JP5336367B2 - カチオン的方法により架橋/重合可能な歯科用組成物 - Google Patents

カチオン的方法により架橋/重合可能な歯科用組成物 Download PDF

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Description

本発明の分野は、歯科用組成物の分野である。より詳細には、本発明において開発される歯科用組成物は、歯科用人工補綴を製造するため及び歯科修復のために用いることができる。
これらの歯科用組成物は従来、エポキシ樹脂又は光重合可能なシリコーン類又はフリーラジカル重合可能なアクリレート樹脂だった。これらの組成物はさらに、粒状補強用充填剤(例えば疎水性にされたシリカ)、光開始剤及び随意としての光増感剤及びさらに他の機能性添加剤、例えば顔料又は安定剤を含有する。
これらが混合された後に、これらの組成物は造形され、次いで光架橋して、歯と同様の構造の塊になる。
充填剤は高い比表面積を有する非常に微細な粒子(概ね0.01〜5μm)から成るという事実は、樹脂中へのその添加度合いを制限するファクターとなる。実際、樹脂の吸収容量には限界がある。その結果として、斯かる組成物の充填剤割合が45体積%超になることはほとんどない。このことは、粒状充填剤に求められる機械的強化機能にとって有害である。
さらに、歯科用組成物は無機ガラスやヒュームドシリカのような非常に小さい粒子寸法の補強用充填剤を用いて配合され、その表面シラノール及び/又は残留水がカチオン官能基と反応するので、これらの組成物は貯蔵しておくことができない。これらのガラスやこれらのヒュームドシリカがグリシジルオキシプロピルトリメトキシシランやグリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、又はメタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランのようなシランで前処理されている場合にも、同じことが言える。補強用充填剤は(光)重合可能/架橋可能種の反応性官能基と相互作用し、従って歯科用組成物を貯蔵する間(これは数か月の期間に達し得る)のその不安定性の問題の原因となる。この貯蔵時不安定性の現象は、充填剤含有率が高い組成物(例えば全充填剤含有率が50%以上のもの)について顕著である。
米国特許第6306926号明細書に記載された発明は、エポキシ樹脂(例えばUVR(登録商標)6105、EPON(登録商標)828、GY281(登録商標))、オキセタン樹脂若しくはビニルエーテル樹脂(特に放射線照射下でカチオン的方法で重合可能な/架橋可能なもの)、及び随意のラジカル的方法で重合可能な(メタ)アクリレート樹脂をベースとする歯科用組成物に関するものである。カチオン性光開始剤及び随意のフリーラジカル開始剤に代表される重合開始剤に加えて、これらの組成物は適宜に、放射線不透過性の微粒状無機充填剤であって、次の金属化合物:酸化物、ハロゲン化物、ホウ酸塩、リン酸塩、ケイ酸塩、炭酸塩、ゲルマニウム酸塩、テトラフルオロホウ酸塩及びヘキサフルオロホウ酸塩(7より小さい等電点を有するもの):から選択されるものを包含する。この組成物は、25℃において30分間のカチオン重合の後にそのBarcol硬度が少なくとも10であるようなものである。
これらの樹脂の欠点は、UV−可視光線による重合の活性化用化学線に対して完全には透過性ではないことである。このことは、反応速度にとって有害であり、従って非常に厚い光架橋材料を得る可能性を制限してしまう。
仏国特許第2784025号明細書に記載された発明は、この問題を、(その後の熱による後架橋有りで又は無しで)放射線照射下でカチオン的方法で重合可能な/架橋可能なシリコーン樹脂をベースとする歯科用組成物を提供することによって、解決することを目指すものである。これらのシリコーン樹脂は、オキシラン(エポキシド、オキセタン等)又はビニルエーテル官能基を含有する。斯かる組成物は、以下のものを含む:
・少なくとも1つの末端に次式:
Figure 0005336367
の反応性官能基を有し、カチオン的方法で架橋可能な且つ/又は重合可能な1種以上のポリジメチルシロキサン、
・有効量の少なくとも1種のオニウムホウ酸塩開始剤:
Figure 0005336367
・少なくとも1種の光増感剤、及び
・少なくとも1種の不活性補強用又は歯科用充填剤(これは歯科用ガラスをベースとするもの又はポリメチルメタクリレートをベースとするもの又は随意にヘキサメチルジシラザン若しくはポリジメチルシロキサンで処理された比表面積200m2/gのヒュームドシリカをベースとするものである)。
これらの歯科用組成物は、人工補綴又は歯科用器具の製造用及び歯科修復用に予定される。
これらのシリコーンは、UV−可視光線に対する透過性が高く、従って400nm超の可視領域で発光するUVランプによって非常に短時間(1分未満)で光架橋して非常に厚い材料(厚さ数mm)が得られることを可能にするという点で、カチオン的方法で架橋する有機樹脂を上回る利点を有する。
しかしながら、これらのシリコーンは、非常に小さい粒子寸法のガラス粉末やヒュームドシリカのようなルイス酸又はブレンステッド酸の特徴を有する補強用充填剤を用いて配合され、その中の表面シラノール及び/又は残留水がカチオン官能基と反応してしまう。従って、この種のシリコーン配合物は貯蔵時に不安定である。さらに、これらのシリコーンをチオキサントン光増感剤と配合した場合には、これらを光架橋のために露光した時に高レベルの変色が観察される。これは(露光後の)最終製品のピンク色の着色となって現れ、これは審美的に望ましくないことである。
また、欧州特許公開第1050291号公報から、充填剤含有率が高い歯科用組成物であって、0.05〜0.5μmの範囲の粒子寸法(Φm)を有する(0.50μm超の直径Φを有する粒子が全体の50体積%未満である)充填剤(例えばヒュームドシリカ)10〜70体積%、ラジカル的方法で光重合可能なアクリル系モノマー及び次式:
Figure 0005336367
のリン酸エステル分散剤を含有し、良好な機械的特性を有するものが知られている。しかしながら、この特許明細書には歯科用組成物の貯蔵時安定性の問題は論じられていない。
最後に、国際公開WO2005/121200号パンフレットには、充填剤含有率が高いカチオン性歯科用組成物であって、少なくとも1種のカチオン反応性化合物(A);少なくとも1種の充填剤(B);随意としての少なくとも1種の有機ポリマー又はコポリマーを含む1種以上の分散剤(C);少なくとも1種のカチオン性光開始剤;及び随意としての少なくとも1種の光増感剤(E):を含み、少なくとも1種の歯科用充填剤(B)が、少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)及び少なくとも1種の化合物(G)で処理されたものであり、前記有機ケイ素カップリング剤(F)がケイ素原子に直接結合した少なくとも1個の反応性官能基(frA)(これは活性化後に前記歯科用充填剤との化学結合を形成する)及びケイ素原子に直接結合していない少なくとも1個の反応性官能基(frB)(これは活性化後に化合物(G)の反応性官能基(frC)との化学結合を形成する)を含むことを特徴とする、前記組成物が記載されている。
これらの組成物は先行技術と比較して改善をもたらすが、しかし貯蔵安定性に関してはこれらの組成物を改善することが望ましい。
米国特許第6306926号明細書 仏国特許第2784025号明細書 欧州特許公開第1050291号公報 国際公開WO2005/121200号パンフレット
従って、先行技術は明らかに、UV下でカチオン的方法で重合可能な単位(例えばオキシラン)をベースとする歯科用組成物の貯蔵安定性の問題に対する満足できる解決策を提供していない。
従って、本発明の重要な1つの目的は、UV下でカチオン的方法で重合可能な単位(例えばオキシラン)をベースとする新規の歯科用組成物であって、貯蔵安定性の観点における先行技術の欠点を持たないものを提供することによって、この状況を改善することである。
本発明の別の重要な目的は、口腔内で重合可能な且つ/又は架橋可能な新規のカチオン性歯科用組成物であって、貯蔵時及び高い充填剤含有率(例えば50%以上)において安定なだけではなく、UV−可視光線に対する透過性が高いという利点及び従って400nm超の可視領域において発光するUVランプによって非常に短時間(1分未満)の間に光架橋した非常に厚い材料(厚さ数mm)が得られるという利点をも有するものを提供することにある。
本発明の別の重要な目的は、口腔内で重合可能な且つ/又は架橋可能な新規のカチオン性歯科用組成物であって、安定であり、充填剤含有率が高く(例えば50%以上)、調製するのが容易であり且つ経済性がよいものを提供することにある。
本発明の別の重要な目的は、特に歯科用組成物における補強用充填剤として用いた時に上記の制約を満たすことができるように歯科用補強用充填剤を処理するための新規の方法を提供することにある。
これらの目的及び他の目的は、本発明によって達成される。本発明は、まず最初に、
(1)少なくとも1種のカチオン反応性化合物(A);
(2)少なくとも1種の歯科用充填剤(B);
(3)随意としての1種以上の歯科用充填剤(B');
(4)随意としての少なくとも1種の有機ポリマー又はコポリマーを含む1種以上の分散剤(C);
(5)少なくとも1種のカチオン性光開始剤(D);及び
(6)随意としての1種以上の光増感剤(E):
を含む歯科用組成物であって、
前記歯科用充填剤(B)が溶剤媒体中で次の成分(a)、(b)及び(c):
(a)・有機モノマー、オリゴマー若しくはポリマー、又は
・オルガノシロキサンモノマー、オリゴマー若しくはポリマー
であって且つ少なくとも1つの反応性オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート官能基(frC)を含む少なくとも1種の化合物(G)、
