以下、本発明の冷凍装置について、図面を用いて詳細に説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における冷凍装置100の構成の一例を示す図である。図1に示すように、冷凍装置100は、冷媒回路Aと、第1熱媒体温度センサ6と、第2熱媒体温度センサ7と、計測制御部30とを備えている。また、冷凍装置100には、水冷式凝縮器2と熱交換する熱媒体が流れる第1熱媒体流路B及び蒸発器4と熱交換する熱媒体が流れる第2熱媒体流路Cが水冷式凝縮器2及び蒸発器4を介して接続されている。なお、以後、水冷式凝縮器2と熱交換する熱媒体を第1熱媒体、蒸発器4と熱交換する流体(熱媒体)を第2熱媒体と称する。
具体的には、冷媒回路Aは、圧縮機1、水冷式凝縮器2、減圧装置である膨張弁3、蒸発器4、流量制御弁5を備え、それらが冷媒配管により接続されて構成されている。また、水冷式凝縮器2の出入口において、冷媒回路Aは2つの冷媒流路に分岐される。流量制御弁5は、水冷式凝縮器2の出口側において、分岐されている冷媒流路のうちの一方の冷媒流路側に設置されている。
また、第1熱媒体流路Bは、水冷式凝縮器2を流れる冷媒回路Aの冷媒を冷却する第1熱媒体が流れる流路である。すなわち、第1熱媒体流路Bは、水冷式凝縮器2を介して熱交換する第1熱媒体を流通させるものである。具体的には、第1熱媒体流路Bには、例えば、図示しない冷却塔から送られてきた第1熱媒体が流れている。そして、この第1熱媒体により水冷式凝縮器2を流れる冷媒回路Aの冷媒を冷却する。また、第1熱媒体は、例えば、空気、水、ブライン、それらの混合物、凝固点を降下させる添加物を混ぜたブライン等である。
また、第2熱媒体流路Cは、蒸発器4を流れる冷媒回路Aの冷媒により冷却される第2熱媒体が流れる流路である。すなわち、第2熱媒体流路Cは、蒸発器4を介して熱交換する第2熱媒体を流通させるものである。具体的には、第2熱媒体流路Cには、図示しない負荷側へ送られる第2熱媒体が流れている。そして、蒸発器4を流れる冷媒回路Aの冷媒により第2熱媒体は冷却される。また、第2熱媒体は、例えば、空気、水、ブライン、それらの混合物、凝固点を降下させる添加物を混ぜたブライン等である。
また、詳細については後述するが、第1熱媒体温度センサ6は、第1熱媒体流路Bにおいて、水冷式凝縮器2に流入する第1熱媒体の温度を検出する。また、詳細については後述するが、第2熱媒体温度センサ7は、第2熱媒体流路Cにおいて、蒸発器から流出した第2熱媒体の温度を検出する。
次に、冷媒回路Aの構成の一例について詳細に説明する。
図1に示すように、圧縮機1は、冷媒を吸入し、その冷媒を圧縮することにより、冷媒回路Aを流れる冷媒を高温高圧の状態にするものである。そのような圧縮機1としては、例えば、容積式圧縮機がある。容積式圧縮機は、運転容量を変えることができる。また、容積式圧縮機は、例えば、図示しないインバータにより制御されるモータによって駆動される。なお、圧縮機1はこれに限定されるものではない。例えば、運転容量が一定で運転する圧縮機であっても良い。このときには、モータの回転数も一定となる。また、図1においては、圧縮機1は1台のみ設置されているものの、圧縮機1の台数はこれに限定されるものではない。例えば、2台以上の圧縮機1が並列に接続されるものであっても良い。また、2台以上の圧縮機1が直列に接続されるものであっても良い。要するに、冷媒回路Aを流れる冷媒を高温高圧の状態にすることができれば何でもよく、圧縮機1の構造や台数や各接続については1つに限定されるものではない。
図1に示すように、水冷式凝縮器2は、圧縮機1から吐出された高温高圧の冷媒と第1熱媒体流路Bを流れる第1熱媒体が熱交換するものである。そのような水冷式凝縮器2としては、例えば、プレート式熱交換器がある。具体的には、プレート式熱交換器は、薄板を所定の間隔で多数並べ、周縁部をシールし、各薄板の間に形成された空間には、冷媒流路と水流路とを交互に形成することで構成される。水冷式凝縮器2としてプレート式熱交換器を用い、かつ、第1熱媒体が、例えば水のような流体である場合には、ポンプ等の送出手段を用いることにより、第1熱媒体が水冷式凝縮器2に供給されるようにすれば良い。いずれにしても、水冷式凝縮器2は、水冷式凝縮器であれば、その構成については限定されない。
