に応じた用途に幅広く利用可能である。
本発明の表面多孔構造体は、種々の細胞培養基材として用いるのに適している。細胞を培養するためには、細胞の足場となる培養基材が必要であり、その基材表面の構造と化学的性質が、細胞の成長に大きく影響を及ぼすことが知られている。本発明の表面多孔体は、表面の微細な窪みによって、細胞が平面状に広がることなく、三次元的に培養することが可能である。さらに本発明の表面多孔体は、窪みの内面が親水性の金属酸化物で被覆されているため、窪みの内面に選択的に細胞を床着させることができるため、窪みの内壁に沿って三次元的に高密度な細胞を培養することが可能である。
THF:テトラヒドロフラン
TMOS:テトラメトキシシラン
PS:ポリスチレン
表面多孔構造体表面にカーボン蒸着処理したサンプルを、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ製S−4500)を用いて、加速電圧5kVで観察した。
[TEM観察]
表面多孔構造体に白金蒸着処理を施したサンプルをエポキシ樹脂で包埋後、ウルトラミクロトームを用いて切削することで、超薄切片を作製した。作製した超薄切片をコロジオン膜付きの銅メッシュに載せ、透過電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクサイエンスシステムズ製H−7650)を用いて、加速電圧100kVで観察した。
[AFM観察]
Nanopics1000(セイコーインスツル株式会社製)を用いて、DFM/SSモードカンチレバー(NPXICTP004)を用いて行った。
[デジタル顕微鏡]
レンズユニット(VHZ450)を装着したVH6300(株式会社キーエンス製)を用いて、2000倍の条件で観察した。
TMOS5.425gを30mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF5.00gを加え攪拌混合した。この溶液を氷浴で冷やしながら、2.5N塩酸2.56gを加え、5分間攪拌した後、室温(23℃)で6時間攪拌した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.49gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製 デルペット(登録商標) グレード:80NB)(分子量18万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.48gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
TMOS5.425gを30mlのスクリュー管に量り取り、これにシクロペンタノン5gを加え攪拌混合した。この溶液を氷浴で冷やしながら、2.5N塩酸2.56gを加え、5分間攪拌した後、室温(23℃)で6時間攪拌し、反応させた。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにシクロペンタノン12.48gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/シクロペンタノン溶液を調製した。このメタクリル樹脂/シクロペンタノン溶液を攪拌しながら、合成例4で得られた溶液1.29gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF9.87gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.16gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF8.219gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.27gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF11.24gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液0.76gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF14.146gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液2.02gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
メタクリル樹脂(旭化成株式会社製デルペット(登録商標)グレード:60N)(分子量9万)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF16.47gを加え、攪拌しメタクリル樹脂を溶解させ、メタクリル樹脂/THF溶液を調製した。このメタクリル樹脂/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液3.03gを加え、30分攪拌することでメタクリル樹脂/シリカ溶液を調製した。
PS(和光純薬工業株式会社製)0.50gを50mlのスクリュー管に量り取り、これにTHF12.49gを加え、攪拌しPSを溶解させ、PS/THF溶液を調製した。このPS/THF溶液を攪拌しながら、合成例1で得られた溶液1.30gを加え、30分攪拌することでPS/シリカ溶液を調製した。
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度30%のグローブBOX中で乾燥し、メタクリル樹脂/シリカフィルムを得た。得られたフィルムの表面SEM写真、デジタル顕微鏡像、AFM像およびフィルムの断面TEM写真を図1〜4に示す。得られたフィルム表面には厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが規則的に並んでいることがわかった。TEM観察によって、窪みの内部は酸化ケイ素で覆われていることがわかった。
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度12%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径100〜250nm、深さ30nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度23%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径1〜2μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度40%のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡像を図5に示す。デジタル顕微鏡、およびTEM観察により、表面に直径3〜5μm、深さ1.5μm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水25μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径1〜2μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水154μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察、およびTEM観察を行ったところ、直径3〜8μm、深さ3μm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水200μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液4.1gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水150μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径3〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液4.1gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水200μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径4〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度10%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径2〜4μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度10%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径2〜5μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、THF2.7gを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度50%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径1〜2μm、深さ200nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例2で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、THF10.8gを加えた。