(b)ケイ素原子に直接結合していて且つ前記歯科用充填剤(B)と反応することができる少なくとも1つの反応性官能基(frA)、及びケイ素原子に直接結合しておらず且つ前記化合物(G)の反応性官能基(frC)と反応することができる少なくとも1つの反応性官能基(frB)を含む少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)、並びに
(c)前記の溶剤媒体中での処理の間及び/又はその後に前記歯科用充填剤(B)を凝集していない形に保つ少なくとも1種の分散剤(H):
と接触させることによって前処理されたものであることを特徴とする、前記組成物に関する。
本発明者らは、驚くべきことに、そして予期しなかったことに、溶剤媒体中で本発明に従う特定化学種によって歯科用充填剤を前処理した場合に、分散剤の存在が凝集物の形成を防ぎ、このタイプの充填剤を用いて配合された歯科用組成物の貯蔵安定性を高めることを見出した。この安定性は、数か月から数年の耐用年数となって現れる。
この技術上の解決策は、経済的に実用性があり且つ実施が容易であるので、より一層興味深いものである。
1つの好ましい実施形態において、前記分散剤(H)は、有機ポリマー若しくはコポリマー、又はカルボン酸モノジエステルである。
2つ目の好ましい実施形態において、前記分散剤(H)は、次のものより成る群から選択される。
・アクリルポリマー(随意にアルキルアンモニウムとの塩の形にあるもの)、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、変性ポリウレタン及びポリアクリレートポリオール、
・それらのコポリマー、
・カルボン酸モノジエステル、
・ポリウレタン/アクリレートコポリマー(随意にアルキルアンモニウムとの塩の形にあるもの)、並びに
・それらの混合物。
有用な分散剤(H)の例には、次のものがある:ポリウレタン/アクリレートコポリマー(随意にアルキルアンモニウムとの塩の形にあるもの)、アクリルコポリマー(随意にアルキルアンモニウムとの塩の形にあるもの)、カルボン酸モノジエステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、変性ポリウレタン、ポリアクリレートポリオール、それらのコポリマー又はそれらの混合物。Disperbyk(登録商標)(Byk社)又はSolsperse(登録商標)(Avecia社)の商品名で販売されている分散剤が、本発明にとって特に好適である。特に次の化学製品が例として包含される:Disperbyk(登録商標)164、Disperbyk(登録商標)161、Disperbyk(登録商標)166、Disperbyk(登録商標)2070、Disperbyk(登録商標)9075、Disperbyk(登録商標)9076。
さらなる分散剤としては、次の特許文献に記載されたものが包含される:
・米国特許第5882393号明細書(これには、ポリウレタン/イミダゾールアクリレート又はエポキシドをベースとする分散剤が記載されている);
・米国特許第5425900号明細書(これには、ポリウレタンをベースとする分散剤が記載されている);
・米国特許第4795796号明細書(これには、ポリウレタン/ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルをベースとする分散剤が記載されている);
・国際公開WO99/56864号パンフレット(これには、ポリウレタン/ポリ(オキシアルキレン−カルボニル):ε−カプロラクトン及びδ−バレロラクトンの誘導体をベースとする分散剤が記載されている);並びに
・欧州特許公開第0403197B号公報(これには、ランダムポリウレタン/ポリビニル/ポリアクリレートコポリマー及びポリオキシアルキレンポリエーテルを含むグラフト化ポリアクリレートポリオール分散剤が記載されている)。
別の好ましい実施形態において:
・有機ケイ素カップリング剤(F)のケイ素原子に直接結合した反応性官能基(frA)は、アルコキシ、エノキシ又はヒドロキシル官能基であり;
・有機ケイ素カップリング剤(F)のケイ素原子に直接結合していない反応性官能基(frB)は、オキシラン、オキセタン、ヒドロキシル、酸、カルボン酸無水物又はジオール官能基であり;そして
・化合物(G)の反応性官能基(frC)は、オキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル又はカーボネート官能基である。
本発明の1つの好ましい態様に従えば、本発明の歯科用組成物は、次の工程を含む方法(I)によって処理された少なくとも1種の歯科用充填剤(B)を含む。
(a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と前記の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
(b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
(c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
(d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で前記の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で前記の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;並びに
(f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程。
本発明の別の好ましい態様に従えば、本発明の歯科用組成物は、次の工程を含む方法(II)によって処理された少なくとも1種の歯科用充填剤(B)を含む。
(a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と前記の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
(b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
(c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
(d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で前記の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;
(f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−5)を得る工程;
(g)前記の中間体の歯科用充填剤(B−5)を次いで溶剤媒体中で前記の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で前記の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(h)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−6)を得る工程;並びに
(i)前記の中間体の歯科用充填剤(B−6)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−6)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程。
1つの好ましい実施形態に従えば、歯科用充填剤(B)の総割合は、歯科用組成物の総重量に対して85重量%まで、好ましくは60〜80重量%の範囲を占める。
有利には、歯科用充填剤(B)の処理は、処理されるべきガラスの総重量に対して20重量%まで、好ましくは1〜15重量%の範囲、より一層好ましくは2〜10重量%の範囲の割合で前記化合物(G)を用いて実施される。
有利には、歯科用充填剤(B)の処理は、処理されるべきガラスの総重量に対して20重量%まで、好ましくは0.01〜10重量%の範囲、より一層好ましくは0.1〜1重量%の範囲の割合で前記化合物(H)を用いて実施される。
有利には、歯科用充填剤(B)の処理は、処理されるべきガラスの総重量に対して20重量%まで、好ましくは1〜15重量%の範囲、より一層好ましくは2〜10重量%の範囲の割合で前記化合物(F)を用いて実施される。
前記有機ケイ素カップリング剤(F)は、次の化学式を有するものであるのが好ましい。
Figure 0005336367
この式中、
Rは水素又はC1〜C4直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル若しくはアルケニル基であり、
1は直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル基又はフェニル基であり、
xは0、1又は2であり、そして
Xは次の式によって規定される。
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
ここで、
E及びDは同一であっても異なっていてもよく、C1〜C12直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基から選択され、
zは0又は1であり、
nは0又は1であり、
pは0、1、2、3、4、5又は6であり;
2、R3、R4、R5、R6、R7及びR8は同一であっても異なっていてもよく、水素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C12アルキルを表わす。
好ましい有機ケイ素カップリング(F)には、次の化合物が包含される:グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、酸性媒体中でのグリシジルオキシプロピルトリエトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン又はその加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン又はその加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物。