また、水冷式凝縮器2は、例えば、図1に示すように、熱交換器内において冷凍回路Aの一部である複数の冷媒流路と、第1熱媒体流路Bの一部である単一の第1熱媒体の流路とを備えている。これにより、各冷媒流路の冷媒と第1熱媒体とが熱交換されるのである。また、複数の冷媒流路はそれぞれが独立して構成されている。図1に示すように、冷媒回路Aは、水冷式凝縮器2内において、水冷式凝縮器2の冷媒の出入の前後でそれぞれ複数に分岐される。そして、その分岐された各冷媒流路と水冷式凝縮器2の出口側とが接続される。同様にして、その分岐された各冷媒流路と水冷式凝縮器2の入口側とが接続される。
なお、図1においては、水冷式凝縮器2は1個のみの構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、2個以上の水冷式凝縮器2が並列に接続されたものであっても良い。また、2個以上の水冷式凝縮器2が直列に接続されたものであっても良い。具体的には、例えば、単一の冷媒流路と単一の第1熱交換媒体流路とで構成されているプレート式熱交換器を水冷式凝縮器2とし、かつ、そのプレート式熱交換器を並列で2個接続する場合においては、各熱交換器の冷媒流路と冷媒回路Aにおいて、複数に分岐されている冷媒流路の各流路と各熱交換器とで各々接続する形態としても良い。
減圧装置である膨張弁3は、図1に示すような冷媒回路A内を流れる冷媒の流量の調整等を行う。具体的には、減圧装置である膨張弁3は、例えば、図示しないステッピングモータ等により絞りの開度を調整する電子膨張弁のことである。
図1に示すように、蒸発器4は、膨張弁3で減圧された低温低圧の冷媒と第2熱媒体とが熱交換するものである。そのような蒸発器4としては、例えば、プレート式熱交換器である。具体的には、プレート式熱交換器は、薄板を所定の間隔で多数並べ、周縁部をシールし、各薄板の間に形成された空間には、冷媒流路と水流路とを交互に形成することで構成される。蒸発器4としてプレート式熱交換器を用い、かつ、第2熱媒体が、例えば水のような流体である場合には、ポンプ等の送出手段を用いることにより、第2熱媒体が蒸発器4に供給されるようにすれば良い。また、蒸発器4は空冷式であっても水冷式であっても良い。
また、蒸発器4は、例えば、図1に示すように、熱交換器内において冷媒回路Aの一部である複数の冷媒流路と、第2熱媒体流路Cの一部である単一の第2熱交換媒体の流路とを備えている。これにより、各冷媒流路の冷媒と第2熱媒体とが熱交換されるのである。また、複数の冷媒流路はそれぞれが独立して構成されている。そして、図1に示すように、冷媒回路Aの複数の冷媒流路は、蒸発器4の冷媒の出入の前後でそれぞれ複数に分岐される。すなわち、その分岐された各冷媒流路と蒸発器4の出口側とが接続される。同様にして、その分岐された各冷媒流路と蒸発器4の入口側とが接続される。
なお、図1においては、蒸発器4は1個のみの構成であるが、これに限定されるものではない。例えば、単一の冷媒回路Aと単一の第2熱交換媒体流路とで構成されたプレート式熱交換器であっても良い。また、例えば、2個以上の蒸発器4が並列に接続されたものであっても良い。また、2個以上の蒸発器4が直列に接続されたものであっても良い。具体的には、例えば、単一の冷媒流路と単一の第2熱交換媒体流路とで構成されているプレート式熱交換器を蒸発器4とし、かつ、そのプレート式熱交換器を並列で2個接続する場合においては、各熱交換器の冷媒流路と冷媒回路Aにおいて、複数に分岐されている冷媒流路の各流路と各熱交換器とで各々接続する形態としても良い。
なお、冷媒回路Aを流れる冷媒の流れ方向は、図1に示すように、実線の矢印で表した対向流であっても良い。すなわち、冷媒と熱媒体(第1熱媒体及び第2熱媒体)が対向で流れる形式であっても良い。また、実線の矢印とは逆方向に流れる並行流であっても良い。すなわち、冷媒と熱媒体(第1熱媒体及び第2熱媒体)が並行に流れる形式であっても良い。要するに、冷媒と熱媒体(第1熱媒体及び第2熱媒体)とが熱交換されればよく、その向きについては限定されるものではない。
流量制御弁5は、後述する計測制御部30による所定の演算結果に基づいて開閉が制御される。これにより、水冷式凝縮器2の複数の冷媒流路内を流れる冷媒量を調整することができる。
