JP5340708B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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陰極層に接する導電性高分子層がポリエチレングリコールを含有していないことが好ましい。
ピロールを2モル/リットル、ナフタレンスルホン酸を0.1モル/リットル、ポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)を、モノマーであるピロールに対し約0.02重量%となるように含有させたアセトニトリル溶液を調製した。このアセトニトリル溶液中に白金板を浸漬し、この白金板に約1mAの電流を5時間通電し、電解重合法により白金板上にポリピロール(PPy)からなる導電性高分子層を形成した。得られた導電性高分子層のポリピロール中におけるポリエチレングリコールの含有量を、ガスクロマトグラフィー法により定量分析した。その結果、約0.02重量%のポリエチレングリコールがポリピロールからなる導電性高分子層に含有されていた。
(参考例1)
<ステップ1>
平均粒子径約2μmのニオブ粉末を用い、ニオブからなるリード線を埋設させた成形体を作製し、この成形体を約1400℃で焼結させることにより、ニオブからなる陽極リードを埋設させた多孔質焼結体からなる陽極を作製した。この陽極を、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中で、約20Vの定電圧で、約10時間陽極酸化して、陽極の表面に主に酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。
ステップ1で作製したものを約2モル/リットルのエチレンジオキシチオフェン水溶液中に約10分間浸漬した。その後、酸化剤として約0.5モル/リットルの過硫酸アンモニウムを含む水溶液に約10分間浸漬し、化学重合法によりエチレンジオキシチオフェンを重合させて、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層を誘電体層上に形成した。
次に、ピロールを約2モル/リットル、ナフタレンスルホン酸を約0.1モル/リットル、ポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)をモノマーであるピロールに対し約0.02重量%含有したアセトニトリル溶液を調製し、このアセトニトリル溶液中にステップ2で作製した陽極を浸漬し、陽極に約1mAの電流を約5時間通電して、電解重合法によりポリエチレングリコールを含むポリピロール(PPy)からなる第2の導電性高分子層を、ポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層の上に形成した。
次に、ステップ3で形成したポリピロールからなる第2の導電性高分子層の上に、カーボンペーストを塗布した後乾燥してカーボン層を形成した。またカーボン層の上に銀ペースト層を塗布した後乾燥し、銀ペースト層を形成した。銀ペースト層の上に導電性接着剤層を介して陰極端子を接続すると共に、陽極リード線に陽極端子を接続し、その後モールド樹脂を被覆して、固体電解コンデンサA1を作製した。
参考例1のステップ2において、エチレンジオキシチオフェン水溶液の代わりにピロール水溶液を用いる以外は、参考例1と同様にして、固体電解コンデンサA2を作製した。
参考例1のステップ2において、約2モル/リットルのエチレンジオキシチオフェン及びモノマーであるエチレンジオキシチオフェンに対し約0.02重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)を用い、ポリエチレングリコールを含有するポリエチレンジオキシチオフェンからなる第1の導電性高分子層を形成する以外は、参考例1と同様にして固体電解コンデンサA3を作製した。
<ステップ1>
平均粒子径約2μmのニオブ粉末を用い、ニオブからなるリード線を埋設した成形体を作製し、この成形体を約1400℃で焼結することにより、陽極リードを埋設させた多孔質焼結体からなる陽極を作製した。この陽極を、約60℃に保持した約0.1重量%のリン酸水溶液中で、約20Vの定電圧で約10時間陽極酸化して、陽極の表面に、主に酸化ニオブからなる誘電体層を形成した。
ステップ1で作製した陽極を、約2モル/リットルのエチレンジオキシチオフェン、及びモノマーであるエチレンジオキシチオフェンに対し約0.02重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)を含有させた水溶液中に約10分間浸漬した。その後、酸化剤として、約0.5モル/リットルの過硫酸アンモニウムを含む水溶液に約10分間浸漬し、化学重合法によりエチレンジオキシチオフェンを重合させて、ポリエチレングリコール(PEG)を含むポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層を誘電体層の上に形成した。
次に、ピロールを約2モル/リットル、ナフタレンスルホン酸を約0.1モル/リットル含むアセトニトリル溶液を調製した。このアセトニトリル溶液に、ステップ2の後の陽極を浸漬し、陽極に約1mAの電流を約5時間通電し、電解重合法により、ポリピロール(PPy)からなる第3の導電性高分子層を、ステップ2で形成したポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層の上に形成した。
ピロールを約2モル/リットル、ナフタレンスルホン酸を約0.1モル/リットル、及びモノマーであるピロールに対し約0.02重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)を含有したアセトニトリル溶液を調製した。このアセトニトリル溶液に、ステップ3の後の陽極を浸漬し、陽極に約1mAの電流を約5時間通電し、電解重合法によりポリエチレングリコールを含むポリピロール(PPy)からなる第2の導電性高分子層を、ステップ3で形成したポリピロール(PPy)からなる第3の導電性高分子層の上に形成した。
次に、ステップ4で形成したポリエチレングリコールを含むポリピロール(PPy)からなる第2の導電性高分子層の上に、カーボンペーストを塗布した後乾燥し、カーボン層を形成した。次に、カーボン層の上に、銀ペーストを塗布した後乾燥し、銀ペースト層を形成した。銀ペースト層に導電性接着剤層を介して陽極端子を接続するとともに、陽極リードに陽極端子を接続し、その後モールド樹脂を被覆して、固体電解コンデンサA4を作製した。
実施例4のステップ2において、ポリエチレングリコールを含まないエチレンジオキシチオフェン溶液を用いてポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)からなる第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサA5を作製した。
実施例4のステップ2において、エチレンジオキシチオフェン水溶液の代わりに、ピロール水溶液を用い、ポリエチレングリコールを含むポリピロールからなる第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサA6を作製した。
実施例4のステップ3において、モノマー水溶液に、モノマーに対し、約0.02重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)を含有させることにより、ポリエチレングリコールを含有したポリピロール(PPy)からなる第3の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサA7を作製した。
参考例1のステップ3において、ポリエチレングリコールを含まないピロール溶液を用いて第2の導電性高分子層を形成する以外は、参考例1と同様にして、固体電解コンデンサX1を作製した。
参考例1のステップ2において、エチレンジオキシチオフェン水溶液の代わりにピロール水溶液を用い、ステップ3においてポリエチレングリコールを含まないピロール溶液を用いた以外は、参考例1と同様にして固体電解コンデンサX2を作製した。
実施例4のステップ2及びステップ4において、ポリエチレングリコールを添加していないエチレンジオキシチオフェン溶液またはピロール水溶液を用い、ポリエチレングリコールを含有していない第1及び第2の導電性高分子層をステップ2及びステップ4において形成する以外は、実施例4と同様にして固体電解コンデンサX3を作製した。