前記化合物(G)は、好ましくは少なくとも1個のオキシラン、オキセタン、アルケニルエーテル及び/又はカーボネート官能基を含有するモノマー、オリゴマー、有機ポリマー又はオルガノシロキサン、より一層好ましくは少なくとも1個のオキシラン官能基を含有するものである。
さらにより一層好ましくは、化合物(G)は、次の構造(M−7)〜(M−12)より成る群から選択される少なくとも1個の官能基を含有する。
Figure 0005336367
ここで、R''は直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C6アルキル基を表わす。
別の好ましい実施形態に従えば、前記化合物(G)は、シリコーンオリゴマー(G−1)又はシリコーンポリマー(G−2)である。このシリコーンオリゴマー(G−1)及びシリコーンポリマー(G−2)は、
(a)少なくとも1個の次式の単位:
Figure 0005336367
(ここで、aは0、1又は2であり、
0はそれぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル、アリール、ビニル、ヒドロゲノ又はアルコキシ基、好ましくはC1〜C6低級アルキルを表わし、
Zはそれぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、少なくとも1個のオキシラン、アルケニルエーテル、オキセタン及び/又はカーボネート官能基を含有する有機置換基である);並びに
(b)少なくとも2個のケイ素原子:
を含むものである。
有利なシリコーンオリゴマー(G−1)及びシリコーンポリマー(G−2)は、次式の化合物より成る群から選択される。
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
(これらの式中、基Rは同一であっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル又はアリール基、好ましくはC1〜C6低級アルキルを表わす)
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
Figure 0005336367
(これらの式中、基Dは直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12アルキル基であり、
nは1〜20の範囲の整数であり、
Arはアリール基である)。
別の好ましい実施形態に従えば、前記化合物(G)は、下記の分子(S−93)〜(S−95)より成る群から選択されるシラン(G−3)である。
Figure 0005336367
別の好ましい実施形態に従えば、前記化合物(G)は、下記の分子(S−96)〜(S−104)より成る群から選択される有機化合物(G−4)である。
Figure 0005336367
(これらの式中、nは1〜10の範囲の整数である。)
Figure 0005336367
Figure 0005336367
(ここで、nは100未満であり、
Dは直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12アルキルである。)
タイプ(S−103)の分子の中では、Dow Chemical社より販売されている樹脂UVR6150(登録商標)を選択することができる。
Figure 0005336367
(ここで、nは100未満であり、
基Dは直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12アルキルである。)
タイプ(S−104)の樹脂については、nが0であるものが本発明にとって特に好適である。
一般的に言えば、光化学活性化は、UV放射線(紫外線)下で達成される。より特定的には、歯科用人工補綴を製造するためには約200〜500nmの波長のUV放射線を用い、修復材料を製造するためには400nm超の波長の可視UV放射線を用いる。400nm超の波長は、口腔内での架橋及び/又は重合を可能にする。
化学線による活性化(光化学的活性化)は有利には、熱活性化によって補うことができ、また、熱活性化に置き換えることさえできる。
前記カチオン反応性化合物(A)は、エポキシ、ビニルエーテル、オキセタン、スピロ−オルトカーボネート、スピロ−オルトエステル及びそれらの組合せを含むモノマー及び/又は(コ)ポリマーの群から選択するのが好ましい。
さらにより一層好ましくは、前記カチオン反応性化合物(A)は、単位(M−13)、分子(S−1)〜(S−101)によって規定されるシリコーンオリゴマー(G−1)、シリコーンポリマー(G−2)、シラン(G−3)又は有機化合物(G−4)である。
前記式(M−13)において、特に興味深い反応性官能基Zは、次の基から選択される少なくとも1つの反応性官能基を含む。
Figure 0005336367
(ここで、R''はC1〜C6直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を表わす。)
1つの有利な態様に従えば、前記カチオン反応性化合物(A)は、この画分の80質量%未満を占める有機エポキシ又はオキセタン樹脂に結び付けられる。これらの官能性有機樹脂の中では、反応性官能基の質量百分率が20%未満、好ましくは15%未満であるものが好ましい。これにより、重合の間の容量収縮がその分だけ少なくなる。
式(S−103)及び(S−104)の樹脂を選択するのが好ましい。
Figure 0005336367
(ここで、nは100未満であり、
Dは直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12アルキルである。)
(S−103)タイプの樹脂の中では、Dow Chemical社より販売されている樹脂UVR6150(登録商標)を選択することができる。
Figure 0005336367
(ここで、nは100未満であり、
基Dは直鎖状又は分岐鎖状のC1〜C12アルキルである。)
(S−104)タイプの樹脂については、n=0のものが本発明にとって特に好ましい。
様々なタイプの歯科用充填剤(B)及び(B')を、本発明に従う組成物を調製するために用いることができる。 これら充填剤は、歯科用組成物の最終用途に応じて選択される。これらは、外観、UV放射線の透過性、並びに歯科用組成物の架橋及び/又は重合後に得られる材料の機械的及び物理的特性のような重要な特性に影響を及ぼす。
補強用充填剤としては、未処理の若しくは処理された熱分解法シリカ充填剤、非晶質シリカ充填剤、石英、ガラス若しくは非ガラス質充填剤{例えば米国特許第6297181号明細書に記載されたタイプのケイ素酸化物をベースとするもの(バリウムなし)、ジルコニウム、バリウム、ストロンチウム、カルシウム、フッ素、アルミニウム、チタン若しくは亜鉛をベースとするもの}、ホウケイ酸塩、アルミノケイ酸塩、タルク、Spherosils、三フッ化イッテルビウム、粉砕粉末の形のポリマーをベースとする充填剤、例えば不活性若しくは官能化ポリメチルメタクリレート、又はポリエポキシド若しくはポリカーボネート、セラミックホイスカー(Si−C、Si−O−C、Si−N、Si−N−C、Si−N−C−O)、又はガラスファイバーを用いることができる。
例として、次のものが挙げられる。
・ポリメチルメタクリレートをベースとする不活性充填剤であってUGL社から入手できるLUXASELF(登録商標)(これは歯科分野において用いることができ、ピンク色に着色されている)、
・ポリジメチルシロキサン又はヘキサメチルジシラザンで処理された比表面積200m2/gのヒュームドシリカ充填剤、
・未処理のヒュームドシリカ充填剤{Degussa社より販売されているAerosil-AE200(登録商標)}、
・酸化ケイ素をベースとする石英又はガラス(Schott社より販売されている歯科用充填剤Schott GM27884、G018-066及びG018-163)。
本発明の1つの好ましい実施形態に従えば、前記歯科用充填剤(B)は無機ガラス又はヒュームドシリカである。
本発明の1つの有利な特徴に従えば、前記歯科用充填剤(B)は、歯科用組成物の総重量の85重量%まで、好ましくは50〜85重量%の範囲、より一層好ましくは60〜85重量%を占める。
前記分散剤(C)は、例えば次のものより成る群から選択される:
随意にアルキルアンモニウム塩の形に転化されたポリウレタン/アクリレートコポリマー、随意にアルキルアンモニウム塩の形に転化されたアクリルコポリマー、カルボン酸のモノジエステル、ポリエステル、ポリエーテル、ポリウレタン、変性ポリウレタン、ポリアクリレートポリオール、それらのコポリマー又はそれらの混合物。商品名Disperbyk(登録商標)(Byk社より入手)又はSolsperse(登録商標)(Avecia社より入手)が本発明にとって特に好適である。特に次の商品を例として挙げることができる:Disperbyk(登録商標)164、Disperbyk(登録商標)161、Disperbyk(登録商標)166、Disperbyk(登録商標)2070、Disperbyk(登録商標)9075及びDisperbyk(登録商標)9076。また、次の特許文献に記載された分散剤を挙げることもできる。
・米国特許第5882393号明細書(これには、ポリウレタン/イミダゾールアクリレート又はエポキシドをベースとする分散剤が記載されている);
・米国特許第5425900号明細書(これには、ポリウレタンをベースとする分散剤が記載されている);
・米国特許第4795796号明細書(これには、ポリウレタン/ポリオキシアルキレングリコールモノアルキルエーテルをベースとする分散剤が記載されている);
・国際公開WO99/56864号パンフレット(これには、ε−カプロラクトン及びδ−バレロラクトンから誘導されるポリウレタン/ポリ(オキシアルキレンカルボニル)をベースとする分散剤が記載されている);並びに