冷凍装置100に用いられる冷媒には、例えば、R410A、R407C、R404A等のHFC(ハイドロフルオロカーボン)冷媒、R22、R134a等のHCFC(ハイドロクロロフルオロカーボン)冷媒、又は炭化水素、ヘリウム等のような自然冷媒等がある。ただし、冷媒は、これらに限定されるものではない。すなわち、同様な役割を果たすものであれば、他の冷媒であっても良いことは言うまでもない。
次に、冷凍装置100の計測手段と制御手段の一例について説明する。
図1に示すように、冷凍装置100は、計測制御部30と、第1熱媒体温度センサ6と、第2熱媒体温度センサ7とを備えている。計測制御部30は、第1熱媒体温度センサ6及び第2熱媒体温度センサ7によって計測された各種情報に基づいて図示しない各アクチュエータ(圧縮機1、膨張弁3、流量制御弁5、及び図示省略の流体送出手段等の駆動部品)に制御指令を出す。これにより、圧縮機1、膨張弁3、流量制御弁5、図示省略の流体送出手段等の動作を制御することができる。なお、本願発明の「制御手段」は「計測制御部30」に相当する。
第1熱媒体温度センサ6は、第1熱媒体流路Bにおける水冷式凝縮器2の上流側(入口側)に設定される。また、第2熱媒体温度センサ7は、第2熱媒体流路Cにおける蒸発器4の下流側(出口側)に設置される。そして、第1熱媒体温度センサ6と第2熱媒体温度センサ7は、各設置場所の流体温度を計測する。
なお、各温度センサの設置場所は図1に示される箇所に限定されるものではない。具体的には、第1熱媒体温度センサ6は、第1熱媒体流路Bにおける水冷式凝縮器2の上流側(入口側)であればどこに設置しても良い。同様にして、第2熱媒体温度センサ7は、第2熱媒体流路Cにおける蒸発器4の下流側(出口側)であればどこに設置しても良い。
また、計測制御部30は、各種温度センサの計測情報や、使用者からの指示、例えば、リモコン等を介して指示される運転内容等に基づいて、圧縮機1の運転方法、膨張弁3の開度、流量制御弁5の開度、図示しない流体送出手段の回転数等の制御指令を出すものである。このような計測制御部30からの制御指令により、各種アクチュエータが圧縮機1、膨張弁3、流量制御弁5、図示しない流体送出手段の回転数等を制御するのである。
このような計測制御部30は、例えば、マイクロコンピュータ等で構成しても良い。また、計測制御部30の実装方法は一つに限定されるものではない。例えば、ファームウェアで構成してもよく、論理回路で構成してもよく、ソフトウェアで構成しても良い。要するに、計測制御部30の機能をハードウェアで実現するか、ソフトウェアで実現するかは問わない。
次に、冷凍装置100の運転動作の概要について説明する。
圧縮機1から吐出された高温高圧のガス冷媒は水冷式凝縮器2に流入する。続いて、水冷式凝縮器2で放熱しながら凝縮液化することにより、高圧低温の冷媒となる。次に、水冷式凝縮器2で凝縮液化した冷媒は、膨張弁3で減圧されることにより二相冷媒となった後に、蒸発器4に流入する。蒸発器4で吸熱することで蒸発ガス化しながら、負荷側熱媒体(例えば、第2熱媒体)に冷熱を供給する。これにより、冷媒は低圧のガス冷媒となる。蒸発器4を出たガス冷媒は過熱ガス冷媒となり、圧縮機1に吸入される。このようにして、一連の冷凍サイクルが形成されている。
次に、冷凍装置100での運転制御動作を説明する。なお、運転制御動作の制御主体は、図1に示す計測制御部30である。
図2は、本発明の実施の形態1における冷凍装置100の制御動作の流れの一例を示すフローチャートである。図2に示すように、計測制御部30は、運転開始後、まず各種初期値を設定する(S10〜S12)。
具体的には、計測制御部30は、圧縮機1の初期容量を設定し(S10)、膨張弁3の初期開度を設定し(S11)、流量制御弁5の初期開度を設定する(S12)。このようにすることで、各種初期値が設定される。なお、図2での動作の説明においては、流量制御弁5の初期開度は全開とする。
次に、所定時間が経過したか否かの判定処理がなされる。具体的には、計測制御部30は、所定時間が経過したときには(S13YES)、それ以降、運転状態に応じて制御指令を出し、その制御指令に応じて各アクチュエータを制御する(S14〜S25)。これに対して、所定時間が経過していないときには(S13NO)、所定時間が経過するまで待機状態となる。