この溶液をガラス基板上に垂らし、500rpmで温度22℃、相対湿度50%の条件でスピンキャストし、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のAFM観察を行ったところ、表面に直径1〜2μm、深さ200nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例3で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜4μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例5で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度65%の条件下で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡像を図6に示す。表面に窪みが並んだ構造が観察された。
合成例6で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水92μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察および、AFM観察を行ったところ、表面に直径2〜4μm、深さ300nm程度、厚さ方向の断面が凹曲面である窪みが並んだ構造が観察された。
合成例7で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水84μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜5μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例8で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水68μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜8μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例9で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水35μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜11μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例10で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水19μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するメタクリル樹脂フィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、直径5〜14μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例11で得られた溶液2.7gをガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するPSフィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径2〜7μmの窪みが並んだ構造が観察された。
合成例11で得られた溶液2.7gをスクリュー管に量り取り、この溶液を攪拌しながら、蒸留水53μLを加えた。この溶液をガラスシャーレに移し、温度23℃、相対湿度10%以下のグローブBOX中で乾燥し、酸化ケイ素で内部を被覆された窪みを有するPSフィルムを得た。得られたフィルムの表面のデジタル顕微鏡観察を行ったところ、表面に直径4〜12μmの窪みが並んだ構造が観察された。
Claims (12)
- 厚さ方向の断面が凹曲面である窪みを複数有する有機重合体を含む表面多孔構造体の、前記窪みの内面が金属酸化物で被覆されていることを特徴とする表面多孔構造体であって、
前記窪みの大きさが10nm以上50μm以下である、表面多孔構造体。 - 前記窪みが当該表面多孔構造体の表面に規則的に並んでいる請求項1に記載の表面多孔構造体。
- 前記金属酸化物が、珪素、チタン、ジルコニウム、アルミニウムから選ばれる1種以上の金属を含有するものである、請求項1または2に記載の表面多孔構造体。
- 前記有機重合体が、水と混和可能な溶剤に可溶である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の表面多孔構造体。
- 前記金属酸化物がゾル−ゲル反応により製造されるものである、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の表面多孔構造体。
- 前記金属酸化物が金属アルコキシドのゾル−ゲル反応により製造されるものである、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の表面多孔構造体。
- 少なくとも(A)〜(D)の工程を経ることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の表面多孔構造体の製造方法。
(A)金属酸化物の原料溶液と、触媒を含んでいてもよい水を混合して調製して、ゾル−ゲル反応させる工程、
(B)有機重合体溶液を調製する工程、
(C)(A)工程から得られた溶液と(B)工程から得られた溶液を混合する工程、
(D)(C)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔構造体を形成する工程。 - 少なくとも(E)〜(G)の工程を経ることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の表面多孔構造体の製造方法。
(E)有機重合体溶液を調製する工程、
(F)(E)工程で得られた溶液中に、金属酸化物の原料と、触媒を含んでいてもよい水を混合してゾル−ゲル反応をおこなう工程、
(G)(F)工程で得られた溶液から溶媒を蒸発させて表面多孔構造体を形成する工程。 - (C)工程において、更に、混合溶液中の前記金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように前記水を添加混合することを特徴とする、請求項7に記載の表面多孔構造体の製造方法。
- (F)工程において、前記ゾル−ゲル反応を行う前および/または後に、(E)工程で得られた溶液中の前記金属酸化物1重量部に対して水が1重量部以上10重量部以下含まれるように更に前記水を添加混合することを特徴とする、請求項8に記載の表面多孔構造体の製造方法。
- (D)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で前記溶媒を蒸発させることを特徴とする、請求項9に記載の表面多孔構造体の製造方法。
- (G)工程において、相対湿度50%以下、乾燥温度100℃以下の条件で前記溶媒を蒸発させることを特徴とする、請求項10に記載の表面多孔構造体の製造方法。
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