・欧州特許公開第0403197B号公報(これには、ランダムポリウレタン/ポリビニル/ポリアクリレートコポリマー及びポリオキシアルキレンポリエーテルを含むグラフト化ポリアクリレートポリオール分散剤が記載されている)。
量的なことを言えば、前記分散剤(C)は、50ppm〜1%、好ましくは100ppm〜5000ppmの割合で歯科用組成物中に存在させることができる。分散剤(C)のアミン価は、分散剤(C)1g当たり水酸化カリウム60mg以下であるのが好ましく、0.1〜50mgの範囲であるのがより一層好ましい。分散剤の酸価は、分散剤1g当たり水酸化カリウム200mg以下であるのが有利であり、100mg以下であるのが好ましく、1〜60mgの範囲であるのがより一層好ましい。
前記カチオン性光開始剤(D)は、周期表(Chem. and Eng. News, Vol. 63, No. 5, 26、1985年2月4日)第15〜17族からの元素のオニウムホウ酸塩(単独の若しくは混合物状のもの)又は同じ周期表の第4〜10族からの元素の有機金属錯体から選択される。
1つの好ましい実施形態に従えば、前記カチオン性光開始剤(D)は、ホウ酸塩タイプのものであって、
(a)該ホウ酸塩のカチオン性部分が下記の(1)〜(3)から選択され;且つ
(b)ホウ酸塩アニオン部分が下記の式(III)を有する:
ものから選択される。
(1)次式のオニウム塩:
Figure 0005336367
(ここで、
Aは15〜17族からの元素、例えばI、S、Se、P又はNを表わし、
9はC6〜C20ヘテロ環式又は炭素環式アリール基を表わし、該ヘテロ環式基はヘテロ元素として窒素又は硫黄を含有することができ、
10はR9又はC1〜C30直鎖状若しくは分岐鎖状アルキル若しくはアルケニル基を表わし、これらの基R9及びR10は随意にC1〜C25アルコキシ、C1〜C25アルキル、ニトロ、クロロ、ブロモ、シアノ、カルボキシル、エステル又はメルカプト基で置換されていてよく、
m及びnはn+m=v+1となる整数であり、ここで、vは元素Aの原子価である)。
(2)オキソイソチオクロマニウム塩、特に国際公開WO90/11303号パンフレットに記載されたもの、特に2−エチル−4−オキソイソチオクロマニウム又は2−ドデシル−4−オキソイソチオクロマニウムのスルホニウム塩、及び次の構造式Vのオキソイソチオクロマニウム塩:
Figure 0005336367
[ここで、
Aは次式:
Figure 0005336367
を表わし、
n1は1〜3の範囲の整数であり;
z1は0〜3の範囲の整数であり;
Xは
・式M11 r1 (1)
又は
・式Q1 (2)
〔ここで、
1はSb、As、P、B又はClであり、
1はハロゲン(好ましくはF若しくはCl)又はOを表わし、そして
r1は4〜6の範囲の整数であり、
1はスルホン酸R81−SO3
{ここで、R81はアルキル若しくはアリール基、又はハロゲン(好ましくはF若しくはCl)で置換されたアルキル若しくはアリール基である}
を表わす〕
の基を表わし、
101はアルキル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、又はアリール基を表わし、
21は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、又はアリール基を表わし、すべてのR21は互いに独立しており、
31は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、又はアリール基を表わし、すべてのR31は互いに独立しており、
41は水素、ハロゲン、アルケニル基(例えばビニル)、又はシクロアルケニル、アルキル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(好ましくはC1〜C20のもの)、10個までのアルキレンオキシド単位を有し且つヒドロキシル若しくはアルキル(C1〜C12)を末端とするポリ(アルキレンオキシド)基、又はアリール基、又はアリールオキシ若しくはチオアリールオキシ基を表わし、
51はハロゲン、アルケニル基(例えばビニル)、又はシクロアルケニル、アルキル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、アルコキシ若しくはチオアルコキシ基(好ましくはC1〜C20のもの)、10個までのアルキレンオキシド単位を有し且つヒドロキシル若しくはアルキル(C1〜C12)を末端とするポリ(アルキレンオキシド)基、又はアリール基、又はアリールオキシ若しくはチオアリールオキシ基を表わし、
61は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、又はアリール基を表わし、
71は水素、アルキル、アルケニル、シクロアルケニル若しくはシクロアルキル基(好ましくはC1〜C20のもの)、又はアリール基を表わす]。
(3)次式の有機金属塩:
Figure 0005336367
{ここで、
Mは第4〜10族からの金属、特に鉄、マンガン、クロム又はコバルトを表わし、
1はπ電子により金属Mに結合した1個のリガンドを表わし、このリガンドはη3−アルキル、η5−シクロペンタジエニル及びη7−シクロヘプタトリエニルリガンド並びに随意に置換されたη6−ベンゼンリガンド及び2〜4個の縮合環(各環が3〜8個のπ電子によって金属Mの原子価層に寄与することができる)を有する化合物から選択されるη6−芳香族化合物から選択され、
2はπ電子により金属Mに結合したリガンドを表わし、このリガンドはη7−シクロヘプタトリエニルリガンド、並びに随意に置換されたη6−ベンゼンリガンド及び2〜4個の縮合環(各環が6又は7個のπ電子によって金属Mの原子価層に寄与することができる)を有する化合物から選択されるη6−芳香族化合物から選択され、
3はσ電子により金属Mに結合した0〜3個の同一の又は異なるリガンドを表わし、こ(れら)のリガンドはCO及びNO2+から選択され;
1、L2及びL3がもたらす該錯体の総電子電荷q及び金属Mのイオン電荷は、正の値であって1又は2である}。
式(III)
Figure 0005336367
[式中、
a及びbは、aが0〜3の範囲の整数であり、bが1〜4の整数であり、それらの合計a+bは4であり、
記号Xは
・ハロゲン(塩素、フッ素)原子(この場合、aは0〜3である)、又は
・OH官能基(この場合、aは0〜2である)
を表わし、
記号Rは同一であっても異なっていてもよく、
・少なくとも1個の電子求引性基(例えばOCF3、CF3、NO2若しくはCN)及び/又は少なくとも2個のハロゲン原子(特にフッ素)で置換されたフェニル基(前記カチオン性部分が第15〜17族からの元素のオニウムである場合)、
・少なくとも1個の電子求引性元素又は基{特にハロゲン原子(特にフッ素)、CF3、OCF3、NO2又はCN}で置換されたフェニル基(前記カチオン性部分が第4〜10族からの元素の有機金属錯体である場合)、或は
・少なくとも1個の電子求引性元素又は基{特にハロゲン原子(特にフッ素)、OCF3、CF3、NO2又はCN}で随意に置換された少なくとも2個の芳香族核を含有するアリール基(例えばビフェニル、ナフチル)(前記カチオン性部分に拘らず)
を表わす]。
本発明に従って用いるのに特に好ましいオニウムホウ酸塩及び有機金属ホウ酸塩の下位概念に関するさらなる詳細を以下に与えるが、これらは何らかの限定的な効果を持つものではない。
本発明の1つの好ましい態様に従えば、ホウ酸塩のアニオン部分の特に好適な種は、次のものである。
1':[B(C65)4]-
2':[(C65)2BF2]-
3':[B(C64CF3)4]-
4':[B(C64OCF3)4]-
5':[B(C63(CF3)2)4]-
6':[B(C632)4]-
7':[C65BF3]-
本発明の別の好ましい態様に従えば、用いることができるオニウム塩は数多くの文献、特に米国特許第4026705号明細書、米国特許第4032673号明細書、米国特許第4069056号明細書、米国特許第4136102号明細書及び米国特許第4173476号明細書に記載されている。これらの塩の中でも、次のカチオンのものが特に好ましい。
[(C817)−O−(C64)−I−C65)]+
[C1225−(C64)−I−C65]+
[(C817−O−(C64))2I]+
[(C817)−O−(C64)−I−C65)]+
[(C65)2S−(C64)−O−C817]+
[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH3)2]+
[(C1225−(C64)−I−(C64)−CH−(CH3)2]+
[(C1225−C64)2I]+
[(C65)3S]+
[CH3−(C64)−I−(C64)−CH(CH3)2]+
5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+
5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+
5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe+
[(C65)−S−C64−S−(C65)2]+
[(CH3−(C64)−I−(C64)−OC25]+
[(Cn2n+1−C64)2I]+
(ここで、nは1〜18であり、基Cn2n+1は直鎖状又は分岐鎖状である。)
別の好ましい態様に従えば、用いることができる有機金属塩は、米国特許第4973722号明細書、米国特許第4992572号明細書、欧州特許公開第203829A号公報、欧州特許公開第323584A号公報及び欧州特許公開第354181A号公報に記載されている。本発明に従ってより一層好ましく用いられる有機金属塩は、特に次のものである。
・(η5-シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+