次に、圧縮機1の容量は、図1に示す第2熱媒体温度センサ7で計測される第2熱媒体温度が、使用者が設定する温度となるように制御される。
具体的には、計測制御部30は、図1に示す第2熱媒体温度センサ7により計測された第2熱媒体温度と使用者が設定した設定値である設定温度とを比較する(S14)。第2熱媒体温度と設定温度とが等しくないときには(S14NO)、さらに、第2熱媒体温度を他の条件と比較させることにより圧縮機1の容量を増加させるか、あるいは、減少させるかを判定する。
具体的には、計測制御部30は、第2熱媒体温度が、所定の上限値を超えているか否かを判定する(S15)。すなわち、第2熱媒体温度が設定温度より大きく上昇しているか否かを判定する。第2熱媒体温度が、所定の上限値を超えているときには(S15YES)、計測制御部30は、圧縮機1の容量を増加させる制御指令を出す(S16)。一方、第2熱媒体温度が、所定の上限値を超えていないときには(S15NO)、計測制御部30は、第2熱媒体温度が設定値である設定温度より小さいか否か判定する(S17)。すなわち、第2熱媒体温度が設定温度より低下しているときには(S17YES)、計測制御部30は、圧縮機1の容量を減少させる制御指令を出す(S18)。一方、第2熱媒体温度が設定温度より低下していないときには(S17NO)、何もせず次の処理に移行する。なお、このときには、第2熱媒体温度は所定の上限値を超えてはいないものの設定温度よりは高い温度である。
これに対して、計測制御部30は、第2熱媒体温度と設定温度とが等しいと判定したときには(S14YES)、計測制御部30は、圧縮機1の容量を現状維持のまま、次の処理に移行する。
次に、膨張弁3の開度を調整する。
具体的には、図1に示す膨張弁3は、冷凍装置100における冷媒回路Aの動作状態、例えば、圧縮機1の運転状態が正常となるような冷媒流路を確保するように開度が設定される。より具体的には、圧縮機1の吸入冷媒過熱度が予め設定された目標値、例えば5(℃)になるように制御される。すなわち、計測制御部30は、吸入過熱度が目標値と等しいか否か、あるいは、近接しているか否かを判定する。例えば、吸入過熱度から目標値を引いた値の絶対値が所定の範囲内にあるか否かを判定する(S19)。吸入過熱度から目標値を引いた値の絶対値が所定の範囲内にないときには(S19NO)、さらに、圧縮機吸入過熱度が目標値を超えているか否かを判定する(S20)。圧縮機吸入過熱度が目標値を超えているときには(S20YES)、計測制御部30は、図1に示す膨張弁3の開度を大きくする制御指令を出す(S21)。一方、圧縮機吸入過熱度が目標値を超えていないときには(S20NO)、計測制御部30は、膨張弁3の開度を小さくする制御指令を出す(S22)。
これに対して、圧縮機1に吸入される冷媒の過熱度(以下、単に吸入過熱度と言う)から目標値を引いた値の絶対値が所定の範囲内にあるときには(S19YES)、そのまま次の処理へ移行する。すなわち、膨張弁3の開度はそのまま維持されて次の処理へ移行する。
なお、上記方法を用いる場合、冷媒回路Aにおいて、吸入過熱度の検出手段(図示しない)を設けるようにしても良い。
付言すれば、ここでは膨張弁3の制御対象を圧縮機1の吸入冷媒過熱度とした一例について説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、膨張弁3の制御対象を、蒸発器4の出口の冷媒過熱度(以下、出口冷媒過熱度と言う)、蒸発器4の冷媒蒸発温度(以下、冷媒蒸発温度と言う)、圧縮機1の吐出冷媒温度(以下、吐出冷媒温度と言う)、及び圧縮機1の吐出冷媒過熱度等(以下、吐出冷媒過熱度と言う)を設定しても良い。そのような場合にあっては、冷凍装置100において各制御対象の数値を検出する検出手段(図示せず)を別途設ける必要があることは言うまでもない。
なお、膨張弁3の制御対象が出口冷媒過熱度のときには、計測制御部30により目標値を超えているか否かを判定させても良い。膨張弁3の制御対象が冷媒蒸発温度のときには、計測制御部30により目標値を超えているか否かを判定させても良い。膨張弁3の制御対象が吐出冷媒温度のときには、計測制御部30により目標値を超えているか否かを判定させても良い。膨張弁3の制御対象が吐出冷媒過熱度のときには、計測制御部30により目標値を超えているか否かを判定させても良い。なお、言うまでもないことであるが、ここでのそれぞれの目標値は、それぞれの判定に対する目標値であり、同一の値を指すものではない。