実施例4のステップ4において、ピロールのモノマーにポリエチレングリコールを添加せず、ポリエチレングリコールを含まないポリピロール(PPy)からなる第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして固体電解コンデンサX4を作製した。
導電性高分子層中にポリエチレングリコールが含有されていることについては、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT−IR)を用いた反射法による赤外吸収測定により確認した。また、各導電性高分子層中のポリエチレングリコールの含有量は、予備実験からの推定値である。
各実施例、各参考例及び各比較例で作製した固体電解コンデンサを、約105℃中に約500時間保存する試験を行った。固体電解コンデンサのESRの初期値を100%とし、ESRの増大率を以下のようにして算出した。なお、ESRは、周波数約100kHzでLCRメーターを用いて測定した。
また、静電容量の初期の値を100%とし、静電容量維持率を以下のようにして算出した。なお、静電容量は、周波数約120HzでLCRメーターを用いて測定した。
測定結果を表1に示す。
(実施例8〜23)
ここでは、非イオン性界面活性剤の含有量について検討した。実施例4のステップ4において、ポリエチレングリコールの含有量を、約0.005重量%、約0.01重量%、約0.05重量%、約0.10重量%、約0.50重量%、約1.00重量%、約1.20重量%、及び約1.50重量%にそれぞれ変化させた以外には、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサB1〜B8を作製した。
(実施例24〜35)
ここでは、非イオン性界面活性剤の種類について検討した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリグリセリン(PG:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして固体電解コンデンサC1を作製した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリビニルアルコール(PVA:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC2を作製した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(PEGMOE:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC3を作製した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(PEGMLE:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC4を作製した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノステアレート(PEGMS:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC5を作製した。
実施例4のステップ2において、誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.01重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)及び約0.01重量%のポリグリセリン(PG:平均分子量400)を含む溶液を用いて誘電体層上の第1の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC6を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリグリセリン(PG:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC7を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリビニルアルコール(PVA:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC8を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノオレイルエーテル(PEGMOE:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC9を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノラウリルエーテル(PEGMLE:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC10を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.02重量%のポリエチレングリコールモノステアレート(PEGMS:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC11を作製した。
実施例4のステップ4において、陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する溶液として、ポリエチレングリコールを含む溶液の代わりに、モノマーに対し約0.01重量%のポリエチレングリコール(PEG:平均分子量400)及び約0.01重量%のポリグリセリン(PG:平均分子量400)を含む溶液を用いて陰極層側の第2の導電性高分子層を形成する以外は、実施例4と同様にして、固体電解コンデンサC12を作製した。
(実施例36〜53)
ここでは、非イオン性界面活性剤の分子量について検討した。
2…陽極
3…誘電体層
4…電解質層
4a…第1の導電性高分子層
4b…第2の導電性高分子層
4c…第3の導電性高分子層
5…カーボン層
6…銀ペースト層
7…導電性接着剤層
8…陽極端子
9…陰極端子
10…モールド外装樹脂
Claims (6)
- 弁作用金属または弁作用金属を主成分とした合金からなる陽極と、
前記陽極の表面上に形成される誘電体層と、
前記誘電体層の上に設けられる3層の導電性高分子層からなる電解質層と、
前記電解質層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、
前記誘電体層に接する第1の導電性高分子層にポリエチレングリコールが含有されており、前記陰極層に接する第2の導電性高分子層にポリエチレングリコールが含有されており、前記第1の導電性高分子層と第2の導電性高分子層の間に設けた第3の導電性高分子層にはポリエチレングリコールが含有されていないことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記第1の導電性高分子層及び/又は前記第2の導電性高分子層における前記ポリエチレングリコールの平均分子量が、100以上1000未満の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記第2の導電性高分子層中の前記ポリエチレングリコールの含有量が、0.01〜1.0重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記第1の導電性高分子層中の前記ポリエチレングリコールの含有量が、0.001〜0.05重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
- 弁作用金属または弁作用金属を主成分とした合金からなる陽極と、
前記陽極の表面上に形成される誘電体層と、
前記誘電体層の上に設けられる少なくとも2層以上の導電性高分子層からなる電解質層と、
前記電解質層の上に設けられる陰極層とを備える固体電解コンデンサであって、
前記陰極層に接する前記導電性高分子層がポリグリセリンを含有していることを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記陰極層に接する前記導電性高分子層がポリエチレングリコールを含有していないことを特徴とする請求項5に記載の固体電解コンデンサ。
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