・(η5-シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe+
・(η5-シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+
・ビス(η6−メシチレン)Fe+
・ビス(η6−ベンゼン)Cr+
これらの好ましい態様に従えば、オニウムホウ酸塩光開始剤として、次の物質を挙げることができる。
(P−16):[(C817)−O−C64−I−C65)]+,[B(C65)4]-
(P−17):[C1225−C64−I−C65]+,[B(C65)4]-
(P−18):[(C817−O−C64)2I]+,[B(C65)4]-
(P−19):[(C817)−O−C64−I−C65)]+,[B(C65)4]-
(P−20):[(C65)2S−C64−O−C817]+,[B(C64CF3)4]-
(P−21):[(C1225−C64)2I]+,[B(C65)4]-
(P−22):[CH3−C64−I−C64−CH(CH3)2]+,[B(C65)4]-
(P−23):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+,[B(C65)4]-
(P−24):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe+,[B(C65)4]-
(P−25):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+,[B(C65)4]-
(P−26):[(C1225−C64)2I]+,[B(C63(CF3)2]-
(P−27):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH3)2]+,[B(C65)4]-
(P−28):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH3)2]+,[B(C63(CF3)2)4]-;及び
(P−29):[CH3−C64−I−C64−CH(CH3)2]+,[B(C63(CF3)2)4]-
オニウムホウ酸塩(1)及び(2)並びに有機金属ホウ酸塩(3)を規定するための別の参考文献としては、欧州特許公開第0562897A号公報及び欧州特許公開第0562922A号公報を挙げることができる。これらの記載内容を本明細書に参考用に取り入れる。
光開始剤として用いることができるオニウム塩のさらなる例としては、米国特許第4138255号明細書及び米国特許第4310469号明細書に開示されたものを挙げることができる。また、他のカチオン性光開始剤、例えば次のものを用いることもできる。
・ヘキサフルオロリン酸若しくはヘキサフルオロアンチモン酸ヨードニウム塩、例えば
・[CH3−[(C64)−I−[(C64)−CH(CH3)2]+,[PF6]-
・[CH3−(C64)−I−(C64)−CH2CH(CH3)2]+,[PF6]-
・[(C1225−C64)2I]+,[PF6]-;又は
・これらの様々なアニオンのフェロセニウム塩。
本発明に従う歯科用組成物中に存在させる光増感剤は、非常に様々な性状のものであることができる。本発明において、これは特に下記の式(IV)〜(XXIV)の内の1つに相当する。
・式(IV)
Figure 0005336367
{ここで、nは1又は2であり、
nが1である場合、Ar1は6〜18個の炭素原子を有するアリール基、テトラヒドロナフチル、チエニル、ピリジル若しくはフリル基、又はF、Cl、Br、CN、OH、直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C12アルキル、−CF3、−OR6、−O−フェニル、−SR13、−S−フェニル、−SO2−フェニル、−COOR13、−O−(CH2−CH=CH2)、−O(C24−O)m−H及び−O(C36O)m−H(ここで、mは1〜100の範囲の整数である)より成る群から選択される1個以上の置換基を有するフェニル基を表わし、
nが2である場合、Ar1はC6〜C12アリーレン基又はフェニレン−T−フェニレン基(ここで、Tは−O−、−S−、−SO2−若しくは−CH2−を表わす)を表わし、
Xは基−OR14若しくは−OSiR15(R16)2を表わすか又はR11と一緒になって基−O−CH(R17)−を形成するかであり、
11は、非置換の直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、OH、−OR13、C2〜C8アシルオキシ、−CF3若しくは−CN基を有する直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C8アルキル基、C3若しくはC4アルケニル基、C6〜C18アリール基又はC7〜C9フェニルアルキル基を表わし、
12は、R11について与えた意味の内の1つを示すか、又は基−CH2CH218を表わすか、又はR11と一緒になってC2〜C8アルキレン基若しくはC3〜C9オキサアルキレン若しくはアザアルキレン基を表わすかであり、
13は1〜12個の炭素原子を有する低級アルキル基を表わし、
14は水素原子、C1〜C12アルキル基、−OH、−OR13又はCN基を有するC2〜C6アルキル基、C3〜C6アルケニル基、シクロヘキシル又はベンジル基、随意に塩素原子又は直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C12アルキル基で置換されたフェニル基、或は2−テトラヒドロピラニル基を表わし、
15及びR16は同一であっても異なっていてもよく、それぞれC1〜C4アルキル基又はフェニル基を表わし、
17は水素原子、C1〜C8アルキル基又はフェニル基を表わし、
18は基−CONH2、−CONHR13、−CON(R13)2、−P(O)(OR13)2又は2−ピリジルを表わす};
・式(V):
Figure 0005336367
(ここで、
Ar2は前記式(IV)においてnが1である場合のAr1と同じ意味を持ち、
19は基Ar2、直鎖状又は分岐鎖状C1〜C12アルキル基、C6〜C12シクロアルキル基及び該ケトンの炭素又は基Ar2の炭素と共にC6〜C12環を形成するシクロアルキル基より成る群から選択される基を表わし、これらの基は、−F、−Cl、−Br、−CN、−OH、−CF3、−OR13、−SR13、−COOR13、直鎖状又は分岐鎖状C1〜C12アルキル基(随意に−OH、−OR13及び/又は−CN基を有するもの)並びに直鎖状又は分岐鎖状C1〜C8アルケニル基より成る群から選択される1個以上の置換基で置換されていてよい);
・式(VI):
Figure 0005336367
{ここで、
12はそれぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、式(IV)におけるのと同じ意味を持ち、
Yはそれぞれの場合において同一であっても異なっていてもよく、X及び/又はR4を表わし、
Zは
・直接結合、
・二価C1〜C6アルキレン基、又はフェニレン、ジフェニレン若しくはフェニレン−T−フェニレン基(ここで、Tは直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C12アルキルである)、
を表わすか、或は
2個の置換基R12及びこれらの置換基を有する2個の炭素原子と一緒になってシクロペンタン又はシクロヘキサン核を形成するか、或は
二価基−O−R19−O−、−O−SiR1516−O−SiR1516−O−又は−O−SiR1516−O−を表わすか
は次式:
Figure 0005336367
の部分が−O−O−に相当するか、であり、
Ar4は式(IV)においてnが1である場合におけるAr1と同じ意味を持つ};
式(VII)のチオキサントン類:
Figure 0005336367
(ここで、mは0〜8であり、
21は芳香環上の同一の又は異なる置換基であって、直鎖状若しくは分岐鎖状C1〜C12アルキル基、C6〜C12シクロアルキル基、基Ar1、ハロゲン原子又は−OH、−OR13、−CN、−NO2、−COOR13、−OCOR13、−N(R13)2、−O−R13−(NR13)2、−CHO、−O−フェニル、−CF3、−SR13、−S−フェニル、−SO2−フェニル、−O−アルケニル若しくは−Si(R13)3基を表わす);
・式(VIII)のキサンテン類:
Figure 0005336367
(n=0〜8);
・式(IX)のキサントン類:
Figure 0005336367
(p=0〜8);
・式(X)のナフタレン類:
Figure 0005336367
(q=0〜8);
・式(XI)のアントラセン類:
Figure 0005336367
(r=0〜10);
・式(XII)のフェナントレン類:
Figure 0005336367
(s=0〜10);
・式(XIII)のピレン類:
Figure 0005336367
(t=0〜10);
・式(XIV)のフルオレン類:
Figure 0005336367
(u=0〜9);
・式(XV)のフルオランテン類:
Figure 0005336367
(v=0〜10);
・式(XVI)のクリセン類:
Figure 0005336367
(w=0〜12);
・式(XVII)のフルオレン類:
Figure 0005336367
(x=0〜8)、例えば2,7−ジニトロ−9−フルオレノン;
・式(XVIII)のクロモン類:
Figure 0005336367
(y=0〜6);
・式(XIX)のエオシン類:
Figure 0005336367
・式(XX)のエリスロシン類:
Figure 0005336367
(z=0〜2又は0〜3);
・式(XXI)のエリスロシン類:
Figure 0005336367
(z=0〜3);
・式(XXII)のビスクマリン類:
Figure 0005336367
(x=0〜8);
・式(XXIII)のチオキサントン類:
Figure 0005336367
(y=0〜6);
・式(XXIV)のチオキサントン類:
Figure 0005336367
(y=0〜6)。