次に、計測制御部30は、第1熱媒体温度センサ6で計測される第1熱媒体温度が予め設定された所定値、例えば、10(℃)以下であるかどうかを判定する。すなわち、計測制御部30は、第1熱媒体温度と所定値とを比較する(S23)。
すなわち、第1熱媒体温度が所定値よりも高いときには(S23YES)、計測制御部30は、流量制御弁5に開動作指令を出す(S24)。これに対して、第1熱媒体温度が所定値よりも高くないときには(S23NO)、計測制御部30は、流量制御弁5に閉動作指令を出す(S25)。このようにすることで、流量制御弁5の開度を変更する制御指令を出す。
次に、制御終了指令があるか否かを判定する。すなわち、計測制御部30は、制御終了指令がないときには(S26NO)、S13に戻り、上記で説明したS13〜S25の処理を繰り返す。これに対して、計測制御部30は、制御終了指令があるときには(S26YES)、処理は終了する。
なお、S24において、流量制御弁5の開度が全開のときには、そのまま全開の状態の開度が維持される。一方、S25において、流量制御弁5の開度が全閉のときには、そのまま全閉の状態の開度が維持される。
このように各種制御指令が出されたときには、各種アクチュエータはその制御指令に基づいて動作する。なお、これらの処理が全てハードウェアにて実現されている場合には、計測制御部30により直接各アクチュエータを制御するようにしても良い。一方、ソフトウェアにて実現されている場合には、計測制御部30は制御指令を出し、その制御指令に応じて各アクチュエータを駆動させれば良い。
次に、本発明の実施の形態1における冷凍装置100において実現される作用効果について説明する。
従来から、凝縮器を流れる冷媒と冷却水とで熱交換を行う、いわゆる水冷式の形態を適用した冷凍装置の構成は知られている。本発明の実施の形態1における冷凍装置100の一側面においては、以下のような効果が得られる。
冷凍装置100は、計測制御部30によって、第1熱媒体温度センサ6で計測された第1熱媒体温度に基づいて、流量制御弁5の開度を調整する。このとき、第1熱媒体温度が所定値(例えば、10(℃))よりも低いときに流量制御弁5を閉じることにより、水冷式凝縮器2の熱交換器内において、冷媒流路の一方では液冷媒が滞留する。これにより、冷媒流路の一方では冷媒と熱媒体とが熱交換しなくなる。そのため、凝縮器性能が低下する。その結果、水冷式凝縮器2の熱交換量が低下する。換言すれば、凝縮熱量が低下することにより、図3に示すように冷媒の高圧圧力は上昇する。
また、上記で説明したように、水冷式凝縮器2においては、冷媒回路Aを流れる冷媒と、第1熱媒体流路Bを流れる第1熱媒体とが熱交換される。そのため、第1熱媒体温度が低下すれば、その低下分だけ冷媒温度(冷媒圧力)も低下することになる。換言すれば、水冷式凝縮器2の冷媒温度(冷媒圧力)は第1熱媒体温度によって規定される。従って、第1熱媒体温度が所定値以下という極端に低い状態は、冷媒回路Aの冷媒圧力(冷媒温度)は、圧縮機1の動作可能範囲の下限を下回る状態に相当する。そのため、第1熱媒体温度が、この予め設定された所定値(例えば、10(℃))を下回るときには、圧縮機1は動作可能範囲外となる。そのため、そのままの状態では運転は不可能となる。このような状態に陥ったときに、流量制御弁5を用いて冷媒回路Aの圧力を調整すれば、冷媒の高圧圧力を維持することができるのである。その結果、安定した運転が可能となるのである。そこで、冷凍装置100では、圧縮機1の動作可能範囲の下限を基準として流量制御弁5を制御している。
図3は、本発明の実施の形態1における冷媒の状態遷移の一例を示すP−h線図である。図3に示すように、流量制御弁5を閉じたときには、流量制御弁5が全開のときに比べて、高圧圧力は上昇するのである。
ここで一般的なこととして、圧縮機は正常に動作可能な範囲として、冷媒圧力(又は冷媒温度)の範囲が定められている。そのため、実際に冷凍装置等に圧縮機を搭載して使用するときには、冷凍装置等の運転範囲は圧縮機の動作可能範囲によって決まることが多い。すなわち、冷凍装置等の運転範囲は圧縮機の動作可能範囲に依存することとなる。
また、一般的なこととして、水冷式の冷凍装置は水冷式熱交換器を備えている。すなわち、そのような水冷式熱交換器は、凝縮器において、冷媒と水等の熱媒体とが熱交換するものである。このような構成においては、冷凍装置は、熱媒体温度が低下したときには、その低下分だけ凝縮器の冷媒温度(冷媒圧力)も低下することになる。すなわち、凝縮器の冷媒温度(冷媒圧力)は熱媒体温度によって規定される。
このため、熱媒体温度が極端に低い運転状態においては、冷凍装置の冷媒圧力(冷媒温度)は圧縮機の動作可能範囲の下限を下回る。その結果、そのままの状態では運転は不可能である。従って、冷媒圧力(冷媒温度)が下がりすぎないようにする保護制御、例えば、圧縮機の回転数増速等の運転動作を行うのが通常である。しかしながら、このような保護制御を作動させると、冷凍装置から負荷側に供給される熱量が安定しなくなる。そのため、冷凍装置は安定した運転をすることができない。
これに対して、本発明の実施の形態1における冷凍装置100の一側面においては、熱媒体温度である第1熱媒体温度が低い場合であっても、流量制御弁5で冷媒の流れを調整することによって、冷媒の高圧圧力を高く維持しながら運転可能である。従って、上記のような従来の保護制御が作動することなく、安定した運転が可能となる。
具体的には、第1熱媒体温度が低いときには流量制御弁5を閉じるようにする。これにより、水冷式凝縮器2の冷媒流路の一方に液冷媒が滞留する。すると水冷式凝縮器2の冷媒流路の一方が熱交換しなくなる。それによって、熱交換量が低下することとなる。すなわち、熱交換器の伝熱面積が小さくなることと等価状態となる。
従って、水冷式凝縮器2の熱交換量が低下することにより、高圧が上昇することになる。高圧を維持できるということは、熱媒体温度が低い状態であったとしても、圧縮機容量を上げる等の保護制御をする必要がないことを意味する。そのため、圧縮機1の高圧許容運転範囲を維持したまま安定運転することが可能となる。また、このことにより、冷凍装置100の運転可能範囲の拡大も実現可能となる。
さらに、冷凍装置100の安定運転が可能となることから、冷凍装置100の長寿命化を達成することができる。すなわち、冷凍装置100を長期使用することが可能となる。
なお、一般的には、空冷式熱交換器で構成される冷凍装置は、ファン等の送風手段を備えている。そのため、凝縮器に流入する空気温度が低下したときであっても、送風手段の回転数増速により冷媒の高圧圧力を維持することも可能である。
これに対して、一般的には、水冷式熱交換器で構成される冷凍装置は、熱媒体を熱源として供給する熱媒体供給手段(例えば、ポンプ等)は冷凍装置自体に含まれていない場合が多い。このような場合にあっては、熱媒体供給手段は別機器として設定される場合が多い。また、このことにより、冷凍装置以外の外部冷却手段(例えば、冷却塔等)により冷却された熱媒体が熱源として供給される。そのため、冷凍装置単体で高圧圧力を制御するのが困難となる。従って、例えば、何らかの要因により熱媒体供給手段等に不具合が生じ、それにより、熱媒体温度が急激に低下すれば、高圧圧力は急激に低下する。そのため、上記で説明したように、圧縮機の下限の許容運転範囲を下回ることになるため、冷凍装置の運転に不具合が発生する可能性がある。
本発明の実施の形態1における冷凍装置100においては、このような水冷式凝縮器を備えた冷凍装置において、流量制御弁5の開度を調整することにより、外的な要因による第1熱媒体温度の低下に伴う高圧圧力が低下することを抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態1では、分岐数2本で流量制御弁5が1つの場合を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。例えば、分岐数を3本以上とし、それぞれに流量制御弁5を設けて、所定個数の流量制御弁5の開度を制御するようにしてもよい。このようにすれば、水冷式凝縮器2の熱交換量を段階的に調整することができる。すなわち、圧縮機1の動作可能範囲の下限を基準として、所定値を複数設定しておき、各所定値を下回るかどうかで、段階的に流量制御弁5を制御し、水冷式凝縮器2の熱交換量の調整に幅を持たせることができる。
実施の形態2.