式(VIII)〜式(XXIII)について、基R21は分子(VII)についてと同じ定義を有する。
また、他の増感剤を用いることもできる。特に、米国特許第4939069号明細書;米国特許第4278751号明細書;米国特許第4147552号明細書に記載された光増感剤、並びにクマリン類、共役ジケトン類、フルオロン類、アミノケトン類、p−アミノスチリルケトン類からの化合物及びそれらの混合物より成る群を用いることができる。
1つの好ましい実施形態に従えば、光増感剤(E)は、アントラセン類、チオキサントン類、カンファーキノン類及びフェナントレンキノン類からの化合物、並びにそれらの混合物より成る群から選択される。
別の好ましい実施形態に従えば、前記歯科用組成物は、光増感剤(E)として少なくとも1個のアンモニウム官能基含有基で置換されたチオキサントンの塩を含む。このタイプの光増感剤を用いることの利点は、歯科用人工補綴を作るために歯科用組成物を架橋させる時の厄介な変色を防ぐということである。
本発明の1つの態様に従えば、前記の少なくとも1個のアンモニウム官能基含有基で置換されたチオキサントンの塩のアニオンは、次のアニオンから選択される:
・ハライド、BF4 -、PF6 -;SbF6 -;前記の式[BXab]-のアニオン(III)、RfSO3 -;(RfSO2)3-又は(RfSO2)2-{ここで、Rfは少なくとも1個のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である}。
本発明の別の態様に従えば、前記光増感剤(E)は、随意に少なくとも1種のカンファーキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換アントラセンとの組合せとして、次式を有する。
Figure 0005336367
[式中、
22及びR23は同一であっても異なっていてもよく、水素又は随意に置換されたC1〜C10アルキル基を表わし、好ましくはR22=R23=メチルであり、
-はアニオン部分、好ましくはハライド;BF4 -, PF6 -;SbF6 -;前記の式[BXab]-のアニオン(III)、RfSO3 -;(RfSO2)3-又は(RfSO2)2-{ここで、Rfは少なくとも1個のハロゲン原子(好ましくはフッ素原子)で置換された直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基である}であり、
さらにより一層好ましくは、X-は次式:
[B(C63(CF3)2)4]-及び[B(C65)4)-
のホウ酸アニオンから選択される。]
1つの好ましい実施形態に従えば、前記光増感剤(E)は、随意に少なくとも1種のカンファーキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換アントラセンとの組合せとして、次式を有する。
Figure 0005336367
本発明において、前記光増感剤は、歯科用人工補綴を作るためには、200〜500nmの範囲、好ましくは400〜500nmの範囲のUV光線についての残留吸収を有する。歯科修復については、400nm以上のUV光線の残留吸収を有する光増感剤が好ましい。
1つの好ましい態様に従えば、前記光増感剤は、(VII)、(X)、(XI)、(XIII)、(XXIII)、(XXIV)及び(XXV)の類のものから選択される。別の実施形態に従えば、前記光増感剤は、次の化合物より成る群から選択される。
・(PS−30):3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウムクロリド;
・(PS−31):テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム;
・(PS−32):テトラキス(ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ホウ酸3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9−チオキサンテネン−2−イルオキシ)−2−ヒドロキシプロピル)トリメチルアンモニウム;
・(PS−33):フェナントレンキノン;
・(PS−34):カンファーキノン;
・(PS−35):アセナフテンキノン;
・(PS−36):過酸化ジベンゾイル;
・(PS−37):2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン;
・(PS−38):9,10−ジエトキシアントラセン;
・(PS−39):9,10−ジブトキシアントラセン;
・(PS−40):9−ヒドロキシメチルアントラセン;
・(PS−41):2−ジメチルアミノチオキサントン;
・(PS−42):3−エチルカルボキシ−7−メトキシチオキサントン;
・(PS−43):1−フェニルチオ−4−プロポキシチオキサントン;
・(PS−44):2−メトキシチオキサントン;
・(PS−45):2−(N,N−ジエチルアミノプロポキシ)チオキサントン;
・(PS−46):2−イソプロピルチオキサントン;
・(PS−47):1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン;
・(PS−48):4−イソプロピルチオキサントン;
Figure 0005336367
・及びそれらの混合物。
本発明において、架橋後に得られる材料は、有意に改善された貯蔵安定性を示す。前記式(XXV)によって記載される類のチオキサントンを用いる場合、チオキサントン(PS−31)又は(PS−32)を随意に少なくとも1種のカンファーキノン、フェナントレンキノン及び/又は置換アントラセンと組み合わせて用いた時に、残留変色がないという追加の利点が示された。
補強用充填剤に加えて、予定される用途及び人種集団に応じて、歯科用組成物を着色するために顔料を用いることができる。
例えば、歯科用人工補綴を製造するために用いられる歯科用組成物については、血管に似せるために、赤色顔料が超微細繊維の存在下で用いられる。
また、修復材料を製造するために用いられる歯科用組成物については、アイボリー色の架橋材料を得るために、金属酸化物(酸化鉄及び/又は酸化チタン及び/又は酸化アルミニウム及び/又は酸化ジルコニウム等)をベースとする顔料も用いられる。
他の添加剤を本発明に従う歯科用組成物中に添加することもできる。その例には、殺生物剤、安定剤、フレーバー、可塑剤及び接着促進剤がある。検討できる添加剤の中では、架橋可能な且つ/又は重合可能な有機共反応成分を用いるのが有利である。これらの共反応成分は、周囲温度において液状のもの又は100℃より低い温度において熱溶融性のものであり、各共反応成分はオキセタン−アルコキシ、オキセタン−ヒドロキシル、オキセタン−アルコキシシリル、カルボキシル−オキセタン、オキセタン−オキセタン、アルケニルエーテル−ヒドロキシル、アルケニルエーテル−アルコキシシリル、エポキシ−アルコキシ、エポキシ−アルコキシシリル、ジオキソラン−ジオキソラン−アルコール等のような反応性官能基を少なくとも2個含む。その例には、樹脂R70及びR71が包含される。
本発明に従う歯科用組成物は、多くの歯科用途のため、特に歯科用人工補綴の分野、歯科修復の分野及び一時的な歯(仮歯)の分野に、用いることができる。
本発明に従う歯科用組成物は、様々な成分を含む単一の製品(「一構成型」製品)の形にあって、特に歯科用人工補綴の分野において使用しやすくするのが好ましい。必要ならば国際公開WO98/07798号パンフレットの教示に従ってアミン官能性有機誘導体によってこの製品の安定性を確保することができる。
歯科用人工補綴の分野においては、「一構成型」の製品を、注射器によって直接石膏模型上に又は中心部に、付着させることができる。次いでこれをUVランプ(可視光線スペクトル400〜500nm)を用いて重合させる(可能な連続層による重合)。
一般的に、美観に優れ且つ耐久性のある歯科用人工補綴を10〜15分間で製造することができる。
本発明に従う歯科用組成物から得られる製品は、非孔質であることに注目すべきである。従って、随意に例えばフェルトのブラシで磨いた後に、得られる歯科用人工補綴の表面は、平滑であり、光沢があり、従って上塗りを用いる必要がない。
歯科用人工補綴の分野における用途は、本質的に取り付け型人工補綴の分野であり、次の2つのタイプに分けることができる。
・全く歯がない患者の場合の総人工補綴;
・何本かの歯がないための部分人工補綴(一時的な人工補綴又は骨格装具)。
歯科修復の分野においては、本発明に従う歯科用組成物は、様々な色(例えば「VITA(バイタ)」色)の前歯及び奥歯に充填するための材料として、素早く且つ容易に用いることができる。
この歯科用組成物は無毒性であり且つ厚い層として重合させることができるので、連続層として材料を重合させることは必要ない。一般的に、歯科用組成物を1回注入すれば充分である。
歯科用人工補綴及び修復材料の製造は、当技術分野の通常の技術に従って実施される。
歯科用組成物を歯に塗布する場合、歯を腐食剤で前処理してから自己光架橋性であることができる接着性下塗りで前処理することができ、また、歯科用組成物を使用前に接着性下塗りとの混合物として調製することもできる。
本発明はまた、次の工程:
(a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
(b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
(c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
(d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1、2又は3に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;並びに
(f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