本発明の実施の形態2における冷凍装置200について説明する。
本発明の実施の形態2においては、後述する第1熱媒体バイパス流路B2と第1熱媒体バイパス流路B2に設置された流量制御弁5を用いることにより、水冷式凝縮器2に流入する前の第1熱媒体の温度、圧縮機1から吐出された冷媒の吐出温度、又は、圧縮機1から吐出された冷媒の吐出圧力が、設定されている所定値以下となったとき、水冷式凝縮器2での熱交換量を低減させるものである。
なお、本実施の形態2において、特に記述しない項目については実施の形態1と同様とし、同一の機能や構成については同一の符号を用いて述べることとする。
図4は、本発明の実施の形態2における冷凍装置200の構成の一例を示す図である。図4に示すように、本発明の実施の形態1における冷凍装置100との相違点は、水冷式凝縮器2を出入りする冷媒回路Aの構成と、蒸発器4を出入りする冷媒回路A及び第2熱媒体流路Cの構成と、流量制御弁5の設置箇所である。
具体的には、図4に示すように、冷凍装置200は、冷媒回路Aと、第1熱媒体温度センサ6と、第2熱媒体温度センサ7と、計測制御部30とを備えている。また、冷凍装置200には、水冷式凝縮器2と熱交換する熱媒体が流れる第1熱媒体流路B(第1熱媒体流路B1、第1熱媒体バイパス流路B2)及び蒸発器4と熱交換する流体が流れる第2熱媒体流路Cが配設されている。なお、以後、実施の形態1と同様に、水冷式凝縮器2と熱交換する熱媒体を第1熱媒体、蒸発器4と熱交換する流体(熱媒体)を第2熱媒体と称する。
より具体的には、冷媒回路Aは、圧縮機1、水冷式凝縮器2、膨張弁3、及び蒸発器4を備え、それらが冷媒配管により接続されて構成されている。また、水冷式凝縮器2の出入口において、実施の形態1とは異なり、冷媒回路Aは2つの冷媒流路に分岐される構成ではない。すなわち、分岐されることなくそのまま水冷式凝縮器2と出入口においてそれぞれ接続されている。
実施の形態2の第1熱媒体流路Bは、複数の流路に分岐されている。より具体的には、第1熱媒体流路Bは、例えば、第1熱媒体流路B1と第1熱媒体バイパス流路B2とに分岐される。また、この第1熱媒体バイパス流路B2には、流量制御弁5が設置されている。
また、第2熱媒体流路Cは、蒸発器4を流れる冷媒回路Aの冷媒により冷却される第2熱媒体が流れる流路である。具体的には、第2熱媒体流路Cには、図示しない負荷側へ送られる第2熱媒体が流れている。
次に、冷凍装置200での運転制御動作を説明する。なお、運転制御動作の制御主体は、図1に示す計測制御部30である。
図5は、本発明の実施の形態2における冷凍装置200の制御動作の流れの一例を示すフローチャートである。冷凍装置200での運転制御動作と冷凍装置100での運転制御動作との相違点は、S54及びS55である。すなわち、S54及びS55は、S24及びS25と処理内容が異なる。その他においては、例えば、S40〜S53及びS56は、S10〜S23及びS26と同一の処理である。そのため、ここでは相違する処理のみ説明し、他の処理についての説明を省略する。なお、図5での動作の説明においては、流量制御弁5の初期開度は全閉とする。この点においても実施の形態1の冷凍装置100での運転制御動作と相違する。すなわち、冷凍装置100での運転制御動作においては、流量制御弁5の初期開度は全開であったのに対して、今回の冷凍装置200での運転制御動作においては、流量制御弁5の初期開度は全閉である。
まず、第1熱媒体温度センサ6で計測される第1熱媒体温度が予め設定された所定値、例えば、10(℃)以下であるかどうかを判定する。すなわち、計測制御部30は、第1熱媒体温度と所定値とを比較する(S53)。
すなわち、第1熱媒体温度が所定値よりも高いときには(S53YES)、計測制御部30は、図1に示す流量制御弁5に閉動作指令を出す(S54)。これに対して、第1熱媒体温度が所定値よりも高くないときには(S53NO)、計測制御部30は、図1に示す流量制御弁5に開動作指令を出す(S55)。このようにすることで、流量制御弁5の開度を変更する制御指令を出す。
なお、S54において、流量制御弁5の開度が全閉のときには、そのまま全閉の状態の開度が維持される。一方、S55において、流量制御弁5の開度が全開のときには、そのまま全開の状態の開度が維持される。
次に、本発明の実施の形態2における冷凍装置200において実現される作用効果について説明する。
本発明の実施の形態2における冷凍装置200においては、以下のような効果が得られる。
冷凍装置200は、計測制御部30によって、第1熱媒体温度センサ6で計測された第1熱媒体温度に基づいて、流量制御弁5の開度を調整する。このとき、第1熱媒体温度が低いときに流量制御弁5を開くことにより、第1熱媒体の一部がバイパスされる。すなわち、水冷式凝縮器2に流れ込む第1熱媒体の流量が低下する。これにより、凝縮器性能が低下するため、水冷式凝縮器2の熱交換量が低下する。換言すれば、凝縮熱量が低下することにより、図3に示すように冷媒の高圧圧力は上昇する。
従って、本発明の実施の形態2における冷凍装置200の一側面においても、第1熱媒体温度が低い場合であっても、流量制御弁5の開度を調整することにより、冷媒の高圧圧力を高く維持しながら運転可能である。従って、上記のような従来の保護制御が作動することなく、安定した運転が可能となる。
具体的には、第1熱媒体温度が所定値(所定温度、例えば10(℃))よりも低いときには流量制御弁5を開くようにする。これにより、水冷式凝縮器2に流れ込む第1熱媒体の流量が低下する。これによって、熱交換量が低下することとなる。すなわち、熱交換器の伝熱面積が小さくなることと等価状態となる。
従って、水冷式凝縮器2の熱交換量が低下することにより、高圧が上昇することになる。高圧を維持できるということは、第1熱媒体温度が低い状態であったとしても、圧縮機容量を上げる等の保護制御をする必要がないことを意味する。そのため、圧縮機1の高圧許容運転範囲を維持したまま安定運転することが可能となる。また、このことにより、冷凍装置の運転可能範囲の拡大も実現可能となる。
さらに、冷凍装置200の安定運転が可能となることから、冷凍装置200の長寿命化を達成することができる。すなわち、冷凍装置200を長期使用することが可能となる。
また、本発明の実施の形態2における冷凍装置200においては、上記で説明した水冷式凝縮器2を備えた冷凍装置200において、外的な要因による第1熱媒体温度の低下に伴う高圧圧力が低下することを抑制することができる。
なお、本発明の実施の形態1及び2においては、第1熱媒体温度によって流量制御弁5の開度操作をする一例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば、高圧冷媒温度センサ又は高圧圧力センサを冷媒回路Aにおける圧縮機1から水冷式凝縮器2の入口までの間の配管の任意の箇所に設けるようにしても良い。それにより、それぞれ計測される高圧冷媒温度、あるいは高圧圧力に基づいて流量制御弁5の制御動作を行っても良い。
具体的には、高圧冷媒温度センサを用いる場合、運転制御動作において、図2及び図5の「熱媒体温度」を「高圧冷媒温度」で置換した処理となる。そのため、所定値については、例えば、圧縮機1の運転可能な高圧冷媒圧力の下限値の飽和温度(例えば、15(℃))を設定すると良い。
また、高圧圧力センサを用いる場合についても基本的な同様である。すなわち、所定については、例えば、圧縮機1の運転可能な高圧冷媒圧力の下限値(例えば、0.85MPaG)を設定すると良い。
また、第1熱媒体流路Bにおける流量を検出する熱媒体流量検出手段、又は流量を予測・推定する熱媒体流量推定手段を設け、検出あるいは予測・推定された熱媒体流量が予め設定された所定流量より小さいときには、本実施の形態の運転制御動作における流量制御弁5の開度変更動作の指令を取り消し、その代わりに、流量制御弁5の開度を維持するようにしても良い。あるいは、そのような状態においては、初期開度に戻す制御動作を実施しても良い。
要するに、このような流量制御弁5の制御動作をすることにより、例えば、図示しない冷却塔から送られてきた熱媒体の供給流量が低下する等の外的要因による冷却流量低下により、保護制御が働き、それにより圧縮機1の容量が上がることによって生じる冷媒回路Aの高圧圧力の異常上昇を抑制することができる。すなわち、このような流量制御弁5の制御動作をすることにより、保護制御を稼働させる必要がないため、保護制御が働いてしまうことによって生じるであろう冷媒回路Aの高圧圧力の異常上昇は生じない。従って、冷凍装置100、200の信頼性の向上を実現することができる。
付言すれば、本実施の形態1及び2における冷媒回路構成は図示しているものの、これに限定されるものではない。上記機器構成に記載した以外の冷媒回路の要素が接続された冷媒回路であっても良いことは言うまでもない。例えば、そのような冷媒回路の要素としては、四方弁、アキュムレータ、レシーバ、油分離器、及び内部熱交換器(冷媒−冷媒熱交換器)等が接続された冷媒回路であっても良い。
本発明の特徴事項を各実施の形態において説明したが、例えば、冷媒の流路構成(配管接続)、第2熱媒体の流路構成、圧縮機・熱交換器・減圧装置等の冷媒回路要素の構成、各種計測手段の設置位置等の内容は、各実施の形態で説明した内容に限定されるものではなく、本発明の課題の範囲内で適宜変更が可能である。
また、本実施の形態1及び2において説明した各所定値は、圧縮機・熱交換器・減圧装置等の冷媒回路要素の構成の仕様やこれらを用いた運転試験等に基づいて適宜変更されるものであり、各実施の形態で説明した値に限定されるものではない。
なお、本明細書において、動作について説明したステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。