を含む、歯科用充填剤(B)の処理方法(I)にも関する。
別の実施形態に従えば、本発明は、次の工程:
(a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
(b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
(c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
(d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;
(f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−5)を得る工程;
(g)前記の中間体の歯科用充填剤(B−5)を次いで溶剤媒体中で請求項1、2又は3に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
(h)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−6)を得る工程;並びに
(i)前記の中間体の歯科用充填剤(B−6)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−6)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
を含む、歯科用充填剤(B)の処理方法(II)を提供する。
1つの好ましい実施形態に従えば、方法(I)及び(II)の工程(c)及び(f)の熱処理は、200℃以下、好ましくは160℃以下、より一層好ましくは100〜165℃の範囲の温度に加熱することによって行われる。
前記有機ケイ素カップリング剤(F)、前記化合物(G)、前記分散剤(H)及び前記歯科用補強用充填剤(B)は、本発明に従う歯科用組成物において規定した通りである。
本発明はまた、本発明に従う方法によって得られる補強用充填剤、及び歯科用組成物におけるその使用も提供する。
本発明のさらなる主題は、本発明に従う歯科用組成物を歯科用人工補綴製造用又は歯科修復用に使用することに関する。
本発明の別の主題は、本発明に従う組成物を架橋させることによって得られる歯科用人工補綴に関する。
本発明の最後の主題は、本発明に従う組成物を架橋させることによって得られる歯科修復材料に関する。
以下の実施例は、例示として与えたものである。これらは、特に本発明をよりはっきり理解すること及びその利点のいくつかを明らかにすること及びその数多くの実施形態を例示することを可能にする。
構造
Figure 0005336367
Figure 0005336367
・Dow Chemical社よりUVR-6105の名前で販売されている化合物(S−96)
Figure 0005336367
・充填剤(B−i):Schott社よりG018-163の名前で販売されている石英ガラス(粒子寸法=1.5μm、SiO2 56%;SrO 14%;B23 14%;Al23 14%;F 2%)。
充填剤(B−ii):Schott社よりGM27-884の名称で販売されている石英ガラス(粒子寸法=1.5μm、SiO2 55%;BaO 25%;B23 10%;Al23 10%)。
分散剤(H): Disperbyk-164(登録商標)(Byk社より販売)。
分散剤(C): Disperbyk-164(登録商標)(Byk社より販売)。
例1−1及び1−2:本発明に従う歯科用充填剤の処理:
例1−1:
(a)フラスコに充填剤(B−i)200gを装填し、これにアセトン200gを添加し、次いでシラン(グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、GLYMO)7.3gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、中間体の充填剤(B−2)が得られる。
(b)フラスコに充填剤(B−2)180gを装填し、これにアセトン180gを添加し、次いでオキシラン官能性化合物(S−1)31.5g(例1−2については、オキシラン官能性化合物(S−1)を15.8gだけにして、化合物(S−96)15.8gをもまた添加する)並びに溶剤中60%溶液状分散剤(H)0.85gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、本発明に従って処理された歯科用充填剤(B−i)が得られる。
例2:本発明に従う歯科用充填剤の処理:
(a)フラスコに充填剤(B−i)200gを装填し、これにアセトン200gを添加し、次いでシラン(グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、GLYMO)7.3gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、中間体の充填剤(B−2)が得られる。
(b)フラスコに充填剤(B−2)180gを装填し、これにアセトン180gを添加し、次いでオキシラン官能性化合物(S−1)15.8g及び化合物(S−96)15.8gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、中間体の歯科用充填剤(B−5)が得られる。
(c)フラスコに充填剤(B−5)180gを装填し、これにアセトン160gを添加し、次いでオキシラン官能性化合物(S−1)28.1g及び溶剤中60%溶液状分散剤(H)0.75gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、本発明に従って処理された歯科用充填剤(B−i)が得られる。
例3(比較例):国際公開WO2005/121200号パンフレットに従う充填剤の処理:
(a)フラスコに充填剤(B−i)200gを装填し、これにアセトン200gを添加し、次いでシラン(グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、GLYMO)7.3gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、中間体の充填剤(B−2)が得られる。
(b)フラスコに充填剤(B−2)180gを装填し、これにアセトン180gを添加し、次いでオキシラン官能性化合物(S−1)15.8g及び化合物(S−96)15.8gを添加する。これらの成分を窒素下で周囲温度においてプロペラ式撹拌機を用いて2時間混合する。この混合物を、フィルター(0.22ミクロン)を備えたブフナー漏斗中に注ぐ。歯科用充填剤を回収し、次いで乳鉢及び乳棒を用いて粉砕し、次いで200ミクロンの布上で篩分けする。次いで歯科用充填剤110℃のオーブン中で16時間乾燥させる。オーブンの出口において、充填剤を30分間周囲温度に冷ます。これにより、国際公開WO2005/121200号パンフレットに従って処理された歯科用充填剤が得られる。
例4:歯科用組成物の配合:
フラスコに式(PS−31)の光増感剤0.09gを装填し、これに光増感剤の9,10−ジブトキシアントラセン(PS−39)0.13g、光増感剤のカンファーキノン(PS−34)0.13g、光開始剤(P−22)3.87g、オキシラン官能性シロキサン樹脂(S−1)195.1gを添加し;最後に溶剤中60%溶液状分散剤(C)0.58gを添加する。この配合物を電磁棒を用いて約24時間撹拌する。
上で調製された配合物7.75gを乳鉢に入れ、次の歯科用充填剤17.25gを添加する:
・配合物1(比較例):充填剤=未処理の充填剤(B−i);
・配合物2(本発明):例1−1に従って処理された充填剤(B−i);
・配合物3(本発明):例1−2に従って処理された充填剤(B−i);
・配合物4(本発明):例2に従って処理された充填剤(B−i);
・配合物5(比較例):例3に従って処理された充填剤(B−ii)。
そして、この混合物を乳鉢及び乳棒を用いて混練する。
次いで、配合物を40℃のオーブン中に入れて(促進老化及び長期貯蔵のシミュレーション)、架橋するまでの配合物中のエポキシ含有率の経時変化を監視する。結果を下記の表Iにまとめる。
Figure 0005336367
次のことがわかった。なお、使用のための許容限度は約100mEEである。この閾値より低いと、配合物は硬化した形にあり、その状態ではもはや使用できない。
・未処理充填剤を用いた配合物(配合物1)については、24時間の40℃における促進老化の後に、測定エポキシ含有率がほぼ50%低下した。これは、エポキシ官能基が反応してしまい、その配合物が安定ではなかったことを示す(配合物の有害な硬化)。
・国際公開WO2005/121200号パンフレットに従って処理された充填剤を用いた配合物(配合物5)については、6日間の40℃における促進老化の後に、測定エポキシ含有率がほぼ30%低下した。
・本発明に従う配合物(配合物2、3及び4)については、エポキシ含有率がもっと安定であり、長期貯蔵の間の配合物の早すぎる硬化が防止される。

Claims (17)

  1. (1)少なくとも1種のカチオン反応性化合物(A)、
    (2)少なくとも1種の歯科用充填剤(B)、及び
    (5)少なくとも1種のカチオン性光開始剤(D)
    を含む歯科用組成物であって、
    前記歯科用充填剤(B)が溶剤媒体中で下記の成分(b)と接触させ、次いで下記の成分(c)の存在下で下記の成分(a)と接触させることによって前処理されたものであることを特徴とする、前記組成物:
    (a)下記の式:
    Figure 0005336367
    Figure 0005336367
    Figure 0005336367
    Figure 0005336367
    Figure 0005336367
    (これらの式中、基R0は同一であっても異なっていてもよく、アルキル、シクロアルキル又はアリール基を表わす。)
    の化合物より成る群から選択されるシリコーンオリゴマー(G−1)又はシリコーンポリマー(G−2)である少なくとも1種の化合物(G)、
    (b)グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、酸性媒体中でのグリシジルオキシプロピルトリエトキシシランの加水分解生成物;グリシジルオキシプロピルジメトキシメチルシラン又はその加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン又はその加水分解生成物、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン又はその加水分解生成物より成る群から選択される少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)、並びに
    (c)前記の溶剤媒体中での処理の間及び/又はその後に前記歯科用充填剤(B)を凝集していない形に保つ、ポリウレタン/アクリレートコポリマー、アルキルアンモニウムとの塩の形のポリウレタン/アクリレート、ポリウレタン及び変性ポリウレタンから選択される少なくとも1種の分散剤(H)。
  2. (3)1種以上の歯科用充填剤(B')、
    (4)少なくとも1種の有機ポリマー又はコポリマーを含む1種以上の分散剤(C)、及び
    (6)1種以上の光増感剤(E)
    さらにを含む、請求項1に記載の歯科用組成物。
  3. 少なくとも1種の歯科用充填剤(B)が次の工程:
    (a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
    (b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
    (c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
    (d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;並びに
    (f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
    を含む方法(I)によって処理されたものである、請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  4. 少なくとも1種の歯科用充填剤(B)が次の工程:
    (a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
    (b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
    (c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
    (d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;
    (f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−5)を得る工程;
    (g)前記の中間体の歯科用充填剤(B−5)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (h)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−6)を得る工程;並びに
    (i)前記の中間体の歯科用充填剤(B−6)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−6)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
    を含む方法(II)によって処理されたものである、請求項1又は2に記載の歯科用組成物。
  5. 前記方法(I)及び(II)の工程(c)、(f)及び(i)の熱処理が、200℃以下の温度に加熱することによって行われたものである、請求項3又は4に記載の歯科用組成物。
  6. 前記カチオン性光開始剤(D)が次の化合物:
    (P−16):[(C817)−O−C64−I−C65)]+,[B(C65)4]-
    (P−17):[C1225−C64−I−C65]+,[B(C65)4]-
    (P−18):[(C817−O−C64)2I]+,[B(C65)4]-
    (P−19):[(C817)−O−C64−I−C65)]+,[B(C65)4]-
    (P−20):[(C65)2S−C64−O−C817]+,[B(C64CF3)4]-
    (P−21):[(C1225−C64)2I]+,[B(C65)4]-
    (P−22):[CH3−C64−I−C64−CH(CH3)2]+,[B(C65)4]-
    (P−23):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+,[B(C65)4]-
    (P−24):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe+,[B(C65)4]-
    (P−25):(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+,[B(C65)4]-
    (P−26):[(C1225−C64)2I]+,[B(C63(CF3)2]-
    (P−27):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH3)2]+,[B(C65)4]-
    (P−28):[CH3−C64−I−C64−CH2CH(CH3)2]+,[B(C63(CF3)2)4]-;及び
    (P−29):[CH3−C64−I−C64−CH(CH3)2]+,[B(C63(CF3)2)4]-
    より成る群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  7. 前記カチオン性光開始剤(D)がヨードニウム塩である、請求項1に記載の歯科用組成物。
  8. 前記光増感剤(E)がその構造中に200〜500nmの範囲の光に対して残留吸収を有する1個以上の置換又は非置換芳香族核を含む、請求項2に記載の歯科用組成物。
  9. 前記光増感剤(E)がアントラセン、チオキサントン、カンファーキノン及びフェナントレンキノンからの化合物並びにそれらの混合物より成る群から選択される、請求項2に記載の歯科用組成物。
  10. 前記歯科用充填剤(B)が無機ガラス又はヒュームドシリカである、請求項1〜9のいずれかに記載の歯科用組成物。
  11. 次の工程:
    (a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
    (b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
    (c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
    (d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;並びに
    (f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
    を含む、歯科用充填剤(B)の処理方法。
  12. 次の工程:
    (a)溶剤媒体中で前記歯科用充填剤(B)と請求項1に記載の少なくとも1種の有機ケイ素カップリング剤(F)とを混合する工程;
    (b)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−1)を得る工程;
    (c)前記の中間体の歯科用充填剤(B−1)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−1)とカップリング剤(F)との間のカップリング反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−2)を得る工程;
    (d)前記の中間体の歯科用充填剤(B−2)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (e)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−3)を得る工程;
    (f)前記の中間体の歯科用充填剤(B−3)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−3)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて中間体の歯科用充填剤(B−5)を得る工程;
    (g)前記の中間体の歯科用充填剤(B−5)を次いで溶剤媒体中で請求項1に記載の少なくとも1種の分散剤(H)の存在下で請求項1に記載の少なくとも1種の化合物(G)と混合する工程;
    (h)前記溶剤を濾過によって除去して中間体の歯科用充填剤(B−6)を得る工程;並びに
    (i)前記の中間体の歯科用充填剤(B−6)を熱処理してこの中間体の歯科用充填剤(B−6)と前記化合物(G)との間の反応を終わらせて処理された歯科用充填剤(B)を得る工程:
    を含む、歯科用充填剤(B)の処理方法。
  13. 請求項11又は12に記載の方法によって得られた歯科用充填剤。
  14. 請求項13に記載の歯科用充填剤の、歯科用組成物における使用。
  15. 請求項1〜10のいずれかに記載の歯科用組成物の、歯科用人工補綴の製造のための使用。
  16. 請求項1〜10のいずれかに記載の組成物を架橋させることによって得られる歯科用人工補綴。
  17. 請求項1〜10のいずれかに記載の組成物を架橋させることによって得られる歯科修復材料。
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